Coolier - 新生・東方創想話

歩け! イヌバシリさん vol.8(終)

2013/01/12 16:47:09
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【 epilogue  】



――― 突然のお手紙失礼します。
――― 姫海棠はたてです。

――― 手紙は新聞と同様、一生残るものなので、ここでは敬語を使いたいと思います。
――― 貴女に対して敬語を使うのは少しだけ違和感があります。

――― さて、椛が山から姿を消して一ヶ月ばかりが経とうとしています。

――― 実は私が入院中に、お見舞いに来てくれた洩矢諏訪子様や天魔様、大天狗様から私が知らない所で何が起きていたのかを教えてもらいました。
――― 知りたい事も知りたくなかった事も全部です。

――― この一件の一番の被害者は椛であることに間違いありません。
――― 守矢神社が最も悪いですが、それに付け入る隙を与えた天狗社会の偉い人たちも悪いです。
――― 白狼天狗に対して何もしないで傍観を決め込んでいた私達若い世代も同罪です。
――― きっと私達全員が加害者なのだと思います。
――― 私達がどうすれば椛に償えるのか、悔しいことに、いくら考えても答えは出ませんでした。




――― 椛がいなくなっても天狗社会にまったく影響はありません。

――― ただ、山に住んでいる一部には間違いなく影響を与えました。
――― 大天狗様がその一人です。



「こんにちはー今月の果花子念報をお持ちしましたー」
「あらいらっしゃい。今週は何の特集?」
「人間の里にある和菓子・スイーツ店特集です」
「まぁ素敵。そういうのがあるからはたてちゃんの新聞好きなのよ。最近順位も上がってるみたいだし、贔屓してる甲斐があるわ」
「あ、ありがとうございます。では配達の途中なので私はこれで」
「えーいいじゃない。もっとゆっくりしてってよ? 最近、誰も話相手になってくれなくて退屈してるから」


――― 椛がいなくなって、一番寂しい思いをしているのは大天狗様のような気がします。
――― 大天狗様はその地位と実力と…あと、ちょっとノッポなせいで皆から恐れられています。
――― だから椛以外に会話が弾む相手がいないみたいです。
――― 本人もその自覚があるから、ああゆう喋り方にして、親しみを持ってもらおうとしているのかもしれません。
――― あの人は、私達が思っているよりずっと寂しがり屋なのかもしれません。
――― それでも山の業務を滞りなく回しています。私もあんな出来る女になりたいです。


――― 寂しい思いをしているのは、大天狗様だけではありません。
――― 河城にとり。彼女もその一人です。


「ぷはぁ!」
「今日も潜ってるの?」

――― 彼女はコピー機の開発がひと段落してからは、暇を見つけてはダムによく潜っています。

「まだ椛を探しているの?」
「勘違いしないでよ、確かに私は椛を探してるけど、水死体を見つけるのが目的じゃない。椛がここにいないことを確認してるんだ」

――― 椛は自殺したのではないか。と推測している人がいます。
――― 彼女はその推測を真っ向から否定するために椛の姿を探しているのです。
――― にとりは椛が生きていることを信じて疑いません。



――― 椛がいなくなっても変わらない人もいます。
――― 天魔様です。
――― 相変わらず、あの幼い顔には似つかわしくない小難しい表情を浮かべて天狗社会の統括をしています。

――― つい先日、天魔様から呼び出しを受けました。

「お前には話しておきたいことが二つある」
「二つ?」
「まず一つ。文の事を恨まんでやって欲しい。今回のダム騒動は山の暗部が大きく関わっておる。それに何の関わりも無いお主を巻き込みたくなかったのじゃ」
「恨むだなんてそんな」
「長く生きている天狗は儂を含めどいつもこいつも罪人じゃ。しかし、望まずに悪事を働いた者がいたことも知っておいて欲しい」

――― あの頃はそうしなければ山は成り立たなかった、と天魔様は悲しい目でそう言いました。
――― 今私達が歩いているこの安全な道は、先人たちが私達のために作ってくれた文字通り、血道なのだと教えられました。
――― この道はいずれ私達に託されます。その時、同じことを繰り返さないで欲しいというのが天魔様の願いなのだそうです。

「そしてもう一つ。はたてよ。本日付けでお主との師弟関係を解く」
「えっと、それって破門、ですか?」
「破門というのとはちょっと違うのぉ。ようやく並の鴉天狗になったからな、頃合じゃと思うてな」
「つまり、免許皆伝?」
「調子に乗るなヒヨっこが! 補習が終わっただけじゃ!」
「あだー!」

――― あの小さな体から繰り出される拳骨は、なぜこうも痛いのでしょうか?

「まぁ、わからぬ事、覚えたい術があればいつでも教えを乞いに来るが良い」
「念写の応用技を考えたので、今度見てもらっていいですか?」
「うむ。構わん。期待して待っとるぞ」

――― 私をシゴけるのがよっぽど嬉しいのか、私が困ったことを相談しに行く度に、見た目相応の童女のような、まるで花が咲いたように笑うのです。

「それはそうとな」
「はい?」
「お前と性格の合いそうな男を何人か見繕っておいた。会うだけでも…」
「お邪魔しました!」

――― 最近はやたらお節介を焼いてきます。
――― 見た目はあれですが、なんだかお婆ちゃんみたいです。
――― 当分は縁談から逃げ回る日々が続くと思います。



――― 色々と書きましたが、これが私にとっての近況です。
――― 賑やかではありますが、どこか物足りません。それは椛と、貴女がいないからです。


――― だから早く出てきてください。
――― 一緒に椛を探しに幻想郷中を回りましょう。
――― 気温も段々と温かくなり、春の足音が近づいてきています。三人でお花見が出来る日が来ることを願っています。

――― 姫海棠はたて





「…」

数日前に郵便受けに入っていた手紙を、仰向けになって文は眺めていた。
ダムの投票日以来、文は引篭もり、家から出ていない。
椛のためと思った行動が、全て裏目に出て、あわせる顔が無いと思っていた矢先に椛が失踪し、全てにおいて無気力になっていた










