――0――
しとしとと降る雨を一身に受けて、身体を震わせる。霧が濃く、瘴気が強い。いかに妖怪といえど、こんなところに長時間いれば身体をこわしてしまうことだろう。
わざわざ自分から森に入って、身体をこわして帰る。そんな情けない光景を思い浮かべて、ぬえはぶるりと身震いした。
「なんであの人間は、こんな森に棲んでるのよ」
思わず、求めて来た人間、霧雨魔理沙の顔を思い浮かべて悪態を吐く。
二度の異変で顔を合わせただけだが、一番話が通じたのが彼女だ。他に頼れそうな人間がいなかったから仕方がないと、ぬえは自分に言い聞かせた。
家の場所は知らないが、どうとでもなるだろう。そう油断した結果がこれだ。魔法の森の瘴気に当てられて、身体がだるくなっていく。
「はぁ、ふぅ、ちょっと休憩」
適当な木に寄りかかり、ぬえは大きく息を吐いた。果たして自分は、他人の為にこんなに頑張るような妖怪だったか。そう自問するも、辛い苦しいと腰を下ろしながらも、帰ろうという気だけは起らず虚しいだけであった。
「もう少し、休んだら」
そう呟き、眠気に瞼を落としていく。我慢出来ないほど眠くはなかったはずだと周囲を見回せば、ぬえの直ぐ隣には水色のキノコが生えていた。
「あ、まさ、か」
気がついた頃には既に遅く。
だんだんと落ちてゆく瞼に抗うこともできず、ぬえの意識は白濁していく。そうして、眠りに落ちるその寸前――ぬえは、視界を黄金がよぎったような、そんな気がした。
ぬえ式オムライス! ~正体不明な隠し味は、トマトの香り~
――1――
灯りを感じて、ぬえはゆっくりと身体を起こす。ぼやけた視界はだんだんと色を取り戻し、同時に、彼女の記憶を再生させていった。
「そうだ、私は」
清潔な白いスーツが、身体に掛かっている。天井に掛かったランプの灯りは柔らかく、部屋全体を照らしている。そこは、ぬえが見たことのないタイプの“落ち着いた部屋”だった。
魔法の森で倒れて、誰かが運んでくれた。
……そう考えるのが適当なのだろうが、ここに暮らす人間がこんな清潔なベッドに寝かせてくれるとは、考えられない。
「じゃあ、いったい誰が――」
「あら? 目が覚めたみたいね」
「――ッ!?」
音もなく部屋に入って来た声に、ぬえは過敏に反応する。それから、正体不明の種をいつでもばらまけるようにして……動きを、止めた。
黄金の髪と空色の瞳、可愛らしい服装に整った顔立ち。まるで人形のような少女が流暢な日本語を話すというその様子は、ある意味“正体不明”といえた。
「だれ?」
「ここに暮らす人形遣い、アリス・マーガトロイドよ。貴女のお名前は?」
「え、あ、ぬえ。封獣ぬえ」
睨み付けるぬえに警戒の一つもすることなく、アリスは淡々と告げる。武器のような物も持たず、人形遣いだという割りに人形の一体も従えることなく近づいてくるアリスに、ぬえは少しだけ警戒を緩めた。
正体不明の自分に矢を向けてきた人間達のように、敵意が感じられない。
「そう。それで、ぬえはどうしてあんなところに?」
「え、それは、えと」
「どんな理由でも良いけれど、なんの準備も無しで入るのは厳しいわよ」
「ああ、う、うん」
「聞かれたくないなら聞かないから、今日は休んで行きなさい」
「あ、ありがとう」
しかし、残っていた警戒心も、気がつけばどこかへ消えて無くなっていた。手際よくぬえを横にして毛布をかけ直し、淡々としていながら体調の心配をしてくれる。
ぬえはこういう存在のことを“お人好し”と呼ぶのだと、知っていた。彼女が暮らす命蓮寺のまとめ役、聖白蓮と似た様な存在だ。
「あのさ!」
なら、彼女でも――いや、彼女の方が良いかもしれない。ぬえはそう決意して声を上げる。すると、アリスはきょとんと首を傾げて、ぬえの言葉を待つ。
