○月×日
早苗に進められて、今日から日記を書くことにした。
初めてのことで何を書いてよいかわからない。だけど始めは少し日が空いても大丈夫だって早苗が言っていた気がするから、がんばって続けてみようと思う。
○月×日
今日は早苗の神社に遊びに行った。
掃除をしていた早苗に後ろからとびかかってみたけど、あっさり避けられた。これで四十二連敗。いつものことながら悔しい。
次こそ勝って、早苗の驚いた顔を見たいな…
その後、縁側で一緒にお団子を食べた。とてもおいしかった。けどお腹はいっぱいにはならなかった。明日にでも誰かを驚かせないといけないなぁ。
○月×日
やぶの中で待ち伏せしていたら早苗が歩いてきた。
これはちゃんすだと思って驚かせようとしたけど、ダメだった。私の唐傘がやぶからはみ出ていたらしい。まだまだ修業が足りないなぁ。
結局今日は誰も驚かせられなかったからお腹はすいてるけど、早苗に会えたからよしとしよう。
○月×日
神社に行く途中でぬえちゃんとばったり会ったので、今日はぬえちゃんと遊んだ。
ぬえちゃんはいつも自分の戦果を嬉しそうに話してくれて、聞いてる私も楽しい。きっと本当に人を驚かすのが上手いんだろうな。
それで早苗を驚かせたいって話したら、なんととっておきを知ってるって!なんか明日になったら教えてくれるらしい。楽しみだなぁ。
○月×日
遂にやった!早苗を驚かせた!
ぬえちゃんの言う通りに、傘で顔を隠して近づいて、ばっと『うらめしやーっ!』ってやってみたら、早苗ったらギャーって悲鳴まであげて驚いてくれた。すごくうれしい!
決め手はぬえちゃんがしてくれたお化粧。『お化粧じゃなくてめいくだ』ってぬえちゃんは言ってたけど。鏡を見たけど、自分の顔ながらおどろおどろしい顔だった。
今日は早苗のおかげでお腹いっぱい。それにしても驚いた早苗の顔を思いだすと、なんだか不思議な気持ちになって、今でも胸がどきどきする。こんな気持ち、生まれて初めて。また見たいな…。
○月×日
今日も早苗を驚かせに行った。けどさすがに同じ驚かせかたは二度も通じなかった。残念だけど、当たり前だよね。早苗の勝ち誇った顔が悔しかったけど、そんな表情もまた早苗らしかった。
その後は早苗と一緒に境内の掃き掃除をしながら、いろんなことを話した。もっと話してたかったけど、早苗は人里にお使いに行かなきゃいけないみたいで、そのまま別れた。とても残念。
この前、初めて早苗のあの顔をみてから、早苗のことが頭から離れない。私は唐かさの妖怪。驚かせるなら誰でもいいはずなのに、どうしてなんだろう。
やめよう。とにかく私はまたあの顔を見たい。そのためなら何回だってがんばる。
明日こそ早苗を驚かせるんだ!
○月×日
また駄目だった。何回やっても早苗は驚いてくれない。『表はそば屋ですよ』なんて変なことばっかり。早苗のいぢわる。
その後は悔しくなってそのまま帰って来てしまった。帰り際に何かひどいことを言ってしまったような気もする。ごめんね早苗。
明日は朝一で神社に行こう。そして早苗に謝りたいな。許してくれるかな…?でも早苗だから、きっと大丈夫だよね。
○月×日
早苗ははくれい神社にいた。隣に霊夢とまりさがいた。まりさが話しているのに早苗が相づちを打って、霊夢はその横でお茶をすすってた。 まりさの話に早苗はよく笑って、時おりすごく驚いた顔をしてた。
悔しい。私が見たくてたまらない早苗の驚いた顔を、まりさはあんなに簡単に見るんだ。なんだか胸が苦しい。すごく嫌な気分になってきた。
今日はもう寝よう。
○月×日
私、どうしちゃったんだろう?
