過去の作品「春風は上客を呼ぶ」、「春の月夜に静かな花見」からの続編となっております。そちらの方にも目を通して頂ければもっと楽しめるかとおもいます。
では、どうぞ
ついてない日はたまにある。例えば今日のような。
今日、僕はたまには朝食を摂ろうと台所へ向かうと食材が空であった。
「……そういえば最近補充して無かったからなぁ」
いきなり出ばなを挫かれたような気持ちで店に戻り、仕方ないので本の続きを読もうと探してみた。が、無い。
カウンターにも、商品棚にも、どこにも無い。なぜだ。
「ああ……そういえば魔理沙が借りてったんだったっけ……」
外の世界の化学に関する本で意味はさっぱり理解できないが考察して楽しむには最高のものだった。おそらく魔理沙もそこらへんが琴線に触れたのだろう……まあ魔法の実験の参考にでもするかもしれないが。
「仕方ない……道具の手入れでもしようか」
確か古い打刀があったはずだ、それを直してさらに改良を加えてみようか……
そんな風に考えつつ倉庫に向かい、打刀を手に取り素材を探しているが……案の定見つからない。鉱石という鉱石が全くない。
「…………」
買い物に行こう。
「ふう……疲れたねぇ」
「姐さん、お疲れ様です!」
「おう、お疲れ」
旧都での一度目の会合を終え、私、星熊勇儀は町中を歩いていた。まったく会合ってのはどうしてこんなに疲れるんだろう。疲れたせいか地底の町の活気溢れる空気が今は鬱陶しく思える。
この疲れを癒すには何がいいかねぇ……宴会って気分じゃないし、なにがいいだろう……
「ああ、香霖堂にでも行こうか」
我ながら名案じゃないか。彼とのんびりと過ごしていくのが一番だな。そう考えて私は会合からその足で向かうことにした。先ほどまで重たかった足がなぜか行先を決めたらとても軽く感じた。
そうして酒を呑み呑み地上へ向けて歩いていると、旧都の橋にたどり着いた。
そこには……パルスィとヤマメとキスメがいた。
「おーい勇儀―!」
ヤマメがこちらに気づいて手を振っている。わたしも手を振り近づく。
「やあ、ヤマメ、パルスィ、キスメ」
「やあ!」
「あら、勇儀じゃない。また地上に向かうの?」
「ああ、そうだよ」
三人は頷き、少しニヤッと笑ってこちらを見てきた。
「……最近地上に出ることが多い」
「そうだね、毎週のように出てるよね」
「なにかあったの?」
「いや?何もないけど?」
うーん、確かに地上に行くことは増えただろうねぇ。
三人はさらにニヤニヤと嫌な笑いを浮かべ、尋ねてきた。
「もしかして……気になってるやつでも見つけたの?」
「ん……そうだね、見つかったんだ。これからちょうど行ってくるとこだよ」
「「「え」」」
そう言うと三人はポカンと口をあけて動かなくなってしまった。
これが噂のジェットストリームポカーンである。
「……?まあ、行ってくるよ」
そういって私は地上へ向けて飛び立っていった。気になって振り返ってみると彼女達はまだ硬直していた。なぜ?
まあいいか。さっさと香霖堂に向かうとしようか。
地上に出ると、空は概ね晴れており出かけるにはぴったりの気候だった。これはいいタイミングじゃないか。
森の中をのんびりと歩いていると風が吹き、木をざわざわとざわめかせ私の背中を押してくる。まるで「さっさか歩いて香霖堂へ行け」と言っているようだった。
風に押されて歩いていくと香霖堂が見えてきた。
前と変わらずに物が溢れ混沌としている店の前で誰か動いている。
――誰だろう?
