Coolier - 新生・東方創想話

こあくま奮闘記!

2012/10/03 19:14:34
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******


 ――必殺技が欲しい。
 スペルカードとかそういう感じの奴。
 そう思い立った私はパチュリー様(ドS星人)に早速掛け合いましたが、『この薬を飲み干せば簡単に身につくわよ。一滴で致死量だけど』とか言われたので別の手を捜す事にしました。
 まずはこの館で一番頼れそうで実はレミリア様とフラン様が絡む事以外全てにおいてダメ人間のあの人に聞いてみようと思います。
「メイド長様! 私必殺技が欲しいんですけどっ!」
「そう、パチュリー様にでも頼みなさい」
「でもあの人っ! 一滴で致死量の薬を飲み干せってっ!」
「だから?」
「……いやあの……飲んだら死んじゃうと思われる……」
「だ か ら ?」
「すみませんでした! 自分で頑張ります!」
 ダメでした。そういえばこの人もドSの星からやってきた感じの人でした。まともなコミュニケーションを期待するだけ無駄でした。
 どうしよう。深刻な人材不足。レミリア様やフラン様に頼るわけには行かないし……
「……」(チラッ(チラッ
「あ、門番さんお疲れ様です」
「あ、う、うん、小悪魔もお疲れ様」
 そうだ、お友達のメイドさんに相談してみよう。それでは、うっかりすると慣れてる人でも引っかかるほど罠だらけの超絶危険な本館からはサラダバー!
「ぎにゃああああああああああ」
 後ろからまるで罠に引っかかったかのような誰かの悲鳴が聞こえてきたような気がしましたがきっと耳の調子が悪いんです。と言うわけで、赤髪ショートカットのハルバードぶんまわし系メイド、いつも元気なリオに会いに行く事にしました。


******

 
 メイドたちの住まう別館なう。
「ふーん、で? パチュリー様はなんだって?」
「死ねって言われました」
「えっ」
「死ねって言われました」
「……そ、そっかー。あ、じゃあメイド長は?」
「死ねって言われました」
「……」
「死ねって言われました」
「……う、うん……こぁゴメン、今のはアタシが悪かった。その二人に仕事以外の事訊いたらそりゃそうなるよね」
「いや、でも! パチュリー様は仕事以外の事でも極稀に普通に会話してくれますし!」
 レミリア様とフラン様以外に興味がないメイド長とは違うんです。ただ愛情表現がドSすぎて誰も追いつけないだけなんです。
「客観的に見たらどっちも変わらない……って言っちゃダメなんだろうな……」
「それで、リオには心当たりないですか、必殺技習得法」
「そんな事言われてもなー。アタシだって必殺技作りたいけど、こればっかりは……スペカってさ、修行して実力つけて、その上で自分の芯となる信念を見つけて、それを基点にして作る物だしさ」
「私は修行したくないです」
「は?」
「私 は 楽 し て 必 殺 技 を 身 に 着 け た い ん で す。私何か間違った事言ってますか? 言ってないですよね?」
「……………………。で、ですよねー! うん、間違ってないよ! こぁはそれでいいんじゃないかな、もう……」
「分かってくれたらいいです。それで、楽して必殺技を身につける方法はないんですか」
「あの、こぁさん? ちなみにですよ? ちなみになんですけど、さっきのアタシの話聞いてました?」
「もちろんです。なんですか? 私の事を人の話を聞かない子だと思ってたんですか?」
「……そ、そうだよねー! こぁは人の話ちゃんと聞く子だもんね! でさ、さっき言った通りアタシは『実力つけた上で信念を見つけてから作る』って方法しか知らないんだけど」
「え、そんな事言ってましたっけ」
「ぐあああああああああああああ! こいつめんどくせえええええええええええええええええ!」
 リオが突然身もだえし始めました。大丈夫なのかなこの子。見ての通り若干可哀想な子なんですよね。
「……もうさ、里とかに行って聞いて回れば? 魔法使いとか巫女とか居るじゃん、知ってるかも知れないし」
「成る程! ありがとうございましたリオ! あんまり役に立ってないけど一応お礼言っておきます」
「……うん、素直なのはキミのいいとこだと思うんだけど、最後の一言は完っ全に余計だよね。まあ……頑張ってね……」
「はいっ」
 なんだかぐったりした様子のリオに手を振り、
「……」(チラッ(チラッ
「あれ、門番さん珍しいですねこんなところで。あ、先を急ぐので失礼します。それでは」
「あ、う、うん、小悪魔もお疲れ様」
 慣れてない人くらいしか引っかからない罠だらけの別館からはサラダバー!
「ぎにゃああああああああああああああああ」


