むか~しむかしのことです。
一人の女性が、赤ん坊を抱いて山道を歩いていました。
どうやら女性は、赤ん坊の母親のようです。
レティ「はぁ・・・、はぁ・・・!」
まるで逃げているように、道を急いでいます。
もう、湯気が出るくらいに、汗だくです。
レティ「ああもう!熱くてやってられないわ!」
べちっ!
チルノ「痛っ!」
あんまり熱いので頭にきた母親は、あろうことか赤ん坊を地面に叩きつけてしまいました。
チルノ「な、何すんのよ!」
レティ「五月蝿い!あんたみたいな子を持った覚えは無いわ!」
チルノ「こっちだって、あんたみたいな母親を持った覚えは無いわよ!」
レティ「この親不孝者!」
チルノ「この馬鹿親!」
レティ「馬鹿って言った方が馬鹿!」
まだ喋れない赤ん坊と口論になるあたり、この母子は物凄く深い絆で結ばれているようです。
しかし、この絆の深さが、二人の運命を変えてしまったのです。
美鈴「こっちに居ました~!」
誰かが叫びました。
見た感じ、ちゅ・・・兵隊のようです。
レティ「し、しまった!」
母親は逃げようとしましたが、あっという間に数人の兵隊に囲まれてしまいました。
咲夜「ようやく、見つけた。」
パチュリー「こいつを捕らえて帰れば、レミィも喜ぶわ。」
レティ「貴方たちは・・・まさか!」
美鈴「・・・・・・じ~。」
レティ「心配しなくても、『まさか中国!』なんて言わないわ。」
美鈴「なら良いわ。じゃあ気を取り直して・・・。そう、私たちは平氏の者だ!」
レティ「何だって~!」
兵隊たちは何と、平氏の手先だったのです!
美鈴「こほん。お前たちは、源氏の者であろう。」
咲夜「可哀想だけど、花映塚のキャラ枠を一個空ける為、その子を始末させてもらうわ。」
美鈴「我ら平家の世のため、禍根は断てとの命令。」
咲夜「キャラ枠が開けば、お嬢様がご出演なさる可能性も高くなる。覚悟しなさい!」
パチュリー「咲夜、本音が出てるわ。ていうか、本音しか出てないわ。」
源氏とは、先の戦争で平氏に負けてしまった一族のことです。
平氏は、源氏の者たちを始末するため、兵隊たちに生き残りを探させていたのです。
レティ「お願いします。この子をお助けください。」
一か八かです。
母親は、赤ん坊を助けるよう、兵隊たちに頼んでみました。
レティ「こんな幼い命を散らしては、余りにも哀れです。どうか・・・。」
チルノ「お、おかあ・・・。」
ぽかっ!
チルノ「痛い!」
母親は、赤ん坊をぶん殴りました。
チルノ「何で殴るのよ!」
レティ「あんたはまだ赤ん坊なんだから、『ばぶ~』『ちゃん』『は~い』以外言ったら駄目なの!」
チルノ「な、何よそれ~・・・。」
レティ「はい、やり直しよ、やり直し。」
テイク2が始まりました。
レティ「お願いします、この子をお助けください。」
チルノ「ばぶ~。」
レティ「この子はまだ赤子、命を散らすには、余りに不憫でございます。」
チルノ「ちゃん。」
レティ「どうか、どうかお助けを・・・。」
チルノ「は~い。」
ぽかっ!
チルノ「痛っ!」
母親は、また赤ん坊を殴りました。
レティ「いちいち五月蝿い!」
チルノ「あんたが言えっていったんでしょっ!」
嫌と言うほど心が通じ合っている母子は、また口論を始めました。
レティ「空気読みなさい、馬鹿!」
チルノ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言った!」
レティ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿!」
チルノ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿!」
レティ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうがばがっ・・・・!!!」
チルノ「ど、どうしたの!?」
レティ「舌噛んだ・・・。」
口論の末に、母親は舌を噛んでしまいました。
口から、血がだくだくと出ています。
レティ「うう・・・。舌噛んだから、私はもう駄目だわ・・・。」
チルノ「ええっ!舌噛んだだけで死んじゃうの!?」
レティ「お願いです・・・。私の命と引き換えに、この子を見逃してやって下さい・・・。」
もう長くないと悟った母親は、兵隊たちに懇願します。
突然のことだったので、兵隊たちも困ってしまいました。
美鈴「・・・どうします?」
咲夜「どうするって、ねぇ。どうしましょう?」
パチュリー「どうしようと、もうどうでもいいわ。」
美鈴「はぁ。それじゃあ、とりあえず、命は拾っておきますか?」
哀れに思った兵隊たちは、母親の頼みを聞くことにしました。
レティ「よし、これで安心ね。」
それを聞いた母親は、急に元気になりました。
美鈴「死んだフリ!?」
咲夜「ずるいわね。」
