「霖之助ー今日も新しい料理の作り方を教えてほしいのだ~。」
今日もまたルーミアが料理を教えてもらうため香霖堂にやってきた。
ルーミアが料理の勉強に通いだしたきっかけは数週間前にルーミアが七夕の時に書いた願いを叶えてあげた時にクッキーを一緒に作ったことだ。それからルーミアは料理をするのが楽しくなったらしく週に2回ほど僕のとこに来るようになった。しかし、料理と言ってもお菓子ばかりなのでそろそろ普通の料理も少しは教えたほうがいいかもしれないかな。
「ねーねー今日はどんな料理を教えてくれるの?」
「いつもお菓子を作っているから今日は夕食を作ってみようか。」
「えーお菓子じゃないの~ 私、お菓子だけ作れればいいよ。」
「お菓子はとてもおいしくて食べるのが楽しいけどやっぱりちゃんとしたご飯も大切だよ。もし君がこれから先お菓子しか食べてはいけなくなったら辛いだろう。」
「うん、お菓子だけはいやなのだ~」
ルーミアはお菓子しか食べられないことを想像したのかとても悲しそうな顔をしていた。
「そういうわけで今日はカレーを作ろうか。君もカレーを食べたことはあるだろ。」
カレーと聞いた瞬間ルーミアの表情がパッと明るくなった。
「うん、前に霊夢が食べさせてくれた。」
「それじゃあ材料を買いに人里まで買い物に行こうか。」 「うんー」
僕たちは買い出しのため人里あるいて行った。
「そういえば霖之助はどうして空を飛ばないの。そのほうが早いのに。」
「ああそのことか、ただ僕は飛べないんだよ。」
そういうとルーミアはムスッとして少しきつめな口調になった。
「霖之助のうそつき、人間の魔理沙や霊夢でも空を飛べるんだよ。半分とはいえ妖怪の血が入っている霖之助なら飛べるはずだよ。」
たまにルーミアは鋭いところがある。そして今のような口調に気おされてしまう時がある。簡単に言うならいつもよりも妖怪らしくなる時がある。
「まったく、君は時々鋭いな。」
「それでどうして空を飛ばないの?」
あまりこの話はしたくないのだが、僕には今のルーミアに話さないという選択肢はないみたいだ。
「はあ、仕方ないな。少し長い話になるんだが・・・」
僕はルーミアと並んで木陰に腰をおろして、話し始めた。
まだ妖怪と人間が仲良く共存していなかった時の話だ。人里にに1人の少年が住んでいた。その少年は人間と妖怪の血が混ざっている異例の存在だった。妖怪である父と人間の母による子供。少年は母に半分が妖怪であることを隠して生きるように教えられていた。少年もその教えを守っていたため人里の人たちと何不自由なく暮らすことが出来てたんだ。
ある時少年は自分が空を飛べることに気付いたんだ。それに気づいた時その少年はとてもうれしかったんだ。友達が出来ないことが自分には出来るということがたまらなくうれしかったんだ。それが周りと自分を分ける境界になるとも知らずにね・・・
少年は自分が飛べることを友達のみんなに自慢した。友達は皆「すごーい」「いいな~」などの声を漏らし楽しんでいた。でもそれを見ていた大人たちの目は急に恐れるような眼に変わっていた。それからすぐだった、母は妖怪に魂を売ったとして殺され、少年は里を追放された。
「こんな昔話を小さい頃に読んでね。その話の主人公が半妖だったから印象に残ってね、飛ぶのが怖いんだよ。」
霖之助にそんな過去があったなんて知らなかった。
「ねえ、今の話ってもしかして霖之助の・・・」
「僕も忘れてしまったよ。ずっと昔のことだから。でも半分人間の血も混ざってるから60年周期に起こるあの異変の影響も僕はうけられない。だから完全に忘れることもできないんだ。」
この話をしている時の霖之助の眼はとても暗く哀しそうだった。だから私は無意識にこうつぶやいていた。
「もし、私が今の昔話に入れたらその少年と一緒に暮らしてあげたのだ~。」
「そうかい。もし君がいてくれたのだったらこの話の少年も笑って過ごせてただろうね。」
そう言いながら、霖之助は私の頭をなでてくれた。
まさかルーミアに元気づけられるとは。ルーミアは案外大人なのかも知れないな。そんなことより今僕が言えることは1つだけ
「ありがとう」
