―1―
退屈なんて、自分で壊すものだ。
天上天下唯我独尊。
私はいつだって不良で、我侭で、そして非想非非想天。
それは今、雷を撃たれている時だって変わらない。
ここ最近、下界が雪つづきなので寒気の妖怪を更に煽って幻想郷中に氷を張って私が地殻を突起させて氷河期ごっこをしようイエイ!
と思ったらコレだ。
バリバリバリバリ。
骨が見えそうな程の刺激で肉を焦がしそうな衝撃がはしりまくって、全身がもう麻痺しちゃって息してるのかも怪しい。
ビリビリ、じゃなくてバリバリ! 腰痛なんか一発で治っちゃうぐらいに激しい。
脳みそ中がスパークしすぎて、もう快感なぐらいで頭が狂っちゃうんじゃないかな。
バリバリバリバリバリバリバリバリバリ。
流石にもういいよって思った頃にぴったりバリバリはおさまって、次に「ふわっ」がやってくる。
永江衣玖は、長すぎる袖を手足のように用いて私を縛って引き寄せた。
なすがまま袖に巻かれたまま、真正面でご対面。
おはようございますって言ったら、凄くニコヤカにおはようございますって会釈してくれそう。
それだけできっと男は惚れちゃうくらい衣玖は壮麗美人なのに、電気でバリバリするのが主な仕事だ。
ちょっと前に私が幻想郷で異変を起こしてから、衣玖はほぼ私専門のお目付け役になりきってしまった。
こんな手のかかる仕事もないだろうに。
紺色のショートヘアーを抑えながら、今日も衣玖はお決まりのワードを口にする。
「総領娘様、今、何をなさろうとしてましたか」
お得意の魚の死んだような目で、威圧をかけてきた。
衣玖は私をその場で離すと、手を後ろにまわして説教モードに入る。
おろし方が乱暴だから、お尻が痛い。
天界は未だに自然って感じの、岩地と砂利少々に花と桃の木なんかで出来ているから、小石が刺さる。
桃尻が固くなったらどうするつもりなのだろうか。食えなくなっちゃうじゃない。
私は胡坐を掻いて、氷河期の体験学習をしようと思いました、って答えてやる。
死んだ魚の目がぎょろり。
「総領娘様はどうして、まわりの迷惑を考えないのですか?」
「私が楽しいことがどうして迷惑になるっていうの」
「人にはそれぞれに感性があります、総領娘様が楽しい事が必ずしも幸福をもたらす訳では……」
「ある。楽しいに決まってる。他の者達がついてこれないだけなのよ」
やれやれ、とため息をついたいくは、天に向かって指差しして腰をくねらせる。
サタデーナイトフィーバーのポーズだ。
私は仕方ないので胡坐のまま電撃を受け入れる。
キュピーーン、バリバリバリバリ。
10万ボルトのトキメキ。
衣玖のポーズが似合ってなくて、ちょっと時代を感じさせてウケるので3回ぐらいバリバリさせてやってから、
「いくぅー……ごめんなさいー、私が考えなしだったぁー」
と、泣くと衣玖は空気を読んで私の涙をふいてくれた。
目がまるでルビーみたいに輝きだして、私の頭を大事そうに撫でる。
そんなに大事なら電撃やめろよ、と思うけれど、頭を撫でてくれる時の衣玖は本当に私の事を思ってくれているんだなって思う。
こんな時の衣玖はお姉ちゃんって感じで大好きだ。
私も負けじと少し大きな胸に抱きつく。気持ちいい。洗濯したばかりのシャツの匂い。
天界で暇を潰すとなると、この繰り返しが一番手頃だ。
桃を食っちゃ寝て、衣玖に雷を打たれて、おっぱいにぎゅーっ。
これで欲望は大体満たされちゃう、普通だったら。
でも私はそこで納得できない。
私の内なるパワーはもっともっと刺激を欲求し続ける。
蓄積のために、もう一回ぎゅっ!
