看板も出ていない、薄暗い雑居ビルを地下に一階分、おっかなびっくり降りて扉を開くと、そこが店の中だった。外と変わらないくらい薄暗く、けれど所々浮かび上がるように配置された間接照明で、主役たる女の子達が照らされている。正面、入ってすぐ目に入る位置にメリーがいて、にっこりと微笑む。
「いらっしゃいませ」
今入ってきた扉には、仄かに灯りを放つ文字で、『Girl's Bar MERINGUE』と書かれていたことを思い出す。おっかなびっくり、メリーの前に進んで、スツールに腰掛ける。
「ねえ、指名とかするの、順番とか待たなきゃいけないの」
くす、とメリーが小さく笑いかける。
「そんなのいいわよ。さ、何にしますか?今日は、ゆっくり楽しんでいって下さいね」
メリーの笑顔。いつも親しげに見せているそれとは何かが違って、優しげで、でも気安くはなくて……本当に、なんて言うんだろう、花魁のような、と言えば言い過ぎなのだけど、そういう身分の女性を表すような美しさがメリーに宿ったかのようだ。私は雰囲気に酔っている。
人生初のガールズバー。私にはもう訳が分からない。
きっかけは、春の日射しうららかな大学のカフェテラスで、お昼休みを過ごしている時だった。意味よりも響きを互いに求め合うような、とりとめのない会話を、だらだらと無意義にこぼしていた。
「あーぁ。バイトしなきゃなぁ」
「え、そうなの? 蓮子って仕送りいっぱいあるイメージだから、そんなこと考えてないと思ってた」
バイトの話も、そんなとりとめのない話の一つだった。うだうだと建設的でない結論を出して流される、それだけの。
「うちは少ないわよ。色々と切り詰めて誰かさんの思いつきの遠出に付き合ってんの。そもそも、仕送りが多いのはメリーの方でしょ、箱入り娘」
メリーはぎくりとしたように、曖昧な誤魔化しの笑みを浮かべた。
「え、うちは、うん、まぁまぁ、普通よ、普通。普通普通。えへへ」
そんな風に笑うメリーを見て、全く、と私は溜息をついた。
「短期のは時々してたんだけどね。忙しい時期の喫茶店とか……。ねぇ、メリー? 一緒にできるバイト探そうよ。それでお金貯めてさ、倶楽部の活動も鈍行とか、安ホテルに泊まったりとかじゃなくて、旅館に泊まったりしてゆっくり旅とかしようよ」
「うーん、私あんまり友達と一緒にバイトとか、好きくない。だってさ、なんか、誰かと常に一緒じゃないと駄目なの? って感じになるでしょ。ちょっと依存的って言うか、蓮子は大事な友達だけど、そういうのは別々にしたいかも」
私は黙り込んだ。そりゃ、私だって、メリーじゃなきゃ言わないわよ。そういうの、メリーなら分かってくれると思ったのに。
「それに……」
言いかけてから、僅かにメリーは口をつぐんだ。少しの躊躇いを見せてから、メリーは口を開いた。
「ごめん、実はもう始めてるの」
え、と思った。メリーとは付き合いは長くないが気の合った友人だし、バイトに行く数日前には、『バイト始めることにしたの』『そうなの、今度行くわね』くらいの会話があっても良いのじゃないか。
「へぇ、そうなんだ。どうして教えてくれなかったの、水くさいじゃない」
「頼まれてしてるバイトだし……ちょっと変わったバイトだし。無理そうならすぐ止めさせて貰ってもいいから、って言われてるから。失敗したら恥ずかしいじゃない」
メリーが自分でそう言うのなら、私には何も言えることはなかった。ひとまずは私の中で納得して、私は続けた。
「うまく行きそう?」
「んー。昨日が初仕事だったけど、思ったより楽しそう、って感じかも」
何となく、メリーは言いたくなさそうな空気を作っていたけど。私は敢えて聞いた。
「それで、何のお仕事なの?」
「あー、それ聞いちゃう?」
「聞いちゃうよ、だって知りたいじゃん。メリーがどんなバイトしてるのか。それで、何なの? 変わってる、って変なバイトじゃないでしょうね」
「うーん、ちょっと変な仕事」
「何よそれ。ケチャップでメッセージ書いたり、お客さんにビンタしたりする仕事? それとも、一緒に足湯かしら」
「それって本当に変な、水商売とかの意味じゃなくて、純粋に変な仕事だからね。そんなんじゃなくて。ちょっと恥ずかしいから言いにくかったんだけど、ガールズバーよ。ガールズバー」
ガールズバー。
その響きは、何というか、正直なところは分からない。けれど、何というか、やはり淫靡なものを感じる。それこそさっきメリーが言ったみたいな、水商売、とか。
「それって夜のお店なんじゃないの?」
「あー、うん、開店は9時からね」
「繁華街にお店があって?」
「んー、うん。繁華街のちょっと外れね」
「お店地下にあったり?」
「……半地下」
クロだ。
「風俗嬢じゃない!」
