注意
・百合有りです
・キャラの性格に違和感があるかもしれません
・ゆかりんが乙女です
・……霊夢さんが目をつぶってても周りの状況がわかるのは巫女の感です!!
それでもよろしい方はお付き合いください!
「~♪」
博麗神社へ続く石段を登りながら、適当に鼻歌を歌ってみる。今の私は誰が見ても機嫌がいいことが分かるだろう。だが仕方ないのだ。誰だって愛しく思ってる相手に会いに行く時はそういうものだ。……たとえそれが片思いだったとしても。女の子だもん。……女の子だもん!!
「霊夢~、遊びに来たわよ~♪」
石段を登り終えて声をかけてみる。スキマで来れば早いのだが、それをやると霊夢は『びっくりするからやめて』って言うし、その割にそんな素振りを欠片も見せないのでやっててつまらないのだ。それにこれはスキマを使わなくなってから気づいたことなのだが、想い人に会いに行く道中というのは案外悪くないものだ。
「……あら?霊夢は留守かしら?」
いつもなら心底かったるそうな返事が聞こえてくるのだが、今日はそれがない。残念だが仕方ない。今日は帰ろうかと思ったその時、見つけてしまった。
「……すぅ」
「……」
……霊夢が縁側で寝ていた。
「……霊夢~?寝てるの?」
「……」
「そんなところで寝てたら風引いちゃうわよ?」
「……」
「それに……悪い狼に食べられちゃうかもしれないわよ?」
「……」
「……起きないと知らないわよ?」
「……」
「合意とみなしてよろしいですね?」
「……」
とりあえず博麗神社に強力な結界を張った。これによって結界内で何が起こってるかは外からはわからないはずだし、邪魔者も入ってこれなくなる。これで眠っている霊夢と二人きり……。喉がゴクリと音を立てるのが聞こえた。
◇
……前から思っていたことだが、紫は賢いくせにアホだ。私はこんなだが、一応は博麗の巫女だ。自分の近くで結界なんて張られたら流石に目が覚める。だがこのアホ賢者はそんなことも気づかず真っ赤な顔で私を見つめているようだ。……魔理沙ではないが少しいたずらを思いついた。このまま寝たふりをしてあいつが何かしようとしたタイミングで起きてやる。紫が私に好意を寄せてるのはさすがに気づいてる。……本人はあれでも隠しているつもりらしいが。それに対して特に思うところは……多分ないと思う。まぁキスでもしようとするならその直前に目を開けてやろう。どんな顔をするのかちょっと楽しみだ。
「これで一安心。まずは……」
そう言って紫は神社の奥の方へ言ってしまった。何のつもりかはわからないけど、どうせすぐに戻ってくるだろう。結界まで張ってなにもしないほどヘタレじゃ……いや、可能性はあるか。というより人の寝込みを襲うのに邪魔されないためにこんな強い結界張るって……どんだけ必死なんだこいつは。
「……よいしょっと。これでとりあえず風邪は引かないわね」
待っていると毛布をかけられた。……いや、風邪よりも多分あんたのせいで貞操がピンチなんだけどね?……まぁ、とりあえずありがとうと心の中で思っておく。
「それじゃあ……次はやっぱり……」
そう言って微妙に震える手で私の頭をそっと持ち上げた。紫の顔が少しだけ近づいたせいか、余計に視線を感じる。……ここまで見られるとちょっぴり恥ずかしくなってくる。ね、寝ぐせとかついてないよね……?そんなことを思ってるとゆっくり頭が降りていくのを感じた。……ん?持ち上げたのに下ろすの?