「なにか珍しくて、美味しくて、ええとそれから……簡単な料理、しらない?」
ひどく抽象的で、何を求めているのかよくわからない。叫んだ後でそう自覚して、ぬえは気恥ずかしくなって目を泳がせた。
「ええと、その、あの、そう! 遠いところから呼んだ友達を、自分でもてなしたくて、だから」
両手をぱたぱたと動かして、一生懸命説明する。
「今は休んで。後で、教えてあげるから」
アリスは小さく微笑むと、一言残して出て行く。その表情が子供を見守る姉のように温かくて、ぬえは恥ずかしさで何も云えなくなってしまった。
ぱたん、と扉が閉じて、肺からありったけの空気を吐き出す。そうするとまた重くなって、ぬえはそのまま再度眠りに落ちるのであった。
――2――
鼻孔をくすぐる、爽やかなトマトの香りで目が覚める。ぬえはまだ気怠さの残る身体を起こすと、覚束ない足取りで匂いの元を探し始めた。
扉を抜けて、素足で冷たい床を叩き、白い湯気を見つけて迷い込む。すると、赤い服の人形がぬえの姿を見つけて、彼女に椅子を勧めてきた。
「あ、ありがとう」
すとん、と柔らかいクッションの上に座り、それから漸く意識がはっきりし始めた。匂いに釣られてやってくるなんて、恥ずかしい。そんな風に考える間もなく、ぬえの目の前に匂いの元がとん、と置かれた。
「さ、召し上がれ」
「おぉ……」
山のように盛られた、ふわふわの卵焼き。ぬえがどうしようかと躊躇っていると、正面に座ったアリスはただ、柔らかく微笑んだ。
それが、合図だったのだろう。銀色のスプーンを山に押し当てると、予想外の抵抗に遭う。ぐいぐい、ぐいぐいと推し進めて皿を叩き持ち上げてみれば、断面から柔らかな赤色が覗いた。
「はふはふ、はむっ」
舌の上を、甘味が駆ける。それからトマトの香りが鼻の奥を優しく刺激し、鶏肉の歯ごたえが食感を楽しませた。しゃきしゃきと心地よい音が舌の上で響き、それがタマネギだと気がついてぬえはタマネギとは、こんなに甘いものだったかな、目を瞠る。
。
酸味の香る、トマト味の御飯。卵に隠されたそれを噛みしめると、口の中でシンプルだけど楽しい味が広がっていく。卵の上のケチャップソースを広げてもう一度口に運ぶと、さっきよりもちょっとだけ味が濃くなって、ぬえはますます楽しそうにスプーンを咥える。
気がつけばぬえは、米粒一つ残さず、宝箱のような料理を食べきっていた。
「あ」
何も乗っていない皿に、ほんのり残るケチャップソース。それがなんだかお皿の模様みたいに見えて、ちょっとだけ可笑しくなって、すぐにはっと顔を上げた。
「あ、あのさ、これ……」
「友達に、教えたい……でしょ?」
「いいの? その、会ったばっかりなのに」
「いいわよ。あんなに美味しそうに食べられたんじゃ、ふふ、断れないわ」
アリスがおかしそうに笑うと、ぬえはそれだけで何も言えなくなってしまう。なにが、正体不明の大妖怪だ。ここに来てからずっと、調子は狂いっぱなしだった。
「うぅ、しっかりしないと」
「そうね。しっかり、作ってあげなさいな」
アリスに手を差し伸ばされて、ぬえはふくれっ面になりながら、それを取る。人形のように真っ白な手は、けれど確かに温かくて、ぬえはそれにまた驚いた。
もう、驚かされてばかりだと居られないと、ぬえは改めてアリスの手を握り返すのであった。
――3――
その日から、ぬえの“修行”が始まった。
マーガトロイド邸の厨房は広く、二人並んでも余裕がある。隣りに立つアリスに指導を受けながら、ぬえはオムライス作りに挑んでいた。
「ええっと、ここでくるっと」
「無理しなくても良いわ。慎重に……って、あっ」