******

 
 とりあえず博麗神社なう。
「あら、紅魔館の小悪魔じゃない。素敵なお賽銭箱はあっちよ」
 博麗の巫女はいつも通り仕事をサボってお茶を飲んでいました。いつも通りに無愛想です。
「え、中身くれるんですか!? ありがとうございます!!」
「いやなんでそうなるのか分からないけど……まあ好きにすれば?」
「わぁい金目の物! こぁ霊夢さん大好き!」
「前半、欲望ダダ漏れよ」
 意気揚々と賽銭箱の中に手を突っ込みます。
 ぱぱぱぱっぱっぱっぱー。
『▼無を取得しました』
「……うすぎたないにんげんどもめいつかかならずきさまらをいっぴきのこらずくちくしちじょうをわれらまぞくのものにしてくれる」
「はいはい。で、何か用?」
「必殺技ください」
「やだ」
「はい」
 一応来て見たものの、全然期待してなかったので引き下がります。
 さっき手に入れた無は必要ないので放り投げて、と。
「え、何こr……うごごご!」
 なんか門番さんっぽい声が無に飲み込まれだした感じの悲鳴が聞こえた気がしたけどきっと気のせいです。
 さて次は何処へ行こうか。


******


 博麗じゃない方の神社なう。
 そう、私は気づいたのです。神様に頼めばかっこいいスペカを授けてもらえるに違いないと。それも楽して。
「あら、紅魔館の小悪魔さんでしたっけ。こんにちは。良いお天気ですね」
 出てきたのは……名前覚えてないですけど、博麗じゃないほうの巫女さんです。博麗の方と違って真面目に掃き掃除をしながら、博麗の方と違って愛想良く挨拶してくれました。
 しかしどうしましょう。私は名前を覚えていないのに、あちらの方は私の事を覚えていてくださったようです。
 これで私が名前を覚えていない事が露見すると(多分)失礼に当たるので、なんとかして誤魔化さねば。どうしよう。
「こんにちは、えーと、円周率が3の世代の人」
 グッジョブ私。なんとか名前のところを上手く誤魔化す事に成功しました。
「いやまあ、合ってますけど……なんで知ってるのかしら」
 パチュリー様から教えてもらいました。あの人はどうでもいい知識をばら撒くのが生き甲斐らしいです。
「今日は神様にお願いがあってきました。神様居ますか」 
「ええと、諏訪子様なら多分そこらに居ますけど、それでいいですか?」
「諏訪子様ってカエルの方でしたっけ……うーん、まあそこらに居るならそれでいいです」
「いやいやいや! 実はさっきから聞こえてたけど『それでいい』って酷くない!? 私神様だよ!?」
 ぴょこん、と神様っぽい幼女が地面から出てきました。何故地面から出てきたんだろう。趣味?
 もしや私が知らないだけで地面に潜るのが今隠れたブームなのかも知れない。今度新聞屋さんに教えてあげよう。
『今、地面に潜るのが隠れたブーム! 地面ダイビングはこの夏流行確実! トレンドに乗り遅れるな!』
 とか記事にすれば本当は全然流行ってなくても流行確実です。
 その後で『え? 今更? 私流行になる前から知ってたしぃ』みたいな感じで紅魔館のみんなに自慢しようっと。
「まあ私は神奈子と違って寛大だから許してあげるけどね! で、何の用?」
 あれ、何しにきたんだっけ。流行を見越して地面ダイビング用品専門店を作って一儲け……じゃなくて、えーと。
「あ、スペカください。超かっこいい奴」
「はぁ?」
「スペカですか。いいですね、私も超々かっこいい奴がちょうど欲しかったんですよ。という訳で諏訪子様、私にもください」
「いやいやいや、貴女達ねぇ……」
 あ、これダメなパターンだ。なんか正論言われて諭されそう。ここはなんとか方向修正せねばならないのです。
「まさか神様ともあろうお方が出来ないわけないですし、寛大な諏訪子様ならきっとなんとかしてくれますよ。よかったですね小悪魔さん!」
 ――ッ!?
 こ、この巫女、まさか……
 私 と 同 じ タ イ プ の ス タ ○ ド 使 い ッ !
「えっ、い、いや、その」
「出来ないんですか? 神様なのに?」
 乗っかっておこう。
「いやいや出来ますって、何と言っても神様なんですから。ね、諏訪子様」
 うわ、更に追い詰める気ですよこの人。物心ついた時からジュースが110円だった世代って怖い。えげつねえな。
「か……」
「か?」
「神様にだって……出来ない事くらい……ある……」
 あ、なんか本当に落ち込んでるっぽい。可哀想だから追い討ちはやめてさしあげよう。
 博麗じゃない方の巫女さんも、雰囲気で察したらしく必死に慰めてます。
「だ、大丈夫です! 威厳ありますよ! 諏訪子様かっこいいですよ! 諏訪子様すばらしい! よっ、神様! ありがたや~」
 とか言って拝んでますが、いじけながら地面に『の』の字を書いている姿には威厳のいの字もありません。
「ただいま。おや、お客さん? と言うか何この状況……」
「神奈子ー! 学校週休二日制の申し子たちが私をいぢめるー!」
 人をゆ○り扱いとは失礼な神様ですね。今度口コミサイトにこの神社の悪口書き込んでやる。ご利益は☆四つですが残念ながら接客が最悪なので☆一つです、と。
「あら、神奈子様お帰りなさい。実はですね……」
 かくかくしかじか。


