年の瀬が迫り、新年を迎える準備に追われる朝の人間の里。
大通りの真ん中に座り込み冬への呪詛を唱え続ける秋の神様を、邪魔くせえなあと思いつつ忙しいので皆で無視するこの時期。
誰もが慌しく動き回る中、私は早めに大掃除を済ませ綺麗になった我が家で、暖を取り本を片手にのんびりと筆を走らせていた。
「あれー? ここ、なんて書いてあるんだっけ?」
読んでいるのは私が書いた本。正確に言えば、私だった人達が書いた本。
求聞史紀を初めとする幻想郷縁起。人間が妖怪達から身を守る為に編纂された書物の数々。それらは阿礼乙女の手によって時代に合わせて作り直され、そして次の世代に伝えられていく。
「るなちやゐるど? うわ、何これ、目が回るわこの文字」
九代目阿礼乙女である私も、最新版の幻想郷縁起を現在絶賛編纂中。
何年か前に、既に一冊出版しているのだが、近年になって新たに幻想郷に移住してきた者や、長年の眠りから目覚めた者が続々と出現し始めた。
山の神社が転移した頃は、たかが数人程度、新ページを追加した完全版を出すか、一人100ゲイツ辺りでバラ売りにでもすればいいやと軽く考えていた。外の世界で流行ってるんでしょ? この手の売り方。
が、その後も毎年のように新たな妖怪達が現れて、こりゃあ追加コンテンツ商法じゃカバーできんわと思い、完全新作の求聞史紀続編の制作に着手したのだった。
そんなわけで、今日も今日とて私は執筆作業に励んでいる。
新たに書き加える人たちは宗教関係者が多いから、勢力ごとの代表者を選んで討論させるって企画も面白いかもね。
早苗・星・布都の、熱意は人一倍ある代わりに頭のネジが数十本単位で抜けてそうな三人による、白熱の大激論会。お、これウケるんじゃない? 主に、真剣10代しゃべり場を笑いながら観てた層に。
発売予定は来年初め。みんな買ってね。
「……あ、ルナチャイルドか。読みづらいなぁ。普通にカタカナで書いてよ、私」
そして今、私が手に取ってるのは稗田阿七が書いた求聞史紀。二代前の私ね。
筆を持つ手が止まったとき、私は過去の幻想郷縁起を読むことにしている。
情報自体は古くて使い物にならないが、当時の考え方や妖怪に対する印象が今とまるで違って結構面白く、読んでると頭の休憩になるのだ。
「極めて残虐な恐ろしい妖精。周囲の音を消し、気づかれないように背後から迫り、その栗みてぇな口で首筋に喰らいつく……」
……ほらね。
とんでもないネガキャンがあったもんだ。
いくら妖精相手とはいえ、これは流石に言われ無き誹謗中傷過ぎる。妖精嫌いの私ですら少し引くレベル。
だけども、阿七は決してルナチャを貶すつもりでこれを書いたのではなかったのだと思う。
当時、人間と妖怪は狩る側、狩られる側の関係であり、運悪く出会ってしまったら逃げるのが基本、という時代だった。
妖怪の情報なんて数少ない目撃情報か言い伝え・伝説だけが頼り。あのズッコケ妖精が人食いとして伝えられるのも無理はない。多分、トマトを盗み食いしてる所でも見られたんじゃないかな。
「サニーミルク、強靭な二本の牙で獲物を引き裂く。八重歯から想像力働かせ過ぎだろ。スターサファイア、地味。あ、これ今と変わんないや」
改めて読み直すと、過去の求聞史紀にはとにかく妖怪の強さ、残虐さが強調されている。
当時の人間達にとって、人ならざる者がいかに恐怖の対象であったかが読み取れる。
「でも、今となっては人食いなんて、幻想郷の中ですら幻想になった存在だけどね……」
しかし時勢は変わり、人は妖怪を恐れなくなり、妖怪も人を襲わなくなった。今や人間と妖怪は良き隣人同士。中には恋仲にまで発展し子供をもうけた者達すらいる。
人と妖が手を取り合う、実に平和で幸福な時代。この時代を生きる私とてそれは例外ではない。妖怪の友人も大勢いる。例えば……。
「はぁい、おはよう阿求。今日も憎たらしい太陽の野郎がクソ元気な最低な天気ね」
……いつも何の脈絡もなくやってくる、蝙蝠の羽を生やした彼女とか。
「……おはようございます、レミリアさん。今日は会う約束してましたっけ?」
「あれ、来る前に里の方に向かって超音波出しておいたんだけど、気づかなかった?」
「次からは人間にも理解が可能な方法でお願いします」
紅い悪魔、レミリア・スカーレットは、日傘をその辺に適当に放り投げ、遠慮をすることなくズカズカと私の部屋へ入ってくる。
畳の縁を踏むのはまだいいとして、せめて靴ぐらい脱いでくれないかな。我が家は日本家屋だ。欧米のような掃除が簡単なフローリング構造じゃないし、面白い事を言うとどこからか笑いが巻き起こったりもしない。ジェシーおいたんも居ない。
「こんな時間から来るなんて珍しいですね。何の御用ですか?」
「あら、用事がなきゃ来ちゃいけない?」
「できればそうして欲しいですが」
「……じゃあ、大好きな阿求の顔を見たくなったから」
「気色悪いです」
彼女のことだ。特に理由もなく、暇だから来てみただけだろう。
レミリアだけじゃない。我が家には妖怪の友人が遊びに来ることが多々ある。
あいつらは基本自分本位だから、自分が来たい時にやってくる。早起きの幽々子は日が昇り始めた頃に来るし、昼間寝てる輝夜は深夜にやってくる。ついでに閻魔様は給料日前に飯をたかりに来る。体からミートソースの匂いがしたら、安いパスタで食い繋いでる証拠だから要注意。
賑やかなのは嫌いじゃないし、彼女達は友人だからあまり厳しくは言いたくない。が、少しは私を労われ。早死するぞコラ。ただでさえ寿命短いんだからよ。
「ねえ阿求、一緒に遊びましょうよ」
「遊びましょうって……すいません、今はやる事があるんで、少し待っててもらえますか?」
「何よーやる事ってー。私のお誘いよりも大事なことなのー?」
レミリアは私の肩に頭を載せて本を覗き込んでくる。
「さっきから何読んでんのよー?」
「稗田阿七が書いた幻想郷縁起ですよ。今、新しい求聞史紀を編纂中なんで、それの参考に」
「求聞史紀? ああ、前に阿求が作ってた本ね。私も持ってるわよ」
「それはそれは、お買い上げありがとうございます」
「裏表紙の幽々子の生首は一体何の意味があったの?」
「さあ?」
「……あんたが書いた本でしょ?」
そんなこと言われてもなー。
「なに、あの本また作るの?」
「新しく幻想郷に来た人達が大勢いますからね。あ、そこの棚の上にある箱取ってもらえます?」
「ほう、夜の王にパシリを命じるとはいい度胸ね」
「これ終わったら遊んであげますよ」
「こちらに、阿求お嬢様」
一瞬で手元に箱が届く、おお早い早い。モヤシより安いね、夜の王のプライド。
「で、何この箱? 何が入ってるの?」
「色々です。歴史書、伝承・民話の本、それに代々の阿礼乙女のメモ書き。幻想郷縁起を書くのに必要な資料が全て纏めてあります」
「へえ、どれどれ……」
レミリアは勝手に箱を開け、中を漁りだす。
いや触っていいなんて一言も言ってないんだけど。貴重なものも結構あるから、あまり乱暴に扱われると困るのに。
「ん、これは……」
