紅魔館の門前警備にセコムが導入されて以来、紅美鈴の解雇は最早秒読みであった。
その理由は、魔理沙の挙動をセコム導入の前と後で比べてみれば一目瞭然であった。
まず以前では、魔理沙が美鈴を蹴散らして門をガラガラガッシャーンと大きな音を立てて破れば、中でレミリアやフラン、咲夜、パチュリーさんとじゃれあって、何か必要なものを盗み、時々価値の有る物を壊して出ていく。
セコムが導入されてからはこうだ。魔理沙が美鈴を蹴散らして門をガラガラガッシャーンと大きな音を立てて破る。(このとき「ビーッ」って警報音が鳴るけれどもかき消されて誰も気付いていない)、となんと20分以内(! 迅速!)にやってきて、何が有ったのか聞き取りしてくれる。魔理沙はその時お茶を飲んでいるか、あるいはもう既に帰っている。セコムの兄ちゃん言う、ま、まあ、特に問題有りませんでしたね。一応身分証確認させて下さァい。はあい、と咲夜さん。よいですね、よいですね、もうこのような騒ぎの無いように気を付けてくださいね、で、セコムの事務員は帰っていく。
……ふむ、思ったほど一目瞭然ではない。まあ勿論、セコムの方が有用だ! と皆が思った訳ではない。そりゃそうだ、うん、我らが愛すべき雇用主、使用者、お嬢様方からすれば、どちらにしてもあまり、イヤあまりにも、意味が無いのではないか? という事に気付いたのに近い。この過程もしかして門番省いても成立するんじゃね?
実際美鈴が休んでいる日には、魔理沙など今日は居ないのか、ちぇっ、と心なしが残念そうな顔をしてから、それでも呼び鈴代わりと思っているのかストレス発散なのかはたまた頭が何処か足りないのか、元気に魔法をぶっ放してどんがらがっしゃーん! と音を立て門を破壊する魔理沙の姿が門番部隊のメイドらによって目撃されている。美鈴が居る時もがっしゃーん! 美鈴が飛んでいく。それで来訪に気づく。なんだ美鈴ったらセコムと同じくらいにしか意味ないじゃーん。ちょっと飛ぶのが見えるから耳の不自由な人でもわかる! ってメイド妖精にも耳が遠くなりそうな気配の有る人は居ないし。500歳と495歳の姉妹も元気で結構! どうせ他の木っ端妖怪、有害な連中など、セコムしてますシールを恐れて、(何しろ警報音が鳴り響いたならば500年を生きた吸血鬼姉妹が喜び勇んでコソ泥を殺しにくるであろう事は確定的に明らかであるからして)誰も侵入しようとは試みるまい。試みるとしたらうぬぼれ屋か狂人又は狂妖怪である。そもそもシールを恐れないようなヤツならそれこそ美鈴如きが門番だって言って立っていたとしても全く意味は無い、と考えて、ある朝レミリアは目覚めて言った。
「うん、うん、意味ないな、アレ」
「ようやくお気づきになられましたか」
「おお、気付いたよ咲夜、ようやく、完膚無きまでにな」
そうして意味の無いヤツ穀潰しをずっと雇っている程紅魔館の財政に余裕は無い。そうだ! と紅魔館の総意として解雇が決められ、期限が伝えられた。一ヶ月! 秒読みのスタートである。さて秒読みが開始され、おお読者たちよ、この話は紅美鈴が、この僅かな期限の間に自分がセコムより役に立つ事を証明しようと奔走するお話かと思っただろう! まずい! どうしよう! 期限は一か月である! どうするんだ我らが優秀な紅美鈴、何か陰謀を巡らせて皆に自分の有用性をアッピィールしないと! だが違って、秒読みは淡々と行われそしてすぐに終わった。
で、紅美鈴は放り出されて途方に暮れた。どうせなら放り出される前に途方に暮れたなら物語にもなったが、もう遅い。とにかく彼女は途方に暮れる。何しろ自分の財産と言えば服と貯金ととんでもなく多額の退職金と、あとは長年の門番業で鍛えたムーンウォークの腕くらいしか無いのだ。ムーンウォークが上手いのは、そもそも美鈴が空を飛ぶのはこう、右足を空中に踏み出し右足が落ちる前に左足を前により上方に踏み出すのだっ☆ という幾分体育会系の方法だったのだけれど、門番という職務上弾幕ごっこで飛ぶときには相手はどんどん前進してくるし、自分はそれに合わせて下がっていかなければいけないという必要の為にマスターされたものであり(もしこの説明でピンと来なければちょっと東方紅魔郷をプレイしてみよう!!)、何百年もこればっかり続けてきたから実際一流である。
なおこのもう一方の財産資産(預金現金退職金)の方はお嬢様が紅魔館でそこらへんに散らばって転がってた宝石をジャラッと掴んで美鈴のバッグに突っ込んだものに更に分厚い封筒が加わったものだからふつうの人間ならむこう100年遊んで暮らせる程の額になるのだが(ウラヤマシイッ!)まあ妖怪はあと何千年かは生きるので100年遊んで暮らせても意味は無く定職の方が億万倍貴重でした。
……のでダンサーか歌手にでもなろうかしら。あるいは、ソレほどの美貌でもないし(今回のお話の美鈴は自分の容姿について過小評価しています。好感が持てる。)、器量でもないし、という訳でムーンウォーク専門の教官なんかどうだろうか。
爪先立ちをになった足を動かさず、地面にベッタリくっついた足を後ろに動かす! そうすると、君もこのように美しいムーンウォークをする事ができるゾッ!!
