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「河童の里の冷やし中華と串きゅうり」(作品集174) 「迷いの竹林の焼き鳥と目玉親子丼」(作品集174) 「太陽の畑の五目あんかけ焼きそば」(作品集174) 「紅魔館のカレーライスとバーベキュー」(ここ) 「天狗の里の醤油ラーメンとライス」(作品集175) 「天界の桃のタルトと天ぷら定食」(作品集175) 「守矢神社のソースカツ丼」(作品集175) 「白玉楼のすき焼きと卵かけご飯」(作品集176) 「外の世界のけつねうどんとおにぎり」(作品集176) 「橙のねこまんまとイワナの塩焼き」(作品集176) | 「人間の里の豚カルビ丼と豚汁」(作品集162) 「命蓮寺のスープカレー」(作品集162) 「妖怪の山ふもとの焼き芋とスイートポテト」(作品集163) 「中有の道出店のモダン焼き」(作品集164) 「博麗神社の温泉卵かけご飯」(作品集164) 「魔法の森のキノコスパゲッティ弁当」(作品集164) 「旧地獄街道の一人焼肉」(作品集165) 「夜雀の屋台の串焼きとおでん」(作品集165) 「人間の里のきつねうどんといなり寿司」(作品集166) 「八雲紫の牛丼と焼き餃子」(作品集166) |
幸福というものについて考えてみる。
私――八雲藍の、式神としての幸福は、無論のこと、主である紫様に必要とされることだ。また、自ら式を使う者としての幸福は、式である橙の成長や働きを見守ることに他ならない。そうして、紫様と橙と、三人で過ごす時間。それが紫様の式神・八雲藍にとっての三大幸福であると言えよう。
では、式という立場を離れ、私個人の幸福というものはどうだろうか。もちろん、私は常に式神・八雲藍であるのだが、さりとて紫様の命や、橙との交わりとはまた別に、ひとりで噛みしめる幸福というものも、確かに存在する。
ひとつは、世界の仕組みを数式で解き明かす喜び。里の寺子屋での教師役も含め、数学者としての幸福がそれだ。あるいは、作家・書評家としての、作品を書き上げ、また良い作品に巡り会う喜びも、式としての立場を離れた個人の幸福である。
そして、何より。
油揚げという食べ物がこの世に存在することに対する幸福を噛みしめるのが、里の豆腐屋で油揚げを買った帰り道である。
「いなり寿司、きつねうどん、袋煮、巾着焼き、味噌汁~」
さあ、この油揚げで帰って何を作ろうか。どんな風に美味しく食べてやろうか。両手に抱えた油揚げの袋に、うきうき気分で妄想を巡らせては口の中に満ちる唾を飲み込む、この時間こそ、新・三大「八雲藍の個人的に幸福な時間」の三つ目である。別に誰が知っておくべきものでもないが。
――そんなわけで、足取り軽く里の道を歩いていた、そのときである。
「すみません」
突然、背後からそう声をかけられ、私は驚いて振り返った。私に全く気配を悟らせずに背後に回り込むとは何者だ? 警戒心を露わに身構えたが、その顔を見て私は力を抜く。
「何だ、貴方か」
「ごきげんよう」
優雅に一礼したのは、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜であった。なるほど、彼女なら私に悟られず背後を取ったのも得心がいく。時間を止めて近付かれては私も気付きようがない。
「何か?」
「ええ、――油揚げをお譲りいただけませんかしら?」
思わぬ言葉に、私は目をしばたたかせ、それから油揚げの袋をぎゅっと抱え込んだ。そうはいかない。どんな理由があろうとも、譲れる油揚げなどこちらには一枚たりとて、
「冗談ですわ」
ふっと苦笑して、咲夜はそう言った。――そこで私は、以前彼女に対し、自分が全く同じことを言ったことを思いだして、ひとり赤面した。ああ、そういえばそんな浅ましいことを言った結果、あのときは紅魔館に行って色々と――。
「突然で申し訳ありませんが、これから、お時間はございますかしら」
「これから?」
「妹様からのたってのお願いでして。――先日の約束、そろそろ果たしてほしいと」