我が子(と自分)のためには、手段を選ばない母親。
騙されたと気付いても約束は約束です。
赤ん坊の命は助けなくてはいけません。
兵隊たちは、困ってしまいました。
パチュリー「仕方ない、命だけは助けてあげるわ。ただし。」
レティ「ただし?」
パチュリー「その子が成長したら、お寺に入れて坊主にすること。それでいいわね?」
レティ「ええ、それでいいわ。」
お寺に入ると言う事は、家を捨てるのと同じことなのです。
源氏の者ではなく、一人の坊主として育てるなら、
別に問題は無いだろうと、兵隊たちは思ったのです。
レティ「よかったわね。」
チルノ「ばぶ~。」
レティ「じゃあ、今から髪を・・・。」
チルノ「やめて~!」
こうして赤ん坊と母親は難を逃れることが出来ました。
月日が経ち、赤ん坊は牛若丸と名付けられ、立派に成長しました。
そして約束通り、牛若丸をお寺に入れることにしました。
しかし、牛若丸を入れるそのお寺、ただのお寺では無かったのです。
レティ「かくかくしかじか、という事で、任せたわ。」
魔理沙「任された。立派なネタキャラに仕立ててやるよ。」
何とこのお寺、カラス天狗が住むお寺だったのです。
母親はカラス天狗に、牛若丸を預けました。
魔理沙「よく来たな、うましか丸。」
チルノ「うしわかまる!!」
魔理沙「冗談だ。じゃあ早速修行を始めるか。そこへ立て。」
チルノ「あ~?何する気?」
魔理沙「マスタースパークだ!」
どおおおおん!
チルノ「ぎゃ~~~~!」
カラス天狗は、いきなりマスタースパークを放ちました。
チルノ「な、何・・・すんのよ・・・。」
魔理沙「この馬鹿弟子!あれくらい避けれなくてどうする!」
チルノ「ばか・・・じゃ・・な・・・。」
がくっ・・・
牛若丸は気絶してしまいました。
カラス天狗による、厳しい修行の洗礼を受けた日でした。
そして次の日から、牛若丸の修行の日々が始まったのです。
昼間は、お寺の裏山で、武芸の稽古をしました。
どど~ん!
チルノ「あぁ~!」
魔理沙「おいおい、これも避けれないのか?まぁ、当てるつもりでやったけど。」
チルノ「ダブルスパーク・・・無理・・・。」
夜には、学問も学びました。
魔理沙「はい、問題。ミスティアの指が五本あります。そのうち二本、幽々子に
食べられました。さて、ミスティアの指は、残り何本?」
チルノ「いっぽん!」
魔理沙「・・・・・・。」
チルノ「あ、あれ?」
魔理沙「確かに、あいつは指が三本だと、一部では言われている。
が、真相はともかく少なくとも私は五本と言った。はい、答えは?」
チルノ「六本!」
魔理沙「何で増えるんだよ。」
しかし、どちらをやっても、駄目駄目でした。
牛若丸は、師匠のカラス天狗に怒られてばかりです。
チルノ「う~、大体、何であたいがこんなことしなきゃいけないのよ~。」
普通、お寺にいるなら、武芸の稽古はしません。
牛若丸は、そのことに疑問を持つようになりました。
そんなある日のこと、山に旅のお坊さんがやってきました。
輝夜「て~るて~る坊主~てる坊主~♪あ~した妹紅を殺っちまえ~♪」
妙な歩き念仏を唱えているお坊さんでした。
そのお坊さんは、牛若丸の方へ近づいてきました。
輝夜「もし、そこの牛若まるきゅー。」
チルノ「あたいは牛若丸!」
輝夜「どうでもいいけど貴方は実は、平氏に滅ぼされた、源氏の一族の末裔なのですよ。」
チルノ「どうでも良くない!誰が牛若⑨よ!」
輝夜「あ、どうでもいいのはそっちなのね。」
お坊さんは牛若丸に、平氏と源氏のことについて、分かりやすく説明しました。
源氏の一族は、平氏と争いになる前は、都で物凄く偉い一族だったのです。
牛若丸は、その一族の生き残りなのです。
自分の生い立ちや源氏のことについてを知り、牛若丸はびっくりしました。
チルノ「あ、あたいってば、そんな偉かったんだ・・・!」
輝夜「まぁ、貴方が偉いんじゃなくて、その役柄、立場が偉いだけなんだけどね。」
チルノ「よおし!今まで馬鹿って言って馬鹿にしてた奴らを見返してやるわ!」
それ以来牛若丸は、武芸の稽古や学問を、熱心にやりました。
武芸はみるみるうちに上達し、師匠のカラス天狗をも上回る程になりました。
チルノ「よし!スターダストレヴァリエゲット!」
魔理沙「Easy仕様だけどな。」
チルノ「あはははは!これでもう怖いもん無しね!」
魔理沙「・・・・。」
学問も、学者顔負けです。
魔理沙「じゃあ問題だ。『1+1=』の答えはどうなる。」
チルノ「田んぼの『田』!」
魔理沙「・・・・。」
チルノ「こんな問題、偉いあたいの頭では簡単過ぎるわ。脳ある鷹は爪を隠すもんよ。」
魔理沙「ああ、そう思うよ。」
ある日カラス天狗は、牛若丸に言いました。
魔理沙「来たか。うすらばか丸。」
チルノ「う、うすら・・・ええと、薄っすらってことだから・・・誰が薄ら馬鹿よ!」
