Coolier - 新生・東方創想話

特別な待遇

2005/09/01 00:27:22
最終更新
サイズ
7.07KB
ページ数
1
閲覧数
825
評価数
1/28
POINT
1120
Rate
7.90
注)勝手な解釈が多分に含まれて居ます。そういったものが嫌いな方は読まないほうが幸せです。


























 ―――何で魔理沙はしょっちゅう神社に顔を出すの?

何故しょっちゅう神社に顔を出すのかって?
そうだな、言われてみれば確かに私はしょっちゅう顔を出してるな。
もっとも神社、と言うよりも霊夢の下へは色々な奴らが集まるな。
けどあいつらは『霊夢』という個人の下へと集まってきてると思うぞ、私は。
霊夢は人からも妖怪からも好かれてるからな。
無論、私も多分に漏れず霊夢のことが好きだぞ。

 ―――あら、そうだったの?魔理沙って同性愛者だったんだ。気を付けないと。

何?私が同性愛者だって!?
違う、違うぜ!私は恋愛対象としてじゃなくて、そう!親友として霊夢が好きだって言ったんだ。

 ―――冗談よ。そんなに焦ると本当にそうじゃないかって思われるわよ?

からかうなよ、私はそれなりに真面目に考えながら話してるんだぜ?
っと、話を戻すぞ。
正直に言えば私は霊夢が好きだ。けど同時に霊夢に嫉妬してしまってもいるんだ。
霊夢は天才で私は普通。
霊夢は私のように努力をせずとも結果を出せる。
努力すればするほどその差が絶望的なことがわかってしまう。
その理不尽が嫌になる。羨ましくなる。泣きたくなる。いや、憎んでさえいるのかもしれない。
私は普通の魔法使いだ。魔法を使う程度のことは出来てもアリスのように魔法を扱う程度のことは出来ない。ましてやパチュリーみたいに火+水+木+金+土+日+月を操る程度なんてもってのほかだ。
けど、霊夢はそれにさらに輪をかけて私と差をつけてるんだ。
霊夢の能力の『主に空を飛ぶ程度の能力』。
それを私達も空を飛べるにも関わらず持ってるだろ?
だけど少し考えて見ればなんのことはないんだ。
空を飛ぶという事は恐らく人が持つもっとも単純でわかりやすい幻想だ。
幻想であると言う事が基本のこの幻想郷において最も基本的だろ。
基本の力ってのは分化されてない純粋な力だ。
それゆえにこの能力は霊夢の強さも表してるんじゃないか?
外と幻想郷の狭間にある博麗神社の巫女の能力としてこれほど相応しい能力はないだろうよ。
それに空って漢字は『ソラ』とだけではなく『カラ』とも読めるだろ。
『カラ』とは無い事。
そう、霊夢には無い。
人間と妖怪の区別が、物の価値が……無論、霊夢に触れられるものもな。
やはり読み方を変えても博麗の巫女に相応しい能力じゃないか。
中立でなくてならない博麗の巫女を表すのにここまで適当な能力が他にあるか?
無いだろ?

 ―――論点がずれてるわよ。それじゃあ嫉妬の理由の話じゃない。

まぁ、そうせかすなって。私なりに考えを纏めながら話してるんだから。
そうだな、ああ。私は博麗霊夢って言葉の言霊に惹かれてるのかもな。

 ―――流石に名前にまで言霊は宿らないんじゃない?

まぁ、まぁ。こーゆーことは多角的に大きく視野を持つ事が重要だぜ。
それにこうやって考えてれば理由が分かるかもしれないだろ?

 ―――それにもし博麗霊夢って言葉に言霊があるとしてもなんで惹かれるのよ?

つまり『博』とはあまねく行き渡っていることや博覧会のことだ。
そして『麗』ってのは美しい事や、うららかであること。
『霊』は尊い事や強大な力。まぁ、それと言わずもがなの幽霊だ。
『夢』は流石に説明するまでもないと思うが寝るときにみるやつと幻覚、それといわゆる願望の夢だ。
なんとも尊い事にうららかな事があまねく行き渡ってるから夢が見れそうだと思って私も含め、皆がよって来るんじゃないか?

 ―――凄いこじつけね。

そうだな、さすがにこれは無理やりすぎたな。
まぁ……けど『博麗霊夢』っていう個人に対しては言霊は作用してるみたいだけどな。
いつでもあまねくうららかな考えが行き渡り、強大な力を持つ。それは正に幻想が見た夢。
な?言霊はあっただろ?

 ―――もし仮にそうだっとしてもあなたが神社に顔を出す理由になってないわね。

おお。そうだったな。そんな論議で話はじめた気がしなくもないぜ。
そうだな、私が神社に顔を出すのは霊夢が好きだからだぜ。
だから、ちょっとしたことで霊夢の顔が見たくなって会いに来るんだぜ。

 ―――最初にも同じような事言ってなかった?