「言っておくけどね、法律的には旅館の仲居さんもレストランのウェイトレスもサービスをする以上風俗なんだからね! ……ま、それは冗談だけど。ガールズバーって言ったらキャバクラとかのイメージが強いかもしれないけど。そこはほんとに静かなお店で、やらしい格好もしたりしないし、純粋にお話をする、っていうのがコンセプトだから。ほんとに、蓮子が考えているようなのではないわよ」
だからと言って。そう言いかけた時、メリーの携帯のアラームが鳴った。いつも昼休みの五分前に鳴るようにセットしているのだ。アラームを止めると、メリーは立ち上がった。
「行きましょう、授業、始まっちゃうわ」
「見に行くから」
「え?」
教室へ向かう途中、私はそう言い放った。
「今日、メリーの仕事を見に行くって言ってるの。それで、だからって、辞めなさい、なんてことは言えないけど。……でも、いかがわしいことをしてたとしても、一度確かめないと気が済まないわ」
「いかがわしいことはしてないってば。別に、見に来るのはいいけど。ただ、男の子っぽい格好してきなさいよ。変なコに思われちゃうわ。店員は女の子しかいないんだから」
変なコ、か。へん。自嘲する。実は、……女の子が好きなの。なんてね。そんなこと言えるもんか。変なコで悪いか。
そういう訳で、私は二人しかいない秘封倶楽部の、もう一人のメンバー、マエリベリー・ハーンが好きなのでした。
変なコで悪いか。
○●○●○●○●
オレンジ・ブロッサム。
ギムレット。
シンガポール・スリング。
ジン・トニック。
写真付きでカラフルなメニューに、カクテルの名前が沢山並んでいる。
「……何が何だか」
「あら。蓮子ってこういうの詳しそうなのに、そうでもないのね」
多すぎるのだ。ジンベースのカクテルの並びだけで、少なく見て30以上のカクテルが並んでいる。
「適当に選べばいいの。そうやっておいしいの知っていくのよ。私も勉強してるところ。あ、そうだ。私シェイクしてあげる。最近練習してるのよ」
あっち、と言って、メリーが店の端を示す。
「私を誘ってくれたゼミの先輩がバーテンダー目指しててね。もうすぐそうなるわ。色んなパフォーマンスもできて、時々イベントなんかも出るらしいわ」
メリーが示した店の奥は、半円形にカウンターが作られていて、女の子と一対一で喋る場ではなくて、なるほどそこはバーのらしさを残していた。店内に人はまばらだけど、そこだけはそれなりに人が集まっていて、中心では照明に照らされて一人の女性がシェーカーを振っていた。私はそれを見ながらふぅん、と言った。あんまり興味はない。
メリーが言っていたみたいに、いかがわしいお店ではないらしい。静かで、声を荒げる人もおらず、客は男の人ばかりけれど、妖しげな雰囲気はなかった。間接照明が豊富で、薄暗くて、木目と黒が基調の、雰囲気の良いバー、ただし店員は女性のみ。アンバランスだけど、正直言って好みだった。
ぱたり、とメニューを落とすと、もう、と言ってメリーがメニューを取り上げる。
「それで、何にするの?せっかく来たのに、飲まないなんて勿体ないわ」
「そう、じゃ、メリーのおすすめでいいわ。私、分からないから」
もう、とメリーは言った。「分からないなりに選ぶのが楽しいのよ」
メリーが一度奥に下がって、一人になった私は辺りをぼうっと見た。カウンターに肘をついて、案外狭い隣の席との距離とか、カウンターの奥にある色取り取りのリキュールやウイスキー、アルコール類のビンの列を……眺めた。その実、見て、追っているのは自分自身の感情だった。
こんなものか、と思い始めていたのだった。ガールズバーと言っても本当に女の子と話すだけで、そう広くない店内に数人の客、そして客に一人ずつ女の子がついて、あまり通らない声でお喋りをしている。店の奥では、客が増えてきた時の為の女の子が待機していて、それに応じて出てきたり、時間によって交代して休憩を回したりするのだろう。
そういう場所。けれど、当初感じていたそういうやらしさみたいなものはもう無くて、私が感じていたのは、私の知らない場所だということだった。知らない場所、知らない仕事。
(……知らないメリー。……私、嫌な子だ。嫉妬してる)
メリーが帰ってくる。素知らぬ顔で、片肘をついて傾き加減に、メリーを見詰める。じゃーん、とメリーの手には少し大きすぎるくらいのシェーカーを、見せびらかしてくる。
「買ったの?」
「ううん、借り物。ここでバイトしてるうちは買わないわよ、使わせて貰えるのに。辞めるときに、欲しくなったら買うわ」