魔理沙「遅いよ。それはともかく、私はもう、お前に教えることは無い。」
チルノ「え?」
魔理沙「お前に伝えることは、全部伝えた。後は、お前の好きなように生きてみろ。」
チルノ「や、やった~!やっとこの窮屈で熱いところから開放されるのね!」
魔理沙「うちは涼しくて快適だ。」
こうして牛若丸は、カラス天狗の下を離れて行きました。
カラス天狗は、たくましい青年に成長した牛若丸を、黙って見送りました。
魔理沙「(・・・もう、どうしようも無いなんて、言えないよなぁ)」
ちゃり~ん
カラス天狗は、無言でスプーンを投げました。
さて、山を降りた牛若丸は、当時の都である、京都へと向かいました。
そこで町の人から、ある話を聞きました。
リリカ「そういえば、五条の橋にとんでもないヤツが居るよ~。」
チルノ「とんでもないヤツ?」
ルナサ「そう。五条の橋の真ん中に立って、通せんぼしているの。」
弁慶とは、『武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)』という
今京都で有名な暴れん坊のことです。
五条の橋に立って、通せんぼをしているということでした。
リリカ「聞いた話だと、もう998だって~。」
チルノ「き、998?三桁は・・・ちょっと・・・。」
ルナサ「何が998?」
リリカ「知らないけど、とにかく998だって。凄いよね~。」
ルナサ「でも、弁慶を退治できた人って、もっと凄いだろうね。」
リリカ「だね~。誰か、懲らしめれる凄く偉いヒト、居ないのかな~?」
チルノ「偉いヒト・・・。よっし、ここはひとつ、あたいが懲らしめてやるわ!」
リリカ「すご~い!頑張って~。」
ルナサ「まぁ、凄くなるのは退治してからだけど。」
町の人が困ってるのを見逃してはおけず、牛若丸は弁慶を懲らしめてやることにしました。
そして、その日の夜のことです。
リグル「・・・・・・・・。」
京の五条の橋。
その真ん中に、一人の大男が立っていました。
この男が、噂の弁慶です。
リグル「何か誤解してる人が居るみたいだけど、私は女の子だからね。」
弁慶は、ある目的があって、人通りの多い五条の橋で通せんぼをしているのです。
と、そこに、誰かがやってきました。
藍「らんらんら~らんらんら~♪」
呑気に鼻歌を唄いながら、侍がやってきました。
いきなり服を脱ぎ捨てて踊りだしても、何らおかしくないくらい上機嫌な侍は、
五条の橋にさしかかりました。
リグル「待て!」
藍「むっ!」
弁慶が、待ったをかけました。
侍は弁慶に気付き、構えをとります。
リグル「ここを通りたければ、私・・・。」
藍「とう!」
すぱ~ん!
リグル「ふぎゃあ!」
侍は履いていた履物を手にとって、弁慶を引っ叩きました。
藍「ったく、ゴキブリ見るのは家だけで十分だよ、ほんと。」
リグル「ゴキブリ・・・・言うなぁ・・・・。蛍って言えぇ・・・・。」
侍はそのまま、五条の橋を渡って行きました。
リグル「・・・・これで、ゴキブリ999回・・・蛍0回・・・うう・・・。」
どうやらこの弁慶、自らがあの蟲では無いことをアピールするため、
五条の橋に立っていたようなのですが・・・これで、999連敗。
次で1000回です。
リグル「何でこんな役なのよぉ・・・。弁慶ってこんなんじゃないでしょ~・・・。」
泣き所を打たれたわけではないのに、泣きそうになっている弁慶。
そのときです。
ぷわ~~!
ぷわ~~!
リグル「わっ!?」
何やら、不協和音が聴こえてきました。
リグル「な、何・・・?」
弁慶は、辺りを見回しました。
するとその視界に、あるモノが入ってきました。
チルノ「ああもう!何よこのラッパ!変な音しか出ないじゃない!」
メルラン「ラッパじゃなくて、トランペットよ。」
必死でトランペットを吹いているのは、見た感じ立派な若者。
そう、牛若丸です。
この騒音の発生源は、どうやら牛若丸のようです。
チルノ「もういい。楽器無しで行く!」
メルラン「頑張れ~。」
牛若丸は、弁慶に向かって行きます。
チルノ「あんたが弁慶ね!」
リグル「そうよ。そういうあんたは誰?」
チルノ「あたいは、牛若丸だ!」
リグル「むむっ。」
堂々とした牛若丸の態度に、弁慶は少し驚きます。
今までここにきた人たちは皆、弁慶を見てびっくりしていたからです。
そのすぐ後、叩かれたり潰されたり斬られたりしたわけですが・・・。
チルノ「あんた、何か998で凄いらしいわね。」
リグル「・・・・・999いったよ。」
チルノ「ええ!もうすぐ10000じゃん。」
リグル「1000!勝手にゼロ増やすな!」
チルノ「え・・・あ、そうか。」
ちょっと緊張していたのでしょうか。
少し計算を間違えたようです。
チルノ「ならその記録、あたいが止めてやるわ!」
リグル「え・・・・!」
弁慶はびっくりしました。
がばっ!