しばらくして、衣玖は私に道徳の授業を施すと、どこかに飛んでいってしまう。
道徳不要也。
近くに桃の木が生えていたので、その下で仰向けになる。
木漏れ日という退屈が目の前に広がって、ぷらぷらと桃がゆれている。
緋想の剣を適当に投げると、これまた適当な数の桃が落ちてくる。
そのぐらい、桃がびっしり生えているのだから、そりゃ毎日の料理も似たようなものになっちゃうわよね。
美味しいけど飽き飽きする桃を噛みながら、次の行動を考える。
さようなら氷河期。
そして、新しいアイディアにこんにちは。
風に揺れる桃が、葉の間からうっすらと太陽光を反射し、いくつかがピンクの三日月みたいに見える。
かなりきつく抱きついたせいか、衣玖の清楚なせっけんめいた匂いをまだ感じちゃう。
それにしても衣玖ってば、あの大人しそうな身なりでナイトフィーバーのポーズをしょっちゅうするんだから、ボケてるのか何なのか。
……ん、結構面白いじゃんあのポーズ。
私は起き上がって、はぁんとか言いながらノビをして太陽を目を細めてみつめる。
ひたすらに眩しい。
目を閉じても青く残滓が残り続ける。
円の輝きが私を呼んでいるような気がした。
錯覚に決まっているんだけれど、面白い事はいつだって錯覚の先にあるの。
下界におりて何かするのがいけないのなら、上に向かっていこうじゃない。
それなら文句も言われないだろう。
そうだ、私の地層を操る力で宇宙まで地面を伸ばし、太陽の間近でディスコダンスを踊っちゃおう!
こんな真似は他の誰にも出来ない。船がないと宇宙にいけない悪魔達とは私は格が違う。
壮大にお馬鹿なディスコ!
アナーキーの頂点に立つダンスタイム!!
私のフロアは銀河系、ミラーボールは太陽系、私を止められるモノなんてあんまりいない!!!
アユーオーケーボーイズアンドガールズ!!
マイネーミーズディスコクイーン!!!
ヒナナァイ!!!! テンシ!!!!!
―2―
ダンスするには音楽が必要だ。
太陽やその他星々をがディスコナンバーをかけてくれる訳がない。
私はテンションあがりっぱなしだったが焦ること無く、妖怪の山に来て、宇宙まで持ち運べるレコードを作ってもらう事にした。
河城にとりの工房が下界では人気があるらしいのでたずねると、にとりは白黒の魔法使いこと霧雨魔理沙とラジコンカーで遊んでいた。
工房内はネジだかボルトだかや工具セットがコースを作るように配置されていて、彼女達はレースの真っ最中だった。
ごめんね、私今日はレースクイーンじゃなくてダンスクイーンな気分なの。
オイルの香りと、銀色に茶色が混じっちゃったような壁紙が、如何にもメカニックって雰囲気だ。
にとり自身も背負っているリュックサックからスパナやガスバーナーなどが見え隠れしていて、帽子の少し汚れた感じも職人っぽさがあっていい。
私が挨拶も省いて
「宇宙でも使えるレコードセットを早急に作りなさい」
と命ずると、やはり下界の常識レベルでは計りきれなかったらしくてポカンと口を開いていた。
二人のラジコンカーがクラッシュして、白黒カラーのF1カーは緑色の戦車に弾き飛ばされた。ガシャン。戦車強いわね。
にとりはうーん、と如何にも考えてますって感じの音を出しながら帽子をかぶりなおし
「お代は相当かかるだろうから覚悟しといてー」
と言うと、背負っていたリュックから半田ごてのようなモノを取り出して工房の奥の方にひっこんだ。
どれぐらいで出来るかは教えて欲しいんだけど。
私は今日踊りたいのだから。
椅子も見当たらないので、何が入ってるかわからない工具箱に座ると魔理沙が半笑いで近づいてくる。
「で、お前そんなもん作らせて、何する気なんだ?」
「踊るのよ。宇宙の中心で」
「宇宙ってお前、宇宙船作ったのか一人で」
「なんで船が必要なのよ。私の力を使えば、エレベーター式に一直線だわ」
「なんだよそりゃ、阿呆にも程があるだろ」
「私、退屈だから」
「へぇ。そりゃよっぽどだぜ、天界は試験もなんにもないのか」
案外うるさいやつだ。この魔法使いはロケットで月までいったらしいけど、それが身に堪えたのかしら?
