チルノ「しまった……っ! 試験範囲は足し算ではない……三角関数だったのだ……ッ!」
注意:あるSSにかなり影響受けてます。
「くそっ……こんな事なら"藤原妹紅の楽しい算数教室"じゃなくて、"八意永琳の薬漬け楽しい数学レッスン"を選ぶべきだった……ッ!」
チルノは焦っていた。 右手でせわしなくシャープペンシルをカチカチと鳴らし、それと同じリズムで時計は刻々と刻まれている。
「まさか大ちゃんがアタイを裏切るとは……予想外だった……アタイは4×4=44という答えを手に入れるほどの頭脳を持った。
しかし大ちゃんはアタイの頭脳に嫉妬し、わざと試験範囲ではない所を試験範囲としてレクチャーしてきたのだ……っ!」
チルノは後ろに振り返り、後ろの席でテストを受けているであろう大妖精の様子を確認する。
「くそっ……涼しい顔で問題を解いてくれるわ……!」
チルノは正面に向き直って問題に向き合い、問題の内容をもう一度確認する。
問い①,底辺が12、高さが12の直角三角形がある。 この三角形のサイン、コサイン、タンジェントを答えよ。
「くそっ……底辺とは一体なんだ……!? 大ちゃんめ……っ!」
チルノは問題用紙を、筆舌に尽くし難い壮絶な顔をして睨みつける。 試験監督の藤原妹紅が、こちらを不審な目で見つめている。
頭を抱えて問題用紙とにらめっこをしていても仕方ない。 チルノはこの場を"頭を使う事なく打開する方法"を考える事に専念した。
「くっ……前のヤツを人質に取り、テストの点数UPを要求するか……? いやダメだ、すぐに試験監督をしている藤原妹紅が炎でアタイを"ゲシュタルト崩壊"へと導くだろう……
ならば残された方法はたった一つ……"たった一つの冴えたやり方"……」
チルノは手のひらサイズの氷を作り、それを机に設置する。 その氷には、隣の人物の解答用紙がくっきりと映っていた。
「"氷の鏡"……それはアタイに許された唯一のアイ"アン"ティティ……さぁ、隣のヤツが、私を勝利へと導いて――」
チルノは隣を見た。
その隣には、生徒に扮した上白沢慧音が"妹紅Love"と解答用紙に書き連ねていた。
「――この乳を出すしか脳の無い下等生物めッ!」
チルノはかすれた声で心の中で最低の侮蔑を自らの教師へと投げつけた。
無論それは届くはずもなく、慧音は"妹紅Love"と病的な目つきでと震えた、されど確実に素早く器用な手で書き連ねていく。
「くそっ……アタイの席は壁際……これが意味する事は、"慧音と後ろのヤツの解答用紙"しかカンニングできないという事じ――」
そこまで言ってチルノはハッと我に返り、後ろをもう一度振り向く。
――そう、後ろには"大妖精"がいた。
「クッ……クーッハッハッハッハ! 詰めが甘かったわね大ちゃん! アタイは! お前の解答用紙を利用し! 100点満点を取るッ!」
チルノは氷の鏡の位置を調節し、後ろの解答用紙が見えるようにした――が。
「なっ……これは……っ!」
問題用紙は、既に裏返されていた。
「まさか……"終わらせた"というの!? この、試験時間が50分ある中の"たった45分"でっ!」
チルノは、テストが始まってすぐ、チルノの「チ」の書き方が、右に真ん中の棒を払うのか、左に真ん中の棒を払うのかで既に40分近くを費やしていた。
それが仇となり、チルノに重い枷となって絡みついたのだ。
「くっ……こんな事ならひらがなで"さるの"と書けばよかった……!」
チルノは頭をかきむしり、必死に頭を回転させる。
何か、何か劇的にこの状況を改善できる打開策さえあれば。
――ふと、その時思いついた。
「そうだ……合わせ鏡を利用するのよ! まず前の席の解答用紙を斜めから映すように氷を出現させ、