「一度やってみたかったのよねぇ。大きくなった霊夢を膝枕……」
頭が降りたのは硬い床ではなく、無駄にフリルの付いた服、つまり紫の膝の上だった。……紫の服っていい素材使ってるなぁ。ふわふわですっごい気持ちいい。頭を優しくなでられるのも合わさって癖になりそうだ。ここで起きようかとも迷ったが……今なら多分紫は口八丁で上手く言い逃れてしまうだろう。……決してこのままでいたいからではない。とりあえず紫の次のアクションを待とう。
「……大きく……そして綺麗になったわね、霊夢」
なんとなく懐かしい気分になってくる。なんでだろう、紫にこんなことをしてもらったことはないのに……。それどころか多分親にだってされたことはない。
……というかこいつはいつまで私を膝枕してるつもりなんだろうか?このためだけに結界を張ったのだろうか?……別にそんな事しなくても膝枕くらいなら
「ど、どうしよう……。もうちょっと大胆になことしてもいいかのかしら……?」
……ごめん、こいつ鼻息荒くして何言ってんの?正直ちょっと怖いんだけど。もう一度紫が私の頭を持ち上げる。そのまま真っすぐ座っている体制にさせられ、紫から再び視線を浴びる。そしてそのまま膝に載せられて後ろから優しく抱きしめられる。……不覚にも一瞬心臓がドキッとしてしまった。気づかれてなければいいけど
「や、やばいわ……。今私めっちゃ幸せかもしれない……」
……うん、こいつがアホで助かったわ。私の後ろで心臓ものすごい音立ててるし。……やっぱりおっぱい大きいな、羨ましいし妬ましいけど今は何となく落ち着く。ここで起きるのも確かに面白いだろうが、もう少し待てばこいつはもっと大胆になるかもしれないし。……なんかさっきも同じようなことを言った気がしたが気のせいだろう。
「霊夢……綺麗な髪ね。それにいい匂い……」
髪は他の妖怪たちと一緒で特に手入れなどはやっていない。魔理沙とか咲夜にも言われたことはあるけど自分ではよくわからない。黒髪なんて里の人間にいくらでもいるし、同じ黒髪なら輝夜とか私よりも綺麗なのはいくらでもいると思う。それに紫の髪だって……いやなんでもない。
「そういえばこうやって後ろから人を抱きしめるのって初めてね。藍は尻尾が邪魔でできないし、橙は藍にべったりだし……。そっか、初めてが霊夢か……なんか照れるわね」
……特に他意はない、他意はないのよ?けど……そっか、私が初めてか。ちょっとだけ……いやなんでもない。
「さて……そろそろ結界維持するのも大変だし、名残惜しいけど帰ろうかしらね」
え、ちょっ……え?帰るの?いや、もうちょっと……じゃなくて!当初の計画が!紫が私にキスをするまで待って……じゃなくて!その直前に目を開けて驚かしてやるっていう計画!……だったはずよね?
「…………」
再び縁側に下ろされ、私は柱にもたれかかるような形で座らされる。しかし紫はさっきの言葉とは裏腹に、帰る様子を見せない。それどころか魂が抜けたようにボーッと私の方を見ている。そのまま少し見たあと、ぼんやりとしたまま私の方に再び少し近づいてきた。
「霊夢……、私の可愛い霊夢……」
紫がうわ言のように呟きながら私の顔に近づいてくる。このままでは私は間違いなく紫にキスされてしまうだろう。今度こそ間違いなく。ここで今目を開ければ紫はさぞ驚くことだろう。いかに口八丁な紫でもこの状況はごまかせないだろう。そう、ここで目を開ければ……紫へのいたずらは成功するのだ……。なんだかんだで慎重で、頭の回る妖怪の賢者を出し抜くチャンスなのだ。こんな機会はもうないかもしれない。ヘタレで恥ずかしがりやな八雲紫が私にキスをしてくれる機会なんて……。
「…………」
紫の顔がもう触れるかどうかというところまできているのを感じる。しかし私は目を開かなかった。開けなかった。何故かは考えるつもりすらない。少なくても私はこのまま紫にキスされてもいいと考えているのかもしれない。そうして紫は私の唇に触れるかというところまで来て……少し止まったあと私の髪にキスを落とした。
「……また来るわね、霊夢」
そう言って紫は私に背を向けて、今度こそ神社から帰ろうとした。
「……霊夢?」
しかし紫は再び私の方を振り向いて、こちらを見ている。どうしたのだろうかと思っていると、無意識のうちに私の手が紫の服の裾を掴んでしまっていたようだ。なんでこんなことをしてしまったのかと少し焦りながらも何故か放す事ができない。そうしていると再び紫の顔が近づいてくるのを感じた。そして……おでこを小突かれた。
「霊夢、言いたいことはとりあえず4つよ。
1つ目、あなたは警戒心が少なすぎよ。いくら自分の家とはいえ、誰が来るかもわからない神社の縁側で寝るのはどうかと思うわ。
2つ目、寝るのならちゃんと布団かけておきなさい。まだ暑いとはいえ、女の子がお腹を冷しちゃダメじゃない。
3つ目、女の子にとってファーストキスって大切なものなのよ?きっとあなたが思っている以上に。
4つ目、……今日はごめんなさい、どうかしてたわ」
そう言った後、紫は今度こそ私に背を向けて去っていってしまった。結局私は紫がいる間、一度も目を開けることがなかった。
「……私はどうもしてないわよ」
ポツリと漏らした言葉には誰も返事を返すことはなかった。
・百合有りです
・キャラの性格に違和感があるかもしれません
・ゆかりんが乙女です
・……霊夢さんが目をつぶってても周りの状況がわかるのは巫女の感です!!
それでもよろしい方はお付き合いください!
