Coolier - 新生・東方創想話

流れ行く時

2005/09/13 08:34:22
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*多少私的意見が入っていますので、ご注意を。東方的には関係ないでしょうが、一応ご注意を。
*割と暗めです。ご注意を。






 眼下を流れる川。広大とは言いがたいが、湖に流れ込むものの中では大きい方だ。流れは緩やかで、下流に上流の肥沃な土を運ぶ任を帯びている。
 時は移ろう。川の流れと共に、移ろう。悠久とも思える時間があると信じ、しかし気がつけば思い出に浸っている。昔思い描いた夢が、今になっては滑稽なものに思えてくる。
 尽きる事の無い流れ。土を、葉を、また時として人の思いを。川はそれらを飲み込み、消し去っていく。それと同じ事なのだろう。時の流れは、思いを、記憶を、生きる事の切なさを、なにもかもを流し、風化させていく。
 老いたのだろう。川縁に腰を下ろし、釣り糸を垂らしながらこんな事を考える。昔なら、鼻で笑い飛ばしていた事だ。身が老いている事は自覚していたが、それだけ心も老いたという事なのだろう。

「珍しいわね、こんなところで釣りを勤しむ老人がいるなんて。」

 話しかけられた方向を向くと、少し離れた場所に巫女がいた。手には食材を入れた袋を持ち、買い物帰りという様子だ。

「見ての通り、老人だからな。暇で、他にやる事がないのさ。」
「ふーん、老後ってのはよほど暇なのね。まあ、私も毎日暇だけど。ところで、貴方はここで何をしているの?」

 巫女の、何かを計る様な目。億劫そうな目だが、その視線は鋭かった。直感的に何かを感じ取ったのか。

「面妖な事を聞く。今自分の口で釣りをしていると言ったばかりではないか。」
「それはそうなんだけど。でも、何故か私には貴方がただ釣りをしている様には思えないから。変な話だけど。」
「買いかぶらないでくれ。この年で、太公望を気取っている訳ではない。大それた野望を抱いている訳でもない。ただ、ここで静かに釣りをしているだけさ。」

 それでも、巫女の猜疑の視線は消えなかった。釣りをしているようで、釣りをしていない。確かにその通りなのかもしれない。自分でも、それを否定できないからだ。

「ところで、さっき取れたばかりの魚は要らんかね。必要以上に取れてしまったんだ。」
「そういう事なら、ありがたく頂戴するわ。宴会の出し物は、大いに越した事は無いから。」

 そう言うと巫女は礼を言い、魚を持って立ち去っていった。一日中釣りをして、必要以上の魚が釣れたと言うのも馬鹿げた話である。そのうち川に返すつもりだったが、巫女に食べられるのなら無駄ではあるまい。
 あれが、今代の博麗の巫女か。まだ少女の域ではあるが、強力な力は秘めていた。代が変わったという噂は聞いていたが、それを確かめてはいなかった。
 急に、懐かしい顔を思い出す。彼女の母に当たる先代も、強力な力の持ち主だった。どうやら博麗の力だけではなく、面影も受け継いでいるようだ。



 懐かしい顔だった。目を閉じれば、他にも色々な顔が浮かんでくる。そのどれもが懐かしい顔だ。
 彼らを忘れる事は無かった。闇は、様々なものを浮かび上がらせる。目を閉じ、また闇夜の中でなら彼らの姿を浮かび上がらせる事が出来る。
 皆、闇の中で生きていた。私に笑いかけてくる者もいれば静かに傍で佇んでいる者もいる。逝ってしまった者、二度と会うことが無い者。誰もが皆、闇の中で生きていた。
 闇の中でなら皆に会える。しかし、少しでも明かりが入れば、皆去っていく。明かりの中で、過去の者達には会えないのだ。
 死とは、多分こういう闇なのだろう。時々、そういう事を考えた。死について考えるとは、やはり老いたのだろう。