なんてバカな事を考えながらも、まあ行動力は有って、さあ、ここにとどまっていても仕方ない、ピシャリ! と顔を平手で打ち、よし! と大きな声で言うと、これも長年門番ばかりやってきたサガだろうか、嗚呼悲しいことかな、ものすごいスピードの空中ムーンウォークで後方にかっ飛んで夜の街に消え、このSSからも姿を消してしまった。ああ、動かしやすい主人公キャラの紅美鈴(とそのムーンウォーク)無しにして、一体この物語はどうなってしまうのか!!??
さて、今現在館の財政は領地からの年貢と特産品の売上によって賄われている訳だが、特産品(パチュリーさんが錬金術で作った色々なもの(特産品呼ばわり)、フランちゃんのぱんつ(特産品呼ばわり)、パチュリーさんのぱんつ(特産品呼ばわり))の生産と販売に主に関わっているのはパチュリーさんとフランちゃんとメイド妖精である。そして主な消費者は里の人とアリスと咲夜(フランちゃんのパンツ専門)であるから、ここで重要な事が一つ、レミリアは実質経営に関わっていないのである。
咲夜さんじゅうななさい申し上げる。
「この事実を見てどう思いますかレミリアお嬢様」
「労働なんて、私のやる事ではないわ」
「これは由々しき問題ね」
「「その声は、パチュリー!」」
「捨て置かれん。それと呼び方おかしくない?」
割りこんで来たパチュリーは、何やら言いたい事ありげである。
「言いたい事ありげな様子ですねパチュリー様」
「じゃあ一言だけ」
オホン。
咳払いをしてパチュリーは喋り始めた。
「単刀直入に言うわ。まず、働かざる者食うべからずという言葉が有るわね。この言葉は社会主義国であるソビエト社会主義共和国連邦の憲法、ソビエト社会主義共和国連邦憲法の第12条に労働の義務規定として盛り込まれた事で有名だけど、」
それで単刀直入に言っているのか!? 読書家ってのは全くこれだから困る。それにどこが一言だよ。もう十言くらい言ったよ。
聴衆二人がうんざりしかけた所、だがうんざりするのはまだまだ早かった。
「もともとは新約聖書のテサロニケの信徒への手紙二3章10節にある言葉が元になった格言なの。その心は、これは後世色々言われた言葉で言うけど、例え資産を持っていても今現在の所働き社会に貢献していなければ生活するリソースを分け与えるのは不労で不当な所得であるし、理想で健全な真に有るべき社会の姿ではないという解釈な訳。そこで真に健全で理想的な社会に至るにはどうすれば良いのかというと、知識人は抹殺せよ! 財産を没収せよ! 反動勢力を滅ぼせ! 外国人を収容し隔絶せよ、クメール・ルージュは君たちを許さない!」
長いというよりはよくわからない話に、疲れた目をゴシゴシと擦って見ると、見慣れた筈の紫の魔法使いの背後に、ごごごごと音を立てて、鎌と槌と、赤い指導者の幻影が立ちあがってきたではないか。((スタンド!?))と眺めている二人は疑う。何か最近外の世界のそういう悪質な書物を読んで、毒されたに違いないのだこの子は。
「というわけで、レミィもといレミリア・スカーレットの存在は唯物論的純粋観念的理性的論理的人間原理および時間旅行的に本態的に形式主義的にあと社会主義的にはこの紅魔館という社会にとって無駄よね」
がーん。レミリア涙目。そんなことないもん、と俯くが、こんな時ばかりはカリスマもなりを潜め有効な反論をぜんぜん牽強付会唯我独尊我田引水できない。
うーん、確かに、レミリア様の存在なんて、フラレミレミフラレミ咲レミマリレミ霊夢のカップリングくらいにしか意味無いわよね。
それって結構大きくない!?
パチュリーが賛成でレミリアが反対なら、意思決定機関は既に咲夜であった。
咲夜ぁ! あの蜜月の日々を忘れたのー!?
ガシャーン。
分かりづらいが門扉の閉まる音である。
こうしてレミリアも紅魔館から追い出されてしまった。ジーザス! 陽の光を浴びてレミリアは消滅した。
第三章 咲夜VSルンバ
突如第三章である。第三章くらいであろう。
レミリアが消滅して数日経ったある日、パチュリーが言う事には、美鈴もセコムと勝負した訳だから、咲夜もルンバとくらい勝負してしかるべきではないか?
ルンバ。iRobotが製造販売する小円盤状の、カンブリア紀の海底に生息していそうな床を這うロボット掃除機。
この魔女は生来根に持つ性質である。ちょっと前の場面でさり気なく呼び捨てにされた事をまだ根に持っていた。
お安い御用! 見ていなさいルンバ君! 負けた方がこのお屋敷を出ていくのよ!!