地底。
旧都の外れ。崩れかけた塀に椛は背中を預けていた。
虚ろな目で膝を抱えており、手元の風呂敷には物を燃やすために持ってきた新聞紙しかもう入っていない。

そんな彼女に近づく影があった。

「おい」

姿勢はそのまま、眼球だけを声のした方に動かす。
若い鬼が三人、彼女を見下ろしていた。

「見ない顔だな。いつからここにいる?」

彼らはこのあたりを縄張りして息巻く若者のグループだった。
余所者を見つけ、排除するために近づいてきたのだ。

「無視すんなよ」

三人のリーダーらしき真ん中の鬼が、椛の胸倉を掴み、上向きに引張った。
若くとも流石は鬼の腕力といった所か、椛の体を軽々と持ち上げて、椛の両足を地面から浮き上がらせた。

「俺らはここで生まれたから詳しくは知らないが、お前、白狼天狗っていうやつだろ? 何でもハイハイ言うことを聞く下っ端天狗」
「…」

椛は動じず、乾いた目で鬼の青年を見据える。

「だから命令してやる。今すぐここから消え…」

椛は鬼の胸倉を掴むと、そのまま自身の体を引き込み、鬼の顔面に頭突きを見舞った。
額の最も硬い箇所が鼻柱に衝突し、彼の両穴から勢い良く血が滴りはじめた。

「てめぇッ! なにす…」

青年が両目に涙を滲ませ、痛む鼻を右手で覆いそう叫ぶ時間を、椛は追撃に回していた。
鼻を右手で覆ったことで無防備になった右側面。鬼の右耳を椛は平手で打ち、耳道に空気を送り込み鼓膜を破壊した。

「ッーッ!!?」

痛みで悶絶し、膝を着いた彼の顔面に蹴りを入れる。そのつま先は的確に右目を捉えていた。
目、耳、鼻。頑丈な鬼でも、体の構造上どうしても脆くせざるを得ない箇所、そこを寸分の狂いもなく破壊した。
一瞬の出来事だった。

崩れ落ちるリーダー格に一瞥もくれることなく、すぐ背後にいた取り巻きの一人の目の前まで跳躍。
驚愕し体が硬直している彼の顎を掌底で打ち抜くと同時に、股座を蹴り気絶に至らしめた。

「ひっ!」

事態がようやく飲み込めた最後の鬼は、生存本能に従い踵を返し、走り出そうとする。
しかし、既に椛が彼の襟を両手で掴んでおり、椛が真下に引張ったことで、彼は地面に仰向けに倒された。

地底の岩盤天井の景色に、己を見下ろす椛の姿が入り込む。
彼女の手には足元に落ちていた石が握られており、何の躊躇もなく、それは振り下ろされる。

だが、それが彼の顔に落ちることは無かった。

「邪魔しないでください」

椛の腕を掴む者が居た。

「その辺で勘弁してやったらどうだ?」
「喧嘩を吹っかけてきたのはコイツ等です」
「わかってる。遠くから見ていた」

その人物はたまたま現場を目撃して、慌てて駆けつけ椛の手を止めた。

「お前は悪くない、正当防衛だ。だがこれ以上はやりすぎだ」
「ここで逃がしたら、仕返しされるかもしれません。だから徹底的にやっておかないと」
「わかったじゃあ。こいつ等にはお前に二度と手出ししないように私からキツく言っておく」
「こんな奴等が素直に言うことを聞くとは思えませんが」
「お前も天狗なら私が誰か知らないわけないだろう? だからこの通りだ」

星熊勇儀は深く頭を垂れた。

「…わかりました」

椛は手から石を捨てる。これ以上、四天王の意にそぐわない行動を取れば、今度は自分が危なくなると判断した。

「ところでお前、前に山で会ったか?」
「いいえ」
「そんなはず無いだろ。えーと確か……そうだイヌバシリだ」

以前、気まぐれに彼女が山で飲みたいと言い出して、天魔と大天狗は接待の準備を余儀なくされた。
その時に椛、文、はたて、にとりがその手伝いとして駆り出された。
酔っ払った彼女を運ぶ際、うっかり角を折ってしまった事があり、なんとか元通りにはなったが、あれほど肝を冷やした事はなかった。

「イヌバシリって名前だろお前? 白狼天狗の墓の場所を案内してくれたよな?」
「その下の名前は?」
「すまん忘れた。なんていうんだっけか?」
「なんていうんでしょうね? 自分でもわかりません」

椛は立ち上がると勇儀に背を向けた。

「ちょいと待ちなってば」

無事な一人に負傷した二人の手当てを任せて、椛を追いかける。

「そらっ」

背後から椛を抱きかかえて肩に担いだ。

「なんのつもりですか?」
「ここに居るってことは何かわけありなんだろ? 見逃してくれた礼だ、寝床くらい紹介するよ」
「放っておいてください」
「そうはいかない。今回みたいな事がまた他で起きたら困るからね」

抵抗も虚しく連れて行かれた先は、旧都の大通りから数本外れた一軒家だった。

「入るよー」

ノックもせず扉をあけた。

「また来たの? 今度はどの機械壊し…何担いでるの?」

赤とピンク色を基調とした衣装の少女は怪訝な顔をする。

「こいつの面倒しばらく見てやって欲しいんだ」
「嫌よ。なんで私がそんな赤の他人を住まわせなきゃならないのよ」
「白狼天狗と河童は仲が良いんだろ?」
「生憎と、私は河童のはぐれ者だから」
「そこをなんとか、な? 頼むよみとり」

「私の話を聞かずに話を進めないでくださいよ」

担がれた椛は窮屈そうに身を捩った。
その拍子に手にしていた風呂敷が落ちて、中身の新聞が部屋に散らばる。

「まったくもう。仕事を増やさないで頂戴。こっちは機械の納期に追われて忙し……」

愚痴りながら新聞を拾おうとしたみとりの手が止まった。

「別にいいわよ。しばらく置いてあげても」
「おお、本当か!?」
「ええ。自分の食べる分くらいは生活費として入れて貰えれば」

彼女の目は河城にとりの記事に釘付けになっていた。








文の家。
ベットで仰向けになる文は、ただただ天井を見つめていた。それ以外にやる事が無かった。

「文ー、入れてー」
「…」
「居るんでしょー?」

扉の向こうから、はたての声が聞こえてきて、視線だけそちらに向ける。

(また来たんですか)