「へーえ、こんな所で釣りをしている爺さんがいるとは思わなかったぜ。」

 再び声をかけられ、声の主の方を向く。黒と白の服を着た少女が立っていた。手には食材と、何故か箒がある。
 彼女の言うとおり、ここで釣りをしているのは珍しい事だろう。ここら辺には妖怪が出没する。そんな所で普通は釣りをしようとは思わないだろう。ただし、人間ならばの話である。

「そういうお主こそ、こんな所で何をしている。危ないから、早く家に帰えった方がいい。」
「おお、爺さん、私の妖怪退治の腕を知らないな。私が魔砲を放ったら、妖怪どころか人間も残らないぜ。」

 物騒な事を得意そうに話す少女に一抹の不安を感じつつも、納得した。彼女は魔法使いだろう。自分の身を守る術を持っているということだ。

「それで、爺さん。釣れてるかい?」
「残念だったな。先ほど、余剰分を人にあげたところだ。貧乏そうで、生活に困っていた感じだったからな。」
「ちぇ、せっかく宴会の出し物が増えるかもしれないと思ったのにな。この幻想郷で、霊夢以外に貧困で悩んでいる奴がいるとは驚きだぜ。」

 少女も、宴会と言った。先ほど、博麗の巫女も宴会と言った。彼女らは、同じ宴会の席に立つのかもしれない。
 少女が言った霊夢と言う名。恐らく、それが今代の博麗の巫女の名前に違いない。何せ、幻想郷で常に貧困に悩んでいるのは博麗神社ぐらいなものだ。先代も貧困に喘いでいた姿を思い出すと、どうやら今代は貧乏神も受け継いだようだ。

「なあ、ところで爺さん。爺さんはここで誰かを待っているのかい?」

 悔しがっていたのを一転して、真面目な表情で少女が聞いてきた。

「ほう、何故?」
「いや、何となく。私の知り合いに、待っているのに待っていないって言い張る奴がいてな。そいつが誰かを待っているときの感じに、何となく似ていたんだ。」

 誰かを待っている。確かにそうかもしれない。私は、確かに何かを待っている。

「悪い、変な事言っちゃってさ。待ち合わせなら、もっと別な場所でするもんな、普通は。」

 そう言うと、少女は立ち去っていった。屈託のない表情だったが、意外と鋭い色々と人間関係で経験したのだろう。



 日が傾き、辺りが暗くなり始める。夕闇に染まりながら、竿を傾けつつ物思いにふけた。様々な事が脳裏に浮かび、そして過ぎ去っていく。
 長く生きた。だが、自分の歩んだ道は決して人が褒められた物ではないだろう。あえて得にならない事をしたし、どう考えても損にしかならない事もした。
 損得の勘定で自分を動かす事はしなかった。感情に身をまかせる事はあっても、自分の考えを、生き方を損得や我が身可愛さに流す事をしなかった。そんな私の生き方を、人は不器用な生き方だと言い、馬鹿な男だと侮蔑もした。
 それでも、後悔をしなかった。自分を貫き通して生きてきた事は、誇る事だと思う。誰かに評価されたくてした訳ではなく、自分が自分である為にしてきたことなのだ。
 それにしても、自分の生き方を振り返るとは、以前の私には思ってもいなかったことだ。どれだけ後悔しても、どれだけ惨めな事になろうとも、自分を貫くと心に決めていたのだ。やはり、これも老いなのだろう。

「こんな時間にこんな所で何をしているのだ?」

 また、話しかけられて物思いを中断し、声の主の方を振り返った。今日は、客が多い日だ。

「失礼、私は上白沢 慧音。里の相談役を勝手に自称しているものだ。」
「ふむ、その慧音殿が私に何用かな。」
「少し前に里の者がご老人を見かけてな。妖怪の出没する川縁で釣りをしている老人がいると。だが、そんな老人は里にはいない。」