メリーは話しながら、シェーカーに色々と入れていって、「うまくできるといいんだけど」そう言いながら腕を柔らかく伸ばして、確かめるように肘を曲げ、シェイクした。メリーはおっかなびっくりに見えたけど、伏し目がちに静かな表情をしていた。手首と肘を柔らかく使ったシェイクは激しく、けれど規則的に動いていた。激しい動きと、その向こうの落ち着いたメリーの表情は対照的で美しくて、私はぼうっとメリーを見ていた。格好良いな、と思った。ガールズバーとは言っても制服みたいなものはなくて、メリーは今日大学に着てた服装のままだ。さすがに店の中ということもあって帽子は被っていないけれど、そういう、普段と変わらない可愛らしい格好のままなのに、動作一つでこんなにも印象が変わる。いいなあ、と思った。昨日始めたばかりとは思えない、様になっている姿。すごく格好良い。照明に照らされていて、まるでステージのようで。
私が気付くと、目の前で無色の液体がグラスに注がれていた。ソーダを足して、軽くステア。
「はい、どうぞ」
メリーがすっと押すようにして、カウンターの上にグラスを置いた。
「トム・コリンズ。今、私が唯一何も見ないでできるカクテルよ」
ありがと、と私は呟いた。メリーがにっこりと笑った。
グラスを手に取って、口元に傾けた。ふわり、とレモンの香りが広がって、僅かな苦みと酸味が口の中に広がった。
「格好良かったよ。さっきの」
「そう? 良かった……案外簡単なのよ。でも、先輩やお店の人に比べたらまだまだだわ。手だけじゃなくて、肘でリズムを作るのが難しいんだって……」
言いながら、空想のシェーカーを掲げるように、腕を肩の高さに上げた。肘をゆるやかに伸ばし気味に。
「似合ってるよ」
「そ、そう? なんだか蓮子に言われたら嬉しいわ、ありがとね」
えへへ、とメリーは照れ隠しに笑った。私は何だか酔っているみたいだった。思ったよりカクテルがおいしいからかもしれない。
「ね、蓮子。私も何か飲んでいい?」
「店員さんなのに飲むの? いいの、それで」
「いいのよ。ガールズバーは一緒に飲んで、一緒に語らう場なのよ。それが普通なの。ね、お兄さん……っていつもは言うんだけど。今はお姉さん?何か、変だけど、まあいいわ。私も何か飲んでいいですか?」
メリーは口調を変えて、接客のものに変えてそう言った……そんな風に言われて断る客はそういないだろう。慣れている客なら、店員の方に、何を飲む、なんて先に聞いたりするのかもしれない。私はいいよ、と頷いた。わぁい、と小さく声を上げて、メリーは小さなメモ帳を開けた。あそこに、覚えていないカクテルのレパートリーがあるのだろう。私はぱらぱらめくって選んで、またシェーカーを振り始めるメリーの様子をぼんやりと眺めていた。
「……何だか、いつも通りみたいね。あんまり、話していること、普段と変わらないから」
一杯目のカクテルを飲み干す頃、私はそうこぼした。カウンターを挟んで、どこか上品にお酒を飲みながら、という状況は普段とは全く違ったけれど、話していることは普段通りの、ぐずぐずとした日常のことだった。何だかつまらなくて私はそうこぼした。
「それっぽい会話があるものじゃないの」
「蓮子はわがままね。友達のバイトを覗きに来たんなら、そんな雰囲気にはならないって分かるようなものだと思うけど。要は、知らない人と、おっかなびっくりに関わっていく感じが欲しいんでしょう」
「どんな風にするの?」
「そうね。最初は仕事何してるのかとか、今日は何してきたのかとか聞いたりして話題を見つけていくの。自分のことも話してみたりして、会話の切っ掛けを見つけるの。名前を聞いたりもするわね、なんて呼べばいいかって」
「そう、それよ。ねえメリー、普通のお客さんにするみたいにしてよ。どんな風に話すのか、興味があるわ」
えぇ、とメリーは驚きの声を上げた。
「今更、難しいわよ。メリーと他人みたいに喋るなんて……もう。ちょっと待っててね」
メリーは目をそらし、んん、うん、と咳払いの真似をしてみせた。
「初めまして、こんばんは。ガールズバーMERINGUEへようこそいらっしゃいました。ゆっくりとくつろいでいって下さいね。ドリンクは何にいたしましょうか?」
おお、と私はぱちぱち、小さな拍手を送った。それがきっと定型文、来客者への挨拶なのだろう。メリーは照れて、笑い顔を作ったまま続けた。
「そうね、ちょうどなくなっちゃったから、またメリーのおすすめでお願いするわ」
「ふふ、了解。じゃあ、オススメので作りますね」
メリーがまた、次のカクテルを作ってくれる。青色が美しいカクテル。
「チャイナブルー。女性には大人気のカクテルよ」
もう名前なんてどうでも良い。口に運ぶとライチの風味が口の中に広がって、甘口で飲みやすいそれを飲み、アルコールの風味を意識して、あぁ、酔っているな、と思った。
「ご挨拶が遅れました。私、マエリベリー、って言います。変わった名前でしょう? 仲の良い友達からは、メリー、って呼ばれます。そんな風に呼んで下さいね。……って、最初はいつもこう言うのよ。そうしたら、大抵はどこの国の人、って聞いてくれるわ。そうしたら話は、良く広がるのよ。それから、私はこう聞くの。……お客様のことはなんて呼ばせてもらったら、いいでしょう? 名前で呼んでも構いませんか、ってね」
