「もったいないから使おうといったのは私だが、まさか5人で寝ることになるとは思わなかった」
咲夜曰く「うっかりして蟻さんサイズとジャイアントサイズを間違えましたわ」らしいが、この大きさにはビビる。
しかし5人だとさすがに微妙に狭い。
「配達妖精さん、ものすごい筋肉隆々だったよ」
何人か挟んで先にいるフランが言う。
「美鈴すごい警戒してたよねー」
「あ、あはは」
配達妖精の層はなかなか厚いらしい。
うちの門番妖精より強いんじゃないのか、それ。
隣にいるパチェがまどろんでいる。
そういや昨日は夜更かししたとか言ってたな。
「ん……」
ちょっと色っぽい感じの声を漏らしてこちらに転がってくる。
嬉しいといえば嬉しいのかもしれないがそれ以上に狭い。
ちなみに咲夜はすでに寝入ってる。
まあ、普通の人間にしてみればとっくに就寝時間だしな。
私達に生活リズムを合わせている部分はあるとはいえ、眠いことは眠いのだろう。
「えへへー、美鈴あったかーい」
その中でも元気なのは私達吸血鬼姉妹だろう。
ここからでは様子が見えないが美鈴に抱きついているようだ。
なんて羨ましいやつだ。ゆるせん。
とかそんなことを思っているとパチェの圧力が強まり始めた。
すでに背中は端っこギリギリだというのに。
「美鈴、美鈴! 私まだ眠くないよ、何かして遊ぼう?」
「い、妹様。皆さんもうおやすみになってますし」
フラン、いけない。生活リズムを一度崩すと修復は大変なのよ。
特に仕事とかもないフランは戻すきっかけもなくお肌に良くない。それはいけない。フランの珠肌を傷つけるものは何人たりとも許さないわ。
「お姉様も何かしない?」
「うん、いいわよもちろん」
かーっ、寝るつもりだったんだけどなー、本当は寝るつもりだったんだけどなー。
誘われちゃったらしょうがないよなあ、まあ仕方なくだけど付き合ってやるかー、ほんと仕方なくなんだけどなー。
「じゃあえーと、テキサスホールデムにしよう!」
「3人が横たわった状態でプレイするにはもっともふさわしくないトランプゲームよ、それ」
「えー、じゃあなにー?」
「そうね、ババ抜きでいいかしら」
「むー、しょうがないねー」
美鈴が器用にトランプを配っていく。曲芸師じみてるなあ。
そこで私は気づいた。
「隣にいるあんたらはいいけど、私カード引けなくね?」
「じゃあ右から何番目か指定してよ。そしたら渡すから」
「じゃあ3番目」
その小さな擦れる音。吸血鬼の聴力でなければ見逃していたであろう。
「フラン? あなた、イカサマしてないわよね?」
「えっ、なんのこと? よくわかんないなあ」
あろうことかフランはとぼける。正直な子に育てたはずなのに。
「吸血鬼は契約に縛られる。たとえこんな遊びでも……ルールを破ったらどうなるかわかっているわよね?」
「何言ってるのよお姉様。仮に私がなにかしていたとしても、バレなきゃイカサマじゃないのよ」
「ほう……喚くじゃないか」
ククク、とほくそ笑む。
「いいだろう、そんな勝負を挑まれたからには受けて立とうじゃないか」
「ええ、でももし……私がイカサマなんてしてなかったら……わかってるよね?」
「では、もう一度言うわ。右から5番目をちょうだい」
耳に全神経を集中させる。
全員の吐息から一挙手一投足まで浮かび上がるようにわかる。
例えばパチェの寝相が大変悪く、あと数秒で私をベッドから追い落と……ちょっと待てえええ!
紅魔館最重量と噂されるパチェの寝返りを受け、あえなく私はしたたかに体を床にぶつけるハメになった。
当然トランプどころではない。
「何やってるのよお姉様。寝相わるいんだから」
「ち、ちがっ」
「もー飽きたー。寝るー」
ぬぐぐ、パチェめ。明日いじめてやる。絶対だ、絶対だからな!