チルノ「わあっ!?」
弁慶は牛若丸に跳びつきました。
リグル「ほんと!?記録を止めてくれるの!?ねえ!ねえってば!」
チルノ「あ、ああああ当たり前よ!そのためにここに来たんだから!」
リグル「じ、じゃあ、私は何?何だと思う!?」
チルノ「何って・・・、弁慶じゃないの?」
リグル「そうじゃなくて、何に見える?」
チルノ「何って・・・・。」
いきなり弁慶に問われて、牛若丸は困惑します。
しかし、学者顔負けの知識を持つ牛若丸は、その知恵でこの問題を切り抜けようとします。
リグル「ほら!黒くて、小さくて、触覚があって・・・・。」
チルノ「う~ん・・・。」
リグル「水辺に居て、暖かい季節になったら出て来て・・・。」
チルノ「何だっけ・・・?」
リグル「お尻が光るやつ!」
チルノ「あ、蛍だ!」
弁慶の言葉を元に、牛若丸は答えを導き出しました。
リグル「・・・うわぁああああん!!」
チルノ「な、な、何?」
リグル「ようやく言ってくれた~!蛍って言ってくれた~!お~いおいおいおい・・・。」
牛若丸の言葉に、弁慶は感動して、大泣きし始めました。
牛若丸には、何がなんだかよくわかりません。
少しして、弁慶は事情を話し始めました。
リグル「いつもみんな、黒くて小さくて触覚って所で勝手に答えて、勝手にハズして・・・。」
チルノ「な、何だかよくわかんないけど、あたいの勝ち?」
リグル「もう私の負けよぉ~。1000免れたよぉ~。感動したよぉ~。」
チルノ「やった!あたいってば、やっぱり凄い!偉い!」
とりあえず、弁慶を懲らしめたと言うことで、牛若丸は満足しました。
チルノ「よし弁慶!こんな凄くて偉いあたいの家来になりなさい!」
リグル「いいわよ。何処までもお供してあげるわ!」
チルノ「あたい達が組めば、向かうところ敵無しよ!あははははは!」
こうして弁慶は、牛若丸の家来となったのです。
その後、牛若丸は『源義経(みなもとのよしつね)』と名乗って、
平氏との戦いで大活躍し、ついに平氏を滅ぼしたのです。
弁慶は義経の忠実な家来として、死ぬまで義経を守って活躍しました。
二人は英雄として語り継がれ、今でも多くの人たちから尊敬されています。
でも、その活躍は別のお話。
牛若丸のお話は、これでおしまい。
魔理沙「なぁ、この二人がそんな大層なもんになれると思うか?」
輝夜「う~ん、ほら、よく言うじゃない?天才と⑨は危機一髪。」
魔理沙「そんなもんかね。」
輝夜「『牛若⑨』と『⑨⑨⑨回』。いいコンビじゃないの。」
魔理沙「いいコンビかも知れないけどさ。ただ、この場合平家があいつらじゃん。」
どか~~~ん!!
ずどば~~~ん!!
チルノ「ぎゃあ~~!!」
リグル「ひえぇ~~~!!」
レミリア「ふん。あんたらごときが私に勝とうなんて、一億光年早い!」
リグル「も、もう駄目だぁ~!」
チルノ「あ、こら!逃げるな弁慶!あんたあたいを庇って立ったまま死ぬ役でしょ!」
レミリア「心配しなくても、立ったままの標本にしてやる。でもその前にお前からね。」
チルノ「あああぁぁぁぁ・・・・。」
輝夜「平氏の圧倒的な力の前に、牛若丸は討ち取られ、源氏再興の夢は潰えてしまいました。
逃げた弁慶も、あっという間に討ち取られ、標本にされてしまいました、とさ。」
魔理沙「めでたしめでたしと。」
牛若⑨ おしまい
キャスト
牛若丸 ・・・ チルノ
カラス天狗 ・・・ 霧雨 魔理沙
母親 ・・・ レティ・ホワイトロック
弁慶 ・・・ リグル・ナイトバグ
お坊さん ・・・輝々坊主蓬莱山 輝夜
町の人 ・・・ プリズムリバー三姉妹
通りすがり侍・・・ 八雲 藍
平氏の頭領 ・・・ レミリア・スカーレット
一人の女性が、赤ん坊を抱いて山道を歩いていました。
どうやら女性は、赤ん坊の母親のようです。
レティ「はぁ・・・、はぁ・・・!」
まるで逃げているように、道を急いでいます。
もう、湯気が出るくらいに、汗だくです。
レティ「ああもう!熱くてやってられないわ!」
べちっ!