誰にも邪魔されず、気を遣わずにものを食べるという、孤高の行為。
この行為こそが、人と妖に平等に与えられた、最高の“癒し”と言えるのである。
狐独のグルメ Season 2
「紅魔館のカレーライスとバーベキュー」
どうしてこんなことになったかと言えば、話は去年の秋に遡る。
いつもの豆腐屋で、油揚げ完売という未曾有の事態に直面した私は、直前に油揚げを買っていた咲夜を追いかけ、油揚げを譲ってくれないかと世にも浅ましいことを言ったのである。その結果、油揚げと引き替えに紅魔館でフランドール・スカーレットの弾幕ごっこを相手をさせられる羽目になったのだ。そのとき交わした再戦の約束を、そういえば履行していなかった。
そんなわけで、再び紅魔館である。
「あ、咲夜さんおかえりなさい。――って、あれ」
「……どうも」
「ああ、ようこそ、紅魔館へ」
私の姿に、何かを納得した顔で門を開ける門番。私は咲夜の後について歩きながら、彼女に小さく一礼した。――ああ、そういえば前回来たときは、彼女の作ったチャーハンをいただいたのだった。あれは美味しかったな……。
「こちらへ」
館に入った途端、数秒だけ目の前から姿を消した咲夜は、すぐにまたその場に現れて歩き出した。目の前で時間を止めて移動されるのはなかなか妙な気分である。
案内された先は、先日レミリアと対面した応接間とは別の方向だった。直接フランドールの部屋に行くのかと思ったら、また別の階段を下りて咲夜は地下に向かう。こっちは確か――図書館の方では無かったか。
「お嬢様、いらっしゃいますか」
咲夜が分厚い扉を開けて、埃っぽい図書館の中に声を掛ける。と、
「ああ、咲夜。これをなんとかして頂戴」
「ぎゃおー……って、あら咲夜おかえり。うん? そっちの狐はなんだい」
姿を現したのは、疲れた表情のパチュリー・ノーレッジと、その背中にしがみついた熊、もとい、熊の着ぐるみを着たレミリアだった。私は眉を寄せる。なんだこの光景は。
「妹様のお相手をお連れしましたわ」
「ああ。私はパチェと愛を語らうのに忙しいの。フランなら部屋にいるはずよ」
「かしこまりました」
熊の恰好でパチュリーにしがみつく主の姿にも一切動揺を見せないあたり、従者の鑑である。あるいはこれが紅魔館の日常なのだろうか。やはりこの連中の考えていることはよく解らない。
「では、こちらへ」
「はあ」
そのまま踵を返すことになった。去り際に振り返ると、熊の恰好のレミリアはパチュリーの周りをうろうろしながら「ぎゃおー」と威嚇めいたポーズをし、パチュリーはそれに構わず本を読んでいるという妙な光景が繰り広げられていた。
ところ変わって、前回も案内されたフランドールの部屋である。
「妹様。遊び相手がお見えになりましたよ」
咲夜がそう声を掛けてドアを開ける。薄暗い部屋の中へ、私が足を踏み入れると、背後で扉が閉まる音がした。閉じ込めて後は放置ときたか。私は溜息をひとつ漏らす。
――と、こちらに向かって突進してくる気配。
「ぎゃおー!」
「おわっ」
飛びかかってきたのは、フランドール・スカーレットである。だが、受け止めた感触が何かおかしい。見やれば、フランドールもまた、レミリアとは別の着ぐるみを着ていた。見た目はどことなく熊っぽいが、なぜか色がピンクである。ピンクの熊なんて存在するのか? しかも何かそこかしこに血痕じみた赤い染みがついているのだが……。
「ぎゃおー、待ってたよー」
「……ああ、久しぶりだな。で、その恰好は何なんだ?」
「あ熊。ぎゃおー」
悪魔、あくま……あ、熊。ああ、そういう……。私は頭痛を覚えてこめかみを押さえた。と、フランドールは私から一歩離れて、「ぎゃおー」と威嚇めいたポーズをとる。
「君の姉もやっていたが、それは何なんだ?」
「食べちゃいたいぐらい好きっていう、あ熊の求愛のポーズだっておねーさまが言ってた」
「……私は君に求愛されているのか?」
「かじっていい?」
「それは遠慮してほしいな」
「じゃあ、弾幕ごっこ♪」
