幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
この前人間の里に行った時、日記というものを知ったので、これから折を見てつけていこうかと思う。
今日は幽々子様がおやつを食べ終わるのが遅くて、片付けたかと思ったらもう夕餉の支度をしなければならなかった。
食後のおやつもまだ何にするか決めていない。夜食は昨日と同じで、一昨日のカレーでカレーうどんを作る予定だ。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り
右の日記を書いてから一週間も間が空いてしまった。なかなか机に座る時間がないのもあるが、
机に座ったところで、私にはあまり書くことがないのだ。
今日はいつも通り修行をして、それから白玉楼の廻りを警備を兼ねて歩いてまわった。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日も昨日と同じく、修行をし、それから白玉楼の廻りを歩いてまわった。
二百由旬あるとされている白玉楼だが、歩いてみるとそんなに広くない。これも日頃の修行の成果だろうか?
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
修行をし、それから白玉楼の廻りを歩いてまわった。落ち葉が側溝にたまり始めていた。掃除しなければ。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 雨
今日はすることがないのでずっと部屋にいる。今も外は雨だ。
幽々子様も遊びに行っているので、白玉楼には私一人しかいない。家事もしたし、
この天気では修行もできないので、今日は少し身を入れて日記を書いてみようと思う。
といって、私にはこれといって書くこともないのだが...
そういえばこの前霊夢と一緒に、守矢神社の早苗さんがいらっしゃった。
早苗さんは外の世界に長くいた為か、あまりまだ幻想郷での生活に慣れていないようだが、
それでも自分から積極的に幻想郷のことを知っていこうとされているのは、すばらしいことだと思った。
私はずっとここにいて、幽々子様のお世話をしているが、白玉楼の外のことは、正直言うとあまりまだよくわかっていない。
結局人はどこにいるかではなく、何をするかなのだと思う。
といって、私に今の生活を続ける以上の何かがあるとは考えられないのだが、
それは「人には人の生き方がある」ということなのだろうか?もっとも私は人ではないのだが...
雨脚が強まってきた。雨の中の西行妖はいつみても凛として美しい。
荘厳にそびえ立っていて、いつもよりずっと大きく見える。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
昨日は博麗神社で宴会があったので、幽々子様にお供して参加した。紫様や、山の妖怪たち、
その他幾人かのみたことのない妖怪も来ていた。どうも地底の妖怪とのことで、見たこともない大きな鬼も来ていた。
私が修行していた間に下界ではいろいろあったのだ。幽々子様は紫様から話を聞いていて、
妖怪たちを見ても何ともないような表情をされていたが、私の驚いたり焦ったりする姿を見て、
止めもせずに隣でクスクス笑っていられたのはさずかにひどいと思う。下戸の私に無理矢理お酒を飲ませるのも悪い癖だ。
宴会の間はどういうわけか吸血鬼の館の主人?と相席することになり、
あまり私にはよくわからない話をずっと聞かされることになった。
何でもこの前咲夜さんが門番と一緒に仲良さそうに立ち話をしているのを見て、
その仲睦まじげな様子に深いショックを受けてしまったらしい。
召使いと門番の立ち話に何故主人がショックを受けるのか理解できなかったが、
召使いの立場から見て、主君はどう見えるのか、見ているのか、幽々子様のことをどう思っているのか教えてほしいと、
延々粘られたので、私と幽々子様は、サーヴァントとマスターといった、西洋的な関係ではない、と説明しておいた。
「西洋的」といっても、ここは西洋も東洋もないので、本でかじった言葉にすぎないが、
吸血鬼の館の秩序と白玉楼では秩序の仕組みがそもそも違うことは、私でもわかるつもりである。
私は生涯をかけて幽々子様に御仕えするという定めであり、そういう血筋を身に受けているので、
そういう風に生きる次第であるが、吸血鬼の館では、あくまで雇い雇われてという契約で関係が成り立っている。
つまりここには契約とそうでないものの違いがあるのだ。
魂魄家と西行寺家との関係は契約ではなく、もっと深い根源的なものであると私は思う。
だから私はこの関係に疑問を抱くこともないし、幽々子様にもこれからもそのように接していくつもりだ。
吸血鬼達もせっかく幻想郷に来たのだから旧習にとらわれずに、どうすればいいのかはよくわからないが、
私たちのように、一生の主従関係というか、とにかくこのような自然のままでお互いの役割を分かち合えるような関係を、
今から築いてみれば良いのではないだろうか?
