今日も来る。
本を奪いにやつが来る。
来るのは構わないのよ、来るのは。
むしろ大歓迎、私を奪って魔理沙~……
体をくねくね動かす。いつもの彼女を知るものなら「あれはもやしじゃねえ、海の中でゆれてるわかめにちげえねえだよ」と断言されていたことだろう。
以後くねくねパチュリーを紫わかめと命名する。
【パチュリーの憂鬱】
ハッ?
いけないいけない、こんなところを魔理沙に見られたらもう来てくれなくなってしまうかもしれない。それどころか私を軽蔑するかもしれない……
(私を蔑む魔理沙の目……)
ブッ
噴いた。
(そんな目でみないで魔理沙~、でないと、私、私……)
妄想に浸るパチュリー。
鼻血がボタボタと足元に水溜りを作る。
後で掃除をしなければならない小悪魔にはたまったもんじゃなかったが、それでも鼻血は溜まって行く。
(魔理沙……もっとののしって魔理沙……ハァハァ)
割と怪しい方向に進んでいた。
(魔理沙~!!)
「パチュリー、今日……も……」
まさにパチュリーの妄想が山場を迎えようとしたその時、黒い魔砲使いは入ってきた。
時が止まった気がした。ちなみにメイド長の仕業ではない。
パチュリーの決定的なミスは、くねくねしていたことでも、鼻血を噴いていたことでもない。
どこから取り出したのか、等身大魔理沙ちゃん人形に抱きつきながら、体をくねらせ、鼻血を噴出していたことだった。どういう仕組みなのか、人形に鼻血がついていなかったことだけが唯一の救いだろうか。何の救いだか知らないが。
ちなみにこの等身大魔理沙ちゃん人形。アリスとの交渉の末に手に入れたもので、床満面にびっしりと設置された盗撮カメラ……いや、設置されたなんて生ぬるいものではない、『床は一部の隙もなくカメラで作られていたのです』状態のカメラから撮った、魔理沙パンチラコレクションから、秘蔵の水玉模様とトレードしたものだ。パチュリーにはまだまだ秘蔵コレクションがあったし、アリスもまた(用途別に)魔理沙ちゃん人形をいくつも作っていたので、トレードは両者ほくほくの笑顔をもって終了した。
ただしこの魔理沙ちゃん人形、使用には注意が必要だ。
何せ等身大だ。使用中に魔理沙に見つかろうものなら隠しようがない。
以前アリスが見つかったときには、その時作っていた全ての魔理沙ちゃん人形が処分されたといっていた。
迂闊としかいいようがない。そろそろ魔理沙がくる時間だということはわかっていたはずなのに、魔理沙ちゃん人形で始めてしまうなんて。
そして時は動き出す。
「パチュリー……一つ聞きたいことがある」
魔理沙の背中にオーラが立ち上り、やがてそれは竜を形作る。
このままでは、愛しの魔理沙ちゃん人形が産業廃棄物になるのは間違いない。
またアリスと交渉すれば新しい魔理沙ちゃん人形を手に入れるのは簡単だ。しかし、パチュリーと幾千もの山場を迎えてきた魔理沙ちゃん人形はこれ一つしかない。他の魔理沙ちゃん人形と新しく関係を築くのは浮気ではないか?パチュリーにとってこの魔理沙ちゃん人形は特別だった。魔理沙の次くらいに大切な存在だった。最高にダメ人間だった。いや、人間ではないが。
パチュリーの高速思考は答えをはじき出した。
逃げよう。
「あ、待て!」
普段の彼女からは思いもつかない軽いフットワーク。
するりと魔理沙の横をすりぬけるパチュリー。この時魔理沙にボディータッチを(おもに胸)を忘れないあたり匠の業だろう。
魔理沙ちゃん人形を抱えているというのに、まるで隼のような鋭い動きで、パチュリーは逃げた。
スピードには自信があるはずの魔理沙だったが、離される一方だった。霊夢が本気で魔理沙を仕留めようと思ったときも魔理沙は逃げられなかったが。あのときの霊夢はさながら獲物を狩るチーターだった。
(そうか!)