ぬえちゃんのあどばいすのおかげで、出会ったみんなが驚いてくれるようになったのに、全然お腹がいっぱいにならない。
どうしよう…ひもじいよ…。
○月×日
このままじゃ飢え死にだから、たくさんご飯を食べることにした。
手始めに山に生えてる野草をとってきた。もちろん食べられる草だけ。こうみえて私はいんてりなのだ。
そのまま食べるのもなんだし、天ぷらにしてみた。すごくおいしい。だけどなにか物足りない気がするんだよね。
○月×日
私の食卓事情を救う答えをやっと見つけた。やはり献立が少なかったんだ。
私、なむさんのとこの食卓しか知らないからなぁ。ああいうのを精進料理って言うんだっけ?ぬえちゃんも大変そう。
そんなわけで、今日はハンバーグをつくってみた。さっそく調達してきたお肉をひいて、丸めて、適度に焼いて、もやしを添えたら完成!我ながら会心の出来。
山イモの煮付けと、この前なむさんからもらったお漬物と、合わせて三品目!すっかりお腹がいっぱいになった。驚いたことに、驚かせるよりも食べたほうがお腹にたまる。これは私のあいでんててー?いでおろぎぃ?の大改革な気がする。
これからはきっちり食事をとらなきゃいけないなぁ。
○月×日
ここ最近早苗に会えない日が続いている。なんでも妖怪退治のために幻想郷中を飛び回っているらしい。
それが早苗のお勤めなんだろうから、仕方ないのかもしれない。けどそれでなくともこの頃ちっとも早苗は私に構ってくれない。寂しい。
今日は焼き魚にしてみた。おいしかったとは思うけど、お肉とくらべてなんだか食べた気がしなかった。こういうのを好き嫌いっていうのかな?私はお肉を食べるのが一等好き。驚かせるのと同じくらいお腹にたまるから。
○月×日
相変わらず早苗は妖怪退治で忙しいようで、全然会えない。ぬえちゃんの話では、どうやら霊夢や慧音と協力して人里を襲う妖怪を退治しようとしているらしい。ずいぶんと凶悪な妖怪らしくて、若者が何人もさらわれているとか。早く退治されてしまえばいいのに。
寂しさをごまかそうと、最近私はよく食べる。驚かせるより食べるほうが多いくらいだ。お腹がいっぱいになると少しだけど寂しさが和らぐ気がするから。
今日なんかステーキを四枚も焼いて食べてしまった。こういうのをやけ食いって言うのかな…。
○月×日
最近ごはんがおいしくない。今日も肉じゃがの味付けはちゃんとできてたはずなのに、ちっとも味がしなかった。
早苗に会いたい。もうこんな味気ないごはんとか、もうどうでもいいから、早苗に…。
○月×日
(白紙。何度も書き直した跡がある)
○月×日
やっとわかった。他の誰を驚かせても、たくさんのご飯を食べても満たされない。きっと私は早苗じゃなくちゃ駄目なんだ。私は早苗をどうしようもないほどに求めている。
人里の騒動も一段落して、ようやく早苗が帰ってくるらしい。この日記を書き終えたら、さっそく会いに行こうと思う。
早苗のことを考えると感じるこの気持ちが何なのかはまだ分からないけど、私はその気持ちのおもむくままに行動してみようと思う。
早苗の髪も、瞳も、唇も。きれいなうなじも細い二の腕も長い両足も。全部欲しい。
いったい早苗はどんな味がするのだろう?
とても楽しみ。
早苗に進められて、今日から日記を書くことにした。
初めてのことで何を書いてよいかわからない。だけど始めは少し日が空いても大丈夫だって早苗が言っていた気がするから、がんばって続けてみようと思う。
○月×日
今日は早苗の神社に遊びに行った。
掃除をしていた早苗に後ろからとびかかってみたけど、あっさり避けられた。これで四十二連敗。いつものことながら悔しい。
次こそ勝って、早苗の驚いた顔を見たいな…
その後、縁側で一緒にお団子を食べた。とてもおいしかった。けどお腹はいっぱいにはならなかった。明日にでも誰かを驚かせないといけないなぁ。
○月×日
やぶの中で待ち伏せしていたら早苗が歩いてきた。
これはちゃんすだと思って驚かせようとしたけど、ダメだった。私の唐傘がやぶからはみ出ていたらしい。まだまだ修業が足りないなぁ。
結局今日は誰も驚かせられなかったからお腹はすいてるけど、早苗に会えたからよしとしよう。
○月×日
神社に行く途中でぬえちゃんとばったり会ったので、今日はぬえちゃんと遊んだ。
ぬえちゃんはいつも自分の戦果を嬉しそうに話してくれて、聞いてる私も楽しい。きっと本当に人を驚かすのが上手いんだろうな。
それで早苗を驚かせたいって話したら、なんととっておきを知ってるって!なんか明日になったら教えてくれるらしい。楽しみだなぁ。
○月×日
遂にやった!早苗を驚かせた!
ぬえちゃんの言う通りに、傘で顔を隠して近づいて、ばっと『うらめしやーっ!』ってやってみたら、早苗ったらギャーって悲鳴まであげて驚いてくれた。すごくうれしい!
決め手はぬえちゃんがしてくれたお化粧。『お化粧じゃなくてめいくだ』ってぬえちゃんは言ってたけど。鏡を見たけど、自分の顔ながらおどろおどろしい顔だった。
今日は早苗のおかげでお腹いっぱい。それにしても驚いた早苗の顔を思いだすと、なんだか不思議な気持ちになって、今でも胸がどきどきする。こんな気持ち、生まれて初めて。また見たいな…。
○月×日
今日も早苗を驚かせに行った。けどさすがに同じ驚かせかたは二度も通じなかった。残念だけど、当たり前だよね。早苗の勝ち誇った顔が悔しかったけど、そんな表情もまた早苗らしかった。
その後は早苗と一緒に境内の掃き掃除をしながら、いろんなことを話した。もっと話してたかったけど、早苗は人里にお使いに行かなきゃいけないみたいで、そのまま別れた。とても残念。
この前、初めて早苗のあの顔をみてから、早苗のことが頭から離れない。私は唐かさの妖怪。驚かせるなら誰でもいいはずなのに、どうしてなんだろう。
やめよう。とにかく私はまたあの顔を見たい。そのためなら何回だってがんばる。
明日こそ早苗を驚かせるんだ!
