「もう秋か…」
博麗神社の縁側にて景色を眺めながら魔理沙はそうつぶやいた、すでに木の葉たちは本来の緑の色を失い赤や黄、茶色など色とりどりの色彩に紅葉している。
そう、いつの間にか季節は夏を通り過ぎて秋を迎えていた。
秋、その言葉からは様々なものが連想されるであろう。あれやこれやそれや様々である。
○○の秋、その中に入る言葉は沢山ある。
というかむしろ多すぎる。
連想するだけでも、沢山ありすぎて一体魔理沙自身何の秋を目指して励めばいいのか、なかなか検討がつかない。
「ちなみに、霊夢にとって秋とは何の秋なんだ?」
そんな事を思い、魔理沙は横でまったりお茶を飲んでる霊夢に訪ねた。
霊夢は両手でお茶を飲みながらも訝しげに目だけをこちらに向ける。
「随分唐突な質問ね。そうね…お茶の秋かしら?
秋は緑茶がなかなか美味しい季節なの、今飲んでるこれもそうよ。だから私はお茶の秋」
お前は季節関係なく年中お茶飲んでるだろ。
思わずそう突っ込みたくなったのだが、その後の霊夢がうるさそうなので魔理沙はその言葉を飲み込む。
とにかく霊夢からすればお茶の秋らしい。霊夢らしいといえば霊夢らしい。
となると、他のやつらはそれぞれどのような秋を過ごしているのだろうと少し気になった。
考えるより行動に出ろ、そんな理念を持つ魔理沙はすぐさま立ち上がり、横に立てていた箒を手に取った。
「出かけてくる」
「ん?どこ行くの」
「ちょっと、色々な秋に触れてくるさ」
その①『幽々子&妖夢』
魔理沙の質問にお団子を両手に持ち美味しそうに食べていた幽々子は一旦その団子を皿に戻す。
「そうね、今の私のマイブームは冥界美術家達の絵画鑑賞なの、素敵な絵が沢山あって冥立美術館にもよく行くわ。そう、だから私は」
「食欲の秋か?」
「あなたは人の話を聞いてるのかしら、芸術の秋に決まってるじゃない」
そして、お団子を頬張る。
「………。それで、妖夢の方は?」
「やはり私は紅葉の秋かしら。映り行く景色の流れも眺めるのは楽しい。これも一つの芸術だと私は思ってるわ」
「あら、流石は庭師さん、自然をこよなく愛する人ね~」
「ですから、私は庭師ではありませんって……とにかく私は紅葉の秋ね」
その②『パチュリー』
「そんなこと聞かなくても分かりきってるでしょ?」
パチュリーは本を手にしながら、呆れたように言う。
「まあな、読書の秋だろ?」
「そうよ。まあ私の場合は年中本しか読まないから、季節なんて関係ないのだけどね」
パチュリーの場合は確かに聞かなくても答えは自ずと分かっていた。あくまでおまけみたいなもの。
紅魔館はパチュリーの書斎から入るほうが何かと楽なのだ。
「それで、今現在のお気に入りの本は?」
「難しい質問ね。私からすればどれも素敵な本ばかりだわ、例えばこのコーナーは――」
「あ~…じゃあ、私は用があるから行くな」
パチュリーは本の解説が始めると終わることを知らない。魔理沙は無理やり話を切り紅魔館の奥へと逃げていった。
その③『咲夜&レミリア』
「洗濯の秋ね…」
咲夜は溜息を吐く。
「憂鬱そうだな」
「これからのことを考えるとね、ただでさえ人数多い屋敷なのに洗濯の回数が増えると思うと憂鬱にもなるわ」
「なんで洗濯の回数が増えるんだ?」
「それはね…って、今思ってみるとあなた何勝手に中に入ってるのよ」
「気にするなって、色々な秋を探しているんだ」
「また、よく分からないことをして。お願いだから私の手間を増やすようなことだけはしないでね」
「まかせとけ。それで今から洗濯か?」
「…そうよ」
「それで、レミリアの秋は何なんだ?」
「秋になると、人間達は沢山食事を取るわ。
そうすると沢山栄養分を吸収するからその分血も美味しくなるの。
だから、何の秋っていうのかしら…血祭りの秋?」
「食欲の秋な」
レミリアの秋を聞いた魔理沙は、用事も済んだので紅魔館を出ることにした。
食欲盛んな彼女に血でも吸われたらかなわない。するとさっき会ったばかりの咲夜とまた遭遇する。
「また服を抱えて、もう服が乾いたのか?」
「違うわよ。また洗濯」
ブスッと不満そうに咲夜は答える。
「洗濯ってさっきも……ああ」
そう言った所で魔理沙はピンと来た。確かレミリアは結構大雑把な食事の仕方でしょっちゅう血をこぼすらしい。
洗濯が増える理由はそれか。