その氷を見れるようにあたいの机の近くに鏡を設置するの……なんという天才的発想! かの哲学者"にーさぇ"さえ仰天するほどの!」
チルノは早速、前の机の斜め45度の延長線上に鏡を出現させ、その鏡を映し込むように机に鏡を設置した。
「フッフッフ……さぁ、あたいの目に真理とやらを映し出して貰おうか!」
チルノは鏡に視点を持ってくる。 しかし、何故か一向に映る気配がない。
チルノはおかしいと思い、前に向き直って前の人物を確認する。
――黒い、塊だった。
「ルゥウウウウミアァアアアアアッッ!」
心の中を怒号で揺らす。 どれだけ自分が今日ついていなかったかを確認して、今日は仏滅かとさえ疑う。
完全に八方塞がりになった。 残り時間は――僅か3分。
チルノに残された道は、ただ一つ。
「――3分以内に、全ての問題の解を導く!」
チルノは全力で問題へと向き合う。
再び筆舌に尽くし難い、しかし先ほどとはまた違った尽くし難さの顔をして問題をにらみつけた。
――問い①,底辺が12、高さが12の直角三角形がある。 この三角形のサイン、コサイン、タンジェントを答えよ。
「……落ち着けあたい、素数を数えるんだ……"4,6,8,9,10,12"……」
深呼吸をして、問題に三度向き合う。
「まず、底辺が12で、高さが12の直角三角形というのは、三角形ね。
となれば、三角形のサイン、コサイン、タンジェントとやらを求めればあたいは勝てる。 あたいは最強の座に君臨し続ける事ができる……
問題はそれが何かという事ね……えっとまず……サインとコサイン、これは分かる」
そういって、チルノは解答欄に"さるの"とでっかく文字を書き、その隣に"コさるの"と書いた。
「フッ、あたいったらさいきょうね。 さぁ、次に求めるべきはタンジェント……タンジェントとなると……ん?」
チルノはふと、前で不穏な動作をしている妹紅に気が付いた。
咳払いをして、チルノにウィンクを何度もしてくる。
「妹紅……? 一体何を……っ!?」
妹紅は炎で文字を作り、「タンジェントは下の辺の長さ分の横の縦の辺の長さ」と文字を書いた。
――小さく、「約分は忘れない事」と書いて。
「……くそっ! "比"って一体なんなの!?」
チルノ、お前は一体何を学んだというのか。
「だがしかしこれで答えは分かったわ……そう! 答えは!」
下の辺の長さ分の横の縦の辺の長さ。 そう、チルノは一語一句間違えずに解答欄に書き写した。
「あたいったらパーペキね! さぁ、次の問題は……っ!」
チルノが意気揚々と次の問題に目を移すと、その問題は――絶望を突きつけてきた。
問い②,次の極限値を求めよ。 lim n→∞(2+5/n)
※問い①は、クラス全体の前年度の成績が悪かったために出した問題である。
「……極限値……何故?」
――途方に暮れたチルノは、そのままテスト終了のチャイムがなるまで、口を大きく開いて微動だにしなかった。
注意:あるSSにかなり影響受けてます。
「くそっ……こんな事なら"藤原妹紅の楽しい算数教室"じゃなくて、"八意永琳の薬漬け楽しい数学レッスン"を選ぶべきだった……ッ!」
チルノは焦っていた。 右手でせわしなくシャープペンシルをカチカチと鳴らし、それと同じリズムで時計は刻々と刻まれている。
「まさか大ちゃんがアタイを裏切るとは……予想外だった……アタイは4×4=44という答えを手に入れるほどの頭脳を持った。
しかし大ちゃんはアタイの頭脳に嫉妬し、わざと試験範囲ではない所を試験範囲としてレクチャーしてきたのだ……っ!」
チルノは後ろに振り返り、後ろの席でテストを受けているであろう大妖精の様子を確認する。
「くそっ……涼しい顔で問題を解いてくれるわ……!」
