Coolier - 新生・東方創想話

精一杯の思いに応えて

2012/05/22 15:43:04
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「ナズーリン?」
部下であるナズーリンに大事な話があるから、と夕餉の後本堂の裏に来るように言われていた私は呼び出されていた私は一人でそこに来ていました
内心私は何を言われるのか不安で仕方ありませんでした、もしかしたら「探し物ばかりで疲れた、もう付き合えない」等の突き放す言葉を言われるのではないかと心配だったのです
「ナズーリン?」
しかし私を呼び出した本人の姿はそこにはありませんでした、真面目でしっかりとした彼女に珍しく遅刻でしょうか
「ナズーリン」
念の為もう一度名前を呼んでみますがやはり反応はありません、仕方ないので少し待ってみることにします

「ご主人、待たせてすまない」
「あぁ、大丈夫ですよ、そんなに待っていませんから」
私が来てしばらくした後、ナズーリンがうしろから呼びかけてきました
「それで、話とは?」
「その前に、その深刻そうな表情をやめてくれないか、何も死刑宣告しに来たわけじゃないんだから」
「あ、はい……すみません」
内面の不安が表情に出ていたのでしょうか、一言謝ってから落ち着くために深呼吸をしましたがその間もナズーリンはそわそわと、どこか落ち着かない様子でした
「どうかしましたか?」
「す、少し緊張しているだけだ、気にしないでくれ」
「は、はぁ……では、改めて話をお願いします」
「分かった、その前に言っておきたいんだが……今からする話は、まぁ、その、冗談だと受け取ってくれても構わないから……」
「……はい?」
今までの彼女の様子からきっと冗談ではないだろうと思いながら彼女の次の言葉を黙って待ちます
「その、ご主人にはずっと伝えたかったことがあるんだが……その……」
「ナズーリン?」
「あ、あのだね……」
何か相当言い辛い事なのでしょうか、全然本題を切り出してきてくれません
こういう時のナズーリンは少し強引でも背中を押してやらないと駄目なんですよね
「ナズーリン、用がないなら戻って寝させていただいてもいいですか、明日も早いですから」
「あ……ま、待ってくれ」
「はい、だから早くしてください」
「……ご、ご主人のことが好きだ」
「……私もナズーリンのことは好きですよ?」
「いや、すまない、言い方が悪かった、私の言いたい好きは、その、異性間でいうような好きであって……」
「それは、つまり……性愛、というものですか?」
「まぁ、概ねはその通りだ……」
「わ、私たちは女同士ですよ?」
「そんなことは知ってるよ」
「え、えっと、その……少し考えさせてください」
「あぁ、ゆっくり考えてくれ……おやすみ」
就寝のあいさつをすると彼女は目の前の闇にゆっくり
と姿を消していきました、おそらく彼女の寝床のある
小屋に向かっていったのでしょう


それから一週間が経ちました、その間私はナズーリンの
告白のことで頭がいっぱいで普段の活動ですら失敗ば
かりしてしまう始末でした
そんなことが一週間も続いたのですから当然聖に呼び
出されてしまいました
「どうしたのですか、何か悩んでいるようですが」
「なんでもありません」
こんな悩み、聖に言えるはずない、ナズーリンだって人
に話されたくないだろう
「何でもないような様子ではありませんが……」
「……」
「私では力にはなれませんか?」
「すみません、残念ながら」
「そうですか、なら無理に聞こうとはしません」
「ありがとうございます」
「しかし、一人で悩んでも解決しないこともあります、それに話すだけで気が楽になる事もあるでしょう
 私でよければいつでも相談に乗ります、勇気が出たときはいつでも話してくださいね」
「……」
「では、私は行きますね」
「待ってください」
私は部屋を後にしようとする聖を呼び止めました
聖は信用できるお方ですが、出来ればあまり今の悩みは
話したくはありません
しかし、聖の言う通りこのまま一人で悩んでいてもきっ
と解決策は見いだせないでしょう。背に腹は代えられな
い思いで私は覚悟を決めて聖に話を切り出しました
「実は、先週の事なんですが……」