チルノ「痛っ!」
あんまり熱いので頭にきた母親は、あろうことか赤ん坊を地面に叩きつけてしまいました。
チルノ「な、何すんのよ!」
レティ「五月蝿い!あんたみたいな子を持った覚えは無いわ!」
チルノ「こっちだって、あんたみたいな母親を持った覚えは無いわよ!」
レティ「この親不孝者!」
チルノ「この馬鹿親!」
レティ「馬鹿って言った方が馬鹿!」
まだ喋れない赤ん坊と口論になるあたり、この母子は物凄く深い絆で結ばれているようです。
しかし、この絆の深さが、二人の運命を変えてしまったのです。
美鈴「こっちに居ました~!」
誰かが叫びました。
見た感じ、ちゅ・・・兵隊のようです。
レティ「し、しまった!」
母親は逃げようとしましたが、あっという間に数人の兵隊に囲まれてしまいました。
咲夜「ようやく、見つけた。」
パチュリー「こいつを捕らえて帰れば、レミィも喜ぶわ。」
レティ「貴方たちは・・・まさか!」
美鈴「・・・・・・じ~。」
レティ「心配しなくても、『まさか中国!』なんて言わないわ。」
美鈴「なら良いわ。じゃあ気を取り直して・・・。そう、私たちは平氏の者だ!」
レティ「何だって~!」
兵隊たちは何と、平氏の手先だったのです!
美鈴「こほん。お前たちは、源氏の者であろう。」
咲夜「可哀想だけど、花映塚のキャラ枠を一個空ける為、その子を始末させてもらうわ。」
美鈴「我ら平家の世のため、禍根は断てとの命令。」
咲夜「キャラ枠が開けば、お嬢様がご出演なさる可能性も高くなる。覚悟しなさい!」
パチュリー「咲夜、本音が出てるわ。ていうか、本音しか出てないわ。」
源氏とは、先の戦争で平氏に負けてしまった一族のことです。
平氏は、源氏の者たちを始末するため、兵隊たちに生き残りを探させていたのです。
レティ「お願いします。この子をお助けください。」
一か八かです。
母親は、赤ん坊を助けるよう、兵隊たちに頼んでみました。
レティ「こんな幼い命を散らしては、余りにも哀れです。どうか・・・。」
チルノ「お、おかあ・・・。」
ぽかっ!
チルノ「痛い!」
母親は、赤ん坊をぶん殴りました。
チルノ「何で殴るのよ!」
レティ「あんたはまだ赤ん坊なんだから、『ばぶ~』『ちゃん』『は~い』以外言ったら駄目なの!」
チルノ「な、何よそれ~・・・。」
レティ「はい、やり直しよ、やり直し。」
テイク2が始まりました。
レティ「お願いします、この子をお助けください。」
チルノ「ばぶ~。」
レティ「この子はまだ赤子、命を散らすには、余りに不憫でございます。」
チルノ「ちゃん。」
レティ「どうか、どうかお助けを・・・。」
チルノ「は~い。」
ぽかっ!
チルノ「痛っ!」
母親は、また赤ん坊を殴りました。
レティ「いちいち五月蝿い!」
チルノ「あんたが言えっていったんでしょっ!」
嫌と言うほど心が通じ合っている母子は、また口論を始めました。
レティ「空気読みなさい、馬鹿!」
チルノ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言った!」
レティ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿!」
チルノ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうが馬鹿!」
レティ「馬鹿って言ったほうが馬鹿って言ったほうがばがっ・・・・!!!」
チルノ「ど、どうしたの!?」
レティ「舌噛んだ・・・。」
口論の末に、母親は舌を噛んでしまいました。
口から、血がだくだくと出ています。
レティ「うう・・・。舌噛んだから、私はもう駄目だわ・・・。」
チルノ「ええっ!舌噛んだだけで死んじゃうの!?」
レティ「お願いです・・・。私の命と引き換えに、この子を見逃してやって下さい・・・。」
もう長くないと悟った母親は、兵隊たちに懇願します。
突然のことだったので、兵隊たちも困ってしまいました。
美鈴「・・・どうします?」
咲夜「どうするって、ねぇ。どうしましょう?」
パチュリー「どうしようと、もうどうでもいいわ。」
美鈴「はぁ。それじゃあ、とりあえず、命は拾っておきますか?」
哀れに思った兵隊たちは、母親の頼みを聞くことにしました。
レティ「よし、これで安心ね。」
それを聞いた母親は、急に元気になりました。
美鈴「死んだフリ!?」
咲夜「ずるいわね。」
我が子(と自分)のためには、手段を選ばない母親。
騙されたと気付いても約束は約束です。
赤ん坊の命は助けなくてはいけません。
兵隊たちは、困ってしまいました。
パチュリー「仕方ない、命だけは助けてあげるわ。ただし。」
レティ「ただし?」
パチュリー「その子が成長したら、お寺に入れて坊主にすること。それでいいわね?」
レティ「ええ、それでいいわ。」
お寺に入ると言う事は、家を捨てるのと同じことなのです。
源氏の者ではなく、一人の坊主として育てるなら、
別に問題は無いだろうと、兵隊たちは思ったのです。
レティ「よかったわね。」
チルノ「ばぶ~。」
レティ「じゃあ、今から髪を・・・。」
チルノ「やめて~!」
こうして赤ん坊と母親は難を逃れることが出来ました。
月日が経ち、赤ん坊は牛若丸と名付けられ、立派に成長しました。
そして約束通り、牛若丸をお寺に入れることにしました。
しかし、牛若丸を入れるそのお寺、ただのお寺では無かったのです。
レティ「かくかくしかじか、という事で、任せたわ。」
魔理沙「任された。立派なネタキャラに仕立ててやるよ。」
何とこのお寺、カラス天狗が住むお寺だったのです。
母親はカラス天狗に、牛若丸を預けました。
魔理沙「よく来たな、うましか丸。」
チルノ「うしわかまる!!」
魔理沙「冗談だ。じゃあ早速修行を始めるか。そこへ立て。」
チルノ「あ~?何する気?」
魔理沙「マスタースパークだ!」
どおおおおん!