勝負そのものの描写は面倒くさいので省くが、咲夜は通常通り完璧にメイドとしての業務をこなした。
ルンバ君は、たまに壁にぶつかってがちゃ、がちゃ、と言う他は音も無く、床のみを掃除していた。
勝負の期間(三日)が終わり、稼働した所からそう離れていない場所で、床にへばりついて動かなくなっている、哀れなルンバ君を見た時…
咲夜は膝から崩れ落ちた! 顔を押さえてうずくまって叫んだ。
「私の負けだわ! 完全に!」「何故に!?」
パチュリーは突っ込んだ。
咲夜は完全に完璧だった。
咲夜は完全に瀟洒だった。昼食に食べたラーメンの汁をエプロンのドレスに飛ばそう筈も無い。
だが、それでも咲夜はルンバ君の勝ちだと思った。何故なら……。
咲夜がコーヒーを入れている間にも……ルンバ君は床を掃除してくれているではないか。
咲夜がラーメンを食べている間にも……ルンバ君はただ黙々と床だけを掃除してくれるではないか! 完璧・瀟洒という点では、確かに咲夜が優れていた。だがしかし、メイド、それに最も、本質的に、根本的に、一番最初に要求される、欠かされる事無き忠誠、礼節というその一点に於いて、於いてのみではあるが、ルンバ君は完全に咲夜さんに優っていた(咲夜さんはひと時とはいえ自分の為にラーメンを食べていた)……!!
「私の負けよ、ルンバさん……」
もはや咲夜さん対ルンパ君ではない咲夜君対ルンバさん、イヤ、ルンバさん対咲夜君だ!! そして勝ったのはルンバさん! ヤッフーぱねえっすルンバさん!!
途中で力尽きて動かなくなったルンバ君を、抱え上げて充電器に繋ぎに行きながらパチュリーはぼそっと、呟くように言った。
イヤ、それにしても途中で電池が切れたのだから咲夜の負けという事はなくないか? あるいは、機械にした所で、充電期間というものも有るだろう。
「まじかる☆少女さくやの力はハイテクノロジーには敵わないのーっ!!??」
咲夜の叫びががらんどうの紅魔館に響き、パチュリーのぼそっを打ち消した。
「今までお世話になりました、ルンバさん、私の代わりに紅魔館をよろしくね」
涙、涙の別れのシーン。銀髪の「元」メイド長は名残を惜しみ、惜しみ、振り返り、振り返り……、それに気だるげに手を振りながら、パチュリーは、ルンバさんを胸に抱き、(なんでこうなったんだっけ…)と、ぼおっと思っていた。
さて、それで咲夜の姿が完全に見えなくなった途端、紅魔館は悪魔王の最期の断末魔の悲鳴の如く凄まじい轟音を立てて爆縮した。
秋の田の、仮庵の庵の苫をあらみ。
そう言えば、そういう設定だったわね。
我が衣手は 露にぬれつつ
さて俄東方ファンたちの為に説明しておくと、(ここからしばらくは説明なので知っている人は読み飛ばして良い)咲夜は時間を操るが、時間を操るという事は空間を操るという事なので空間も操れる。紅魔館のあの異常な迄の広さは咲夜が空間を操ったが故である。だから咲夜の居なくなった紅魔館は縮んでしまうのだ!ボッシュート!(説明は終わりです。)
縮んでいくさまは凄まじかった。紅魔館の真ん中あたりに黒い、崖のような、空間の裂け目らしきものが出来、ゴゴゴゴゴゴ、ドドドドドド、と、そこに全てのものが吸い込まれていった。本棚も、ツボも、調度品も、パチュリーの召喚した小悪魔も。それは滝の流れ落ちるさまを思わせた。
それで残ったのは掘っ立て小屋だけだった。
パチュリーが、あまりの事に呆然としながらカラン…と戸を開けて入ってみると、部屋は一つ、本棚も一つ、家具も不統一にニ、三あるのみ。壁の調度も安普請。雨が降ったら漏ったり下手をすると全部流されてしまいそうなボロ小屋がそこに有った。部屋の隅には汚れた金タライが有った。
「レ、レミィ…。苦労してたのね」
カーペットの切れ端が、部屋の隅にちょこっとだけ残っている。引きずりこまれ損ねたのか? 否、違う、ちょっと待てい。
だいいち、パチュリーは昔の事を知っている。昔は普通にお屋敷だった。パチュリーがレミリアと知り合ったくらいの時は。レミリアが徐々に屋敷の部品を売って、壁を、床を、カーペットを売って、もしかしたら土地も。それでまだ屋敷として残っている部分の空間を咲夜が拡張して屋敷として使っていたのは全く明らかだった。
レミリアは屋敷の経済に貢献していたのだ!! このカーペットの切れ端はきっと売れ残りよ!
