紅 美鈴は『門番』の妖怪である
背にありしものを守るため
前のみを生きるための存在
彼女は『門』を守るのではない
さらに奥にいる存在を守るのだ
何故なら、彼女は『門番』である
何故なら、彼女は『門』そのものなのだから
紅 美鈴は『門』の妖怪である
森羅万象――全ての存在には心があり、また生きている
それは紅魔館という存在にも当てはまるのである
何時から存在したか誰も知らず、ただ湖の畔に佇む
その主もまた紅の悪魔として君臨している
かの歴史がどのくらい進んだか
紅魔館は何年、何十年、何百年もの間にその心を成長させ、一つの命と成った
紅魔館は主を慕った
紅魔館は主を讃えた
自らの存在を祝福した
私は偉大なる紅の悪魔を尊敬しよう
私は偉大なる紅の悪魔を守ってゆこう
それこそが私という存在なのだから
紅 美鈴は『 』の妖怪である
何百年経った頃からか
紅魔館は悲しくなった
嗚呼、こんなにも慕っているというのに
嗚呼、こんなにも讃えているというのに
何故、私には目がないのか
―――あの方のお姿を
何故、私には口がないのか
―――あの方のお声を
何故、私には手がないのか
―――あの方のお体を
何故、私には ――――身体がないのか―――ー
存在しているという苦しみが
気付かれないという辛さが
知られないという悲しみが
容赦なく心を蝕んでいく
容赦なく命を消していく
私はいない
私はいない
私はイナイ
私はイラナイ存在
静かな湖を見下ろしながら、居候であるパチュリーと紅茶を飲む主――レミリア
「…ふむ」
「あら、どうしたのレミィ」
「いやね、一荒れくるかなぁと」
「ああ、アレね」
嵐の前の静けさ―――今目に映る世界は正にその言葉であろう
あと一月もしないウチに毛玉――正式名称不明――が表れる
それが館に入り込んで弾けるのだ。タチが悪い
さらに毛玉を食べて大量発生した低級妖怪たちが群れを成す
群れを成した愚か者ほど恐ろしく滑稽なことはないだろう
全てに勝てると信じ、戦いを挑むのだ
1に1をいくら掛けても一億には敵うはずがないのに
だが、連中は知ろうともしない。いや分からないのだ
全てが死ぬか、殆どが死ぬまで
「正直言ってウンザリ…なんか良い方法ないかしら?」
「そうね…確かに毛玉は喘息に悪いし…えぇ~と、大量の愚か者を追い払う方法……」
「…いつも思うけど不思議ねぇ、その本。ちょっと見せて」
「持ってかないで~」
~~少女 喧々諤々中~~
「…そうだわ。門番なんてどうかしら」
「門番?…そうね……侵入者なんて自分で消せるから思いつかなかったわね」
「要は中に入れなければ良いのよ…決定ね」
「でも新しく雇わなくちゃいけないんじゃ?今いるメイドもそれなりに強いけど多くの敵と戦うには弱すぎるし」
「安心して。心当たりがあるの」
「えっ!?パチュリーがっ!?ウソっ!!」
ガタッ バシャ
あまりの驚きに飲みかけの紅茶を零してしまう
「…レミィ?とても新鮮かつ興味深い反応ね。そんなに意外?」
「だって、慢性引き篭もりパチュにそんな知り合いがいる…なん……て」
気付きたくなかった
気付いてしまった
その貼り付けたような笑顔に
その全く笑ってない瞳に
その裏に隠された怒りに
「で、来たのが門の前…何処にいるのよそいつ」
何故かボロボロのレミリアが問いかける
若干拗ね気味だ
そんなこともお構いなく、パチュリーは答える
「いるわよ?目の前に」
「え?」
その問いには答えず、持っていた特性チョークで門に魔方陣を描く
対比になるように、左右の扉に
門は二つの扉にて成り立つから
心と命のように
『…古より生まれし姿無き彼の存在よ。今我の元に形を作り忠誠を誓え…』
バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
眩い光。それは太陽のように。花火のように
光が落ち着いたとき。その『存在』は…いや『彼女』はいた
「成功…」
「え、何、これ」
「…ココは…一体」
三者三様の答え
まぁ、眩し過ぎる光から素裸の女性が…しかも大きければ混乱するだろう
「パチュ。何あのでっかくてやわらかそうなあの二つの塊」
「何を言ってるの…レミィは普段から見てるじゃない」
「ウソだっ!!あ、あんな危険物質欲しいけど無いわよコンチクショウっ!!」
ずれている。何もかもずれている
「あ、あの…ワタシは……」
「いい。分かってるわ。貴方はこの館の『存在』よ」
「……?どういうことよ」
少し冷静になった――まだ嫉妬と羨望の眼差しは残っているが――レミリアが問う