「~♪」
博麗神社へ続く石段を登りながら、適当に鼻歌を歌ってみる。今の私は誰が見ても機嫌がいいことが分かるだろう。だが仕方ないのだ。誰だって愛しく思ってる相手に会いに行く時はそういうものだ。……たとえそれが片思いだったとしても。女の子だもん。……女の子だもん!!
「霊夢~、遊びに来たわよ~♪」
石段を登り終えて声をかけてみる。スキマで来れば早いのだが、それをやると霊夢は『びっくりするからやめて』って言うし、その割にそんな素振りを欠片も見せないのでやっててつまらないのだ。それにこれはスキマを使わなくなってから気づいたことなのだが、想い人に会いに行く道中というのは案外悪くないものだ。
「……あら?霊夢は留守かしら?」
いつもなら心底かったるそうな返事が聞こえてくるのだが、今日はそれがない。残念だが仕方ない。今日は帰ろうかと思ったその時、見つけてしまった。
「……すぅ」
「……」
……霊夢が縁側で寝ていた。
「……霊夢~?寝てるの?」
「……」
「そんなところで寝てたら風引いちゃうわよ?」
「……」
「それに……悪い狼に食べられちゃうかもしれないわよ?」
「……」
「……起きないと知らないわよ?」
「……」
「合意とみなしてよろしいですね?」
「……」
とりあえず博麗神社に強力な結界を張った。これによって結界内で何が起こってるかは外からはわからないはずだし、邪魔者も入ってこれなくなる。これで眠っている霊夢と二人きり……。喉がゴクリと音を立てるのが聞こえた。
◇
……前から思っていたことだが、紫は賢いくせにアホだ。私はこんなだが、一応は博麗の巫女だ。自分の近くで結界なんて張られたら流石に目が覚める。だがこのアホ賢者はそんなことも気づかず真っ赤な顔で私を見つめているようだ。……魔理沙ではないが少しいたずらを思いついた。このまま寝たふりをしてあいつが何かしようとしたタイミングで起きてやる。紫が私に好意を寄せてるのはさすがに気づいてる。……本人はあれでも隠しているつもりらしいが。それに対して特に思うところは……多分ないと思う。まぁキスでもしようとするならその直前に目を開けてやろう。どんな顔をするのかちょっと楽しみだ。
「これで一安心。まずは……」
そう言って紫は神社の奥の方へ言ってしまった。何のつもりかはわからないけど、どうせすぐに戻ってくるだろう。結界まで張ってなにもしないほどヘタレじゃ……いや、可能性はあるか。というより人の寝込みを襲うのに邪魔されないためにこんな強い結界張るって……どんだけ必死なんだこいつは。
「……よいしょっと。これでとりあえず風邪は引かないわね」
待っていると毛布をかけられた。……いや、風邪よりも多分あんたのせいで貞操がピンチなんだけどね?……まぁ、とりあえずありがとうと心の中で思っておく。
「それじゃあ……次はやっぱり……」
そう言って微妙に震える手で私の頭をそっと持ち上げた。紫の顔が少しだけ近づいたせいか、余計に視線を感じる。……ここまで見られるとちょっぴり恥ずかしくなってくる。ね、寝ぐせとかついてないよね……?そんなことを思ってるとゆっくり頭が降りていくのを感じた。……ん?持ち上げたのに下ろすの?
「一度やってみたかったのよねぇ。大きくなった霊夢を膝枕……」
頭が降りたのは硬い床ではなく、無駄にフリルの付いた服、つまり紫の膝の上だった。……紫の服っていい素材使ってるなぁ。ふわふわですっごい気持ちいい。頭を優しくなでられるのも合わさって癖になりそうだ。ここで起きようかとも迷ったが……今なら多分紫は口八丁で上手く言い逃れてしまうだろう。……決してこのままでいたいからではない。とりあえず紫の次のアクションを待とう。
「……大きく……そして綺麗になったわね、霊夢」
なんとなく懐かしい気分になってくる。なんでだろう、紫にこんなことをしてもらったことはないのに……。それどころか多分親にだってされたことはない。
……というかこいつはいつまで私を膝枕してるつもりなんだろうか?このためだけに結界を張ったのだろうか?……別にそんな事しなくても膝枕くらいなら
「ど、どうしよう……。もうちょっと大胆になことしてもいいかのかしら……?」
……ごめん、こいつ鼻息荒くして何言ってんの?正直ちょっと怖いんだけど。もう一度紫が私の頭を持ち上げる。そのまま真っすぐ座っている体制にさせられ、紫から再び視線を浴びる。そしてそのまま膝に載せられて後ろから優しく抱きしめられる。……不覚にも一瞬心臓がドキッとしてしまった。気づかれてなければいいけど
