咲夜さんの考えた魔理沙への効果的なお仕置き

紅魔館


「ちくしょう……」
「ふふふ。相変わらず詰めが甘いわね」

図書館内での小捕り物。
悪戯好きのネズミを追い詰めた従者は激しい弾幕ごっこの末
見事勝利。
現行犯で本泥棒の身柄を取り押さえることが出来た。

「あなたには少し反省してもらわなきゃいけないから」
「……本を借りに来ただけじゃないか。」
「黙って持ち出す、死ぬまで返さない。これは盗難以外の何物でもないわ」
「むぅ……。」

正論で返され押し黙る魔理沙。

「さ、着いたわ。」
「ここは…お前の部屋じゃないか」
「そうよ？」

魔理沙は咲夜に言われるがまま部屋へと通される。
咲夜は部屋に鍵をかけ魔理沙をベッドの上に座らせた。

「なんだよ説教でもする気か？」

反省の色がない魔理沙はベッドに腰をかけ足をパタパタさせている。
ふと魔理沙の視界からドアの前に居たはずの咲夜が消えた


「落ち着きの無い子はこうしてあげる」

耳元から咲夜の声が聞こえ魔理沙は咄嗟にベッドの上から離れようとしたが無駄だった。

「わっ」

座っている魔理沙に咲夜が後ろから抱きついた。
魔理沙の背中に柔らかい感触が伝わる。

「な！なにするんだ！はなせよ！あっ」

じたばたと暴れる魔理沙の耳元に咲夜はふぅっと息を吹きかけた。
魔理沙が一瞬身をすくませた隙に咲夜はその小さな体をより深く抱きしめた。

「悪い子にはおしおきしてあげないと」

これからされるであろうこと。
よからぬことを想像し魔理沙は頬を朱く染めた

「…へんたい」










「なぁ、咲夜…」
「なぁに？」
「何で…何もしないんだ？」

数分が経った
魔理沙は咲夜に抱きすくめられたままだった。
それ以上のことは何もされていない。

「何かしてほしいの？」

"おしおき"と聞いてある程度の事は覚悟を決めていた魔理沙にとって
これは肩すかしも良いところだ。

「な…なにもされたくない！むしろ何もしないなら早く解放してくれ」
「どうして？」
「どうして…って…その…。」

魔理沙の口調が弱くなる。
魔理沙は相変わらず咲夜に抱きすくめられていた。
それはまるで母親が子供を抱くように。優しく。

「…は…恥ずかしい…だろ…」
「誰も見てないじゃない」


嫌、ではないのだ。
久しく味わったことの無いこの温もりが今の魔理沙には慣れていないのだ。
服越しではあるものの背中から伝わってくる咲夜の熱が。耳元にかかる咲夜の吐息が。
魔理沙にとってはとても懐かしく、とても温かかった。

それからしばらく、魔理沙は咲夜に抱かれたまま時間を過ごした。
もう魔理沙は暴れない。
借りてきた猫のように魔理沙は咲夜の胸に身を委ねていた。


「あっ…」

そっと咲夜が魔理沙を抱きしめる腕の力を緩める。
魔理沙は自分から離れようとする咲夜の腕をおもわず掴んでしまった。

「なぁに？」

いたずらっぽく、かつ優しい口調で訪ねてくる
魔理沙は顔をうつむかせ

「なんでもない…」

と一言だけつぶやいた。
そんな様子を見て咲夜には魔理沙が何を言いたいかということがすぐにわかった。

「そろそろお嬢様が起きる時間だわ。」

咲夜はゆっくりと抱きしめていた魔理沙の体を解放する。
体が自由になっても魔理沙は顔をうつむいたままその場でじっとしていた。

「朝食の準備をするんだけど魔理沙も食べてく？」
「いや、いいぜ。」
「そう」

魔理沙の返答に心なしか、咲夜は残念そうにしていた

「…帰っていいのか？」

お仕置きらしいお仕置きは一切されていない。
いつもの魔理沙ならラッキーだ程度にしか思わないのだろうけど今は少し状況が違った。

「いいわよ…でも」

咲夜が魔理沙のおでこにかかっている髪をかきあげた。

「なっ！」

そっとおでこにキスを落とされ、おどろいた魔理沙はベッドに倒れ込んだ

「今日みたいにしてほしかったら、今後いたずらは控えること。いいわね？」

咲夜はウインクしその場から消えた。
咲夜の部屋には魔理沙だけが残された。

「……なんだよ。ばか咲夜…」

悪態を付きながら魔理沙は自分の体を抱きしめた。咲夜からもらった温もりを逃がさないように







それから紅魔館に問わず、他の場所でも魔理沙のいたずらや悪さが激減したのは言うまでもない。

ただ、魔理沙の紅魔館出現率は明らかに以前より増えていたという。

おひさしぶりです
咲マリが少ないという事だったので即興で
＞＞6様
誤字指摘ありがとうございます！めっさはずい（＞ｘ＜）

それでは読んでくださった方本当にありがとうございました。