私は目を凝らしてその人物を見た。
「ん……珍しいな」
なんと香霖堂の店主である霖之助が珍しく外に出ているのである。
何回も来ているけど初めてだねぇ、こんなことは。
「槍でも振るかもしれないねぇ」
ぽそりとつぶやき、霖之助の許へと走った。
「霖之助!来たよ」
「ん?ああ、勇儀か……いらっしゃい、と言いたい所だが今日は休みなんだ。悪いね」
「休み?いつも似たようなモンじゃないか。どうしたんだい?」
「……そう言わないでくれ。ただ店の備蓄が切れたんで買いにいこうかと思ってね」
見てみてば荷車の用意をしているようだった。きっと面倒だから一度で済ましてしまおうという事なんだろう。
「じゃあ今日はもう出かけるのかい?」
「ああ、わざわざ来てもらって済まないがね」
そう言って彼は頭をかいて荷車を押して出かけていく。
仕方ないか……でも私は浮き上がっていた気持ちが沈んでいくのを感じた。
せっかく来たってのに……いっしょに居れないのか……
そこまで考えて私の頭に電流が走り名案が浮かんだ。これなら私も楽しい、霖之助も楽で一石二鳥だろう。そこで少し離れていった霖之助を追って声をかける。
「ねぇ霖之助!」
「なんだい?」
「私が買い物付き合ってあげようか?」
彼は目を瞬かせている。そんな驚かなくてもいいじゃないか。
「いや、大丈夫だよ。ほら、荷車もあるし」
「ほお、何を買ってくるんだい?」
「そりゃあ……鉱石とか、味噌、醤油、食糧、酒とかかな……」
「ふうん……運び切れるのかい?」
「む……」
彼は妖怪にしてはあまり力が強くない。半妖だから、というのもあるが面倒臭がって鍛えていないからだろう。
鍛えればきっとかなり強くなるだろうな、と思っているんだがねぇ。
「だからさ手伝わせてよ。暇だしさ、それにきっと力になれるよ。鬼だし」
「………」
俯いて考えている。了承してくれればいいんだけど……
「わかった。お願いするよ」
「やった!任せておくれよ!」
彼は頬を掻きつつそう言った。私は嬉しくて思わずガッツポーズをとり、足を踏み鳴らしてしまった。
ズシン。
地面が揺れた。危ない危ない、香霖堂が倒壊するところだった。
「……まあ行こうか」
「ああ!」
そうして私と霖之助は人里に向けて歩き出した。強く吹き付けていた風はおだやかになり、私たちを優しく包んでいた。
そうして僕らは人里へ降り、買い物をすることにした。
「そういえば勇儀」
「なんだい?」
「君は人間や地上の妖怪と接触を避けていると聞いたが……いいのかい?」
幻想郷縁起にはそんな風に書いてあったし、それなら人里に行くのはあれだろうか?
「ああ、あの本読んだのかい」
「ん……まあ、ね」
そう言うと彼女は頬をほころばせ、首を横に振った。
「あれは協定の事が頭にチラとよぎってね。普通のやつらとの話さ」
「と言うと……一般の連中とは自分からは極力接触しないってことか」
「そう言うことだね」
「なるほど」
「て言うか……今さらだよねぇ」
「まあそうなんだがね」
そう話しつつ人里の門をくぐり、大通りへ出る。
そこはさまざまな年齢の人々たちが行き交う活気あふれる場所であった。
「ほお……」
隣で勇儀はその人妖交わって賑わう様子を見ては感嘆の溜息をついている。
「で、どこに行くんだい?」
「まずは知り合いの鉱石売りのとこかな」
「ん、わかったよ」
そうして僕たちは目的の店にのんびりと歩いて行った。
しばらく歩き、大通りの脇道にあるその店に入る。
チリンチリン。
「いらっしゃい!って霖之助じゃねーか!久しぶりだな」
「ああ、久しぶりだね」
この店の主人は権助といい、筋骨隆々の巨漢で僕の友人だ。
「鉱石は今何が入っているんだい?」
「おう!今はにび石一式と刃石一式と赤楔石の塊、メランジェ鉱石かな」
「刃石!?純粋な!?手に入ったのかい!?」
「ああ……苦節半年、ようやく出てきたんだ……」
権助はその筋肉を活かして他の店では無いレアな鉱石を求めて自ら探しに行っているのだ。
具体的には掘りに出かけたり化け物を叩きのめして奪い取ったりなどである。本当に人間なのか疑問だ。
僕は手が震えた。長い事生きてきたが純粋な刃石なんてそうそうお目にかかれないからだ。
これは買うしかないッ!