そうつぶやいた。
「んー何か言ったのか?」
「いや、そろそろ行かないと夕飯に間に合わなくなってしまう。」
「いそぐのだ~」
そう言って僕たちは買い出しに向かった。
一通り買い出しを終えたところだが、ルーミアが遅れると急いだため予定よりも早く買い出しが終わってしまった。そこであたりを見回すとある甘味所が目に入った。
「あれは確か、前にルーミアと来た時に今度行くと約束したところだったな。ルーミア、少し時間もあるしあそこで休憩していくか。」
「ん~あっいいのか~。」
僕の指差すほうを見た瞬間ルーミアが満面の笑顔になった。
店に入ってすぐにルーミアはパフェを注文した。それから数分後僕のコーヒーとルーミアのパフェが届いたのだが、大きさがおかしかった。
「ルーミアそれ一人で食べられるのか。」
「だいじょーぶだよー。」
そう言いながらもルーミアはパフェを食べ進め完食した。
会計を済ませよと店員のもとへ行くととてつもない金額を要求された。後から注文票を見るとルーミアのパフェが5000円だった。
僕は今日1日で懐が寒くなってしまった。
店を出てから半刻もしないうちに香霖堂に戻ってきた。
「さてカレーを作るとしようか。」
「うんー」
「そう言って二人揃って台所に向かった。」
「まずさっき買ってきた材料を一口大に切ってくれ。」
「そして切り終わったら材料を炒めてくれ。」
ルーミアは初めてクッキーを作った時と比べてかなり手際が良くなってきていた。この調子だとすぐに僕を越してしまいそうだ。
それから数分でコトコト煮込む段階まで来ていた。
ひと段落したため少し本を読もうとした矢先に玄関のから人が入ってくる音がした。
「霖之助さーん上がるわよ。」「香霖入るぜ。」
「いいにおいがするわね、これはカレーね。」
「香霖が自ら料理してるなんてめずらしいぜ。」
そんなことを言いながら二人は台所に入ってきた。
「今日は僕が作ってるわけじゃないよ。」
「「えっ」」
ルーミアが料理してる姿を見て二人はかなりおどろいていた。
「霖之助さん、ルーミアが料理なんてできるの。」
霊夢が訝しげに聞いてきたので僕は素直に答えた。
「最初は全然出来ていなかったけど今はかなり上手になってるよ。」
「それなら私も食べてみたいわね。」
「私も食べたいぜ。」
夕食を食べる人数が二人増えてしまった。多めに作らせておいて正解だったな。そんなことを考えながら皿などの準備をするよう二人に言った。
それからほどなくしてカレーが完成した。まずはルーミアの料理を食べたことない2人に食べてもらうことになった。
「ん、おいしいわ。あんた見かけによらず料理がうまいのね。」
「ほんとだぜ、こんなにうまいとは予測してなかったぜ。」
この二人の言葉を聞いてルーミアは嬉しそうな顔をしていた。
霊夢と魔理沙はおかわりまで食べて帰って行った。そのあと僕たちは二人でカレーを食べることになった。
「本当にいいにおいだな、これは食べるのが楽しみだ。」
「私もうまく作れたと思っている。」
「それじゃあいただきます。」
そう言って霖之助は私の作ったカレーを食べ始めた。この瞬間いつもドキドキしてしまう。もしも口に合わなかったらどうしようかなど心の中から不安があふれてきてしまうから。でも
「うまい、コクがあって本当においしいよ。」
霖之助はいつもおいしそうに私の料理を食べてくれる。その笑顔を見るとまた作ってあげたくなってくる。そしてこの笑顔が見れるからがんばって作れるのだ。
「ずいぶんと上手になったな。」
なぜだか霖之助が言ってくれる「おいしい」は霊夢や魔理沙の言ってくれた「おいしい」よりも嬉しく感じる。
この気持ちの違いがなんなのかまだ分からないけど大切にしたいと思う。
「霖之助またね。」
「ああ、またおいで。今度はどんな料理が作りたい?」
「なんでもいいよ霖之助が教えてくれるなら。」
「そうかい、なら君が知らないような料理にしようかな。」
「楽しみにしているのだ。」
「「次もまた楽しみだ」」
次もまた楽しみにしています
原作をプレイするところから始めましょう
でも原作厨の言うことすべて間に受けないで、好きに書いてくださーい