私はどれくらいここにいるだろうか。
一人、真っ暗で先の見えない闇の中を飽きるくらいに、否、飽きてもなお見つめ続けていた。
焦点の定まらない瞳に、空っぽの心。いつしかを考える事すらも放棄していた。
帰る場所も分からない。そもそも帰る場所なんて私には存在する(ある)のか。
同じ場所でただずっと、膝を抱えながら佇んでいた私の姿はまるで迷い子のようだっただろう。
とにかく寂しかった。遠い昔感じたような温もりをもう一度感じたいと願った事もあった。
でも叶うはずなんてない。叶わない夢を願っても心が虚しくなるだけ。だから私は何も思わない事にした。
温もりの意味を忘れかけて、どんな物かも分からなくなっているのに、本当に意味が分かっていた過去が
嘘のように思えてきて、それが切なくなって…………気が付いたら涙が一筋、頬を伝う事もあった。
願うならばもう一度幸せだったあの頃のような生活がしたい。たった一日だけでいい。
この孤独・虚無感・先の見えない絶望から解放されたいんだ。
手を伸ばしたって届かない。無い物ねだり。考えただけでまた悲しくなった。
――――今日はもう寝よう
鉛の空から降り注ぐ滝のような雨に時折落ちる青白い閃光。
激しく波打ち、まるで怒っているかのように荒れ狂う日本海の上を木造の小さな船がひっくり返り、原型を留めないレベルにまでバラバラになっていた。
他の人達より体の小さかった少女は、船からだいぶ離れたところまで流されていた。
死にたくないと小さな体に似合わない大声で叫びを求めても、波音や雨音、雷雨の音にかき消されて他の人には届かなかった。
少女の体力も限界に近付いていき、糸が切れたかのように叫ぶのをやめた後、少女の体は波に飲まれていった。
――――っ?!
夢に魘されて目が覚めた。それも一番怖い、思い出したくない、悪い夢。
忘れたくても忘れられない。恐怖の根源(トラウマ)から隠れてもすぐに見つかってしまう。
一生向き合って行かなくちゃいけないのね…………
こわい。いやだ。たすけてよ…………
――――「もう、苦しまなくて良いのよ? 」
死んだ事を受け入れられず、寂しさの余り通行人沈めては死なせる事に生き甲斐を感じるようになって
次第に誰からも見て貰えなくなった私を、彼女だけはちゃんと見てくれたっけ・・・
それまで誰も信じる事が出来なくて、世界中全ての物を怨んでいたかのように心が荒んでいた私にとって
神様のような存在だった。
彼女は、頑なに閉ざした私の心の扉の鍵の在り処を、無理矢理じゃなくて優しい光で導くかのように開けてくれた。
この時私は、初めて人を信じるという事をしたんだ。
でも…………彼女は私の所為で、遠い遠いところへ封印されてしまった。
私も、人間達の手によって今ここにいる。
希望や高い理想や夢を持つ事はやめたけど、彼女へ恩返しをしたいという思いは消えない。
時間がかかってもいいから、彼女を助けてあげたいんだ。
あの時荒れていた私を更生してくれたんだから、今度は私が解き放ってあげたい。
ま、出来るわけなんてないんだけどね…………
ここから出る事なんて出来る訳がないんだし。
――――――それからまたどれくらい時が経ったのか分からない。
私のいた場所の下がどうやら間欠泉だったらしく、ある時それが噴出して私達は外に出る事が出来たんだ。
およそ千年ぶりの風、青空、白い雲、そして何より太陽の光。少し、否、かなり眩しくて、完全に視力が回復するまでに時間がかかってしまった。
視力だけでなく、本当に今あの地底から出られたという事実を受け入れる事に対してもね…………
地上に出る事は一生無理だと諦めていたのに…………
――――私は決めた。
かつて私を助けてくれた、心から愛しい彼女(あの人)を助けに行くと。
その為には何かを失うことを恐れないで、強くならないとね…………
私の心を支配していた「恐怖」と「絶望」がどんどん小さくなっていって、その代わりに
大切な人に「ありがとう」と伝えたいという気持ちが大きくなっていくような、そんな気がした。
さっきまでずっと先の見えない恐怖に脅えていた自分自身に「さようなら」と別れを告げ、私は舵をとった。
一人、真っ暗で先の見えない闇の中を飽きるくらいに、否、飽きてもなお見つめ続けていた。