最初の内は良かった。けれど出来ることが増えるとやるべきことの難易度も跳ね上がり、いざご飯を卵で包み込む、という最後の段階まできて躓いてしまったのだ。
フライパンの上で崩れた卵焼きを見て、ぬえは肩を落とす。どうにかフォローしようと手を伸ばすアリスから逃れようと身を捩ると、ぬえはアリスに背を向けた。
「ごめん。ちょっと、頭冷やしてくるよ」
「ぬえっ、あなた――ちょっと!」
アリスの静止の声も聞かずに飛び出すと、ぬえは一気に雲の上まで飛び上がる。そこで、周囲に誰もいないか確認すると、独り膝を抱えて丸くなった。
「あーあ、私、だめだめだ」
自虐的な言葉を吐いてみても、状況は変わらない。友達のためにと行動して置きながら、やったことといえば、沢山の料理を無駄にしてしまったことくらい。その上、善意で手を差し伸べてくれた人を傷つけた。
『ぬえっ、あなた』
つい先程の言葉が、ぬえの脳内でリフレインする。
思えばぬえは、アリスがどうして自分に手を差し伸べてくれるのか、知らなかった。
「親切心、だけなのかなぁ?」
「誰が親切なんだ?」
「そりゃ、アリスが……って、だれ!」
背後から聞こえてきた声に、ぬえは思わず警戒心を露わにする。けれどそこに居たのは正体不明の敵などではなく、見慣れた――それも、自分が一番最初に求めて来た人間の姿だった。
「はれ? 魔理沙?」
「おう。霧雨魔理沙だぜ。おまえはぬえだよな? なんでこんなところに?」
言おうか言うまいか。ぬえはもごもごと口を動かし悩んだあげく、聞くまで逃がしてくれそうにない好奇心混じりの魔理沙の視線に負け、渋々と話し出した。
「思い出の料理、なんだってさ」
一通り聞き終わった魔理沙が発したのは、そんな言葉だった。
「え?」
それに咄嗟に反応出来ずに、ぬえは首を傾げる。すると魔理沙は頬を掻きながら、そんなぬえに苦笑を零す。
「私も、前はよく作って貰えたよ。魔法の森に来たばかっかりで、不安だったころにな」
普通の人間である魔理沙がこの地に馴染むようになるまで、短くない修行の日々があったのだという。努力家というだけではどうにもならないこともあり、そんな時、アリスに出逢ったのだという。
「当時はその妖怪がアリスって名前だとか、そんなのは知らなかった。ただ、気が付いたら料理を置いていってくれる、物好きな妖怪」
年頃の少女を見ると放って置けない、お人好しの妖怪。ぬえは自分に手を差し伸べたときのアリスの姿をぼんやりと思い出し、頬を緩ませた。なるほど、心配性でお人好し、けれど妖怪には似つかない優しげな雰囲気を持つ少女だ。
「なんで、そんなに?」
「これは内緒なんだけど――」
魔理沙はそう、悪戯っぽい笑顔で、そう前置きする。
「――情けなかった自分に、重ねているんだとさ」
「へ?」
「だから、つまり、修業時代の自分がなにもできない少女だったから、ついつい自分の幼いときの姿を重ねて手を貸しちまうんだと」
何故助けてくれるのか。そう訪ねると、アリスは決まって困ったような笑顔を浮かべる。その理由に思い至って、ぬえは思わず頷いた。
つまりアリスは、不甲斐ない自分の姿を見ていられなくなって、ついつい手を貸していた。たったそれだけのことだったのだ。不思議なことなど、なにもない。
そう考えると、あの“完璧”に思えた魔女が、とたんに生き物じみて思えてきた。
「ん? でもそれとオムライスが、どう関係するのさ?」
「簡単だ。アイツの母親が、作ってくれたんだと。悲しいとき、寂しいとき、失敗したとき、側に居てあげたいとき。玉子でご飯を包み込むってのと、優しさで相手を包み込むっていうのをかけている。アリスにとっての“思い出”の料理、だ」
「優しく、包む……」
