Coolier - 新生・東方創想話

古明地こ(やることな)いし

2013/07/01 21:08:48
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ひょうひょうと風を切る。
空気を千切って空を行くのは鳥や天狗だけの特権ではない。
妖怪なんてなんとなく、大体飛べてしまうのだ。既に“飛ぶ”と“跳ぶ”の区別さえついていないとさえ言ってもいい。ジャンプしたと思ったら実はフライだった、といった感じである。
無意識の間に行われるべき使い分けすら放棄しているそれは、私としては気にするべきなのだろうけど。私さえそこまで区別をしていないので良しとしよう。そもそも常に無意識である私に限ってそんなことの区別などどうでもいいのだ。

というわけで今私は幻想郷の、地底ではない、どこかの上を飛んでいる。

私は無意識である。目的はまだない。
どこで生まれるかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめじめした所でと、この辺りでおふざけも大概にしておこう。この先を考えるのも面倒くさい。

目的が無いというのも半分は嘘であり目的は暇つぶしである。私はやることが無いのだ。
今、この暇な時間を活用して、暇つぶしに関して考察してみる。そんなことをしてしまうほどに、私はやることが無い。
まず暇つぶしに目的は求められない。目的がある暇つぶしとは即ち暇つぶしではない。暇つぶし目的に○○をするといった形になると、行動目的はその○○に移ってしまうからだ。

きっと目下暇つぶし用行為を検索中である今の状態こそが暇つぶしなのだ。

しかし、正確に言うとそれは、暇つぶし用行為を探しているという状態である。
それを果たして、暇つぶしと言ってもよいのだろうか
今まで暇つぶしだと考えていたこの行為は実は暇つぶし用行為を探しているという探究なのではないのか?
となると先ほどの私の『目的がある暇つぶしとは即ち暇つぶしではない』という台詞に矛盾が生じてしまう。
しかも、その探究こそが暇つぶしの正体であるとすると暇つぶしとはいささかお堅い行為になってしまわないか。まるで哲学である。


私の体が雲を突き破る。若干冷たい。


暇つぶしとは、一体何なのであろうか
時間の浪費と言わずに、暇つぶしというだけに足る理由が、暇つぶしににはあるはずなのだ。そうでなければ、今の私が暇つぶしなどという選んだ理由がわからない。
もし何もなければ、暇つぶしという言葉自体の存在意義について考えないといけない事態になりかねない。


雀が二羽、私の横を通り過ぎてゆく。


暇潰し暇つぶしひまつぶしヒマツブシHIMATUBUSHI
暇というとても自己中心的かつ利己的かつ曖昧模糊な時間を擦って握って叩いて潰す。どう潰すかはよくわからないが、そんなことは一体全体可能だろうか?


生々しい青葉を生やした鋭い枝が私を掠める。帽子のフチを少しやられた。お気に入りなのに。掠めた枝もこうなっては道連れだ。


先程も言ったが、こんな些細な事でも考え込んでしまえる私こそ暇なのだ。ということは暇は状態異常である。それを潰すということは、暇つぶしはその要件を満たすためにどんな行為を私に要求してくるのか。
暇じゃなくなる、つまりは忙しくなればいいのだろうか。それは無理な話である。忙しければ暇つぶしをしたりはしない。


ガツン!!

柔らかそうな青葉とは対照的なごつごつとした幹が見えた後、ついに私は地面と挨拶を交わした。


結構な高さからの転落だったためそれなりの衝撃であったがさすがに体に響くほどではない。腐っても妖怪である。体はきっと丈夫だろう。
飛ぶことも忘れるほど考え込んでいた様子であったのは今しがた気が付いた。

「あいたたた」

常套句を述べておいた。頭を起こして正面を向いて、私は声を出した。

「お姉さん、暇つぶしってなんなのかな?」


―――――――

私古明地こいしこと古明地こいしは飛びながら考え事をしていたら飛ぶことを忘れ、さながらうち投げられた小石のような放物運動のちょうど後半部分と同様の軌跡を描き、落下。落下地点のすぐそばに見ず知らずのお姉さんがいたので素直に疑問をぶつけてみた。
状況説明終わり。ちなみに青い着物に赤い髪の、なんとも奇妙なお姉さんである。

