寒い、暗い冬の夜空の下。命蓮寺からは、暖かい光が漏れていた。
今日、命蓮寺には「アイドル」がやってきた。いま命蓮寺のみんなは、居間の壁際に置かれたアイドルにくぎ付けだった。
「ただいまぁ。・・・なんじゃ、みんなして居間にあつまって」
寺に帰ってきたマミゾウが、廊下から声をかけたが、みんなアイドルに視線も意識もくぎ付けだ。
おかえりなさい、と後ろから呼ばれる。
「まったく、昼間からずっとこれだもの」
両腕に洗濯物を抱えた一輪が、マミゾウにおいついて、やれやれと笑った。
「そうか。この寺にも、テレビがやってきたんか」
居間の壁際に置かれた黒いアイドルは、いま、人里の食い逃げ事件を報じるニュースキャスターを映していた。
「ほんとに信じられないですね・・・これ中に人が入ってるんじゃないですか」
「こ、これ!あれですよね!デンパってやつですよね!」
「ばっちゃんの佐渡の実家のはもっと立派なやつだったけどね」
「あ!ほら、いま『こんばんは』って言われましたよ。ほら、挨拶しないと」
ニュースキャスターのあいさつに、丁寧に『こんばんは』と返す一同に、別にしなくていいよ、と苦笑するぬえ。そこではじめて、ぬえが廊下のマミゾウに気づいた。
「あ、ばっちゃん!帰ってたんだ」
「さっきからずっといたわい」
「おかえりなさーい!」
やっとマミゾウの帰宅に気が付いた一同がそういうと同時に、響子がトテトテとマミゾウに突進した。そのまま人の身の丈はあろうかという巨大なシッポにダイブ。
「あああ、もっふもっふ」
「あーこら!ぬえ様の許可なしに独占してんじゃねーよ!」
ぬえと響子がマミゾウの大きなシッポをとりあう。抱き枕じゃないんだから、と笑うマミゾウ。喧嘩はいけませんよ、と白蓮が声をかけるが、二人はお構いなしのようだ。
「あー、二人でシッポにしがみつくな、さすがに重い。・・・そういえば、ナズちゃんが見当たらんのう」
「そのナズちゃんと呼ぶのはやめていただけませんか」
廊下の奥から声がした。ナズーリンが、居間を横切ろうとしていた。
「なんじゃ、ナズちゃんはテレビはみないのか?」
「私は興味がないので」
「ほれ、尻尾もあるぞ?先着3名までじゃ」
「・・・二つ岩殿。あまり馴れ馴れしくしないでいただきたい。・・・そういうのは好きではありませんので」
ナズーリンはそのままマミゾウの横を通り抜け、廊下の奥へと消えてしまった。
あ、なんかアニメやってるよ!村紗の一言で、マミゾウ以外はみんな再びテレビにくぎ付けになる。響子とぬえも、一時休戦して居間へ駆け戻った。マミゾウの傍らの一輪も、初めて見るアニメの物珍しさに、洗濯物を抱えたまま居間に入る。
一人廊下に残されたマミゾウは、廊下の奥をただずっと見つめていた。
*******
もうすっかり夜も更けた。
さすがに今頃はみなアニメも見終わり、寝静まっただろう。
マミゾウは一人、4畳半ほどの自室であぐらをかき、ちゃぶ台の上のパソコンとにらめっこしていた。
カタカタカタカタ。
ロウソク1本とノートパソコンのモニタの光が、闇に飲まれた寺の一室をかすかに灯す。
カタカタカタカタ。
キーボードを叩く音が狭い部屋に響いた。
カタカタカタカタ。
ガラっ・・・・
背後でふすまがそっと開く音。こんな時間に誰だ?