「じゃあにび石と刃石、メランジェ鉱石を買わせてもらうよ」
「毎度!じゃあ値段はこんくらいで!」
その値段を聞いて僕は目を丸くした。僕のどう少なく見積もっても半年分の売り上げが軽く吹き飛ぶ額だった。
「……高くないか?」
「なに言ってんだ?これだけのレアもの滅多におめにかかれんぞ。それに俺がどれだけ苦労して手に入れたと思っているんだ!?」
「わかった。僕が悪かった。……でもせめて他の鉱石は少しぐらい安くしてもいいんじゃないか?どうせ欠片と塊は在庫余ってるんだろう?」
「む……そうだな」
ある程度安くなったものの4ヶ月分はまだする……現在の所持金を考えてもかなり厳しい。どうしたものか……
「ところで一緒に入ってきた金髪美人の姉ちゃんは誰だい?」
そうして打開策を考えていると権助が問いかけてきた。勇儀の事を言っているのだろうか?
勇儀の方を見てみると彼女は店に飾られている宝石や特殊な石を興味深げに見ている。
たしかあの辺の物は探索の副産物……つまり捨て値で売られていた品なはず。コメートやアイオンの欠片、ムーンプリズマとか。
「彼女は勇儀といってね……鬼だよ」
「ふうん……で、お前のツレか?」
「そうだね」
「そうか……」
権助は頷いた後、俯いて「やっとか……」とか「ようやくこいつも……」などとつぶやいた後、しばらく肩を震わせていた。
「……大丈夫かい?」
「ああ、問題ない」
権助は顔をあげてニヤッと笑った。なぜか目が潤んでいる。
「それでなんだが……やはりもう少しまけてくれないか?」
「うーむ……なら引く分は物々交換でどうだ?」
物々交換か、それならまだやりようはある。一回帰って取りに行く事になるがしかたないか。
「わかった。ではどうする?」
「うむ!じゃあ『スズメバチの指輪』と『貪欲な金の蛇の指輪』で手を打とう」
その指輪二つか……たしかにマジックアイテムとしてかなり優秀なものだが正直そこまで希少価値があるものでは無い。二個要らんという人が多い。
「ほう、僕は構わないが……もっと良いものもあっただろう?」
「いや、どうせまた獲りに行く事になるし……」
目が死んでいる……あれをまだ繰り返す気か……
「……すまない」
「いやいや、俺からのお祝いさ」
お祝い?何のことだろうか?
「?……まあいい、お代だが……」
「ああ、ツケにしといてやるよ。どうせこの後も色々買うんだろ?」
「そうだね。じゃあ指輪を渡すときに一緒に払うよ」
「了解。じゃあこれが品物だ」
「ありがとう」
「今度来たら一緒に呑もうぜ」
「ああ、わかった」
なんとか鉱石を買うことが出来た。これでいくつか強化できる……楽しみだ。
「じゃあこれで失礼するよ。頑張ってくれ」
「ああ、また来いよ」
カウンターから離れ、待たせていた勇儀に声をかける。
「待たせたね」
「ん?ああ全然いいよ!さ、次へ行こうよ」
「ああ」
「ありがとうございました!」
そうして店から出て次の店へと肩を並べて歩きだす。
「随分嬉しそうじゃないか、よほど良いのが買えたのかい?」
「ああ、一級品がね。……顔に出てたかい?」
「うん。メチャクチャいい笑顔だったよ」
「むう……」
「ふふっ……」
勇儀はクスリと笑っている。
顔に出ていたのか……気をつけねば。
それはそうと店から出るときに聞こえたあの呟き……
「心が折れそうだ……」
今度呑むときは奢ってやろう……
その後私たちは備蓄用の食材を買いに行った。霖之助と一緒に品を見て、買っては荷車に積んだり、担いだりしていった。どうやら霖之助の顔見知りの店ばかりらしくて店主たちと仲良く話していたみたいだった。なぜかオマケをたっぷりしてくれていたがなんでだろうね?