全ては推測に過ぎない。しかしこの推測が正しかったのだとしたら、パチュリーは無茶苦茶な言い掛かりで親友を紅魔館から追放した事になるのだ。(そして仮に推測が正しくなかったとしても、やっぱり無茶苦茶な言い掛かりで親友を紅魔館から追放した事になるのだ。なおパチュリーはその事に気が付いていない。)
小屋の部分は掃除も行き届かず、電池の切れていた筈のルンバ君、いやルンバさんは、突如働く場所を見つけた! とばかりにパチュリーの胸から飛び出て、埃だらけの床に突進していく。どうやら先ほどはあまりに屋敷の床が綺麗なので、しかも戻れないので、道端で休眠していただけのようだった。ルンバ君に電池は残っていた!! ところで一般的な掘っ立て小屋に地下室は有りますか。無いので、ルンバが何かに衝突した。それは我らがフランちゃんのおみ足だった。レーヴァテインを構えておられる。剣を振るのかと思いきや……、フランが睨みつけただけでルンバさんは爆風も立てず粉々に消えた。ボンッ、だぜ。たぶん享年一歳くらい。実は一年くらいお屋敷のすみに保管されていたのだ。なので購入時にかけられていた保険もきかない。
「その声は!?」
「ちょっと、パチュリー、これはどういうワケなの!?」
フランちゃんは怒っていた。
「お姉さまと咲夜追い出した? 常識的に考えてナイでしょ」
怒りの一撃がまさに振り下ろされん!としたその時、折しも春一番、吹いた突風が小屋の屋根を吹き飛ばした。陽の光を浴びてフランちゃんは消滅した。
それで、去って行った彼女らはどうしたのでしょうか。紅魔館に戻る事は無く、幻想郷の他の勢力からも、噂は絶えて久しいという。
しかし、彼女らはたくましく生きていました。
死んだと思われたレミリアもフランも、夜になれば飛び散った灰がまた集まり、特に問題なく復活しました(消滅したとは言ったが死んだとは言ってない(キリッ))。場所は場末のレストラン。低いステージの上、レミリアがピアノを奏で始めると(私だって伊達に500年生きてきた訳ではないから、ピアノくらい上手に弾けるのよ。)…
ムーンウォークの美鈴が颯爽と登場します。スポットライト!
ピアノの調べはいよいよ高まり、そこにギターが入る。バリバリバリ! と一見美しい空気を損なうようでありながら、オーディエンスを盛り上げていて見事である。ギター、レミリア!!(私だって伊達に500年生きてきた訳ではないから、ギターくらい上手に弾けるのよ。)
バッ! と、袖から咲夜が現れる。彼女はマネージャーだが、ノリに乗ってくると、自身もステージの上に飛び出して踊るのだ! 元来実力派の美鈴からしたら迷惑そうであるが知ったこっちゃないという素振りである。スポットライトが当たる。間も無く、お次は観客席から、そうだ! 居ても立ってもいられなくなったのか、霧雨魔理沙だ、乱入だ!
特段練習もしてないと思われるのに一糸乱れぬ三人のダンス、これに、更に併せて、レミリア・スカーレットがドラムを鳴らす。(私だって伊達に500年生きてきた訳では、アアァッ、弾き間違えたァッ!!)
何でも弾ける! 両手でピアノ、歯でギター! 足でドラム(太鼓)をコントロールして、今やレミリアはちんどん屋の如き様相だけれど、腕は確か! すごいぞ~! 強いぞかっこいいぞ~!!
さて、アレンジを加えて、長い前奏が盛り上がり、ちょっと伴奏が落ち着き音量も控えめにした所に、ステージ中央に居たフランドールの、澄んだ歌声が響き渡ります。
「そーれ、そーれ鉄骨娘~」
そんな曲かい!
というブーイングも驚きも無く、
ワアアアアアッ!
鳴り止まぬ歓声。客はほぼサクラ、メイド妖精隊! カワイイ!!
でもその中に居る僅かな、「ほう、ほう、新しいバンドだと? 見に行ってやろう」と上から目線だった人の、期待に満ちた目をした人の、耳の鍛えられたプロデューサーの…
心を、彼女らが動かさなかったと誰が言えましょう。魂を、揺さぶらなかったと誰が言えましょう。
ワアアアアアッ!
気がつけば皆、サクラたちと一緒か、ソレ以上に盛り上がっています。楽しんでいます!!
その古参であること自体と、二次創作に使いやすい特徴の多さ、属性、カップリングのしやすさ、又強大なネームバリューに甘えて、キャラとして女として、基本の心を忘れていた紅魔館メンバー。ダンスグループからの再出発です。
一方その頃、パチュリーさんは野垂れ死にました。
107歳でした、金さん銀さんと同じでした。
でも、金さん銀さんとは違いました。一人ぼっちで死んだのです。
セコムの付いたあばら屋で。
おわり。
その理由は、魔理沙の挙動をセコム導入の前と後で比べてみれば一目瞭然であった。
まず以前では、魔理沙が美鈴を蹴散らして門をガラガラガッシャーンと大きな音を立てて破れば、中でレミリアやフラン、咲夜、パチュリーさんとじゃれあって、何か必要なものを盗み、時々価値の有る物を壊して出ていく。
セコムが導入されてからはこうだ。魔理沙が美鈴を蹴散らして門をガラガラガッシャーンと大きな音を立てて破る。(このとき「ビーッ」って警報音が鳴るけれどもかき消されて誰も気付いていない)、となんと20分以内(! 迅速!)にやってきて、何が有ったのか聞き取りしてくれる。魔理沙はその時お茶を飲んでいるか、あるいはもう既に帰っている。セコムの兄ちゃん言う、ま、まあ、特に問題有りませんでしたね。一応身分証確認させて下さァい。はあい、と咲夜さん。よいですね、よいですね、もうこのような騒ぎの無いように気を付けてくださいね、で、セコムの事務員は帰っていく。
……ふむ、思ったほど一目瞭然ではない。まあ勿論、セコムの方が有用だ! と皆が思った訳ではない。そりゃそうだ、うん、我らが愛すべき雇用主、使用者、お嬢様方からすれば、どちらにしてもあまり、イヤあまりにも、意味が無いのではないか? という事に気付いたのに近い。この過程もしかして門番省いても成立するんじゃね?