何か興味を引かれるものがあったらしく、レミリアは箱の中から一冊の本を取り出す。
「……何かありましたか?」
「ねえ、このノートって何? 沢山絵が描いてあるんだけど」
「んー、えっとそれは……」
年代物ばかりの箱の中で、一際目立つ新しめのノート。見覚えがある。さて、なんだったか。
……そうだ。これは私が絵の練習に使ったノート。
求聞史紀をより多くの人に読んでもらう為、親しみやすいようにイラストを載せようと思い立って。それでどうせなら絵描きに頼むよりも自分で描こうと考えて、絵の練習用に買ったのがこれだ。こんなところにあったのか。
「ふーん……」
レミリアは興味深そうに一枚ずつページを捲る。
デッサンも何も知らないド素人状態からスタートした私の絵の歴史が次々と晒されていく。
……なんだろう、体の奥がむず痒い。
「人物が全員左を向いてるわね」
「……当時はその方向しか描けなかったので」
「両手を後ろで組んでるポーズばかりだわ」
「……全身絵って想像以上に難しいから、つい描き易い構図に頼ってしまうんですよ」
「このページの隅に描かれた、幻想郷縁起とは一切関係無さそうな、柄に宝石が埋め込まれたやたらとゴテゴテしたデザインの剣はなんなの?」
「何となく描きたくなっただけです。……すいません、そろそろ恥ずかしくなってきたんで勘弁してもらえますか?」
いやマジでこれ以上はやめて、顔が凄く熱いから。
なにこれ。昔の絵をまじまじと他人に見られるのがこんなに恥ずかしいものだとは思わなかった。
嗚呼、出来ることなら今すぐ枕に顔をうずめてジタバタしたい。それでどうにかなるわけではないけれど。
「まあ、安易に物書きに逃げず、絵の腕を上げたのは誇れることよ。胸を張りなさい」
「物書きが全員、絵が描けないから仕方なくやってるみたいな言い方は止めてください。ウチだけです、そんなの」
レミリアからノートが投げ渡される。
……よかった。私の記憶を辿れば、確かあの後のページにあるのは、私の脳内で展開されてるオリジナル大長編ファンタジーの設定集。あれを読まれたら、精神を正常に保っていられる自信が無かった所だ。主人公の覚える魔法とか書いてあるし。
「他に何かないかなぁー、っと」
再び、箱の探索を始めるレミリア。
……もう変なものは出てこないでおくれよ。
「っと、なんだこりゃ?」
レミリアが次に取り出したのはやや薄汚れた分厚い冊子。よし、あれは私に関係なさそうだ。
「……『幻想郷における決闘法の題材について』?」
冊子の表紙にはそう書かれていた。確かこれは……。
「あー、それは昔行なわれた会議の議事録ですね」
今を遡ることウン年前。
幻想郷の大事なルールを決める会議が里の集会場で行なわれた。あの冊子はその記録。
幻想郷縁起を書く際の重要な資料になるので、私の家で管理保管をしてるんだった。
「決闘法……ってことは?」
「はい、その会議で、幻想郷における決闘ルールが決められたんです」
「へえ、なるほどねえ」
人と妖怪が仲良く暮らす平和な幻想郷。
だが、人を襲わぬ妖怪は妖怪に非ず。自らの存在意義を放棄した妖怪達は、次第に力を失っていった。
そこで危機感を覚えた妖怪のお偉いさん方。色々話し合った結果、擬似的に人を襲える術。公式の決闘ルールを作ろうって話になった。
それで採用されたのがそう、皆さんご存知、例の愉快なカードファイトなんだけど、当初はどんなルールにしようか侃々諤々の議論が連日繰り返されていたそうな。
「野球、サッカー、カバディ……ふうん、既存のスポーツって案も結構あったのね」
「皆が知ってる競技の方が分かりやすいし親しみやすいって考えでしょうね。それにほら、結構利権とか絡むんですよ、各スポーツ協会とかの」
「大人の世界ね。私には縁の無い話だわ」
「いい加減大人になってくださいよ、五百歳児さん」
結局、大勢でやるものは気軽にできないからって、スポーツは殆ど却下されちゃったけど。
基本は人間と妖怪が公平に戦え、かつ場所と機会を選ばない事。いざ考えるとなると相当難しい条件だなあ。
「相撲……あら、これ最後の方まで候補に残ってたのね」
「ええ、一対一で戦えて、かつ伝統ある日本の神事ってことで、かなりの支持者がいたみたいですよ」
「一歩間違えば、これが採用されていた運命もあるってことか。異変を全て相撲で解決する世界……恐ろしいわ」
「庭に作られた土俵の周りで、マワシ一丁で挑戦者を迎え撃つ美鈴さんに咲夜さん。紅霧異変はそんな光景になってたのでしょうか?」
「異変というよりSOD企画モノの撮影現場ね」
それも最終的には、土俵に女性は上げられないってことで却下になったらしいけど。ありがとう日本の伝統。男女平等なんていらない。
「色々と話し合われたみたいだけど、私はやっぱり今のが一番って気がするわね」
「私もそう思いますよ。結果論かもしれませんが」
公式の決闘方法が決められて早数年。今では誰もがルールに基づいた決闘を楽しみ、幻想郷は上手く回っている。
あの時の会議は、最も良い答えを導き出したのだ。私はそう信じている。
「あー、やべー、マジ暇だわー。暇すぎて死ぬわー」
議事録トークで盛り上がってから約三十分後。
箱の探索にも飽きたレミリアは、私の後ろで寝っ転がり退屈に苦しみながらうーうーと呻き続けている。
「ねー阿求。まだ終わんないの? そろそろ遊ぼうよー」
「待ってくださいよ。あと少しで一段落つくので」
「それさっきも聞いたー」
「暇なら、その辺の本でも読んでたらどうです?」
「ここの本、つまんないからいい。漫画ないの漫画? なんかこう、好きな漫画に挙げれば通っぽく振舞えるようなヤツ」
「ヒミズもヒメアノ~ルも買ってません」
一段落付いたら相手をしてあげるっつってんのに、ずっとこの調子だ。
おかげで気が散って全然作業が進まない。どうして吸血鬼ってのはこう我慢が足りないのかね。
「あああ、もう限界よ。ねえ、まーだー?」
「はいはい」
「うふふ、私をこんなに焦らすなんて、阿求ったら、イ・ケ・ナ・イ・娘!」
「……」
「こらー、少しは反応しろー。これだけ誘ってんのに応じないとか、ヤレヤレ系主人公気取りかー」
我侭お嬢様の喚きは、時間が経つのに比例してどんどん酷くなる。
もはや言動が完全に子供のそれ。カリスマブレイクという言葉が懐かしい。今やブレイクするカリスマがない。
はあ、この状況で無理して執筆を続けても、効率は上がらないか。
「……仕方ありませんね」
「え?」
「遊んであげますよ。それで気が済むのなら」
「いやっふぅー! 流石阿求、話が分かるわねっ!」
天井近くまで飛び上がって喜ぶレミリア。
そんなに嬉しいのか。そこまで遊びたいなら、咲夜さんや美鈴さんに頼めばいいのに。
「私は、阿求と遊びたいのよっ!」
「……そらどうも。それで、何をして遊べばいいんですか?」
「そんなの決まってるでしょ!」
レミリアは懐から紙の束を取り出し私に見せ付ける。裏面が独特の模様で統一された、掌サイズの長方形。