チルノは正面に向き直って問題に向き合い、問題の内容をもう一度確認する。
問い①,底辺が12、高さが12の直角三角形がある。 この三角形のサイン、コサイン、タンジェントを答えよ。
「くそっ……底辺とは一体なんだ……!? 大ちゃんめ……っ!」
チルノは問題用紙を、筆舌に尽くし難い壮絶な顔をして睨みつける。 試験監督の藤原妹紅が、こちらを不審な目で見つめている。
頭を抱えて問題用紙とにらめっこをしていても仕方ない。 チルノはこの場を"頭を使う事なく打開する方法"を考える事に専念した。
「くっ……前のヤツを人質に取り、テストの点数UPを要求するか……? いやダメだ、すぐに試験監督をしている藤原妹紅が炎でアタイを"ゲシュタルト崩壊"へと導くだろう……
ならば残された方法はたった一つ……"たった一つの冴えたやり方"……」
チルノは手のひらサイズの氷を作り、それを机に設置する。 その氷には、隣の人物の解答用紙がくっきりと映っていた。
「"氷の鏡"……それはアタイに許された唯一のアイ"アン"ティティ……さぁ、隣のヤツが、私を勝利へと導いて――」
チルノは隣を見た。
その隣には、生徒に扮した上白沢慧音が"妹紅Love"と解答用紙に書き連ねていた。
「――この乳を出すしか脳の無い下等生物めッ!」
チルノはかすれた声で心の中で最低の侮蔑を自らの教師へと投げつけた。
無論それは届くはずもなく、慧音は"妹紅Love"と病的な目つきでと震えた、されど確実に素早く器用な手で書き連ねていく。
「くそっ……アタイの席は壁際……これが意味する事は、"慧音と後ろのヤツの解答用紙"しかカンニングできないという事じ――」
そこまで言ってチルノはハッと我に返り、後ろをもう一度振り向く。
――そう、後ろには"大妖精"がいた。
「クッ……クーッハッハッハッハ! 詰めが甘かったわね大ちゃん! アタイは! お前の解答用紙を利用し! 100点満点を取るッ!」
チルノは氷の鏡の位置を調節し、後ろの解答用紙が見えるようにした――が。
「なっ……これは……っ!」
問題用紙は、既に裏返されていた。
「まさか……"終わらせた"というの!? この、試験時間が50分ある中の"たった45分"でっ!」
チルノは、テストが始まってすぐ、チルノの「チ」の書き方が、右に真ん中の棒を払うのか、左に真ん中の棒を払うのかで既に40分近くを費やしていた。
それが仇となり、チルノに重い枷となって絡みついたのだ。
「くっ……こんな事ならひらがなで"さるの"と書けばよかった……!」
チルノは頭をかきむしり、必死に頭を回転させる。
何か、何か劇的にこの状況を改善できる打開策さえあれば。
――ふと、その時思いついた。
「そうだ……合わせ鏡を利用するのよ! まず前の席の解答用紙を斜めから映すように氷を出現させ、
その氷を見れるようにあたいの机の近くに鏡を設置するの……なんという天才的発想! かの哲学者"にーさぇ"さえ仰天するほどの!」
チルノは早速、前の机の斜め45度の延長線上に鏡を出現させ、その鏡を映し込むように机に鏡を設置した。
「フッフッフ……さぁ、あたいの目に真理とやらを映し出して貰おうか!」
チルノは鏡に視点を持ってくる。 しかし、何故か一向に映る気配がない。
チルノはおかしいと思い、前に向き直って前の人物を確認する。
――黒い、塊だった。
「ルゥウウウウミアァアアアアアッッ!」
心の中を怒号で揺らす。 どれだけ自分が今日ついていなかったかを確認して、今日は仏滅かとさえ疑う。
完全に八方塞がりになった。 残り時間は――僅か3分。
チルノに残された道は、ただ一つ。
「――3分以内に、全ての問題の解を導く!」
チルノは全力で問題へと向き合う。