実際美鈴が休んでいる日には、魔理沙など今日は居ないのか、ちぇっ、と心なしが残念そうな顔をしてから、それでも呼び鈴代わりと思っているのかストレス発散なのかはたまた頭が何処か足りないのか、元気に魔法をぶっ放してどんがらがっしゃーん! と音を立て門を破壊する魔理沙の姿が門番部隊のメイドらによって目撃されている。美鈴が居る時もがっしゃーん! 美鈴が飛んでいく。それで来訪に気づく。なんだ美鈴ったらセコムと同じくらいにしか意味ないじゃーん。ちょっと飛ぶのが見えるから耳の不自由な人でもわかる! ってメイド妖精にも耳が遠くなりそうな気配の有る人は居ないし。500歳と495歳の姉妹も元気で結構! どうせ他の木っ端妖怪、有害な連中など、セコムしてますシールを恐れて、(何しろ警報音が鳴り響いたならば500年を生きた吸血鬼姉妹が喜び勇んでコソ泥を殺しにくるであろう事は確定的に明らかであるからして)誰も侵入しようとは試みるまい。試みるとしたらうぬぼれ屋か狂人又は狂妖怪である。そもそもシールを恐れないようなヤツならそれこそ美鈴如きが門番だって言って立っていたとしても全く意味は無い、と考えて、ある朝レミリアは目覚めて言った。
「うん、うん、意味ないな、アレ」
「ようやくお気づきになられましたか」
「おお、気付いたよ咲夜、ようやく、完膚無きまでにな」
そうして意味の無いヤツ穀潰しをずっと雇っている程紅魔館の財政に余裕は無い。そうだ! と紅魔館の総意として解雇が決められ、期限が伝えられた。一ヶ月! 秒読みのスタートである。さて秒読みが開始され、おお読者たちよ、この話は紅美鈴が、この僅かな期限の間に自分がセコムより役に立つ事を証明しようと奔走するお話かと思っただろう! まずい! どうしよう! 期限は一か月である! どうするんだ我らが優秀な紅美鈴、何か陰謀を巡らせて皆に自分の有用性をアッピィールしないと! だが違って、秒読みは淡々と行われそしてすぐに終わった。
で、紅美鈴は放り出されて途方に暮れた。どうせなら放り出される前に途方に暮れたなら物語にもなったが、もう遅い。とにかく彼女は途方に暮れる。何しろ自分の財産と言えば服と貯金ととんでもなく多額の退職金と、あとは長年の門番業で鍛えたムーンウォークの腕くらいしか無いのだ。ムーンウォークが上手いのは、そもそも美鈴が空を飛ぶのはこう、右足を空中に踏み出し右足が落ちる前に左足を前により上方に踏み出すのだっ☆ という幾分体育会系の方法だったのだけれど、門番という職務上弾幕ごっこで飛ぶときには相手はどんどん前進してくるし、自分はそれに合わせて下がっていかなければいけないという必要の為にマスターされたものであり(もしこの説明でピンと来なければちょっと東方紅魔郷をプレイしてみよう!!)、何百年もこればっかり続けてきたから実際一流である。
なおこのもう一方の財産資産(預金現金退職金)の方はお嬢様が紅魔館でそこらへんに散らばって転がってた宝石をジャラッと掴んで美鈴のバッグに突っ込んだものに更に分厚い封筒が加わったものだからふつうの人間ならむこう100年遊んで暮らせる程の額になるのだが(ウラヤマシイッ!)まあ妖怪はあと何千年かは生きるので100年遊んで暮らせても意味は無く定職の方が億万倍貴重でした。
……のでダンサーか歌手にでもなろうかしら。あるいは、ソレほどの美貌でもないし(今回のお話の美鈴は自分の容姿について過小評価しています。好感が持てる。)、器量でもないし、という訳でムーンウォーク専門の教官なんかどうだろうか。
爪先立ちをになった足を動かさず、地面にベッタリくっついた足を後ろに動かす! そうすると、君もこのように美しいムーンウォークをする事ができるゾッ!!
なんてバカな事を考えながらも、まあ行動力は有って、さあ、ここにとどまっていても仕方ない、ピシャリ! と顔を平手で打ち、よし! と大きな声で言うと、これも長年門番ばかりやってきたサガだろうか、嗚呼悲しいことかな、ものすごいスピードの空中ムーンウォークで後方にかっ飛んで夜の街に消え、このSSからも姿を消してしまった。ああ、動かしやすい主人公キャラの紅美鈴(とそのムーンウォーク)無しにして、一体この物語はどうなってしまうのか!!??