首だけ振り向いたマミゾウだが、最初はだれだかわからなかった。暗い部屋の外で、深くうつむいた人影が、ゆっくり部屋に入ってきた。
「・・・今日だけ」
ようやくその人影がナズーリンだとわかった。
「今日一日だけ・・・・・・・」
なんだ、早く続きを言いなさい。・・・いや、うつむいていて分からないが、どうやら必死に声を絞り出しているようだ。
「すまんの、もういちど言ってくれんか」
「・・・・・尻尾を。・・・・お借りしたい」
ようやくなけなしの声を振り絞った。声も体も震えている。マミゾウは、ナズーリンが自分の体を抱える両腕を見ていた。
マミゾウは両腕から目を離し、ナズーリンに背を向けると、再びパソコンとにらめっこをしだした。ナズーリンの目の前に、尻尾が投げ出される。
「ああ。いいよ」
マミゾウの背中が、ぽつりとそれだけ言った。
マミゾウの背中は、スタスタと自分のシッポに歩み寄る足音を聞いた。足音は尻尾の目の前で止まる。マミゾウのシッポに、急に何か重いものがのしかかった。・・・あの子が、尻尾に突っ伏したのだろう。人の身の丈ほどの巨大なシッポだ。
カタカタカタカタ。
あの子は尻尾に突っ伏し、顔を尻尾の毛にうずめたまま動かない。マミゾウの背中はなにも言わない。
カタカタカタカタ。
「えぐっ・・・」
なんだ?マミゾウの背中が異音を聞いた。キーボードの手が止まる。部屋が静かになる。
「うぅ・・・くっ・・・ぐぅ・・・ぐずっ・・・」
嗚咽だ。尻尾に突っ伏したあの子から。尻尾の毛を小さい手でギュッとつかみ、顔は尻尾にめり込むくらいに強くうずめ、尻尾を大粒の涙で濡らしていた。
マミゾウの背中が止まっていた。全く動けずにいた。・・・だがすぐに、キーボードを叩く音が戻る。
カタカタカタカタ。
うぅ・・・ぐずっ・・・
マミゾウの背中は決して振り向かなかった。
********
しばらくそのままだっただろうか。
「ちょっと立つぞ」
ナズーリンが慌てて尻尾から離れると同時に、マミゾウの背中がゆっくり立ち上がる。マミゾウの背中が部屋のふすまへ向かい、そのまま部屋から出てしまう。
「5分で戻る」
ナズーリンは一人、取り残された。
その場で体育座りになり、膝小僧に顔をうずめる。両手でぎゅっと袖をつかんだ。
何時間もそうして座っていたような気がした。
5分後、顔をひざにうずめたナズーリンは、部屋のふすまが開く音を聞いた。自分へ向かう足音。足音は自分の目の前で止まる。・・・何かが床に置かれる音が聞こえた。膝からチラッとそれを覗く。おにぎりが1個、皿にのっていた。ナズーリンが振り向くと、マミゾウの背中がドスッとあぐらをかいて座った。パソコンに向かい、ナズーリンに背を向けて、キーボードを叩く。
「腹が減ったろう」
マミゾウの背中はそれだけ言った。
カタカタカタカタ。
ナズーリンは、床の皿に盛られたおにぎりを手に取った。そのままずっとおにぎりを見ていた。
一口食べた。ゆっくり噛む。シンプルな塩おむすびだ。・・・おいしい。胸から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
もう一口食べた。目頭が熱くなる。また涙が出てきた。嗚咽でまともに噛めない。
「う゛ぅ・・・ぐっ・・・えぅ・・・」
マミゾウのシッポに背中を寄せて、涙をぼろぼろ流す。小さな体が震えて熱い。それでも、このおにぎりはおいしい。
背中に寄り掛かった尻尾が、ナズーリンをそっと包む。あったかくて、柔らかくて、毛がすこしくすぐったかった。
カタカタカタカタ。
やっぱりマミゾウの背中は、決して振り向かなかった。
**********
どれだけ時間がたったろう。
おにぎりはとうになくなっていた。相変わらずキーボードを叩く音だけが聞こえる。もう嗚咽は聞こえない。
