Coolier - 新生・東方創想話

星月の現

2012/07/07 21:25:01
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※この作品は、作者の過去の作品と繋がっている部分があります。そちらを先に読むことをおススメします。













―――必ず貴女を見つけ出すから。












夢で見たのは、知らない少女のこと。
知らないはずの少女の名を呼び、彼女に向かって思い切り手を伸ばした。
そんな私を見て、彼女も私の方に手を伸ばす。


―――あと少しで、届きそう。


………それなのに。


―――届かなかった。


一瞬だけ触れたその温もりだけを残し、彼女は私の前から……消えた。
彼女を求める指先は震え、私は絶叫した。

『……………………!!!』

何を叫んだかは自分でもわからない。
多分、消えてしまった少女の名前を叫んだんだと思う。
そのまま私は泣き崩れ―――そこで意識が途絶えた。






□■□






「う…ん……」

目が覚める。窓から差し込む光が眩しい。
もうあんまり覚えていない変な夢を見たせいか、少し頭が痛い。
が、特に気にせず時計を見る。

「………は?」

半分寝惚けていた意識が、一気に覚醒する。
時刻は既に、最初の講義が始まる30分前になっていた。

「やばっ………」

急いで着替えて、朝食をとる間もなく家を後にした。








「ふわぁ~………」

思わず欠伸が出た。本当につまらない時間。

(……これなら、サボってもよかったかな?)

講義が始まる5分前。
とりあえずは間に合ったのだが、教授は既に来ており、無言で睨まれた。
現在、その講義の最中なのだが、これがまたつまらない。
はぁ…と、ため息交じりの欠伸をもう一つ。
と、教授がまたこちらを睨んでいる。バレたか。
流石にまずいので、講義に集中することにした。





午前中の講義を終えて、休憩。
食堂に来て昼食を食べていた。

(………何かなぁ)

何かが物足りない。いや、うどんの量は足りているのだが。
何というか、隣がポッカリ空いてしまっている気がするのだ。
いつも一人でいたはずなのに、これはどういうことだろう。

「……ま、いっか」

考えていても始まらない。
とりあえず残りのうどんを啜った。






全ての講義が終了。いつもの喫茶店に向かう。
扉を開き、マスターに挨拶して、奥にある二人用の席に座り………止まる。


―――おかしい。


何故、この席を選んだのだろうか?
いつもはもっと違う場所に――…………何処だっけ?
思い出せない。私は、一体……。
さっきの事といい、今日は何だか変だ。
誰かと二人でいるのが当たり前のような、そんな感覚。
言いようのない感情が押し寄せてくる。

「私って、寂しがりやだったけ?」

ポツンッとそう言ってみて……否定する。別にそんなことはない。
しかし、何故だかそう感じてしまったのも事実。

「謎だわ………」

頼んでいたブラックコーヒーを一気に飲み干して、早々に店を出た。





「………何なのかしら」

謎は深まっただけで、一つも解けていなかった。
誰かがいない感覚。昼食の時も、喫茶店での時も。
それだけじゃない。大学にいた時も含め、全ての時間で。
私は寂しいと思うと同時に、不安にもなっていた。

「誰かがいるのが当たり前………」

私がそう思うほどの人物は、大学にはいないはずだ。
もしいるとしたら、私はお昼時に一人でうどんを啜ってないだろうし、
休日には相手の都合はお構いなしで連れ回すだろう。
だが、私にはそう思える人が存在していないのだ。

「………何か、疲れた」

思考の糸が絡まり、何が何だか分からなくなってきた。
少し休もうと、そっと瞳を閉じた。





□■□





―――誰かいる。



私の夢の中には、二人の女性がいた。
何故夢だと分かったのかは分からない。ただ漠然と、
「ああ、夢だ」と思っただけの話。だから、確証はない。
さて、その二人の女性。
片方は輪郭がぼやけていたが、もう一人はハッキリと見えた。

(綺麗………)

そう思ってしまうほど、その人は綺麗だった。
人間離れした美しさ。例えるならそう―――妖怪のような。
少しウェーブがかかった長い金髪。そこが見えない紫色の瞳。
しかし、その瞳は今は悲しみで彩られている。

『………………………………………!』

もう一人が、何かを訴えかけている。
訴えているのは分かったが、何を言っているのか分からない。

『貴女は……誰なの?』

声が響く。
よく通る、美しい声。
突然、妙な懐かしさと痛みを感じ、私は思わず胸を抑えた。
それは、金髪の女性が発した声だった。
しかし、もう一人は聞こえなかったのか、何も答えず消えていく。