「え? 諏訪子出来ないの? 神様なのに?」
「えっ」
 なんか話を聞き終えた注連縄の神様が、嬉々として死体蹴りを始めた件について。
「うわー、神 様 な の に そんな事も出来ないんだ? ちょっとないわね……」
「そ、そういう神奈子は出来るの!?」
「当然。でもそう簡単に必殺技を授けたら、その子のためにならないでしょう?」
 なるほど、そういう意見もあるのか。参考程度に留めておこう。
「うそだ! 本当は神奈子にだって出来ないんでしょ!」
「出来るわよ、諏訪子じゃあるまいし」
「そうですよ諏訪子様、諏訪子様じゃないんですから」
「って言うかさっきから早苗がナチュラルに酷いっ!?」
 今まで一緒に暮らしてきて気づかなかったのだろうか。
「ま、なんて言うかね、諏訪子と私じゃやっぱりアレが違うわよね、アレ」
「……アレって何さ?」
「なんだっけ、ほら、二文字の単語なんだけど、出てこないなー。たしか『か』で始まって『く』で終わる奴。なんだったかなー? もうここまで出てきてるんだけどなー? ねえ諏訪子、心当たりない?」
「……」(プルプル)
「あ、思い出した。そうそう、格よか・く! 私と諏訪子じゃ格が違うのよ! あっはっは!」
「じょ……上等よ表に出ろ神奈子おおおおおおおおおおおおおおお」
「はっはっは! かかってこいやああああああああ!」
 凄い。さすが神様と言うだけあって凄まじい力が放出されてます。よく分かりませんが凄い。きっと凄い。多分凄い。でもここは既に表です。
 これは巻き込まれると危なそうなので逃げましょう。
「さ、小悪魔さん、逃げましょう。どうせちょっと喧嘩したらすぐ仲直りしてますから」
「はいっ」
 言われなくてもスタコラサッサです。
「……」(チラッ(チラッ
「あれ?」
 今門番さんらしき姿が見えたような。いやまさかな。八坂だけに。なんつってー。
「……は? 今なんか言いました?」
「何も言ってないです」
 今とても目が怖かった。
 と言うわけで神様同士の痴話喧嘩に巻き込まれそうな博麗じゃない方の神社からはサラダバー!
「ぎにゃあああああああああああああああああ」