「や、やばいわ……。今私めっちゃ幸せかもしれない……」
……うん、こいつがアホで助かったわ。私の後ろで心臓ものすごい音立ててるし。……やっぱりおっぱい大きいな、羨ましいし妬ましいけど今は何となく落ち着く。ここで起きるのも確かに面白いだろうが、もう少し待てばこいつはもっと大胆になるかもしれないし。……なんかさっきも同じようなことを言った気がしたが気のせいだろう。
「霊夢……綺麗な髪ね。それにいい匂い……」
髪は他の妖怪たちと一緒で特に手入れなどはやっていない。魔理沙とか咲夜にも言われたことはあるけど自分ではよくわからない。黒髪なんて里の人間にいくらでもいるし、同じ黒髪なら輝夜とか私よりも綺麗なのはいくらでもいると思う。それに紫の髪だって……いやなんでもない。
「そういえばこうやって後ろから人を抱きしめるのって初めてね。藍は尻尾が邪魔でできないし、橙は藍にべったりだし……。そっか、初めてが霊夢か……なんか照れるわね」
……特に他意はない、他意はないのよ?けど……そっか、私が初めてか。ちょっとだけ……いやなんでもない。
「さて……そろそろ結界維持するのも大変だし、名残惜しいけど帰ろうかしらね」
え、ちょっ……え?帰るの?いや、もうちょっと……じゃなくて!当初の計画が!紫が私にキスをするまで待って……じゃなくて!その直前に目を開けて驚かしてやるっていう計画!……だったはずよね?
「…………」
再び縁側に下ろされ、私は柱にもたれかかるような形で座らされる。しかし紫はさっきの言葉とは裏腹に、帰る様子を見せない。それどころか魂が抜けたようにボーッと私の方を見ている。そのまま少し見たあと、ぼんやりとしたまま私の方に再び少し近づいてきた。
「霊夢……、私の可愛い霊夢……」
紫がうわ言のように呟きながら私の顔に近づいてくる。このままでは私は間違いなく紫にキスされてしまうだろう。今度こそ間違いなく。ここで今目を開ければ紫はさぞ驚くことだろう。いかに口八丁な紫でもこの状況はごまかせないだろう。そう、ここで目を開ければ……紫へのいたずらは成功するのだ……。なんだかんだで慎重で、頭の回る妖怪の賢者を出し抜くチャンスなのだ。こんな機会はもうないかもしれない。ヘタレで恥ずかしがりやな八雲紫が私にキスをしてくれる機会なんて……。
「…………」
紫の顔がもう触れるかどうかというところまできているのを感じる。しかし私は目を開かなかった。開けなかった。何故かは考えるつもりすらない。少なくても私はこのまま紫にキスされてもいいと考えているのかもしれない。そうして紫は私の唇に触れるかというところまで来て……少し止まったあと私の髪にキスを落とした。
「……また来るわね、霊夢」
そう言って紫は私に背を向けて、今度こそ神社から帰ろうとした。
「……霊夢?」
しかし紫は再び私の方を振り向いて、こちらを見ている。どうしたのだろうかと思っていると、無意識のうちに私の手が紫の服の裾を掴んでしまっていたようだ。なんでこんなことをしてしまったのかと少し焦りながらも何故か放す事ができない。そうしていると再び紫の顔が近づいてくるのを感じた。そして……おでこを小突かれた。
「霊夢、言いたいことはとりあえず4つよ。
1つ目、あなたは警戒心が少なすぎよ。いくら自分の家とはいえ、誰が来るかもわからない神社の縁側で寝るのはどうかと思うわ。
2つ目、寝るのならちゃんと布団かけておきなさい。まだ暑いとはいえ、女の子がお腹を冷しちゃダメじゃない。
3つ目、女の子にとってファーストキスって大切なものなのよ?きっとあなたが思っている以上に。
4つ目、……今日はごめんなさい、どうかしてたわ」
そう言った後、紫は今度こそ私に背を向けて去っていってしまった。結局私は紫がいる間、一度も目を開けることがなかった。
「……私はどうもしてないわよ」
ポツリと漏らした言葉には誰も返事を返すことはなかった。
定番だけど、この『一歩手前』な感じは大好きですよ。
この状態が長く続き過ぎて、ゆゆ様の堪忍袋が切れない事を祈るです。
微妙……。作品の好みと合わなかったのか私の実力不足かはわかりませんが、これからも精進していくのでまた機会があればよろしくお願いします。
5さん
定番だけど書いてみると意外と難しい……。けど書くのは楽しかったし、この手の話は読むのも大好きです!ヘタレでもいいんです!
霊夢の寝ながらも期待が膨らんでいくところが奥ゆかしくてよかったです