『待って!私はまだ、貴女に聞きたいことが……!』

女性の悲痛な声が聞こえる。
でも、それでも。
その声はもう一人には届かない。

(あ…ああ…………)

痛い。痛い。痛い。
彼女の声は、表情は。全部悲しみに染まっていて。
私の心に突き刺さっていく。
分からない。分からないけど。
彼女にあんな顔、させたくないと思った。

一人が消えて、女性も消える。
最後に見た表情を、きっと忘れることはない。
私の意識は、そこで途絶えた。







「ううっ………」

目が覚める。休むつもりが逆に疲れた。
よくわからない夢。私に関係あるのかも不明。
誰かが見せたのか、違うのか。現実なのか夢なのか。
まだ夢を見ているようで、目を擦る。と、

「泣いてた………?」

瞳から頬にかけて、濡れていた。
……さっき見た夢。悲しい悲しい、悲しみしかない夢。
金髪の女性も、もう一人も。みんな、泣いていた。
悲痛な声は、私にダイレクトに悲しみを伝えた。

「手を伸ばしても届かない、か………」

あの二人を見ていたら、七夕を思い出した。
天の川に邪魔されて、会いたいときに会えない。
もし、あの二人がそうだったのなら……やめよう。悲しすぎる。

「………ん?」

その時、何かが手に触れた。
それは古びた、1枚の写真―――。

「博麗神社………。……っ!な、何で私、名前知って………!?」

自然と呟いた言葉。
この神社を知っていることに対し、混乱しかける。
だって。




この写真を見るまで、“博麗神社”なんて、知らなかったのだから。




あんな夢を見た後に、こんな写真を見て驚く。
偶然なのか、それとも………?

「………上等じゃない」

偶然かどうかなんて、関係ない。
私は知りたい。
夢の中の彼女たちが泣いていた理由を。
私の中に存在する、この違和感の正体を。
その答えを見つけるための鍵が、この神社にあるというのなら。

「行くしかないでしょ!」

明日の予定は決まった。大学なんて知らないわ。
私は、私の信じた通りに行動するだけだ!





「………と、来たのはいいけど」

目の前には無数の石段。
上にあるはずの鳥居が見えない。

「これ、登んなきゃなんないのよね……」

そう思うと、げんなりする。
一体何段あるのだろう。空でも飛べたら楽だろうに。
因みに私はいつもの格好だ。
白のブラウスに黒のロングスカート。
赤いネクタイを締め、最後に帽子を被ったら完成。
………とりあえず、ブーツじゃ歩きにくいわ。

「黙ってても、始まんないか」

軽く覚悟を決めて、ひたすら登ることにした。







「はぁ…はぁ………」

石段も、残すところ半分以下。
流石に疲れたので、ちょっと休憩。

「それにしても………」

自分にここまで体力があったなんて驚きだ。
動くこと自体は好きなのだが、理系な私は、普段はあんまり動き回らない。
なのに、ここまで一気に登ってこれるとは。

「……この先に行けば、答えがあるのかしら?」

また謎が一つ。
動く動かないのレベルじゃない。
普段からこうして色んな所を歩き回らないと、普通は無理だ。
しかし、私にはそんなに動いた記憶がない。
高校を卒業して、大学に入学して。
入学以降は、ずっと超統一物理学に打ち込んで。
外に出て動く時間など、なかったはず。
なのに、私はこんなにも動ける。

つまり。

私は、“私の知っている何か”を知らない可能性がある。
要は忘れているのだ。何かによって強制的に。とても大事なことを。
それを証明するかのように、昨日最初に目覚めた時から、
微かに、だけどハッキリと頭痛は続いている。


……以上が、登ってくる間に考えたこと。
何らかの理由で記憶を失い、その“忘れている”こと自体を忘れている。
更に言えば、それは私に限った話じゃない。
私は普段、特定の誰かと一緒にいたはずなのに、誰もそのことを言わない。
ドッキリでもない限り、全員グルなのはありえない。
考えられるとすれば、私と同じく記憶を失い、尚且つそのことを知らない。