私の視界に突然登場したお姉さんは(さっきまで寝転んでいたのであろう)上体を起こし、奇異な物を見るときのような視線を私に投げかけていた。まさか私が見えてるのかな?
でも見えているなら突然空からこんなにかわいい女の子が降ってきたのだからもっと喜んでもいいと思う。

もちろん冗談である。仮にもさとり妖怪のなれの果てなので、私に第三の目を見つけた時点で妖怪は大体嫌な顔をすることはもう経験から嫌と言うほど知っていた。喜ぶどおりは無い。

「お姉さん、暇つぶしってなんなのかな?」

少し待ってもお姉さんは私の問いに応えなかったのでもう一度聞いた。もう一度聞いても答えなかったらきっと私のことに気付いてないのだろう。哀しいけどこの視線もきっと私の後ろとかに何か変なものが落ちていてそれを見ているものなのだろう。
しかし、少し間を置いてお姉さんは口を開いた。

「ええと、あんたどちらさん?」
「挨拶がまだだったね。私は古明地こいし」
「ああ、古明地って確か地底の…ってあんたみたいなのが何でここに!あ、そういえばこの頃は地下の連中の出禁も緩くなったんだっけ?」
「そうそうそんな感じ~★」

実際私はそんなことに関係なく出歩いてたのだが。まあ勝手に納得してくれるのならありがたい。
お姉さんはよっという掛け声の後、体をくの字に曲げて跳ね起きた。足を上にして海老ぞりのような姿勢をするものだからちらりと下着が見えてしまった。色は清潔感のある白だった。私のお姉ちゃんと似た趣味をしている。

「そういえばお姉さん、私が見えるの?」
「当たり前だよ。ってそうか、あんたは見えづらいんだったね。まあ何かは知らないが概ねよく見えるよ、あんた」
「へえ、私よく見えてるんだ。まさかパンツとかも丸見え?」
「ああ、あたいには見えるよ。かわいらしい桃色だ」

ハハハとお姉さんは笑う。つられて私も笑みを作る。ちなみに残念ながら今日の私のパンツは桃色ではない。
立ってみるとよく分かったが、お姉さんは私よりも頭一つか二つ程背が高かった。

「そういえばこっちの自己紹介がまだだったね。あたいは小野塚小町。しがない死神船頭さ。しっかし、初対面のやつにぶつける質問にしては哲学的過ぎやしないか?」
「何のこと?」
「あんたが忘れてどうすんのさ、暇つぶしの話だよ暇つぶしの」

ぽかりと頭を叩かれた。彼女との距離は一馬身半は離れているのにどうやって叩いたのかは今の私には理解できなかった。ところで馬身ってどれくらいだろう?考えてみると実物の馬は見たことあったかな私。

「まあ立ち話もなんだ、そこらに座らないかい?」

お姉さんは私に座るよう誘った。私がその場に座り込もうとすると、彼女は苦笑いしながら指をぱちんと、これ見よがしに打った。すると私はいつの間にか大きな川の土手に座っていた。

「??」
「悪い悪い、座る場所説明するのも面倒くさくなったんでね。心配しなくてもさっきの場所からはそうそう離れちゃいないよ。」
「私、無意識に動いたの?」
「いんや、私が意識的に動かした」

お姉さんはニッと笑って私の傍に座った。さっき頭を叩いたのといい、どれもこれも彼女の能力なのだろうか?一方的なのは納得がいかない。

「それで、暇つぶしが何たるか教えて欲しいんだったっけ?」
「うん。確かそんな感じかなー」
「また曖昧な…。まああんたはお目が高いよ。なんせこの暇つぶしの天才である小町サマにその質問をぶつけたんだからな」
「わーい。褒められた♪」
「そんなに褒めちゃいないんだが。まあいいや。早速本題だが暇つぶしってのはな、昼寝なんだよ」
「な、なんだってー」
「あー、その顔は驚いてない顔だな。まあいいだろう。暇つぶし初心者のあんたにはわからないのも普通だし」
「それではご教授を願いします、小町先生」

体を彼女の方に向けて両手を組んでお願いのポーズ。お燐がお姉ちゃんに何かを頼むときは大体膝をついてこんなポーズをとっていた気がする。

「えー、ごほん。暇つぶしというのは暇な時にしか行えない。これは当然だな?」
「はーい」
「では暇つぶしの目的はなんだ?」
「えーっと、暇をつぶすことだと思いまーす」
「正解。じゃあ暇つぶしの為に何かやることがおかしいのもわかるかな?」
「暇つぶしの為にやってるそれに目的が移るからだと思いまーす」
「おお、分かってるじゃないか。古明地さん。となればなんで昼寝が暇つぶしになるか分かるよな?」
「うーん…」
「ちょっと難しかったか」