私たちにとって馴染みの深い『カード』の束。目にした瞬間。私の心が静かに震えるのを感じる。
「幻想郷での『遊び』といえば、これ以外にないでしょ!? さあ阿求、貴女のカードを取ってきなさい! この私が直々に、ケチョンケチョンにしてあげるわっ!!!」
◆◇◆
「この部屋が丁度いいですかね」
「ふん、まあいいじゃない」
私達は広めの部屋へと場所を移した。これから起こることを考えたら、自室では少々狭すぎる。
「手加減は無し、本気でやらせてもらうわよ」
「それは、こちらとて同じことです」
レミリアとある程度の距離を取り対峙する。
興奮しているのか、彼女の瞳が真っ赤に輝き私を見つめる。人食いを恐れる人間の本能か、その姿を見て思わず唾を飲み込む。
「ふふ、怖いのかしら?」
「まさか、私が今更その程度の威嚇で怯むとでも?」
「強くなったわね、阿求。初めて私と会った時は、情けないほどに足を震えていたというのに」
「お褒め頂き光栄です、お嬢様」
レミリアから発せられる妖気が、私の全身をピリピリと刺激させる。
擬似的とは言え、彼女は今から人である私を襲うのだ。感情が高ぶるのも仕方ない話だろう。
だが、私とて黙って狩られるわけにはいかない。全身全霊をもって、人としての抵抗をさせてもらおう。
「特殊な条件なしのスタンダードルール。どちらかの体力が尽きる、もしくは降参で決着。いいかしら?」
「問題ありませんよ」
誇り高い吸血鬼らしい、小細工のない正面からの勝負。望むところ。私もその方が全力を出せるというものだ。
縁側から吹き込む爽やかな刺すような冬の風が部屋の中に入り込む。闘気で体が熱くなった私達には心地いい。
しかし、これから巻き起こる激闘の前には、この程度のそよ風何の役にも立たないだろう。
「さて、どっちが先攻するのかしら?」
「私はどちらでも構いませんよ」
「では、運命に委ねるとしましょう」
レミリアが一枚のコインを手に取り、指で高く弾きあげる。
鈍く輝く銀色のコインは数十回の回転の後、『妖怪』の絵柄を上にして床に落下した。
「私が先ね。ふふ、せいぜい一撃で終わらないよう頑張って頂戴」
「口上は結構。始めましょう」
「……いいわ、お望みどおり、か弱き人間に吸血鬼の力を思い知らせてあげる!」
レミリアは鋭い牙を見せてにやりと笑う。
そして、手に持った五枚のカードから一枚を抜き出し、里中に響くような声で高らかに宣言する。
「少女召還! 来なさい、『パチュリー・ノーレッジ』ッ!!!」
ペシン、という軽い音を立て、カードは絵柄を上にしてテーブルに叩きつけられる。
そしてそこから魔力の光が溢れ、場にカードに描かれたのと同じ、20cm程の小さな少女の姿が現れた。
その名はパチュリー・ノーレッジ。
紅魔館の大図書館に居を構える魔女にして、レミリアの友人。なるほど、彼女らしいチョイスだ。
「パチュリーを守備表示、更にカードを一枚伏せターンエンドっ!」
場に少女が一人、それに伏せカード一枚。最もありがちな構図を作り出し、レミリアのファーストターンは終了した。
「さあ、貴女のターンよ。どう攻めてくるか楽しみだわ」
「……」
私は黙って自分の手札を見つめる。
パチュリーは高い素質を持つ魔女だが、喘息がそれを相殺している。そこまで恐れる相手ではない。
気になるのはやはり伏せカード。罠か、ブラフか、それとも別の意図があるのか。それを読み間違えれば、一気に負けに流れる可能性もある。
……だが私にはそれを看破する術がない。今出来ることはただ一つ。私は手札から一枚のカードを抜き取りテーブルに叩き付けた。
「少女召還! 出でよ、『アリス・マーガトロイド』っ!!!」
私の置いたカードから七色の魔法使い、アリスが現れる。
アリスとパチュリー。幻想郷で名の知れた魔女二人が無言で対峙する。
「……ふん」
レミリアはアリスを見て小さく鼻を鳴らす。
「十万枚に一枚の割合で存在するスーパーレア・アリス……。アリスらしからぬ大妖怪に匹敵する強大な力を持ち、貴女を何度も勝利に導いた阿求デッキの顔とも呼べる恐るべきカード……」
「丁寧な説明、ありがとうございます」
私の出したアリスは、そんじょそこらのアリスとは訳が違う。
まともに手に入れるには、詐欺兎と最低三年はちゅっちゅらびゅらびゅしなければならない程の幸運が必要とされ、オークションに出せばどこぞの翼アバターよりも高値が付けられるというとんでもないカードだ。
能力値もそれに見合い異常なまでに高く、更には絵柄もシリアス・バトル系の話に出てきそうなマジな雰囲気で描かれ、本物よりも凛々しく格好よくなっている。おっぱいも一割増しで大きい。
気まぐれに買ったカードパックから偶然手にしたこの激レア・アリスカード。
それがきっかけでカードバトルに手を出し、私の人生は大きく変わっていった。アリスカードは私の戦友、そして運命の導き手とも言ってもいい存在なのだ。
「覚悟はしていたけど、まさか一ターン目で出すとはね……」
「都合が良すぎると思いますか? この手のカードバトルは、そんな展開は日常茶飯事ですよ?」
「そういうものかしら?」
「そういうものです。場に出せないカードばかりドローして、ブルーアイズにカスりもせずに一方的にボコられる社長なんて見たくないでしょう?」
ともあれ、アリスを場に出た以上、することは一つ。
「アリス! パチュリーに攻撃を仕掛けなさいっ!」
私の指示を受け、アリスはパチュリーに向けて無数の魔法弾を発射する。
前述の通り、レア・アリスの攻撃力はズバ抜けており、幽香の傘すら軽々と貫通する。ルマンドよりも脆い貧弱なパチュリーでは一溜まりもない。
「……甘いわ」
レミリアが静かに呟く。不審に思った私は、テーブルの上に視線を向ける。
「!?」
我が目を疑った。
そこには、アリスの無数の魔弾の直撃を受け爆煙に身を包まれながらも、平然とその場に立ち尽くすパチュリーの姿があったのだ。
「なっ? 効いてない……!?」
アリスの魔法が当たっているにも関わらず、パチュリーは一切怯まない。それどころか、攻撃など無かったかのように平然とした顔で読書を始めた。更には空いた片手でピザを食べ始める始末。
何故だ? なんで効いてないんだ!? 伏せカードが何かしたのか? いや、レミリアのカードはまだ伏せられたままだ。だったらなぜ……。
「ふふ、不思議そうな顔をしているわね」
「パチュリーでは、私のアリスの攻撃に耐えられないはず、これは一体……」
「普通のパチュリーならね。でも、私のは特別なの」
「まさか、厚紙に絵を描いて作ったオリジナルカード……?」
「そんな小学生みたいなことしないわよ! ほら、見なさい!」
レミリアはパチュリーカードを手に取り、私に見せ付けてくる。
そこに描かれていたのは、ラメが入り鮮やかに輝くパチュリーの姿。私の知っているパチュリーカードとは違う、只ならぬオーラが放たれていた。
「出る確率、十万分の一。そう、これは貴女のアリスと同じ、スーパーレア・パチュリーなのよ!」
彼女の口から出た衝撃的な単語。スーパーレアのパチュリーだって!?
