名前の数字は人数を表すこと、になりました。それが今の幻想郷です。
だから二ッ岩マミゾウは二人いますし、
十六夜咲夜は十六人いますし、
聖白蓮は何となく百人います。(本当は百から一を引いて九十九人でしたが何となく一人増えました)
誰もがそれを不思議に思わず、皆がそれを受け入れていました。
八人の紫が何かを企み、八人の藍がそれを諫め、八人の神奈子が暴れ出せば、八人の永琳が治療して、パ人のチュリーが本を読む。
異変ではないので巫女も動きません。
いつもの平和な幻想郷です。
然るに、雲居一輪は一人だけでした。
一は一です。二ではありませんし、百でもありません。
一輪は何があっても一人でした。
ですが、雲居ロンリーホイールを見守る一人の妖怪がいます。
雲山です。
雲山は一人の一輪をいつも見守っていました。
雨の日も風の日も、雪の日も一輪のヒモ。
雲山はいつも一輪の側にいました。
今はもういません。風に吹き飛ばされて消えてなくなりました。
諸行無常でした。驕ってもいないし平家でもなかったのに、雲山は霧散したのです。
一輪は一人になりました。いえ、最初から一輪は一人でした。
命蓮寺には多くの妖怪が住んでいますが一輪は一人です。
星は自分の事に精一杯でしたし、ナズーリンは星のサポートに必死でしたし、村紗は白蓮しか見ておらず、聖は百人いました。
常人なら孤独で死ぬところですが、一輪は全く気にしていませんでした。
そう、一輪もまた白蓮しか見ていなかったのです。
自分の人数なんて気にも留めていませんでした。
聖の手助けが出来るのなら、そんなものは些細な事だったのです。
今や聖は百人の魔法使い。補佐するのも一苦労でしたが、聖はできた女でした。
これが悪戯っ子のぬえだったら、今頃は過労で死んでいたことでしょう。
聖は百人になっても聖でした。彼女の徳の高さは変わりません。
百人に囲まれる説法は大人気で、命蓮寺の名前は一躍有名になりました。
おかげで命蓮寺には人が集まり、五月蠅くなったので二人のマミゾウはどこかへ旅立ちました。
だから一輪は忙しかったのです。
「一輪ってさ、結局一人しかいないの?」
仕事が落ち着いた頃、ぬえがそう言いました。
彼女にしては珍しく、それは悪意のある発言ではありません。ただの純粋なる興味でしたが、一輪に衝撃を与えたのは紛れもない事実です。
一輪は気付きました。
自分が一人しかいないこと、
そして雲山が消えていなくなっていたこと。
ぬえも一人ですが、封獣ぬえの名前に数字はありません。
雲居一輪にはありますが、一なので一輪は一人しかいませんでした。
ようやく一輪は孤独を知りました。
白蓮は百人もいるのに、一輪は一人しかいない。
どうして自分は五輪や七輪ではなかったのだろう。
一輪は己の過去を振り返りました。
雲居一輪は何の変哲もない女の子でした。
ただ人より少し美人なだけで、他の人よりも頭が切れるだけで、あとはどこにでもいる平凡な少女でした。
少女はやがて大人になり、子供の頃から夢だった医者になることができたのです。
彼女は今日も患者を治し、人々の役に立っています。
おしまい。
一輪は気にしない事にしました。
何人いようと自分は自分だ。それで何かが変わるわけじゃない。
本当ならこういう時は仲間達が現れて、お前は一人じゃないんだぜ的な事を言うものですが、生憎とみんな忙しかったのです。
星は無くしたクレジットカードの行方を気にしていましたし、ナズーリンは星のクレジットカードで買い物を楽しんでいましたし、村紗は白蓮しか見ておらず、聖は九十九人いました。
一人減りました。蒸発したのです。
しかし相変わらず命蓮寺の忙しさは変わりません。
だから一輪は仕事の量に押しつぶされることにしました。少なくとも、こうやって駆け回っている間は余計な事を考えずに済む。
一輪はやっぱり一人でしたが、仕事の量は増えるばかりでした。
だからなのか、やっぱりなのか、一輪は倒れました。
働きすぎでバッタリと、廊下の上に倒れました。
