皆さま、こんばんは。
わたくし、泣く子は黙る、黙った子は死ぬ、最強の都市伝説。
そう、あの捨てられた人形がどうとか言う、都市伝説でございますのよ。
今宵も戯れに選ばれた、哀れな犠牲者を魂消させて暇つぶしと言う死を贈りましょう。
さぁ、存分に甘い悲鳴を轟かせ、この耳を通して、わたくしを楽しませて頂戴な。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしもし、私メリーさん、今あなたの、――えッ何ですって、よく聞こえないわ、何かゴトゴト言ってて、何、えッ嘘ッ!あなたもメリーさん?そんな・・・信じられない、えッ嘘じゃないって、何よそれ、意味の分からないことを仰らないで!」
まァッ、こんな展開、私も初めてだわ、つい取り乱しちゃう。
まさか、電話先の相手もメリーだなんて。
「えっ、落ち着いて下さいって、落ち着いてるわよ失礼ね。うん、うん、私もメリー、あなたもメリー、別に不思議な事でも何でもないでしょう?せめて意味だけでも理解は出来るでしょう?」
ですって。
表面上は一応こちらを立てて、その実憐れみを含んだ疑問形で説教垂れるとか、このメリーとか言う小娘、完全に舐めてるわ、都市伝説〈メリーさん〉舐めてるわ。
どっちが偽物か、きっちり分からせなきゃ。
「――えっ、だから偽物とかじゃ無い?うん、うん、私もメリー、あなたもメリー、みんな違ってみんな良い、うん、うん、大丈夫理解した!」
この小娘、本当に喧嘩売ってるわ、わたくしが理解してないと踏んで同じ説明してきたわ。
都市伝説〈メリーさん〉相手に、焦らず丁寧な対応、どんだけ怖いもの知らずなのかしら。
「――うん?用事?いや、別に特に用事があるって訳でも、ブツッ、ツーツーツー」
あぁ、通話きりやがったわ、都市伝説〈メリーさん〉がまだ喋ってるにも関わらず一方的にね。
こりゃ、本気出すしかないわ、恐怖のどん底に落とすしかないわ。
都市伝説最強、恐怖のどんぞっ子と呼ばれたわたくしの本気でね!
「――もしもし、私メリーさん、今あなたの」
「お客様のお掛けになった番号は現在、電波の届かないところに」
「圏ッ外ッ!」
やりにくいわぁ、都市伝説〈メリーさん〉やりにくい時代になったわぁ。
昔は繋がりさえすれば一発でKO〈ノックアウト〉だったのに、今じゃ電波状況とか機種変更とかで繋がるのも容易じゃないわ。
最近替えたばっかりのスマホも今いち使い方分からないし、イライラするわぁ。
みんな、なんで番号替わったらすぐに連絡くれないのかしら、イライラするわぁ。
まぁいいわ、気を取り直して、ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル…」
やっと繋がったわ。
「がちゃッ」
「――もしもし、私メリーさん、今あなたの街まで来てるの」
決まった、決まったわぁ、とうとう都市伝説〈メリーさん〉いんしたお。
マジで泡吹く何秒前だ、コラ!まだまだ、この程度じゃ失神させないわよ!
「えっ、何で謝ってるんすか?え…、今京都には居ない?ヒロシゲ乗って旅行中?あぁ、それで何かさっきからゴトゴト言って、さっき携帯切れたの、もしかしてトンネル入った?あぁ、そうだよね分かる分かる、って、え、ちょwまw、え、今どこよ?・・・小田原?遠すぎわろた」
どうすんのよ、都市伝説〈メリーさん〉大見得切ったのに、いないとか!
しっかり下調べしてから来たのに、台無し。ダイ・マル・デ・ナシ。
都市伝説〈メリーさん〉には、対象の急な移動に対するホーミング機能は付属してないし、打つ手無しなの?
なんなの、あの小娘は、クラッシャーなの?何かそう言う能力を持ってるの?
丸潰れだわ、都市伝説〈メリーさん〉の面目丸潰れだわッ!
許さない、絶対に許さない、これは逆恨みでは無い、下すのは純然たる正義の鉄槌である。
滅すべし、偽メリー、その存在全てを、最強の都市伝説〈メリーさん〉の名に懸け、可及的速やかに滅すべし。
一輪の情も、蜜の如き憐憫も要らぬ、ただ無慈悲に、ただ理不尽に、その命を刈り取るべしッ!
ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしもし、私メ」
「毎度お世話になっております、除霊大好き命蓮寺、無情な一輪でございます!」
がちゃッ。
あッぶない!
これじゃわたくしが、刈り取られちゃうわ。
何なの、罠なの、小娘の仕掛けた罠なの?