さて、今現在館の財政は領地からの年貢と特産品の売上によって賄われている訳だが、特産品(パチュリーさんが錬金術で作った色々なもの(特産品呼ばわり)、フランちゃんのぱんつ(特産品呼ばわり)、パチュリーさんのぱんつ(特産品呼ばわり))の生産と販売に主に関わっているのはパチュリーさんとフランちゃんとメイド妖精である。そして主な消費者は里の人とアリスと咲夜(フランちゃんのパンツ専門)であるから、ここで重要な事が一つ、レミリアは実質経営に関わっていないのである。
咲夜さんじゅうななさい申し上げる。
「この事実を見てどう思いますかレミリアお嬢様」
「労働なんて、私のやる事ではないわ」
「これは由々しき問題ね」
「「その声は、パチュリー!」」
「捨て置かれん。それと呼び方おかしくない?」
割りこんで来たパチュリーは、何やら言いたい事ありげである。
「言いたい事ありげな様子ですねパチュリー様」
「じゃあ一言だけ」
オホン。
咳払いをしてパチュリーは喋り始めた。
「単刀直入に言うわ。まず、働かざる者食うべからずという言葉が有るわね。この言葉は社会主義国であるソビエト社会主義共和国連邦の憲法、ソビエト社会主義共和国連邦憲法の第12条に労働の義務規定として盛り込まれた事で有名だけど、」
それで単刀直入に言っているのか!? 読書家ってのは全くこれだから困る。それにどこが一言だよ。もう十言くらい言ったよ。
聴衆二人がうんざりしかけた所、だがうんざりするのはまだまだ早かった。
「もともとは新約聖書のテサロニケの信徒への手紙二3章10節にある言葉が元になった格言なの。その心は、これは後世色々言われた言葉で言うけど、例え資産を持っていても今現在の所働き社会に貢献していなければ生活するリソースを分け与えるのは不労で不当な所得であるし、理想で健全な真に有るべき社会の姿ではないという解釈な訳。そこで真に健全で理想的な社会に至るにはどうすれば良いのかというと、知識人は抹殺せよ! 財産を没収せよ! 反動勢力を滅ぼせ! 外国人を収容し隔絶せよ、クメール・ルージュは君たちを許さない!」
長いというよりはよくわからない話に、疲れた目をゴシゴシと擦って見ると、見慣れた筈の紫の魔法使いの背後に、ごごごごと音を立てて、鎌と槌と、赤い指導者の幻影が立ちあがってきたではないか。((スタンド!?))と眺めている二人は疑う。何か最近外の世界のそういう悪質な書物を読んで、毒されたに違いないのだこの子は。
「というわけで、レミィもといレミリア・スカーレットの存在は唯物論的純粋観念的理性的論理的人間原理および時間旅行的に本態的に形式主義的にあと社会主義的にはこの紅魔館という社会にとって無駄よね」
がーん。レミリア涙目。そんなことないもん、と俯くが、こんな時ばかりはカリスマもなりを潜め有効な反論をぜんぜん牽強付会唯我独尊我田引水できない。
うーん、確かに、レミリア様の存在なんて、フラレミレミフラレミ咲レミマリレミ霊夢のカップリングくらいにしか意味無いわよね。
それって結構大きくない!?
パチュリーが賛成でレミリアが反対なら、意思決定機関は既に咲夜であった。
咲夜ぁ! あの蜜月の日々を忘れたのー!?
ガシャーン。
分かりづらいが門扉の閉まる音である。
こうしてレミリアも紅魔館から追い出されてしまった。ジーザス! 陽の光を浴びてレミリアは消滅した。
第三章 咲夜VSルンバ
突如第三章である。第三章くらいであろう。
レミリアが消滅して数日経ったある日、パチュリーが言う事には、美鈴もセコムと勝負した訳だから、咲夜もルンバとくらい勝負してしかるべきではないか?
ルンバ。iRobotが製造販売する小円盤状の、カンブリア紀の海底に生息していそうな床を這うロボット掃除機。
この魔女は生来根に持つ性質である。ちょっと前の場面でさり気なく呼び捨てにされた事をまだ根に持っていた。
お安い御用! 見ていなさいルンバ君! 負けた方がこのお屋敷を出ていくのよ!!