「そ、そんなものが存在したのですか!?」
「知らないのも無理はないわ。これは、最近発売した新シリーズにしか入ってないもの」
「貴女は、それを引き当てたと言うのですか!?」
「ふふ、そうよ。貯めたお小遣いを全部持って、朝イチに玩具屋に並んで箱単位で買い占めてね!」
「お、大人買いですって……!? 他のお客さんの事を考えない、まさに悪魔の所業……!」
「咲夜には内緒よ。無駄遣いしたって怒られちゃうから」
まさか、パチュリーにもスーパー・レアカードがあったなんて……!
今まで発売された全てのカードを記憶していた私でも、流石に出たばかりの新シリーズはノーマークだった!
「だけども、いかにスーパー・レアといっても所詮はパチュリー。病弱っ娘にそこまでの防御力は無いはず……」
「……パチェは病弱で脆い。それは思い込みって奴よ。阿求」
「なん……ですって……?」
「これを見るがいいわ」
そう言うと、レミリアは自らの指をカード上のパチュリーの顎に這わせた。
くすぐったそうにするパチュリー。レミリアが指を動かす度に、彼女の顔の肉がぷるぷると揺れる。
……ここで私は違和感を覚える。揺れるほどの顔の肉が、パチュリーにある?
「どう、分かったかしら? このパチュリーは、体にアバラが浮き出た紫モヤシではない。録に運動もせず、図書館で食っては寝ての不摂生な生活が生み出した魅力の怠惰ボディ、通称『デブチュリー』なのよ!」
「で、デブチュリーですって!?」
デブチュリー。その単語を聞き、私の中で衝撃が走った。
「意外と支持層がいることが最近になって分かってね。ユーザーの声に応えて作り出されたのがこのカードなのよ。どう? 丸っこくて可愛いでしょう?」
パチュリーの服の下がどうなっているのか。それは幻想郷七不思議の一つに数えられる。
かつて、幻想郷の男達はパチュリーの肉体について、巨乳派、美乳派、貧乳派の三派閥に別れて血で血を洗う戦いを繰り広げた。
やがて争いに疲れた男達は、「確認しない限りパチュリーのボディには全ての可能性がある」という、俗に言う『シュレーディンガーのパチェ理論』を持ってして長きに渡る闘争に決着をつけたのだった。
しかし、その壮絶な戦いの中で争われた点はあくまで胸の大きさである。
パチュリーが喘息持ちである以上、その体全体は不健康な痩せ型。これは皆の共通認識だったはずだ。
それが、デブチュリーだと!? 太ったパチュリーだなんて、一体誰が想像できたであろうか!
病人故に動かない。故に消費しない、故に太る。ううむ、確かに理に適っているように思える。今までの私のパチュリー観を覆す、まさにコペルニクス的発想の転換だと言えよう。
だが、今になってまさか第四の勢力が登場するとは……あの空しき、いや哀しき戦いをまた繰り返す気だというのか! ああ、人はなんて愚かなのだろう!
……いや、それについては今回の話には関係ないので、特にどうなるってわけじゃないんだけど。
「デブチュリーのふくよかな肉体は高い防御力を誇り、大抵の攻撃は弾き返してしまう。たとえ、貴女のアリスの攻撃力をもってしてもね」
「昨今のジャンルの多様化が産み出した、新たなるパチュリー、ということですか……」
「そういうことよ。ふふ、もう少し、視野を広く持っているべきだったわね、阿求」
なんてこった、アリスの攻撃さえ効かない圧倒的な防御力。厄介だ、早く何とかしないと、無駄にターンを消費してしまう。
大体、デブが守備に優れてるってよく考えるとおかしいだろ。現実のデブは熱さにも寒さにも弱いどうしようもないクソ性能だろ!
「というか……本当にそんなのに支持者いるんですか?」
「いるいる。好んで描く絵描きさん何人か知ってるし」
さてどうするか。ニッチな性癖を否定するつもりはないが、敵として立ちはだかれるのは困る。
「さて、私はカードを一枚ドローし、ターンエンド」
レミリアのターン。引きが悪かったのか動きはない。
今がチャンス。私は自分の手札を吟味し、一枚のカードに手をかける。
「魔法カード、『魔理沙とラブラブ』をアリスに装備っ!」
「ほう……」
「このカードは、アリス・パチュリー・フランドール・にとりにのみ装備させることが可能! 対象者の攻撃力、防御力を500ずつ高める! なお、相手側にアリス・パチュリー・フランドール・にとりのカードが守備表示で存在した場合、相手の対象カードを攻撃表示に切り替え、次の相手ターンにカードを装備した者を強制的に攻撃させるっ! 双方が同名キャラの場合は例外とする!」
「長台詞ご苦労さま。何人が読んでるか知らないけど」
「こうしないとカードの効果が伝わりませんからね。風間さんは毎週よくやったと思いますよ」
要は魔理沙とのイチャラブを見せ付けて、相手を嫉妬させ攻撃を誘う魔法カード。
どれだけ高い防御力を誇っても、守備表示でなければ意味が無い。
さあ向かって来いパチュリー。そのアザラシの様な分厚い脂肪ごと叩き潰してくれる!