とにかく、ダイアルは慎重にしなくちゃね。スマホ怖い。
ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしも」
「お電話ありがとうございます、カレー大好き命蓮寺、甘口限定村紗でございます!」
がちゃッ。
だwれwだwよww
って言うか寺がカレー好きみたいになってる、好きなのお前だろ!
しかし、なんで寺に繋がるw
わたくし、余りの舐められっぷりに、すっかり動揺してしまい、手が震えて上手くダイアル出来てなかったのですわ。
6と8ややこしいわぁ、そうリ・ダイアル、そんな機能が確か取説に載ってたわ。
これを使えば、掛け間違いも無いですわ!
神は言った。
リ・ダイアル、本当に便利、大好きリ・ダイアル、と。
――と、まぁ冗談はここまで。
今宵も戯れとしては、十分に楽しませて貰ったわ。
でも、残念ながらそれもここまで。
天文学的な数字を越えて、折角出逢えた、この奇跡。
同じ名前を持つわたくしとあなた。
もう少しこの時間を楽しみたいけれど、わたくしは残酷な淑女〈レディ〉。
長電話は好みませんの。
申し訳無いけれど、諦めて下さいな。
都市伝説〈メリーさん〉と会話した者は何人たりとも死からは逃れられない。
だから、これで、オ・シ・マ・イ。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「――もしもし、私メリーさん、今あなたのすぐ、隣にいるの」
さようなら、もう一人のメリーさん。
「…えっ、何ですって?…私の隣は蓮子の特等席ですって?…あッ、そ、そうなんすか、そうっすよね。ど、どうしたんすか?何か隣から照れ笑いみたいなのが…、あぁ、それが蓮子さんで、い、いえ…替わりましょうって?いえいえ、結構でございますよ、いやいやこれ以上は勘弁して下さいよ…いや本当に大丈夫です、死ぬ、本当に死ぬんで、替わられても死ぬだけなんで、こっちが。…はい、はい、いえ、なんかこっちこそスンマセンした、いえ、大丈夫です、本当に特に用事があるって訳でも無いので、はい、はい、ではその蓮子さんによろしく、はい、はい、お伝え下さい、はい、では失礼しますぅ」
――あぁ、なんて甘美な夜。
わたくし今夜は気分が良いので、これぐらいで許してア・ゲ・ル。
わたくし、泣く子は黙る、黙った子は死ぬ、最強の都市伝説。
そう、あの捨てられた人形がどうとか言う、都市伝説でございますのよ。
今宵も戯れに選ばれた、哀れな犠牲者を魂消させて暇つぶしと言う死を贈りましょう。
さぁ、存分に甘い悲鳴を轟かせ、この耳を通して、わたくしを楽しませて頂戴な。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしもし、私メリーさん、今あなたの、――えッ何ですって、よく聞こえないわ、何かゴトゴト言ってて、何、えッ嘘ッ!あなたもメリーさん?そんな・・・信じられない、えッ嘘じゃないって、何よそれ、意味の分からないことを仰らないで!」
まァッ、こんな展開、私も初めてだわ、つい取り乱しちゃう。
まさか、電話先の相手もメリーだなんて。
「えっ、落ち着いて下さいって、落ち着いてるわよ失礼ね。うん、うん、私もメリー、あなたもメリー、別に不思議な事でも何でもないでしょう?せめて意味だけでも理解は出来るでしょう?」
ですって。
表面上は一応こちらを立てて、その実憐れみを含んだ疑問形で説教垂れるとか、このメリーとか言う小娘、完全に舐めてるわ、都市伝説〈メリーさん〉舐めてるわ。
どっちが偽物か、きっちり分からせなきゃ。
「――えっ、だから偽物とかじゃ無い?うん、うん、私もメリー、あなたもメリー、みんな違ってみんな良い、うん、うん、大丈夫理解した!」
この小娘、本当に喧嘩売ってるわ、わたくしが理解してないと踏んで同じ説明してきたわ。
都市伝説〈メリーさん〉相手に、焦らず丁寧な対応、どんだけ怖いもの知らずなのかしら。
「――うん?用事?いや、別に特に用事があるって訳でも、ブツッ、ツーツーツー」
あぁ、通話きりやがったわ、都市伝説〈メリーさん〉がまだ喋ってるにも関わらず一方的にね。
こりゃ、本気出すしかないわ、恐怖のどん底に落とすしかないわ。
都市伝説最強、恐怖のどんぞっ子と呼ばれたわたくしの本気でね!