チルノ「ぎゃ~~~~!」
カラス天狗は、いきなりマスタースパークを放ちました。
チルノ「な、何・・・すんのよ・・・。」
魔理沙「この馬鹿弟子!あれくらい避けれなくてどうする!」
チルノ「ばか・・・じゃ・・な・・・。」
がくっ・・・
牛若丸は気絶してしまいました。
カラス天狗による、厳しい修行の洗礼を受けた日でした。
そして次の日から、牛若丸の修行の日々が始まったのです。
昼間は、お寺の裏山で、武芸の稽古をしました。
どど~ん!
チルノ「あぁ~!」
魔理沙「おいおい、これも避けれないのか?まぁ、当てるつもりでやったけど。」
チルノ「ダブルスパーク・・・無理・・・。」
夜には、学問も学びました。
魔理沙「はい、問題。ミスティアの指が五本あります。そのうち二本、幽々子に
食べられました。さて、ミスティアの指は、残り何本?」
チルノ「いっぽん!」
魔理沙「・・・・・・。」
チルノ「あ、あれ?」
魔理沙「確かに、あいつは指が三本だと、一部では言われている。
が、真相はともかく少なくとも私は五本と言った。はい、答えは?」
チルノ「六本!」
魔理沙「何で増えるんだよ。」
しかし、どちらをやっても、駄目駄目でした。
牛若丸は、師匠のカラス天狗に怒られてばかりです。
チルノ「う~、大体、何であたいがこんなことしなきゃいけないのよ~。」
普通、お寺にいるなら、武芸の稽古はしません。
牛若丸は、そのことに疑問を持つようになりました。
そんなある日のこと、山に旅のお坊さんがやってきました。
輝夜「て~るて~る坊主~てる坊主~♪あ~した妹紅を殺っちまえ~♪」
妙な歩き念仏を唱えているお坊さんでした。
そのお坊さんは、牛若丸の方へ近づいてきました。
輝夜「もし、そこの牛若まるきゅー。」
チルノ「あたいは牛若丸!」
輝夜「どうでもいいけど貴方は実は、平氏に滅ぼされた、源氏の一族の末裔なのですよ。」
チルノ「どうでも良くない!誰が牛若⑨よ!」
輝夜「あ、どうでもいいのはそっちなのね。」
お坊さんは牛若丸に、平氏と源氏のことについて、分かりやすく説明しました。
源氏の一族は、平氏と争いになる前は、都で物凄く偉い一族だったのです。
牛若丸は、その一族の生き残りなのです。
自分の生い立ちや源氏のことについてを知り、牛若丸はびっくりしました。
チルノ「あ、あたいってば、そんな偉かったんだ・・・!」
輝夜「まぁ、貴方が偉いんじゃなくて、その役柄、立場が偉いだけなんだけどね。」
チルノ「よおし!今まで馬鹿って言って馬鹿にしてた奴らを見返してやるわ!」
それ以来牛若丸は、武芸の稽古や学問を、熱心にやりました。
武芸はみるみるうちに上達し、師匠のカラス天狗をも上回る程になりました。
チルノ「よし!スターダストレヴァリエゲット!」
魔理沙「Easy仕様だけどな。」
チルノ「あはははは!これでもう怖いもん無しね!」
魔理沙「・・・・。」
学問も、学者顔負けです。
魔理沙「じゃあ問題だ。『1+1=』の答えはどうなる。」
チルノ「田んぼの『田』!」
魔理沙「・・・・。」
チルノ「こんな問題、偉いあたいの頭では簡単過ぎるわ。脳ある鷹は爪を隠すもんよ。」
魔理沙「ああ、そう思うよ。」
ある日カラス天狗は、牛若丸に言いました。
魔理沙「来たか。うすらばか丸。」
チルノ「う、うすら・・・ええと、薄っすらってことだから・・・誰が薄ら馬鹿よ!」
魔理沙「遅いよ。それはともかく、私はもう、お前に教えることは無い。」
チルノ「え?」
魔理沙「お前に伝えることは、全部伝えた。後は、お前の好きなように生きてみろ。」
チルノ「や、やった~!やっとこの窮屈で熱いところから開放されるのね!」
魔理沙「うちは涼しくて快適だ。」
こうして牛若丸は、カラス天狗の下を離れて行きました。
カラス天狗は、たくましい青年に成長した牛若丸を、黙って見送りました。
魔理沙「(・・・もう、どうしようも無いなんて、言えないよなぁ)」
ちゃり~ん
カラス天狗は、無言でスプーンを投げました。
さて、山を降りた牛若丸は、当時の都である、京都へと向かいました。
そこで町の人から、ある話を聞きました。