そうすれば無駄な妖精メイドなども雇わずに済むと思うし、人事に無駄がなくなると思うのだが...
妖夢!あなたすばらしいわ!庭師のかがみよ!!
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り時々晴れ
ずいぶん長く日記をほったらかしにしていた。幽々子様に落書きされて、倉にしまっておいたのを、
虫干しの際に発掘してしまったのだ。
幸いまだ紙質も落ちていないので、このまま続きを書いて差し支えないと思う。
今度は必ず肌身離さず持ち歩き、けして幽々子様のお目に触れることがないよう、厳重に警戒しようと思う。
<今日の夕食>
合挽ハンバーグ3kg、ポテトとトマトのサラダ、スパゲッティ、お味噌汁、ごはん4合、きゅうりの酢の物、
サバの塩焼き5切れ、筑前煮、赤出し、卵豆腐、ごぼうのサラダ、レンコンの天ぷら、茶碗蒸し、椎茸の天ぷら、
ししゃもの薫製、カレーライス
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日は博麗神社まで、霊夢に呼ばれて遊びに行った。
ちょうど帰りに人間の里へ行く用事があったので、少し早く白玉楼を出たのだ。
霊夢の用事は、半霊を触らせてほしいというものだった。
以前宴会で見かけた地下の妖怪という猫も来ており、うちとけて話した。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
人間の里で以前竹林で出会った妖怪と再会した。昼間は寺子屋で講義をしているそうだ。
この日記を書くきっかけとなった、阿求という人間の子と会うこともできた。
日記を書いていますかと聞かれたので、はいと答えたら、うれしそうにしていた。
今のところ私が日記を書いていることを知っているのはこの子と幽々子様だけであるが、
幽々子様は紫様と友達なので、もうみんな知っているかもしれない。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
妖夢、ごめんなさい。日記のこと、天狗さんに教えちゃったわ。
あと、今日の晩ご飯は、牛ヒレ肉のステーキが食べたいです!
わたしもおいしいもの食べたいわ ゆかりちゃんより
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
幽々子様へ
一、人の日記を勝手に読むのはやめてください。
二、人の日記を勝手に紫様に見せるのもやめてください。
三、紫様も人の日記を勝手に読むのはやめてください。
魂魄妖夢より
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ時々雨
先週、お寺の地下から聖人が復活した事件で、幽々子様はまだ根にもたれているのか、
私にしつこく絡んでくる。幽々子様は最近悪ノリが過ぎていたので、
あんなふうに霊夢達にもこてんぱんにされてしまったのである。
といって私も少し身の程知らずなことをしてしまったのかもしれない。
最も幽々子様は終止楽しそうにしてらしたのだが...