「――もしもし、私メリーさん、今あなたの」
「お客様のお掛けになった番号は現在、電波の届かないところに」
「圏ッ外ッ!」
やりにくいわぁ、都市伝説〈メリーさん〉やりにくい時代になったわぁ。
昔は繋がりさえすれば一発でKO〈ノックアウト〉だったのに、今じゃ電波状況とか機種変更とかで繋がるのも容易じゃないわ。
最近替えたばっかりのスマホも今いち使い方分からないし、イライラするわぁ。
みんな、なんで番号替わったらすぐに連絡くれないのかしら、イライラするわぁ。
まぁいいわ、気を取り直して、ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル…」
やっと繋がったわ。
「がちゃッ」
「――もしもし、私メリーさん、今あなたの街まで来てるの」
決まった、決まったわぁ、とうとう都市伝説〈メリーさん〉いんしたお。
マジで泡吹く何秒前だ、コラ!まだまだ、この程度じゃ失神させないわよ!
「えっ、何で謝ってるんすか?え…、今京都には居ない?ヒロシゲ乗って旅行中?あぁ、それで何かさっきからゴトゴト言って、さっき携帯切れたの、もしかしてトンネル入った?あぁ、そうだよね分かる分かる、って、え、ちょwまw、え、今どこよ?・・・小田原?遠すぎわろた」
どうすんのよ、都市伝説〈メリーさん〉大見得切ったのに、いないとか!
しっかり下調べしてから来たのに、台無し。ダイ・マル・デ・ナシ。
都市伝説〈メリーさん〉には、対象の急な移動に対するホーミング機能は付属してないし、打つ手無しなの?
なんなの、あの小娘は、クラッシャーなの?何かそう言う能力を持ってるの?
丸潰れだわ、都市伝説〈メリーさん〉の面目丸潰れだわッ!
許さない、絶対に許さない、これは逆恨みでは無い、下すのは純然たる正義の鉄槌である。
滅すべし、偽メリー、その存在全てを、最強の都市伝説〈メリーさん〉の名に懸け、可及的速やかに滅すべし。
一輪の情も、蜜の如き憐憫も要らぬ、ただ無慈悲に、ただ理不尽に、その命を刈り取るべしッ!
ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしもし、私メ」
「毎度お世話になっております、除霊大好き命蓮寺、無情な一輪でございます!」
がちゃッ。
あッぶない!
これじゃわたくしが、刈り取られちゃうわ。
何なの、罠なの、小娘の仕掛けた罠なの?
とにかく、ダイアルは慎重にしなくちゃね。スマホ怖い。
ピッ、ピッ、ピッ、とな。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「もしも」
「お電話ありがとうございます、カレー大好き命蓮寺、甘口限定村紗でございます!」
がちゃッ。
だwれwだwよww
って言うか寺がカレー好きみたいになってる、好きなのお前だろ!
しかし、なんで寺に繋がるw
わたくし、余りの舐められっぷりに、すっかり動揺してしまい、手が震えて上手くダイアル出来てなかったのですわ。
6と8ややこしいわぁ、そうリ・ダイアル、そんな機能が確か取説に載ってたわ。
これを使えば、掛け間違いも無いですわ!
神は言った。
リ・ダイアル、本当に便利、大好きリ・ダイアル、と。
――と、まぁ冗談はここまで。
今宵も戯れとしては、十分に楽しませて貰ったわ。
でも、残念ながらそれもここまで。
天文学的な数字を越えて、折角出逢えた、この奇跡。
同じ名前を持つわたくしとあなた。
もう少しこの時間を楽しみたいけれど、わたくしは残酷な淑女〈レディ〉。
長電話は好みませんの。
申し訳無いけれど、諦めて下さいな。
都市伝説〈メリーさん〉と会話した者は何人たりとも死からは逃れられない。
だから、これで、オ・シ・マ・イ。
「ぷるるるル、ぷるるるル、ぷるるるル、ッがちゃ」
「――もしもし、私メリーさん、今あなたのすぐ、隣にいるの」
さようなら、もう一人のメリーさん。
「…えっ、何ですって?…私の隣は蓮子の特等席ですって?…あッ、そ、そうなんすか、そうっすよね。ど、どうしたんすか?何か隣から照れ笑いみたいなのが…、あぁ、それが蓮子さんで、い、いえ…替わりましょうって?いえいえ、結構でございますよ、いやいやこれ以上は勘弁して下さいよ…いや本当に大丈夫です、死ぬ、本当に死ぬんで、替わられても死ぬだけなんで、こっちが。…はい、はい、いえ、なんかこっちこそスンマセンした、いえ、大丈夫です、本当に特に用事があるって訳でも無いので、はい、はい、ではその蓮子さんによろしく、はい、はい、お伝え下さい、はい、では失礼しますぅ」
――あぁ、なんて甘美な夜。
わたくし今夜は気分が良いので、これぐらいで許してア・ゲ・ル。
なんでメリーさん諦めてしまったん
最後、なぜ諦めたのかが、よく分からないなぁ。
必殺の都市伝説を逆に殺しに来るとは、秘封倶楽部、恐ろしい子ッ!
あと電波ナチュラルに大結界越えるなwww
こういうギャグは嫌いじゃないです。