Coolier - 新生・東方創想話

鬼と瓢箪

2012/02/20 03:00:25
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 神社にお目当ての巫女はおらず、柱にもたれた鬼が一人、酒の入った瓢箪を傾けていた。
「霊夢はどこかしら?」
レミリアの問いかけに、萃香は少し思案する様に唸ったあと、
「この中、かな」
にやりと笑って、瓢箪を差し出した。

 瓢箪から声がするのを不審に思って、萃香が覗き込むと、中では小さくなった霊夢が一生懸命酒を造っていたという。
「そんなバカなこと」
あるわけない、とは言い切れないのが幻想郷だ。レミリアは、差し出された瓢箪をしずしずと受け取った。
「覗くとあんたも吸われるよ」
萃香の茶化す声が鬱陶しく、レミリアは
「そしたら会いに来た目的も果たせるわ」と言い捨てた。

 レミリアが霊夢に惹かれていることは、傍から見れば誰でもわかる。では、なぜ惹かれているのか。
酒を片手に縁側で呆けていると、いつもやってくるこの吸血鬼。日光を嫌がりながら、それでもわざわざ足を運ぶのはなぜなのか。
一応は同じ鬼という括りの萃香にも、理解できなかった。理解できないからこそ、気になった。

 レミリアは、おそるおそる瓢箪に耳を近づけた。声はない。そっと中を覗うが、真っ暗で底も見えない。
「・・・面倒ね」
地面に叩きつけようと腕を振り上げると、萃香が慌てて止めに入った。
「待った待った、ちょっと落ち着きなって」
「霊夢はこの中にいるんでしょ?」
本気で信じているのか信じてないからこそ叩きつけようとしているのか、萃香には判断つかないが、大事な瓢箪を壊されては困る。
「あー、今はちょっと外出中、かな。たぶん」

 はじめからそう言いなさいよ、と不機嫌そうに吐き捨てると、レミリアは瓢箪を返して去っていった。
結局なんの用で来たのか、よく分からんヤツだ。瓢箪を覗いただけで帰るのもそれはそれで不憫だけど。

「なに笑ってんのよ」
いつの間に帰ってきたのか、霊夢が怪訝そうにこちらを見ている。
「おお、瓢箪の主」
「はあ?」
「私に美味い酒を造っておくれよ」
「バカ言ってんじゃないわよ、この酔っ払い」
無愛想な返事も、いつもどおりで小気味いい。瓢箪に吸われたのは、自分も同じか。
「もう少しこのまま、この酒に浸っていたいもんだねぇ」
そんなことを思いながら、萃香はまた、瓢箪を傾けた。
初SSです。
昨日SSについて話していて、知人から「レミリアと萃香」というお題をもらったので書きました。
不慣れなもので、改行とかおかしかったらごめんなさい。
ロボ(東方亭就活)
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コメント



0.380簡易評価
3.70名前が無い程度の能力削除
雰囲気や文体は好きなのですが、もう少し長ければ(描写や前後が多ければ)と思ったのと、それから一字下げ等の処理がされていれば、と感じました。
今後の投稿にも大いに期待させて頂きます。
4.20名前が無い程度の能力削除
短すぎるなぁ…
あとこれの8~9倍の量は欲しいな
8.70久々削除
内容は悪くありません。
長さで作品を評価したくはないのですが、読者から見るとこの作品は、
小説、の、ワンシーンにしか見えないかもしれません。
レミリアが来た、帰った、まとめ、で? となってしまっている。非常に勿体無い。
盛り上げ箇所を増やしたほうがいいかもしれません。
表現力はあるので、今後に期待します。
9.80名前が無い程度の能力削除
こういう雰囲気の作品は好きです。
12.60名前が無い程度の能力削除
「おお、瓢箪の主」
「はあ?」
「私に美味い酒を造っておくれよ」
「バカ言ってんじゃないわよ、この酔っ払い」

この会話が気に入りました。
あとは他の方が言っているように描写がもっとあると良作になると思います。
14.100名前が正体不明である程度の能力削除
創想話にようこそ!