私には今の流れでどうやって昼寝に結びつくのかが解らなかった。
お姉さんは頬をポリポリと掻きながら言葉を付け加えた。

「昼寝って言うものから考えていくと解るんだが、あんた昼寝ってどんなものだと思う?」
「私が夜に寝てたら、昼寝は不要なものかな。お姉さん夜は寝る派?」
「勿論。毎日8時間は寝てるさ。ということは私にとっても昼寝は不要。」
「……………、あー、分かった!」
「な、だから昼寝だ。昼寝なら目的にならないんだ」

つまり、彼女が言いたいのは暇つぶしには目的にならない、不要なことを置けば暇つぶしとして矛盾せずに成立する、ということである。
それは盲点だった。
暇つぶし自体を探すだとか、そこまで小難しく考える必要など無かったのだ。

「これでお前さんの疑問は解決したかい?」
「うん。万事解決。」
「それは良かった。しっかしお前さんみたいなのが暇、ねえ」

お姉さんは値踏みするような目で頭の先から体をなぞってじろじろと私を眺めまわした。
普段見られないのでこうじろじろ見られると恥ずかしさを感じてしまう。

「だってやることないんだもん」

しかも今し方、先ほどまでギリギリ継続されていた私の暇つぶしに対する探究も、彼女によって終わりを迎えてしまった。彼女と出会った時点で半ば忘れてしまっていたのだが。

「今はやりのニートってやつかい?まあ天狗や死神以外の妖怪があくせく働くのもなんかおかしいが。」
「お姉ちゃんは仕事ばーっかりだよ。お姉さんもお仕事してるの?」
「さっき船頭だって言ったろう?」
「お仕事してるのに暇つぶしの達人とはこれはいかに。やっぱりおねえさんはサボ」
「こらこら、あまり変なとこに気付かない方が身のためだぞ。私がサボってることは誰にも言わない。お姉さんとの約束だぞ」
「はーい」

くっくっく、と絵に描いた悪人のような笑い声をお姉さんは漏らした。
私は変わらない笑顔のままである。

「にしても、あんたみたいなのが暇なら死神になってもらいたいくらいだよ」
「死神?代行証とか大きい包丁みたいな刀がもらえるの?」
「なんだそれは?まあ確かに私みたいなちんけな船頭じゃなくて、刀振り回すようなもっとアブナイ仕事をする奴らだけどな」
「あぶない?」
「そう、アブナイ仕事だ。具体的に言うと、寿命をちょろまかしてる奴らの処理、かな」
「そんな悪いヤツがいるの?」
「そうそう。仙人だとか天人だとか。あんたのその存在の薄さなら、こう、背後からズブリっていけそうだろ?」
「うん。多分いけるよ。」

イメージしてみる。
誰もが私には気が付かない。他人にとって、私はあるのもないのも同じなのだ。私がいてもいなくても、分からないのなら彼ら彼女らに私は何の関係もない。
そっと近づいて、肩を叩いて、振り向かなければ喉元をざっくり持っていけばいい。心の臓を取り上げるのもいいが、仙人だとか天人だとかがまともな位置にそれを持っているとは限らないので確実にしてしまうなら頭をもいでしまうべきであろう。
しかし、私のイメージとは裏腹に、彼女は真逆のことを言い始めた。

「あー、でも実際、私らよかずっと強ーい死神どもを何百年と撃退してるような輩ばっかりだから、お前さんでもそううまくはいかんだろうな」
「もう、どっちなのさ。向いてるのか向いてないのか」
「向いてるんだろうけど、まあやっぱりやめときな」
「お姉さんから言い出したのにー」
「だって今のお前さん、うわさで聞いてる時なんかよりずっと見えやすい。今のままだったら後ろをとる前に奴らの不思議な力で返り討ちにあうさ」
「むー」
「どうした、そんなに不満かい?」
「今だって上手にやれるもん」