魔理沙は気付いた。
(要は動物のような動きをすればいいんだな!!)
理由はわからない。
多分思い込み次第で人間いくらでも強くなれるということだろう。パチュリーは魔女だったが。
魔理沙の背後の竜が吼える。
魔理沙に、乗れ、といっているように聞こえた。
凄まじいスピードだった。みるみるうちにパチュリーを追い詰めていく。
「ようし、たのむぜ。ミケ!!」
途端、減速した。
何故ミケなのか、パチュリーは振り返って聞きたかったがこのチャンスを逃すわけにはいかない。
最高速で振り切った。
「どうした、ミケ!お前の力はこんなもんじゃないだろう!」
確かにこんなもんじゃなかった。だが、ミケと言われるたびにミケは減速していく。
やはりミケと呼ばれる要素が何一つないのが原因か。
はたまた気に入らなかっただけか、ミケはどんどん小さくなって、消えてしまった。
「ミケーーーー!!」
「どうにか逃げられたみたいね」
「はあ、あの……パチュリー様?」
「何?」
「言い難いことなんですが、邪魔しないでもらえます?」
パチュリーは布団にもぐって隠れていた。……レミリアの。
もしここが見つかっても、魔理沙ならどうせ布団の膨らみは咲夜だとおもってスルーパスするだろう、と見越してのことだった。
パチュリーはそんなに咲夜は変態じゃないだろうと信じていたが、その信頼は裏切られた。咲夜がナニをしていたのか、それはわからない。
わからないが、今レミリアが起きたら、色々と目の当てられないことになるのは間違いなかった。
それはさておき、今の布団の状況は誰が見ても異常だった。
魔理沙ちゃん人形のせいで実質四人分の膨らみがある。
魔理沙がここまで探しにくるとは思わなかったが、万が一見つかったら永久に魔理沙ちゃん人形とはさよならだ。
それだけは避けなければならない。気合避けだ。
「邪魔したわね、ゆっくりと愉しみなさい」
「はい、言われなくても」
あえてパチュリーはとめなかった。レミリアとの友情にちくりとするものはあったが、咲夜の手段を選ばない愛には共感したからだ。
タイミングが悪かった。
レミリアの部屋を出たのと、魔理沙が廊下の角を曲がって現れるのがほぼ同時だった。
一瞬、これって運命?と、ときめかずにはいられなかったパチュリーだが、今はタイミングが悪すぎる。
「見つけたぜ、さあ、命が惜しければそいつをよこしな」
B級映画の悪役しかりといったセリフ。
しかしパチュリーにとってそれは死の宣告にも等しかった。
パチュリーは覚悟した。この子の為なら死ねると。
かくなるうえは
「……魔理沙」
「な、なんだよ?」
パチュリーから異様な威圧感が放たれる。
「この子の代わりに私をあげるわ!!」
特攻。それがパチュリーの覚悟。
「いらない!やめろ!!くるなーー!!」
「遠慮はいらないわ!さあ、さあ!!!」
「助けてー!パチェが壊れたーー!」
パチュリーの妄想内ではこれこそパチュリーの真の姿だということを、魔理沙は知らない。
魔理沙ちゃん人形は守られた。
しかしその後しばらく魔理沙がやってくることはなく。
魔理沙ちゃん人形は連日過酷な山場を迎えることになった。
本を奪いにやつが来る。
来るのは構わないのよ、来るのは。
むしろ大歓迎、私を奪って魔理沙~……
体をくねくね動かす。いつもの彼女を知るものなら「あれはもやしじゃねえ、海の中でゆれてるわかめにちげえねえだよ」と断言されていたことだろう。
以後くねくねパチュリーを紫わかめと命名する。
【パチュリーの憂鬱】
ハッ?
