紅魔館の書斎に、ペンを走らせる音と、本をめくる音だけが響く。
物書きをしているのは紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
本を読んでいるのは地霊殿の主、古明地さとりだ。
レミリアは、基本的に自分が仕事をしている姿を他人に見せたりはしない。
貴族は庶民のようにあくせく働くものではないという妙な矜持があるからだ。
だからといって、不労所得も良しとしない。
ただ遊んで暮らすのは高等な存在に相応しくないという拘りも持っている。
そんな矛盾を抱えているため、レミリアは自室に篭もって誰にも見られないようひっそり業務をこなすのが常となっている。
しかし例外的に数名、レミリアがその姿を見せる存在がいる。
無二の親友であるパチュリー・ノーレッジや、最も信頼している従者の十六夜咲夜などがそれだ。
加えて今ここで静かに本を読んでいる古明地さとりも、その例外に含まれる1人だ。
「んー…」
ペンを置いて大きく伸びをするレミリア。
「本日のお仕事は終わりですか?」
それに合わせて栞を挟み、本を閉じるさとり。
「待たせてしまった?」
少し申し訳なさを含ませるレミリアに、さとりは優しく笑って返す。
「いいえ。あなたと一緒に過ごす時間は、とても早く感じられますから」
それはさとりの本心だった。
2人が別々の行動をとっていても、ただ一緒の空間にいられるだけで、お互いに満ち足りた気持ちになれるらしい。
さとりの言葉にほっとして、レミリアの表情も柔らかくなる。
「…いい時間だわ、お茶にしましょう」
そう言ってベルを鳴らす。
「お呼びでしょうか?」
ベルを鳴らし終えるのとほぼ同時に、扉の向こうから咲夜の声がする。
「紅茶の用意をお願い。…そうね、今日はウバがいいわ。それにミルクと、あとはティーハニーもお願い」
「かしこまりました」
言い終わると同時に、部屋の外の気配が消える。
「相変わらず、優秀なメイドさんですね」
「たまに優秀過ぎることもあるけどね。…それでいて、妙なところで抜けていたりもする」
"人間らしい"と笑うレミリア。
心を覗かずとも、その表情と言葉から2人の信頼関係が垣間見えるようだ。
「さとりのペットたちも、とても素晴らしいと思うけどね」
そう悪戯っぽく笑うレミリアに、溜息をつくさとり。
「…まさか"お客様"をいきなり攻撃するとは思いませんでしたよ…」
さとりは眉をひそめる。
「身を挺して主人を守ろうとする気概は素晴らしいけどね。あとは、客の顔とその日の予定を覚えていられれば尚良い」
「周知徹底させますよ。まあこれがなかなかに大変なのですが…」
先程まで静寂を保っていた書斎に、2人の柔らかな笑い声が満ちる。
2人が談笑していると、扉をノックする音が聞こえた。
「失礼します」
「入って」
ティーポットやカップを乗せたワゴンを押して、咲夜が入ってくる。
「お待たせしました。ウバ紅茶とミルク、それにティーハニーです」
「ありがとう、咲夜」
レミリアのねぎらいに、にっこりとほほ笑んで返す咲夜。
「はい、それでは失礼致します」
それだけ言って、紅茶をそそぐはずの従者は静かに退室した。
普段は勿論咲夜が全てをこなすのだが、さとりが来た時だけはこれが通例となっている。
レミリアはまずカップにミルクを入れ、次いで紅茶を注ぎ、最後にティーハニーを少量混ぜた。
「ウバは飲んだことあるかしら?」
「以前に1度…。でも、ダージリンのほうが好みですね」
「渋みが強いからね。元々単品で飲むのには向いていないし。…でも、こうやって飲むとまろやかになって美味しいよ」
レミリアから受け取ったカップを傾け、紅茶を飲むさとり。
「…ほんとうですね。これは、美味しいです」
さとりの反応に、嬉しそうな顔をするレミリア。
「でしょう?私の好みは紅茶6にミルク4、それにティーハニーやジャムを加えたものだけど、人によってそこら辺は様々ね」
背中の羽をぱたぱたさせてレミリアが語る。
たまらなく嬉しい時や感動した時など、気持ちが昂るとついつい動かしてしまうようだ。
「ふふ…。自分が好きなものを自分の好きな人が気に入ってくれるのは、感慨深いものね」
