ボリボリボリボリ
……お嬢様の部屋から音が聞こえる。
なにか得体の知れない音が聞こえる。
ガリガリガリガリ
何かを削り取るような、はたまた噛み砕くような。
お嬢様はどんなことをしだすのか全く予想のできない性格ではあるけれどもそれでも毎回いろいろやらかすのは後始末が面倒で。考えるだけで鼻血が出てきて肩がこるわね。
ガッガッガッガッ
こんどは少し力の入った音が聞こえてきた。
そんなにガッガッと音を立てて……私はまだぬるぽしてませんよ?
ああ、お嬢様にガッされるところを想像すると……ウフフフフフフフフフ。
いけないいけない、少しトリップしてしましましたわ。
妄想はこれくらいにして、そろそろこの音の正体を確かめなければいけません。
しかし……以前醤油をコーラだと言って飲んでいたお嬢様。どんなレベルの奇行も覚悟しておかなければならないでしょう。さて深呼吸して、こんどこそ突撃ですわ。
ガチャ
ドアを開けると、お嬢様がこちらに背を向けて何かを食べていた。
「お嬢様、何を食べているのですか?」
「咲夜? えっとこれなんだけど、なかなかいい感じよ」
そう言ってお嬢様はとあるものを見せてきた。
それを見た瞬間、私はほんの少しの間放心状態になり、決死の思いでこういった。
「お嬢様、醤油のビンは食べ物ではありません」