リリカ「そういえば、五条の橋にとんでもないヤツが居るよ~。」
チルノ「とんでもないヤツ?」
ルナサ「そう。五条の橋の真ん中に立って、通せんぼしているの。」
弁慶とは、『武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)』という
今京都で有名な暴れん坊のことです。
五条の橋に立って、通せんぼをしているということでした。
リリカ「聞いた話だと、もう998だって~。」
チルノ「き、998?三桁は・・・ちょっと・・・。」
ルナサ「何が998?」
リリカ「知らないけど、とにかく998だって。凄いよね~。」
ルナサ「でも、弁慶を退治できた人って、もっと凄いだろうね。」
リリカ「だね~。誰か、懲らしめれる凄く偉いヒト、居ないのかな~?」
チルノ「偉いヒト・・・。よっし、ここはひとつ、あたいが懲らしめてやるわ!」
リリカ「すご~い!頑張って~。」
ルナサ「まぁ、凄くなるのは退治してからだけど。」
町の人が困ってるのを見逃してはおけず、牛若丸は弁慶を懲らしめてやることにしました。
そして、その日の夜のことです。
リグル「・・・・・・・・。」
京の五条の橋。
その真ん中に、一人の大男が立っていました。
この男が、噂の弁慶です。
リグル「何か誤解してる人が居るみたいだけど、私は女の子だからね。」
弁慶は、ある目的があって、人通りの多い五条の橋で通せんぼをしているのです。
と、そこに、誰かがやってきました。
藍「らんらんら~らんらんら~♪」
呑気に鼻歌を唄いながら、侍がやってきました。
いきなり服を脱ぎ捨てて踊りだしても、何らおかしくないくらい上機嫌な侍は、
五条の橋にさしかかりました。
リグル「待て!」
藍「むっ!」
弁慶が、待ったをかけました。
侍は弁慶に気付き、構えをとります。
リグル「ここを通りたければ、私・・・。」
藍「とう!」
すぱ~ん!
リグル「ふぎゃあ!」
侍は履いていた履物を手にとって、弁慶を引っ叩きました。
藍「ったく、ゴキブリ見るのは家だけで十分だよ、ほんと。」
リグル「ゴキブリ・・・・言うなぁ・・・・。蛍って言えぇ・・・・。」
侍はそのまま、五条の橋を渡って行きました。
リグル「・・・・これで、ゴキブリ999回・・・蛍0回・・・うう・・・。」
どうやらこの弁慶、自らがあの蟲では無いことをアピールするため、
五条の橋に立っていたようなのですが・・・これで、999連敗。
次で1000回です。
リグル「何でこんな役なのよぉ・・・。弁慶ってこんなんじゃないでしょ~・・・。」
泣き所を打たれたわけではないのに、泣きそうになっている弁慶。
そのときです。
ぷわ~~!
ぷわ~~!
リグル「わっ!?」
何やら、不協和音が聴こえてきました。
リグル「な、何・・・?」
弁慶は、辺りを見回しました。
するとその視界に、あるモノが入ってきました。
チルノ「ああもう!何よこのラッパ!変な音しか出ないじゃない!」
メルラン「ラッパじゃなくて、トランペットよ。」
必死でトランペットを吹いているのは、見た感じ立派な若者。
そう、牛若丸です。
この騒音の発生源は、どうやら牛若丸のようです。
チルノ「もういい。楽器無しで行く!」
メルラン「頑張れ~。」
牛若丸は、弁慶に向かって行きます。
チルノ「あんたが弁慶ね!」
リグル「そうよ。そういうあんたは誰?」
チルノ「あたいは、牛若丸だ!」
リグル「むむっ。」
堂々とした牛若丸の態度に、弁慶は少し驚きます。
今までここにきた人たちは皆、弁慶を見てびっくりしていたからです。
そのすぐ後、叩かれたり潰されたり斬られたりしたわけですが・・・。
チルノ「あんた、何か998で凄いらしいわね。」
リグル「・・・・・999いったよ。」
チルノ「ええ!もうすぐ10000じゃん。」
リグル「1000!勝手にゼロ増やすな!」
チルノ「え・・・あ、そうか。」
ちょっと緊張していたのでしょうか。
少し計算を間違えたようです。
チルノ「ならその記録、あたいが止めてやるわ!」
リグル「え・・・・!」
弁慶はびっくりしました。
がばっ!