そう言ってメリーはくすりと笑った。私は、知らない人にそんな風に呼ばせているのかと少し憤った。でも、知らない人だからいいのかもしれない。そういう仕事なんだろうし。考えがまとまらない。
「宇佐見蓮子。変わった名前でしょ?」
「ううん、そんなことない。蓮子の名前、とても美しいなって思ってたの、初めて会った時からずっと。……って、そんなんじゃなかったわね。蓮子さん、ですか。なら、蓮子、って呼んでもいいですか? そんな風に、初めての方でも呼び捨てで呼ばせてもらうようにすると、お客さんは喜ぶわ。同僚の人に教えてもらったの」
あぁ、と思う。メリーは楽しそうだなあ。グラスを傾けると、酩酊が流れ込むように酔いが回って、思考が分からなくなってゆく。楽しそうで、充実していそうで、羨ましい。
「ね。……蓮子は、普段は何をしてるんですか?」
何をしてるんだろ。大学に行って、講義を聴いて。あとは、だらだらと、本を読んだり、テレビを見たり、メリーとお酒を飲んだり喋ったり。メリーにもあんまり友達はいないみたいに見えたし、私と一緒にいるのが嫌そうじゃなかったから、それでいいと思ってた。でも、メリーが私から離れていくのなら、どうすればいいんだろう? 考えるまでもないことなのに、どうしてか不安になって、でもそんなことは言い出せなくて、何を話しているか分からないまま話した。何を言ってもメリーは楽しそうにうんうんと頷いて、メリーのその様子は本当のものか、接客だからなのか、私には分からなかった。
でも、すごく楽しかった。それが、お酒が美味しいせいなのか、メリーが楽しそうなのがやっぱり嬉しいからなのか、それかもうヤケになっているのか、私には分からなかった。
うおお、頭痛てえええ。
次の日の体調は最悪だった。
帰ると、財布からお金がごっそり消えていた。それと、どうやって帰ったのかは分からなかったが、財布から出てきた二枚の領収書が全て教えてくれた。一枚はタクシーの領収書。メリーが呼んでくれたのだろう。それから、二枚目はバーの領収書。ガールズバーのカクテルがこんなに高いなんて思いもしなかった。そもそも、メニューには金額は書かれていなかった。きっと、メニューの一番前か後ろに、一括で載せてあるのだろう。割と法外な通常の倍程度の値段が。
そう言う訳で、財布から貧乏学生にはとても安くはないお金がごっそりと消えて、メリーと楽しくお喋りなら学校で無料でできるのに、コストパフォーマンスが悪すぎると思った。もう行かないと心に決めた。
○●○●○●○●
と思っていたがそんなことは無かった。二度目のガールズバー。何をしているんだろう、と思ったけれど、楽しげに喋っているメリーの姿は、それが接客だとしても可愛らしくて、距離を隔てていることに憤りが生まれてくる。
何をしているんだろうと思った。メリーが言った冗談じゃないけれど男の子っぽい格好をして、サングラスをかけたまま、メリーから少し離れた席で、ちらちらとメリーの様子を伺っている。どうしたらいいんだろう。自分でも何をしてるのか今ひとつ分からなかった。
今日の、大学の昼休みのことを思い出してみる。
『それで、どうなの? ……うまくやってる?』
『何、何の話?』
あれから、二週間ほど経っていた。週に三度ほど、バイトに行っているのは知っていたが、メリーから言い出すこともなかったし、私も何となく聞きづらくて、初めて行った次の日にひどく酔ったことをからかわれて以来、メリーのバイトのことを話すことはなかった。
『……バイト。ほら。……ガールズバー』
『ああ。うん。まあまあ、かな。常連さんもできたし』
『常連さん?』
『うん。私目当て、って言うのかな。顔見知りになって、私の所に顔を出してくれる人』
『……うまくいってるってことなのかな』
『うん。……そうね、お店にいる人は皆、一人くらいは常連さんいるみたいだし。大人気の人は凄いのよ。十人くらいいて、いつも誰かと話してるの。だから、そういう、常連さんがついて、っていうのは嬉しいわ』
そう、とぽつり、呟くように言って、メリーの顔を見詰めたまま、言葉が止まってしまう。何となく、意地悪をしているような気分。そもそも、こんな話をしなければ良かったのだけど、どうしても気になるのは気になるのだから、どうしようもなくて。そう。どうしようもない。
『でも、困ったこともあるの』
『そうなの?』
『そう。一応ね、触るのとかはいけないんだけど、手とかね、握られると、やっぱり困っちゃうわ』
『……手?』
初耳だ。いや、そりゃ、ガールズバーだし、そもそも、男と女だから。そういうのも、あるのかもしれない。でも。
『……禁止なんでしょ?』