マミゾウの背中は、尻尾に寄り掛かっていたあの子が立ち上がる音を聞いた。
「・・・今日のことは、どうか・・・どうか、ご内密にお願いしたい」
マミゾウの背中は一言だけ、
「ああ、分かったよ」
と答えた。
背中は、あの子の足音が遠ざかり、そしてふすまを開けて、再び閉める音を聞いた。
カタカタカタカタ。
*********
「おはようございます」
ようやく冬の朝日が昇り始めたころ。今日も一輪が忙しそうに廊下を駆け回っていた。
「ああ、おはよう・・・」
マミゾウは挨拶を返すが、居間にくぎ付けになって一輪が視野に入らない。ああ、あれですか。一輪が苦笑する。
「うわああああああああああああん!!!」
「うわあああああああああああああああああん!!!!」
星と響子が寄り添って大泣きしている。朝からいったいなんなんだ。
「まだ泣いてんの、あれ」
村紗が呆れたように言った。
「いったい何があったんじゃ」
「ネロおおおおおおおお!!パトラッシュううううううううう!!!」
「フラン○ースの犬っていうアニメを見てたんですよ、昨日」
一輪が言った。そういえば、一輪の目もなんとなく赤い。
「いや確かに泣けるラストだったけどさぁ、ちょっとオーバーすぎるでしょ、あれ」
「村紗も昨日、大泣きしてたくせに」
「うっさい」
「・・・のお。一輪ちゃん」
こそっとマミゾウが一輪に耳打ちする。
(それ、ナズちゃんも見てたのか?)
(ええ。でもラストシーンの途中で部屋から出てっちゃっいましたけど。いいシーンだったのに・・・)
「だーもう!!いつまで泣いてるんですか!」
ナズーリンだ。めそめそ泣いてる寅に一喝してる。
「だってぇ・・・」
「だってもくそもありませんよ!もうしっかりしないと、ほら!」
「おはよう、ナズちゃん」
マミゾウがナズーリンに挨拶した。あっ・・・と一瞬だけ言葉に詰まらせたようだったが、
「だからそのナズちゃんというのはやめてくださいって!」
すぐにいつもの調子に戻った。
「・・・やっぱり、かわいい子じゃのう」
今日、命蓮寺には「アイドル」がやってきた。いま命蓮寺のみんなは、居間の壁際に置かれたアイドルにくぎ付けだった。
「ただいまぁ。・・・なんじゃ、みんなして居間にあつまって」
寺に帰ってきたマミゾウが、廊下から声をかけたが、みんなアイドルに視線も意識もくぎ付けだ。
おかえりなさい、と後ろから呼ばれる。
「まったく、昼間からずっとこれだもの」
両腕に洗濯物を抱えた一輪が、マミゾウにおいついて、やれやれと笑った。
「そうか。この寺にも、テレビがやってきたんか」
居間の壁際に置かれた黒いアイドルは、いま、人里の食い逃げ事件を報じるニュースキャスターを映していた。
「ほんとに信じられないですね・・・これ中に人が入ってるんじゃないですか」
「こ、これ!あれですよね!デンパってやつですよね!」
「ばっちゃんの佐渡の実家のはもっと立派なやつだったけどね」
「あ!ほら、いま『こんばんは』って言われましたよ。ほら、挨拶しないと」
ニュースキャスターのあいさつに、丁寧に『こんばんは』と返す一同に、別にしなくていいよ、と苦笑するぬえ。そこではじめて、ぬえが廊下のマミゾウに気づいた。
「あ、ばっちゃん!帰ってたんだ」
「さっきからずっといたわい」
「おかえりなさーい!」
やっとマミゾウの帰宅に気が付いた一同がそういうと同時に、響子がトテトテとマミゾウに突進した。そのまま人の身の丈はあろうかという巨大なシッポにダイブ。
「あああ、もっふもっふ」
「あーこら!ぬえ様の許可なしに独占してんじゃねーよ!」
ぬえと響子がマミゾウの大きなシッポをとりあう。抱き枕じゃないんだから、と笑うマミゾウ。喧嘩はいけませんよ、と白蓮が声をかけるが、二人はお構いなしのようだ。