 ここは、里に比較的近い。だが、ここは妖怪も出没するし、道からも外れている。人目を気にせずに静かに釣りを出来ると思っていたが、どうやら読みが甘かったらしい。

「私が里にいれば問題は無いのだが、今晩は所用で里を外す。だから、ご老人の正体をはっきりさせておきたいと思ったのだ。」
「案ずる事は無い。わしはただ、ここで釣りをしているだけさ。里の人間に危害を加えようとは毛頭にも思っていない。」
「しかし、こんな時間に釣りとは。そろそろ川魚が眠りに着く頃だろう?」

 何かを計るような目。彼女は本気だろう。私が里にあだなす者と分かれば、容赦はしないだろう。それだけ、彼女の目は真剣だった。
「もう一度聞く。ご老人は、ここで何をしているのだ?」
「待っている。」
「ほう、何を?」
「忘れかけていた友人。」

 慧音の目が一瞬、鋭く光った。気にかける必要がない者か、今この場で排除するべき者か。彼女の目には、私はどう映ったのだろうか。
 しばしの間、沈黙が辺りを支配する。そして、慧音が口を開いた。

「私には、ご老人が嘘を言っているようには思えない。何となくだが、ご老人を信用してもいいという気もする。だから、これ以上問う事はやめる。時間を取らせてしまって、すまなかった。」

 そう言うや否や、慧音は踵を返そうとする。私の答えに、問い返すような事もしない。彼女にとって、私が信用できるかどうかが問題だったのだろう。それが分かれば、私が何を待とうとも気にしないということか。

「変な話だな。私はご老人を信用しても良いと思っている。しかし、同時に私はご老人に何かを感じる。違和感といってもいい。それが何なのか、さっぱり分からないのだ。」
「慧音殿が分かるのは、まだ先の事だろう。逆に言えば、慧音殿もそのうち分かる。否応が無くな。」

 慧音が顔をしかめたが、それ以上何も聞いてこなかった。



 博麗の巫女が、釣りをしているようで釣りをしていないと言った。黒白の魔法使いの少女が、誰かを待っているように見えると言った。上白沢 慧音には、忘れかけた友を待っていると言った。
 私は釣りをしながら友を待っていた。老いるまで、時には忘れ、時には拒絶して、散々待たせた友だ。今更と思うが、今は無性に会いたいと思うようになった。
 どういう心境の変化があったのか、自分でも分からない。昔は気に止めた事は無かったし、一方で忌み嫌ってもいた。それが、今では受け入れようとしているのだ。
 老いとは、何なのだろうか。肉体的な話ならば分かる。体力が落ち、新陳代謝が悪くなり、体の力が衰える。だが、それでも気力でなんとか補えれると思っていた。老いをそのまま受け入れて堪るかという気にもなっていたはずだ。
 しかし、いつのまにか滅びを受け入れるようになっていた。今でも若い者には負けない、という気概は持っている。だが、もういいという気にもなっている。これが、精神的に老いるという事なのだろうか。

「怪奇、夜でもしつこく釣りをしている老人。うーん、全然スクープになりそうにありませんね。」

 変な独り言が耳に入り、今日何度目かの物思いから意識を戻す。周囲を見回すと、月明かりの元に少女が姿を現す。鴉を連れた少女だ。

「ああ、すいません。つい、無駄足を踏んだと分かったものですから。どうぞ、釣りを再開してください。すぐに立ち去りますから。」
「言われなくとも、釣りはするさ。それより、ここに何用だったのだ。人を怪奇呼ばわりしおって。」
「いえ、別に。私は記事になりそうな事を探していたんですけど、ついさっき宴会の席で貴方の事を聞きましてね。それで記事になりそうかどうかを見極めに来たんですけど、どうもなりそうにありませんね。老人が釣りをしているだけでは、ちょっと。」