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日は青娥さんという名前の仙人の方が訪ねにこられた。
幽々子様はあまり不老不死である人間や、それに近い存在のことはお好きではないが、
この方についてもあまりよく思っておられない様子で、
終止ご機嫌ななめという感じだった。
私としては青娥さんはどこか紫様に似た、より人間臭くしたような方だと思うが、
長寿の者が人間臭さを捨てられないでいるような姿に、幽々子様は不快感を感じるのかもしれない。
私としては彼女が一緒に連れてきたキョンシーというモノの姿の方が痛ましく、胸に焼き付いてしまった。
人間というものは、不老不死という力を得る為だけにそのようなこともできるのである。
ただ一方で、そのキョンシーを愛でる青娥さんの眼には紫様や幽々子様、そして私にもないような、
人間の里に住んでいる、ごくありふれた女の人の母性というか、そういうきらきらしたものがあった。
ああいうところが幽々子様からすると「臭み」なのだろうが、私はそれは良いと思った。
いつかあのキョンシーが死ねて、青娥さんも天寿を全うできた時は、一緒に仲良く天国に行ってほしいと思った。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日から白玉楼では一年に一度の畳の張り替えを行う予定だ。
別に人間が座らないので汚れるわけではないのだが、畳の幽霊もたくさんいるので、
白玉楼ぐらいで張り替えて使ってやらないと、霊界の面積がどんどん狭くなってしまうのである。
もっともこればかりは私一人ではできないので、多くの幽霊達に手伝ってもらった。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り
冬が来た。冬は幽々子様は鍋三昧、家事もいつも以上にうんと簡単になるので非常に助かる季節だ。
人間の里に降りて必要品の買い出し。なんでも鳥獣伎楽というバンドができたらしく、
妖怪達の間で大人気だと竹林のウサギが言っていた。ついでにチケットを買わないかと言われたが、
あまり音楽には興味がないので買うのはやめておいた。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇りのち雨
修行の後、久しぶりに外出、博麗神社へ向かった。萃香が来ていて、
自前の徳利について虫がどうとかいろいろしゃべっていた。
今日は今から紫様のところに幽々子様と出かける予定だ。
出かけるといっても境界をくぐるだけなので、幽々子様もぎりぎりまで準備はしない様子。
もしかするとあのまま出かけるつもりなのかもしれないが。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
<今日の夕食>
ハンバーガー、ラーメン、トンカツ、刺身(舟盛)、グラタン、ドリア、干しぶどうパン
幽々子様が珍しく料理名を次々と挙げてリクエストされたので、
どういうことかを尋ねたら、なんでも天狗の新聞でグルメ特集というものがあったらしく、
そこに載っていたものの名前を次々並べてみたのだという。
私も知らない料理ばかりで、作るのに時間がかかったが、喜んでいただけたようでうれしい。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
師走、私は師ではないが、朝から大忙しである。包丁をなくしたので、仕方ないので、
楼観剣でおせちを作った。長いのでジャガイモの皮むきなど、非常に手間取った。
ちゃんと殺菌したので汚くはないはずだが、念のためここに記す。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
大晦日。白玉楼は名前の通り真っ白で、西行妖も雪を被っていい感じに巨木感を演出してるわね。
さて、久しぶりに妖夢ちゃんの日記を読んでみたけれど、この子ったらほんとに真面目ねえ。
おもしろいことがひとつもないわ。
私や紫のことを警戒して、隠し事は他の日記に書いているのかしら?
妖夢の部屋はすべて紫が調べてるはずだけど...
それにしてもこの日記、これだけ私が書き込んでしまったら、もう二度と使われないかもしれないわね。
妖夢にはこれからも日記を書いてほしいし、楽しみがなくなるのもつまらないから、
この日記は私の宝物ということで隠してしまおうかしら。
西行妖の下に埋めて、いつか本当に西行妖が満開になったときに取り出してみることにしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コノてきすとハ稗田家ノ依頼ヲ受ケタ妖怪ニヨッテ西行妖ノ下カラ発掘サレタ
幻想郷第XXX季 ○○代目阿礼乙女記ス
この前人間の里に行った時、日記というものを知ったので、これから折を見てつけていこうかと思う。
今日は幽々子様がおやつを食べ終わるのが遅くて、片付けたかと思ったらもう夕餉の支度をしなければならなかった。
食後のおやつもまだ何にするか決めていない。夜食は昨日と同じで、一昨日のカレーでカレーうどんを作る予定だ。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り
右の日記を書いてから一週間も間が空いてしまった。なかなか机に座る時間がないのもあるが、
机に座ったところで、私にはあまり書くことがないのだ。
今日はいつも通り修行をして、それから白玉楼の廻りを警備を兼ねて歩いてまわった。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日も昨日と同じく、修行をし、それから白玉楼の廻りを歩いてまわった。
二百由旬あるとされている白玉楼だが、歩いてみるとそんなに広くない。これも日頃の修行の成果だろうか?