『そうなの。でもね、一応お客様だから、払うにしても失礼のないようにしなくちゃいけないわ。上手な人は、すっと上手に払ってしまうんだけど……今、練習中なの』
『……そう』
そうとしか言えなかった。言葉が続かなくて、うまく、言えない。
メリーが手を握られている。そう考えたときに、私が一番に思うのは、私だって、メリーと手を握ったことなんて、数えるくらいしかないのに、ということだった。メリーが仕事で、嫌で困っているのに、私は自分のことばかり。そのことに気付くと、また、惨めになって、何も言えなくなるのだ。
今日の、大学でのメリーとの会話を思い返してみるに、メリーが男の人と手を握っているなどと言い出すから悪いのだ。いや、悪い訳ではないけれど。仕事には嫌なことだってあるものだし、そういう愚痴は素直に言わせてあげるべきなのだ。
でも。だからと言って。私はニット帽を目深にして、ちびちびとカクテルを飲みながら、眼前で行われている、常連の男と、メリーの攻防をちらちらと盗み見している。
あっ。握った。メリーも振り払いなさいよ。……払った。ふう、と息をついて、でも、再び男の手が伸びて、あまり露骨に手を逃がす訳にもいかないらしいメリーは、されるがままにしている。くそっ。私だって殆ど握ったこともないのに。くそ。離せ。その手を離せッ。
男の手は、嫌なことに、両手をもってメリーの手を撫で回すような露骨なものではなくて、さりげなくメリーの手を握っているような、初デートならば理想的と思えるような紳士的な態度で、余計に腹が立った。スーツ姿のその男は、真面目そうでありながら、何となく感じも優しげで紳士的なのだ。あんたみたいに感じの良い男だったらこんな出会い系みたいなとこ来ないでも社内恋愛できるでしょう。こんなところに来るなッ。その手を離して帰れッ。
また握った。離した。二人の会話までは、こちらに届いて来ない。まるで睦言のようにひっそりと交わされている。『かわいいね。ねえ名前なんていうの』『あ、メリーって言います』『そうなんだ。ふーん。かわいいね。髪も長くて、綺麗な金髪だし。あんまり見ないよね。仕事終わったら遊ぼうよ。これ、こっちの連絡先』……いや、いきなり遊ぼうはないかな? うーん、男慣れのしない学生生活が長かったせいで、ナンパの文句が思いつかない……じゃなくって。メリーがそんな尻軽じゃないってことは知ってるけど、そういう問題じゃないのだ。とにかく、そういう会話が交わされているかもしれないことに、私は苛立つ。許せない。私のメリーに。
私の。いや、私のでもないけど。これはいけない感情ではないだろうか? メリーが好き、とは言っても、いつでも一緒にいられる訳はない。いくらでもメリーを拘束しておける訳もない。私には私の、メリーにはメリーの時間がある。
私はメリーにとってどれくらい、時間を割く価値があるんだろう。メリーに親しい友人がいるという話は聞かない。でも、いるんだろうな、と思う。大学のゼミ。もしかしたら、学外の友人。バイトの友人。高校の頃の、中学の頃の。幼馴染み。近所の人。私の知らない趣味があったら、趣味の友達。全部、私の知らないメリーだ。聞けば教えてくれるのかもしれない。でも、メリーも、話したくないこともあるだろう。私達はまだ出会って一年未満。私とメリーの間には隔たりがあって、いつかは埋められるかもしれないけど、今はここにある隔たりを感じてる。
私が知らない過去には誰かと語り合って、手を繋いで、付き合ったりしたことはあるのだろうか。今はいないそうだけど、もしかしたら、口説かれたり、食事に行ったりしている友人がいるのだろうか。メリーの隣で、手を繋いでいる誰かの姿を想像すると、殴り倒したい気分になる。
……そう考えている間にも、男は五回メリーの手を握った。スーツの紳士然とした男だが、マナー違反を繰り返している。くそうエセ紳士め。でも、周りはあまり、咎める気配はない。公然の秘密のようなものかもしれない。
私の手の中には、空になったグラスがある。投げられるんだぞ。私はこれを投げられるんだぞ。だけど、それにはリスクが必要だ。メリーはバイトをクビになるか、そうじゃなくても居辛くなるだろう。メリーとの関係にもひびが入るかもしれない。
また握った。見ていたって、何も出来ない。ただ見ているだけ。
来るべきじゃなかった。
「……お兄さん、メアリーさん狙い?」
「え?」
声を掛けられてから、目の前の女性に声を掛けられたのだと、はっと気付いた。メアリー? そう思ってから、あぁメリーのことかと思う。ここでは皆源氏名を使うのだろう。
『お客さんの中には、考え事してて、話しかけられたくない人もいるから。そういう時は、あんまり声をかけないこともあるのよ。黙って、グラス磨きでもしてるの』あぁ、メリーはそうも言っていたな。私がメリーを見ている間、この人はずっと前に立っていたのだ。