 少女はやれやれといった感じで首を振り、立ち去ろうとする。だが、思い直したように立ち止まり、振り返った。

「そうだ、貴方は何か変わった事を知っていませんか。聞いただけでもいいんですけど。この際、手ぶらで帰るのもどうかと思いましてね。」

 かなり正直な性格なのだろう。ずけずけと物怖じせずに言ってくる。ひょっとして、この少女は天狗の仲間だろうか。実際に会った事は無いが、噂は聞いている。聞いた話では、相手次第で態度を変える、割と陰険な連中だとか、世渡り上手とかだそうだ。老人と見て強気の態度に出ている少女の雰囲気は、まさにそれである。

「毎日川縁で釣りをしているだけの爺が、何かを知っているとでも思っているのか?」
「そうですよね、やっぱり。それでは、今日はこのへんで失礼します。と言っても、多分、もう会うことは無いと思いますが。」

 少女はそう言って立ち去ろうとしたが、何かを思い出したように立ち止まる。そして、不思議そうな表情で聞いてきた。

「最後に、ちょっといいですか。そんなに釣りがつまらないのなら、止めればいいと思うのですが。何故、そうまでして釣りを続けているのですか?」
「わしが、つまらなさそうに釣りをしていた?」
「ええ。先ほど少し貴方を観察させてもらいましたが、その時の表情が何かつまらなさそうな表情でしたから。だから、釣りに飽きたのだと思ったのですが。」
「いや、わしは釣りを楽しんでいる。逆に聞くが、お主は何もかもどうでもいいと感じた事は無いか?」
「いえ、ありませんが。たまに心の弱い者は挫折したときそう感じるらしいですが、私は特にありません。いくら挫折したとしても、止まっていては何も解決しませんからね。そんな事に打ちひしがれる暇があるのなら、私は走る事を選びます。」
「なら、今のお主には分かるまい。」
「はあ」
「それでも、お主にもその内分かるときが来る。何故、わしがつまらなさそうにしていたのかがな。ただ、それだけさ。」

 少女は納得のいかない表情をしていたが、無言で立ち去って行った。



「今晩は。どう、釣れている?」
「大物が釣れた。貴方と言う、大物がな。」

 振り返ると、八雲 紫が立っていた。よく知る気配だと思ったが、やはり紫だった。彼女の事だ、月夜の晩でも傘を閉じる事はするまい。

「相変らずね、妖忌は。」
「その様子だと、貴方も変わっていないな。」

 軽い挨拶を終え、紫が私の傍に腰を下ろす。しばらく沈黙を保ち、二人して月を見上げていた。

「驚いたわよ。急に妖忌が消えるんですもの。消えたと思ったら、こんな所で暢気に釣りをしているし。」
「さも気にかけたという風に言うのは、止めておけ。貴方が本気になったら、わしを探す事くらい造作も無い事だろう。」
「あら、失礼ね。話を聞いた時は、寝るまでは気にしていたのよ。寝たら、すっかり忘れていたけど。」

 紫は軽く笑いながら、視線を川の水面に移した。水面に、月が写し出されている。

「ねえ、たまには白玉楼に顔を出してみたらどう。幽々子が寂しがっていたわよ。」
「それは無いな。むしろ五月蝿いのが居なくなって、思う存分羽を伸ばしているのではないのか。まあ、妖夢には災難な事だろうが。」

 紫が笑っている所を見ると、どうやら当たりらしい。お嬢にあれこれ言われて目を回している妖夢の姿を容易に想像する事が出来た。妖夢には悪いと思うが、もう白玉楼に戻るつもりは無い。

「それでも、死ねば恐らく妖忌は白玉楼に行くでしょうね。その時、幽々子がなんと言うのか見ものね。」
「死ねば、土に還るだけさ。その後の話など、知った事ではない。」
「やっぱり、妖忌は何も変わっていないわね。」
「そうか、変わらぬか。」
「ええ、悲しいほどに。老いたとしても、妖忌は妖忌よ。」

