注意、この作品は東方projectの二次創作です。
オリ設定、オリキャラが存在する可能性があります。
「そーそーなのかー、そーなのかー」
涼やかなそよ風の流れる草原、人里を一望できる小高い丘。
周りは暗く、空から降り注ぐ月明かりが辺りを照らしている。
普通ならばこの時間に出歩く者は居ない筈だが、彼女はここにいる。
それもその筈、彼女は人食い妖怪ルーミア。
妖怪としては強い類ではないが、
この周辺では、このかわいらしい彼女が食物連鎖の頂点に立っている。
その彼女も今は絶対強者の一面はなりを潜め、
可愛らしい表情で首を時計の振り子の様にカチコチと左右に振り、足をパタパタと振っている。
「まだかな、まだかな~」
普段から、のほほんとした彼女であるが、今日は特にご機嫌の様だ。
リズムを刻む口からは音符が姿を見え隠れさせ、
口から紡がれる音楽はこれから訪れるであろう楽しい事を予感しているようである。
ザッ……。
「あ~?」
彼女の後方から草原に足を踏み入れる音が静かに聞こえた。
その音は段々と彼女に向かって進んでいく。
足音を聞き、音楽を止め後方に向かって首を反らす。
傍から聞けば間抜けな声を出し、顎を出して体も反らす。
緊張感の無い間延びした声を出したまま、背中は夜でも判る青々とした草原に着地した。
「あ~、リグルだ~」
「ごめんごめん、遅くなったね。 やっぱりミスティアは来れないってさ」
仰向けに倒れたまま話していたルーミアはうつ伏せに体勢を直すと、んっと言いながら体を起こす。
その様子を微笑ましく眺めながらリグルはルーミアの元に近づき、隣に座りこんだ。
「ほらこれ、ミスティアから貰って来たよ」
「ありがと~」
リグルは遅くなったお詫びとしてミスティアからヤツメウナギの蒲焼きをいくつか貰って来ていた。
受け取ったルーミアは、ハグッハグッと待ち切れなかった様に頬張り始めた。
「色気より食い気なんだね?」
「何の事だい~?」
「何でも……」
リグルは夜であるのに昼間の如く周囲を照らしている、まんまるのお月様を見上げた。
今日も神社では紅白の巫女が気心知れた友人を集めて酒盛りをしている事であろうと、考える。
以前、肝試しをすると言われて集まった時も結局は宴会をする事になったからだ。
「そういえばさ~、リグルって虫の妖怪だよね~?」
また、その話かと溜息を吐く。
艶のある黒い虫といえばと、誰も彼も言う話題に辟易していたからだ。
「でも、今日だと目立たなくて私は嫌だな~」
「はぁ~、一体何の事を言ってるの? そもそも私は蛍の……」
突然、辺り一帯を暗闇が包んでいく。
先程まで月明かりが照らしていた事を考えると唐突すぎた為、
リグルはこれが誰の仕業かすぐに見抜く事が出来た。
「ルーミア、これは一体何のつもりだい?」
「リグルは蛍の妖怪だよね~?