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
修行をし、それから白玉楼の廻りを歩いてまわった。落ち葉が側溝にたまり始めていた。掃除しなければ。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 雨
今日はすることがないのでずっと部屋にいる。今も外は雨だ。
幽々子様も遊びに行っているので、白玉楼には私一人しかいない。家事もしたし、
この天気では修行もできないので、今日は少し身を入れて日記を書いてみようと思う。
といって、私にはこれといって書くこともないのだが...
そういえばこの前霊夢と一緒に、守矢神社の早苗さんがいらっしゃった。
早苗さんは外の世界に長くいた為か、あまりまだ幻想郷での生活に慣れていないようだが、
それでも自分から積極的に幻想郷のことを知っていこうとされているのは、すばらしいことだと思った。
私はずっとここにいて、幽々子様のお世話をしているが、白玉楼の外のことは、正直言うとあまりまだよくわかっていない。
結局人はどこにいるかではなく、何をするかなのだと思う。
といって、私に今の生活を続ける以上の何かがあるとは考えられないのだが、
それは「人には人の生き方がある」ということなのだろうか?もっとも私は人ではないのだが...
雨脚が強まってきた。雨の中の西行妖はいつみても凛として美しい。
荘厳にそびえ立っていて、いつもよりずっと大きく見える。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
昨日は博麗神社で宴会があったので、幽々子様にお供して参加した。紫様や、山の妖怪たち、
その他幾人かのみたことのない妖怪も来ていた。どうも地底の妖怪とのことで、見たこともない大きな鬼も来ていた。
私が修行していた間に下界ではいろいろあったのだ。幽々子様は紫様から話を聞いていて、
妖怪たちを見ても何ともないような表情をされていたが、私の驚いたり焦ったりする姿を見て、
止めもせずに隣でクスクス笑っていられたのはさずかにひどいと思う。下戸の私に無理矢理お酒を飲ませるのも悪い癖だ。
宴会の間はどういうわけか吸血鬼の館の主人?と相席することになり、
あまり私にはよくわからない話をずっと聞かされることになった。
何でもこの前咲夜さんが門番と一緒に仲良さそうに立ち話をしているのを見て、
その仲睦まじげな様子に深いショックを受けてしまったらしい。
召使いと門番の立ち話に何故主人がショックを受けるのか理解できなかったが、
召使いの立場から見て、主君はどう見えるのか、見ているのか、幽々子様のことをどう思っているのか教えてほしいと、
延々粘られたので、私と幽々子様は、サーヴァントとマスターといった、西洋的な関係ではない、と説明しておいた。
「西洋的」といっても、ここは西洋も東洋もないので、本でかじった言葉にすぎないが、
吸血鬼の館の秩序と白玉楼では秩序の仕組みがそもそも違うことは、私でもわかるつもりである。
私は生涯をかけて幽々子様に御仕えするという定めであり、そういう血筋を身に受けているので、
そういう風に生きる次第であるが、吸血鬼の館では、あくまで雇い雇われてという契約で関係が成り立っている。
つまりここには契約とそうでないものの違いがあるのだ。
魂魄家と西行寺家との関係は契約ではなく、もっと深い根源的なものであると私は思う。
だから私はこの関係に疑問を抱くこともないし、幽々子様にもこれからもそのように接していくつもりだ。
吸血鬼達もせっかく幻想郷に来たのだから旧習にとらわれずに、どうすればいいのかはよくわからないが、
私たちのように、一生の主従関係というか、とにかくこのような自然のままでお互いの役割を分かち合えるような関係を、
今から築いてみれば良いのではないだろうか?
そうすれば無駄な妖精メイドなども雇わずに済むと思うし、人事に無駄がなくなると思うのだが...
妖夢!あなたすばらしいわ!庭師のかがみよ!!