 一瞬、懐かしそうな表情をしたが、すぐにいつもの表情に戻りこちらを向いてきた。

「ねえ、妖忌。貴方はここで何を待っているの?」
「自分の、死を。」
「何故?」
「生きる事に、なんとなく飽きたからさ。」

 紫が大きな溜息をつき、視線を川の方へと移す。水面の月が川の流れに揺れ、虚ろなものとなっていた。

「人は、死ぬ為に生きる。人生は最後に死ぬ事を意味し、いかに死を迎えられるかに意義を見出す。満足に生き、満ち足りて死を迎える者。不予の事故で、心半ばで死を迎えてしまう者。無数の終焉の中から自らが望むものを選び取るのが、生きる者の戦い。それは人に限らず、妖怪もまた同じ事。ああ、一応言っておくけど、私は今の話を実感できるほど老いてはいないわよ。」

 何となく、今の話を理解できた。ある日を境に、生きる事に飽きた。お嬢の事を孫に託し、隠居した。毎日釣りをしながら死を待っていたが、不思議と昔のように死に嫌悪感を抱かなかった。むしろ、親しみすら湧いた。

「でもね、妖忌。散々待たせて、必要になったから来こい。そんな話が通るほど、世の中甘くないわよ。」
「そうか、わしはまだ死ねんか。」
「ええ。妖忌はかなり酷く待たせたから。例え死が優しく微笑んだとしても、しばらくは焦らされると思った方がいいわよ。」

 記憶を風化させ、逝った者達と挨拶をし、自分の生き方を振り返り続ける。自分の死ぬ瞬間を待ちながら釣りをし、ただ惰性で生きている。それでもなお、まだ死ねぬのか。

「わしは、もう十二分に生きた。最早、この世に未練は無いのだがな。」
「それでも、まだ妖忌は死ねない。都合よく、死は訪れてくれない。だから、人はいつも心のどこかで死を恐れている。もっとも、妖忌の場合は逆ね。強く生きすぎて、まだ死が近寄れないでいる。そんな感じね。」
「だが、わしは老いた。死を迎え入れるようになったからな。しかし、更に老いて気概や心の持ち方を失い、醜く生きるようにはなりたくない。だからと言って、自らの命を絶つ事は愚の骨頂だがな。わしの最後の望みは、男として静かに死を迎える事だ。」

 紫が、困ったような表情をした。確かに彼女に言ったところで何の意味のないし、余計なものを背負わせる事になるかもしれない。

「すまん、貴方に言ったところで、詮無き事だな。忘れてくれ。」

 月が、静かに光を放っている。そして、その光が太陽の光に霞みだし、鳥が鳴く。それが、朝だった。
 人の世の繰り返しのように、私に朝は必ずやって来た。今のところは、だ。
お久しぶりです。
死んだ爺さんの命日でしたので、ふとこんな話を思いつきました。
爺さんは、死ぬ前に何を思っていたのだろうか。どんな感じで死を迎えたのだろうか。
どこかで、「人は死ぬ為に生きている」という言葉をきき、それを自分なりに考えて使ってみました。
まあ、あれです。個人的に妖忌を殺したくなかったものですから、妖忌にはもうしばらく生きてもらう事にしました。
まあ、死という概念を私的に考察したものですから、不快に思われた方には謝ります。
それと、死を受け入れるという事ですが、自害は論外とさせていただきました。ご容赦を。
死を迎える妖忌と、まだこれからの少女達(一部例外かも)との対比が上手く書けていればと思います。彼女達には、おそらく死を迎えるだけの境地というものを理解できないと思いましたので。
最後に、妖忌には男として生きてもらいました。こんな男は嫌だとか思われた方にも謝ります。
それでは、また。

*最後の方を加筆、修正をしました。一晩寝て、夢の中で妖忌に怒られたので、もう少し上手く話を終えれるようにしました(多分)。それ以前に読まれた方には、お詫びを申し上げます。
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コメント



