Coolier - 新生・東方創想話

メリー「蓮子を待ってたら金髪美女が声をかけてきた」

2013/05/08 17:00:49
最終更新
サイズ
4.82KB
ページ数
1
閲覧数
5137
評価数
16/58
POINT
3020
Rate
10.32

分類タグ

現在時刻を確認する。14時45分。
待ち合わせの時刻である。あと数分したら蓮子が来るだろう。

秘封倶楽部活動拠点第53号室、またの名をカフェトートル京都駅前店。
世間一般的には後者の名前が周知されている。

53号室では、焼き上げたばかりの、アツアツかりかりのパンが食べられる点。
また資格等級にて精査された、バリスタ認定を受けた者しかコーヒーを煎れられない点。
豊富な座席数と清潔な店内、迷惑行為をした客は即座に退場を促される点。
まさに至れり尽くせりの環境なのである。私はここが大層気に入っていた。

カプチーノを一口。うめぇ。

そうして机に広げた教材に目を向けて、気付いた。
一つ席を開けて座っているサラリーマン風の男が、顔を上げて何かしらを注視している。
視線を追い私も正面方向を見ると、丁度階段を上がってきた美女が目に入った。

腰ほどまで伸びている煌びやかなブロンドの髪は絹のように流れ、歩くごとに優しく揺れ。
かたちの良いシャープな眉毛も金色。染めてなどいない、あれが地毛なのだろうな。
眼を見張るほどの一切無駄のないプロポーション。身長は190程度あるだろうか。
服屋店頭に立ち並ぶマネキンも嫉妬を辞さない。ポにイントネーションを置いてしまう。

ワァオ、イッツパーフェクトプロポーゥシェン!

金髪美女は階段を上り切るとあたりをざっと見まわし。
――そして、信じられない事に。私を見つけて、私を見て、――にこりと笑った。

「ここいいかしらん?」

私の向かいの椅子に手をかけ、軽く引きながら問いかける。私に、この私に!

「あー、えーっと」と顔を左右に振り店内を見回す。
今現在全体の3割程度の席が埋まっている。言い方を変えれば、がらがら。
完全に初対面な美女に声をかけられた驚きに、心臓がバクバクとしている。

生唾を飲み込み、意を決して言う。
「ほかにいくらでも席は空いてるから、そっちに行ってもらっても?」
「ここがいいの。この席が、ね」
「……………………」

何言ってんだこいつ!

百年の恋も、ではなく、一時の恋も一声で冷める、と言ったところだろうか。
全く意味不明非常識の発言に、のぼせた頭が一気に覚醒するのを感じた。
この人、見た目は良いけど、頭が残念な人なんだな、と思った。関わらないのが吉である。

「分かった。じゃ、どうぞ」

教材を両手で抱え持ち顎に挟み、カップは引っ掴んで、適当な席へ移動する。
机に荷物を展開させて椅子に腰かけようとして、愕然とした。
金髪美女、――訂正、金髪の変態女がついて来たのだ!

「なに? なんなの? 迷惑なんだけど」意識して、若干ヒステリック気味な声を出す。
こういうナンパ紛いのバカは強烈な拒否で突き放すに限る。

「おしゃべりしましょ」
「知らない人と喋る話題なんて無い」
「私にはある。おしゃべりするだけよ」
「友人と待ち合わせしてるから、どっか行ってよ」
「すこしだけ、少しだけならいいでしょ」
「うっさい帰れ。警察を呼ぶわよ」
「ゆかりぃ! いつまで経っても待ち合わせ場所に来ないと思ったら、こんなとこに!」

良く通る快活な声が、私と変態女の問答を中断させた。
そちらを見てみると、上下ストライプのスーツを着たOL風の女が居た。
ヒールを履いているのだろう。かつかつと階段からこちらに接近してくる。

「今ね、この子をナンパしてたの。なのに邪険にされちゃってね」
“ゆかり”が表情を凍らせた無表情のまま言った。ボケてるんじゃなかろうかと思った。

「当然でしょ少しは常識を弁えなさい! 見ず知らず赤の他人なんだから!」
「いやねぇ、私は彼女の事、知ってるわよ?」
「向こうはあんたのこと知らないでしょ! 向こうからしたら145億年後じゃん!」
「あれ? 145億年後? 今日の話じゃないのかしらん?」
「それは今日の話! 私がしてるのは今の話!」