あらかた買い終わって最初に大通りへ戻り、ゆっくりと話していると霖之助がこう提案してきた。
「そこの茶屋で一服して行かないか?」
「ああ、それもいいけど、私金持ってないよ」
「心配しなくていい。僕が奢ろう」
「ホントかい!?いや、すまないねぇ」
「いやいや手伝ってもらってるのはこっちだから」
そうして通りに茶屋に二人で入っていた。いやあ実は甘いものが恋しくなっていたんだよねぇ……
「いらっしゃーい」
「お茶を二つ、あとは何がいい?」
「うーんと……団子で」
「団子とお茶ですね!わかりました」
注文をして椅子に腰かけて一休みする。なぜか霖之助は周囲を見渡して溜息をついていた。
「どうしたんだい?」
「いや……ちょっとね……」
「……?」
いや、疲れた……
僕は茶屋で茶を飲みつつ溜息をついた。買い自体はとても楽しかったし、勇儀が重たいものを持ってくれたおかげでとても楽だった。が、問題が一つあったようだった。
「(ヒソ……ヒソ……)」
勇儀は知ってのとおり鬼である。さらに言えば鬼の四天王の一人であり、力の二つ名を持っていてあの萃香よりも肉体的な力では優れているという。
まあ彼女を知らない人からすれば全く関係のない事だ。
「(あれ見てよ……どう思う?)」
「(いやー無いわーマジ無いわー)」
「………」
彼女にはその力を活かして酒樽や醤油や味噌を入れた樽を担いでもらっている。と言うか彼女が「重いだろ?私に任せておくれよ!」と言って持っているのだ。なので僕は細かい鉱石や食材を荷車に入れて運んでいる。まあその結果どういう事かというと
「(女性に重い荷物運ばせて自分は軽い物しか運ばないとか……)」
「(なんて鬼畜だ……)」
「………………」
僕は女性に重い物持たせて楽をする鬼畜に見えていたらしい……視線が痛かった。凄く。
もし阿求や慧音に見られていたら二度と里を歩くことが出来なかっただろうな、と思う。
それで僕は彼女にお礼と休憩の意味を込めて茶屋へ行こうと言ったのだった。
幸いこれを聞いていた道行く人はまあ当然だな、という顔をしてそのまま歩いて行った。
一安心。
勇儀は楽しそうに酒を呑み、美味しそうに団子を食っている。喜んでもらえただろうか?だいたい出かけてから三刻くらい経っただろう。長い事付き合わせてしまったな。
「勇儀」
「ん?ふぁんだい?」
「呑みこんでからでいいよ」
モグモグゴックン。ぐびぐびプハー。
「それでなんだい?」
「いや、今日は手伝わせてしまってすまないね、と」
「なんだいそんなことか。いいんだよ私が好きで付いてきたんだから」
「そうか……で美味しいかい?」
「ああ!とっても美味しいよ!」
ニカッと満面の笑みで頷く勇儀。勇儀の言葉を聞いて店の旦那が万歳しているが気にしない。
「そういえば霖之助」
「なんだい?」
「いろいろ買ったけど……何に使うんだい?」
「あー……道具直したり、かな」
「ふうん……」
彼女は予想通りという表情で酒を煽った。あ、そうだ。どうせなら勇儀にも付き合ってもらおうか。
「なあ勇儀」
「ん?」
「しばらく暇かい?」
「暇だねぇ、あと半月は確実に」
「なら僕の道具にテストに付き合ってもらえないか?」
「おお、面白そうだね!」
「で、その後一緒に呑まないか?」
「いいよ!」
やはり笑っている勇儀。酒呑むペースが上がったな……最近気づいたが酒呑むペースと機嫌が一致しているような気がするな。