いけないいけない、こんなところを魔理沙に見られたらもう来てくれなくなってしまうかもしれない。それどころか私を軽蔑するかもしれない……
(私を蔑む魔理沙の目……)
ブッ
噴いた。
(そんな目でみないで魔理沙~、でないと、私、私……)
妄想に浸るパチュリー。
鼻血がボタボタと足元に水溜りを作る。
後で掃除をしなければならない小悪魔にはたまったもんじゃなかったが、それでも鼻血は溜まって行く。
(魔理沙……もっとののしって魔理沙……ハァハァ)
割と怪しい方向に進んでいた。
(魔理沙~!!)
「パチュリー、今日……も……」
まさにパチュリーの妄想が山場を迎えようとしたその時、黒い魔砲使いは入ってきた。
時が止まった気がした。ちなみにメイド長の仕業ではない。
パチュリーの決定的なミスは、くねくねしていたことでも、鼻血を噴いていたことでもない。
どこから取り出したのか、等身大魔理沙ちゃん人形に抱きつきながら、体をくねらせ、鼻血を噴出していたことだった。どういう仕組みなのか、人形に鼻血がついていなかったことだけが唯一の救いだろうか。何の救いだか知らないが。
ちなみにこの等身大魔理沙ちゃん人形。アリスとの交渉の末に手に入れたもので、床満面にびっしりと設置された盗撮カメラ……いや、設置されたなんて生ぬるいものではない、『床は一部の隙もなくカメラで作られていたのです』状態のカメラから撮った、魔理沙パンチラコレクションから、秘蔵の水玉模様とトレードしたものだ。パチュリーにはまだまだ秘蔵コレクションがあったし、アリスもまた(用途別に)魔理沙ちゃん人形をいくつも作っていたので、トレードは両者ほくほくの笑顔をもって終了した。
ただしこの魔理沙ちゃん人形、使用には注意が必要だ。
何せ等身大だ。使用中に魔理沙に見つかろうものなら隠しようがない。
以前アリスが見つかったときには、その時作っていた全ての魔理沙ちゃん人形が処分されたといっていた。
迂闊としかいいようがない。そろそろ魔理沙がくる時間だということはわかっていたはずなのに、魔理沙ちゃん人形で始めてしまうなんて。
そして時は動き出す。
「パチュリー……一つ聞きたいことがある」
魔理沙の背中にオーラが立ち上り、やがてそれは竜を形作る。
このままでは、愛しの魔理沙ちゃん人形が産業廃棄物になるのは間違いない。
またアリスと交渉すれば新しい魔理沙ちゃん人形を手に入れるのは簡単だ。しかし、パチュリーと幾千もの山場を迎えてきた魔理沙ちゃん人形はこれ一つしかない。他の魔理沙ちゃん人形と新しく関係を築くのは浮気ではないか?パチュリーにとってこの魔理沙ちゃん人形は特別だった。魔理沙の次くらいに大切な存在だった。最高にダメ人間だった。いや、人間ではないが。
パチュリーの高速思考は答えをはじき出した。
逃げよう。
「あ、待て!」
普段の彼女からは思いもつかない軽いフットワーク。
するりと魔理沙の横をすりぬけるパチュリー。この時魔理沙にボディータッチを(おもに胸)を忘れないあたり匠の業だろう。
魔理沙ちゃん人形を抱えているというのに、まるで隼のような鋭い動きで、パチュリーは逃げた。
スピードには自信があるはずの魔理沙だったが、離される一方だった。霊夢が本気で魔理沙を仕留めようと思ったときも魔理沙は逃げられなかったが。あのときの霊夢はさながら獲物を狩るチーターだった。
(そうか!)
魔理沙は気付いた。
(要は動物のような動きをすればいいんだな!!)
