えェ昔から、良薬は口に苦し、なんてことを申しましてネ
おなじみ博麗の巫女さんも、
「飲んでみなけりゃわかんない」
なんておっしゃっております
してみれば、飲んでみりゃ良いか悪いかはわかるのかというと、どっこい、そうとも限らないのが難しいところでありまして
「ケホンケホン」
「さぁ妖夢、この風邪薬を飲みなさい」
「あ、ありがとうございます……うぇっ、この薬、苦いですね」
「あぁ、まぁね、毒だからね」
「殺す気ですか!?」
「殺される気なの!?」
「なに逆ギレしてんですか」
まぁ死人から勧められる薬は飲まないほうがよかろうかという
本日はそんなクスリがらみのお話を一席
「あーウドンゲうどんげ」
「なんすか師匠」
「どれどれ」
永遠亭のドクター永琳、弟子のウドンゲを呼びつけ、その横っ腹の肉をぷにぷに引っ張ります
「な、何するんです」
「なに、ちょっと肉付きをね。フムン。これだけあれば十分というものだわ」
「なんなんですか」
「ちょっと、この薬を飲んで欲しいんだけど」
「って、私は別にどこも悪くないですよ」
「知ってるわ。むしろ逆に、だからこそ飲んで欲しいの」
「厭ですよ。いったい、飲むとどうなるんです? まさか不死になるとかじゃないでしょうね」
「まさか。そんなありきたりの薬じゃないわよ」
「…………」
「ありていにいうと、飲めばとたんにぐんぐんみるみるたちどころにカリスマがあふれんばかりに身についてしまったりなんかするオツな秘薬よ」
「ふへぇ」
「何よ、その心底げんなりしたような面持ちは」
「私はカリスマもリトマス紙もいらないです」
「知ってるわよそんなことは」
「べつに私じゃなくてもいいじゃないですか」
「それはほら。アレよ。月生まれじゃないと。ねぇ?」
「人柱にはなりたくないです!」
「そう。仕方ないわね」
「……え?」
「貴方が飲んでくれないなら、私が自分で試すしかないじゃない」
「それはそうでしょうけど」
「もしものことがあったら……後のことは頼むわね、ウドンゲ」
「師匠」
「…………」
「…………」
「……このへんで、『やっぱり私が!』と言い出すものじゃないの?」
「じゃないの、とか言われましても」
「まぁいいわ。そろそろ効いてくると思うし」
「……はっ?」
「こんなこともあろうかと、さっきの貴方の食事に混ぜておいたのよ。薬」
「はぁぁ!? じゃ、じゃあ、なんでわざわざこんな……」
「それはホラ、効果を見ないといけないし」
「あんたは鬼やぁぁぁぁ」
「鬼というより薬師でございます」
「何にもかかってないしっ……う、う!?」
ウドンゲ、果たしてカリスマがぐいぐいプルプルとアップし始めます
「フムフム……これはなかなか……カリスマ探知器が激しく反応しているわね。どうウドンゲ、気分は?」
「…………」
「フム。無言のうちにもカリスマ性がひしひしと感じられるわね。こうなるとどうも、ウドンゲうどんげと呼び捨てるのも申し訳なくなってくるわ。ウドンゲさん、ウドンゲどの、ウドンゲの方、ウ・ドンゲドンゲ……どう呼んだものかしらね」
「…………」
「あら? マズイわね。よく見たらカリスマが肥大しすぎてほとんど原形をとどめていないじゃないの。これじゃあ成功とはいえないわね」
仕方ないので永琳、かつてウドンゲだったカリスマあふれる存在をあるじに献上しに行こうという
「姫ヒメ、ご覧ください」
「あら永琳、しばらく見ないあいだにずいぶん変わった形に成り果ててしまったこと」
「姫、そっちは私ではありません」
「ああ。知っていたけど。でもこれはまたすこぶるカリスマがみなぎり立った存在ね。なに? 私への当てつけかしらこの薬師」
「まさか。元はウドンゲです」
「ああ。イナバがね。面影は指の形くらいしかないけど」
「まぁそうです。けれどカリスマは上がりました」
「ふーん。もしかして、私にもこうなれって言うの」
「まさか。これをお側に置いておくだけで、それ相応のカリスマが得られるかと思いまして」
「んー。私が負けた後にこいつが出てきたら、最終形態みたいでいいかもね」
「あー、合体するとか」
「そうなると結果的には私のカリスマが高いのと同じようなことね」
「万事解決ですね」
「そうね。万々歳だわ」
「ぜんぜんよくありません!」
「あらウドンゲ、もう元に戻ったの? もったいないわねぇ」
「ちっとももったいなくもなんともないですよ! もうこんなの二度とゴメンですからね!」
「そうかしら。いちどカリスマの味を憶えたら、なかなか忘れられないのじゃなくて?」
「それは……っ、でも、身体に悪そうじゃないですかっ」
「大丈夫よ。私も姫も不死身だから」
「私は不死身じゃないんですっ」
「だからこそ――変化できるというもの」
「姫」
「永遠を生きる者に変化はないわ。すべては無為だもの。有限の時を持つからこそ、変わりゆき、うつろいゆくことができるのじゃない? 私たちは、自分にできないことを貴方に託しているのよ、イナバ」
「なんだかちょっといい話で丸め込もうとしてもダメですっ」
「バレてますよ姫」
「ちぇ。イナバのくせに小癪な」
「鬼だあんたたち」
「鬼というより、月人でございます」
「だからぜんぜんオチてないですって」
「いやいや。地上にオチてきてるじゃない」
「このサゲ、あんまりなんじゃ?」
カリスマウドンゲ誕生の一段でございます