話を総合すると、その“誰か”は。




この世界から、存在そのものを消された。




そう考えると、私の違和感の正体がわかる。
ただ、その人が誰か。何故こうなったのかまでは分からないが。

「………結構、ぶっ飛んだ考えよね」

記憶を失うとか、存在を消されたとか。
普段の私なら、絶対に信じない。
けど、今回は違う。心のどこかで納得している自分がいる。

この考えが、事実だったとして。
“記憶を失う前の私”というのは、不思議な現象が起これば、こう考えていたのだろう。
そして、それが“本来の私”というのなら。

「この考えは、きっと正しい」

その時フワッと風が吹いて、

「あ………!」

そのまま私の帽子を攫っていってしまった。
慌てて残りの石段を駆けあがる。そこには……。

「博麗、神社………」

過去にはたくさんの人を迎えたのであろう、寂びれた鳥居と、
古いが、しっかりと手入れされている神社があった。
しばし見とれていたが、ハッと我に返り帽子を探す。が、見つからない。
奥の方を探そうと、鳥居を潜ろうとした。すると突然、

「な、に?これ……」

鳥居の先の景色が歪み、何かが先に見える。
見えたもの。それは、紅白の装束に身を包んだ少女と、
私の黒い帽子を持って泣いている、あの女性の姿だった。







夢の中の、あの美しい女性がいる。
何故、私の帽子があの人の所にあるのか。
何故、あの人は私の帽子を見て泣いているのか。
何故、何故、何故?
分からない。分からないけど、やっぱりあの人の泣き顔なんて見たくない。
手を伸ばしたら届きそうな距離。私は迷わず鳥居の向こうに手を伸ばし、

「痛ッ………!」

ビリッと手に痛みが走る。咄嗟に手を戻すと、至る所に傷があった。

「何なのよ、これ………?」

目線を鳥居に戻すと、また景色が歪み………元に戻った。




□■□




そこからどうやって家に帰ったのか、覚えていない。
気が付いた時には、家に帰ってきていた。

「……本当に、七夕みたい」

あの時。鳥居の向こうに彼女を見たとき。
心の底から、『会いたい』と思った。
夢の中でたった一度、その姿を見ただけなのに。
私が忘れてしまっていても、心の奥の奥で彼女を求めていた。
でも、彼女にこの手は届かなかった。
まるでそう―――天の川のように、私と彼女の間を裂く何かがあった。
それが無性に悲しくて……悔しかった。





「………20時09分47秒」

ベランダに出て、夜空を見上げる。
星を見て時間が分かり、月を見て場所を知る事ができるこの眼。
癖のように呟いて、空しくなってくる。
この眼があっても、彼女がいる場所を知ることは、出来ないのだから。
私の瞳は、現実しか教えてくれない。







―――気持ち悪い目。


そう言ったのは、誰だったのだろうか。
私の眼を見て気味悪そうに、だけど楽しそうに。
フワッと吹いた風に揺れる金髪。こっちをジッと見る、紫色の瞳。


―――でも、素敵な目ね。


……ああ。そうだ。確か私も彼女に同じこと、言ったんだ。
最初に私が、次に彼女が。
………自分で言ったじゃないか。私の瞳は“現実”だけを教えてくれると。
私の現実。それは――――。




「思い…出した………!!」

いつだって一緒にいたじゃないか。
彼女と色んな所に行って、その日の気分で結界を暴いて。
私の我侭にいつでも付き合ってくれた、大切な人。
こんなにも彼女へと溢れる想いを、忘れてた。


あの日。彼女とケンカし、仲直りした数日後。
私たちは、結界を暴きに行っていた。
そこで彼女が境界を見つけたのはいいけど、何か巨大な力に呑まれて、そして……。

「私は記憶を失った………」

全てを思い出した。そして、全てが一つに繋がった。
その時私は、夜の街へと駆けだした。








タッタッタッタッと私は街を駆けていく
人目を気にせず、全速力で駆けていく。
色んな場所に駆けていく。私の帽子は彼女の所。

「……22時13分16秒」

ふと立ち止まり、空を見上げてそう呟く。
夜空には満天の星空が広がっている。

「…………っ」

今なら分かる。彼女じゃない、夢の中のもう一人が言いたかったことが。
多分、こう言っていたんでしょう?