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7.80床間たろひ削除
家の祖母が亡くなった時、母親が祖母に向かって「良く頑張ったね」
と言いながら祖母の顔を拭いていた。
俺も死んだ時はそう言って貰いたいと思った。
俺は明日にでも死ぬかもしれない。その可能性は0じゃない。
だけど、今の俺は死んだ時に「良く頑張ったね」って言って貰えるだろうか……
うん、明日からでも色々頑張ってみよう。
良いお話です。ありがとうございました。
23.90ABYSS削除
人は死ぬ為に生きる。生きている、っていうことは死ぬことが運命付けられている、ってこと。私もどこかで聞いた覚えがあります。
まだ、それを理解し、納得するには私の生きた年月は少なすぎますが、それでも死を迎えるのなら、穏やかに迎えられたい。
生きてて良かった、もう死んでもいい、そう思って息を引き取れる、そんな充実した人生を歩めたらいいなぁ、と思います。
色々考えさせてくれる、お話でした。
29.無評価おやつ削除
私も納得して逝きたいです……
まだ過去より未来を多く持つ(はずの)年ですけど、そう思わされる作品でした。

それにしても……いい修正だと思います。
37.70名前が無い程度の能力削除
なんとも深い話ですね

邂逅と離別は表裏一体
生による今生との邂逅は、死という名の今生との離別を運命付ける
故に、死は絶対だが、万人に同じ形で訪れるわけではない
人の数だけ、死に様はある
果たして、妖忌に訪れる死の形とは・・・・・・
38.60沙門削除
 つい先月、バイクでこけて冥界に逝きそこねた者です。地面に叩き付けられた瞬間、自分はここで死ぬのかな。でも好きなバイクに乗っていて死ねるならいいや。なんて思って気分が良かったのは過去の思い出。
 読んでいてブルーハーツの「俺は俺の死を死にたい」を思い出しました。時間は立ち止まりはしないけど、妖忌には死に急がず、山のように生を送ってもらいたいです。
57.20名前が無い程度の能力削除
正直な感想を言うと、微妙。
半分死に、半分生きている半人半霊。さらに冥界にある白玉楼に住んでいること、亡霊である幽々子に仕えていること。
それらを考えると、生きることに飽きた、という理由には納得いかない。
自分勝手な理由でありながら、白玉楼を説明無しに出て行ったというのも、身勝手すぎる、妖忌らしくないと思った。
58.無評価ニケ削除
>名前が無い程度の能力様
まずは、不快に思われたことについてお詫びを申し上げます。
ここで、今更ながらに補足説明させていただきます。
まずは、妖忌の設定から。公式に、何の設定は無いですので、かなり私的イメージが入っています。
>半分死に、半分生きている半人半霊。さらに冥界にある白玉楼に住んでいること、亡霊である幽々子に仕えていること。
これらの事は、妖忌自らが望んで仕える事にしたと、私自身は思っております。
生きる事に飽きた、というのは彼なりの老いて死を迎える準備ができたとという言い方です。もう望む事はない。もう満足だ。だから、もう死んでも良い。もう生きる必要はない。
私も老境の域に達していませんので、本当に逝しまう方々がそう考えているかどうかは分かりません。ですが、私が一番印象に残っていた、死んだ爺さんの、どこか満足そうな顔から推測しました。
男の死に方について。私は、妖忌が何も伝えずに白玉楼を去ることに意味があると考えました。
老いてもうじき死を迎える。そう考えた彼は、静かに消える事を選んだ。誰かに言えば、後腐れが残る。言った相手(幽々子嬢や妖夢)は、死に向かう自分を心配し、死んだ後も嘆き悲しむかもしれない。時間が経っても、消えないものもある。
しかし、黙って消えればそれまでだ。誰も、消えた奴を気にする事はない。時間と言う流れが、妖忌という存在を押し流し、そして消し去る。
そういう感じで、一人静かに死ぬ事を選んだ、という事です。誰かの心に重荷を残すよりも、後腐れなく綺麗サッパリこの世から消えたい。そういう男じゃないかと、私は勝手ながら想像しました。
そんな感じで死を迎えようと思い、黙って出て行ったと思います。身勝手な話になりますが、そこは妖忌が男であるが故だと思っていただければ、幸いです。
ハードボイルド小説的に言えば、男を縛れるものは、自分自身のみ。そこには理屈ではなく、何か理屈を超えたものがある。身勝手であるが、男が男である為の何か得体の知れない何かにいつも縛られている。それが男だと私は思っています。

