Coolier - 新生・東方創想話

鬼と人

2012/05/07 01:33:36
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 鬼は力持ち。
 空に望月。
 地に尻もち。
 酒を呑んだ鬼っ子は、異国の道端で芸を繰り広げる道化師や。
 血に滾る幾億の命の水が、鬼を躍らせる。
 千鳥足、千鳥足。
 道化も驚く稚拙な舞踊。
 手に持つ手荷物。酒瓶、瓢箪、酒樽。
 酔って尚も呑む姿、そいつはまさに酒呑みの鑑。

「やぁやぁー、こんばんは」
「おやおや、こんばんは。酒呑んで陽気な鬼っ子がおいでなすった」

 店に入る、熱い息をはく少女の頬は柘榴のように真っ赤。
 幼いながらも妖艶な、その姿はまさに人を惑わす鬼のそれ。
 出迎えるのは骨と皮と酒だけで出来た、死にかけの老いぼれ爺。

「やいやい小鬼や、その手に持っとるもんは何だ」
「おうおう爺、とうとう目ん玉腐ったか、こいつはかの有名な『鬼殺し』なる酒よ」
「酒持って居酒屋に入るたあ、とんだ客だ。
 それにどうだ、小鬼や小鬼。お前は鬼だが『鬼』殺しに殺されちゃあいねえだろうが。
 『鬼殺し』も名折れだなぁ、こいつぁ」

 店で酒呑むど阿呆ども、それを聞いて大笑い。

「銘酒でも名酒でも、酒では鬼を殺せないってこったぁ!」

 調子にのった小鬼、無い胸張って大笑い。
 こうべより伸びる一対の角を、ぶうんぶうんと振り回し、そこいらを駆け回る。
 やあやあ、これは危ない。
 そう思えども、ど阿呆どもは酒は放さず大笑い。

「まぁまぁ落ち着け、阿呆鬼」

 老いぼれ一声、ようやく落ち着く阿呆な小鬼。

「こいつはすまんな老いぼれ爺や」
「老いぼれは余計だ、いつまで経っても子童の餓鬼がよう。
 体からならまだしも、頭もわっぱじゃ洒落にもなんねえぞと」

 老いぼれ毒のある一声。
 何が面白いか、またまた笑う小童の小鬼。
 笑い終わった小鬼が一声。

「この店は客に酒も出さねえのか」
少し昔に書いた30分小説です。
始めは鬼を印象付けて書いたのですが、いつの間にか萃香になっていました。

無くなってしまった、人と鬼との絆がある。
という理想というか夢と言うかを文字にしました。
酒呑シゲ
[email protected]
http://chakabijin.blog44.fc2.com/
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コメント



0.340簡易評価
1.10名前が無い程度の能力削除
と、東方……?
3.70名前が無い程度の能力削除
こういうの好きだ。
4.10名前が無い程度の能力削除
東方でやる意味(ry
5.無評価酒呑シゲ削除
確かに、創想話でアップしていい作品じゃなかったかもしれませんね……。
次に生かしていきます。
6.無評価名前が無い程度の能力削除
別に東方でやってもいいと思うけど単純に意味が分からんw
7.80名前が無い程度の能力削除
鬼殺し、おいしいですよね、安いけど
いうほど度数高くないし
8.70魅入る程度の能力削除
発想は理解できました

ただもう少しストーリー性がないと読む側は・・・
12.無評価名前が無い程度の能力削除
テンポがよくて、すてきな文章ですね。
ただ、東方じゃなくて日本昔話でもよかったかなと。
13.60名前が無い程度の能力削除
良いじゃないか東方でやっても。
軽快な文章で素晴らしかったですb
14.無評価酒呑シゲ削除
色々のご意見ありがとうございます。
ただ、東方でやるには自身の趣味が大きく出過ぎている感がありました。
自己完結の物語でありますし、意味の分からない部分も多々あったと思います、それでもご感想をくれた方々、ありがとうございます。

次回の作品に生かせるように尽力いたします。
15.100名前が無い程度の能力削除
良いですね
萃香と爺さんの会話が本当に良い
16.90名前が無い程度の能力削除
>「この店は客に酒も出さねえのか」
てめえの飲めやw
17.無評価酒呑シゲ削除
>>15さん

私の考える理想の関係です。


>>16

唯一の笑いどころですね、わかってもらえてよかったですw