何気ないレミリアに言葉に、さとりはほのかに頬を染める。
「…と、ところで、こちらのティーハニーは外の世界からの渡来品ですか?」
なんとなく気恥ずかしくなって話題を振るさとり。
「ん?…いや、確かこれは幻想郷で作られたものだった気がするわ。あとで咲夜に確かめてみましょうか?」
「お願いしてもいいですか?私も、なんだか同じものが欲しくなっちゃいました」
「そうね、ならもし予備があればお裾分けするわ」
「宜しいのですか?」
ちょっと驚いた声になるさとり。
「もちろん。是非あなたの愛するペットたちにも淹れてあげて」
「ありがとうございます」
さとりは微笑んでお辞儀をした。
そこからまたしばし談笑が続く。
話題は紅茶に始まり、茶器から外の世界の渡来品、そして某古道具屋になり、そこの主人と取扱い品になったところで、また紅茶に戻った。
「…では、この紅茶もそのお店で?」
「ああ。一応得意先のようでね、この手の品があると取り置いてくれるそうだ」
「なるほど」
「ティーハニーやジャムなんかも偶に仕入れてるようだけどね。でも今は、このティーハニーと咲夜が作るジャムが一番かな」
そう言ってティーハニーの瓶をつつくレミリア。
「そういえば、蜂蜜は古来から医薬品としても使われていたそうですね」
レミリアのつつく瓶を眺めながらそう話すさとり。
「らしいね。軟膏や湿布みたいな外用剤から、精神安定剤や利尿薬みたいな内服薬まで様々だ」
そこでレミリアはあることを思いつく。
さとりがカップを傾けている間に蜂蜜をとり、自分の唇に薄く塗る。
「それと…他には、リップクリームとしても使われるそうよ」
そう言って身を乗り出したレミリアは、紅茶を飲み終えたさとりに顔を寄せる。
「え?ん…」
そっと、2人の唇が、触れ合う。
「…どうかしら?蜂蜜のリップクリームは」
してやったりな顔をするレミリアに対し、さとりは恥ずかしそうに眼をそらす。
「…どう…と、言われましても…」
さとりの声が小さくなる。
「…蜂蜜は、リップには合わないかもしれません」
「あら、どうしてかしら?」
にこにこ笑うレミリア。
「甘くて、美味しいんですもの。無意識で舐めとってしまうかもしれませんから」
「それは確かにいけないな。唇を舐めるのは、唇によくないそうだから」
くすくす笑うレミリアに、さとりもつられて笑いだす。
「…あなたは、いつも突然ですね」
微笑むさとりに、なんだかレミリアのほうが照れくさくなる。
「そのほうが面白いじゃない?…まして、相手が心の読める相手なら尚更よ」
そうしてまた2人が幸せそうに笑いだす。
それからまた暫く談笑を続けていると、突然部屋の扉が開く。
「お姉ちゃーん!」
飛び込んできたのはさとりの妹、古明地こいしだ。
その後から、レミリアの妹、フランドール・スカーレットも入ってくる。
2人とも、着ている服がところどころ破けている。
「あらあら、今日も派手にやったようね」
こいしの頭を撫でるさとり。
「うん!今日はね、私が勝ち越したんよ!」
「まあ私が手加減してあげたからなんだけどね。お客様へのお持て成しってやつよ」
そう言って肩を竦めるフランドール。
「あら?私にはとってもとっても本気に見えたけど?」
「それはこいしのほうじゃないかしら?」
お互い不敵な笑みを浮かべる妹たち。
「はいはいそこまで。…フラン、そろそろ着替えてらっしゃい」
「はーいおねーさま」
踵を返したフランを見送って、レミリアが口を開く。
「今日はここまでかしら」
抱きつくこいしを撫で続けながら、さとりが返す。
「そうですね。この子の服も直したいですし」
「なら、門までお見送りするわ」
そう言って先導するレミリアの後をこいしの手を引いてついていくさとり。
いつの間にやら、日傘を携えた咲夜も同行していた。
「本日は姉妹ともどもお招きいただき、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げるさとり。
「こちらこそ、妹の相手をしてくれてありがとう。…それに、私も楽しかったわ」
少し照れた顔でそう返すレミリア。