なんとかベッドの上に隙間をこじ開け再び横たわる。
そうこうしている間にフランは寝入り、どうやらまで目覚めているのは私と美鈴だけになったようだ。
「フランは寝付いたみたいね」
「ええ、そうですね」
「こうやってみんなで寝るのなんていつぶりかしら」
「ふふふ、その時は咲夜さんはいませんでしたね」
あくびが漏れる。
「そうね、私も寝るとするわ。おやすみ、美鈴」
「あ、ちょっとまってください。お嬢様」
「なにかしら?」
身じろぎするような音が聞こえる。
「フラン様って、こんなに寝相がよろしくありませんでしたっけ……? ちょっと、支えるのが辛いんですが……」
「おやすみ、美鈴」
「ちょっと――っ!」
明日もいい一日になるだろう。
結局、一晩中パチュリーに押し込まれるわ美鈴ごと床に落ちたフランが暴れるわ、安眠というわけにはいかなかった。
まあ、たまにはそんな日もあってもいい。
今日の紅魔館はみんな揃って寝不足なのだ。
もっとも、どれだけ騒いでも咲夜は目覚めず、ぴったり9時間後に眼を覚ました。
もしかして一番大物なのは咲夜なんだろうか。
咲夜曰く「うっかりして蟻さんサイズとジャイアントサイズを間違えましたわ」らしいが、この大きさにはビビる。
しかし5人だとさすがに微妙に狭い。
「配達妖精さん、ものすごい筋肉隆々だったよ」
何人か挟んで先にいるフランが言う。
「美鈴すごい警戒してたよねー」
「あ、あはは」
配達妖精の層はなかなか厚いらしい。
うちの門番妖精より強いんじゃないのか、それ。
隣にいるパチェがまどろんでいる。
そういや昨日は夜更かししたとか言ってたな。
「ん……」
ちょっと色っぽい感じの声を漏らしてこちらに転がってくる。
嬉しいといえば嬉しいのかもしれないがそれ以上に狭い。
ちなみに咲夜はすでに寝入ってる。
まあ、普通の人間にしてみればとっくに就寝時間だしな。
私達に生活リズムを合わせている部分はあるとはいえ、眠いことは眠いのだろう。
「えへへー、美鈴あったかーい」
その中でも元気なのは私達吸血鬼姉妹だろう。
ここからでは様子が見えないが美鈴に抱きついているようだ。
なんて羨ましいやつだ。ゆるせん。
とかそんなことを思っているとパチェの圧力が強まり始めた。
すでに背中は端っこギリギリだというのに。
「美鈴、美鈴! 私まだ眠くないよ、何かして遊ぼう?」
「い、妹様。皆さんもうおやすみになってますし」
フラン、いけない。生活リズムを一度崩すと修復は大変なのよ。
特に仕事とかもないフランは戻すきっかけもなくお肌に良くない。それはいけない。フランの珠肌を傷つけるものは何人たりとも許さないわ。
「お姉様も何かしない?」
「うん、いいわよもちろん」
かーっ、寝るつもりだったんだけどなー、本当は寝るつもりだったんだけどなー。
誘われちゃったらしょうがないよなあ、まあ仕方なくだけど付き合ってやるかー、ほんと仕方なくなんだけどなー。
「じゃあえーと、テキサスホールデムにしよう!」
「3人が横たわった状態でプレイするにはもっともふさわしくないトランプゲームよ、それ」
「えー、じゃあなにー?」
「そうね、ババ抜きでいいかしら」
「むー、しょうがないねー」
美鈴が器用にトランプを配っていく。曲芸師じみてるなあ。
そこで私は気づいた。
「隣にいるあんたらはいいけど、私カード引けなくね?」
「じゃあ右から何番目か指定してよ。そしたら渡すから」
「じゃあ3番目」
その小さな擦れる音。吸血鬼の聴力でなければ見逃していたであろう。
「フラン? あなた、イカサマしてないわよね?」
「えっ、なんのこと? よくわかんないなあ」
あろうことかフランはとぼける。正直な子に育てたはずなのに。
「吸血鬼は契約に縛られる。たとえこんな遊びでも……ルールを破ったらどうなるかわかっているわよね?」
「何言ってるのよお姉様。仮に私がなにかしていたとしても、バレなきゃイカサマじゃないのよ」
「ほう……喚くじゃないか」
ククク、とほくそ笑む。
「いいだろう、そんな勝負を挑まれたからには受けて立とうじゃないか」
「ええ、でももし……私がイカサマなんてしてなかったら……わかってるよね?」
「では、もう一度言うわ。右から5番目をちょうだい」
耳に全神経を集中させる。
全員の吐息から一挙手一投足まで浮かび上がるようにわかる。
例えばパチェの寝相が大変悪く、あと数秒で私をベッドから追い落と……ちょっと待てえええ!
紅魔館最重量と噂されるパチェの寝返りを受け、あえなく私はしたたかに体を床にぶつけるハメになった。
当然トランプどころではない。
「何やってるのよお姉様。寝相わるいんだから」
「ち、ちがっ」
「もー飽きたー。寝るー」
ぬぐぐ、パチェめ。明日いじめてやる。絶対だ、絶対だからな!
なんとかベッドの上に隙間をこじ開け再び横たわる。
そうこうしている間にフランは寝入り、どうやらまで目覚めているのは私と美鈴だけになったようだ。
「フランは寝付いたみたいね」
「ええ、そうですね」
「こうやってみんなで寝るのなんていつぶりかしら」
「ふふふ、その時は咲夜さんはいませんでしたね」
あくびが漏れる。
「そうね、私も寝るとするわ。おやすみ、美鈴」
「あ、ちょっとまってください。お嬢様」
「なにかしら?」
身じろぎするような音が聞こえる。
「フラン様って、こんなに寝相がよろしくありませんでしたっけ……? ちょっと、支えるのが辛いんですが……」
「おやすみ、美鈴」
「ちょっと――っ!」
明日もいい一日になるだろう。
結局、一晩中パチュリーに押し込まれるわ美鈴ごと床に落ちたフランが暴れるわ、安眠というわけにはいかなかった。
まあ、たまにはそんな日もあってもいい。
今日の紅魔館はみんな揃って寝不足なのだ。
もっとも、どれだけ騒いでも咲夜は目覚めず、ぴったり9時間後に眼を覚ました。
もしかして一番大物なのは咲夜なんだろうか。
もう少し長さがほしかったです
やはり中央で眠る咲夜さんが実質紅魔館のトップなんだろうな。
で盛大に噴いたw
幸せそうな紅魔館ズで良かったです
いや、撮影ってどうなんだろう、ある意味おいしい役なのかな