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り時々晴れ
ずいぶん長く日記をほったらかしにしていた。幽々子様に落書きされて、倉にしまっておいたのを、
虫干しの際に発掘してしまったのだ。
幸いまだ紙質も落ちていないので、このまま続きを書いて差し支えないと思う。
今度は必ず肌身離さず持ち歩き、けして幽々子様のお目に触れることがないよう、厳重に警戒しようと思う。
<今日の夕食>
合挽ハンバーグ3kg、ポテトとトマトのサラダ、スパゲッティ、お味噌汁、ごはん4合、きゅうりの酢の物、
サバの塩焼き5切れ、筑前煮、赤出し、卵豆腐、ごぼうのサラダ、レンコンの天ぷら、茶碗蒸し、椎茸の天ぷら、
ししゃもの薫製、カレーライス
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日は博麗神社まで、霊夢に呼ばれて遊びに行った。
ちょうど帰りに人間の里へ行く用事があったので、少し早く白玉楼を出たのだ。
霊夢の用事は、半霊を触らせてほしいというものだった。
以前宴会で見かけた地下の妖怪という猫も来ており、うちとけて話した。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
人間の里で以前竹林で出会った妖怪と再会した。昼間は寺子屋で講義をしているそうだ。
この日記を書くきっかけとなった、阿求という人間の子と会うこともできた。
日記を書いていますかと聞かれたので、はいと答えたら、うれしそうにしていた。
今のところ私が日記を書いていることを知っているのはこの子と幽々子様だけであるが、
幽々子様は紫様と友達なので、もうみんな知っているかもしれない。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
妖夢、ごめんなさい。日記のこと、天狗さんに教えちゃったわ。
あと、今日の晩ご飯は、牛ヒレ肉のステーキが食べたいです!
わたしもおいしいもの食べたいわ ゆかりちゃんより
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
幽々子様へ
一、人の日記を勝手に読むのはやめてください。
二、人の日記を勝手に紫様に見せるのもやめてください。
三、紫様も人の日記を勝手に読むのはやめてください。
魂魄妖夢より
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ時々雨
先週、お寺の地下から聖人が復活した事件で、幽々子様はまだ根にもたれているのか、
私にしつこく絡んでくる。幽々子様は最近悪ノリが過ぎていたので、
あんなふうに霊夢達にもこてんぱんにされてしまったのである。
といって私も少し身の程知らずなことをしてしまったのかもしれない。
最も幽々子様は終止楽しそうにしてらしたのだが...
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日は青娥さんという名前の仙人の方が訪ねにこられた。
幽々子様はあまり不老不死である人間や、それに近い存在のことはお好きではないが、
この方についてもあまりよく思っておられない様子で、
終止ご機嫌ななめという感じだった。
私としては青娥さんはどこか紫様に似た、より人間臭くしたような方だと思うが、
長寿の者が人間臭さを捨てられないでいるような姿に、幽々子様は不快感を感じるのかもしれない。
私としては彼女が一緒に連れてきたキョンシーというモノの姿の方が痛ましく、胸に焼き付いてしまった。
人間というものは、不老不死という力を得る為だけにそのようなこともできるのである。
ただ一方で、そのキョンシーを愛でる青娥さんの眼には紫様や幽々子様、そして私にもないような、
人間の里に住んでいる、ごくありふれた女の人の母性というか、そういうきらきらしたものがあった。
ああいうところが幽々子様からすると「臭み」なのだろうが、私はそれは良いと思った。
いつかあのキョンシーが死ねて、青娥さんも天寿を全うできた時は、一緒に仲良く天国に行ってほしいと思った。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
今日から白玉楼では一年に一度の畳の張り替えを行う予定だ。
別に人間が座らないので汚れるわけではないのだが、畳の幽霊もたくさんいるので、
白玉楼ぐらいで張り替えて使ってやらないと、霊界の面積がどんどん狭くなってしまうのである。
