「そこのメイド、何の騒ぎかしら」
厨房の前を通りかかったレミリアが尋ねる。
ナイフを手にしたメイドの目は血走り頬に汗が滴っている。
「はっ、失礼しました。レミリア様。何やら湖の近くで子供が二人うろついておりましたので捕らえたところ逃げ出しまして」
「へえ……」
「申し訳ありません。すぐに対処いたします」
「この厨房の中にいるの?」
「はい、すぐそこに」
「いいわ。私が捕まえるわ。直接生き血を吸うのも面白いかもね……、下がりなさい」
「失礼します」
「出てきなさい」
透き通った声が響いた。
厨房の奥で何者かが動く気配がする。
レミリアの目がそちらへ動く。
「逃げても無駄、諦めて出て来る事ね」
しばらく間があったが、食器棚の隅の方がガタガタと揺れたかと思うと小さな頭が一つ顔を出した。
レミリアは「ふん」と笑う。
「いいわ。大人しくしなさい。ちょっと血をもらうだけだから」
「嫌だ!」
思いの外、威勢のいい声が帰ってきた。
険しくなったレミリアの目が少年の持った包丁を捉える。
レミリアはつかつかと歩み寄る。
「その包丁で勝負しようというのかしら」
「……」
凄まじい早さでレミリアは包丁をたたき落とした。
少年はそれでも反抗的な視線を向けていた。
「さ、覚悟は決まったかしら? もう一人も出てきなさい」
すると、もう一人の少女が顔を出す。
「いいわ、素直ね。さ、腕を出しなさい。痛くないようにしてあげる」
少年と少女は二人同時に腕を差し出した。
「いいわよ、仲良しね……」レミリアは微笑んだ。
「……」
「何かしら、聞こえないわ」
「バルス!!!」
思い入れもなく、練るわけでもなく、勢いで、だけ・・・
意味が分からないよ。
お祭りの後はちゃんと後片付けしていって下さいね。