そう言われて、やっと、ぬえは最初のやる気を取り戻す。元々は、喜んで貰いたかった。自分のところに招いた友達に、満たされて欲しかった。そんな気持ちで選んだ、ぬえなりの“歓迎方法”だったのだ。
「魔理沙」
「おう」
「私、アリスに謝ってくる!」
「ああ、行ってこい」
「うん!」
ぬえは体重を下に掛けると、一度だけ振り向いて魔理沙に手を振り、勢いよく降りていった。
――そんなぬえの後ろ姿を見送ると、魔理沙は箒の上でため息を吐く。
「お人好しなのは私も一緒、か」
人間には寒すぎる、雲の上の世界。魔理沙は自分の方を抱きかかえると、小さくくしゃみをした。
アリスの家に向かう途中、上空へ駆け上るぬえの姿を見かけたのは偶然で、それを追いかけたのは気紛れだ。けれど落ち込む姿に声をかけたのは、なんだかんだと良いながらも手を貸さずには居られない、お人好し妖怪な“隣人”の影響だった。
「風邪を引いたら責任とれよ――アリス」
声は、誰に届くことなく、虚空に溶けていく。けれどなんだかんだと悪態を付ながらも最後まで看病してくれるであろうアリスの姿が容易に想像できて、魔理沙は嬉しそうに微笑んだ。
――4――
マーガトロイド邸に戻って直ぐ、ぬえは厨房に向かった。もう呆れて片付けてしまった居るかも知れない。教えてくれないかも知れない。そんな嫌な想像を全て頭の外に叩きだし、アリスの姿を探す。
「アリス!」
家の外に居る可能性も考えた。けれど、アリスは已然として厨房から動いておらず、そのことにぬえは安心する。
「アリス、ごめん! 私もう一度、アリスに教わりたい!」
そう、勢いよく頭を下げる。けれど返答は一向に来ず、ぬえは首を傾げることしか出来なかった。
「アリス?」
「はぁ……」
「っ」
ため息。失望という言葉が、ぬえの脳裏を駆ける。けれど、次いで出た言葉はまったく違うものだった。
「私は一度も、“もう止めたい”だなんて言われてないわ。だったら、“もう一度”は変じゃない?」
「じゃあ!」
「ええ、休憩時間は終わり。続き、頑張りましょう? ぬえ」
「うんっ!」
気持ちを新たに、アリスの横に立つ。今度は少し前よりもずっと、ぬえの心は軽く、気持ちは強くなっていた。
――5――
ふさふさの尻尾を揺らして、マミゾウはくぁっと大きな欠伸をする。畳の上で行儀良く正座をしているマミゾウは、気の抜けた顔でずずずぅっとほうじ茶を飲んだ。
幻想郷に来て最初に招かれた命蓮寺で、マミゾウは湯気で曇った眼鏡を拭きながら、のんびりと招待者の友人を待つ。
そんなマミゾウを、厨房から一瞥し、ぬえは食材に向き直った。
「よしっ」
新品のエプロン、研がれた包丁、手も食材も洗ったし、気合いは充分。ぬえは両頬をぱちんと叩くと、早速調理を開始する。
タマネギを、とんとんとん、とみじん切り。鶏肉は一口サイズよりも小さめに、切って千切って、油を敷いたフライパンに放り込む。しっかり柔らかくなるまで火を通すと、タマネギを放り込んでしんなりとするまで炒めた。あらかじめ炊いておいた御飯を入れて、更に炒めて、ここでほんのり隠し味。バターを入れて炒めると、濃厚な匂いがぬえの鼻孔をくすぐって、彼女は沸き上がる唾液をこくりと呑み込んだ。
次にぬえが取り出したのは、硝子の瓶だ。アリスから譲って貰った特製トマトケチャップ。御飯の真ん中を開けて、そこへケチャップをとろりと流し込む。それからご飯と絡めてまた炒める。ぱらぱらになるまで火を通したら、準備完了。
ぬえは一口味見をすると、しゃきり、とタマネギを感じて満足した。そうしたら、今度は卵だ。ケチャップライスはそのままに、別のフライパンを用意。三玉分の卵に、塩と胡椒とそれから少しだけマヨネーズ。空気を入れながらよく混ぜて、フライパンに流し込んだ。アリスのように上手くは行かないし、ふわふわと言うよりぺらぺらだ。それでも、オムレツの匂いがふわりと漂い、ぬえの腹の虫を刺激した。