もっともこればかりは私一人ではできないので、多くの幽霊達に手伝ってもらった。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇り
冬が来た。冬は幽々子様は鍋三昧、家事もいつも以上にうんと簡単になるので非常に助かる季節だ。
人間の里に降りて必要品の買い出し。なんでも鳥獣伎楽というバンドができたらしく、
妖怪達の間で大人気だと竹林のウサギが言っていた。ついでにチケットを買わないかと言われたが、
あまり音楽には興味がないので買うのはやめておいた。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 曇りのち雨
修行の後、久しぶりに外出、博麗神社へ向かった。萃香が来ていて、
自前の徳利について虫がどうとかいろいろしゃべっていた。
今日は今から紫様のところに幽々子様と出かける予定だ。
出かけるといっても境界をくぐるだけなので、幽々子様もぎりぎりまで準備はしない様子。
もしかするとあのまま出かけるつもりなのかもしれないが。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
<今日の夕食>
ハンバーガー、ラーメン、トンカツ、刺身(舟盛)、グラタン、ドリア、干しぶどうパン
幽々子様が珍しく料理名を次々と挙げてリクエストされたので、
どういうことかを尋ねたら、なんでも天狗の新聞でグルメ特集というものがあったらしく、
そこに載っていたものの名前を次々並べてみたのだという。
私も知らない料理ばかりで、作るのに時間がかかったが、喜んでいただけたようでうれしい。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
師走、私は師ではないが、朝から大忙しである。包丁をなくしたので、仕方ないので、
楼観剣でおせちを作った。長いのでジャガイモの皮むきなど、非常に手間取った。
ちゃんと殺菌したので汚くはないはずだが、念のためここに記す。
幻想郷第12X季 ○月○日 天気 晴れ
大晦日。白玉楼は名前の通り真っ白で、西行妖も雪を被っていい感じに巨木感を演出してるわね。
さて、久しぶりに妖夢ちゃんの日記を読んでみたけれど、この子ったらほんとに真面目ねえ。
おもしろいことがひとつもないわ。
私や紫のことを警戒して、隠し事は他の日記に書いているのかしら?
妖夢の部屋はすべて紫が調べてるはずだけど...
それにしてもこの日記、これだけ私が書き込んでしまったら、もう二度と使われないかもしれないわね。
妖夢にはこれからも日記を書いてほしいし、楽しみがなくなるのもつまらないから、
この日記は私の宝物ということで隠してしまおうかしら。
西行妖の下に埋めて、いつか本当に西行妖が満開になったときに取り出してみることにしましょう。
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コノてきすとハ稗田家ノ依頼ヲ受ケタ妖怪ニヨッテ西行妖ノ下カラ発掘サレタ
幻想郷第XXX季 ○○代目阿礼乙女記ス
それはそれとしてほのぼのとして良い作品でした。
結局この日記はどうなったのでしょうか。
稗田家の蔵にでも保存されたのだろうか。
それに何で日記が西行妖の下に埋まっているのを稗田家の者は知っていたんでしょうか。
疑問だらけです。
ゆゆさまのお茶目っぷりも視れて、私は満足してます。
妖夢の人生が楽しいものであったことの証明ですね、この日記は。
ああ、この日記を肴に、妖夢とゆゆさまと紫が仲良く笑いながら、酒を酌み交わしている様子が幻視されます。
私が望む、白玉楼の日常の風景のことです。
長文失礼いたしました。
そろそろおいとまします。
素晴らしい作品でした。
妖夢は寿命あるにしても、日記が掘り出された時点で幽々子はどうしているのでしょう。
そんな中でいきなり幽々子のコメントが飛び込んできたので笑ってしまいました。
後の世に歴史書としてでも伝わっているのでしょうか···
ほのぼのから急に鬱に。
生真面目な文体と時々割り込む幽々子様に口端上がりっぱなしでした。
最後の稗田の文章の付け足しがキモであり、ただの毒にも薬にもならん作品か、と言う感想をひっくり返されました
読んでいただきありがとうございました!!
>2番様
コメントありがとうございます!!
稗田家の人は一度見た者を忘れない能力を持っているので、
たぶんその関係で妖夢が日記を書いていた(る)ことは知られているはずなので、
それで誰かが紫あたりに日記読みたいと依頼したのでは?