理由はわからない。
多分思い込み次第で人間いくらでも強くなれるということだろう。パチュリーは魔女だったが。
魔理沙の背後の竜が吼える。
魔理沙に、乗れ、といっているように聞こえた。
凄まじいスピードだった。みるみるうちにパチュリーを追い詰めていく。
「ようし、たのむぜ。ミケ!!」
途端、減速した。
何故ミケなのか、パチュリーは振り返って聞きたかったがこのチャンスを逃すわけにはいかない。
最高速で振り切った。
「どうした、ミケ!お前の力はこんなもんじゃないだろう!」
確かにこんなもんじゃなかった。だが、ミケと言われるたびにミケは減速していく。
やはりミケと呼ばれる要素が何一つないのが原因か。
はたまた気に入らなかっただけか、ミケはどんどん小さくなって、消えてしまった。
「ミケーーーー!!」
「どうにか逃げられたみたいね」
「はあ、あの……パチュリー様?」
「何?」
「言い難いことなんですが、邪魔しないでもらえます?」
パチュリーは布団にもぐって隠れていた。……レミリアの。
もしここが見つかっても、魔理沙ならどうせ布団の膨らみは咲夜だとおもってスルーパスするだろう、と見越してのことだった。
パチュリーはそんなに咲夜は変態じゃないだろうと信じていたが、その信頼は裏切られた。咲夜がナニをしていたのか、それはわからない。
わからないが、今レミリアが起きたら、色々と目の当てられないことになるのは間違いなかった。
それはさておき、今の布団の状況は誰が見ても異常だった。
魔理沙ちゃん人形のせいで実質四人分の膨らみがある。
魔理沙がここまで探しにくるとは思わなかったが、万が一見つかったら永久に魔理沙ちゃん人形とはさよならだ。
それだけは避けなければならない。気合避けだ。
「邪魔したわね、ゆっくりと愉しみなさい」
「はい、言われなくても」
あえてパチュリーはとめなかった。レミリアとの友情にちくりとするものはあったが、咲夜の手段を選ばない愛には共感したからだ。
タイミングが悪かった。
レミリアの部屋を出たのと、魔理沙が廊下の角を曲がって現れるのがほぼ同時だった。
一瞬、これって運命?と、ときめかずにはいられなかったパチュリーだが、今はタイミングが悪すぎる。
「見つけたぜ、さあ、命が惜しければそいつをよこしな」
B級映画の悪役しかりといったセリフ。
しかしパチュリーにとってそれは死の宣告にも等しかった。
パチュリーは覚悟した。この子の為なら死ねると。
かくなるうえは
「……魔理沙」
「な、なんだよ?」
パチュリーから異様な威圧感が放たれる。
「この子の代わりに私をあげるわ!!」
特攻。それがパチュリーの覚悟。
「いらない!やめろ!!くるなーー!!」
「遠慮はいらないわ!さあ、さあ!!!」
「助けてー!パチェが壊れたーー!」
パチュリーの妄想内ではこれこそパチュリーの真の姿だということを、魔理沙は知らない。
魔理沙ちゃん人形は守られた。
しかしその後しばらく魔理沙がやってくることはなく。
魔理沙ちゃん人形は連日過酷な山場を迎えることになった。
魔理沙もてもてですね。
魔理沙がその気になればハーレムがつくれますなぁ。
しかも壊れっぷりは維持してるし・・・どんな駄目人間だよ(褒め言葉)
名前がない程度の能力様>こんなダメ人間です(笑 でもそろそろ停滞してきました……。
名前が無い程度の能力>ありがとうございます!!
悪仏>アリスに頼みましょう♪
しかもずいぶんと素敵な幻想郷をお持ちだと思います。
氏のヒロイン(魔理沙はヒーロー)達の、なんと生き生きしたことか!!
……ベクトルが変態さんなのも愛嬌だ!!
みんなはっちゃけてます(笑
小悪魔も連日過酷ですね