勝負そのものの描写は面倒くさいので省くが、咲夜は通常通り完璧にメイドとしての業務をこなした。
ルンバ君は、たまに壁にぶつかってがちゃ、がちゃ、と言う他は音も無く、床のみを掃除していた。
勝負の期間(三日)が終わり、稼働した所からそう離れていない場所で、床にへばりついて動かなくなっている、哀れなルンバ君を見た時…
咲夜は膝から崩れ落ちた! 顔を押さえてうずくまって叫んだ。
「私の負けだわ! 完全に!」「何故に!?」
パチュリーは突っ込んだ。
咲夜は完全に完璧だった。
咲夜は完全に瀟洒だった。昼食に食べたラーメンの汁をエプロンのドレスに飛ばそう筈も無い。
だが、それでも咲夜はルンバ君の勝ちだと思った。何故なら……。
咲夜がコーヒーを入れている間にも……ルンバ君は床を掃除してくれているではないか。
咲夜がラーメンを食べている間にも……ルンバ君はただ黙々と床だけを掃除してくれるではないか! 完璧・瀟洒という点では、確かに咲夜が優れていた。だがしかし、メイド、それに最も、本質的に、根本的に、一番最初に要求される、欠かされる事無き忠誠、礼節というその一点に於いて、於いてのみではあるが、ルンバ君は完全に咲夜さんに優っていた(咲夜さんはひと時とはいえ自分の為にラーメンを食べていた)……!!
「私の負けよ、ルンバさん……」
もはや咲夜さん対ルンパ君ではない咲夜君対ルンバさん、イヤ、ルンバさん対咲夜君だ!! そして勝ったのはルンバさん! ヤッフーぱねえっすルンバさん!!
途中で力尽きて動かなくなったルンバ君を、抱え上げて充電器に繋ぎに行きながらパチュリーはぼそっと、呟くように言った。
イヤ、それにしても途中で電池が切れたのだから咲夜の負けという事はなくないか? あるいは、機械にした所で、充電期間というものも有るだろう。
「まじかる☆少女さくやの力はハイテクノロジーには敵わないのーっ!!??」
咲夜の叫びががらんどうの紅魔館に響き、パチュリーのぼそっを打ち消した。
「今までお世話になりました、ルンバさん、私の代わりに紅魔館をよろしくね」
涙、涙の別れのシーン。銀髪の「元」メイド長は名残を惜しみ、惜しみ、振り返り、振り返り……、それに気だるげに手を振りながら、パチュリーは、ルンバさんを胸に抱き、(なんでこうなったんだっけ…)と、ぼおっと思っていた。
さて、それで咲夜の姿が完全に見えなくなった途端、紅魔館は悪魔王の最期の断末魔の悲鳴の如く凄まじい轟音を立てて爆縮した。
秋の田の、仮庵の庵の苫をあらみ。
そう言えば、そういう設定だったわね。
我が衣手は 露にぬれつつ
さて俄東方ファンたちの為に説明しておくと、(ここからしばらくは説明なので知っている人は読み飛ばして良い)咲夜は時間を操るが、時間を操るという事は空間を操るという事なので空間も操れる。紅魔館のあの異常な迄の広さは咲夜が空間を操ったが故である。だから咲夜の居なくなった紅魔館は縮んでしまうのだ!ボッシュート!(説明は終わりです。)
縮んでいくさまは凄まじかった。紅魔館の真ん中あたりに黒い、崖のような、空間の裂け目らしきものが出来、ゴゴゴゴゴゴ、ドドドドドド、と、そこに全てのものが吸い込まれていった。本棚も、ツボも、調度品も、パチュリーの召喚した小悪魔も。それは滝の流れ落ちるさまを思わせた。
それで残ったのは掘っ立て小屋だけだった。
パチュリーが、あまりの事に呆然としながらカラン…と戸を開けて入ってみると、部屋は一つ、本棚も一つ、家具も不統一にニ、三あるのみ。壁の調度も安普請。雨が降ったら漏ったり下手をすると全部流されてしまいそうなボロ小屋がそこに有った。部屋の隅には汚れた金タライが有った。
「レ、レミィ…。苦労してたのね」
カーペットの切れ端が、部屋の隅にちょこっとだけ残っている。引きずりこまれ損ねたのか? 否、違う、ちょっと待てい。
だいいち、パチュリーは昔の事を知っている。昔は普通にお屋敷だった。パチュリーがレミリアと知り合ったくらいの時は。レミリアが徐々に屋敷の部品を売って、壁を、床を、カーペットを売って、もしかしたら土地も。それでまだ屋敷として残っている部分の空間を咲夜が拡張して屋敷として使っていたのは全く明らかだった。
レミリアは屋敷の経済に貢献していたのだ!! このカーペットの切れ端はきっと売れ残りよ!