焦点の定まらない瞳に、空っぽの心。いつしかを考える事すらも放棄していた。
帰る場所も分からない。そもそも帰る場所なんて私には存在する(ある)のか。
同じ場所でただずっと、膝を抱えながら佇んでいた私の姿はまるで迷い子のようだっただろう。
とにかく寂しかった。遠い昔感じたような温もりをもう一度感じたいと願った事もあった。
でも叶うはずなんてない。叶わない夢を願っても心が虚しくなるだけ。だから私は何も思わない事にした。
温もりの意味を忘れかけて、どんな物かも分からなくなっているのに、本当に意味が分かっていた過去が
嘘のように思えてきて、それが切なくなって…………気が付いたら涙が一筋、頬を伝う事もあった。
願うならばもう一度幸せだったあの頃のような生活がしたい。たった一日だけでいい。
この孤独・虚無感・先の見えない絶望から解放されたいんだ。
手を伸ばしたって届かない。無い物ねだり。考えただけでまた悲しくなった。
――――今日はもう寝よう
鉛の空から降り注ぐ滝のような雨に時折落ちる青白い閃光。
激しく波打ち、まるで怒っているかのように荒れ狂う日本海の上を木造の小さな船がひっくり返り、原型を留めないレベルにまでバラバラになっていた。
他の人達より体の小さかった少女は、船からだいぶ離れたところまで流されていた。
死にたくないと小さな体に似合わない大声で叫びを求めても、波音や雨音、雷雨の音にかき消されて他の人には届かなかった。
少女の体力も限界に近付いていき、糸が切れたかのように叫ぶのをやめた後、少女の体は波に飲まれていった。
――――っ?!
夢に魘されて目が覚めた。それも一番怖い、思い出したくない、悪い夢。
忘れたくても忘れられない。恐怖の根源(トラウマ)から隠れてもすぐに見つかってしまう。
一生向き合って行かなくちゃいけないのね…………
こわい。いやだ。たすけてよ…………
――――「もう、苦しまなくて良いのよ? 」
死んだ事を受け入れられず、寂しさの余り通行人沈めては死なせる事に生き甲斐を感じるようになって
次第に誰からも見て貰えなくなった私を、彼女だけはちゃんと見てくれたっけ・・・
それまで誰も信じる事が出来なくて、世界中全ての物を怨んでいたかのように心が荒んでいた私にとって
神様のような存在だった。
彼女は、頑なに閉ざした私の心の扉の鍵の在り処を、無理矢理じゃなくて優しい光で導くかのように開けてくれた。
この時私は、初めて人を信じるという事をしたんだ。
でも…………彼女は私の所為で、遠い遠いところへ封印されてしまった。
私も、人間達の手によって今ここにいる。
希望や高い理想や夢を持つ事はやめたけど、彼女へ恩返しをしたいという思いは消えない。
時間がかかってもいいから、彼女を助けてあげたいんだ。
あの時荒れていた私を更生してくれたんだから、今度は私が解き放ってあげたい。
ま、出来るわけなんてないんだけどね…………
ここから出る事なんて出来る訳がないんだし。
――――――それからまたどれくらい時が経ったのか分からない。
私のいた場所の下がどうやら間欠泉だったらしく、ある時それが噴出して私達は外に出る事が出来たんだ。
およそ千年ぶりの風、青空、白い雲、そして何より太陽の光。少し、否、かなり眩しくて、完全に視力が回復するまでに時間がかかってしまった。
視力だけでなく、本当に今あの地底から出られたという事実を受け入れる事に対してもね…………
地上に出る事は一生無理だと諦めていたのに…………
――――私は決めた。
かつて私を助けてくれた、心から愛しい彼女(あの人)を助けに行くと。
その為には何かを失うことを恐れないで、強くならないとね…………
私の心を支配していた「恐怖」と「絶望」がどんどん小さくなっていって、その代わりに
大切な人に「ありがとう」と伝えたいという気持ちが大きくなっていくような、そんな気がした。
さっきまでずっと先の見えない恐怖に脅えていた自分自身に「さようなら」と別れを告げ、私は舵をとった。
でも嫌いではないです。
点数はこれからの作品に期待を寄せて。
頑張ってください。
星蓮船ストーリーの主人公は村紗だな
>星蓮船ストーリーの主人公は村紗
を見てなるほどと思いました。確かにそうだなぁ。