「井の中の蛙大海を知らず」
閉じた世界。五尺程度の小さな世界。傍から見ればなんと不幸に映るだろう。
広い世界を、広い海を知らない。たった五尺を世界と信じ、世界は素晴らしいと謳う。
「されど空の深さを知る」
東方の人々は己の世界に閉じこもる蛙を嘲笑う言葉にこう続けた。
そう、蛙は幸せだったのだ。外に大きな世界があることを知らなかったから。
世界の広さを知らずとも空の高さを知っていたから。
世界は自分だけで完結していた。そして世界は輝いていた。
だが、外の世界を知った時に蛙の世界は色褪せ、薄れ、掠れ、ぼやけた。
初めて蛙は己の不幸に気づく。そして外の世界を夢見て、恋焦がれて。
亀は蛙の世界を壊すと同時に輝く夢を残していった。
きっと私も蛙だったのだろう。自分の世界が全てだと思っていた。
私は幸せだった。
箒に跨った亀がやってくるまでは。
***
あれはどれほど前だっただろうか。
その亀は私の世界を荒らして回った。
自分の世界を荒らされて黙っておくわけには行かない。
やりすぎだ、と注意したら返ってきたのは
「なによ、生意気な」
彼女は輝いていた自由気ままに生きて。
そうか、外の世界はこんなにも輝いているのか。
そんな輝いた世界に彼女は生きているのか。
眩しいほどに明るく、暖かい。
そんな彼女と同じ世界に生きたいと願った。
私も、彼女みたいに輝きたいと思った。
願うなら綺麗なほどに七色に。
巫女と魔女が起こした嵐が過ぎても魔界は変わらない。
***
「温室魔法使いに比べたらマシじゃないか?」
花見がしたいという理由で方々を駆け回っていた。
何年経っても彼女は変わらない。
そして気づいた。
この広い世界の中に、彼女は彼女の世界を持っているのだと。
だから彼女は変わらない。
何処にいようとも彼女であれる。
いつまでも輝いていられる。
幾ら時を経ても霧雨魔理沙は変わらない。
***
「どうかしたか?早くしないと置いていくぜ」
相変わらず急ぎ足で彼女は生きる。
短い命をこれでもかと燃やす人間はその明かりで世界を照らす。
永き命をのうのうと生きる妖怪とは見える世界が違うのだろうか。
広い世界を知っても世界は輝かない。
変わるのは世界ではなく自分なのだ。
そう、今日も幻想郷は変わらない。
ただ、少し世界は輝いて見える気がする。
閉じた世界。五尺程度の小さな世界。傍から見ればなんと不幸に映るだろう。
広い世界を、広い海を知らない。たった五尺を世界と信じ、世界は素晴らしいと謳う。
「されど空の深さを知る」
東方の人々は己の世界に閉じこもる蛙を嘲笑う言葉にこう続けた。
そう、蛙は幸せだったのだ。外に大きな世界があることを知らなかったから。
世界の広さを知らずとも空の高さを知っていたから。
世界は自分だけで完結していた。そして世界は輝いていた。
だが、外の世界を知った時に蛙の世界は色褪せ、薄れ、掠れ、ぼやけた。
初めて蛙は己の不幸に気づく。そして外の世界を夢見て、恋焦がれて。
亀は蛙の世界を壊すと同時に輝く夢を残していった。
きっと私も蛙だったのだろう。自分の世界が全てだと思っていた。
私は幸せだった。
箒に跨った亀がやってくるまでは。
***
あれはどれほど前だっただろうか。
その亀は私の世界を荒らして回った。
自分の世界を荒らされて黙っておくわけには行かない。
やりすぎだ、と注意したら返ってきたのは
「なによ、生意気な」
彼女は輝いていた自由気ままに生きて。
そうか、外の世界はこんなにも輝いているのか。
そんな輝いた世界に彼女は生きているのか。
眩しいほどに明るく、暖かい。
そんな彼女と同じ世界に生きたいと願った。
私も、彼女みたいに輝きたいと思った。
願うなら綺麗なほどに七色に。
巫女と魔女が起こした嵐が過ぎても魔界は変わらない。
***
「温室魔法使いに比べたらマシじゃないか?」
花見がしたいという理由で方々を駆け回っていた。
何年経っても彼女は変わらない。
そして気づいた。
この広い世界の中に、彼女は彼女の世界を持っているのだと。
だから彼女は変わらない。
何処にいようとも彼女であれる。
いつまでも輝いていられる。
幾ら時を経ても霧雨魔理沙は変わらない。
***
「どうかしたか?早くしないと置いていくぜ」
相変わらず急ぎ足で彼女は生きる。
短い命をこれでもかと燃やす人間はその明かりで世界を照らす。
永き命をのうのうと生きる妖怪とは見える世界が違うのだろうか。
広い世界を知っても世界は輝かない。
変わるのは世界ではなく自分なのだ。
そう、今日も幻想郷は変わらない。
ただ、少し世界は輝いて見える気がする。
こういう詩的(?)なアプローチってあんまり見たことないので新鮮でした。
短いのが残念。
よくありそうな話から少しずらしているのがいいですね。