******


 常識の通用しない巫女さんと別れて、ぶらり途中着地の旅をしていたらお寺に着きました。
 はて、こんなところにお寺があっただろうか、とりあえず金目の物でもあったならばここは一つお坊さんの煩悩退散に協力するため貰っていこう。そんな事を思いつつ、こっそり奥まで入り込むと、
「おや、いらっしゃい」
「えと、こんにちは、おばあちゃん」
 縁側でお茶を飲んでいるおばあちゃん(っぽい人)に見つか……出会いました。見た目からしておそらく狸の妖怪の人ですが、今までに会った事がない人です。
 ニコニコと周囲にいる人を落ち着かせるような笑顔を浮かべるおばあちゃんの隣に座り、勧められたお茶菓子のおせんべいにかじりつきます。
 ……やや、このお煎餅は魔都≪シンジュク≫の老舗『秋せんべい店』の味!
 これほどグレードの高いお茶菓子を食べれると言う事は……このおばあちゃん、こう見えてかなりのお金持ちか実力者、或いはその両方に違いない。
「どうじゃ、おいしいかえ」
「とっても美味しいです」
「うむ、うむ、そりゃあよかった。子供は遊ぶのと食べるのが仕事じゃからな。さ、こっちの『かすていら』もおあがり」
 な、なんという至れり尽くせり……この家の子供になりたい……! 
 むーしゃむーしゃ。しあわせー。
「そうそう、今日はこの寺になんの用で来たのじゃ? 聖の奴に相談かい?」
「ほえ? そーだん?」
 はて、私は何か困りごとでもしていたのだろうか。お煎餅とカステラとお茶が幸せすぎて忘れてしまったようだ。
「むむむ……もぐもぐ……むむ……もぐもぐ……ずずず……あ!」
 思い出した。超々々かっこいい必殺技を捜し求めていたのだった。
「おばあちゃんはスペルカードって持ってますか」
「おお、スペルカードか。それはもう沢山持っておるよ。何せ儂はあの佐渡の」
「楽して超々々々かっこいい奴が欲しいんです。ください」
「……う、うむ。そうじゃのう……ところで、何故お前さんはスペルカードが欲しいのじゃ?」
「ふふ、よくぞ聞いてくれました! もぐもぐ」
 もちろん、私がこんな絶大な苦労をしてまで(むしゃむしゃ)スペカを欲するのには(もぐもぐ)理由がありました。けぷ。その理由とは……
「こんなに素晴らしい私が評価されないのはおかしい……おばあちゃんもそうは思いませんか!」
「……お、おう?」
「私が評価されていないのは単に目立っていないからに違いありません。と言うわけで、素晴らしい私に相応しい超々々々……今何回言ったっけ」
「四回じゃな」
「ありがとうございます。私に相応しい超々々々々かっこいいスペカを身につけて目立つ事が出来れば、皆さんも私の素晴らしさに気づくはず!」
「そ、そういう事になる……のじゃろうか……?」
「と言うわけで、私に相応しい……ええと……いちにいさんしーごー……超々々々々々かっこいいスペカが必要なのです!」
 ふ、決まった……。
「ふぅむ、なるほどのぅ……よし分かった。協力しても良いが、その前に一つ話を聞いてくれるかの?」
「ありがとうございます。でもその、日が暮れる前におうちに帰らないといけないので、それまでにしてくれると助かります」
 日暮れまで三時間くらいあると思いますが、お年寄りの話は想像を絶する長さだとパチュリー様に聞いたので先手を打っておこう。
「ふふ、心配せずともそんな長くはならんよ。さて、それじゃあ一つ……天下無双の化け狸、佐渡がマミゾウの秘術をご覧あれ!」
 え? 秘術? 話がちが……
「はれ……? せかいが まわって……?」
 風が吹き荒れ、木の葉が舞い上がり……
 私は……


******


 ――なんやかやがありました。
「ううっ……おばあちゃんのスペルカードにそんな想いが込められていたなんて……」
 ――色々あって、私は大事な事を学んだ気がします。とにかく色々あったのです。
「さて、それじゃあスペルカードを分けてあげようかね。準備は出来とるかい?」
「いえ、おばあちゃん……いいんです。もういいんです」
 ――そう、凄く色々なんやかやとあって、私は一歩先へ進めたのです。
「おや、本当に良いのかい」
「はい。私のやり方は間違っていました。素直に間違いを認める私って素敵です」
「そ、……おほん。……そうじゃな、分かってくれたようで何よりじゃ」
「さて、そろそろ帰らないとパチュリー様が心配しますので。おばあちゃん、今日はありがとうございました!」
 いつの間にか空には綺麗な夕焼けが広がっています。やっぱり年寄りの話って長いんですね。帰ってご飯を食べる準備しないと。
「うむ。またいつでもおいで」
「はい! また来ますね、おばあちゃん」
 お別れの挨拶をして飛翔すると、私は紅魔館への帰途につきました。