折角、気になる人がいても、この明かりだと気が付かれないと思ってね~」
「なっ、何を言って……」
「何~、暗くて怖い~? 私が手を握っていてあげる~」
ルーミアの言葉と行動に顔が熱くなる感覚を覚えるが、
この暗い空間では相手に顔色が見えない事が幸いしている。
暗闇が無かった場合、これだけの光量だ。 暫くはからかわれる材料にされてしまうだろう。
「はぁ~、私の負けだよ。 一体何をして欲しいの?」
「蛍って、意中の相手に向かって光るんだよね~?」
「さぁ、どうかな?」
「見せて欲しいのか~」
本日三度目の溜息を吐きつつ、虫とは違う自身の器官を発光させて舞っていく。
それは幾万の蛍を操り、光の粒子を絨毯の如く舞わせ、
ともすれば、空に散らばる幾万の星々の如く煌めかせる。
「お~、凄い凄い~」
ルーミアの関心に更に頬が熱くなる感覚を覚える。
無関心を決めたまま、リグルは蛍を操り光の幻想を見せていく。
相も変わらない、暗黒の空間。
光を視認できない筈の内部では蛍が自由に行動をしている。
天体、極光、幻想。
光が織りなす、光が彩る素晴らしさをルーミアは子供の様に楽しんでいた。
地面に座っているルーミアに寄り添ってリグルは座っている。
周囲には変わらずに暗黒の空間が広がっており、この空間では相手に顔が見えない事が幸いしている。
光を織りなしている時は気にしていなかったが、こうして傍によれば嫌でも気にしてしまう。
勿論、彼女が嫌だと思う事はないのだが。
「な~、な~、リグル」
「何だい?」
「今日は誘ってくれて、ありがと~、月を見ながら食べた物は美味かったし~
月も綺麗だった~」
「そう?」
リグルは内心ガッカリしていた、彼女が言った事は別に他の誰でも良い様に聞こえたからだ。
「でも、リグルの蛍の踊り? それの方が綺麗だった~」
「えっ? 本当に? えへへ」
打って変った笑顔。
女の子と見てもらえない見た目とは違い、ルーミアは女の子として見てくれた。
真っ赤になっていた顔色は普段通りに戻り、緊張の混じっていた表情も明るいモノに変わっていた。
ルーミアは辺りを覆っていた暗闇を解き、リグルの手を握ったまま立ち上がる。
明るすぎる月明かりは幾分か彼女達に眩しく感じさせた。
薄暗くも神秘的な明るさに照らされたルーミアの顔はいつもに比べると、大人びており、また浮世離れしている。
「次はいつなのか~?」
怪しげな表情は見た目だけであった、リグルはいつもの調子に嬉しいやら悲しいやら複雑な心境になる。
と同時に気付いた事があった。 彼女から次のお誘いを提案してくれた事だ。
ウキウキと次の予定を考えるリグルにルーミアは小声で呟いた。
「次も、次も、その次も、更にその次も頼むのか~。 ずっと、ず~っと一緒だよ~」
オリ設定、オリキャラが存在する可能性があります。
「そーそーなのかー、そーなのかー」
涼やかなそよ風の流れる草原、人里を一望できる小高い丘。
周りは暗く、空から降り注ぐ月明かりが辺りを照らしている。
普通ならばこの時間に出歩く者は居ない筈だが、彼女はここにいる。
それもその筈、彼女は人食い妖怪ルーミア。
妖怪としては強い類ではないが、
この周辺では、このかわいらしい彼女が食物連鎖の頂点に立っている。
その彼女も今は絶対強者の一面はなりを潜め、
可愛らしい表情で首を時計の振り子の様にカチコチと左右に振り、足をパタパタと振っている。
「まだかな、まだかな~」
普段から、のほほんとした彼女であるが、今日は特にご機嫌の様だ。
リズムを刻む口からは音符が姿を見え隠れさせ、
口から紡がれる音楽はこれから訪れるであろう楽しい事を予感しているようである。
ザッ……。
「あ~?」
彼女の後方から草原に足を踏み入れる音が静かに聞こえた。
その音は段々と彼女に向かって進んでいく。
足音を聞き、音楽を止め後方に向かって首を反らす。
傍から聞けば間抜けな声を出し、顎を出して体も反らす。
緊張感の無い間延びした声を出したまま、背中は夜でも判る青々とした草原に着地した。
「あ~、リグルだ~」
「ごめんごめん、遅くなったね。 やっぱりミスティアは来れないってさ」
仰向けに倒れたまま話していたルーミアはうつ伏せに体勢を直すと、んっと言いながら体を起こす。
その様子を微笑ましく眺めながらリグルはルーミアの元に近づき、隣に座りこんだ。
「ほらこれ、ミスティアから貰って来たよ」
「ありがと~」
リグルは遅くなったお詫びとしてミスティアからヤツメウナギの蒲焼きをいくつか貰って来ていた。
受け取ったルーミアは、ハグッハグッと待ち切れなかった様に頬張り始めた。
「色気より食い気なんだね?」
「何の事だい~?」
「何でも……」
リグルは夜であるのに昼間の如く周囲を照らしている、まんまるのお月様を見上げた。
今日も神社では紅白の巫女が気心知れた友人を集めて酒盛りをしている事であろうと、考える。
以前、肝試しをすると言われて集まった時も結局は宴会をする事になったからだ。
「そういえばさ~、リグルって虫の妖怪だよね~?」
また、その話かと溜息を吐く。
艶のある黒い虫といえばと、誰も彼も言う話題に辟易していたからだ。
「でも、今日だと目立たなくて私は嫌だな~」
「はぁ~、一体何の事を言ってるの? そもそも私は蛍の……」
突然、辺り一帯を暗闇が包んでいく。
先程まで月明かりが照らしていた事を考えると唐突すぎた為、
リグルはこれが誰の仕業かすぐに見抜く事が出来た。
「ルーミア、これは一体何のつもりだい?」
「リグルは蛍の妖怪だよね~?