再び筆舌に尽くし難い、しかし先ほどとはまた違った尽くし難さの顔をして問題をにらみつけた。
――問い①,底辺が12、高さが12の直角三角形がある。 この三角形のサイン、コサイン、タンジェントを答えよ。
「……落ち着けあたい、素数を数えるんだ……"4,6,8,9,10,12"……」
深呼吸をして、問題に三度向き合う。
「まず、底辺が12で、高さが12の直角三角形というのは、三角形ね。
となれば、三角形のサイン、コサイン、タンジェントとやらを求めればあたいは勝てる。 あたいは最強の座に君臨し続ける事ができる……
問題はそれが何かという事ね……えっとまず……サインとコサイン、これは分かる」
そういって、チルノは解答欄に"さるの"とでっかく文字を書き、その隣に"コさるの"と書いた。
「フッ、あたいったらさいきょうね。 さぁ、次に求めるべきはタンジェント……タンジェントとなると……ん?」
チルノはふと、前で不穏な動作をしている妹紅に気が付いた。
咳払いをして、チルノにウィンクを何度もしてくる。
「妹紅……? 一体何を……っ!?」
妹紅は炎で文字を作り、「タンジェントは下の辺の長さ分の横の縦の辺の長さ」と文字を書いた。
――小さく、「約分は忘れない事」と書いて。
「……くそっ! "比"って一体なんなの!?」
チルノ、お前は一体何を学んだというのか。
「だがしかしこれで答えは分かったわ……そう! 答えは!」
下の辺の長さ分の横の縦の辺の長さ。 そう、チルノは一語一句間違えずに解答欄に書き写した。
「あたいったらパーペキね! さぁ、次の問題は……っ!」
チルノが意気揚々と次の問題に目を移すと、その問題は――絶望を突きつけてきた。
問い②,次の極限値を求めよ。 lim n→∞(2+5/n)
※問い①は、クラス全体の前年度の成績が悪かったために出した問題である。
「……極限値……何故?」
――途方に暮れたチルノは、そのままテスト終了のチャイムがなるまで、口を大きく開いて微動だにしなかった。
それを求めよなんて問題はとんと出会った事は無いが……。
とりあえず、苦悩するさるのが可愛かったのでおまけして。
慧音はもうダメだ。
さらにこの問題ではどの角に対する三角関数を求めるのか明記されていません
これは正三角形ではないのですから致命的な出題ミスといってよろしいかと
よってSSとしては落第点、私がタイトルで噴出したのでおまけで10点だけ入れます
さるの頑張れ!
ただし極限値、てめぇはだめだ。
内容に関しては無評価ですがけーね先生のインパクトで点数を。
整然とした文章が書けるようになれば壊れ系もメタネタもまた魅力的になるかと思います、頑張ってみて下さい。
し、しまった……っ!サインコサインタンジェントは角度θを指定しなければ意味がない……っ!
一応底辺12高さ12だと1:1:√2になるから答えは同じになるものの……これでは意味を成さない……
余りの初歩的ミス……正直今年一番のショックだった……ちょっと屋上に行ってきます……
ただ数学の問題の出し方が悪かったのでこの点数で
limitの解き方は忘れたけどすごく計算が面倒だった覚えがある
sinh「忘れるなんて」
cosh「ひどいじゃないか…」
しかし高校数学の内容とは、このバカたち、出来る…
ですが、大ちゃんが策略を仕掛けたのかチルノが勝手に誤解したのかがハッキリしない点が個人的には気になります
四則演算を間違えていることと策略を仕掛けるメリットが無い事から、恐らく大ちゃんは前提条件となる基礎を教え、チルノがそれを範囲外を教えられたと誤解したのだろうと推測できますが
問2の答えは“2”ですか?
間違ってたらすいません。
自分には、自分には無理ゲーすぎますぅ