「罠カード、『なかったことに -面倒くせえから慧音オチ-』。相手の魔法カードの効果を打ち消す」
「ああっ!?」
と、ここでまさかの伏せカード発動。私の魔法カードが打ち消されてしまった!
「残念だったわね。私のパチェは魔理沙なんかに騙される軽い女じゃないのよ」
「ぐうぅ……」
「大体、今時モテ魔理沙ってのも無いわよねぇ。なに? 貴女、頭ん中が最萌辺りから止まってるの? 古参というより老害ね」
くそ、焦りすぎたか。カードを無駄に使ってしまった。
あと古参でも老害でもねーし! 中の人は永夜新参だし!
「……カードを一枚伏せて、ターンエンド」
ひとまず私のターンは終了。
まだだ、まだチャンスはある。次のドローで有用なカードが引けることに希望を託すんだ!
なんでもいい。この膠着状態を崩せる、パチュリーを倒せるカードさえ引ければ、私は勝てる!
もし、それが叶わなければ、その時は……。
「ふふ……」
レミリアのターン。カードを一枚引いた彼女は、私を見て不敵に笑う。
「……どうしました?」
「阿求。貴女、本当にいい目をしているわ」
「はい?」
「強い闘争心を秘めた目、決して諦めない不屈の魂の宿った目。決闘者の鑑ね。今もきっと、次のドローで巻き返せる、そう思ってるんでしょう?」
「……」
「でもね。貴女にはもう次なんて無いのよ!」
絶対の勝利でも確信したかのような表情で、手に取ったカードを高らかに宣言する。
「フィールドカード、『いつもの宴会エンド』っ! フィールドを宴会場に変えるっ!」
レミリアが出してきたのは、戦場全体の属性を変化させるフィールドカード。
カードの効果によって、卓上に様々な酒と料理、更には「射精!」と威勢良く挨拶をする店員までもが現れ、一瞬にして場は大衆居酒屋のそれにへと変化していく。
「更に、宴会参加者として手札にある少女を全員召還するっ! 出なさい! フラン、咲夜、美鈴!」
そして、レミリア陣営に手札から新たに三人の少女が呼び出された。
全員、見慣れた愉快な紅魔館の面子。彼女達は居酒屋のテーブルを挟んでアリスと対峙する。
一気に敵が三人も増えてしまった。が、いずれもレアリティの低いノーマルカード。いくら集まろうとも私のレア・アリスの敵ではないが……。
「阿求。アリスをよく見てあげなさい?」
「……?」
そう言われ、私のアリスに目をやる。
「……えっ!?」
思わず声が出てしまった。
先ほどまで凛とした瞳で真っ直ぐに敵を見つめていたはずのアリス。
今見ると、その顔は明らかに狼狽しており、額から大粒の汗を流し目には涙を浮かべている。バカな、これはどういうことか。
「スーパーレアとはいえ所詮はアリス。本質は何も変わってないみたいね!」
「本質……?」
「話す相手のいない宴会。それはコミニュケーション能力が著しく乏しいアリスにとって、拷問にも等しい時間なのよっ!」
「あ、ああっ!」
そ、そうか。この場に出ているのはアリス以外は全員紅魔組。
明らかにアリスが異端、場違い感が甚だしい! そんなメンバーで宴会を開けばアリスが孤立するのは必至!
「ほうら、どんどんアリスの顔が暗くなっていくわ。さっきまでの元気はどうしたのかしらね?」
「そ、そんな……」
「ふふ、何度時計を見ても時間は早くは進まないわよ? 二時間飲み放題コース、時間いっぱい存分に楽しみなさないな」
アリスと紅魔組の間には、まるで博麗大結界のような見えない壁が立ちはだかっている。
ひとり仲間はずれのアリスは、会話に入ることもできずに小さくなってしまっている。時間潰しのメニュー黙読は既に三周目に突入、そろそろ限界だ。
対して、レミリア陣営の少女達は、アリスの姿が見えないかのように身内だけで盛り上がる。話に花が咲いて気づかないのか、それとも意図的に無視しているのか。いずれにしても居た堪れない光景だ、見ているだけで胸が苦しくなってくる。
「あらあら、最初に来たビールが無くなっちゃったみたいね。ああ、でも周りに声がかけれず注文ができない。可哀想に、アリスはビール一杯しか飲んでないのにウン千円もの割り勘しなきゃいけないのよ」
「な、なら気を使って注文を聞いてあげてもいいじゃないですか!」
「嫌よ。そのぐらい自分でやりなさい。子供じゃあないんだから」
「ぐぬぬ……」
「ここで私からの嬉しいニュースよ。二次会はカラオケに決定したわ!」
それを聞いてか、アリスの顔から血の気が一気に引いていく。
人生が終わるかのような絶望の表情。どこからか、ぐにゃあ~という効果音まで聞こえてきた。
なんて残酷な仕打ち! アリスのような人種にとって、カラオケがどれだけ辛いかを知っているのか!
飲み会なら隅で空気になって耐えていればいい。だがカラオケはそうもいかない。あの狭い空間で黙っていれば逆に目立つ。
じゃあ歌えばいいじゃないかって? バカ! 人前で何かをするなんて、ぼっちが一番苦手な行為なんだよ!
「あははは! 無様、無様ねアリス! せいぜい時間が来るまで空き皿に残ったコールスローサラダのカスでも摘んでいるがいいわ!」
ぼっちにとって宴会が拷問なら、カラオケはまさに地獄だ。
アリスは恐怖のあまり体をガタガタ震わせる。それによって能力が大幅ダウン。これではまともに戦えない!
アリスは私が最も信頼しているカード。必ずや主戦力に使われると踏んで、彼女だけを狙った戦略を組んだという訳か……。
「どう? 最も頼りにしていたカードが成す術もなくボロボロにされていく気分は?」
「……最悪ですよ。三バカ妖精に金ダライを頭に落とされた時と同じぐらいに」
「それは良かったわ。さんざんデッキ構成を悩んだかいはあったわね」
レミリアの口元が嬉しそうに歪む。そして勝利を確信したその顔で、彼女は勇ましく少女達に号令を下す。
「パチェ、フラン、咲夜、美鈴! 四人同時にアリスへ攻撃! 紅魔の力、思い知らせてやりなさい!」
その一言で、膝を抱えて座り込むアリスに紅魔の者達が一斉に襲い掛かる。
絶体絶命! 四人の合計攻撃力は今のアリスを上回っている。このままでは負けてしまう。
アリスは私のデッキの要、失いたくはない。だが、なんとかしようにも私には助ける手段が……!
……ええい、こうなっては致し方ない!
