冬虫夏草
自然にふれるという終わりのないよろこびは、けっして科学者だけのものではありません。大地と海と空、そして、そこに住む驚きに満ちた生命の輝きのもとに身をおくすべての人が手に入れられるものなのです。
外の世界の科学者の言葉だそうだ。外の人間もよく言ったものだと思う。自然に触れる事は本当に喜ばしい事である。幻想郷には海は無いけれども、大地と空の輝きはある。それも私の目の前に
太陽の畑は今日も美しい。この感動を言葉にしようとしてもなかなか出来ない。太陽の畑は外の人間の言葉に有るように、私のような植物の専門家だけに与えられたものでは無い。幻想郷にすべての者に与えられている。ならばこの美しさ、輝きは皆で共有すべきではないだろうか。
しかし、どうやって伝えようか
私のような怖い妖怪が
「太陽の畑に行ってくださいね 」などと言えば、人間でも妖怪であっても恐れて近づかないだろう。
何か考えなければ
これが異変の発端で幻想郷がとんでもない事になるのは知る由も無い
私、風見幽香はとりあえず図書館に行く事にした。妖怪の山の方にある紅魔館まで行くのは遠いが、自然の美しさを広めるためには労力を惜しまない。それは風見家家訓第3である。うん、風見家なんて有っ たのか?
そんな風に、ぐだぐたと考えていると案外直ぐに紅魔館についた。
「こんにちは、風見さん。本日はどのようなご用件で?」
「あら、起きてらっしゃったの」
「変わった妖気が出てるから飛び起きたんですよ」
「そう、図書館に行きたいのだけれどいいかしら?」
「 もちろんですよ」
蝙蝠があしらわれた大きな門が開けられた。美しい庭が目に入るがこれでは自然のすべてを伝えていない。やはり、太陽の畑を見てもらわなければならない。
「こっこぁにちは かっ風見様なっなっ大図書館になんのようでしょうか。ほっ本なら貸し出しますから、いっ命だけは!」
「なんで私があんたの命を会ってすぐ奪わないといけないのよ」
後ろから声がした
「最近、その子には図書館に来る不審者を実力行使で排除してもらっているの。不審な妖気だから行かせたら貴方だったから怖気づいたのよ。ごめんなさい」
「不審って人聞き悪いわね」
「こほん、戯れはこれぐらいにしてくださる。まだ魔道書が読み切れてないの。どうせ本を探しにきたのでしょ?なら本については小悪魔に聞いて。」
「 分かったわ。ありがとう。」
小悪魔という司書に植物図鑑やらなんやらを集めて貰い片っ端から読む事にした。
そうして一時間ほど過ぎたとき、私は太陽の畑に呼ぶ素晴らしい方法を見つけた。
冬虫夏草
虫の幼虫に寄生しその虫を操ったりするキノコ。寄生された虫がついたままの冬虫夏草は100万円以上する。
そうか、この冬虫夏草ならぬ冬人夏草や冬妖夏草を作り、これを幻想郷中に撒き散らして太陽の畑に来るように操ればいいのか。
花を操る私にとって、菌類なんざ朝飯前。早速、太陽の畑に戻り作ろう。
「なにか見つかりましたか?」
「もちろんよ。そうだ、薬草やキノコに詳しい人を知ってるかしら?」
「薬草なら、竹林の永琳さんです。キノコなら魔理沙さんに聞けばよろしいかと…」
「ふーん、ためになったわ。ありがとう パチュリーにもお礼を言っておいて貰えるかしら」
「はい。あと、本を片付け…て…く…」
本を片付ける時間など無い。キリッと睨みつけると小悪魔はすくみ上がり、パタパタと半泣きで逃げて行った。少し罪悪感があるので今度、蜂蜜でも贈ろうか…
迷いの竹林は太陽の畑までの帰り道に有るので今日はそっちに寄ることにした。
「冬虫夏草ね…たぶん有ると思うけれど漢方は私の専門で無いのよ 。たぶん、てゐの方が詳しいわよ」