「盗人だー! 出会え、出会えー!」
「え、ちょ、私はちが」
 そういえばなんだかお寺が騒がしいようです。神聖なるお寺に泥棒に入るとは、悪い人も居る物だとつくづく思いました。
「うわああああああああん」
 なんだか門番さんの声に似てるような似てないような、そんな事より夕ご飯は何かなー。


******


 紅魔館なう。
 日が明けて、リオ特製の麻婆豆腐をお昼に食べて、涼しい図書館でごろごろしてると、何故かボロボロの門番さんがよろよろしながらやってきました。あ、似たような言葉多くてラップみたい。
「ちぇけらっ」
「え!? な、何突然!?」 
 関係ないけど門番さんお仕事は良いのだろうか。ごろごろ。
「門番さんこんにちは。どうしたんですか、その格好」
「な、なんでもないの。それよりこぁ、貴女が必殺技を探してるって噂を聞いたんだけど、その、もしよかったら私が修行を……」
「何を言ってるんですか門番さん! スペカはそう軽々しく受け渡せるものじゃありません!」
「えっ……いやあげるとは……」
 まったく、門番さんは何も分かってないみたいなので私(親切)が教えて差し上げねば。
「私に何か献上したいと言うそのお気持ちは嬉しいのですが、私は間違っていました。スペルカードは作った人の想いが込められた大切な物……なんやかやとあって私はそれが分かったんです」
「こぁ……うん、そうね。そこまで分かってるなら私がでしゃばる必要なんてなかったみたい」
「と言うわけで、これをどうぞ」
「? 何かしら、これ」
「自伝です」
「……はい?」
 そう、スペルカードは作った人の想いが込められた大切な物……人から譲り受けるわけにはいかないし、自分で作るのは修行とかイヤだしぶっちゃけ面倒。
 なので、
「手っ取り早く私の素晴らしさを布教するために、自伝を書きました」
「は、はぁ……」
 そうです、私はやり方を間違えていたのです。わざわざかっこいい必殺技などを身につけずとも、これを読めば私の素晴らしさが瞭然なのですから。
「名づけて……『こあくま奮闘記』! さあ、私をたたえよー! こあくま、バンザーイ! オールハイル・こあくまー!」
「お、おー……」
 これから私の素晴らしさを布教するには長い時間がかかるでしょう。
 けれど私は決して諦めません。いつか、万民が私の素晴らしさを理解するその日まで……。
 私の戦いは始まったばかりなのです。
 ご愛読、ありがとうございました。


 ――続く。


******





















******


「ねーこぁー?」
「なんですか、リオ」
「この前言ってた自伝ってどうしたのさ?」
「飽きました」


 ――完。


******
 初投稿です(棒)

 最後までお付き合いくださりありがとうございました。
 新ジャンル:クズかわ系小悪魔。とか思いついて、若干アレな小悪魔が大暴れするお話でした。如何でしたでしょうか。萌え萌えキュンな感じになっていただけたら幸いです。

 それでは、機会がありましたら次もよろしくお願いいたします。

 没ネタ
「あ、あの、あまりにも貧乏で哀れな友達用のお土産にお煎餅もう一枚もらってもいいですか。とにかく貧乏で可哀想な人なんです。なんといっても貧乏で貧相で」
「なんと、そんなに貧乏で哀れで胸が薄くて当たり判定が小さい巫女の友達が居るのかい。可哀想じゃのう。一枚と言わず全部持っておいき。包む物がなかったらそこらに転がってる経典をお使いなさい」
あまでむ
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コメント



0.170簡易評価
3.50名前が無い程度の能力削除
「スペルカードは作った人の想いが込められた大切な物」という設定はよかったと思います。これを使っていろいろ物語が書けそう。

さて、リオというオリキャラですが・・・
オリキャラが敬遠されるこのそそわで、他のキャラに置き換えても問題ないようなメイドを出したのは少しまずかったと思うんです。
4.60名前が無い程度の能力削除
お話自体は面白かったですが、キャラ一人ひとりがなんか
イラッとするというか。「うざいキャラ」「クズ系なキャラ」を全否定する訳ではないのですが、もう少し愛嬌のようなものが有ってもいいんじゃないかと。
5.70名前が無い程度の能力削除
小悪魔は好きなキャラですが、この小悪魔は「ギリギリ」嫌いです
まあ、ウザさとキャラ苛めが目立ち過ぎたかな。美鈴かわいそす
でも変えるとこを変えれば十分アリなキャラだと思いました。次回に期待