けれど負けてなるものか。ぬえは瞳に力を入れると、せめて破れないように、卵でケチャップライスを包み込む作業へ。薄く焼いたオムレツにケチャップライスを載せて、その上にお皿を乗せる。くるりとひっくり返すと、上手いこと卵がケチャップライスの真ん中に載った。
ぬえはそれに満足そうに笑うと、ちょっと周りを整えて、形を良くする。
「あとは、仕上げに」
黄色い卵の上に、ケチャップを器用に垂らして赤い文字。多少気恥ずかしいが、あえて気にしないようにとぬえは首を横に振る。
「おまたせ」
「いや、構わんよ。それでこれが、儂に食べさせたかった料理、か?」
己の目を見て首を傾げるマミゾウを前に、ぬえは高鳴る胸の音をひた隠す。なにをこんなに緊張しているのだと、自分自身にカツを入れながら。
「そう。オムライス」
「ほぅ、いったいどんな気紛れで――うん?」
珍しい料理だとは、思っていた。けれどマミゾウはその料理に書かれた赤い文字を見て、ぴたりと動きを止める。
それからふと見上げてみれば、素直ではない友人が、頬を朱に染めてそっぽを向いていた。
『ようこそ』
簡単に、たった四文字。それに込められた万感を汲み取って、マミゾウは小さく微笑む。歓迎のもてなしなど受けたのは何時ぶりか、マミゾウは思い出せず、それでいいかと考え直す。
「形、あんまり良くないけど」
「そうか? 儂には、すごく綺麗に見える」
アリスの家でオムライスを食べたとき、最後に残ったケチャップソースで出来た模様を見て、ぬえはマミゾウにこれで想いを伝えることにしたのだ。面と向かって言うのが、どうにも気恥ずかしくって。
マミゾウはそんなぬえの気持ちに感づいてか、笑みをかみ殺してスプーンを手に取った。
ようこその文字を、名残惜しく思いながら下の卵ごと削り取る。思っていたよりも抵抗を味わうことなくスプーンが皿を叩く感触に頷くと、マミゾウはそれを顔の高さまで持ち上げた。
炒め切れていないのか、少しだけ水分の残る御飯。そそっかしい友人らしい手料理に小さく笑うと、大きく口を開けて、舌の上にふわりと乗せる。
トマトの香りが鼻孔を抜けて、ふわりふわりと舌先で踊る卵の感触を楽しむ。大きさはバラバラだけど、歯ごたえは良いタマネギ。御飯と鶏肉とタマネギのハーモニーは、マミゾウの舌を年甲斐もなく、楽しませてくれた。
「美味しいぞ、ぬえ」
「………………うん」
たったそれだけ。
なのに、どうしてだか胸が温かくなる。ぬえは名付けられない感情を御することもなく、ただ、マミゾウに笑いかけた。
「ありがと」
ふわふわ、とトマトの香り。
かちゃかちゃ、とスプーンの音。
しゃきしゃき、とタマネギの歯ごたえ。
静かな空間に響く音を遮るものは、どこにもいない。
ただ、気の許した友人達の笑顔が、綺麗になったお皿の上に、柔らかく映し出された。
――了――
とてもほっこりしました
思わず吹いたのですが
召し上がれが召し上げれになっててました
んーお昼はオムライスにすっかな~
マミゾウにオムライスを届けたいと頑張る。
義理堅くて、けれど不器用なぬえらしさが好く出ていたと思います!
それにしても、アリぬえの発想はなかったですね。今度は自分も書いてみたいな。
いやぁ、好かったです。
普段料理をしない男が思い付きで始めたっていいじゃない。
上手くできたら家族の分も……は都合良すぎか。
ぬえとアリスの女子力には目を見張るばかりやでぇ……。
良いほのぼのでした
この4文字に胸打たれた
心温まる良いお話しでした。
あー食べたくなってきちゃったぜw
ほんわか温まるいい作品でした。夏だけど。
ケチャップのデザインにほっこりしました