熊の手に器用に赤い剣を握って、にっ、とフランドールは凶暴な笑みを浮かべた。まあ、そのためにここに来たのだから、私もそれで異存は無い。しかし、その熊の恰好のままでやるのか? まあ、弾幕ごっこに本人の見た目は関係ないか。
「今日はコインいっこなんてケチなこと言わないよ! ぎゃおー!」
レーヴァティンを振り上げて飛びかかってくる熊――もといフランドールに、私は小さく苦笑混じりに肩を竦めて、応戦のポーズをとった。
一時間後。
各コンティニュー1回ずつの弾幕ごっこ三本勝負が終わり、ぐったり座り込んだ私の尻尾に、フランドールがご機嫌な様子で頬ずりしていた。なんだか妙に懐かれてしまったようだ。まあ、私も子供は嫌いではないから、わざわざ再戦の約束を守りに来たわけで。
「ふかふかー。ね、枕にしたいから一本ちょうだい」
「ダメだ」
「ぎゃおー」
「求愛のポーズをとってもダメだ」
「けちー。コインいっこサービスしたのに」
「私の尻尾をコインいっこで買おうとしないでくれないか。今は好きなだけ触ってていいから」
「わーい」
じゃれつくフランドールの首元をくすぐってやると、気持ちよさそうな声をあげてフランドールはとろんとした顔をした。こうして見ると、可愛い子じゃないか。熊だけど。
と、そこへ扉をノックする音。「妹様」と扉を開けて顔を出したのは門番だった。
「あらら。ご苦労様です」
私の尻尾にじゃれつくフランドールを見て、門番は微笑する。私は肩を竦めた。
「妹様、そろそろ夕食ですよ」
「あ、めーりん! 晩ご飯、なに?」
「お嬢様が、庭でバーベキューが食べたいと仰ったそうで、咲夜さんが支度中です」
「バーベキュー!」
フランドールが歓声を上げる。庭でバーベキューとは、また……。想像すると、急に空腹感に襲われた。時計を見やると、既に夕刻である。しまった、そろそろ戻らなければ。油揚げ、油揚げを食べよう、うん、そうしよう。紫様の朝食も兼ねて――。
「それじゃあ、私はこのへんで」
「あれ、帰っちゃうの? ぎゃおー」
「私も仕事があるのでな。また、暇があったら遊びに来るよ」
「むー」
立ち上がった私に、フランドールは頬を膨らませて、拗ねたように門番に駆け寄った。苦笑してフランドールの頭を撫でる門番は、私を見て困ったように笑う。
「それじゃあ――」
と、部屋を出て、屋敷を出ようと踵を返した、次の瞬間。
「妹様のお相手ありがとうございました」
また気配もなく、私の背後に咲夜が現れる。今度は身構えることもなく私は振り返った。
「どうも。楽しかったよ」
「お帰りですか?」
「ああ、紫様もそろそろお目覚めになる頃なのでな――」
「その貴方の主から、手紙が届いておりますが。先ほど鴉が運んで来ました」
「え?」
咲夜が差し出した便箋を、私は眉を寄せて受け取る。中を改めると、確かに紫様の文字で短く文章がしたためられていた。
『全く、どこを寄り道しているのかしら? まあ、今日は幽々子のところに行くことにするわ。私のご飯は不要だから、貴方も勝手に食べていらっしゃいな。帰ったらお仕置きね。ばーい紫』
私は思わず頭を抱えた。紫様、なんで今日に限ってこんなに早くお目覚めなのですか。
しかし、これで急いで帰る理由がなくなってしまった。いや、油揚げを食べるという動機はあるが、それもできれば紫様とご一緒の食事といきたかったところであって――。
「参ったな……」
帰ったらお仕置きか。ううむ、自業自得とはいえ気が重い。それにこれから、どうするか。
「どーしたの?」
もふっ、とまたフランドールが尻尾に体当たりしてきた。私は首を振って振り返る。
「いや……ちょっと、急いで帰る理由が無くなってしまってな」
「じゃ、バーベキュー食べよう!」
目を輝かせたフランドールに、私は虚を突かれて目を見開いた。
そんなわけで、紅魔館の庭である。既に日は暮れ、吸血鬼が外に出ても平気な暗さだ。
