「雛課長、わざわざ、屋上に呼び出して話って何?」
「それはね、にとりの成績が悪いことよ」
「え? 私の成績が悪い?」
「そう、あなたの成績はこの課で後ろから3番目。とても悪い」
「でも、私の下に2人もいるじゃない」
「そうね、でも、その二人は新人の物部と、早苗執行役員の愛人小傘なのよ」
「……まあ、えっと、確かにそうだけど」
「だからね、にとりには、ほかの事で頑張ってもらおうと思って」
「ちょっと、私の成績が悪いなんて、前からのことじゃない。それに、山の経営も順調だし。なんで、い、今更!」
「むしろ、経営が上手くいっている今だからこそ人員の再構築が必要だと思うのよ」
「そんな、酷い! 雛と私は同期じゃない! その同期の私を他に異動させるなんて!雛は流し雛の売込みで大成功して今のポストを手に入れたけれど、私だってこつこつがんばってきたのに」
「昔、言ったことがよね。農家さんといっしょに汗を流し、きゅうりを栽培することが、にとりの仕事じゃないって。でも、あなたは聞き入れなかった。きゅうり栽培する、農家の諏訪子をカカアに娶るとかいって営業の仕事をしなかった」
「それなら、あの時なんで諏訪子が人妻だと、教えてくれなかったの?」
「それは」
「雛は、いつも最初から知っているくせに、後になって教えるよね」
「それは、えっと、あの時、事実を知ったにとりの涙の塩味がするきゅうりが美味しかったからよ」
「うそ! そんな、事実はないよ」
「そうね、捏造だけれども、私は流し雛、所詮はカタシロにすぎないのよ」
「意味がわからないよ。変に話をすりかえているだけじゃない」
「そうね、今まで私は逃げていただけかもしれないわ」
「何? 何から? それよりも、他のところっていうのはどういうことなの?」
「にとり、私はもう逃げない! 言いたかったことを言うわ。今度の異動先は、私の立ち上げる新会社の専務よ!」
「え? なにそれ、微妙! 普通副社長とかじゃないの?」
面白かった
諏訪子の旦那は神奈子かな