おなじみ博麗の巫女さんも、
「飲んでみなけりゃわかんない」
なんておっしゃっております
してみれば、飲んでみりゃ良いか悪いかはわかるのかというと、どっこい、そうとも限らないのが難しいところでありまして
「ケホンケホン」
「さぁ妖夢、この風邪薬を飲みなさい」
「あ、ありがとうございます……うぇっ、この薬、苦いですね」
「あぁ、まぁね、毒だからね」
「殺す気ですか!?」
「殺される気なの!?」
「なに逆ギレしてんですか」
まぁ死人から勧められる薬は飲まないほうがよかろうかという
本日はそんなクスリがらみのお話を一席
「あーウドンゲうどんげ」
「なんすか師匠」
「どれどれ」
永遠亭のドクター永琳、弟子のウドンゲを呼びつけ、その横っ腹の肉をぷにぷに引っ張ります
「な、何するんです」
「なに、ちょっと肉付きをね。フムン。これだけあれば十分というものだわ」
「なんなんですか」
「ちょっと、この薬を飲んで欲しいんだけど」
「って、私は別にどこも悪くないですよ」
「知ってるわ。むしろ逆に、だからこそ飲んで欲しいの」
「厭ですよ。いったい、飲むとどうなるんです? まさか不死になるとかじゃないでしょうね」
「まさか。そんなありきたりの薬じゃないわよ」
「…………」
「ありていにいうと、飲めばとたんにぐんぐんみるみるたちどころにカリスマがあふれんばかりに身についてしまったりなんかするオツな秘薬よ」
「ふへぇ」
「何よ、その心底げんなりしたような面持ちは」
「私はカリスマもリトマス紙もいらないです」
「知ってるわよそんなことは」
「べつに私じゃなくてもいいじゃないですか」
「それはほら。アレよ。月生まれじゃないと。ねぇ?」
「人柱にはなりたくないです!」
「そう。仕方ないわね」
「……え?」
「貴方が飲んでくれないなら、私が自分で試すしかないじゃない」
「それはそうでしょうけど」
「もしものことがあったら……後のことは頼むわね、ウドンゲ」
「師匠」
「…………」
「…………」
「……このへんで、『やっぱり私が!』と言い出すものじゃないの?」
「じゃないの、とか言われましても」
「まぁいいわ。そろそろ効いてくると思うし」
「……はっ?」
「こんなこともあろうかと、さっきの貴方の食事に混ぜておいたのよ。薬」
「はぁぁ!? じゃ、じゃあ、なんでわざわざこんな……」
「それはホラ、効果を見ないといけないし」
「あんたは鬼やぁぁぁぁ」
「鬼というより薬師でございます」
「何にもかかってないしっ……う、う!?」
ウドンゲ、果たしてカリスマがぐいぐいプルプルとアップし始めます
「フムフム……これはなかなか……カリスマ探知器が激しく反応しているわね。どうウドンゲ、気分は?」
「…………」
「フム。無言のうちにもカリスマ性がひしひしと感じられるわね。こうなるとどうも、ウドンゲうどんげと呼び捨てるのも申し訳なくなってくるわ。ウドンゲさん、ウドンゲどの、ウドンゲの方、ウ・ドンゲドンゲ……どう呼んだものかしらね」
「…………」
「あら? マズイわね。よく見たらカリスマが肥大しすぎてほとんど原形をとどめていないじゃないの。これじゃあ成功とはいえないわね」
仕方ないので永琳、かつてウドンゲだったカリスマあふれる存在をあるじに献上しに行こうという
「姫ヒメ、ご覧ください」
「あら永琳、しばらく見ないあいだにずいぶん変わった形に成り果ててしまったこと」
「姫、そっちは私ではありません」
「ああ。知っていたけど。でもこれはまたすこぶるカリスマがみなぎり立った存在ね。なに? 私への当てつけかしらこの薬師」
「まさか。元はウドンゲです」
「ああ。イナバがね。面影は指の形くらいしかないけど」
「まぁそうです。けれどカリスマは上がりました」
「ふーん。もしかして、私にもこうなれって言うの」
「まさか。これをお側に置いておくだけで、それ相応のカリスマが得られるかと思いまして」
「んー。私が負けた後にこいつが出てきたら、最終形態みたいでいいかもね」
「あー、合体するとか」
「そうなると結果的には私のカリスマが高いのと同じようなことね」
「万事解決ですね」
「そうね。万々歳だわ」
「ぜんぜんよくありません!」
「あらウドンゲ、もう元に戻ったの? もったいないわねぇ」
「ちっとももったいなくもなんともないですよ! もうこんなの二度とゴメンですからね!」
「そうかしら。いちどカリスマの味を憶えたら、なかなか忘れられないのじゃなくて?」
「それは……っ、でも、身体に悪そうじゃないですかっ」
「大丈夫よ。私も姫も不死身だから」
「私は不死身じゃないんですっ」
「だからこそ――変化できるというもの」
「姫」
「永遠を生きる者に変化はないわ。すべては無為だもの。有限の時を持つからこそ、変わりゆき、うつろいゆくことができるのじゃない? 私たちは、自分にできないことを貴方に託しているのよ、イナバ」
「なんだかちょっといい話で丸め込もうとしてもダメですっ」
「バレてますよ姫」
「ちぇ。イナバのくせに小癪な」
「鬼だあんたたち」
「鬼というより、月人でございます」
「だからぜんぜんオチてないですって」
「いやいや。地上にオチてきてるじゃない」
「このサゲ、あんまりなんじゃ?」
カリスマウドンゲ誕生の一段でございます
指の形だけウドンゲなジオングとか?