毎日、はたてはここに来ては文に呼びかけをして帰って行く。
普段は世間話をして帰って行くのだが、今日は内容が違っていた。

「なんかあの時と逆になっちゃったね」

いつもよりゆっくりめの口調だった。
語り掛けるように、扉に向かい喋りだした。

「覚えてる? 文が椛連れてきて私の説得に来てくれた時のこと」
(忘れるわけないでしょう)

あれが全ての始まりだった。

「あの時『この二人と一緒に行動したら、自分は変われるかもしれない、欲しかったものが手に入るかもしれない』。そう思って引篭もりをやめたんだ」
(はたての欲しかったもの?)
「私ってほら、根暗で世間ズレしてて、人見知りで、消極的だから、そんな自分を変えてみたかった。変わって、気の合う友達に囲まれる充実した生活が欲しかった。でもね、その考えは間違いだった。
 ……だってその願いは、二人に出会った瞬間から始まってたんだから」

二人に出会ったことで、はたては確かに満たされていた。

「文は椛と仲良くなりたかったから、私の引篭もりの説得に椛を呼んだんだよね?」
(はたてが心配だったというのもありますが。確かにそれも目的でしたね)
「あの時、椛だけが私達に何も求めてなかった」
(そうですね。嫌々付き合せましたから)

天魔の命令でなければ、まず手伝わなかっただろう。

(あの時、椛さんに声をかけなければ…)
「もし文が『あの時、椛を呼ばなければ良かった』なんて考えてるなら。きっとそれは間違い」
( ? )
「ここから先は、全部私の都合の良い妄想なんだけどね」

そう前置きしてから話を続ける。

「復讐するっていう願いは、犬走椛じゃなくて犬走***のモノで、椛自身の願いじゃない気がする。きっと椛自身、自分が何を欲しいのか分からないまま、生きてきたんだと思う」

生き残るのに必死で、それを探す余裕すらなかったのかもしれない。

「でも。最後の最後で、ようやく見つけたんだと思う。それが見つかったから復讐も、故郷も、昔の名前も捨てられた」

文のことを斬りたくないと、悲痛な声で言った椛の姿が文の脳裏に過ぎる。

「文の命賭けの行動が、椛にそれを気づかせた」

過去よりも未来を、椛に選択させた。

「一緒に取材をして回って、鬼の酒盛りに付き合わされて、にとりの地下工房に潜入して、誤解して、喧嘩して、助けて、助けられて。そんな私達の時間は決して無駄なんかじゃないよきっと」
「…」
「一方的に喋ってごめんね。また来るから。それで一緒に椛を探しに行こう」

扉の前から気配が消える。

「全部仮説のなんの根拠も無い考察じゃないですか。仮にそうだとしても、今更どんな顔して会えって言うんですか」

淀んだ空気の中で、消えそうな声で文はそう呟いた。







旧都。

「ただいま戻りました」
「ああ、お帰りなさいイヌバシリ」

みとりは一度だけ振り返ると、すぐに視線を修理途中だったランプに戻した。

「あの、少ないですが今日の分です」

みとりの作業机の隅に、旧都で流通している貨幣を一束分置いた。
それを見て彼女は愁眉を歪めた。

「いつもより多いわね?」
「日雇いの仕事が思ったより早く終わったので、空いた時間で他の仕事を手伝ったんです」
「嘘ね」

椛の顔を覗き込む。顔色がどこか優れていないように見えた。

「また金鉱床に行ったでしょう?」
「…」

地獄の釜で溶かされた怨霊の欲望からは金が発生する。
かつてこの地底が地獄の役割を負っていた時、大量の怨霊が溶かされた。
その際に発生した金は地中に堆積されて、根気強く掘れば小粒の金が掘り出せる場所が何箇所かあった。
ただしその場所はどこも有毒ガスが発生し、金自体にも、怨霊から発生した有害な毒素も含まれているため、金鉱床に近づくことは寿命を縮めるのと同義だった。

「そこまで無理してお金なんて稼がなくて良いって言ったでしょう?」
「しかし日雇いではあまりにも少ないので」

以前にも一度、椛はそこへ赴いていた。
金を拾った後、金と毒素をちゃんと分離できる鍛冶屋を探して、そこへ持って行って収入を得たが、翌日体調を崩した事でみとりにバレ、叱られた。

「いいから寝なさい」

そのままベッドに放り込まれる。

「私が良いって言うまで起きるのは【禁止】よ」

その言葉の後、まだ体力はあるはずなのに、起き上がろうとする度に力が手足から抜けた。

「まったく、なんで貴女みたいな子が山から追い出されたんだか」
「追い出されたんじゃありません。自分の意思で出てきたんです」
「なぜ?」
「自分を殺したから…ですかね?」
「じゃあ貴女は誰なの?」
「誰なんでしょうね本当に」

犬走***という存在を否定した。犬走***こそが犬走椛の根源だった。
その根源を否定した椛は果たして何者なのか。

「自分が何者なのかわからなくなって、気持ちの整理が何もつかない間に、妖怪の山はどんどん前に進んでいくんです。私を置き去りにして」

そう思うようになったら、何もかもが嫌になって、気付いたら山に背を向けていた。

「その気持ち、ちょっとだけわかるわ」

みとりは作業の手を止め、ベッドのふちに座る。

「私、河童と人間のハーフなの。そのせいで周りから白い目で見られて、辛いことも一杯経験したわ」
「そうだったんですか」
「『もう消えてしまいたい』って、何度も思った。ちょうど今の貴女みたいに」
「…」
「山にいた頃、大雨で氾濫した川に巻き込まれたことがあったの。まぁ半分河童だから何ともなかったんだけど」

その日から、彼女は自分から川に身を投げるようになった。

「流された時にふと思ったの。このまま流れていれば、いつか水に還れるんじゃないかって、その内、溶けて消えられるんじゃないかって。でも駄目だった」

結局無傷で、下流まで流されて終わってしまうのが常だった。

「当然といえば当然よね、私は仕切りを、自分と他を区別するための境界線である肉体を持っているのだから。水になんかなれるわけない」
「肉体、ですか?」
「そう。肉体があるからどれだけ遠くに流されても、私は私のままで、溶けて消えるなんて事は無かった。その時に思ったのよ、今の自分を受け入れて、自分が生きていける場所を探そうって」