芝生の上にバーベキューグリルが用意され、その横ではたき火の上に飯盒と大きな鍋がかけられている。ざくざくと鮮やかなナイフ捌きで肉や野菜を切る咲夜と、わたわたと準備に走る門番。レミリアとフランドールは熊の恰好のままで優雅にテーブルでジュースを飲み、その傍らにやっぱり何故か熊の恰好をした小悪魔が控え、パチュリーはここでも本を読んでいた。これでテントでも張られていれば、まるでキャンプの夜である。
そんな場所に、ひとり場違いに佇む自分。どうしてこんなことになっているのか。
「咲夜さーん、ご飯そろそろ良さそうですよー」
門番がそう声をかけると、咲夜は肉と野菜の山盛りになったトレイを抱え「お嬢様、妹様、パチュリー様、そろそろ始めますよ」と声を上げた。レミリアとフランドールがグリルのそばに駆け寄り、パチュリーもゆっくりを腰を上げる。
というか、レミリアとフランドールはいつまで熊の恰好をしているのだ。
「それでは、始めましょう」
串に刺した肉と野菜を、咲夜がグリルの網の上に並べ始める。「はーい、ご飯炊けましたー」と門番が飯盒から大皿にご飯を移し、鍋を開けた。途端、カレーの良い匂いが漂ってくる。おお、カレーの匂いというのはどうしてこうも食欲を刺激するのか。しかも外で食べるカレーである。なおさらのことだ。
「はい、お嬢様、妹様。りんごとハチミツのカレーですよ」
りんごとハチミツ? カレーという料理とは縁の遠そうな単語に私は首を傾げる。門番から渡されたカレーの皿に、レミリアはあくまで気取って、フランドールは子供らしくがつがつとスプーンで挑みかかっていた。
「どうぞ」
「あ、ああ。どうも」
門番が私にもカレーの皿を差し出す。白いご飯に、どろっとした茶色いカレー。にんじん、じゃがいも、そして大ぶりの肉がごろん、ごろんと浮かんでいるのが実に心憎い。そうそう、カレーっていうのはやっぱりこういうのだよな。肉がどーん! 野菜がごろん! でなくては。
「いただきます」
手を合わせ、スプーンを手に取り口に運ぶ。――甘い。いや、辛くない、という意味でだが。しまった甘口か。レミリアとフランドールに合わせて作ったのだろう。まあ、私も橙に作るときは辛さを抑えるし、そういうものと思って食べるべきだな。
「あむ、むぐ、うん、これはこれで」
辛くないカレーっていうのも、たまには悪くないな。このもたっとした感じが、絶妙に家庭的な野暮ったさでほっとするじゃないか。にんじんやじゃがいももほどよく柔らかくなっていて、しかし食べ応えがあっていい。りんごとハチミツってのがもうひとつカレーの中でどういう効果を発揮しているのかよく解らないが、気にしなくても美味いものは美味いのだ。
ああ、しかし夏の夜に外で食べるカレーって、不思議とどんなものでも美味しく感じるような気もする。これも不思議な方程式だな。夏、カレー、りんご、ハチミツ、野菜、ううん。
「さくやー、もう焼けてるんじゃないのー」
「はい。お嬢様、お熱いのでお気をつけて」
肉の串を、咲夜がレミリアに差し出す。がぶりとかぶりついたレミリアは、「ううん、血の滴るようなレア! 結構なことだわ」と満足げに肉を咀嚼していた。む、あっちも美味そうじゃないか。しかし、グリルを囲む紅魔館の面々に割って入るのも、何かこう浅ましいような。
「肉と野菜、どっちか取ります?」
「え? あ、ああ……じゃ、一本ずつ」
「はーい、どうぞ」
また門番が串を一本ずつ取ってきてくれた。「どうも」と微妙な申し訳なさを覚えつつ受け取って、肉の串にかぶりつく。サイコロ型に切られた肉を噛みしめると、口の中にじゅわりと肉汁がほとばしった。ソースの味が染みていて、柔らかく香ばしい。ほふほふ、おお、美味い美味い。炭火焼きってのが、実にいいじゃないか。ほのかな香りが、余計に食欲をそそる。
野菜はどうだ。タマネギ、ピーマン、その間にウィンナー。おお、タマネギもよく火が通ってるじゃないか。ピーマンの苦みも、この濃い味の中ではいい清涼剤だ。ウィンナーのいかにもっていう味と、ぱりっとした歯ごたえも、この中では絶妙な存在感を発揮している。
「ほふっ、ほふっ」
ああ、カレーを忘れるところだったよ、悪い悪い。カレーだけでも肉と野菜たっぷりなのに、バーベキューでどっちも倍率ドン、さらに倍だ。いいぞいいぞ。美味さに燃えてきた。