「またいずれお伺いさせてもらいますね」
「ええ。もしくは、こちらから地霊殿にお邪魔させてもらうわ」
姉妹揃ってね、とレミリアは続ける。
そうして帰宅する直前、さとりはレミリアにこっそり耳打ちする。
「よければ、この後フランさんを抱きしめてあげてくれませんか?」
さとりの言葉に少々驚いて返すレミリア。
「フランを?」
「ええ。先程2人が書斎に入ってきた時、私に抱きつくこいしを見て『いいなあ』ってつぶやく心の声が聞こえてきたものですから」
さとりの提案に、顔を赤らめ少々言いよどむレミリア。
「…分かった。頑張って、みるよ」
「ええ、ご武運をお祈りしています。では、お邪魔しました」
「またね、フランのお姉ちゃん!」
こいしはそう言って元気に手を振った。
帰路の途中はずっとさとりがこいしの話の聞き役に徹していた。
そんなこいしがふと話すのやめて、じっとさとりの顔を見る。
「お姉ちゃん、なんだか嬉しそう」
「え、そうかしら?」
「うん、何かいいことあったの?」
そう問いかけるこいしに、さとりはティータイム中の出来事を思い出す。
今思い返しても少々照れくさいので、さとりは館を出る途中に咲夜から受け取ったティーハニーを取り出して誤魔化す。
「レミリアさんから素敵なティーハニーを分けていただいたの。それでね」
「ふーん、そうなんだ」
そう言ってさとりの持つ小瓶をしげしげと眺めるこいし。
「ねえ、それって甘いのかしら?」
こいしが質問する。
「そうね…」
さとりは無意識に、自分の唇を撫でながら答える。
「とっても甘くて、素敵な蜂蜜よ」
物書きをしているのは紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
本を読んでいるのは地霊殿の主、古明地さとりだ。
レミリアは、基本的に自分が仕事をしている姿を他人に見せたりはしない。
貴族は庶民のようにあくせく働くものではないという妙な矜持があるからだ。
だからといって、不労所得も良しとしない。
ただ遊んで暮らすのは高等な存在に相応しくないという拘りも持っている。
そんな矛盾を抱えているため、レミリアは自室に篭もって誰にも見られないようひっそり業務をこなすのが常となっている。
しかし例外的に数名、レミリアがその姿を見せる存在がいる。
無二の親友であるパチュリー・ノーレッジや、最も信頼している従者の十六夜咲夜などがそれだ。
加えて今ここで静かに本を読んでいる古明地さとりも、その例外に含まれる1人だ。
「んー…」
ペンを置いて大きく伸びをするレミリア。
「本日のお仕事は終わりですか?」
それに合わせて栞を挟み、本を閉じるさとり。
「待たせてしまった?」
少し申し訳なさを含ませるレミリアに、さとりは優しく笑って返す。
「いいえ。あなたと一緒に過ごす時間は、とても早く感じられますから」
それはさとりの本心だった。
2人が別々の行動をとっていても、ただ一緒の空間にいられるだけで、お互いに満ち足りた気持ちになれるらしい。
さとりの言葉にほっとして、レミリアの表情も柔らかくなる。
「…いい時間だわ、お茶にしましょう」
そう言ってベルを鳴らす。
「お呼びでしょうか?」
ベルを鳴らし終えるのとほぼ同時に、扉の向こうから咲夜の声がする。
「紅茶の用意をお願い。…そうね、今日はウバがいいわ。それにミルクと、あとはティーハニーもお願い」
「かしこまりました」
言い終わると同時に、部屋の外の気配が消える。
「相変わらず、優秀なメイドさんですね」
「たまに優秀過ぎることもあるけどね。…それでいて、妙なところで抜けていたりもする」
"人間らしい"と笑うレミリア。
心を覗かずとも、その表情と言葉から2人の信頼関係が垣間見えるようだ。
「さとりのペットたちも、とても素晴らしいと思うけどね」
そう悪戯っぽく笑うレミリアに、溜息をつくさとり。
「…まさか"お客様"をいきなり攻撃するとは思いませんでしたよ…」
さとりは眉をひそめる。
「身を挺して主人を守ろうとする気概は素晴らしいけどね。あとは、客の顔とその日の予定を覚えていられれば尚良い」
「周知徹底させますよ。まあこれがなかなかに大変なのですが…」