勇儀は自前の伊吹瓢から杯に注いで一気飲みしている。実に美味そうに呑むものだ。
「星熊盃か……」
「これの事かい?」
勇儀が杯を軽く揺らしてこちらを覗き込んできた。
「ああ。注いだ酒のランクが上がるとは実に興味深い」
「へへっ、そうかい?」
「ああ、どうやって作ったのか、誰の作なのか、仕組みはどうか、気になるね」
「ふっふっふ、実はこれ、私の作なんだよ!鬼のなかでも私しか作れない逸品さ!」
「ほう!それは凄いね!いやぁ改めて尊敬するよ」
「やめとくれよ、恥ずかしい」
恥ずかしそうにはにかんで酒を呑む勇儀。よほど嬉しかったんだろう、口元が緩みっぱなしだ。
「あ、じゃあ霖之助!」
「ん?」
「今度その作り方教えてあげようか?」
「いいのかい!?」
これは驚いた。鬼の名品の製法を教えてもらえるとは……千載一遇のチャンスか。
「いいとも!」
「いや、すまないね……いいのかい?ホイホイ教えてしまって?僕がそれを売りさばいて大儲けしてしまうかもしれないよ?」
「私らの仲じゃないか!……それに霖之助はそんなことしないだろう?」
「しないけどね」
素晴らしい道具はふさわしい持ち主が持つべきだからね。……しかし随分信頼されているみたいだね。
僕は茶を一口飲み、口を潤した。お茶がうまい。
「それに鬼たちの間では公開してるから問題ないんだ」
「ほう、じゃあその伊吹瓢も?」
「ああ、萃香から教わったよ。まあ出来映えは萃香のに遠く及ばないけどね……まったく萃香のやつは贅沢だよ。ちょっと味が落ちた代物とか言ってさ、それを作るのがどれだけ難しいのかわかってんのかね」
勇儀は信じられんというように顔を歪めている。その苛立ちのまま残りの団子をまとめて食ってしまった。ああ、もったいないなあ。
「やっぱりあれは萃香が一番上手く作れるのか」
「ああ。萃香が作ったから伊吹瓢。私が作ったから星熊盃。最初に作った人の名前をつけるのさ」
まだちょっと悔しいのか口を尖らせている。
「ほう。そういえばなぜ君はその杯を作ったんだい?」
「瓢作ったけど最初は酷いもんでね、何とか美味く出来ないもんかと考えてさ、じゃあ酒自体を美味しく変えちまえばいいと思ってね」
「……その発想は無かった」
「だろう?」
誇らしげに胸を張っている勇儀。大胆な発想から新しい物は生まれるという事だろう。
「しかし製法を公開しているのになんで勇儀しか作れないんだい?」
「繊細だからだよ。あいつらはおおざっぱだからねぇ」
「ああ……」
納得できる答えだった。豪快とおおざっぱは紙一重なのだろう。
「まあ今度来たとき教えるよ」
「ああ、頼むよ」
「わかった!」
任せとけ!といった感じで拳を握る。ああ次に会う時が待ち遠しいな。
「そういえば最近はなんか売れてるのかい?」
「ああ……そうだなあ」
記憶を探り、何が売れたか思い出す。その様子を見て勇儀は一瞬驚き、その後キラキラと目を輝かせて見つめてきた。気になっているらしい。
「確か里の男たちが青いツナギを買っていったな」
「おお!よかったじゃないか!」
「ああ、まったくだよ」
そうして勇儀は僕の肩を叩いて、自分の事のように喜んでくれた。少々力が強すぎるよ。
「あとさ、今日買い物してて思ったんだけどさ」
「なんだい?何かあったのかい?」
「なんで店の人は『お祝いだよ』とか『お幸せにね』とかいったんだろうね?」