「まあ、頑張れよ」
魔理沙は咲夜の肩をポンと叩き、紅魔館をあとにした。
その④『その他の人々の証言』
それから訪れた場所では、様々な個性的な秋が展開した。中には
ア○ス「秋?秋はそうね、東洋人形の輝きが増すわ」
チ○ノ「サンマの氷付け」
輝○「ウサギの蒲焼が食べたい」 ウドン○「ひぃっ!」
といった、訳の分からないことを言うやつまでいたけど。
「あなた、今皆の秋を聞いてるんですって?」
箒で飛び、博麗神社に戻っている魔理沙の横で紫が急に顔を出す。
「出たな、神出鬼没め。別にお前には聞いてないぜ」
「聞かれないから、教えに来たのよ」
ニコリと紫を微笑み返す。
「じゃあ、お前にとって秋とは何なんだ?」
「私は鑑賞の秋かしらね。色々見ているわ」
「鑑賞の秋か」
「そうよ、私は幻想郷を眺めているのが大好きなの。
大好きだからこそ、色々な秋を知ってるわ。
だから、これだけは知っていてね、誰もが皆あなたが聞いた娯楽としての秋だけとは思わないで」
それだけ言って紫はすうっとどこかへ消えてしまった。
「結局誰一人同じ秋は言わなかったぜ」
「それだけ秋にはやることがあるってことよ」
「そういうことだな」
霊夢が出してくれた熱い緑茶をすすり、これまた霊夢が出してくれた串団子を口へと入れる。
ふいに、神社の鳥居の先に小さなリスがいるのが目に入った。
地面に落ちている木の実を口いっぱいに入れせっせと集めている。
『誰もが皆、娯楽としての秋だとは思わないでね』
先ほどの紫の言葉がよみがえる。そうか…。
「野生の動物達にとっては秋は冬に備える準備のための期間、つまり生きるための秋なんだな。
なあ、霊夢。どんな秋を過ごそうかなんて悩める私たちって贅沢なのかな」
「…どうしたのいきなり?えらく感傷的ね」
「まあ、たまには…な」
串に刺さった残りの団子を物思いにふけ眺める。そして魔理沙は一気にそれを口に放り込んだ。
博麗神社の縁側にて景色を眺めながら魔理沙はそうつぶやいた、すでに木の葉たちは本来の緑の色を失い赤や黄、茶色など色とりどりの色彩に紅葉している。
そう、いつの間にか季節は夏を通り過ぎて秋を迎えていた。
秋、その言葉からは様々なものが連想されるであろう。あれやこれやそれや様々である。
○○の秋、その中に入る言葉は沢山ある。
というかむしろ多すぎる。
連想するだけでも、沢山ありすぎて一体魔理沙自身何の秋を目指して励めばいいのか、なかなか検討がつかない。
「ちなみに、霊夢にとって秋とは何の秋なんだ?」
そんな事を思い、魔理沙は横でまったりお茶を飲んでる霊夢に訪ねた。
霊夢は両手でお茶を飲みながらも訝しげに目だけをこちらに向ける。
「随分唐突な質問ね。そうね…お茶の秋かしら?
秋は緑茶がなかなか美味しい季節なの、今飲んでるこれもそうよ。だから私はお茶の秋」
お前は季節関係なく年中お茶飲んでるだろ。
思わずそう突っ込みたくなったのだが、その後の霊夢がうるさそうなので魔理沙はその言葉を飲み込む。
とにかく霊夢からすればお茶の秋らしい。霊夢らしいといえば霊夢らしい。
となると、他のやつらはそれぞれどのような秋を過ごしているのだろうと少し気になった。
考えるより行動に出ろ、そんな理念を持つ魔理沙はすぐさま立ち上がり、横に立てていた箒を手に取った。
「出かけてくる」
「ん?どこ行くの」
「ちょっと、色々な秋に触れてくるさ」
その①『幽々子&妖夢』
魔理沙の質問にお団子を両手に持ち美味しそうに食べていた幽々子は一旦その団子を皿に戻す。
「そうね、今の私のマイブームは冥界美術家達の絵画鑑賞なの、素敵な絵が沢山あって冥立美術館にもよく行くわ。そう、だから私は」
「食欲の秋か?」
「あなたは人の話を聞いてるのかしら、芸術の秋に決まってるじゃない」
そして、お団子を頬張る。
「………。それで、妖夢の方は?」
「やはり私は紅葉の秋かしら。映り行く景色の流れも眺めるのは楽しい。これも一つの芸術だと私は思ってるわ」
「あら、流石は庭師さん、自然をこよなく愛する人ね~」
「ですから、私は庭師ではありませんって……とにかく私は紅葉の秋ね」
その②『パチュリー』
「そんなこと聞かなくても分かりきってるでしょ?」
パチュリーは本を手にしながら、呆れたように言う。
「まあな、読書の秋だろ?」