先程まで静寂を保っていた書斎に、2人の柔らかな笑い声が満ちる。
2人が談笑していると、扉をノックする音が聞こえた。
「失礼します」
「入って」
ティーポットやカップを乗せたワゴンを押して、咲夜が入ってくる。
「お待たせしました。ウバ紅茶とミルク、それにティーハニーです」
「ありがとう、咲夜」
レミリアのねぎらいに、にっこりとほほ笑んで返す咲夜。
「はい、それでは失礼致します」
それだけ言って、紅茶をそそぐはずの従者は静かに退室した。
普段は勿論咲夜が全てをこなすのだが、さとりが来た時だけはこれが通例となっている。
レミリアはまずカップにミルクを入れ、次いで紅茶を注ぎ、最後にティーハニーを少量混ぜた。
「ウバは飲んだことあるかしら?」
「以前に1度…。でも、ダージリンのほうが好みですね」
「渋みが強いからね。元々単品で飲むのには向いていないし。…でも、こうやって飲むとまろやかになって美味しいよ」
レミリアから受け取ったカップを傾け、紅茶を飲むさとり。
「…ほんとうですね。これは、美味しいです」
さとりの反応に、嬉しそうな顔をするレミリア。
「でしょう?私の好みは紅茶6にミルク4、それにティーハニーやジャムを加えたものだけど、人によってそこら辺は様々ね」
背中の羽をぱたぱたさせてレミリアが語る。
たまらなく嬉しい時や感動した時など、気持ちが昂るとついつい動かしてしまうようだ。
「ふふ…。自分が好きなものを自分の好きな人が気に入ってくれるのは、感慨深いものね」
何気ないレミリアに言葉に、さとりはほのかに頬を染める。
「…と、ところで、こちらのティーハニーは外の世界からの渡来品ですか?」
なんとなく気恥ずかしくなって話題を振るさとり。
「ん?…いや、確かこれは幻想郷で作られたものだった気がするわ。あとで咲夜に確かめてみましょうか?」
「お願いしてもいいですか?私も、なんだか同じものが欲しくなっちゃいました」
「そうね、ならもし予備があればお裾分けするわ」
「宜しいのですか?」
ちょっと驚いた声になるさとり。
「もちろん。是非あなたの愛するペットたちにも淹れてあげて」
「ありがとうございます」
さとりは微笑んでお辞儀をした。
そこからまたしばし談笑が続く。
話題は紅茶に始まり、茶器から外の世界の渡来品、そして某古道具屋になり、そこの主人と取扱い品になったところで、また紅茶に戻った。
「…では、この紅茶もそのお店で?」
「ああ。一応得意先のようでね、この手の品があると取り置いてくれるそうだ」
「なるほど」
「ティーハニーやジャムなんかも偶に仕入れてるようだけどね。でも今は、このティーハニーと咲夜が作るジャムが一番かな」
そう言ってティーハニーの瓶をつつくレミリア。
「そういえば、蜂蜜は古来から医薬品としても使われていたそうですね」
レミリアのつつく瓶を眺めながらそう話すさとり。
「らしいね。軟膏や湿布みたいな外用剤から、精神安定剤や利尿薬みたいな内服薬まで様々だ」
そこでレミリアはあることを思いつく。
さとりがカップを傾けている間に蜂蜜をとり、自分の唇に薄く塗る。
「それと…他には、リップクリームとしても使われるそうよ」
そう言って身を乗り出したレミリアは、紅茶を飲み終えたさとりに顔を寄せる。
「え?ん…」
そっと、2人の唇が、触れ合う。
「…どうかしら?蜂蜜のリップクリームは」
してやったりな顔をするレミリアに対し、さとりは恥ずかしそうに眼をそらす。
「…どう…と、言われましても…」
さとりの声が小さくなる。
「…蜂蜜は、リップには合わないかもしれません」
「あら、どうしてかしら?」
にこにこ笑うレミリア。
「甘くて、美味しいんですもの。無意識で舐めとってしまうかもしれませんから」
「それは確かにいけないな。唇を舐めるのは、唇によくないそうだから」
くすくす笑うレミリアに、さとりもつられて笑いだす。
「…あなたは、いつも突然ですね」
微笑むさとりに、なんだかレミリアのほうが照れくさくなる。
「そのほうが面白いじゃない?…まして、相手が心の読める相手なら尚更よ」
そうしてまた2人が幸せそうに笑いだす。