「……罠カード発動! 『リターンイナニメトネス自爆用 -どうせ今回もこんな扱いだろうと思ったわ!- 』! アリスに攻撃した相手を、アリス諸共永遠亭送りにするっ!」
伏せカード発動。
目も眩むような閃光。同時に、アリスを中心に巨大な爆発が巻き起こる。
「なっ!? じ、自爆!?」
アリスに攻撃をしかけた四人は、逃げる間もなく爆炎に飲み込まれていく。
炎が収まり煙の晴れたその跡には、既に誰一人としてその場には残っていなかった。
「……四人全員で攻撃したのが仇となりましたね。ご自慢の紅魔館ズは全員揃って永遠亭行きです」
「そ、そんな……!」
私の選んだ道。それはアリスごと相手を巻き込んでの自爆。
最早、アリスはどうやっても助からなかった。ならば、座して死を待つより、その身を犠牲にしてでも相手に一矢報いた方がいい。
常識的に考えて、これが一番正しい判断というものです。出来ればもう少し働いてもらいたかったんですがねー。
「自爆だなんて、そんなバカな……」
手駒を一気に失ったのがショックだったのか、レミリアは目の前で起きたことが信じられないかのように狼狽している。
「あ、阿求! あんたはそれでいいの!?」
「……はい?」
「自分のカードを自爆させてまで勝利を掴もうだなんて! そんなの外道極まりない、三下の悪役がする戦法じゃない! 恥ずかしくないの!?」
……あんだって?
「いや外道も何も、公式でそういう効果のカードが用意されてますので……」
「そんなの認めないわ! 知っているでしょう! どんなバトルだって、最終的にはカードとの絆を大切にする者が勝つのよ! それが分からぬ貴女に、決闘者たる資格はないわ!」
「ホビー漫画の読みすぎですよ……」
「大体、あんたアリスの事を、運命の導き手だの、最も信頼しているだの言っておいて、あの扱いはなに!? アリスは貴女の右腕じゃなかったの?」
「……いや、所詮玩具ですし。紙切れに本気でそんな感情抱くわけないでしょ?」
「なっ……!?」
「私の右腕はここにある、ってね」
「し、信じられない! こ、この冷血女! 鬼、悪魔!」
貴女に言われたかぁねっつの。
「さて、仕切り直しですね」
「こんなはずじゃあ……くそっ!」
卓上の戦況を見て、レミリアは激しい音を立てて悔しそうに歯軋りをする。
あのままアリスを倒して私を一気に押し切るつもりだったのだろう。
まさかこうも手痛い反撃を受けるとは想像もしてなかったようだ。
この状況。互いに戦力を失い、パッと見、互角に見えるがそうではない。
駒を失ったのは同じだが、私はアリス一人のみ、レミリアは四人も失っている。
更に、レミリアは直前の宴会で手札を殆ど使ってしまっている。この差は大きい。私の方がかなり有利だ。
「どうします? 降参しますか?」
「するわけないでしょ! まだまだ、ここで私が『強欲な賽銭箱』を引けば、戦力の建て直しは可能!」
「では私はその前に『霊烏路空』をドローし、バカロック戦法でハメを狙いましょう」
「あんたそれ禁止カードじゃないの! なに平然とデッキに入れてんのよ!」
「いいじゃないですか、公式試合じゃないんだから。というか、貴女も人のこと言えませんよ。賽銭箱は禁止カードです」
「え、マジで!? ……ふ、ふん! し、知ったことじゃないわ! 要は勝てばいいのよ勝てば!」
「そうですね、その通りです。じゃあ続けましょうか」
「見てなさい! 絶対にギッタンギッタンにしてやるんだからぁ!」
レミリアの瞳に再び闘志の炎が宿る。
私もそれに応えるように、彼女の気迫を押し返す勢いで睨みつける。
冬の青空に、戦いに血を沸かせる少女の咆哮が響き渡った。
◆◇◆
「あぁ、もう! 負けたぁっ!」
レミリアが大声を挙げて後ろにゴロンと倒れ込む。
「やっぱあそこで自爆されたのが堪えた、最後まで巻き返せなかったわぁ」
「いやいや、でもいい戦いでしたよ」
決闘は私の勝利で幕を閉じた。
レミリアは最後まで力を尽くし、ディスティニードロー(レミリア曰く、運命を操って良いカードを引く行為。効果の程は疑問)を駆使して奮戦したが、やはりあの時の痛手を取り戻すまでには至らなかった。
「今度こそ勝てると思ったんだけどなー。私との戦績ってどうなってたっけ?」
「38勝12敗ですね」
「12勝38敗かぁ。記念すべき50戦目ぐらいは勝利で飾りたかったのになぁ」
50戦目。その言葉を聞き、ふと思う。
そうか、もう彼女との付き合いもそんな長くになるのか、と。
私がこのゲームを始めて、最初に仲良くなった妖怪がレミリアだ。
初めて会った頃は威圧されていた私だが、次第に打ち解けるようになっていき、今では人間を含めた誰よりも彼女と仲がいい。
ひ弱な人間の私が、まさか妖怪の中でも上位の力を持つ吸血鬼と親友になるなんて、以前は想像も付かなかったな。
「大体さあ、阿求の能力ってこのゲームに有利に働きすぎよ! ずるいわ!」
「え、そうですかね?」
「そうよ! 数回戦ったら、戦法やデッキ構成を完璧に覚えられちゃうし!」
ああ、私サヴァンだからね。確かに普通の人と比べたら少し有利かもね。
でも、それは何種類かデッキを用意すれば済む話だし。それに、カードゲームなんて時の運が大きく絡む。負けるときはあっさり負けるんだよね。
「私なんか可愛いものだと思いますよ? もっと鬼畜な能力をもった妖怪だっているじゃないですか」
「例えば?」
「地霊殿のさとりさんとかですよ。相手の思考が読めるなんて、インチキにも程があるとは思えませんか?」
「あー、確かに。カードゲームでそりゃないわ」
今まで戦った妖怪の中で、間違いなく最も苦戦した相手だと断言できる。
とりあえずは勝てたものの、もう二度と戦いたくはないわ。色々と。
「え? なに、阿求、あいつに勝ったの?」
「ええ、辛勝でしたけどね」
「嘘ぉ!? 信じらんない! どうやったのよ、教えてよ!」
「鈴仙さんの催眠術で強烈かつ凄惨なトラウマを植え付けてもらい、その辛さから目を背けるべく第二の人格、『闇阿求』を作り出してですね、二つの人格で相手をかく乱しました」
「ちょっとそれガチの多重人格障害じゃないのよ。どんだけ勝負に人生賭けてるのよ。え、じゃあ今も貴女の中にはもう一人の自分がいるわけ?」
「いえ、さとりさんに勝って用が無くなったので、治療を受けて消えてもらいました」
「闇阿求かわいそう」
そういやあの人、対戦中にだけ私のことを『阿求ガール』って呼ぶんだけど、なんなんだろ?
「しっかし、阿求って本当に強いよね。聞いた話じゃ、紫相手にも勝ったって聞くけど」
「まあ……一応勝ちはしましたが、あの人相手だと常に掌の上で踊らされてるような感覚で、全く勝った気がしないんですよね」
「それでも勝ちは勝ちよ。もう幻想郷に阿求に勝てる妖怪なんていないんじゃない?」
「言いすぎですよ」
「あーあ、もっと別のルールだったら、私も阿求に勝てるんだけどなあ」
言いながら、レミリアは本のようなものをパラパラと捲る。
あ、それ私の部屋にあった決闘会議の議事録じゃん。大事なものなんだから、勝手に持ち出すなよ!