「貴女に会いたいわ、メリー………!」




―――夢の中のもう一人。それは、自分自身だった。







この声は、届いたのだろうか?
分かっていたことだったけど、彼女はこの世界にはいなかった。
それがすごく悲しくて。だから、そう言わずにはいられなくて。
立ち止まったあの場所から、走って家に帰ってきた。
あのままいたら、私はあの場で泣き崩れていただろう。
………私は泣き虫になってしまった。今だって、後から後から涙が溢れてくる。

「メリー………」

彼女――メリーは夢の中で境界を越えていた。
それだけじゃない。いなくなる数日前、彼女は夢に見ていた。
私たちの、この結末を。
私はそのことを知っていたのに、彼女を案内した。
私が彼女を、幻想へと誘った。
その内私は泣き疲れ、そのまま眠ってしまった。




―――出来るなら、目覚めたくはなかった。


しかし時は無情にも流れ、また朝が来る。
メリーのいない世界。メリーなんて最初から存在しなかった世界。
………考えただけで吐き気がする。
彼女のいない世界など、私にとって意味はない。
その意味のない世界に、私はいる………。


―――会いたい


そう思っても、結界が彼女と私の間を裂く。
それに、と絶望的な考えが浮かぶ。
あの時見たのは過去のことで、もう私の事なんて覚えていないんじゃないか―――。

「………バカだ、私」

本当にバカだ。メリーはそんな人じゃない。
それを一番知っている私が信じなくてどうする。
それに、約束したじゃないか。

「必ず貴女を見つけ出す……」

そう、誓った。
何があっても、見つけ出してみせると。

「………私らしくなかったかな」

迷いは消え、やるべきことが決まる。
行き先は、全ての始まりのあの場所。

「………行きますか!!」





全速力で石段を駆けあがる。目的地はすぐそこだ。

「はぁ…はぁ………着いた」

寂れた鳥居が目の前にある。
博麗神社。私にとっての天の川。
1年に一回しか会えないと言うけれど。

「そんな常識、ブチ破ってやるわ!!」

そう、思いっきり叫んだ時、フワリと風が吹き………。



―――私を見つけてね?蓮子。



私を呼ぶ声が聞こえた。
会いたいと願った、その人の声が。

「メリーーーー!!」

瞬間、私はさっきよりも大きな声で叫んでいた。
この声はきっと、彼女に届くはず。




□■□




―――メリーーーー!!



そう、声が聞こえた。
一瞬、聞き間違えかと思った。
霊夢の方を見ると、唖然としている。彼女の声が聞こえたのだ。
……返事など、返ってこないと思っていたのに。
私がそっと呟いた言葉は、彼女の元へと届いたらしい。
だから私も、全力で叫ぶ。

「蓮子ーーーー!!」
『……!メリー、そっちにいるのね!?』

声が届く。蓮子の声が、聞こえる。

『待ってて、今、そっちに行くから!!』
「え、ちょっと待っ――――」

直後。
バチィ!!と、凄まじい音と共に、結界が揺らぐ。

『……っあああああ!!』
「蓮子!?」

……何が起こっているのか想像したくもない。
蓮子は、結界の中に手を突っ込んでいた。




□■□




「はぁ、はぁ……っああ!?」
『蓮子お願い、もうやめて!!』

涙声のメリーが叫ぶ。でも、私は絶対に手を引かない。
だって。

「メリー…に、会いたい…から」
『え………?』
「メリーに……もう一度、会いたいから!!」
『…………っ!!』
「だから、絶対に―――」


―――諦めない!!


力の限り叫ぶ。声が涸れようが関係ない。
ただこの想いを、全力で伝えたいから。
バカな私はこうすることしかできない。
でも、今はそれが、この気持ちを伝える最善の方法だと思う。

『……そう、よね。私だって、蓮子にまた会いたい!!』
「それでこそ、私の最高の相棒よ!!」

バチッ!!更に結界が揺れる。
メリーが手を結界の中に入れたのだ。

『結構、きついわね……』

メリーの辛そうな声が聞こえる。でも。

「そう言う割には、嬉しそうね?」
『………バレた?』

私とメリーは同じことを考えている。
こんなモノなんて苦にならないほど、乗り越えた先には光で溢れているのだから。

「……!メリー、あとちょっと!!」
『蓮子、手を…………!!』

刹那、メリーの手が触れる。私は二度と離さないようにしっかりと握り締める。
そして、私たちを阻んでいた結界が一際大きく揺れ………。







―――――現<ユメ>が夢<ウツツ>に変わる―――――












「メリー、メリー………!!」
「ああ、蓮子、蓮子なのね……!!」

結界を越えた先――幻想郷で私たちは再会を果たした。
そこはとても暖かい場所で……優しい光に包まれていた。
あの頃、彼女と夢見た幻想が、今は私たちが生きる世界となった。