それからまた暫く談笑を続けていると、突然部屋の扉が開く。
「お姉ちゃーん!」
飛び込んできたのはさとりの妹、古明地こいしだ。
その後から、レミリアの妹、フランドール・スカーレットも入ってくる。
2人とも、着ている服がところどころ破けている。
「あらあら、今日も派手にやったようね」
こいしの頭を撫でるさとり。
「うん!今日はね、私が勝ち越したんよ!」
「まあ私が手加減してあげたからなんだけどね。お客様へのお持て成しってやつよ」
そう言って肩を竦めるフランドール。
「あら?私にはとってもとっても本気に見えたけど?」
「それはこいしのほうじゃないかしら?」
お互い不敵な笑みを浮かべる妹たち。
「はいはいそこまで。…フラン、そろそろ着替えてらっしゃい」
「はーいおねーさま」
踵を返したフランを見送って、レミリアが口を開く。
「今日はここまでかしら」
抱きつくこいしを撫で続けながら、さとりが返す。
「そうですね。この子の服も直したいですし」
「なら、門までお見送りするわ」
そう言って先導するレミリアの後をこいしの手を引いてついていくさとり。
いつの間にやら、日傘を携えた咲夜も同行していた。
「本日は姉妹ともどもお招きいただき、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げるさとり。
「こちらこそ、妹の相手をしてくれてありがとう。…それに、私も楽しかったわ」
少し照れた顔でそう返すレミリア。
「またいずれお伺いさせてもらいますね」
「ええ。もしくは、こちらから地霊殿にお邪魔させてもらうわ」
姉妹揃ってね、とレミリアは続ける。
そうして帰宅する直前、さとりはレミリアにこっそり耳打ちする。
「よければ、この後フランさんを抱きしめてあげてくれませんか?」
さとりの言葉に少々驚いて返すレミリア。
「フランを?」
「ええ。先程2人が書斎に入ってきた時、私に抱きつくこいしを見て『いいなあ』ってつぶやく心の声が聞こえてきたものですから」
さとりの提案に、顔を赤らめ少々言いよどむレミリア。
「…分かった。頑張って、みるよ」
「ええ、ご武運をお祈りしています。では、お邪魔しました」
「またね、フランのお姉ちゃん!」
こいしはそう言って元気に手を振った。
帰路の途中はずっとさとりがこいしの話の聞き役に徹していた。
そんなこいしがふと話すのやめて、じっとさとりの顔を見る。
「お姉ちゃん、なんだか嬉しそう」
「え、そうかしら?」
「うん、何かいいことあったの?」
そう問いかけるこいしに、さとりはティータイム中の出来事を思い出す。
今思い返しても少々照れくさいので、さとりは館を出る途中に咲夜から受け取ったティーハニーを取り出して誤魔化す。
「レミリアさんから素敵なティーハニーを分けていただいたの。それでね」
「ふーん、そうなんだ」
そう言ってさとりの持つ小瓶をしげしげと眺めるこいし。
「ねえ、それって甘いのかしら?」
こいしが質問する。
「そうね…」
さとりは無意識に、自分の唇を撫でながら答える。
「とっても甘くて、素敵な蜂蜜よ」
れみさともっと増えろ~逆もいいけど~
でも、表現されている事がよく伝わります。空気がよく見える様に思われますね。
この蜂蜜は甘すぎて胸焼けしそうですね。
レミリアとさとりの口づけをクライマックスとして二人の交流を切り取り、余韻を姉妹愛のほのぼのに溶かし込むという作品の形が、まとまっていて綺麗です。
全体に直截的あるいは簡潔な表現にてラブラブかつオシャンティーな雰囲気を書き出しておられますが、加えて抑制された深みのある地の文がありますと、より優雅かつ艶やかな空気が醸し出されて私的にイイカンジになるかと思います。
また体裁としては少し左端がごちゃっとしますから、地の文の文頭に一つスペースを入れると読みやすくなるかと思うのでご提案いたします。
読後にコーヒーが欲しくなりました。次回作を楽しみにしております。
出会いの物語、読んでみたいです
馴れ初めや互いの妹との対比等ここからの展開が是非欲しい所。
ごちそうさまでした
蜂蜜もレミさとも
それ以上の感想は要らないですね、この作品には。