「例えばほら、この相撲みたいに体を使う競技だったら絶対に負けないんだけど」
議事録のページを指差して言う。いや、確かにそれなら間違いなく勝てるだろうけど……。
「……相撲に限らず、まず体を張って貴女と戦うなんて真似、私はしませんよ。貴女の張り手を受けたら、頭が吹き飛んで死んでしまいます」
「うーん。そうかぁ。相撲というよりモータルコンバットになっちゃうわね」
「そうですよ、肉体を使わないこのゲームが幻想郷公式の決闘法に選ばれたからこそ、私は貴女と遠慮なく戦えるんですから」
基本的な能力差がありすぎる人間と妖怪が平等に戦えるルール。
無理難題とも思えるこの議題に、妖怪の賢者達はトレーディングカードゲーム、という答えを導き出した。
幻想郷の有名人をモチーフにしたカードを使って戦う、通称『卓上決闘法』。
当然、腕っ節の強さは関係ない。公式に定められたカードのみを使用するため、人知を超えた頭脳を持つ妖怪もその知恵をルール内に制限される。更には勝敗には時の運も絡む。
これぞまさに誰もが参加でき、誰もが勝利を掴める理想の決闘法である、と賢者達はドヤ顔でのたまった。
賢者達がドヤっただけあって、この決闘法は広く受け入れられ、里の子供から大妖怪まで誰もが楽しめる遊戯として瞬く間に幻想郷に浸透したのであった。
「……まあ、そうなんだけどね。スポーツや格闘技じゃ、どうしても妖怪の方が有利、対抗できる人間なんてごく僅かしかいないし」
「それだど、対等に戦うって理念から外れちゃいますからね」
「でもねえ、たまには思いっきり体を動かして戦いたいってのも妖怪としての本音っていうか……おっ?」
途中で言葉を止めるレミリア。議事録の中に気になる記述を見つけたようだ。
「命名決闘法……? スペルカードルール……?」
口にしたのは、会議で話し合われた数ある案のうちの一つ。八雲紫の一派が提案した決闘法。
互いに自分で名前を付けた必殺技を出し合い、先に全部打ち破った方が勝ち、という斬新かつ分かりやすいルール。
確か、相撲と並んで最終候補にまで残っていたと記憶している。
「……へえ、なかなか面白そうじゃない!」
レミリアは一度読んだだけで命名決闘法を随分と気に入ったようだ。
色とりどりで個性豊かな技の応酬はやる方も見る方も楽しいと、派手さを好む者達はこの決闘法を支持していたと聞く。きっと会議の場にレミリアが居たら、卓上決闘法よりもこっちを推していただろう。
最終的には華やかさよりも平等性が重視され、卓上決闘法が採用されたのだが、会議ではどちらが採用されてもおかしくない雰囲気だった、と議事録には記されている。
「必殺技……うーん、いい響きねえ」
「あ、そういうの好きなんですか?」
「そりゃ好きよ、だって必殺技よ? 技の名前を叫びながら戦うなんて、漫画みたいで格好いいじゃない!」
「漫画好きですもんね、貴女」
「憧れるわぁ。闇よ、世界を喰らい尽くせっ! 『全世界ナイトメア』ッ! ……なーんちゃって」
「ブフゥッ!!」
「おい、なに噴出してんだコラ」
こりゃ確かに必殺技だ。私の腹筋を確実に殺しにきてる。もし、カレーうどんを食べてる最中にこの必殺技を繰り出されたりしたら、私の上着に壊滅的な被害が及ぶだろう。なんて恐ろしい技を思いつくんだ!
「私個人としては、こっちが採用されても面白くなってたと思うわ。ねえ、阿求はどう思う?」
「命名決闘法が採用された幻想郷、ですか……」
最終候補まで残ってたってことは、その時何らかの要因が加われば、そっちの道を辿っていた可能性も充分に考えられる。レミリア風に言えば、別の運命ってやつ。
決闘ルールが異なった幻想郷、一体どんな光景になっているのやら……。
「私ならそうね……。槍を獲物にしたいわ! 神話に語られるグングニルのような巨大な槍で、相手を貫いてやるの!」
「いやいやいや、それは洒落になりませんって。死にます、そんなので戦われたら。何のための決闘法なんですか」
「え? そうかな?」
「そらそうでしょうよ、常識的に考えて」
「いや、なんとなーく、どれだけフルボッコにしても、服が軽く破れる程度で済みそうな気がしたんだけど……」
そんなわけあるか。この漫画脳が。
「楽しそうなんだけどなあ。阿求もさ、自分が格好よく必殺技を繰り出している姿を想像してごらんなさいよ。ワクワクしてこない?」
「ですから、私にはそんな肉体を使う決闘はできませんってば」
「あー、そっか。……じゃあ親友らしく、傍で私の戦いを盛り上げているといいわ! 敵の技を見て「な、なんじゃあ、ありゃあー!」とか言って驚いていればいいと思うの!」
「……一応知識人キャラなんですから、せめて雷電役とかにしてくださいよ」
少なくとも、今の世界よりも騒々しいのは間違いないだろう。
異変解決から暇つぶしまで。そこら中でドンパチが始まるのだ。戦う力を持たない私には、かなり厳しい世界に思える。
「そんじゃ、阿求は私の参謀ね! 阿求の能力で過去の膨大な戦闘データを全て記憶して、私のバトルを支えて頂戴!」
「え、参加するのはもう決まりなんですか」
対して、レミリアは命名決闘法を大変気に入ったようで、スタイリッシュに戦う自分を夢想しひとり盛り上がっている。
「んで、決め台詞は、『ば、バカな! こんな力、データに無いぞ!?』。こんな感じでどう?」
「……いやそれ完全に負け確定パターンですよね? 私をどうしたいんですか、貴女は」
レミリアの瞳はまるで新しい玩具を前にした子供のように輝いている。
きっと、命名決闘法がルールの幻想郷でも、私の都合なんてまるで考えず自分の好き放題に振舞うんだろう。全く、このお嬢様はどんな世界でもブレないな。
「……どんな世界でも、か」
ここでふと、私の中にある疑問が浮かんでくる。深く考えず、私はそれを無意識に近い感覚で口にした。
「もし、命名決闘法が採用されていたら、私と貴女は友人になれていたでしょうか?」
「え?」
突然のことに、ぽかんと口を開けるレミリア。何を言っているのか分からない。そういう顔をしている。
「ちょっと、何を言っているのよ?」
「貴女と仲良くなったのは、卓上決闘法が縁。他のルールでも、今のような関係を築けますかね?」
「い、いやいや、どんな世界だろうと、私は阿求と友達よ!」
「私が、貴女と遊ぶだけの力を持たない、ただのつまらない人間であってもですか?」
「う……」
親友であるレミリアの性格は良く知っている。