「あー、二人でシッポにしがみつくな、さすがに重い。・・・そういえば、ナズちゃんが見当たらんのう」
「そのナズちゃんと呼ぶのはやめていただけませんか」
廊下の奥から声がした。ナズーリンが、居間を横切ろうとしていた。
「なんじゃ、ナズちゃんはテレビはみないのか?」
「私は興味がないので」
「ほれ、尻尾もあるぞ?先着3名までじゃ」
「・・・二つ岩殿。あまり馴れ馴れしくしないでいただきたい。・・・そういうのは好きではありませんので」
ナズーリンはそのままマミゾウの横を通り抜け、廊下の奥へと消えてしまった。
あ、なんかアニメやってるよ!村紗の一言で、マミゾウ以外はみんな再びテレビにくぎ付けになる。響子とぬえも、一時休戦して居間へ駆け戻った。マミゾウの傍らの一輪も、初めて見るアニメの物珍しさに、洗濯物を抱えたまま居間に入る。
一人廊下に残されたマミゾウは、廊下の奥をただずっと見つめていた。
*******
もうすっかり夜も更けた。
さすがに今頃はみなアニメも見終わり、寝静まっただろう。
マミゾウは一人、4畳半ほどの自室であぐらをかき、ちゃぶ台の上のパソコンとにらめっこしていた。
カタカタカタカタ。
ロウソク1本とノートパソコンのモニタの光が、闇に飲まれた寺の一室をかすかに灯す。
カタカタカタカタ。
キーボードを叩く音が狭い部屋に響いた。
カタカタカタカタ。
ガラっ・・・・
背後でふすまがそっと開く音。こんな時間に誰だ?
首だけ振り向いたマミゾウだが、最初はだれだかわからなかった。暗い部屋の外で、深くうつむいた人影が、ゆっくり部屋に入ってきた。
「・・・今日だけ」
ようやくその人影がナズーリンだとわかった。
「今日一日だけ・・・・・・・」
なんだ、早く続きを言いなさい。・・・いや、うつむいていて分からないが、どうやら必死に声を絞り出しているようだ。
「すまんの、もういちど言ってくれんか」
「・・・・・尻尾を。・・・・お借りしたい」
ようやくなけなしの声を振り絞った。声も体も震えている。マミゾウは、ナズーリンが自分の体を抱える両腕を見ていた。
マミゾウは両腕から目を離し、ナズーリンに背を向けると、再びパソコンとにらめっこをしだした。ナズーリンの目の前に、尻尾が投げ出される。
「ああ。いいよ」
マミゾウの背中が、ぽつりとそれだけ言った。
マミゾウの背中は、スタスタと自分のシッポに歩み寄る足音を聞いた。足音は尻尾の目の前で止まる。マミゾウのシッポに、急に何か重いものがのしかかった。・・・あの子が、尻尾に突っ伏したのだろう。人の身の丈ほどの巨大なシッポだ。
カタカタカタカタ。
あの子は尻尾に突っ伏し、顔を尻尾の毛にうずめたまま動かない。マミゾウの背中はなにも言わない。
カタカタカタカタ。
「えぐっ・・・」
なんだ?マミゾウの背中が異音を聞いた。キーボードの手が止まる。部屋が静かになる。
「うぅ・・・くっ・・・ぐぅ・・・ぐずっ・・・」
嗚咽だ。尻尾に突っ伏したあの子から。尻尾の毛を小さい手でギュッとつかみ、顔は尻尾にめり込むくらいに強くうずめ、尻尾を大粒の涙で濡らしていた。
マミゾウの背中が止まっていた。全く動けずにいた。・・・だがすぐに、キーボードを叩く音が戻る。
カタカタカタカタ。
うぅ・・・ぐずっ・・・
マミゾウの背中は決して振り向かなかった。
********
しばらくそのままだっただろうか。
「ちょっと立つぞ」
ナズーリンが慌てて尻尾から離れると同時に、マミゾウの背中がゆっくり立ち上がる。マミゾウの背中が部屋のふすまへ向かい、そのまま部屋から出てしまう。
「5分で戻る」
ナズーリンは一人、取り残された。
その場で体育座りになり、膝小僧に顔をうずめる。両手でぎゅっと袖をつかんだ。