「なら、てゐに会えるかしら?」
「部屋に案内するわ。でも、部屋にいなかったら、申し訳ないけどわからない 」
「分かったわ。冬虫夏草は高いと聞いたけどこれくらいで買えるかしら?」
ドンっと金貨の入った袋を三つ机に置いた。勢い余って一枚の金貨が床に落ちてしまった。
床に落ちるまでの一瞬にどこからともなく影が現れ金貨をかすめ取った。永琳はそれを見逃さない。
手刀でそれを叩き落す。
「あら、てゐ こんにちは 何しに来たのかしら? 」
「ぐぬぬ、金貨ぁぁ!! 」
「あら、てゐ いいとこに居るわね。金貨あげるから冬虫夏草について教えてくれない?」
「もっちろん!! 袋一個なら概要二個ならくわ…痛いっ!」
「てゐ、詐欺する相手を間違えると洒落にもならないわよ」
永琳に冬虫夏草の本物はいらないらしく無料で譲ってくれた。
てゐに詳しく話を聞いた所、胞子が脳を埋め尽くす事で操る事ができるそうだ。
帰りに頭にフケがついていると言われたので薬を貰ったが髪は大切にしているのだが。ちょっと残念だ シャンプーを変えよう
一週間後
冬虫夏草を量産できるようになった。後は、人間にも効くように効くようにして、妖怪にも効くようにするだけだ。これは毒を操る事ができる友人に助言を貰い直ぐに完成できた。
そして、今日
胞子拡散の日である
太陽の畑から白い胞子が幻想郷中に撒き散らされた
次の日には太陽の畑にはたくさんの人と妖怪が集まってきたのだ
「 作戦成功ね…これで幻想郷中に自然の美しさを広める事ができる」
この日から
風見幽香は鼻歌交じりに来た人や妖怪に自然の美しさを伝えていた
あの大妖怪 八雲紫や西行寺幽々子までも胞子の影響で太陽の畑に来ていた。みんな頭にキノコを生やして
「自然はいいわねー幽々子」
「そうねー紫」
妖精や人間、妖怪であふれかえりとんでもないことになっていた。
永琳は分かっていた。風見幽香本人が冬虫夏草の胞子にやられて冬虫夏草を増やしたのだと。つまり、風見幽香は操られていたのだ。
博麗霊夢は藤原妹紅のキノコを頭から引っこ抜き正気に戻した後、太陽の畑を焼き払った。
胞子も焼き払われて幻想郷の平和はまた守られた。
正気に戻った幽香が「私が植物に操られるなんて」と逆ギレして霊夢をフルボッコにしようとした話と、胞子にやられなかった天狗が胞子にやられてキノコが生えて妙にエロティックな表情の人の写真をたくさん撮った話はまたべつの話である
自然にふれるという終わりのないよろこびは、けっして科学者だけのものではありません。大地と海と空、そして、そこに住む驚きに満ちた生命の輝きのもとに身をおくすべての人が手に入れられるものなのです。
外の世界の科学者の言葉だそうだ。外の人間もよく言ったものだと思う。自然に触れる事は本当に喜ばしい事である。幻想郷には海は無いけれども、大地と空の輝きはある。それも私の目の前に
太陽の畑は今日も美しい。この感動を言葉にしようとしてもなかなか出来ない。太陽の畑は外の人間の言葉に有るように、私のような植物の専門家だけに与えられたものでは無い。幻想郷にすべての者に与えられている。ならばこの美しさ、輝きは皆で共有すべきではないだろうか。
しかし、どうやって伝えようか
私のような怖い妖怪が
「太陽の畑に行ってくださいね 」などと言えば、人間でも妖怪であっても恐れて近づかないだろう。
何か考えなければ
これが異変の発端で幻想郷がとんでもない事になるのは知る由も無い
私、風見幽香はとりあえず図書館に行く事にした。妖怪の山の方にある紅魔館まで行くのは遠いが、自然の美しさを広めるためには労力を惜しまない。それは風見家家訓第3である。うん、風見家なんて有っ たのか?
