「フッーハッハァ!何処へ行こうと言うのかしら、鈴仙!」
「姫様が追いかけて来れない場所です!」
「永琳は今、往診に出ているし、てゐもいない。つまり今ここには、あなたと、私だけよ?ていうか、どうして逃げるのよ!!」
「追いかけてくるからじゃないですかぁ!!」
もう、どうしてこうなった……たしか朝、ご挨拶に行った時は、普段通りだったはずなのに。またてゐが何か悪さしたのかしら。師匠は師匠で、私が人里へ置き薬の確認に行って帰ってきたら、「診に行ってくるから留守を頼むわね」なんて言って出て行っちゃうし……
「大丈夫よ、なんていったって可愛い、可愛い家族だもの。酷いようにはしないわ!」
「酷いようにはって……何かをするつもりなんですか?!」
「あら、家族の成長を見るのがそんなに可笑しなことかしら?」
「え?い、いや。そう言われれば……って!ならどうしてそんなにノリノリで追いかけてくるんですか?!」
「月兎が制服着て逃げるんですもの、追いかけない方が可笑しいわ!」
はやく!はやく帰ってきてください師匠!!貴女の可愛い、可愛い弟子の貞操がピンチです!!ふええ、もうやだこの姫様……何かキマッテるみたいだし……
「そおれ、え~い」
って、えぇ?!あれ?!前からダイブ?!さっきまで後ろに?!イタタタタ!耳!!耳を引っ張らないでぇ!!取れちゃうー!!
「ちょ、姫様。須臾を集めましたね……?」
「あら、何のことかしら?さて、愛しのイナバタンの健康診断と行きますか……」
「ひ……ひどいです……あんまりです……」
その後、私は姫様にいろいろ触診されました。乙女のハートがボロボロになりました。もうお嫁に行けません。師匠、私汚されちゃいました……。
「ふむ、なんだかんだ言っても体は正直ね。ちゃんと成長しているじゃない。お父さんは大いに満足よ」
「もう……しかもお父さんって……そりゃまだ成長期のつもりですから。成長してくれないと私、永遠の夜を枕で濡らすことになります」
「あら、永遠なんてまた難しい言葉を、この子は」
「そのお父さん目線やめてください……」
「こ、これが反抗期?!かーさん、かーさーん」
「誰もいないですよ?!」
「あら、そうだったわね。まぁ、でも。楽しかったわよ鈴仙、ありがとうね」
「え?あ、はぁ……健康診断くらいならいつでも……でもどうしてまた突然?」
「うーん、特に深い理由はないんだけどね。ほら私と永琳は蓬莱人だから、体はもう成長しないのよ。その点、あなたはまだ発育途中なんでしょ?」
そうか。この人は永遠を生きる人になってしまったんだ。永遠ということは変化がないんだ……それは……
「良い肉付の兎なべってのも乙なものね」
「姫様?!」
「うふふ、冗談にゃー」
まったく……でも師匠がいないこんな時、それは…それはとても寂しいんじゃないのだろうか…独りで時を過ごすというのは、永遠を生きるというのは。だから、それを悟られないように元気に振舞って……
「姫様、ちょっと失礼します」
「え?何?」
「よいしょっ」
「……あのー、鈴仙?どうしてハグ?」
わ、姫様の体ってすごく小さい。それに良い香り。お人形さんみたい。
「私もお傍におります」
「え?」
「私は月兎で、臆病で、たまにドジったりしますけど、それでも姫様を思う気持ちは誰にも負けないつもりです。辛くなったり、寂しくなったりした時は、名前を呼んでください。私は会いに行きます」
「鈴仙……」
「はい」
「……」
「……」
「お師匠様~、頼まれていた薬草採ってき……姫様にレイセン?何してんの?」
「ふぇ?!てゐ?!わっ?!きゃっ!!」
「ちょ?!イナバぁ?!」
ゴチン☆ミ
「……なるほど、てゐが帰ってきたら、二人はのびていたのね。それにしても我が弟子はおとなしく留守番も出来ないのかしら」
「しかも、姫様まで一緒に巻き込んだみたいウサね。あ、レイセンが上だったウサ」
「ハァ、まったく……この子達は……」
「まぁ、でも」
「何?」
「二人ともこうして寝てると姉妹ウサね」
「そうね、気持ちよさそうな顔してのびてるわね」
「ウッサウッサ」
おもしろかった。が、原作っぽくはないな。(ノリ)
でも姫うどんはいいよね! 原作っぽい!