そう言い終わる前に、私の手は笑顔の小野塚の首に伸びていた。
自分ですらいつ手が伸びたのかわからないような動作だ。きっと彼女にも解るまいと高をくくっていた。次に気がつけばきっとこの手は彼女の首を掴んでいるに違いない。そしてすぐに首をもぎ取ってやるのだ。きっと彼女の青い着物も彼女の髪のような色に染まるだろう。
しかし、私の手が彼女の首を掴むことは無かった。空ぶることも無く、私の手は彼女の首に近づき続けているはずなのに、一向に距離が縮まる気配がない。

「ほら、今のお前さんからならあたいだって身を守れる。天人なら猶更だ。気配もなんもかんもまだ頑張れば目で追える」
「ちっ」
「おいおい舌打ちする事なんてないだろ?もしあたいが防いでなけりゃ、その構え方的に、あんた多分ほんとにあたいの首ぽっきりしてただろうし」
「これもあなたの能力?」
「おうさ。あたいは距離を操る。今はあんたとあたいの相対距離ってやつを一定にしてやったのさ」
「ふうん、不思議な能力」

私は諦めて手を降ろした。
届かないのに手を伸ばす行為の虚しさなんてそうそう味わいたくはない。

「折角、死神の死体とか手に入ると思ったのにな」
「やっぱ物騒だね、お前さん」
「あ~あ、あなたの死体を手に入れるついでにあなたの代わりに死神にでもなってやろうと思ったのに」
「おいおい勘弁しておくれよ」

流石の彼女も今は苦笑いである。流石に死神も自分が死ぬのは嫌なのだろう。私だって嫌だ。
まあ今は自分を一思いにやってしまおうとした相手から逃げることなく今ものんきに苦笑いをしているだけの小町に感謝すべきか。

「それにしても、暇なのは変わらないなー。」
「暇つぶしのやり方なら教えてやっただろ?」
「私、いつも寝てるみたいなものだし。」

私は胸元にふわふわと浮かぶ横線の一本入った球体を指差した。
アイデンティティとして浮いているだけで、既にその機能は失われているに等しい覚り妖怪第三の目である。
これが閉じている限り、私の精神は無意識から覚醒することは無い。常に夢の中にいるようなものなのだ。

「ああ、あんたは寝れないクチか」
「別に必要もないしね。元々地底暮らしだから朝夕なんてどうでもよかったし。」
「暇つぶしに昼寝もできないとは、難儀なこったね」
「何か心躍ることが落ちてないかなー。なんにもやることなんて無いし。」
「そうそう簡単に落ちてたら苦労はしないよ。異変でも起こすなら別だが…」
「うーん」

異変を起こすほどまで刺激に飢えているわけでは無い。しかもきっと私が何かするとお姉ちゃんにしわ寄せがきてますます家に帰れなくなってしまう。最近折角時々帰るようにしてるのに。でも何か面白いことに巻き込まれたいのは確かだ。うーん。
もとはといえば今日こうやって出てきているのもやることがあまりにも無かったからだ。
大抵の妖怪や人間は、やることが無いと他の妖怪や人間の所にいって話をしたりだとか、お茶をしたりだとか、色々なことができる。
しかし私は別だ。
そもそも私がいるか解らないのだからできるはずは無いのだ。
さっき異変が云々と言ったが、きっと私が何かやっても殆ど気づかれることなく私が飽きて終わってしまう。
私の存在に気付くのは大体小さな人間の子供くらい。そして彼ら彼女らも少し年を食うと私が見えなくなってしまう。
ゆく当てがないからふらふらしているのではない。ゆく当てがあっても変わらないから、ふらふらしているのだ。どこに行って誰に出会っても何も変わらない。誰も私に出会えない。
今日、こうして会話をすること自体がごくごく稀なのだ。
ってどうしてお姉さんと会話が成立してるんだろ私?

考え事をしている私をよそに、お姉さんは何かを思いついたように手を叩き、また軽薄な笑みを浮かべた。

「そういえばあんた、天人や仙人を襲うことにさっき乗り気だったよな?」
「うん。」
「それもやっぱりあたいのみたいに死体コレクションにでもするつもりだったのかい?」
「うーん、それもあるけど」

刺激が欲しかった、ってのが一番かなー。

割と本音だった。
きっと私は山で巫女や魔女に負けて以来、何もなくただ彷徨うことに満足できなくなっていたのだと思う。
誰にも相手をされないから、何かを頼まれることも無い。今からしてみればお姉さんに死神稼業に足を突っ込まないかと誘われたこと自体が、私には嬉しかったのかもしれない。
頼まれごと自体が、他との関わり合いの機会が無い私には新鮮だったのだ。それでさらに誰にも咎めらずに何かを殺せるというということは心躍る。心躍る?