彼女の言葉が、椛の心に突き刺さる。
椛は自分を犬走***の亡霊だと思っていた。
椛は手を天井に向かって伸ばす、強く握ると、手のひらの中の鼓動を感じられた。

(私は私のまま、か)

その後、みとりはあれこれと語るが、椛の耳には入ってこなかった。







某日。この日もはたては文の家の前にやってきた。
しかし、今日の説得方法は一味違っていた。

「あーあー聞こえますか文ー」

その手にはにとりから借りた拡声器が握られており、そこから流れる大音量の声が眠っていた文を叩き起こした。

「再三の督促の無視。さすがの私も堪忍袋の緒が切れました。これだけ話しかけたらアロエだって何かリアクションしてくれます。もう我慢の限界です。なので実力行使に移ります。にとり先生、やっちゃってください」
「おうさ。いでよ私の大発明!」

にとりが巨大なオブジェクトに掛かっていたシーツを剥がす。
3メートルをゆうに越すクマの姿をしたロボットっだった。

「名づけて『家ぶっ壊しクマ』!!」


――――――【 家ぶっ壊しクマ 】――――――

用途:家をぶっ壊す

――――――【 家ぶっ壊しクマ 】――――――


「そのまんまじゃん! もっとヒネろうよ名前! いつものネーミングセンスはっ!?」
「色々と考えたけどね、一周したらこれに落ち着いたんだ」
「一周してないよソレ! 多分途中で力尽きてる! あと0.195キロ残ってる!」

はたては拡声器を持ち、再び文に向ける。

「言っとくけど脅しじゃないからね! 天魔様から正式に許可取ってるからね!」
「まずどっから壊そうか?」
「屋根を外してから玄関に溜めパンチで良いんじゃない?」
「オッケー」

巨大クマに掴まれてミシミシと音を立てる屋根。

(いくらなんでも滅茶苦茶でしょう!!)

これには堪らず、ベッドで横になっていた文は跳ね起きた。
そして駆け出して窓を自らの手で開け抗議した。

「待ちなさいはたて……ひゃぁ!!」

窓をあけた時、最初に見えたのは振り下ろされた鉄パイプだった。
それが、文の額数センチ手前で止まった。

「えっと、ラフメイカーです。寒いから入れてもらえませんか?」

鉄パイプを持っていた人物を見て、文は大きく目を見開く。

「え、あ、ど、どうして?」
「どうしてもの何も、帰って来たからいるんじゃないですか」

不思議そうに首を傾げてから、椛は鉄パイプを肩に担いだ。

「良いんですか? その、ご自分のこととか…」
「過去の自分も、今の自分も、全部ひっくるめて『私は私』ってことで、ひとつよろしくお願いします」

屈託の無い笑みを文に向けた。
迷いも後悔もその表情からは、微塵も感じられなかった。

「しっかし何ですか貴女は? 私が色々と投げ打って助けてあげたのに、引篭もりなんて良いご身分ですね?」
「だって、貴女に会わせる顔なんて私…」
「お黙りなさい」

ぺちりと文の額を叩いた。

「あれは私が勝手にやったこと、文さんが気に病むことなんてありません」
「でもそれじゃあ」
「そんなに私に対して申し訳ないと感じているのなら、ちゃんと責任とってください」
「責任ってその……もしかして結婚、ですか?」
「なんでそうなるんです?」

「「ヒューヒュー」」

「そこ、黙って!」

面倒くさそうに頭を掻く。
しかしそれが照れ隠しの癖だということを、三人はこれまでの付き合いで知っていた。

「私の人生を捻じ曲げたっていうんなら、これからの生活で償っていってください。良いですね?」
「わ、わかりました。なので今後ともどうか。不束者ではありますが」
「なんで三つ指付くんですか? いい加減その発想を止めてください」
「「ヒューヒュー」」
「だから止めてください!」

「まぁまぁ。本当に久しぶりに三人仲良く揃ったことだし」

にとりがカメラを取り出して三人に見せる。

「記念写真撮ろうよ」











それから月日が流れる。



「狭いですね」
「うん、狭い」
「…」

「狭いわね」
「狭いのう」
「…」

「はたて、もっとそっち寄ってくださいよ」
「文だってもっと下がってよ」
「ごめんね。無駄に足が長くてごめんね」
「おいはたて、儂を肩車せい。それで空間が出来る」

「そんなに不満なら出てってください」

自分の家に上がりこんでいる文、はたて、天魔、大天狗に向け、額に青筋を浮かべながら言った。

「いやー冗談ですよ椛さん。こじんまりしてて落ち着くじゃないですか」
「掃除とか楽そうだよね」
「隠れ家的な素敵なお家じゃない」
「住めば都と言うしのう」

「褒めてるのか貶してるのかはっきりしてくれませんかね?」

淹れたてのお茶が乗っている盆を引っくりひっくり返さないよう必死に自分を律する。

「それはそうと、合格おめでとうございます椛さん」
「おめでとう椛」
「これで堂々と私んとこに遊びにこれるわね」
「お主が隊長なら頼もしいことこの上無いわ」

「ありがとうございます皆さん」


今日は椛の隊長試験合格を祝うために集まっていた。
合格発表があったこの日の夕方、最初に文が来て、次に大天狗、最後にはたてと一緒に天魔が来た。
別に示し合わせたわけではない。自然と集まってきたのだ。

「はたてさんが教えてくれたお陰です」
「椛の頑張りがあったからだよ」

帰ってきてから試験の日まで、猛勉強した甲斐もあり、筆記は及第点を取ることが出来た。

「筆記はギリギリでも、実技はダントツだったからねモミちゃん」
「そんなにすごかったんですか椛さん?」
「一対一の模擬戦を五試合やるんだけどね。対戦相手全員を瞬殺」
「すごい」