○月×日
また駄目だった。何回やっても早苗は驚いてくれない。『表はそば屋ですよ』なんて変なことばっかり。早苗のいぢわる。
その後は悔しくなってそのまま帰って来てしまった。帰り際に何かひどいことを言ってしまったような気もする。ごめんね早苗。
明日は朝一で神社に行こう。そして早苗に謝りたいな。許してくれるかな…?でも早苗だから、きっと大丈夫だよね。
○月×日
早苗ははくれい神社にいた。隣に霊夢とまりさがいた。まりさが話しているのに早苗が相づちを打って、霊夢はその横でお茶をすすってた。 まりさの話に早苗はよく笑って、時おりすごく驚いた顔をしてた。
悔しい。私が見たくてたまらない早苗の驚いた顔を、まりさはあんなに簡単に見るんだ。なんだか胸が苦しい。すごく嫌な気分になってきた。
今日はもう寝よう。
○月×日
私、どうしちゃったんだろう?
ぬえちゃんのあどばいすのおかげで、出会ったみんなが驚いてくれるようになったのに、全然お腹がいっぱいにならない。
どうしよう…ひもじいよ…。
○月×日
このままじゃ飢え死にだから、たくさんご飯を食べることにした。
手始めに山に生えてる野草をとってきた。もちろん食べられる草だけ。こうみえて私はいんてりなのだ。
そのまま食べるのもなんだし、天ぷらにしてみた。すごくおいしい。だけどなにか物足りない気がするんだよね。
○月×日
私の食卓事情を救う答えをやっと見つけた。やはり献立が少なかったんだ。
私、なむさんのとこの食卓しか知らないからなぁ。ああいうのを精進料理って言うんだっけ?ぬえちゃんも大変そう。
そんなわけで、今日はハンバーグをつくってみた。さっそく調達してきたお肉をひいて、丸めて、適度に焼いて、もやしを添えたら完成!我ながら会心の出来。
山イモの煮付けと、この前なむさんからもらったお漬物と、合わせて三品目!すっかりお腹がいっぱいになった。驚いたことに、驚かせるよりも食べたほうがお腹にたまる。これは私のあいでんててー?いでおろぎぃ?の大改革な気がする。
これからはきっちり食事をとらなきゃいけないなぁ。
○月×日
ここ最近早苗に会えない日が続いている。なんでも妖怪退治のために幻想郷中を飛び回っているらしい。
それが早苗のお勤めなんだろうから、仕方ないのかもしれない。けどそれでなくともこの頃ちっとも早苗は私に構ってくれない。寂しい。
今日は焼き魚にしてみた。おいしかったとは思うけど、お肉とくらべてなんだか食べた気がしなかった。こういうのを好き嫌いっていうのかな?私はお肉を食べるのが一等好き。驚かせるのと同じくらいお腹にたまるから。
○月×日
相変わらず早苗は妖怪退治で忙しいようで、全然会えない。ぬえちゃんの話では、どうやら霊夢や慧音と協力して人里を襲う妖怪を退治しようとしているらしい。ずいぶんと凶悪な妖怪らしくて、若者が何人もさらわれているとか。早く退治されてしまえばいいのに。
寂しさをごまかそうと、最近私はよく食べる。驚かせるより食べるほうが多いくらいだ。お腹がいっぱいになると少しだけど寂しさが和らぐ気がするから。
今日なんかステーキを四枚も焼いて食べてしまった。こういうのをやけ食いって言うのかな…。
○月×日
最近ごはんがおいしくない。今日も肉じゃがの味付けはちゃんとできてたはずなのに、ちっとも味がしなかった。
早苗に会いたい。もうこんな味気ないごはんとか、もうどうでもいいから、早苗に…。
○月×日
(白紙。何度も書き直した跡がある)
○月×日
やっとわかった。他の誰を驚かせても、たくさんのご飯を食べても満たされない。きっと私は早苗じゃなくちゃ駄目なんだ。私は早苗をどうしようもないほどに求めている。
人里の騒動も一段落して、ようやく早苗が帰ってくるらしい。この日記を書き終えたら、さっそく会いに行こうと思う。
早苗のことを考えると感じるこの気持ちが何なのかはまだ分からないけど、私はその気持ちのおもむくままに行動してみようと思う。
早苗の髪も、瞳も、唇も。きれいなうなじも細い二の腕も長い両足も。全部欲しい。
いったい早苗はどんな味がするのだろう?
とても楽しみ。
小傘ってスタイル的になんかのきっかけでレベルアップすれば一気に強くなるイメージがあります なんせ傘使いなのでw
きっと二度と小傘の空腹は満たされることはないのでしょうね・・・
別にバッドエンドが嫌いな訳ではないですが、どう考えてもこの小傘があの早苗を食料にする図が思い浮かばなくて……