何時間もそうして座っていたような気がした。
5分後、顔をひざにうずめたナズーリンは、部屋のふすまが開く音を聞いた。自分へ向かう足音。足音は自分の目の前で止まる。・・・何かが床に置かれる音が聞こえた。膝からチラッとそれを覗く。おにぎりが1個、皿にのっていた。ナズーリンが振り向くと、マミゾウの背中がドスッとあぐらをかいて座った。パソコンに向かい、ナズーリンに背を向けて、キーボードを叩く。
「腹が減ったろう」
マミゾウの背中はそれだけ言った。
カタカタカタカタ。
ナズーリンは、床の皿に盛られたおにぎりを手に取った。そのままずっとおにぎりを見ていた。
一口食べた。ゆっくり噛む。シンプルな塩おむすびだ。・・・おいしい。胸から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
もう一口食べた。目頭が熱くなる。また涙が出てきた。嗚咽でまともに噛めない。
「う゛ぅ・・・ぐっ・・・えぅ・・・」
マミゾウのシッポに背中を寄せて、涙をぼろぼろ流す。小さな体が震えて熱い。それでも、このおにぎりはおいしい。
背中に寄り掛かった尻尾が、ナズーリンをそっと包む。あったかくて、柔らかくて、毛がすこしくすぐったかった。
カタカタカタカタ。
やっぱりマミゾウの背中は、決して振り向かなかった。
**********
どれだけ時間がたったろう。
おにぎりはとうになくなっていた。相変わらずキーボードを叩く音だけが聞こえる。もう嗚咽は聞こえない。
マミゾウの背中は、尻尾に寄り掛かっていたあの子が立ち上がる音を聞いた。
「・・・今日のことは、どうか・・・どうか、ご内密にお願いしたい」
マミゾウの背中は一言だけ、
「ああ、分かったよ」
と答えた。
背中は、あの子の足音が遠ざかり、そしてふすまを開けて、再び閉める音を聞いた。
カタカタカタカタ。
*********
「おはようございます」
ようやく冬の朝日が昇り始めたころ。今日も一輪が忙しそうに廊下を駆け回っていた。
「ああ、おはよう・・・」
マミゾウは挨拶を返すが、居間にくぎ付けになって一輪が視野に入らない。ああ、あれですか。一輪が苦笑する。
「うわああああああああああああん!!!」
「うわあああああああああああああああああん!!!!」
星と響子が寄り添って大泣きしている。朝からいったいなんなんだ。
「まだ泣いてんの、あれ」
村紗が呆れたように言った。
「いったい何があったんじゃ」
「ネロおおおおおおおお!!パトラッシュううううううううう!!!」
「フラン○ースの犬っていうアニメを見てたんですよ、昨日」
一輪が言った。そういえば、一輪の目もなんとなく赤い。
「いや確かに泣けるラストだったけどさぁ、ちょっとオーバーすぎるでしょ、あれ」
「村紗も昨日、大泣きしてたくせに」
「うっさい」
「・・・のお。一輪ちゃん」
こそっとマミゾウが一輪に耳打ちする。
(それ、ナズちゃんも見てたのか?)
(ええ。でもラストシーンの途中で部屋から出てっちゃっいましたけど。いいシーンだったのに・・・)
「だーもう!!いつまで泣いてるんですか!」
ナズーリンだ。めそめそ泣いてる寅に一喝してる。
「だってぇ・・・」
「だってもくそもありませんよ!もうしっかりしないと、ほら!」
「おはよう、ナズちゃん」
マミゾウがナズーリンに挨拶した。あっ・・・と一瞬だけ言葉に詰まらせたようだったが、
「だからそのナズちゃんというのはやめてくださいって!」
すぐにいつもの調子に戻った。
「・・・やっぱり、かわいい子じゃのう」
誤字報告
村沙 → 村紗
マミゾウは良いお婆ちゃんだな。
しかし、この寺一輪しか働いてないぞw
あとマミさんの対応がスマートすぎて惚れそう。
でもちょっとおしいのぜ