にとりがある秋の日に、川でお昼ごはんの水草を採ろうとして泳いでいると、下流から鮭の群れが遡上してきました。
その数は1万匹とも2万匹とも見える大群でした。鮭達は我先にと産まれ故郷の上流を目指して泳いでいきます。子孫を残すため備わった本能であり自然の摂理なのです。
さすがに妖怪河童のにとりもこの大群に巻き込まれたら大変です。急いで岸へとあがりました。
無事に川岸に上がることのできたにとりは、遡上する鮭の群れをしばらく見送っていました。
岸の上から見る鮭たちは、太陽の光を受けて鉛のように光ります。川面は鉛色な絨毯のように見えました。
その絨毯から時々鮭が跳ね上がり銀色に光ります。それは、紅魔館のメイド長が投げたナイフのように光ました。
ふと、にとりが上流の方を見上げると川岸に黒い大きな熊が居ました。これから訪れる冬を越すために、鮭達を捕まえて食べるようとしています。
にとりは捕まえられて食べられてしまう鮭を可哀想に思いました。弾幕で熊を追い払うことはできます。でも、にとりはそうしませんでした。
これは自然の掟で、自分のような強大な力を持った妖怪が、介入してはいけないと思ったからです。
先頭が、熊の居るところに到達しました。熊は岸から少し川に入った所に行きました。その中で先頭は無事に熊の足元を通過してさらに遡上していきました。
やはりいくらかそれに続いて鮭達は遡上していきます。
その中で熊はゆっくりと二足で立ち上がり、やはりゆっくり腕を上げました。相変わらず、足元を鮭が通りすぎていきます。
それからです。さっきまでの動作とはまるで違い、上げられた熊の手が川に向かいすっと速い動作で振り下ろされました。
そうすると、3匹か4匹程の鮭が川岸に打ち上げられました。
熊は先ほどの動作を何回か繰り返しました。川岸にはたくさんの鮭が打ち上げられます。それを見た熊は満足したのか川岸にゆったりと戻りました。
岸に戻った熊は、その巨体からは信じられない器用な動作で川岸で跳ねる鮭を食べました。
油の多くのった部分だけを食べて後は捨ててしまいます。たくさんの鮭はすぐに居なくなりました。
ふと熊は食べるのを止めました。お腹がいっぱいになったのでしょうか。その場を去って行ってしまいました。
熊が去った後、にとりは上流の先程川岸に打ち上げられてもがき跳ねる鮭を見つけました。自然の掟とはいえ不憫に思い川に戻してあげようとしました。鮭のところまで近づいていこうとしたときでした。
人間が突然そこに現れて鮭を持って帰ってしまいました。あっという間に連れ去ってしまいました。猟師のような格好をしていたので、おそらく熊を狙っていたのでしょう。熊はそれに気付いてどこかに行ってしまったようです。
人間からすると思わぬご馳走が手に入ったと大喜びだったのです。
にとりは思いました。可哀想な鮭、でもこれもまた自然の掟しょうがない。せめて無駄にはしないで欲しい、盟友なのだからきっと大丈夫だと思いました。
全て済んだ後に、にとりはお昼ごはんを採ろうとしていたことを思い出し川に泳ぎに戻っていきました。
だが、もっと長く。
あなたの適応力はすごいと思う。
ここで熊や人間の行動を戒める行動をにとりに取らせないあたり、なかなかそれっぽい教訓を含んでいる感じ。
1万匹もいると、何となくどうでも良くなってしまう気もします。それは人類でも変わらず。
前作ではマイナス90点次回から評価をつけます。
頑張って書いて下さい。
面白かったです。