折角、気になる人がいても、この明かりだと気が付かれないと思ってね~」
「なっ、何を言って……」
「何~、暗くて怖い~? 私が手を握っていてあげる~」
ルーミアの言葉と行動に顔が熱くなる感覚を覚えるが、
この暗い空間では相手に顔色が見えない事が幸いしている。
暗闇が無かった場合、これだけの光量だ。 暫くはからかわれる材料にされてしまうだろう。
「はぁ~、私の負けだよ。 一体何をして欲しいの?」
「蛍って、意中の相手に向かって光るんだよね~?」
「さぁ、どうかな?」
「見せて欲しいのか~」
本日三度目の溜息を吐きつつ、虫とは違う自身の器官を発光させて舞っていく。
それは幾万の蛍を操り、光の粒子を絨毯の如く舞わせ、
ともすれば、空に散らばる幾万の星々の如く煌めかせる。
「お~、凄い凄い~」
ルーミアの関心に更に頬が熱くなる感覚を覚える。
無関心を決めたまま、リグルは蛍を操り光の幻想を見せていく。
相も変わらない、暗黒の空間。
光を視認できない筈の内部では蛍が自由に行動をしている。
天体、極光、幻想。
光が織りなす、光が彩る素晴らしさをルーミアは子供の様に楽しんでいた。
地面に座っているルーミアに寄り添ってリグルは座っている。
周囲には変わらずに暗黒の空間が広がっており、この空間では相手に顔が見えない事が幸いしている。
光を織りなしている時は気にしていなかったが、こうして傍によれば嫌でも気にしてしまう。
勿論、彼女が嫌だと思う事はないのだが。
「な~、な~、リグル」
「何だい?」
「今日は誘ってくれて、ありがと~、月を見ながら食べた物は美味かったし~
月も綺麗だった~」
「そう?」
リグルは内心ガッカリしていた、彼女が言った事は別に他の誰でも良い様に聞こえたからだ。
「でも、リグルの蛍の踊り? それの方が綺麗だった~」
「えっ? 本当に? えへへ」
打って変った笑顔。
女の子と見てもらえない見た目とは違い、ルーミアは女の子として見てくれた。
真っ赤になっていた顔色は普段通りに戻り、緊張の混じっていた表情も明るいモノに変わっていた。
ルーミアは辺りを覆っていた暗闇を解き、リグルの手を握ったまま立ち上がる。
明るすぎる月明かりは幾分か彼女達に眩しく感じさせた。
薄暗くも神秘的な明るさに照らされたルーミアの顔はいつもに比べると、大人びており、また浮世離れしている。
「次はいつなのか~?」
怪しげな表情は見た目だけであった、リグルはいつもの調子に嬉しいやら悲しいやら複雑な心境になる。
と同時に気付いた事があった。 彼女から次のお誘いを提案してくれた事だ。
ウキウキと次の予定を考えるリグルにルーミアは小声で呟いた。
「次も、次も、その次も、更にその次も頼むのか~。 ずっと、ず~っと一緒だよ~」
次も楽しみにしています。