はたてから憧れの視線が注がれる。

「やっぱり剣の鍛錬再開しようかな。私って椛みたいに盾を持つスタイルなら向いてるかも。はたて(刃盾)なだけに」
「…」
「…」
「…」
「…」
「おっとぉ?」


空気を変えるために、天魔は違う話題を出した。

「そうそう。二柱より祝いの品を預かっておるぞ」
「神奈子様と諏訪子様からですか?」
「うむ。おそらくお主に対して、それなりの罪悪感はあったようじゃ」
「そうですかね?」
「大きかった故、外に置いてある」

縁側から庭を覗くと、抱えるほどの大きさの黒いカエルが鎮座していた。

「諏訪子神からは、黒曜石で出来た蛙の置物じゃ」
「どう考えても嫌がらせですよねこれは。黒いカエルとかトラウマほじくり返す気満々時じゃないですか。倉庫に眠ってる処分品を押し付けたいだけですよね?」

仮に置いたら、場所を取るうえ、床が抜ける未来が容易に想像できた。

「神奈子神からは御柱を預かってきた」

よくよく見ると、庭から生えている木のすぐ隣に立派な大きさの御柱が立て掛けてあった。あまりにも自然すぎて気づかなかった。

「揃いも揃ってあのポンコツ神は…そんなに私のことが気に入らないなら直接殺しに来れば良いのに」
「ひょっとしたらドッチもすごい価値のある品かもしれないわよモミちゃん?」
「使い道がなきゃ粗大ゴミですよ」
「この家の柱とか?」
「狭くてしょうがありませんよ。というか、天魔様にこれを運ばせる時点で無礼千万じゃないですか」

椛は知らないが、二柱の贈り物は、詳しい者が見れば相当な値打ち物であった。

「あと、巫女からも預かっておるぞ」

天魔は袖から封筒を取り出す。

「御札ですかね? 家内安全とか?」
「とりあえず開けたら?」

出てきた白い紙を広げると婚姻届が出てきた。東風谷の印鑑がすでに捺されている。

「早苗さんから何かお話聞いてませんか天魔様?」

求婚されるような覚えは無い。

「なんでも『居酒屋で酔い潰れた時に飲み代を立て替えて、宿代まで出しくれた事と山火事から助けてくれたから』と言って非常に恩義を感じておったぞ?」
「どうしてそれを?」

全て早苗には告げていなかったはずだったが、どうやら最近になって、巡り巡って早苗の耳に入ったようだ。

「重い。見た目に反してすごく重いです」
「ここで守矢の巫女をものにしちゃえば、ひょっとしてモミちゃんが守矢を牛耳れる?」
「だ、ダメですよ椛さん! 愛の無い結婚なんて論外です!」

この紙については後日、早苗に返しに行った際、丁重に断るということで決着がついた。

「せっかく揃ったのなら、祝賀会でもせんか? ちと狭いが」
「良いですね。狭いですけど」
「文に賛成。ちょっと狭いと思うけど」
「良いわね。今ならどんなお酒もおいしく飲めそうよ。ちょっと狭いけど」

「摘み出しましょうか一人ずつ順番に?」

「そうと決まれば買出しじゃな、ちょっと行ってこよう」
「天魔ちゃんに行かせるのは流石にマズイわ。私が行くわよ。良い酒扱ってる店知ってるから」
「大天狗様が行くのもダメでしょう。私が行きますよ」
「文が行くなら私も行く」

文とはたてが天魔から貨幣の詰まった巾着を預かり、買出しに出かける。

(よくよく考えたら、これはすごい状況だ)

下っ端の白狼天狗の家に、山の最高位にあたる二人がいる風景。

「椛よ。お主、未婚であろう?」
「そうですが、それが何か?」
「力は弱いが聡明で優しい男がおるのじゃが、会ってみんか?」
「ええと、その」
「あら良いじゃない。会ってみたら? そろそろ女の幸せ見つけたら?」
「文さんはたてさん! 私も行きます!」

耐え切れなくなった椛は家を飛び出した。

「うわっと」

家を出てすぐ、大きめのサイズの封筒を持ったにとりと出くわした。

「おっす椛。隊長昇格おめでとう。お祝いに来たよ」
「ちょうど良かったにとり。私達が戻るまでお二人のお相手をお願いします」

そう頼んでから、二人を追いかける。

「二人って?」
「あらにとりちゃんいらっしゃい」
「お主が河城にとりか。噂はかねがね」
「ひゅいぃぃぃぃぃ!!」

にとりの手から封筒が落ちる。
その拍子に中に入っていた写真が顔を出す。
写真の中、椛、文、はたての三人が仲良く顔を寄せて笑っていた。
かつて文が引篭もりを止めた日に撮られたものだ。三人の再出発した日の記念だった。
祝いの品として、それを大サイズに伸ばして届けに来たのだ。










追いついた椛は二人の横に並ぶ。

「決めました。隊長になって上がった給料で家を増築します」
「まぁ隊長職さんがあの家では、部下に示しがつきませんからね」
「ええ。それに今の家の広さじゃ大勢呼べませんから」
「へ?」
「最近は、賑やかなのも悪くない気がしてきまして」

文とはたては立ち止まり、お互いの顔を見合わせる。
椛に起きた変化を実感し、笑った。

「なぜ止まるんです? にとりを待たせているんです。早く買って戻りましょう」
「はい」
「そだね」

歩き出し、文が椛の右手を、はたてが左手を握る。

「行きましょう椛さん」
「行こう椛」

二人はこれからも探し続ける。犬走椛が救われる言葉を、その方法を。
それが見つかるのは今日かもしれないし、ひょっとしたら一生来ないのかもしれない。

「なんですか急に?」
「突然こうしたい気分になりまして」
「文と同じ」

ただ今は、見つかることを信じて、その手を優しく引いた。

「…」

この時、椛の脳裏に先輩が残していった言葉が過ぎった。

『次にお前が誰かに手を引かれた時、必ず後ろを振り向く呪いをかけた』

言われた通り、振り返った。

「……ふふ」

先輩が伝えたかった事を理解して、椛の頬が緩む。

「どうかしました?」
「何か落とした?」
「いえ、何でもありません。行きましょうか」

犬走椛は、前を向いて歩き始める。

そこに残った足跡は、もう一つでは無かった。
歩け! イヌバシリさんはこれにて完結です。
お付き合いくださいましてありがとうございました。

>>90様
ご指摘ありがとうございます。修正致しました。
>>143様
ありがとうございます。誤字を修正致しました。
>>172様
ご指摘ありがとうございます。修正致しました。
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コメント