「もう、会えないと思ってた」
「私も最初はそう思った。でも、諦めるのは私らしくないから」

ニカッと笑って見せる。でも、メリーは悲しげな表情をしていた。

「あのね、蓮子。聞いてほしいの……」

そしてメリーは話し出した。
何があったのか。自分が今、どういう状況なのか。

「私はもう人間じゃない。だから、貴女とは―――」
「―――そこまでよ、メリー」

彼女がそんな風に言うことは、何となく分かっていた。
だから私は、メリーの言葉を途中で遮る。
私は、そんな言葉を聞きたいわけじゃない。

「本当は、どうしたいの?」
「え………?」
「義務とか、責任とか関係なしに、貴女はどうしたいの?」
「私は………」

一瞬ポカンとしていたメリーは、我に返るとすぐに答えた。

「叶うことなら、永遠に貴女と共にいたい」
「なら、決まりね」
「蓮子………?」
「私はずっと、ずーーと、メリーと一緒にいるわ」
「でも……!」
「人間だから無理?なら、妖怪でも何でもなってやるわ」
「蓮子……」
「メリーと一緒にいられるのなら、私は何だって出来るのよ。だから」

まだ、何か言いたそうにしているメリーに向かって言う。



「私と一緒に、生きてくれないかしら?」



その言葉を放った時、メリーの瞳は大きく見開かれ………。


「一緒に、生きていいの?」
「当たり前」
「また、いろんな話をしてもいいの?」
「メリーの話、聞きたいわ」
「ずっとずっと、蓮子の隣にいていいの?」
「私の隣はメリー専用よ」
「あと、えっと………」

勢いに任せて言っていたのか、言葉が続かなくなっているみたいだ。

「メリー」

そんな彼女を愛しく思いながら言う。

「私はいつでも貴女の隣にいる。永遠に貴女と共にありたいと心から思った」
「蓮、子………」
「遅刻は毎回してるけど、約束を破ったことはないでしょ?だから、私を信じて」
「うん……!」
「貴女が一緒にいたいと思う限り、私はずっと貴女と一緒にいるから。だって、私たち」

メリーは泣きながらも、必死に頷いている。
私の言葉を一つずつ、心に刻み込んでいる。
最後に言う言葉は決まっている。きっとメリーも同じことを想っているはずだから。








「二人で一つの秘封倶楽部でしょ?」
―――遠い未来。

ただ自然が広がる世界。そこにあるのは二つの影だけ。
夢の跡地で、二人は夜空を見上げる。
その空は、あの頃見た空と変わってなくて。

星が、降り注ぐ。

そのとき空に、黒い線がビッと引かれた。
そして、二つの影は笑い合って……その中へと消えた。



□■□


……やっと、完成しました。
今回の物語はいかがだったでしょうか。
前作と組み合わせて読んでいただけると光栄です。


それでは、ありがとうございました!
それと、霊夢さんゴメンなさい!
白ココア
arasi_1341_398_love_horn@yahoo.co.jp
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コメント



0.440簡易評価
1.30名前が無い程度の能力削除
途中の展開が吹っ飛んでいるのかと思って二度見したよ。
なんでメリーがいなくなったかも、なんで蓮子がメリーと出会えたのかも書いていないんでは、これは手足も目鼻もない丸太だ。
2.60名前が無い程度の能力削除
悪くないと思う。
ただ、一つ思ったんだけど鳥居って錆びるの?
基本木製だと思ってたんだけど。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
鳥居は基本木製だから錆びることは無いと思うんですが…
地域によっては金属で出来てる鳥居もあるんですか?
5.70名前が無い程度の能力削除
寂びれたの誤字ではないでしょうか?
6.無評価白ココア削除
1番様
一応、過去の作品と繋がっているので省きましたが…。
注意書きを入れておくべきでしたね。反省です。

2番様
ありがとうございます!
……すいません。「錆びれた」は誤字です。

4番様
一応、金属でできている鳥居もあります。
が、この場合、やっぱり「寂びれた」の方が適切でしたね。

5番様
ご指摘ありがとうございます!早速直そうと思います。
10.100名前が無い程度の能力削除
好き
14.100非現実世界に棲む者削除
秘封倶楽部は幻想の彼方に消えても健在です。