興味津々っていうより、呆れてものも言えないぜって先輩顔してぶつくさ言ってくる。
魔理沙は半笑いのまま鼻の頭をこすりながら続けた。
「いやー、やめておいた方がいいんじゃないか。そもそも重力ないから踊れないって」
「踊るのよ。不可能を認めたときに、可能性は閉ざされる。思い込みは人生を狭めると心得よ」
「あー、はいはい、心得た心得ました」
衣玖が私をバリバリするときはこんな気分なんだろうな。
魔理沙はF1カーの電源を切って、余分な一言を発する。
「まぁ、せいぜい踊ってきてくれよ。誰にも見られやしないだろうけど」
別に誰かに見てほしくってやってる訳じゃないもん。
にとりの工房から戻り、再び天界に到着。
河童製骨伝導イヤホン付き宇宙対応レコードを急いで地面に固定する。
耐熱やら真空圧に強いやら宇宙では空気が無いから骨に響かせて鳴るこのイヤホンを耳に当てろだのエトセトラエトセトラ。
ようするに、この一見古めかしい茶色い土台のレコード盤は、宇宙でも使えるって話。
細かい事は気にしない。
河童の道具は、幻想郷ナンバーワン。お値段以上どころか、下手な神器よりヤバい。
にとりがひと仕事終えたーっ! と言いながら、栄養ドリンクをガブ飲みし魔理沙と楽しそうにラジコン遊びを再開していたのを思い出した。
あの河童が頼られている理由が何となくわかって、ちょっと悔しい。
「さて、行こうかな」
呟いても、私の声は誰も聞いちゃいない。決定的なにとりと私の差だ。
でも、そんなアンニュイになっても仕方がない。
私は不良天人、比那名居天子。理解されないのはもう馴れた。
一息大きく深呼吸。スーハースーハー。
そして、緋想の剣を地面に刺す。
地鳴りが始まる。私も揺れる。緋想の剣は赤々と燃えるようにオーラを発し、スペースシャトルの点火を思わせる。
そこに
「総領娘様ァーッ! おやめくださいーッ!!」
衣玖の声だ。
柄にも無く叫んでいるようだけれど地鳴りが凄くて何処にいるかわからない。
くるっと一回転すると、羽衣と帽子が視認出来る。結構遠いわね。
「危険ですよォー! 地震速報流さなくちゃいけないでしょォーッ!」
耳に手を当ててナァニ? ってジェスチャーで答えてやる。
もう動き出したから止まれない。
シャトルは火を吹いているんだから。
ファイアー。
ゴアッ!!
地面が飛び出す。
私を中心にして大地が上へ上へとのびていく。
ドドドドーッ! って揺れながら私を太陽まで導いてくれる。
一瞬で、衣玖の声が聞こえなくなって清々しい。
視界が真っ赤になったと思ったら服がボロボロと光を発しながら燃えていた。
大気圏って習った部分かな。オゾンだっけ?
お気に入りの服だったけれど、すぐに買えるから景気よく燃えちゃえ。
私は天人だから、やけどの1つも負わない。雷に打たれたってへっちゃらなんだから!
もう素っ裸になっちゃって、これは髪の毛が傷んじゃいそうだし日焼け止めも塗るべきだったかなぁって思ってたら、今度は真っ黒が私の前に広がった。
お、宇宙ね。
さっきまでの常夏の砂漠みたいな熱さから、冷凍庫に投げ込まれたみたいな寒さに変わる。
河童に宇宙服ぐらいは作らせるべきだったかなぁ。
けれども、そんな事はお構いなしに大地はグングン伸びて、私をあの光の源まで連れて行く。
きっと、この瞬間の私は、アンドロメダよりキラキラしている!