0.6750簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
色々考えさせられる話でしたが、楽しい話をありがとうございました。
彼女らの未来に幸多きことを。
3.100名前が無い程度の能力削除
最後まで笑わせ、泣かせてくれました。素晴らしい作品をありがとうございました。
4.100名前が無い程度の能力削除
時間を忘れて読んだ。こういう作品があるから創想話はやめられない。
5.100名前が無い程度の能力削除
シリアスな展開の中にも笑い所があり、とても面白かったです。
7.100名前が無い程度の能力削除
ただただ完結、お疲れ様でした
8.100名前が無い程度の能力削除
イヌバシリシリーズお疲れ様です。

最高でした。バッドエンドだったら一ヶ月は立ち直れない気がしてたので、ハッピーエンドで本当よかったです。

10.100奇声を発する程度の能力削除
素晴らしいの一言に尽きます
大長編執筆お疲れ様でした
12.100名前が無い程度の能力削除
最後まで面白く読ませてもらいました!まさかみとりがでてくるとは思いませんでしたがw
みとりん可愛いよみとりん、にとりの事が気になってしょうがないみとりん可愛い
15.100名前が無い程度の能力削除
超大作を完結までご苦労様でした。
守矢の扱いはちょっとあれでしたけど、椛と山の過去の設定も深かったし、
天狗三人の関係性も良かったです。
こんな面白い話をありがとうございました。
17.100たぬきつねこ削除
読み終えて、ただただ圧倒されました。
完結お疲れ様です。
18.100名前が無い程度の能力削除
最初から読んでいた身としては完結は寂しくもありますね……お疲れ様でした。

前歩く椛たちに幸あれ。
最高の作品をありがとう。
19.100名前が無い程度の能力削除
 シリーズを追ってきた一読者として、ハッピーエンドであることに安堵しました。
3頁目がちょっと駆け足気味なのがもったいないと思います。
守谷の悪巧みが通ったことは残念ですが、椛と×××の話を考えると
必要なことだなーとも。悩ましい。

最後に天魔様と大天狗さんも祝に着てるのが、言葉にしにくいですが「良い」と思いました。
21.100すすき削除
やっぱり 凄い
そうとしか言えないのでこの点数を送ります
28.100ヤタガラス魅波削除
バッドエンドだと思っていたらハッピーエンドで安心しました。
はたて対諏訪子ははたての成長を表す素晴らしい戦いでした。
貴方の番外編や新章を期待してます。
30.100名前が無い程度の能力削除
最後の一文、堪らなく好きです。執筆お疲れ様でした。
33.100名前が無い程度の能力削除
長きにわたる連載お疲れ様でした。

誤字が至る所に散りばめられているので、直して貰えたらもっと素直に感動できたかなぁ、と思った次第。
35.100名前が無い程度の能力削除
なんか…感動しました…
41.100名前が無い程度の能力削除
ハートフルボッコに胃を痛めたり小ネタに腹筋を痛めたり、素敵な作品でした
読めた事にただ感謝を

これからの椛達により多くの幸福があらん事を祈る!
47.100名前が無い程度の能力削除
完結、お疲れ様です。重いテーマながら、毎回続きが気になって仕方なかった。とても魅力的なキャラクターたちのシリーズでした。
50.無評価名前が無い程度の能力削除
感動しました、なんだか、涙出て、クスッとさせられ、考えさせられ。素晴らしいお話でした、とにかく感動しましたありがとうございます
53.100名前が無い程度の能力削除
新しく投稿されるのを毎回楽しみにしてきました。こんなに更新が待ち遠しく感じるシリーズは久しぶりでしたので少し寂しく思います。完結お疲れ様でした。そしてありがとう。
54.100名前が無い程度の能力削除
初めて読んだ時から最後まで楽しませてくれてありがとうございます
56.100名前が無い程度の能力削除
完結おつかれさまでした。
こんなに続きが来るのが待ち遠しいシリーズは初めてです。
コミカルな部分とシリアスな部分がとても高いレベルで組み合わっていて、夢中になって読んでいました。
LastEpisodeはもっと長くても…と欲が出るくらいに名残り惜しいです。
あなたのおかげで天狗組が大好きになりました。ありがとうございました。
58.100名前が無い程度の能力削除
完結お疲れ様です。
最後の最後までギャグとシリアスを絶妙なバランスで話をまとめられた作者様に最高の感謝を!!
60.100名前が無い程度の能力削除
ハッピーエンドで良かった。面白かったです
62.無評価機械仕掛けの神削除
 とても素晴らしい作品でした。
 終わってしまうのは寂しいですが、とても濃すぎる内容でとても面白かったです。
 長い間お疲れ様でした。
64.100思想の狼削除
完結おめでとうございます!
もう言葉が出ません……お疲れ様でした!
65.100名前が無い程度の能力削除
前回の予告によれば、さらに後日談が一話残っているはず!
待ちます! 待たせていただきます!
67.100名前が無い程度の能力削除
創想話でもっとも楽しみにしていたシリーズですが、最後まで面白かったです!
69.100名前が無い程度の能力削除
あなたの作品が読めてよかったと心から思います。超大作をありがとうございました。
そして完結お疲れ様でした!
74.100名前が無い程度の能力削除
いうことなんかございません!
おつかれさまでした!
78.100名前が無い程度の能力削除
ただただ素晴らしい