「ならいい話があるんだが、聞くだけ聞いてみるかい?きっと刺激は得られるだろうよ」
「へー、なになに?」
「実は今、人間の里の方で妖怪同士の決闘が流行ってるんだ」
「決闘?」
「弾幕ばっか使う奴じゃなくて、もっと泥臭いやつだけどね。なんでも人気の取り合いをしてるらしい」
「へぇー」
「今ならお前さん私にも見えるんだ。気配が薄くても決闘になるだろうさ。決闘に勝って人気者になれば暇なんて消し飛ぶこと請け合いだね」
「なんだか楽しそう!」

俄然、興味が沸いてきた。興味が沸く、ということ自体久しぶりかもしれない。
決闘、決闘。このことを提案してきたお姉さんにも思惑はあるかもしれないけど、今は乗せられてみるのもやぶさかではない。

「人里ならどこでもやっていいの?」
「いやいや、そんなことは無い無い。あんたみたいなのがどこでも暴れまわったら巻き添え食らい過ぎて私の仕事が増えちまう。やっていいのはなんか決闘しそうな雰囲気醸してる奴がいる所だけ。まあ手始めは道場だな、うん」
「道場?」
「新しく人里にできたやつだ。一回やってしまえばあとは相手が勝手にやってくるさ。勝っても負けても、な。」
「それは楽しみ♪じゃあ早速行ってくる」
「お前さん、行き先の方角分かるのかい?」
「知らなーい」
「おいおい。まあけしかけるのは私なんだし、道場くらいまでなら送ってやるよ。ちょっと飛びな」
「はーい」

おねえさんに促されて私は跳んだ。跳んで、彼女の高さに合わせて浮く。
つい先ほどまで私が落ちていた場所が目に映った。

「確か…あっちの方だな」

小町は目の上にひさしのように手をあて、方角の目算を付けていた。

「じゃあ、今から飛ばすぞ。ちょいとずれるかもしれんが堪忍な」
「はーい★」
「ささやかじゃあるが、お前さんの健闘を祈ることにしておくよ」
「お姉さんもサボりばれないようにね」
「うるさい!それは内緒だぞ。それじゃあ―――」

突然、文字通り、景色が流れた。
一瞬で私は、あまり見覚えのない建物の傍にいた。さっきまで話していたお姉さんはもちろん影も形も無い。私とこの地点との距離と縮めただけなのだろう。彼女はまたあの場所で昼寝を始めるのかもしれない。
結局ろくにお礼も言えなかった。まあ、お姉さんのサボりをお姉ちゃんを通して閻魔さまに報告しないことがお礼ということでいいだろう。


――――!!!

おおきな声がして、思わずびくりと身を縮こまらせる。
あれは歓声だ。向こうには人だかりが見える。誰かが戦っているのだろう、きっと。目指すはあそこだ。
胸がドキドキしてきた。これから私も、あの歓声の中心に行くのだから当然だ。
足も震える。これが武者震いというものか。
でも、いくら足が震えても、止まるわけにはいかない。私の戦いは、まだまだこれからなのだ!
偶然知り合った死神にけしかけられて私古明地こいしが訪ねた道場で待っていた第一の敵は、なんと、コノハズクのような痛い髪型に見てるこっちが目を覆いたくなるような痛いマントを羽織った元遺体(でも痛いのは現在形)だった!!えーん私、あんな恰好の人に勝ってもフォローしてあげれる自信なんてないよ~。
次回、マントの輝きは人気の証!十七条ビームの恐怖!お楽しみに(嘘)

――――
今回もかなり滅茶苦茶な内容でした。すいません。誤字脱字表現揺れ等ありましたらご指摘よろしくお願いいたします。
読了いただきありがとうございます。
みすたーせぶん
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コメント



0.380簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
こいしと小町の掛け合いがかなり好み。
心綺楼エンドは予想通りでちょっと物足りないかなー。
5.90名前が無い程度の能力削除
小町がいいキャラしてる
6.90奇声を発する程度の能力削除
キャラが良い感じ
10.603削除
何というか、ぶおんぶおんと振り回されている感覚。
今まで味わったことがないのでこれがどういうものなのかなんとも言えません。
この二人の組み合わせは初めて見るかも。