その問いにパチュリーは
「つまりねゲフォア」
答えられなかった
「…生きてる?」
「…………あー……うん…かろうじて」
「んじゃ、説明して」
「……この悪魔…が」
さっきまでオロオロバタバタと慌てていた―――揺れる二つのモノがうざったかったので殴って黙らした―――女性を指差す
「ああ…彼女は、この館の言うなれば命ね」
「ふむ?」
「森羅万象、全ての存在には『心』がある。『心』が成長したものが『命』なのよ」
「ふむふむ」
「花を罵倒すれば枯てしまうのは『心』が消され、獣を心の底から愛せば会話が通じるのは『心』ではなく『命』が繋がったから
この館は本当に愛されたのよ…レミィ、貴方にね」
「私に?」
「そう。だから館の『心』は『命』へと進化した……まぁ、放っといたら消えるような『命』だけどね
私は門を媒体にしてその『命』に身体を与えてやった。それだけよ
つまり、男と女の性交に例えると貴方の精子が卵子である館に宿って、私が産婆として生まれたのよ」
「最後の最後で嫌な例えをするなっ!!……まぁ、よく分かったわ」
「館を守るのは館自身にしてもらいましょう。紅い悪魔が住む館なのだから」
「うん、私も賛成だわ……ところで名前はどうするの?産婆さん」
「そうね…こんなのはどうかしら…」
彼女は『紅 美鈴』の妖怪
紅き髪は館の存在を表し
硬き拳は館を守る事を表し
福与かな胸は館に相応しい門を表す
彼女は『紅 美鈴』の妖怪
『紅』は偉大なる主、自らである紅魔館を表し
『美鈴』は
『いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……』
「あ、誰か来たわね」
「魔理沙かしら」
「いや、あの間延び方から霊夢ね」
…皆に知らせるチャイムを表す
背にありしものを守るため
前のみを生きるための存在
彼女は『門』を守るのではない
さらに奥にいる存在を守るのだ
何故なら、彼女は『門番』である
何故なら、彼女は『門』そのものなのだから
紅 美鈴は『門』の妖怪である
森羅万象――全ての存在には心があり、また生きている
それは紅魔館という存在にも当てはまるのである
何時から存在したか誰も知らず、ただ湖の畔に佇む
その主もまた紅の悪魔として君臨している
かの歴史がどのくらい進んだか
紅魔館は何年、何十年、何百年もの間にその心を成長させ、一つの命と成った
紅魔館は主を慕った
紅魔館は主を讃えた
自らの存在を祝福した
私は偉大なる紅の悪魔を尊敬しよう
私は偉大なる紅の悪魔を守ってゆこう
それこそが私という存在なのだから
紅 美鈴は『 』の妖怪である
何百年経った頃からか
紅魔館は悲しくなった
嗚呼、こんなにも慕っているというのに
嗚呼、こんなにも讃えているというのに
何故、私には目がないのか
―――あの方のお姿を
何故、私には口がないのか
―――あの方のお声を
何故、私には手がないのか
―――あの方のお体を
何故、私には ――――身体がないのか―――ー
存在しているという苦しみが
気付かれないという辛さが
知られないという悲しみが
容赦なく心を蝕んでいく
容赦なく命を消していく
私はいない
私はいない
私はイナイ
私はイラナイ存在
静かな湖を見下ろしながら、居候であるパチュリーと紅茶を飲む主――レミリア
「…ふむ」
「あら、どうしたのレミィ」
「いやね、一荒れくるかなぁと」
「ああ、アレね」
嵐の前の静けさ―――今目に映る世界は正にその言葉であろう
あと一月もしないウチに毛玉――正式名称不明――が表れる
それが館に入り込んで弾けるのだ。タチが悪い
さらに毛玉を食べて大量発生した低級妖怪たちが群れを成す
群れを成した愚か者ほど恐ろしく滑稽なことはないだろう
全てに勝てると信じ、戦いを挑むのだ
1に1をいくら掛けても一億には敵うはずがないのに
だが、連中は知ろうともしない。いや分からないのだ
全てが死ぬか、殆どが死ぬまで
「正直言ってウンザリ…なんか良い方法ないかしら?」
「そうね…確かに毛玉は喘息に悪いし…えぇ~と、大量の愚か者を追い払う方法……」
「…いつも思うけど不思議ねぇ、その本。ちょっと見せて」
「持ってかないで~」
~~少女 喧々諤々中~~
「…そうだわ。門番なんてどうかしら」
「門番?…そうね……侵入者なんて自分で消せるから思いつかなかったわね」
「要は中に入れなければ良いのよ…決定ね」
「でも新しく雇わなくちゃいけないんじゃ?今いるメイドもそれなりに強いけど多くの敵と戦うには弱すぎるし」
「安心して。心当たりがあるの」