―3―
眼の前にすると、流石にでかくて驚いた。
私の真上には、プロミネンス渦巻く太陽。光り輝くミラーボール……にしてもあっつい。
マグマだとか、鬼の火なんてチンケに見える禍々しい熱の塊だ。
幻想郷にも霊烏路空という、太陽を模したスペルカードの使い手がいるけれど、リアル太陽は比べ物にならないぐらい壮大だった。
ちょっとビビる。
真下には何キロメートルとかそんな次元じゃないぐらい伸びに伸びた、8畳程度に広がる大地。
干上がったみたいにカサカサしてしまっている。
ここが私のお立ち台。
実はしっかり踏ん張ってないと浮きあがって戻れなくなりそうだ。
結構体力を使いそうね。
周囲の星々がまるでネオンライトでいかにもディスコ! 胡散臭いぐらいきらびやかで心躍る。
レコードセットは無事耐え切って、針が落ちるのをまっている。
レッツパーティータイム!
早速、随分前に衣玖の部屋から盗んできたレコードを回す。
ZUNZUNZUN!
リズムの取りやすそうな機械的な音が流れ始めた。ナニを歌っているのか良くわからない甲高い声。パーティーって言葉はわかる。
さて、ここで気がついた。
ディスコダンスなんて全然知らない。
衣玖のポーズが有名なディスコのものらしいってことしか私は知らない。
ZUNZZZUZUNZUNZUN!!
ゆるいんだか、リズミカルなんだかわからない曲はまたパーティーパーティーいっている。
えーっと、どうしよう。
すっかり棒立ちしちゃって背筋ピーン。
動いていないのに汗もダラダラ流れはじめてて、足元なんか鉄板を熱したみたいになってきた。
と、とりあえずなんか踊れ! 私踊りにきたんだもん!!
ZUNZUNTATAZUNZUNZU!
ステップよ! こう、足をどたどたさせればステップ!!
もう手とかどうしていいのかわかんない。
阿波おどりみたいになっちゃってる気がする。手が蝶っていうより蛾みたいに舞う。
ZUNZUN! PARRYPARRY! ZUNZUNZUNTATA!
曲の盛り上がりっぷりと反比例する私の体。バテてきた。
太陽に吸い込まれそうで必死に抵抗しながら左右に揺れる。
そうだ! 衣玖のポーズだ!! フィーバー!!!
私は太陽に指を突き立てる。
腰にもう片方の手をあてて、お尻をちょっと振ってみた。
これが私の存在証明。
ZUNZUNZUN! OH YEAH! ZUNZUNZUN!
指先がまるで光っているような気がして、こんなにアツいのに星の輝きは冷たくて、ジワジワとぼやけてくる。
なんで泣いてるんだろう私。
こんなところで考えなしに裸で阿呆みたいなポーズとってるのも泣けるんだけど、もっとそんなことじゃないの。
寂しくなっちゃった。
輝いている全てが、私をちっぽけにして惨めにして孤独になってどうしようもなくて。
今だって他の幻想郷の連中じゃ誰にもできないことしてるハズなのに、誰も私のことを見てくれていない。
果てしなく広いディスコフロアに、私しかいない。
もう訳わかんないんだけれど、このポーズはやめない。
やめちゃったら、哀れすぎる。意地でもこのポーズを続けなくちゃ。
ZUNZUNZUNTATAZUNNZUN!
大地が段々と乾いてきて崩れてきている。
太陽に吸い込まれるようにして、砕ける。ボロボロボロと。
ZUNZUNZZZZZZZZZZZZZZZAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA……
レコードも飛んでいてしまった。
徐々に狭くなっていく大地が、私をもっともっと孤独にしていく。
緋想の剣を抜いて引っ込めようと、ポーズをやめた時にはもう遅かった。
力が入らない。こんな季節に熱中症とは、とことんバカな話だわ。
剣を掴んでいるのがやっとの状態で、視界は洗濯機の中に入れられたみたいにシェイクされている。
歯がガチガチ言い始めた。もう熱いのか冷たいのかも良くわかんない。
緋想の剣が、大地から抜ける。
もうダンスフロアはない。
私は宙をまって、全身が泣いているみたいに濡れてて、力が入らなくってコワイ。
このまま太陽に吸い込まれるんだろう。
こんな終り方、考えてなかった。
私は……いつだって無茶苦茶やって、全部失敗で、愚か者扱いされちゃって
私は……
そして、ふわっと、包まれる。
―4―
バリバリバリバリ!