「ずっとメアリーさんのこと見てたでしょう。少し、寂しいなと思っちゃって。グラス、空ですよ。何か作りましょうか?」
女性はそう言って笑いかけた。化粧っ気のない、さっぱりした人だ。こういうと悪いかもしれないけれど、水商売をするには、いかにも普通の人だ。道行く女性、時には学生でも化粧の濃い人がいるが、それよりも薄い。この店は、変わった人が多い。水商売として変ということは、つまり世間的に普通の人。あまり女性を感じさせない。
「あ、えぇ、はい」
「あら。お兄さん、声高いんですね。でも、うるさくないし、良い声です。可愛らしい顔立ちしてるし、髪も長いし、女の子みたい」
みたい? ……女性は、「こちらのお任せで作りますね」そう言って振り返った。女の子みたい。私はむっとした。でも、こんな所に来る女性はいないのだろう。
「メアリーさんをお待ちですか? でも、もう少し、難しいかも。ほら、メアリーさん、人気だから。外国人? ハーフ? ……まぁ、そんな感じで、目を引きますよね。初めての方でも、結構話したいって方、多いんですよ」
「へ、へぇ、そうなんですか」
私は怪しまれないように、心持ち声を低く保って、答えた。女性が青いカクテルを差し出す。「ブルー・ムーン・カクテル」そう、女性が呟く。
「ブルー・ムーンは……その名前の通り、青い月という名前です。でも、もう一つ意味合いがあって、『叶わぬ恋』……って言うんです。一応、店は店、客と店員の間柄ですから。手出しは御法度。……ですよ」
それとなく、釘を刺されてしまった。そんなつもりではないのに。そもそも、あそこにいるのは大学の知り合いだ、と言ったら、余計に怪しまれるだろうか。大学でも一緒なのにこんなところまで追い掛けてくるなんて、みたいな。
『叶わぬ恋』……叶わない、恋路だろうか。虚しい。メリーは、私のことを、どう思っているんだろう。私は、その青いカクテルを、一息で飲み干した。
「大丈夫ですか? もしかして、怒っちゃいましたか。ごめんなさい。私の奢りにしておきますから。許して下さいね。もう一杯作りましょうか?」
胸の奥に、焼け付くようなアルコールの感触がある。苛立ちも、もやもやした迷いも、全部焼け付くようだった。
「もっと、明るい由来のあるカクテルにして」
「はい、はい」
女性は明るく、あやすように言った。無邪気で子供っぽい仕草。仕事としての媚態だろうか。メリーも、こんな風に、大の男を弄んでいるのだろうか。私の知らないメリー。
女性が、カクテルを二つ持って、帰ってくる。
「私も、一杯頂きますね。ねえ、お兄さん。私達、まだ互いに名前も知らないわ。私、百合子って言います。お兄さんの名前、教えて下さい。一緒に仲良く、お話しましょうよ」
またもや飲み過ぎたのだった。
百合子さんに肩を貸されて、外に出た。外のベンチに座らされて、店の人が隣で膝を突いて、私を見ていた。
「タクシー呼びましたから。もう少し、待って下さいね」
肌に触れる空気は冷たかった。都会は風が強いし、3月と言っても、夜はまだまだ冷える。でも、頭の中は何かがぐるぐると回ってて、全身が熱かった。気分は良くなかった。ただ、酩酊だけが、私の身体を支配している。きちんと思考さえ巡らないほどに。
「……う」
「あ、吐きそう? どうしよっかな。一度吐かせた方がいいかな。タクシー来るまで我慢できそうですか?」
「ん、大丈、夫……」
口元を押さえて、吐き気が去るのを待つ。その間、百合子さんは私の背中をゆっくりとさすっていてくれた。ふぅ、と落ち着いて手を下ろすと、百合子さんはきょろきょろとタクシーを探す気配がする。私も顔を上げてみる。世界が揺れている。揺れる視界の端に、何かが映る。私と同じように酔っ払って、肩を貸されて出てくるガールズバーの客の姿だ。ああみっともないなあ、ああいう姿を私もしているんだなあとぼうっと思う。
ゆっくりと、客を支えているスタッフの姿が見えてくる。印象的な金の髪。私はそれがメリーと分かっても、何かをすることはできなかった。ただじっと見つめていた。
私とメリーの間には、深い溝があるみたいに隔たりがあった。メリーがひどく、遠く見えた。メリーは何も知らない。だから、そう思うのは、私のやましさだ。私が見ている前で、メリーが男を介抱している。立てなくなって、道の端に腰を下ろす。メリーが声を掛ける。ペットボトルのお茶を手渡している。きょろきょろと道路を見渡している。さっき、百合子さんが私にしてくれたみたいに。
「あ、タクシー来ましたよ」
百合子さんが顔をあげ、私を見る。私は百合子さんの声もどこか遠くに感じている。メリーが顔を上げる。来たタクシーを、自分の目の前の男の為に呼んだものだと思って、顔を上げる。私と目が合う。
