「これより、門番の試験を始めるますわ。美鈴この面接試験に合格すれば紅魔館の門番になれるわ」
「はい! わかりました! 咲夜さん」
これは、美鈴が門番になった時のお話です。
門限を破ってネットカフェでこのお話を読んでいる読者様は、すぐにこのお話を読んで帰りましょう。
それでは駄目という方は心の門を開いて読んでください。
紅魔館の一室で面接は行われていた。
「まずは、大きな声で返事ができたのでプラス1点」
咲夜がそういうと、美鈴は顔がすごくにやけた。その表情を見た咲夜は面接シートにマイナス1点をつけたのだが美鈴は気付いていない。
「とりあえず聞きますわ。志望の動機はなんです?」
ありきたりな質問から、先ず聞いていくことになっている。
「はい、そこにレミリアお嬢様と門があったからです」
まさに完璧な志望動機だった。もしも、試験管が咲夜でなければ一発合格だっただろう。しかし、咲夜はレミリアという単語が気になった。門番は門を守るのが仕事だ。レミリアまで守られては咲夜の面子がつぶれてしまう。
ここは、さりげなくマイナス2点をつけたのだった。
「次の質問ですわ。侵入者が来ました。美鈴はどうしますか?」
ここでの模範解答は、撃退することである。
「……そうですね。まずは友達になります。そして、親身に接すれば、侵入者も分かってくれると思います」
言っている意味の半分も咲夜には分からなかった。いったい、侵入者に何を分かって貰うのだろうかと思う。
やはり、マイナス点を付けた。しかも、奮発して5点だった。
「門番の仕事と一緒に、花畑の管理もしてもらうけれど大丈夫ですか?」
なぜか、紅魔館の花畑を管理する業務は門番の仕事だった。それが、伝統だった。
「漢方的な人参栽培が得意です。ですから、きっと花畑の管理もできます」
人参栽培と言われても、咲夜はいまいちピントこない。まあ、花畑を畑に変えられては困るので減点2だった。
「給与はどれ程望みですか?」
先ほどの減点で既に美鈴の不採用は決まっていた。しかし、面接シートの質問項目を全て埋めないといけないのでとりあえずは面接を続けれる。
「一日に一食、いえ、三日に一食だけでいいですから支給してください」
美鈴は切羽詰ったような表情で話した。咲夜は、給与の項目に三日に一回ヨーグルトといい加減に書き込んだ。
「次の質問ですわ。勤務時間は一日25時間ですわ。それで大丈夫?」
当然休みは無しで、25時間勤務である。ちなみに、一日は24時間なのは周知の事実である。
「えあっと。すみません。それだけは勘弁してください。24時間しか働けません」
もう、不採用が決まっているのにここでもマイナス点だった。ついでに24時間しか勤務できないと書いておいた。咲夜の発想では25時間勤務は短い位だ。
「最後の質問ですわ。採用が決まったらいつから働けますか?」
不採用なのだから、聞いても仕方ないのだが、面接シートに書いてあったから咲夜は聞いた。
「はい! 明日からでも働けます!」
元気いっぱいに美鈴は答えた。こういうのを太陽みたいな笑顔をというのだろう。一瞬その笑顔をみた咲夜はドキッとした。そして、面接シートの最後に明日からと記載した。
「今日はありがとうございます。面接は終了ですわ。結果が出たら連絡しますわ」
咲夜は、丁寧なしぐさで美鈴に退室を促した。
「こちらこそ、ありがとうございます!」
促されて、美鈴は退室したのだった。
美鈴が退室した後に、咲夜は面接の結果をレミリアに報告しに行った。不合格は決まっているのだから、余り意味がない。
「お嬢様、これが結果ですわ」
咲夜に面接シートを渡されて、レミリアはそれを読んだ。
「見ての通り、マイナス点ばっかりで不採用ですわ」
咲夜がそういうと、レミリアは顔を上げて言った。
「採用」
レミリアは美鈴を採用したのだった。
「……採用ですか? 採用なんですか?」
咲夜は不思議に思って聞いてしまった。主が採用と言っているのだから採用で、それについて聞きいていいことではない。しかし、予想外な結果なので思わず聞いてしまった。
「採用よ。それも明日からで、不思議そうな顔しているわ。なんで採用なのかってね」
咲夜の考えてることは、レミリアには見透かされて仕舞っている。
「だって、面白いじゃない。こんなにマイナス点ばっかりの奴はそうそう居ないし。引っ掛けで入れておいた25時間勤務のところもちゃんと24時って答えているわ。物理的に25時間勤務できないわ。そして、このヨーグルトがうけたわ。給与がヨーグルトってね。美鈴には、そういう役どころをやって貰うわ」
レミリアはご機嫌だった。そんな話を聞いていて咲夜もなんだか、美鈴を面白く感じ納得したのだった。
次の日から美鈴は、門番を始めたのだった。
いつも、美鈴はにこにこ笑顔で門番している。悪魔の館なのになと咲夜は思う。しかし、その反面こういうのも悪くないかとも思う。
最近Coolierも堕ちたなと常々思う
存外に好きだよ、こういう理不尽な話。
でも、評論の対象としてみるならば、あんまり点数が伸びないかな。
そして、このヨーグルトがうけたわ。採用するつもりのない咲夜が適当に書いたヨーグルトが決め手になるとはw
ただ、掛け合いをメインにするならもっとインパクトが欲しかった