そんな風に、ぐだぐたと考えていると案外直ぐに紅魔館についた。
「こんにちは、風見さん。本日はどのようなご用件で?」
「あら、起きてらっしゃったの」
「変わった妖気が出てるから飛び起きたんですよ」
「そう、図書館に行きたいのだけれどいいかしら?」
「 もちろんですよ」
蝙蝠があしらわれた大きな門が開けられた。美しい庭が目に入るがこれでは自然のすべてを伝えていない。やはり、太陽の畑を見てもらわなければならない。
「こっこぁにちは かっ風見様なっなっ大図書館になんのようでしょうか。ほっ本なら貸し出しますから、いっ命だけは!」
「なんで私があんたの命を会ってすぐ奪わないといけないのよ」
後ろから声がした
「最近、その子には図書館に来る不審者を実力行使で排除してもらっているの。不審な妖気だから行かせたら貴方だったから怖気づいたのよ。ごめんなさい」
「不審って人聞き悪いわね」
「こほん、戯れはこれぐらいにしてくださる。まだ魔道書が読み切れてないの。どうせ本を探しにきたのでしょ?なら本については小悪魔に聞いて。」
「 分かったわ。ありがとう。」
小悪魔という司書に植物図鑑やらなんやらを集めて貰い片っ端から読む事にした。
そうして一時間ほど過ぎたとき、私は太陽の畑に呼ぶ素晴らしい方法を見つけた。
冬虫夏草
虫の幼虫に寄生しその虫を操ったりするキノコ。寄生された虫がついたままの冬虫夏草は100万円以上する。
そうか、この冬虫夏草ならぬ冬人夏草や冬妖夏草を作り、これを幻想郷中に撒き散らして太陽の畑に来るように操ればいいのか。
花を操る私にとって、菌類なんざ朝飯前。早速、太陽の畑に戻り作ろう。
「なにか見つかりましたか?」
「もちろんよ。そうだ、薬草やキノコに詳しい人を知ってるかしら?」
「薬草なら、竹林の永琳さんです。キノコなら魔理沙さんに聞けばよろしいかと…」
「ふーん、ためになったわ。ありがとう パチュリーにもお礼を言っておいて貰えるかしら」
「はい。あと、本を片付け…て…く…」
本を片付ける時間など無い。キリッと睨みつけると小悪魔はすくみ上がり、パタパタと半泣きで逃げて行った。少し罪悪感があるので今度、蜂蜜でも贈ろうか…
迷いの竹林は太陽の畑までの帰り道に有るので今日はそっちに寄ることにした。
「冬虫夏草ね…たぶん有ると思うけれど漢方は私の専門で無いのよ 。たぶん、てゐの方が詳しいわよ」
「なら、てゐに会えるかしら?」
「部屋に案内するわ。でも、部屋にいなかったら、申し訳ないけどわからない 」
「分かったわ。冬虫夏草は高いと聞いたけどこれくらいで買えるかしら?」
ドンっと金貨の入った袋を三つ机に置いた。勢い余って一枚の金貨が床に落ちてしまった。
床に落ちるまでの一瞬にどこからともなく影が現れ金貨をかすめ取った。永琳はそれを見逃さない。
手刀でそれを叩き落す。
「あら、てゐ こんにちは 何しに来たのかしら? 」
「ぐぬぬ、金貨ぁぁ!! 」
「あら、てゐ いいとこに居るわね。金貨あげるから冬虫夏草について教えてくれない?」
「もっちろん!! 袋一個なら概要二個ならくわ…痛いっ!」
「てゐ、詐欺する相手を間違えると洒落にもならないわよ」
永琳に冬虫夏草の本物はいらないらしく無料で譲ってくれた。
てゐに詳しく話を聞いた所、胞子が脳を埋め尽くす事で操る事ができるそうだ。
帰りに頭にフケがついていると言われたので薬を貰ったが髪は大切にしているのだが。ちょっと残念だ シャンプーを変えよう
一週間後
冬虫夏草を量産できるようになった。後は、人間にも効くように効くようにして、妖怪にも効くようにするだけだ。これは毒を操る事ができる友人に助言を貰い直ぐに完成できた。
そして、今日
胞子拡散の日である
太陽の畑から白い胞子が幻想郷中に撒き散らされた
次の日には太陽の畑にはたくさんの人と妖怪が集まってきたのだ
「 作戦成功ね…これで幻想郷中に自然の美しさを広める事ができる」
この日から
風見幽香は鼻歌交じりに来た人や妖怪に自然の美しさを伝えていた
あの大妖怪 八雲紫や西行寺幽々子までも胞子の影響で太陽の畑に来ていた。みんな頭にキノコを生やして
「自然はいいわねー幽々子」
「そうねー紫」
妖精や人間、妖怪であふれかえりとんでもないことになっていた。
永琳は分かっていた。風見幽香本人が冬虫夏草の胞子にやられて冬虫夏草を増やしたのだと。つまり、風見幽香は操られていたのだ。
博麗霊夢は藤原妹紅のキノコを頭から引っこ抜き正気に戻した後、太陽の畑を焼き払った。
胞子も焼き払われて幻想郷の平和はまた守られた。
正気に戻った幽香が「私が植物に操られるなんて」と逆ギレして霊夢をフルボッコにしようとした話と、胞子にやられなかった天狗が胞子にやられてキノコが生えて妙にエロティックな表情の人の写真をたくさん撮った話はまたべつの話である
幽香を操る冬虫夏草ってどういうレベルだろう……。