物事ってのは得てして最初に結論があるんだ。
だからお前は頭の春度が高いって言われるんだぜ、霊夢。
相変わらず音速遅いぜ。

「魔理沙。あんたねぇ! 真面目に話してるみたいだから何度かムカっときたのも我慢して話を聞いて上げてたのに。面と向かってそんなこと言うなんて喧嘩売ってるのかしら?」

 その怒りはかなりのものであるのかワナワナと拳を震えさせてさえいる。

「お茶抜きにするわよ!」

 ビシィっと魔理沙を指差しながら宣告する。

「おっと、霊夢。小さい頃に人を指差しちゃいけないって習わなかったのか?」
「そうね、さっきそんなことを忘れて今、再教育されたわ」
「おお、凄い。凄いぜ、私。母親適正ばっちりだぜ」
「と、言うよりも保母さんね。現にフランの面倒をちゃんとみてるらしいじゃない」
「霊夢だってなんだかんだ言ってレミリアのことを邪険にしないじゃないか」
「あんたのこともね」
「む、それは私があいつと同レベルということか?それはないぜ」

 心外だ、と口には直接出してはいないが態度にはありありとそれが浮かんでいる。

「あら、ごめんなさいね。あなたがレミリアと同レベルなんてことないわね。あなたの精神年齢……明らかにレミリア以下だものね」
「なんだとー!!」
「相変わらず直情的ね」
「当たり前だぜ。私は恋の魔砲使いだぜ!ドキドキだけでなく私は全ての感情を大切にしてるんだぜ」
「明らかに恋に関係なさそうな感情も混ざってそうね」

 ボソッと呟きながら心底呆れた、といった様子で溜息を吐く。

「んー?なんだー?」
「なんでもないわよ、お茶飲む?」
「お、いいのか?」
「いいわよ。もう起こる気力も失せたわよ」

 もう、疲れたと言わんばかりの仕草で霊夢は魔理沙に返す。

「そうか、それはよかった。それがないと私が神社に来た価値がガクッと落ちるぜ」
「あんたさっき私に会いに神社に顔を出すとか言ってなかった?」
「勿論だ。私はそれを含めて霊夢が好きなんだぜ。なんだかんだいいながらもうお茶風味のお湯を出してくれる霊夢を含めて、お前の全部が好きなんだぜ」

 手を大きく広げながら大仰に魔理沙は言う。

「あら、そう。そんなに私が好きならお賽銭を入れてくれたりお土産をくれてもいいんじゃないの?」
「それとこれとは話が別だぜ。わかりきったことを聞くなよ」
「そうね。あなたは紅魔館でも本をくすねてるらしいしね」
「違うぜ。私はくすねてるんじゃない。面と向かってパチュリーとか子悪魔と弾幕で語りあって無期限で借りてるだけだぜ。そこんとこ間違ってもらっちゃ困るぜ」
「それは押し込み強盗っていうんじゃないの?」
「問題ないぜ。私はフランの面倒をみてるんだぜ。ギブアンドテイクは成立してるぜ」
「じゃあ、あなたがフランと遊ぶのはそのギブアンドテイクを成立させるためだからなの?」
「違うぜ。私はフランが好きだから遊ぶんだぜ」
「それってギブアンドテイクが成立してないんじゃないの?」
「それとこれとは話が別だぜ」

 霊夢がこの言葉って魔理沙のマイブームなのかしら?と思ってるところへ取り繕うかのように魔理沙が言葉を続ける。

「私的にはちゃんとギブアンドテイクが成立してるから問題ないぜ」
「厚顔無恥ここに極めけり、ね。しょっちゅう私の平穏でのんびりとした時間をなくしてくれるし……私も魔理沙にならってギブアンドテイクで平穏を壊されるたびに夢想封印を食らわしてあげようかしら?」
「そりゃないぜ」
「だったらお土産でも持ってくる事ね」
「それは無理な相談だぜ。私は厚顔無恥だからな」
「自分で認めないの」
「それに博麗の巫女がそんな小さなことを気にするなよ。無重力なんだから。どうせなんか持ってきても同じだろ?」
「もしかしたら待遇をよくしてあげるかもしれないわよ?」
「それに私はちゃんとお前にギブしてるぜ」
「何をよ?」
「私がお前を好きだって気持ちをな」
「そう。勝手になさい。私はお茶を淹れてくるわ」
「今度はちゃんとお茶風味のお湯じゃないちゃんとしたお茶を淹れてくれよ」
「考えておくわ」















 ―――言うと調子に乗るだろうから言わないけど……あなたのこと嫌いじゃないわ、魔理沙。だからあなたにだけ最早香りすらほとんどでない出涸らしのお茶を特別に振舞ってあげるわ。
初めまして。蒼羽です。
ここまで私の拙作に付き合っていただいた心の広い方に無限の感謝を申し上げます。
文花帖を未読な為をあり勝手な解釈の度合いが増してますがお許し下さい。

霊夢と魔理沙の関係について私なりに解釈してみました。
彼女達の関係についてはこの創想話において偉大な先人達が素晴らしい文章を著しています。
そんな中にこんな作品を放りこんだのは先人方に失礼ではないのかとビクビクしてます。

それでは先人に対して許して貰えるよう願いながらこれにて失礼させてもらいます。
蒼羽
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1040簡易評価
18.80無茄氏削除
霊夢と魔理沙の掛け合いがいい味だしてて好きです