「さあ……」
勇儀と僕は首を傾げて考えてみた。顔を見合わせ同じタイミングで逆に首を傾げ、二人合わせて考えるのをやめた。
「まあわからないしいいだろう、そんなことは」
「そうだね!さ、そろそろ帰ろうよ。もう私は大丈夫だよ」
勇儀は椅子からスッと立って荷物を担いでいる。もうそろそろ戻った方がいいだろうな。時間的にも。
「わかった、じゃあ行こうか」
「ああ!」
そうして勘定を済ましてまた二人で並んで歩き出す。
二人の影が伸び、人通りが少しへった大通りで混ざり合っていった。
「今日はすまなかったね」
「いいんだよ、私は凄く楽しかったからさ」
香霖堂の前へ着いて、買った品物を運び終えてから霖之助は礼を言ってきた。
私は好きでやっているんだから別にいいのに。
「そういってもらえるとありがたいな。と、どうする?食事くらいなら用意するよ?」
「ああ、いいよ。この後また会合があってさ、でもって食事会があるんだ」
「……そうか。頑張ってくれ」
「ああ!ありがとう」
霖之助のご飯か……魅力的な誘いだったのに残念だよ……
しかしなんか気分が重くなんないな、また会合だってのに。……ああ、応援してくれたからかな?
「ところで何時からなんだい?もう結構な時間だが」
「うーんと……あ」
とある事に気づいて私は背筋が凍った。それを見た霖之助も顔を強張らせている。
「まさか……」
「うん……一刻は軽く過ぎてる……」
「………」
「………」
一瞬の沈黙。
「すまないッ!急いでくれッ!」
「ああ!悪いね!じゃあ行ってくるよ!」
そうして私は地底に向けて走り出した。くそっ、すっかり忘れていたよ。さあ、急がなくちゃ!
ついてない日はたまにある。
例えば今日のように必要なものがなにも無くて外に出なくてはならなかったり、友人と買い物をしていたら、会合の時間を忘れてしまったり。
まったく、本当についてない。ついてないけど……
「「ま、楽しかったし……いいか」」
>「(なんて鬼畜だ……)」
鬼畜で吹いてしまった。地上は今日も平和です。
純粋な刃石…3年間ガイコツを倒し続けてもいまだに出ませんよ…
赤楔石の塊しかも在庫沢山って事は…黒騎士ェ…
勇儀姐さんが今回も可愛かった。次回も期待して待ってます!!!
面白かったです
遅れてきた姐さん、しかし嬉しそうな姐さん
↓
さとり率いる香霖堂査察部隊結成
↓
さらに揺れる人里
↓
(以下ry)
それよりも、個人的にはSuicaの瓢箪と姐さんの盃がセットで欲しいですww
酒が無尽蔵とか胸熱です
くそみそテクニックのネタは笑ったww
次回も楽しみにしています!
今回はネタを多めにしてみました。気に入っていただけたなら幸いですw
では返信いたします。
7番様
幻想郷は平和です。理想郷ですからね!
白銀狼様
ですよねーw僕も見たこと無いですw赤楔は僕の中ではイザリスの混沌かな、とw
次回は待っていて下さいw
11番様
まだまだ遊べますよ両方とも!対人とか!
面白かったなら嬉しいですw
13番様
了解です。
流れ星様
そのネタ、いただいたァーーッ!
確かに酒好きにはたまらないですねw
タイト様
多めにした甲斐がありましたwくそみそは結構好きなんでw……ノンケですよ?
次回待っていて下さいねw
26番様
ちょww今構成練っているとこなんでw
これの続きは一つ二つ違う話挟んだ後で出します。