執筆お疲れ様でした。
80.100名前が無い程度の能力削除
きちんと完結、お見事でした。次回作楽しみにしております。
81.100愚迂多良童子削除
最終的に椛は報われこそしなかったけど、山の旧い因果の轍を断つには復讐ではいけないんでしょうから。大天狗やむかしの文みたいに、悪事を働いた者たちは皆どこかに罪悪感を覚えていて、その少しの罪悪感が寄り集まって出来たのが***だったのだと読んだ後に思いました。椛は山の歪の象徴だったと言うか。だから、やはりこれが最善だったのかな、と。
でも断たれたのは山の因果だけでなくて、椛の過去もそうですからね。山に新しい風が吹くのも椛のお陰。そして轍のあとには三人の足跡が続くわけです。椛が居なくなっても山は変わらなかったとありますが、これから変わっていくであろう山の、その変化の始点は絶対に椛なんです。今まで不幸だった分、新生・犬走椛には思う存分、幸福になってほしいもんです。
諏訪子が「お前(はたて)みたいなのがポンポン生まれるから白狼の身分が低い」みたいなことを言ってましたけど、鴉がはたてみたいなのばっかりになったら、絶対に白狼はもっと良い身分になれる。はたては身分で虐げるような卑劣な根性は決して持ち合わせてはいないんだから。いつか年寄りたちがいなくなって山の上層部が世代交代して、はたてが山の重役についたとき、あの白狼たちの無念も、或いは晴らされるのかもしれません。
いつだったか「憚り無く三人で肩を並べられる日が来てほしい」みたいなことを感想で書いた覚えがありますが、どうやらそうなってくれたみたいで、安堵と感動で胸いっぱいです。
・・・とまあ、纏まりの無い感想を心座らぬままにぐだぐだと書きつくってしまいましたが、非常に素晴らしいシリーズでした。はたても良かったし最高でした!
82.100名前が無い程度の能力削除
完結お疲れさまです。初投稿の日から毎回の更新に際しては狂喜していたこの二年、大作の完結に椛スキーな私は感無量です。本質さんの節回し、展開、キャラクター、そして結構なブラック幻想郷。どれをとっても私の感性にドストライク。もうこの天狗三人の物語を見れないことには一抹どころではない寂しさがあります。でも、椛が幸せそうで良かった。
84.100名前が無い程度の能力削除
ずっと楽しみにしていたシリーズがついに終わるのか……でもハッピーエンド最高です! 長い間お疲れ様でした!!!
87.100名前が無い程度の能力削除
まず、本当に完結お疲れ様でした。この作品のお陰ではたての魅力に気付くこと、そして天狗組の魅力に気付くことができました、ありがとうございます。願うなら、またこのような大長編でなくとも、作者様の書かれた妖怪の山が読めれば幸いです。
88.100名前が無い程度の能力削除
見事な伏線回収。全編通して素晴らしいシナリオでした。
ここで終わってしまうのが大変惜しいです。
89.100名前が無い程度の能力削除
「歩け」ですか。なるほどなるほど。
ところどころに入るギャグも面白くて、素晴らしかったです。
90.100名前が無い程度の能力削除
一作目の設定で好きなシリーズになって、伏線張り始めたあたりで面白くないなあと思いながらも読んで、でも完結してやっぱり面白いなと。
誤字:従う通り 道理?
ちょこちょこ他にもありましたが忘れました。
92.100名前が無い程度の能力削除
暖かい日向を暖かい二人と手を繋ぎながら歩いていく
こんな素敵なラストにしてくれてありがとうございます
95.100名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです。シリーズお疲れ様でした。
一人でにとりにたどり着くはたての成長っぷりに感動しました。
96.100名前が無い程度の能力削除
ただ精一杯の感謝を。本当にありがとうございました。
97.100葉月ヴァンホーテン削除
私はこんな素敵で暖かい呪いを他に知りません。
神をも負かすはたての想い、失われた未来の世界、それを手放す椛の意志。
その全てが熱くぶつかってきて、私の心を強く、強く、揺さぶりました。
……もうイヌバシリさんを読むことはできなくなるんですね。寂しいです。
シリーズ8作、長い間お疲れ様です。
ありがとうございました。
98.100名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです。
100.100名前が無い程度の能力削除
これほど次の話が待ち遠しかったシリーズはありませんでした。
作者さんの次回作をずっとお待ちしております。
101.100名前が無い程度の能力削除
好きなシリーズでした。
完結お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
103.100名前が無い程度の能力削除
良かった!
104.100名前が無い程度の能力削除
あれなんだよな。ネタの斬新さとか、卓越した構成とか、読ませる文章だとか、そういったものはまったく無かったけれど、そういったテクニック云々よりも、終わって欲しくないだとか、まだ見てたいだとか、そういった奴らがいる作品がやっぱり最強なんだよな、って思いました。小学生の作文みたいな感想だぜ!
106.100名前が無い程度の能力削除
両親と会う辺りのシーンなんか見覚えがあると思ったらSIRENだった。
109.100リペヤー削除
完全なハッピーではないかもですけど、椛たちがしっかり歩いていける未来があることが嬉しいです。
素晴らしい作品をありがとうございます。
神奈子と諏訪子が痛い目をみたのも大分すっきりしましたw
111.100名前が無い程度の能力削除
ずっと読んできました
心から面白いと思えるシリーズでした、ありがとうございました
112.100名前が無い程度の能力削除
毎回楽しませていただきました。ありがとうございました。
113.100桜田ぴよこ削除
シリーズ通して楽しませて頂きました。ありがとうございます。
114.100名前が無い程度の能力削除
完結おめでとうございます。
このシリーズが終わってしまうのは非常に残念なのですが、同時にスッキリした心持ちでもあります。
本当にお疲れ様でした。素晴らしい作品をありがとうございました。
118.100名前が無い程度の能力削除
めちゃくちゃ感動しました!こんなにいい作品をありがとう!
119.100名前が無い程度の能力削除
一年半の間お疲れ様でした!
明るい部分も暗い部分も引っ括めてあなたの描く妖怪の山が大好きです。
121.100名前が無い程度の能力削除
考えうる最高のまとめだと思います。
誰一人死ぬことなく、過去の犬走に嫌な決別をするわけでもなく、
関係が崩壊する事もなかった。
恨みを募らせた白狼達は矛を収めて。山と守矢の関係はとりあえず納まった。
これから3人、そして山の歩む道に、多くの日が差す事を期待します。

