Coolier - 新生・東方創想話

七夕の星に願いを

2012/07/07 17:20:50
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「暑いな、さすがにもう7月で夏本番ってところか。」

僕は今、夏の暑い日差しの中山を登っているところだ。ことの発端はちょうど1週間前に来た霊夢と魔理沙がきていたときにさかのぼる。


「なぁ香霖また流星祈願会やろうぜ。」
魔理沙が数年前に三人で見た流星のことを思い出したのか、そう提案してきた。
「懐かしいわね、私ももう一度やりたいわ。」
霊夢もやりたそうにこちらへ目を向けてきた。
「やりたいといっても流星群が来るのは数年に1回くらいしかないから、残念だけど今年は来ないと思うよ。」
「あ~あまた見たかったな~」
「そうね。最近あんまりおもしろいことがなかったからみたかったわ。」
そう言って不満を漏らす二人を横目に昨日拾ってきた外の世界の本を読んでいた。その本は外の世界の雑誌というものでその季節の流行りのことがまとめられていて、外の世界の情報を集めるにはもってこいの代物だ。今読んでいるのはちょうど7月の特集がしてあった。
二人の不満を聞きながら読んでいたところある一つの記事が目に入った。その記事には今の二人が喜びそうなことが書かれていた。
「魔理沙、霊夢、流星は見れないけれど「七夕」なら出来るよ。」
魔理沙と霊夢はなにそれといった表情でこちらを見てきたので説明を施した。
「七夕というのは7月7日に外に笹の葉を立ててそれに願い事を書いた短冊を飾りつけるという祭りだね。そして短冊に書いた願いが叶うといわれているらしいよ。」
「面白そうだな」「面白そうね」
「それじゃあ香霖、準備頼むぜ。」
「私はそのとき飲むお酒を用意するから準備よろしくね、霖之助さん。」
そう言って二人は帰っていってしまった。


そんなことがあり僕は今、笹を採りに山に来ているのである。妖怪の山は危険だが質のいい笹がある。どうせやるならいいものをそろえたいのだ。
「あやや、店主さんこれ以上入ってきてはいけませんよ。」
風を切る音とともに現れたのは文だった。
「ふむ、そうしたいのはやまやまなんだが笹がほしくてね少し分けてもらえないだろうか。」
そういうと文は訝しげな目で僕を見てきた。
「別に分けて差し上げるのはかまいませんが、何に使うか教えていただけないでしょうか。」
理由を話すだけで笹が手に入るなら安いものだな。そう考えて僕は取引に応じることにした。
文にも七夕の説明をした。
「それで、その七夕というのを香霖堂でやろうとしてるから笹が必要なんだよ。これで分けてもらえるかい。」
「いいですよ。あと私も参加させてもらいます。」
そう言って飛んで行き、数秒後になかなか大きな笹の枝を持ってきてくれた。
「参加するならつまみか何か持ってきてくれると助かる。さすがに家にある食材だけじゃ物足りないからね。」
「それじゃあ、また」
文は飛び去って行った。心なしか嬉しそうだったのは気のせいかな。

笹を持って香霖堂までたどり着くと僕はもうへとへとで今にも倒れそうになっていた。大きめの笹をもらったため運ぶのが大変だった。
短冊は明日にでも作ろうと思って今日は早めに休むことにした。

朝起きると開けたまんまの窓から新聞が投げ込まれていた。
そこには、まだ寝ぼけている頭の眠気を吹き飛ばすような内容が書かれていた。

「七夕祭り香霖堂にて開催!」
こんな見出しで始まり、七夕の内容や日時が書かれていた。

この後の2日ずっと短冊の材料調達と切る作業をしていた記憶しかない。

徹夜の努力の甲斐あり当日までに準備が整った。夕方になり日が沈んでくるとたくさんの人妖が集まってきた。
吸血鬼、亡霊、蓬莱人、鬼、閻魔、神、地底の妖怪、住職、道士と、さまざまなところから来ていた。

みんな短冊に各々の願い事を書いて楽しんでいた。レミリアは願い事をどれにしようか悩んでいる。ルーミア、チルノ、ミスティア、リグル、大妖精達は短冊に絵を描いている。他にも主にからかわれていたり、自分の願いを見られて恥ずかしがっていたりとさまざまだ。
短冊を書くことを一通り楽しむと、みんなお酒を飲み始めいつもの宴会のような騒ぎになっていた。でも今日はそれも悪くないと思えた。
僕は笹のほうに向かい少しだけみんなの願いを見ていた。

お賽銭がたくさん入っていてほしい 霊夢

もっと魔法が使えるようになりたいぜ 魔理沙

最期までお嬢様のもとに 咲夜

おじいちゃんのような一人前の庭師になりたい 妖夢

いつまでも加奈子様と諏訪子様と一緒にいたいです 早苗

みんなの願いを見ていると不意に目の前に紫色の短冊が舞い降りてきた。それには

いつまでも幻想の住民が笑顔で過ごせますように 紫

僕はこの短冊と今書いた自分の短冊を笹に結び付けた。

「さてと、宴会に参加してくるかな。」
そう口からもらしみんなのもとへ歩いていった。


不意に突風が吹き、紫の短冊とその横の青の短冊が風に乗って星空の彼方へ舞い上がって行った。
その短冊に書かれていた願いは

来年もまたみんなで七夕祭りを 霖之助
少し前に書いたのと昨日一気に2つ書き上げたのがあったので連貼させてもらいました。
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コメント



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5.80名前が無い程度の能力削除
誤字
加奈子→神奈子
16.90名前がない程度の削除
とっても雰囲気出てました
咲夜さんの願い事、叶うと良いな
22.50名前が無い程度の能力削除
内容は良かった。ただ七夕ってかなり歴史が古いから流石に幻想卿にもあるだろとは思ってしまった