私と目が合う。メリーが訝しげに、私の姿を認め、だけどメリーの中の蓮子像とはすぐに結びつかない。こんなところに、宇佐見蓮子がいるのは不審だから。ガールズバーのスタッフに寄り添われて、まるで酔いつぶれたみたいにしている宇佐見蓮子の像は、メリーの中ですぐには結びつかない。
私の目の前で、男がメリーの腕に触れる。服を引いて、耳元に口を寄せる。男の口元がメリーの頬に近付く。
「メリー!」
叫んで、立ち上がった。無理矢理に力を込めた足がつんのめって、前に転んで肘と膝を地面に打ち付け、壁に寄りかかるみたいにして立ち上がった。男も、メリーも、驚いて私を見ている。
「メリー、あ、あなたは……っ!」
「蓮子……?」
メリーの声は聞こえなかったけど、口の動きは、私の名前を呼んだように見えた。
今ひとつ記憶がない。気付くと、床に横たわっていた。吐いた跡が残っている。意識が戻っても、起き上がる気分になれず、そのまま伏せていた。全身から力が抜けているということが、奇妙に心地よい。少しして、立ち上がろうと身体に力を込めると、背中がずきん、と痛んだ。変なところで寝ていたせいで、骨が痛んでいた。
昨日のことは曖昧にしか思い出せない。昼間に大学で、メリーのバイトのことを聞いて。こっそりとバーに忍び込んで、飲み過ぎて、外に出て。キスされそうなメリーを見る。
立ち上がって、メリーを呼んだのは覚えている。酔いと怒りで世界が回って、ぐわんぐわんと音が鳴っていた。視界の端がぐるりぐるりと巡って、中心だけはやたらとはっきり見えているのに、実際の動作はゆっくりとしか見えない。そんな風に、夜中の町が風景として流れた。だけど、私はメリーしか見ていなかった。メリーも私を見ていた。
そういう中で、私はメリーに激昂した。
……ふう、と息をつく。どうしようかな、という気分だ。今家にいるということは、なんとかして帰り着いたのだろう。でも、あの時メリーはどんな顔をしたのだろう。どんな声をかけたのだろう…どんな風に、私をタクシーに押し込んだのか……
メリーがああいうバイトをして、時折男の人に手を握られたりするのは自由だ。それを、私が嫌だから止めてほしい、とは言えない。
台所に行って、グラスに水を入れた。水を飲むと、頭が少し冴えた。でも、どうしたらいいかは、全然分からないままだった。
夕方だった。窓の外には、夕焼けの残光が僅かに残っている。町の中はもう暗く、外灯が灯っている。大学をサボってしまった。昨日の今日だから、メリーは心配しているかも知れない。
明日は大学に行こう、と思った。メリーに会って、謝ろう、と思った。
陽光のかかるカフェテラス。昼休みが終わったあと、私達がいつも待ち合わせする席に、メリーは一人で座っていた。メリーの姿を見た時、どきり、と心臓が動いた。いないかもしれない、と思っていたから。私がメリーを見つけると、メリーも私を見返して、一瞬緊張が走ってから、ふわりと笑った。
……昨日、大学サボったでしょう?
私がメリーの前に座ると、メリーの方から、そう言った。
「でも、仕方ないわよね。あんなに酔っぱらってたもの」
「……そんなに酔ってた?」
「うん。凄かったよ」
くすくす、とメリーが笑う。
「蓮子ってもしかして酒乱の気があるの? だったら将来困るかもね。蓮子をお嫁さんにする人は」
「……もう。……ないわよ。こないだは偶然……」
「なら、何があったのか、覚えてるの?」
メリーは咎めるでもなくて自然だった。
「……メリーに怒鳴ったの覚えてる」
「うん。びっくりした」
「……だってさ。……メリーに、キスしようとしたし」
「……キス?」
きょとん、として私の目を、メリーが見ている。
「昨日酔っぱらってた男がさ。メリーの頬にキスしようとしてた」
「そうなの? また会おうよ、って囁かれたけど、そのときかな」
「……そう、なの。早とちりだったのかな。……ごめんね」
「ううん、いいわよ。嫌だもの。それで怒ったの?」
「だってさ。……ああいうとこで働くっていうのはさ。向こうは、それくらいしてもいい、って思うじゃない。私、……私がさ、メリーのことに口出ししていいか分かんないけど。良くないよ、そういうの」
「蓮子……」
ああ、言っちゃったなあ、と思う。もっと早くに言っておけば良かったのに、と思う。どうせ吐き出すなら。
「メリー、やっぱりさ。ああいうバイト……良くないよ」
「蓮子、私……」
「言わないで、メリー。……私は分かってる。メリーが好きでしてることで、別に男の人に手を握られたりするくらい、気にしないのも分かってる」
一度吐き出しちゃうと、伝えたいけどどうしたらいいか分からなかった言葉がそのまま溢れてくる。メリーがどう思うかなんて、自分でも分からない。でも、止まらない。
