「外からの来訪者?」
「ええ。」
幻想郷に人間が迷い込む事など日常茶飯事だ、
しかし今回はいつもと少し訳が違った。
「それがどうしたの?」
輝姫はきょとん、とした表情を浮かべている。
外の人間など興味も無いだろう、外出ないし。
私は今得ている情報の全てを話した。
以前、優曇華が妹紅に襲われた(?)時に居た人間である事、
その人間が紅魔館の悪魔の妹をブン殴ったという事、
そして、その人間がこちらに向かっているという事。
「わかったわ、全てわかったわ。」
どうやら姫様は前半の一行しか聞いていなかったらしく、
思い出し恨みというか条件反射というか、「妹紅」という単語に食いついたらしく、
戦闘に備えてか神器の手入れを始めた。本当に仲が良いと思う。
「そういう訳で、ここに向かい入れるから」
「聞いてない!聞いてない!」
輝夜は急いで着替え、ノートパソコンを部屋の奥に隠した。
まぁどの道、優曇華も里から帰ってくる頃だしやる事は変わらないのだから。
兎の人権について長々と説教される事になりかねないからだ。
「まぁ私はここの主だから、何をすればいいの?」
「情けない主ね」
優曇華が里から帰ってきた。今日の売れ行きはイマイチのようだ。
いつまでたっても夜にならない事を疑われたとかなんとか。
ちなみに主犯はここに居る。私だ。
「お師匠様、また時間を(ry そのせいで(ry 私は(ry」
「そうね、それじゃあ夕食を作ってちょうだい、6人前」
「誰か来客でもするんですか?」
一通りの愚痴を聞いて(ないが)あげた後、
先にてゐと優曇華に夕食を食べさせ、竹林に張り込みをさせた。
竹林で迷われると面倒なのだ、手早くこの館に誘いこまなくてはならない。
まぁてゐに任せておけば大丈夫だろう、彼女ほど竹林に詳しい者は居ない。
「タララタッタラー ルナ級セキュリィ~(CV:大山○ぶ代)」
「それ…大丈夫かしら…」
「なんと難易度はLuna~Phantまで調整可能!」
「でもお師匠様、信頼を失わずに連れて来いって…」
「大丈夫! 飛んでくるのは竹槍! 避けるだけで迷わず館まで誘導!」
「死ぬ!折り付きで死ぬ!本格的に殺しにいってるじゃない!」
という訳で殺してしまったら氷菓子という約束を交わし、
間抜けな罠をてゐの指示した場所に仕掛けて回った。
ちなみに"何故か"罠が異常に誤作動し、何度か串刺しになりそうになった。
「来たわよ、外の人間」
「二人組み?」
「そうみたいね」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ドップラー効果の如く叫び声が竹林に響き渡る。
これ氷菓子GETじゃないか? あの量は避けれる気がしない。
避けた先にワイヤー 起動した竹槍を避けたらまたワイヤー
巧妙に仕掛けられた罠が絶妙のタイミングで起動し対象を追い詰めていく。
「死んじゃう! 夢の中で死んじゃう!」
「ここ現実! 死んだら死ぬわよ!」
「そんなの嫌ぁぁぁぁぁっ!」
しかし必ず避ける場所は存在する、それが弾幕ごっこの真髄。
流石はてゐ こういう事(詐欺・罠・たかり)のプロである。
上手く館まで誘導しきったのである、本人たちからすれば良い迷惑だろうが。
後の事はよく知らないが、お師匠様と外の人間は長らく会話していたそうだ。
真夜中に締め出された私の気持ちを考えて欲しい。寒かった。
代わりまして永琳、外の人間が家に来ました。
インターホンが無いとはいえ不法侵入されるとは思っていなかった。
「こんばんわ。」
「ひっ!」
勝手に入っておいて驚く、実に面白い人間だと思う。
まぁ驚かなかったら本格的に泥棒として捕まえてたけど。
私のやる事はこの人間を外に送り返す事。
地上の民の義務を果たそうと思う。
本来はあの巫女の仕事なのだが、何やら嫌われてる模様で。
おそらく茶菓子のひとつでも持っていけば喜んで返してくれるだろうが、
それも何か負けた気がするので(連敗するのは嫌だった)やめておいた。
森羅結界か博麗結界だか知らないが、破るの自体は容易である。
注1:後で紫に説教されました。
「神隠しにあっておいしい食べ物いただいて」
「これじゃ帰ったら老人になってるかもしれないわ」
それはかぐや姫ではなく浦島太郎である。
自己紹介したのに、かぐや姫の付き人と。
「そう…ん…なにこの味…」
「もう食べてるし! 話聞いてないし! 蓮子ずるい!」
「これって…天然?」
食事に誘うとやはり天然の食べ物には慣れていないようだった。
実に悲しい事である、この雑味こそ月にはない素晴らしさだというのに。
月の人間の劣化コピーなどしている場合ではないというのに。
それから外の世界についての話をした。
睡眠薬が効くまで、短いながら楽しい時間であった。
政治や軍事によって曲げられた歴史の真意を知る私の話は彼女経の興味を引いたようだ。
その時代に生きていたのだから、知らない筈がない。年齢聞いたから殴ったけど。寝てから。
「それじゃあ、あの冷戦時の宇宙開発ってのは。」
「鈴仙? ああ冷戦ね、そうよ。」
「今の歴史じゃ、無駄な意地の張り合いって事になってるけど。」
これは流石に酷い話である。
冷戦時といえば米ソが揃って月にミサイルを撃ち込んでいた時代である。
もちろん目的は月の都の英知と技術であった。
「それで、月にたどり着いて」
「たどり着いてなんかないわ、結界の外側、月の都になんて入れやしない。」
「ああ、やっぱり存在するんですね、月の都。」
外の人間で今や月の都の存在を信じる人間など殆ど居ない筈である。
彼女のような異形の瞳を持つ者以外は。それで幻想郷へ入ってこれたのか。納得した。
それから他愛も無い話をした。
まだまだ外の世界は進化する。私はそう確信した。
そして、眠った彼女達を抱きかかえ、運んだ。
幻想郷の外に。
手には月旅行のチケットを握らせた。
彼女達は賢い。このチケットを売って大金を手に入れるだろう。
月の裏側など、見ても無意味である。
正直言ってその元となったSSを見てないわけですから、これだけ見てもまったくわけがわからんのです。でも、ブログのSSをここに投稿すると規約違反になるし、難しいですね・・・