Coolier - 新生・東方創想話

風になれ

2012/09/22 04:30:56
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深夜2時。まり差はいつものように匍匐前進での散歩に出かける。霧雨亭の玄関の石畳。

ここを匍匐前進で抜けるときは石と石の継ぎ目に指を引っ掛けるときのダイレクトに地面をつかむ感じが

たまらない。気づくと石と石の継ぎ目に入り込んだ黒い土がつめの中に入り、まっくろになっている。

額にじっとりと汗をかいていた。前髪が額に張り付いてうっとおしいのでアルティメットショートウェーブでカットした。

勢いあまって中日ドラゴンズの和田を彷彿とさせるモダンなヘアスタイルとなったが、汗で髪が張り付くのを

どうにかするという当面の目標は達成できたのでよしとしよう。そうだ、歌おう。

「たーまご♪たーまご♪ あ た た めよっおー♪」両手、両肘、両膝、両足の8点と胴体を接地した状態

で歌を歌うのは気持ちがいい。砂埃や小さな虫がしょっちゅう口の中に入ってくるが、これもまた醍醐味だ。

歯をかみ合わせると、砂がジャリッと音を立てた。門を出てひとまず計根の寺子屋へ向かう。



まり差は校庭に並ぶ朝顔の鉢植えにしがみつき、頬ずりした。

「あぁ^~、このつるつるした土の固まったマットかつソリッドな肌触り、たまんねぇ~(恍惚

ひとついただいて帰ることにした。おっと、でもこの鉢がなくなったら持ち主の子供がかわいそう。

みんな朝顔をおそろいで持ってるのにその子だけ仲間はずれ、これがきっかけでいじめ問題に発展しかねない。

なので、その鉢があった場所に、苦符「グリーンカーテン」を発動し、ゴーヤをもじゃもじゃとはやしておいた。

これでこの子はクラスの人気者になるに違いない。なんといってもゴーヤは朝顔とは植物としての

格が違うのだから。まり差は岐路についた。



月を見るとまり差はふと亡くなったおばあちゃんを思い出した。

大正時代を少女として生き、知らず知らずのうちに時がめぐって

土に返っていった。最後まで無邪気に、世の中をよいものとして楽しんでいた。

張りのある声で接するのが礼儀の時代だった。もうこの世代が皆なくなったら

一見無邪気で無知なようで、深い諦念と自然理解を経験のうちに

自らの身にしみこませた人間は消えるのだろう。彼らの前では警戒と防御がゆるむ。

それこそがもてなしである。

そんなことを考えながらつきをぼーっと眺めていると、

目の前に2本の竹がにょきっと屹立した。こちらは5mの竹馬に乗って毎夜散歩している

霊夢である。二人は特に言葉を交わすこともなくそれぞれの物思いにふけりながら

月を眺めているのであった。
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コメント



0.190簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
素晴らしい、わけがわからない
4.無評価名前が無い程度の能力削除
?
7.50名前が無い程度の能力削除
シュール、カオスな話としては悪くない、のか?
前の作品を見ると魔理沙の名前がちゃんと書かれていたので、慧音共々誤字なのかどうか悩む。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
なるほどわからん
10.70名前が無い程度の能力削除
和田さんの髪の毛の話はやめろ!
12.60名前が無い程度の能力削除
もしかしたら、これは非常に面白い作品かもしれない。何度も読み返してしまった。
14.無評価雪中花削除
>>2
ありがとうございます。高得点をいただいたからには
なにかおきに召した点があったことと解釈します。それが何か
書いていただけたら存外の幸せです。
>>4
!

>>7
誤字ですが、気に入ったので採用しました。

>>9
読んでくださってありがとうございます。

>>10
縁結びの神社に参拝・・ですか?ちょっとわかりかねます、すみません。

>>11
ひいぃ!すみません!次からは福浦にします!

>>11
ありがとうございます。読むたびに違う表情も見せる作品はすばらしいですよね。