「でもね、……ごめん、私、嫌な子だ。メリーにね、そんな風にしてて欲しくないの。メリーがそんなのするべきじゃない、っていう心配じゃない。私のワガママなの。他の人に手を握られるような仕事、メリーにしてて欲しくない」
カフェテラスの騒がしい雰囲気だけが辺りに溢れてるのに、私の周りだけ沈黙が漂ってるみたいに静かだった。メリーがぽつりと呟く。
「……今度はね、ペットショップで働くの」
「へ?」
「もう目処もつけてるのよ。元々、ガールズバーも人が抜けて足りないから、二週間くらい入ってくれって言われてやってたのよ」
「……そう、だったの」
何となく気抜けする。馬鹿みたいだなあと思う。一人で勝手に空回りして。私が気抜けしたのと反対に、メリーが手振りを交えて喋り始める。
「で、その次ももう考えてるの。ペットショップは半年くらい続けたら次はゲームセンターの店員とかどうかなって。
私ね、私、ガールズバーのバイトの話を持ちかけられた時、うーんって思ったんだけど……これはきっかけかも……って思ったの。そういう、新しい仕事とか色々やって、挑戦してみたいな、って思って。あんまり男の人と付き合ったことはないから、そういうの、不安だったけど……何事も経験だ、ってさ」
そうだったんだ、と思う。メリーは立派だなあ。色んなことをして、自分を高めようとしている。
「メリー、ごめんなさい」
「何、急に。どうしたの」
「まだ、ちゃんと謝ってなかったから。……メリーを信じられなくて、こっそりとしてたのが悪いと思ってる。本当にごめんなさい。勝手に忍び込んでメリーを見てたりして…それから、店の人にも迷惑をかけたし……あの男の人もびっくりしてただろうし……いや男はどうでもいいんだけど……」
「それと、ぶっ倒れて家まで送ったのもね」
「そんなことしたんだ……ごめんなさい……」
「いいわよ。今度焼き肉奢ってね」
あはは、と私が笑うと、メリーも笑った。やっと、元に戻ったような気がする。やっぱりちょっとしこりはあるけれど。そのうち、日々を過ごすうちに、摩耗して消えていくだろう。
「私だってこっそりやってたの良くないと思うし。……それとね、蓮子。私、もう一つ隠してたことがあるの」
「ええ?」
「蓮子、私実は女の子が好きなの」
びくり、と身体が震える。頭の中が見透かされたような気がした。
「あはは、嘘よ、嘘。今日はエイプリルフールでしょ。びっくりしちゃった?」
ああ、と思った。今日は4月の1日だから。
「それと蓮子、あなたと会って一年目ね。はい、プレゼント。こっちは嘘じゃないわよ」
「え、今日だったっけ、メリーと合ったの……」
「うん。そうよ。入学式の前に、部活とかゼミを見学しに来たら蓮子に会ったのよ。蓮子も部活を見ててどれも下らないって言ってたじゃない」
そう、そうだった。私達はカフェテラス隅に座り込んで、そんなことを喋ったのだ。
私は訳もなく哀しくなって、はらはらと涙をこぼした。
「ど、どうしたのよ、蓮子。そんなに嬉しかったの?」
「ううん。……ねえ、メリー、聞いて。……実はね……私も、女の子が好きなの」
「本当?」
「ううん、嘘よ」
そう、嘘。嘘だ。勿論。当然の嘘。今日はエイプリルフールだから。私はメリーが好きだ。でも、それを伝えられなくたって、いい。
メリーと一緒でなくたって、いい。
「……うん、嘘。エイプリルフールだもの。嘘なの……」
蓮メリ最高です!
二人の今後に幸あれ。
秘封の醍醐味だと思います。
こっそりメリーの様子を伺う蓮子が可愛くてもう…!
甘酸っぱい秘封をありがとうございました。
嫉妬しちゃう蓮子も可愛かったです。
知り合いが知らない人と楽しくトークする焦燥感とかパねえ
面白かったです
蓮メリは末永く幸せに爆発してほしい
そして二度目、メリーさんを覗き見ている間にあの野郎に向かって一緒になって拳を握っていました。よく耐えた。そして、よく怒鳴った。あんな不届きヤローは許されざるものなのだ。
常時顔をひきつらせながら読んでいました。面白かったです。
そして吐きます。
最後の嘘のつきあいもなんだか自然な駆け引きのようでいて、その実、お互いが自分自身に嘘をついているようで、哀愁が湧きました。
>「今更、難しいわよ。メリーと他人みたいに喋るなんて……もう。ちょっと待っててね」
これ蓮子の間違いではないかしら。
嫌いな味じゃないです。むしろ好き。
蓮子はそのくらいメリーのことしか頭になくなっちゃえばいいのです
バーというものは実に良いですねぇ
>変なコで悪いか。
ここがほんっとうに好きです、大好き
関係を深めるんですね。いいですね。
って、まだ一歩進むまでには時間がかかりそうですね。
メリーをとられちゃうと不安な蓮子ちゃんとってもとってもかわいかったです!
別に一緒でなくてもいいとfox and grapeしちゃうところもとってもかわいいです!
自称紳士(この場合は他称だけど)は死ねば良いと思うよ(鼻ホジ)