「そうよ。まあ私の場合は年中本しか読まないから、季節なんて関係ないのだけどね」
パチュリーの場合は確かに聞かなくても答えは自ずと分かっていた。あくまでおまけみたいなもの。
紅魔館はパチュリーの書斎から入るほうが何かと楽なのだ。
「それで、今現在のお気に入りの本は?」
「難しい質問ね。私からすればどれも素敵な本ばかりだわ、例えばこのコーナーは――」
「あ~…じゃあ、私は用があるから行くな」
パチュリーは本の解説が始めると終わることを知らない。魔理沙は無理やり話を切り紅魔館の奥へと逃げていった。
その③『咲夜&レミリア』
「洗濯の秋ね…」
咲夜は溜息を吐く。
「憂鬱そうだな」
「これからのことを考えるとね、ただでさえ人数多い屋敷なのに洗濯の回数が増えると思うと憂鬱にもなるわ」
「なんで洗濯の回数が増えるんだ?」
「それはね…って、今思ってみるとあなた何勝手に中に入ってるのよ」
「気にするなって、色々な秋を探しているんだ」
「また、よく分からないことをして。お願いだから私の手間を増やすようなことだけはしないでね」
「まかせとけ。それで今から洗濯か?」
「…そうよ」
「それで、レミリアの秋は何なんだ?」
「秋になると、人間達は沢山食事を取るわ。
そうすると沢山栄養分を吸収するからその分血も美味しくなるの。
だから、何の秋っていうのかしら…血祭りの秋?」
「食欲の秋な」
レミリアの秋を聞いた魔理沙は、用事も済んだので紅魔館を出ることにした。
食欲盛んな彼女に血でも吸われたらかなわない。するとさっき会ったばかりの咲夜とまた遭遇する。
「また服を抱えて、もう服が乾いたのか?」
「違うわよ。また洗濯」
ブスッと不満そうに咲夜は答える。
「洗濯ってさっきも……ああ」
そう言った所で魔理沙はピンと来た。確かレミリアは結構大雑把な食事の仕方でしょっちゅう血をこぼすらしい。
洗濯が増える理由はそれか。
「まあ、頑張れよ」
魔理沙は咲夜の肩をポンと叩き、紅魔館をあとにした。
その④『その他の人々の証言』
それから訪れた場所では、様々な個性的な秋が展開した。中には
ア○ス「秋?秋はそうね、東洋人形の輝きが増すわ」
チ○ノ「サンマの氷付け」
輝○「ウサギの蒲焼が食べたい」 ウドン○「ひぃっ!」
といった、訳の分からないことを言うやつまでいたけど。
「あなた、今皆の秋を聞いてるんですって?」
箒で飛び、博麗神社に戻っている魔理沙の横で紫が急に顔を出す。
「出たな、神出鬼没め。別にお前には聞いてないぜ」
「聞かれないから、教えに来たのよ」
ニコリと紫を微笑み返す。
「じゃあ、お前にとって秋とは何なんだ?」
「私は鑑賞の秋かしらね。色々見ているわ」
「鑑賞の秋か」
「そうよ、私は幻想郷を眺めているのが大好きなの。
大好きだからこそ、色々な秋を知ってるわ。
だから、これだけは知っていてね、誰もが皆あなたが聞いた娯楽としての秋だけとは思わないで」
それだけ言って紫はすうっとどこかへ消えてしまった。
「結局誰一人同じ秋は言わなかったぜ」
「それだけ秋にはやることがあるってことよ」
「そういうことだな」
霊夢が出してくれた熱い緑茶をすすり、これまた霊夢が出してくれた串団子を口へと入れる。
ふいに、神社の鳥居の先に小さなリスがいるのが目に入った。
地面に落ちている木の実を口いっぱいに入れせっせと集めている。
『誰もが皆、娯楽としての秋だとは思わないでね』
先ほどの紫の言葉がよみがえる。そうか…。
「野生の動物達にとっては秋は冬に備える準備のための期間、つまり生きるための秋なんだな。
なあ、霊夢。どんな秋を過ごそうかなんて悩める私たちって贅沢なのかな」
「…どうしたのいきなり?えらく感傷的ね」
「まあ、たまには…な」
串に刺さった残りの団子を物思いにふけ眺める。そして魔理沙は一気にそれを口に放り込んだ。
ちょっと逝ってきます;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
ほとんどの面子のコメントが、秋と関係ないのにちと笑いました
さて、他の人外たちなら何とこたえるのやら・・・
騒霊+夜雀:芸術の秋(ただし、音楽限定)
蛍:別れの秋(蛍の産卵期は夏だし・・・)
闇:食欲の秋(誰かさんと同じ理屈)
とか答えるのかな?