――この結末を待っていました。 ありがとうございます。

                        後は文と椛の濡れ場だけですね……
125.100名前が無い程度の能力削除
大長編完結お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
シリーズ1作目から引き込まれ、新作の度に笑い、考え、時に涙させて頂きました。
ハッピーエンドはもちろんですが、個人的にははたての成長が何より嬉しかった。
このシリーズのお陰ではたてが本当に好きになりました。
終わってしまうのは悲しいですが、後日談、新シリーズをお待ちしています。
128.100名前が無い程度の能力削除
ブラボー! おお…ブラボー!
129.100名前が無い程度の能力削除
大号泣しました。
椛良いもんやなあ仲間が居てくれるって。
131.100名前が無い程度の能力削除
完結お疲れ様です。
楽しみにしていたシリーズであり、そして終わってしまうのがとても惜しい作品です。それだけ面白かった。それぞれのキャラクターの生き様が色濃く反映されてる物語で、これだけのものを読めてとても幸せです。本当にお疲れ様でした! そしてありがとうございました。
132.100名前が無い程度の能力削除
過去の呪縛から解かれついに前を向いて歩み始めた椛。
彼女の未来に幸せが訪れることを願います。
……いや、願うまでもないですね。
彼女には、ちょっと変で、愉快で、そしてこんなにも素敵な仲間たちがいるんですから。

楽しみにしていたシリーズが完結してしまうのはとても残念です。
また何か書いていただければなーと思います。
そして連載お疲れ様でした!
133.100名前が無い程度の能力削除
最高に凛々しい椛をありがとうございました。
大天狗様と椛の掛け合いにいつも楽しませていただきました。
134.100きつねぇ削除

大長編、本当にお疲れ様でした。
血の道って考え方に、なんだか胸がキュッとなりました。そして、沢山の後悔や悲しみを背負っていても、友に手をとってくれる友に恵まれるのは幸せなんだなぁと。
垣根なしに、無条件で非の打ち所のない絵にかいたような幸せじゃないからこそ、その些細な幸せに気付ける。……幸せって難しいなぁと思いつつ、小さな幸せを噛み締められるのは、やっぱり幸せだなぁと。
家族や先輩たちが得られなかった、当たり前の小さな幸せを目指して、歩けイヌバシリさん!素敵なお話しをありがとうございました♪
137.100名前が無い程度の能力削除
肩を並べて歩く友がいる事、それのなんと素晴らしき事か。本質さんの作品はやはり感動しますT_T次は外伝的な話が出来たら嬉しいです。あとモミジの婿候補に名乗り出ます!
138.100名前が無い程度の能力削除
完結お疲れ様でした!

今回も涙あり笑いありの最高の話でした!
特にラフメイカーのくだりが良かったです
良い作品をありがとうございました!!
139.100空想饅頭削除
シリアスもギャグも非常にテンポが良く時間を忘れて読んでいました。
141.100ばかのひ削除
一晩で一気に読ませていただきました
これを読めたことを嬉しく思います
私もこう言うものをかけたらなあと。
ああこんなにも終わるのが悲しいと思ったのは久しぶりです まさかそそわで見られるとは思わなかった
これからもどうか、精進して作品を作って欲しいと思います あややが、あややが優しすぎてもうね
143.100名前が無い程度の能力削除
完走お疲れ様でした。
シリアスとギャグが良い感じにマッチしたお話でした。

もう一度、一話から読み返してきます。

誤字報告 >>ハチミツがハチミチになってました
145.100名前が無い程度の能力削除
お見事にござりまする
152.100名前が無い程度の能力削除
完結お疲れさまでした。
終わってしまうのをこんなに寂しく感じたシリーズはホントに久々です。
素晴らしい作品をありがとうございました。
154.100名前が無い程度の能力削除
読み終わってとても満たされました。
完結おつかれさまです。
155.100名前が無い程度の能力削除
100点では足りない。そんな作品でした。
158.100名前が無い程度の能力削除
コメディパートもシリアスパートも最高。
読み応えのある作品でした。
162.100名前が無い程度の能力削除
泣いたよちくしょー
一万点入れたい
165.100名前が無い程度の能力削除
笑ったあとに泣いてそのあとにまた笑顔にさせられる、すばらしい作品でした。完結お疲れ様です。この三人がこれからも幸せでありますように。
172.90削除
こういう椛だいすき

>「早苗にを大切にすると誓え! 誓えるなら手を離せ!
にが余計かな
176.100名前が無い程度の能力削除
オリジナル設定が多分に含まれているにもかかわらずグッと引き込まれる作品でした。

大天狗様や天魔様、椛の先輩さんもとても良いキャラクターで好感が持てました。

天狗三人娘がとても好きになりました。
素敵な作品をありがとうございました!
182.無評価名前が無い程度の能力削除
最高でした。
時間を忘れて読み耽り、物語に引き込まれていくのが自分でも驚きでした。
3人の未来に幸多からんことを。
185.無評価名前が無い程度の能力削除
最高でした
186.100名前が無い程度の能力削除
終わってしまうのが寂しくなるくらいこの作品が好きになりました。本当にありがとう。
188.100みなも削除
もみじが復讐をしなかった、そのことを犬走***と話しているシーンが忘れられません。

世の中は不条理ですが、でも、この箇所を読んでいた時に、涙が出てきました。
203.100名前が無い程度の能力削除
よくもまあ、こんなストーリーを考えつくものだ……
ギャグは本気で笑えたし、シリアスの格好良さには感動させられたよ。
自分の中のもみじのキャラが完全に定まってしまった。あとみとり。いやはや面白かった。
205.90名前が無い程度の能力削除
てっきり、文の狙いは投票により差別主義者の老害と残すべき者を明らかにした上で、老害を惨殺することにあるのかと思ってました。平和な妖怪の山で良かったです。
209.100さとしお削除
とても素敵なシリーズでした。どうもありがとうございました。
214.100ななな削除
本当に素晴らしい話です( ;∀;)
216.100名前が無い程度の能力削除
上手く言えないのがもどかしいですが、
一本の映画を見終わって「見て良かった、面白かったな」と声を大にして言える物語でした

ついでに、相変わらず山に脅威を与え続けるヒグマも今後とも頑張って欲しいです
217.100名前が無い程度の能力削除
ヨカッタ
225.100名前が無い程度の能力削除
一話目から読ませていただいたのですが、とても素晴らしいです 一話のギャグオンリーとは違いシリアスになり、色々と考えさせられることも多くありました 拙い感想ですがとても素晴らしい作品でした このような素晴らしい作品を拝見させていただき本当にありがとうございます