むぐ、むぐ。食べながら、ふと顔を上げれば、グリルの周りで賑やかに盛り上がる紅魔館の面々。レミリアの口元のカレーを咲夜が拭い、フランドールは門番に串から外してもらった肉を口いっぱいに詰め込んで、その横でパチュリーは黙々としいたけを焼き、小悪魔は飲み物を抱えて熊の恰好のままでぱたぱたと走り回っていた。
「お嬢様、そちらのお肉が焼けていますよ」
「パチェ、貴方も食べたらどう?」
「私は野菜があればいいの。むきゅー」
「食生活は草食系でも愛は肉食系でいいのよパチェ、ぎゃおー」
「私たちはパチュリー様へ肉食系です! がおー」
――どうして私はここにいるのだろう、という疑問が再び頭をよぎる。いや、カレーもバーベキューも美味くて文句は無いのだが、この紅魔館のバーベキューという空間に、私という異物は必要だったのだろうか。私がいなくても回る世界で、私は――。
「あれ? ねーねー、なにしてるのー」
「え? あ、いや」
と、そこへフランドールが駆け寄ってくる。私は食べ終えた串と、残りの少なくなったカレーの皿を抱えて、ぼんやり生返事をした。するとフランドールは、熊の手で私の手を引く。
「もうお腹いっぱい?」
「いや、そうでもないが」
「じゃあほら、焼こう焼こう。ぎゃおー」
フランドールに手を引かれるまま、私はグリルの周囲の輪に歩み寄った。炭火の上、網で煙をたてる肉と野菜。そして鍋から漂うカレーの匂い。
「おやおや、すっかりフランに懐かれたようね」
「おねーさまも尻尾もふもふしない? 気持ちいいよー」
「こら、そんな勝手に――」
「カレーのおかわりいかがです?」
「あ、いただけるなら……」
門番からカレーのおかわりを貰い、咲夜から「焼けてますよ」と串を渡される。ちょっと食べ過ぎのような気もしたが、まだ肉もカレーも美味しく口の中に入ってくる。
「えへへ、もふもふー」
フランドールがまた尻尾にじゃれついてくる。私は苦笑して、尻尾でその頭を撫でた。
と、レミリアがこっちを見つめているのに気付く。私が視線を向けると、レミリアはぷいと視線を逸らした。……ひょっとして同じように尻尾に突撃したいとでも思っていたのだろうか。主としての沽券に関わるとでも思っているのかもしれない。そんな熊の恰好で、沽券も何も無さそうなものだが。
そんなことを思いながらカレーを口に運ぶと、ふと、ルーの中に優しい、柔らかな甘みを感じた。ああ、これがりんごとハチミツか。
この場所、紅魔館という空間の中に、カレーの中のりんごとハチミツのように私は溶け込んでいられているのだろうか。私自身にはどうにも、よく解らない。
まあ、でも。
「……うん、美味い」
大勢で食べ、だけどひとりで、けれど大勢だ。こういうのも、たまには悪くない。
周りを駆け巡る紅魔館の騒がしさに、気付けば私は小さく笑みを漏らしていた。
少しはやいが昼飯にカレー食いにいくかなー。
相変わらずの飯テロ堪能しました
今夜はビーフカレーにしよう
そしてすごいお腹空いた。
BBQはそうそうできないからなぁ@@;
熊スーツを着たおぜう様&妹様、そして小悪魔をめっちゃみてみたいw
姉妹も可愛くて僕、満足!
相変わらず美味しそうなグルメシーンも含めて、どっぷりと浅木原ワールドを堪能できました。
これ読んだ後サッポロポテトバーベキュー味とインスタントカレーを購入しましたww
っていう前置きにそって無い気がしました。
きっと三時間耐久尻尾もふもふがお仕置きだったに違いない(願望)
カレーは案外家庭によって味が変わってきますよね
我が家は牛乳たっぷりマイルドカレーに唐揚げがお約束でした
今でも外で食べるカレーの辛さに慣れません オノレカアチャン
それにしてもまさかここであ熊シリーズネタを見るとは…w
人情あふれる紅魔ファミリーとたべるバーベキューにカレー
いやあ旨そうだ(つд・)
スーパー行ってきます。なにつくろうかなあ……
彼らのように一緒に食べる人がいたら、なお良いのですが、ね!