「そういう事情でしたか……」
私が話し終えると聖は何かを納得したかのような様子
で頷いていました
「あの、私は一体如何すればいいのでしょうか」
「星はどうしたいのですか?」
「え?」
「星のしたいようにするのがいいと思いますよ」
具体的な解決策を期待していた私に聖は思ってもみな
い言葉をかけてきました
「し、しかし、私は仏門ですし、女同士なんですよ?」
「そうですね、そこは確かに悩む所でしょう」
「はい、だから、どうすれば良いのかと」
「だからこそ、星のしたいようにするのが良いんです」
「な、何故ですか」
「今の星の悩みは誰に聞いても答えは出ません、正しい答えが出せるのは星自身だけだからです」
「…………」
「他人でも答える事は出来るでしょう、しかし、他人の出した答えでナズーリンの思いに答えるのは、彼女に失礼ではありませんか?」
「そう、ですね」
「それに、もし今ここで私が絶対に駄目だと断じたところで、星自身は、完全に納得できますか?」
「多分、無理だと思います」
「無理に自分を納得したところでそんなものはただの他人の言葉を口実にした逃避です
 だから、星自身のやりたいように、貴方の思いを彼女にしっかりと伝えてあげなさい」
「……分かりました、ありがとうございます」
流石は聖です、しっかりとした考えでまた私を導いてい
ただきました、やはりこのお方には到底及びませんね
「では、私はそろそろ行きますね」
「あ、はい、ありがとうございます」
聖が部屋から出ていき襖を閉めると小さな声が聞こえ
てきました
「はぁ……取られちゃいますね」
聖の声だったように聞こえますが、何のことでしょうか
少し考えても分からないので私はナズーリンの事に頭
を切り替えることにしました

私がご主人に思いを告白してから一週間が経った
私は私がご主人に告白した時間、その場所に告白した相
手から呼び出されていた、きっとあの時の答えだろう
あの人の事だから一か月くらいは悩むと思ったのだが
予想よりかなり早かったな、誰かに相談でもしたのだろ
うか、あの人の事だ、きっと聖だろう
そう考えると恥ずかしさから少し頬が熱くなってくる
それにしてもご主人は遅いな、どうしたのだろうか
これでは一週間前と完全に逆じゃないか
……まぁ、私も勇気が出なくて少しご主人を待たせてし
まったんだからこの位は仕方ないだろう
しかし、こう、なにかを考えていないと逃げ出したくな
ってくる、もしも断られてらどうしよう、とね
そこも承知で告白したはずなんだが、やはり私は小心だ
はぁ、少し憂鬱な気分になってきたな……ご主人、早く
来ないかなぁ……
ため息交じりに息を吐き出して俯いていると背後から
私の名を呼ぶあの人の声が聞こえた
「ナズーリン」
どうも初めまして、初投稿の鵜呑みにしたい男です

今までは読むばかりだったのですが、今回勇気を出して投稿してみました
拙い文章ですが、読んで頂きありがとうございました

誤字脱字などありましたら指摘お願いします
鵜呑みにしたい男
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コメント



0.330簡易評価
5.80名前が無い程度の能力削除
敢えて結論を書かずにここで区切る手法は巧いと思う。
星を諭す聖の言葉にも説得力があった。
ただそれだけに、出て行ったあとの聖の言葉に少しばかり引っかかり。
あの場は、聖の視点にして、内心で呟く……くらいで良かった、と個人的には思います。
加えて、タグがないため、読んでみるまで誰の話か判らないのもちょっと難点。
以上踏まえて、それぞれ-10点ずつでこの点数で。

初投稿でコレなら、立派と思います。以後も作者読みしますので、次回も期待してます。
6.70名前が無い程度の能力削除
焦点を絞ってシンプルに表現されたものと感じました。
こねくり回したものも読んでみたいです。
お疲れ様でした。
8.80奇声を発する程度の能力削除
読みやすく良かったと思います
11.80名前が無い程度の能力削除
やたらに改行が多いのが(個人的には)気になったけど、お話は面白かったです。
あと、始まって2行目の文章が重なっちゃってまっせ!
12.70ぺ・四潤削除
句読点がおかしかったり改行がおかしかったりで読みにくいというのはありましたが、それはまあ直せばいいだけの話ですので。
突然の告白から始まったので、それまでどんな葛藤があったのか。
そしてこれから二人がどうなっていくのか気になります。
そして聖姐さんの最後の一言が気になって気になって。続きなんかあれば期待してます。

聖姐さんの説得に心を打たれました。
13.70ずわいがに削除
わっちの脳内ではここで一度星は断って、ナズを絶望に突き落とすが、元々覚悟していた分立ち直りの早かったナズに、「あれ、そんなあっさり切り替えれる程度の気持ちだったの?」と星がもやもやしだして(以下略

要するに… さ っ さ と 付 き 合 え