OLが毅然とした表情でそこまで言うと、一転表情を軟化させ、私に言う。

「ごめんねメリー、このおばさん夢遊病患者でボケが始まって、耄碌してるのよ」
「え、あ、はあ。おばさんなら仕方ないですね……?」
「あっと、いやだ、別にあなたを馬鹿にしたわけじゃなくてね。――ま、いっか」

OLはゆかりの手を掴みひきずる様にして引っ張って行く。
「ほら行くよゆかり! ここがあんた所有の店でも、好き勝手やって良い訳じゃないんだから!」
そうして歩きながら「全くもう、ランにはなんて言うの? またどやされるよ?」などと言っていた。

「ああん、折角の機会なのに。じゃあねまた会いましょ」とゆかりが言った。
私は咄嗟に「二度と会わない事を願ってるわ」と返した。

秩序を取り戻した店内。荷物を片付けながら動揺を鎮めていて、何となく思った。
あのOL、私のことをメリーって呼んでたような――。どこかで会ったかしら?







空を見上げた! 現在時刻14時52分! 7分は大遅刻だ!
帽子を取りそれを団扇代わりにして、53号室の店内に進入。階段を上り相棒を見つけた。

「お待たせメリー。ごめんね遅れたわあ」
「うん。いいよ大丈夫」

メリーは何やらごそごそとやっていると思ったら、荷物をまとめて上着を羽織る。
「場所を変えましょ、蓮子。この店、コーヒーは美味しいけど、オーナーがバカだわ」
「え? オーナー? 会ったの? なんか言われたの?」
「もういいの。このお店とはオサラバだから」
「えー、あなた53号室は気に入ってたじゃん。なんで?」
「もういいし! ってなんでこの伝票会計済みなの!? あの不審者信じられないし!」

メリーが机に置かれた電子伝票を乱暴に掻っ攫い、足早に階段へ向かう。
私は忘れ物が無いかだけ確認していると、傍に座っていたサラリーマン風の男と目が合った。

「あれ私の相棒なんだけど、ここで何があったの?」
「うん、良かった。145億年後も、関係は健在だって事だから」

――意味が分からん。
カフェで勉強してたはずが気づいたらこんなプロットが出来上がってた。末期ちゅっちゅ。
それはそうと、神隠しに会おうと妖怪化しようとなんだろうと、秘封倶楽部は不滅です。
食らいボム
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1800簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
おい、俺たちがいるぞ
3.70名前が無い程度の能力削除
何者なんだサラリーマン。
4.80名前が無い程度の能力削除
このサラリマンは秘封民ですねえ、わかるんです
7.80名前が無い程度の能力削除
俺達が遠い将来も火星○キブリのように生存している可能性が微レ存?!
8.90名前が無い程度の能力削除
ループするのは秘封だけじゃなく秘封民もだった・・・?
9.90名前が無い程度の能力削除
裏設定がめちゃくちゃ気になるwなんだ145億年てwサラリーマンも何者なんだか。
12.70名前が無い程度の能力削除
サラリーマン誰だよww
20.80名前が無い程度の能力削除
これは設定が気になる展開。
24.30名前が無い程度の能力削除
メリーさん口悪すぎてちょっと
26.80名前が無い程度の能力削除
なんか色々ムチャクチャだけど、軽快なテンポが良かった!
28.80名前が無い程度の能力削除
色々ぶっ飛んでるけど面白かったよ
30.80名前が無い程度の能力削除
作者さんのコメントの最後の一行に全て表れているなあ
秘封作品もっと増えろ増えろ~
31.80名前が無い程度の能力削除
カフェで何のお勉強してたのやら
とりあえず次は臨終ちゅっちゅを期待
32.70名前が無い程度の能力削除
ほんとサラリーマンが何者か気になる。
37.80名前が無い程度の能力削除
簡潔に要点だけを抜き出した文体で、摩訶不思議空間を演出しています。表現に無駄が無く雰囲気が良い。
51.803削除
なんだか不思議な雰囲気。
秘封倶楽部は不滅、いい言葉ですね。