それを見つけたぬえが慌てて一輪を運び(本当はもう一人見習いがいたのですが新入りだったので名前は省きます)、聖達も血相を変えて集まってきました。
顔色は良くありません。
一輪は心も身体も限界だったのです。
聖達は自分を責め、星はいつのまにか消えていた自分の残高を知り神を呪いました。
※八坂神奈子が七人になりました。
「しばらく休んでいなさい」
聖の優しい言葉は、一輪には届きません。
一輪は一人でした。だから自分が休むということは、一輪が休むということです。
何もしない自分に価値などあるのか。聖の為に働いてこその一輪ではないのか。
一輪は起きようとしました。聖はそれを止めました。
「起きてはいけません。安静にしていないと」
「だけど聖。私は一人しかいないのです。ここで私が休んだら、一体どの一輪に働けと言うのですか」
聖は驚き、そして一輪の苦悩を知りました。
部屋の外では九十八人の聖達が一輪の様子を窺っています。仮にこの部屋の聖が倒れたところで、他の聖が補ってくれるでしょう。何故なら聖は百人いたからです。(今は九十九人ですが)
ですが一輪は一人しかいませんでした。
聖は微笑みました。
そう、一輪は一人しかいないのです。
「勘違いしてはいけませんよ、一輪。あなたは一人しかいない。だからこそ休まなければならないのです。もしもあなたがいなくなってしまったら、私達は一体どの一輪を心配すればいいんですか?」
それは暗に聖なら誰か一人ぐらい死んでも気にしないという発言でしたが、現に一人いなくなっても誰も気にしていなかったので矛盾はしていません。
「雲居一輪は一人しかいません。だからあなたはあなたを大切にしなければならない」
「……はい!」
心の中がモヤが晴れたようです。一輪は満面の笑みで頷きました。
「ですけど忘れないでくださいね。雲居一輪は一人ですけど、あなたの周りには沢山の仲間がいるということを」
ずっと言って欲しかった言葉が、そこにはありました。
聖が微笑み、
村紗が励まし、
ぬえがからかい、
ナズーリンが呆れ、
星のクレジットカードは使われ、
(本当はもう一人いるのですが見習いなので省きます)
「儂もいるぞ」
「雲のおっさん!」
最近見ないものだからすっかり名前を忘れてしまった妖怪がいました。
一輪は愚かでした。
子供でも出来るような、単純な数字の数え方を忘れていたのだから。
雲居一輪は一人でも、
命蓮寺には六人(と九十八人の聖と一人の見習い)もいるのだと。
一輪は正月気分で浮かれました。
いつまでも、いつまでも。
ししまい。
・・・・・・・・・・・・
あ、ギャグかこれ。
響子ちゃんの名前を省略した罪は重いのでマイナス10点
でも笑ったww
おかしな話だが、徹頭徹尾違和感を感じなかったんだ。
最初の一言で悟れるかどうかが楽しめるかどうかの境界な気がする。
むしろ違和感しか無かったわけだが、そこはキニシナイ。
「ん?何だこれ?」
↓
序盤
「ふむふむ…」
↓
中盤
「う…うん?」
↓
終盤
「え…え?」
↓
今
「どういう事なの…」←今ここ
作者、あなた疲れてるのよ…
もしくは何かを悟ったか…
自分の心には何も響きませんでした。
いやしかしこの世界観と雰囲気は何度読み返してみても本当にロクでもないww
まぁ、ロジックで回答出来るような話ばかりがストーリーではないのだと言いたい
感じたものそれが全てなのだ
神奈子様になにがあったのとか気にしたら作者の思うツボ。
…でも気にしちゃう…悔しry
理解出来ない文章で魅了するのは難しい。
まるで抽象芸術のようだ、いいわ、コレ
それにしても、これだけ整った作品が理解できなかったらどんなものが理(ry
ていうか名前に数字入ってないなら0人なんじゃあないかしらとか、
四季映姫様は春映姫/夏映姫/秋映姫/冬映姫になって秋姉妹が一人増えるのかなぁとか、
色々他の方に考えがシフトしてしまってお話に集中できなかったです……。
割と好きな作品です。
パ人のパチュリーってw