刺激的な目覚め。こんな寝起きを体験出来るのも私ぐらいだろう。
私は衣玖の羽衣に、のり巻きみたいにグルグルにされて転がされていた。
天界の緑覆う地面。のどかな草木と石鹸の匂い。
私は天界に戻ってきていた。
「総領娘様! 無茶苦茶やってくれましたね!!」
「あ、衣玖、おはよう」
「何寝ぼけているんですか、全く」
「え、衣玖ったら、何? 泣いてるの?」
右手で目の辺りを抑えてて、確認できないけれど、普通に見ればあれは泣いてるポーズよねぇ。
空気を読んだ衣玖が、もう少しで私はクビになるところでしたよ、と言って誤魔化す。
いや、誤魔化したんだよね? クビになるから泣いてたんじゃないよね?
どうしてここまで戻って来れたのか、全然わからなかったけれど、衣玖にはたずねなかった。
羽衣で何とかしたんだろうかとか色々パターンはあると思うけれど、どっちにしたってウソだーって思うような内容なんだ。
そもそも、私がウソみたいなやり方で太陽までいったんだから。
だから衣玖には質問するかわりに、ありがとうって言った。
「ついでに、このグルグル巻きもとってね」
「ダメですよ。今日は一日そうして反省なさい」
衣玖はため息をついて、道徳の時間をまた始めようとする……と、衣玖が影に覆われたように暗くなる。
影?
衣玖だけじゃなくて、ところどころ影の中に入っちゃっているみたい。それも不規則に。
私と衣玖は周囲を見渡すが桃の木ぐらいしかないし、天界は雲の上にあるから常にお日様さんさんって感じよね。
なのに、暗い。なんで?
「あ!」
声をあげたのは衣玖だ。私も衣玖と同じように空を見上げた。
皆既日食が起こっているようで、太陽が少し黒くなっている。
それも、均一じゃなくて人型みたいな変な形に欠けている。
……ううん! 違う! あれは私だ!!
私のサタデーナイトフィーバーだ!!!
太陽はほんの少し私がずっとしていたポーズの形で欠けているんだ。
太陽光って遅れて幻想郷にも降り注ぐって聞いたけれど、それが今、繁栄されて私に遮られた部分が見事に影絵になっている。
腕のあがりかたが微妙に緩くて、腰も何だかヘッピリ腰で、寸胴で、中途半端に内股になっちゃってる私の形。
うわっ、だっさい!
思わず赤面しちゃうぐらいには、こっ恥ずかしい。
すると、衣玖が手元を抑えてアッハッハッハと笑う。
口を抑えているのに、それでも歯が見えるぐらい、おっきな口をあけている。
そんなに笑うことないじゃない! なんて言いながら私もつられて笑っちゃう。
じっとこのセカイを見下ろした私の影絵は、10分ぐらいでフェードアウトした。
私と衣玖は、消えちゃうまで、ずっとずっと見届けた。瞬きもなるべくしないようにしてたから、目が乾いちゃった。
きっと幻想郷中に見られているに違いない。
異変解決軍団が動きだしたりしちゃったらどーしよう!
私はまたニッコリ笑う。
そのまま、ぽかぽかした陽気と、衣玖の香りを感じながら、目を閉じる。
まぶたの裏でも、太陽の丸い円の中で、私はポーズをとっていた。
退屈なんて、自分で壊すものだ。
天上天下唯我独尊。
私はいつだって不良で、我侭で、
そしてディスコクイーン! イエイ!!
―おしまい―
宇宙空間で音は(ry
あまり無茶すんなよ総領娘様!
火にかざすとうるさいくらいに輝いてすっと収束していくような。
天子ちゃんどこまでも煌めいていて欲しい。