全ては推測に過ぎない。しかしこの推測が正しかったのだとしたら、パチュリーは無茶苦茶な言い掛かりで親友を紅魔館から追放した事になるのだ。(そして仮に推測が正しくなかったとしても、やっぱり無茶苦茶な言い掛かりで親友を紅魔館から追放した事になるのだ。なおパチュリーはその事に気が付いていない。)
小屋の部分は掃除も行き届かず、電池の切れていた筈のルンバ君、いやルンバさんは、突如働く場所を見つけた! とばかりにパチュリーの胸から飛び出て、埃だらけの床に突進していく。どうやら先ほどはあまりに屋敷の床が綺麗なので、しかも戻れないので、道端で休眠していただけのようだった。ルンバ君に電池は残っていた!! ところで一般的な掘っ立て小屋に地下室は有りますか。無いので、ルンバが何かに衝突した。それは我らがフランちゃんのおみ足だった。レーヴァテインを構えておられる。剣を振るのかと思いきや……、フランが睨みつけただけでルンバさんは爆風も立てず粉々に消えた。ボンッ、だぜ。たぶん享年一歳くらい。実は一年くらいお屋敷のすみに保管されていたのだ。なので購入時にかけられていた保険もきかない。
「その声は!?」
「ちょっと、パチュリー、これはどういうワケなの!?」
フランちゃんは怒っていた。
「お姉さまと咲夜追い出した? 常識的に考えてナイでしょ」
怒りの一撃がまさに振り下ろされん!としたその時、折しも春一番、吹いた突風が小屋の屋根を吹き飛ばした。陽の光を浴びてフランちゃんは消滅した。
それで、去って行った彼女らはどうしたのでしょうか。紅魔館に戻る事は無く、幻想郷の他の勢力からも、噂は絶えて久しいという。
しかし、彼女らはたくましく生きていました。
死んだと思われたレミリアもフランも、夜になれば飛び散った灰がまた集まり、特に問題なく復活しました(消滅したとは言ったが死んだとは言ってない(キリッ))。場所は場末のレストラン。低いステージの上、レミリアがピアノを奏で始めると(私だって伊達に500年生きてきた訳ではないから、ピアノくらい上手に弾けるのよ。)…
ムーンウォークの美鈴が颯爽と登場します。スポットライト!
ピアノの調べはいよいよ高まり、そこにギターが入る。バリバリバリ! と一見美しい空気を損なうようでありながら、オーディエンスを盛り上げていて見事である。ギター、レミリア!!(私だって伊達に500年生きてきた訳ではないから、ギターくらい上手に弾けるのよ。)
バッ! と、袖から咲夜が現れる。彼女はマネージャーだが、ノリに乗ってくると、自身もステージの上に飛び出して踊るのだ! 元来実力派の美鈴からしたら迷惑そうであるが知ったこっちゃないという素振りである。スポットライトが当たる。間も無く、お次は観客席から、そうだ! 居ても立ってもいられなくなったのか、霧雨魔理沙だ、乱入だ!
特段練習もしてないと思われるのに一糸乱れぬ三人のダンス、これに、更に併せて、レミリア・スカーレットがドラムを鳴らす。(私だって伊達に500年生きてきた訳では、アアァッ、弾き間違えたァッ!!)
何でも弾ける! 両手でピアノ、歯でギター! 足でドラム(太鼓)をコントロールして、今やレミリアはちんどん屋の如き様相だけれど、腕は確か! すごいぞ~! 強いぞかっこいいぞ~!!
さて、アレンジを加えて、長い前奏が盛り上がり、ちょっと伴奏が落ち着き音量も控えめにした所に、ステージ中央に居たフランドールの、澄んだ歌声が響き渡ります。
「そーれ、そーれ鉄骨娘~」
そんな曲かい!
というブーイングも驚きも無く、
ワアアアアアッ!
鳴り止まぬ歓声。客はほぼサクラ、メイド妖精隊! カワイイ!!
でもその中に居る僅かな、「ほう、ほう、新しいバンドだと? 見に行ってやろう」と上から目線だった人の、期待に満ちた目をした人の、耳の鍛えられたプロデューサーの…
心を、彼女らが動かさなかったと誰が言えましょう。魂を、揺さぶらなかったと誰が言えましょう。
ワアアアアアッ!
気がつけば皆、サクラたちと一緒か、ソレ以上に盛り上がっています。楽しんでいます!!
その古参であること自体と、二次創作に使いやすい特徴の多さ、属性、カップリングのしやすさ、又強大なネームバリューに甘えて、キャラとして女として、基本の心を忘れていた紅魔館メンバー。ダンスグループからの再出発です。
一方その頃、パチュリーさんは野垂れ死にました。
107歳でした、金さん銀さんと同じでした。
でも、金さん銀さんとは違いました。一人ぼっちで死んだのです。
セコムの付いたあばら屋で。
おわり。
最後までわけわからんかった! ほんっとーに最後までわけわからんかった!
でもなんかすごい! 口では言い表せない何かがずっと纏わりついて、最後まで読んでしまっていました。
ほんっとーに……ほんとになんだったんだろこれ?
ちょっ、終始地の文がフリーダム過ぎるw
これは一瞬でも我に還ったら負けだな
とりあえずこの面々は幻想郷が無くなっても平気そうだw
咲夜の叫びががらんどうの紅魔館に響き、パチュリーのぼそっを打ち消した。
それに、文章の品の無さ…。
ここで切ってはいけません。皆様おきをつけて
かませ犬役を演じたパチュえもんが愛くるしかったので-10点しておきます
小悪魔の線香花火っぷりに驚きを隠せない
全体にいい塩梅で今日は気持ちよく眠れそうです
実在した一般人の方の死をオチに使うのも引っ掛かりました。
魔理沙の唐突っぷりが特に好きよ!(単なる魔理沙好きである。そもさん)
楽しげでいいじゃない。パチェさんも来れば良かったのに……。
個人的にはこういう勢いのある作品は嫌いではないのですが、レミリアの存在意義の中にめーレミがなかったので70点マイナスです
だけど嫌いじゃないぜ、こういうの。
一顧だにしないその姿勢、実に良し!
何を言っているか分からないと思うが私にも分からない