チルノ「わあっ!?」
弁慶は牛若丸に跳びつきました。
リグル「ほんと!?記録を止めてくれるの!?ねえ!ねえってば!」
チルノ「あ、ああああ当たり前よ!そのためにここに来たんだから!」
リグル「じ、じゃあ、私は何?何だと思う!?」
チルノ「何って・・・、弁慶じゃないの?」
リグル「そうじゃなくて、何に見える?」
チルノ「何って・・・・。」
いきなり弁慶に問われて、牛若丸は困惑します。
しかし、学者顔負けの知識を持つ牛若丸は、その知恵でこの問題を切り抜けようとします。
リグル「ほら!黒くて、小さくて、触覚があって・・・・。」
チルノ「う~ん・・・。」
リグル「水辺に居て、暖かい季節になったら出て来て・・・。」
チルノ「何だっけ・・・?」
リグル「お尻が光るやつ!」
チルノ「あ、蛍だ!」
弁慶の言葉を元に、牛若丸は答えを導き出しました。
リグル「・・・うわぁああああん!!」
チルノ「な、な、何?」
リグル「ようやく言ってくれた~!蛍って言ってくれた~!お~いおいおいおい・・・。」
牛若丸の言葉に、弁慶は感動して、大泣きし始めました。
牛若丸には、何がなんだかよくわかりません。
少しして、弁慶は事情を話し始めました。
リグル「いつもみんな、黒くて小さくて触覚って所で勝手に答えて、勝手にハズして・・・。」
チルノ「な、何だかよくわかんないけど、あたいの勝ち?」
リグル「もう私の負けよぉ~。1000免れたよぉ~。感動したよぉ~。」
チルノ「やった!あたいってば、やっぱり凄い!偉い!」
とりあえず、弁慶を懲らしめたと言うことで、牛若丸は満足しました。
チルノ「よし弁慶!こんな凄くて偉いあたいの家来になりなさい!」
リグル「いいわよ。何処までもお供してあげるわ!」
チルノ「あたい達が組めば、向かうところ敵無しよ!あははははは!」
こうして弁慶は、牛若丸の家来となったのです。
その後、牛若丸は『源義経(みなもとのよしつね)』と名乗って、
平氏との戦いで大活躍し、ついに平氏を滅ぼしたのです。
弁慶は義経の忠実な家来として、死ぬまで義経を守って活躍しました。
二人は英雄として語り継がれ、今でも多くの人たちから尊敬されています。
でも、その活躍は別のお話。
牛若丸のお話は、これでおしまい。
魔理沙「なぁ、この二人がそんな大層なもんになれると思うか?」
輝夜「う~ん、ほら、よく言うじゃない?天才と⑨は危機一髪。」
魔理沙「そんなもんかね。」
輝夜「『牛若⑨』と『⑨⑨⑨回』。いいコンビじゃないの。」
魔理沙「いいコンビかも知れないけどさ。ただ、この場合平家があいつらじゃん。」
どか~~~ん!!
ずどば~~~ん!!
チルノ「ぎゃあ~~!!」
リグル「ひえぇ~~~!!」
レミリア「ふん。あんたらごときが私に勝とうなんて、一億光年早い!」
リグル「も、もう駄目だぁ~!」
チルノ「あ、こら!逃げるな弁慶!あんたあたいを庇って立ったまま死ぬ役でしょ!」
レミリア「心配しなくても、立ったままの標本にしてやる。でもその前にお前からね。」
チルノ「あああぁぁぁぁ・・・・。」
輝夜「平氏の圧倒的な力の前に、牛若丸は討ち取られ、源氏再興の夢は潰えてしまいました。
逃げた弁慶も、あっという間に討ち取られ、標本にされてしまいました、とさ。」
魔理沙「めでたしめでたしと。」
牛若⑨ おしまい
キャスト
牛若丸 ・・・ チルノ
カラス天狗 ・・・ 霧雨 魔理沙
母親 ・・・ レティ・ホワイトロック
弁慶 ・・・ リグル・ナイトバグ
お坊さん ・・・
町の人 ・・・ プリズムリバー三姉妹
通りすがり侍・・・ 八雲 藍
平氏の頭領 ・・・ レミリア・スカーレット
黒くて小さくて触角がある・・・・・・ クワガタは無かったのね、残念。
楽しく笑いながら読ませていただきました。次も期待しています。
この調子で創想話の名物を守り続けて下さい。
源氏の棟梁とかよくいいますし。