とぼんやりイメージしております!
>3
コメントありがとうございます!!
あんまり寿命ものは苦手なので、ぼんやり終わらせてしまいました。
西行妖はたぶん満開にはならないので、
日記は幽々子が存在を忘れた頃にこっそり掘り出されていた..
ようなイメージを作者としては持っております!!
>4
ありがとうございます!!
妖夢だけでは本当に淡々としてしまうので、
幽々子や紫を混ぜてみました!
>5
ありがとうございます!!
幽々子は絶対妖夢が日記を書き出したらいたずらするだろうなと思い、
あのようなかたちになりました。
>6
ありがとうございます!!
後半幽々子様が西行妖が〜などと言っているので、
鬱っぽい感じもするのですが、よくよく考えてみると、
西行妖はたぶんもう満開にはならないのと、
なったらなったで幽々子はもう取り出せなくなるので、
妖夢が日記を書いていることを記憶していた阿礼乙女の一人が、
(阿求かもしれないですが)妖夢の日記が埋められたことを知り、
それで妖夢や幽々子が存在を忘れてるならくれ!と無理を言って
紫あたりに持ってきてもらったのではないか?という気がしております。
写本にしておけばよかったですね。
>11
ありがとうございます!!
妖夢はいつも白玉楼の中で動き回っている印象、
幽々子や紫は一緒にしゃべるか部屋か縁側にいる印象なので、
絶対妖夢が日記を書き始めたとあらば覗き見するよな、
と思って間に幽々子をだしてみました。
紫も幽々子と一緒にいる印象なので、二人で妖夢の日記を見て、
幽々子につきあって一緒に落書きしたような感じですね!
しかも紫まで参加しちゃうんだから不憫だね。
最後の〆具合がめり張りを際立たせて良かったと思いました。
これは誤字でしょうか?
「最も幽々子様は終止楽しそうにしてらした」
多分「始終」。
淡々とした中で自然に突っ込みどころが出てくるのがじわじわと来る。
言われてみれば富士日記っぽいかもしれない。
オチは死にネタの含みとかは感じなかったけど蛇足のような気がする。
色々と面白かったです。
ありがとうございます!よくある、というか、一般的にありそうな妖夢の生活のイメージに準拠した内容になるよう頑張りました!
>16
ありがとうございます!
紫は絶対悪ノリするキャラだろうと思ったので悪ノリさせてみました。
>21
ありがとうございます!
長七郎江戸日記は時代劇でしょうか?見たことがないので
また機会があれば見てみようと思います!
>>これは誤字でしょうか?
「最も幽々子様は終止楽しそうにしてらした」
多分「始終」。
誤字というより僕の日本語の不自由な部分ですね!
教えていただきありがとうございます!終止の使い方も調べてみます!
>26
ありがとうございます!
霊夢と妖夢は仲が良いのか判断が難しかったので、
ちょっとした無茶振りみたいなものにしてみました。
献立を延々書くところとかに富士日記感を出そうとしたのですが、
富士日記にしようにも大岡昇平ポジションの人も麓のガソリンスタンドの
ポジションのキャラもいないので、中途半端になってしまいました!
オチについては、妖夢が書ききるところまでは書けないと思ったので、
ああいう形にさせていただきました。
真面目な妖夢が日記を盗み見られて激怒している様子が、幽々子と紫への端的なメッセージ三箇条からありありと浮かんで来るようです。
個人的に、青娥と芳香の件がグッときました。レミリアとの対談とはまた違った主従の関係、幽々子の不機嫌さや、二人が死んだら一緒に天国へ行ってほしいと願う妖夢の純粋な優しさが沁みます。面白かったです。
ってか最初の1日から1週間空いてるって時点で日記としてどうなんだww
ゆゆさまのコメントとか、それに対していちいち「勝手に見ないでください」って日記に書くところとか、ホントほのぼのしてていいなあ。
東方の世界観的に天国ってあるんでしょうかね。