「えっ!?パチュリーがっ!?ウソっ!!」
ガタッ バシャ
あまりの驚きに飲みかけの紅茶を零してしまう
「…レミィ?とても新鮮かつ興味深い反応ね。そんなに意外?」
「だって、慢性引き篭もりパチュにそんな知り合いがいる…なん……て」
気付きたくなかった
気付いてしまった
その貼り付けたような笑顔に
その全く笑ってない瞳に
その裏に隠された怒りに
「で、来たのが門の前…何処にいるのよそいつ」
何故かボロボロのレミリアが問いかける
若干拗ね気味だ
そんなこともお構いなく、パチュリーは答える
「いるわよ?目の前に」
「え?」
その問いには答えず、持っていた特性チョークで門に魔方陣を描く
対比になるように、左右の扉に
門は二つの扉にて成り立つから
心と命のように
『…古より生まれし姿無き彼の存在よ。今我の元に形を作り忠誠を誓え…』
バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
眩い光。それは太陽のように。花火のように
光が落ち着いたとき。その『存在』は…いや『彼女』はいた
「成功…」
「え、何、これ」
「…ココは…一体」
三者三様の答え
まぁ、眩し過ぎる光から素裸の女性が…しかも大きければ混乱するだろう
「パチュ。何あのでっかくてやわらかそうなあの二つの塊」
「何を言ってるの…レミィは普段から見てるじゃない」
「ウソだっ!!あ、あんな危険物質欲しいけど無いわよコンチクショウっ!!」
ずれている。何もかもずれている
「あ、あの…ワタシは……」
「いい。分かってるわ。貴方はこの館の『存在』よ」
「……?どういうことよ」
少し冷静になった――まだ嫉妬と羨望の眼差しは残っているが――レミリアが問う
その問いにパチュリーは
「つまりねゲフォア」
答えられなかった
「…生きてる?」
「…………あー……うん…かろうじて」
「んじゃ、説明して」
「……この悪魔…が」
さっきまでオロオロバタバタと慌てていた―――揺れる二つのモノがうざったかったので殴って黙らした―――女性を指差す
「ああ…彼女は、この館の言うなれば命ね」
「ふむ?」
「森羅万象、全ての存在には『心』がある。『心』が成長したものが『命』なのよ」
「ふむふむ」
「花を罵倒すれば枯てしまうのは『心』が消され、獣を心の底から愛せば会話が通じるのは『心』ではなく『命』が繋がったから
この館は本当に愛されたのよ…レミィ、貴方にね」
「私に?」
「そう。だから館の『心』は『命』へと進化した……まぁ、放っといたら消えるような『命』だけどね
私は門を媒体にしてその『命』に身体を与えてやった。それだけよ
つまり、男と女の性交に例えると貴方の精子が卵子である館に宿って、私が産婆として生まれたのよ」
「最後の最後で嫌な例えをするなっ!!……まぁ、よく分かったわ」
「館を守るのは館自身にしてもらいましょう。紅い悪魔が住む館なのだから」
「うん、私も賛成だわ……ところで名前はどうするの?産婆さん」
「そうね…こんなのはどうかしら…」
彼女は『紅 美鈴』の妖怪
紅き髪は館の存在を表し
硬き拳は館を守る事を表し
福与かな胸は館に相応しい門を表す
彼女は『紅 美鈴』の妖怪
『紅』は偉大なる主、自らである紅魔館を表し
『美鈴』は
『いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……』
「あ、誰か来たわね」
「魔理沙かしら」
「いや、あの間延び方から霊夢ね」
…皆に知らせるチャイムを表す
蝶ベリーナイス!←こんな頭の悪い褒め言葉しか浮かばねー
>福与かな胸は館に相応しい門を表す
主には相応しくないのにね。
色々と吹きましたw
レミリアとパチュリーがとても馬鹿っぽくて素敵過ぎます。
テーマ自体はシリアスっぽいのに生温い微笑みが止まりませんよ?w
なるほど、いい感じですよゲフォア(真似
しかしともなればシリアスで通るそれをこんな微ギャグで通すとは…なんて凄い才能でしょう。欲しい。
↑
そうか。やっぱり羨ましいのか。
にしても『紅は館。美鈴は…ドアベル?美鈴って門そのもの?』
この発想はすごい。
そしてパチュリーとのゲフォアやレミリアの憎悪の先などにちょっと笑いがw
所々にちりばめられたギャグといい、流れるような文章といい好きな感じです。次の作品も読みたいですね。
と、いうか美鈴ってドアベルのy(ry
ドアベルめーりんですか!?レミもパチュもいい壊れっぷりですよ!!
100点。今の自分にはこれ以外の評価はありませんねb
小説版ぷにぽえ吹いた。