私の勝手な男の像を押付ける格好になりまして、誠にお詫びを申し上げます。
60.無評価名前が無い程度の能力削除
返信ありがとうございます。
なるほど、と思いはしましたが、自分自身も、住む場所も、仕える人も死に近い(というか死そのものとも言える)。
そんな環境でそこまで生きる、死ぬということについてあれこれ考えるかなぁ、という考えが私にはあります。
そもそもここは幻想郷、全てを受け入れるなら死すらも些細なことだと思いますし。
先の感想で少々足りないと思われたので追記させていただきます。問題有りでしたら削除してください。
私個人の感想ですので、あまりお気になさらぬよう。
61.無評価ニケ削除
読んで頂いた皆様に、お詫びを申し上げます。
私の説明不足や自己観念などにより、要らぬ誤解や推測を招いた事を、深くお詫びします。
公式の設定では、妖忌は突如行方をくらまし、その後生死不明+音信不通、となっていると思います。ですので、妖忌は完全にどこかへと消えた。
また、妖夢でもどこに居るのか知らない、という記述がありましたので、恐らく妖夢も一応は探したと思いますので、白玉楼近辺には居ないと私は取りました。冥界には居ないし、戻る気も無いのでしょうか。ですので、私は妖忌は自らが望んで幽々子嬢に仕え、そして自ら望んで去ったと考えました。白玉楼との関係も、何時までも女々しく未練がましく持たせるよりは、男らしく綺麗サッパリと絶ったのではないかと考えました。消えるなら、後腐れなく消える。それが、妖忌という男だと私は思っています。
そして妖忌を忠臣と捉えるべきか、一人の男と捉えるべきかかなり迷いましたが、死ぬまで一緒に居る事が忠義にあたるかもしれませんが、自分の身体的理由、自分の精神的理由、年齢的な理由などで勇退をし、後を若い者に任せるのも忠義だと思いました。心の中では忠義を誓っているが、引くべき所では引く。または、逝った者を心に抱えさせるという重荷を与えるならば、静かに消える。それもまた忠義ではないでしょうか。人の分だけ死の形があるのなら、人の分だけ忠義の形もある。そう、私は考えました。
既に生きているかどうか定かではないキャラクターを扱った私自身が悪いと思いますが、要らぬ詮索や誤解を与えた事に、深く陳謝を申し上げます。
また、最後に、死んだ後も冥界で楽しく生きれるような幻想郷では、死は通過点にしか過ぎないのでしょう。しかし、私は死を軽々しく扱う事をあえて選びませんでした。むしろ、死を軽々しく扱うべきではないと考えました。
マクロな視点で見れば、死は唯の通過点に過ぎない。しかし、ミクロな視点、死迎える本人や、いつか死ななければならないこの世に生を受けたものにとって、いつか直面しなければならない問題として、決して死は軽い物ではないと思います。一人称で書いている身としては、死については他人のこと、作り話のこと、大きく見れば大した事が無いこと、と取る訳にはいかないのです。死は切実な物、それでいて生きている物にとっての最終点。いくら死後の世界が待っているとは言え、やはり見過ごすべきではないものとして取り扱いました。
幻想郷だから、二次作品だから、空想の世界だから。だからと言って、死と言う物を軽々しくするべきではない。私は、そう考えております。
重ね重ね申し上げますが、私の説明不足と幻想郷には似つかわない作品を投稿してしまった事に、深くお詫びを申し上げます。