今や幻想郷中から面白幼女扱いされている彼女だが、その本質は吸血鬼らしくプライドがとても高い。自分の相手が務まらない人間などまず興味を示さない。道端の石ころと同等にしか見ないだろう。
私の参加できないスペルカードルールが主流の世界では、果たしてまともに会話ができるのかすら疑わしく思えてくる。
レミリアも自分でそれを分かっているのか、困ったように口をつぐんだ。
「……正直、自信ないかも」
「……」
「阿求とは気が合うから、話す機会があれば仲良くなれると思うんだけど……。私、ただの人間には興味ないっていうか、むしろ犬の糞に集る蝿と同じに思ってるから、まずその機会が無さそう……」
想像以上にひでえな。石ころどころの騒ぎじゃないわ。
「じゃあ、命名決闘法の世界じゃ私達は一緒にはなれないのかしら? うわー……なんかショックだわー」
自分の思い描いていた世界と異なると分かって、レミリアのテンションが明らかに下がる。
「阿求がいないなら、私は暇な時は一体誰の家に行けばいいのよ?」
「うーん……」
「寝るときは誰の抱き枕を使えばいいのよ?」
おい、今度お前の家に行ったとき棺桶ン中見せてもらうからな。
「ルールが違えば交流も違う。きっと、命名決闘法を通じてまた別の知り合いができるのではないですかね?」
「えー、阿求の代わりって事ー? 誰になるのよー」
「ふむ……」
レミリアの友人足りえる人物。
命名決闘法で互角以上に渡り合え、尚且つ彼女と気が合い、自分勝手な振る舞いに付き合える者。うーん、難易度高いな。
「……あ」
脳内データベースを引っ掻き回した結果、一人の人物に思い当たる。
「博麗霊夢、あの人なら」
楽園の素敵な巫女こと脇紅白・博麗霊夢。
ルールが制定される以前から妖怪退治を生業としていた彼女なら、命名決闘法だろうがスデゴロだろうが、レミリアと対等に戦えるに違いない。
それに彼女は人間も妖怪も平等に接する。きっと良き友人になれるだろう。
「霊夢?」
が、レミリアは私の言葉に不思議そうに首を傾げる。あれ、何か変なこと言った?
「……誰、それ?」
「えっ!?」
衝撃的な一言が出た。私も思わず声を出してしまう。
「東の端にある神社の巫女さんですよ。ご存知ありませんか?」
「……知らないわ。有名な人なの?」
なんと、彼女はかの博麗の巫女を知らないとのことだった。
まさか、幻想郷に住んでいながら彼女の存在を知らないだなんて。
「……まあ、それもしょうがないか」
かつて、地獄から来た死と惨劇の妖怪キラーとして名を馳せた霊夢も、卓上決闘法が採用されてからは一度も妖怪退治に出ていない。人間も妖怪も殆ど訪れない寂れた神社で、博麗の巫女として独り静かに暮らしている。レミリアが知らないもの無理ないのかもしれない。
彼女には何度か取材で会ったことがあるが、口では平和な生活を喜びながらも、その目はどこか寂しそうな色をしていたのを覚えている。
まさか、カードパックを買うお金が無くて戦いに参加できないだなんて、妖怪の賢者達ですら予想できなかった事態といえよう。
「霊夢さんかぁ。どんな人か知らないし、友人になれるって言われてもコメントに困るなあ……」
「うーん、そうですか」
「私は、やっぱり阿求と楽しく遊べる今が一番いいかな。ねえ、阿求はどう? 別の運命でも良かったと思う?」
別の運命での私か。
レミリアが霊夢と仲良くなるのと同じように、きっと私にも新たな友人が出来るのだろう。
それはそれで、別の楽しみがあるだろうし、決して悪くはないはずだ。だけども……。
「……貴女と友人になれるのは、他の運命では起こりえなかった事だと思います」
「お?」
「人と妖怪が互いに手を取る運命は数多く存在するでしょう。ですが、私が戦う力を得て、貴女とこうして笑って過ごせる世界となると、果たしてここ以外に幾つ存在するか」
「ま、そうかもね。他のルール候補って、体使うやつばっかだったし」
「私は、貴女に出会えて、本当に良かったと思っています。だから……」
「だから?」
「……私も、今がいいと思ってますよ」
私とレミリアは、示し合わせたように顔を見合わせて笑う。
「んー、それってつまり、私の事が大好きってことよね?」
「……まあ、そんなとこですかね」
「よっし、今夜辺り頑張るか! 最初の子の名前、考えといてね!」
「調子にのらない。聖水スプラッシュ」
「みぎゃあ!? や、やめなさい、エビアンをひっかけるのは!」
阿礼の代から数えて千年以上。私は多くの人々をこの目で見てきた。
歴史に語り継がれる英雄達と、それ以上の非力でか弱い人達。特別な才を持たない者たちは、英雄の姿に憧れながらも、歴史にその名を残すことなく消えていった。
だが、そんな時代は終わった。誰もが参加できる決闘法の成立により、人々は平等に力を得た。40枚のデッキは剣となり、誰もが等しく舞台に立てるのだ。
それがたとえ私のような非力な人間だって、吸血鬼のような大妖怪を相手に戦え、そして友として共に語らう事ができる。なんて幸せな時代なんだろう。
これからの求聞史紀は、一体どんな顔ぶれが賑わすことになるのだろう。平凡な生まれの人間か、誰からも忘れ去られた妖怪か。
いずれにしても、時代に名を刻む新たな英雄の誕生を、私は今から心待ちにしている。
願わくば、私が次に生きる時代も、今のような幸福な世であらんことを。
「さて、と。そんじゃ、私はそろそろ帰ろうかな」
戦いを終え、まもなく正午を迎えようかという頃。レミリアはゆっくりとその場から立ち上がった。
「あれ、もう帰るのですか? もうすぐ昼ご飯ができますよ? 一緒に食べませんか?」
「お誘いは有難いけどさ、咲夜もお昼用意してると思うし」
レミリアは部屋の隅に無造作に置かれた日傘を手に取り、帰り支度を始める。
「あ、そうそう」
そして、私の方を振り向き、何かを思い出したかのように口を開いた。
「阿求さ、年末年始になんか予定ある?」
「ガキ使でも観ようかと」
「どうせ再放送するよ。それよりさ、大晦日からお正月にかけて、うちでパーティやるんだけど」
「パーティですか? こないだクリスマスやったばかりじゃないですか。クリスマスとは名ばかりのアンチキリストによる黒ミサ集会でしたけど。生贄に使ったヤギの頭。夢に出ましたよ、どうしてくれるんです」
「仕方ないじゃない、悪魔なんだから。あ、今回は純粋に年越しを祝うのが目的だから安心していいわよ。皆で除夜の鐘を聞きながらお蕎麦を食べて、明けの明星が太陽に勝つようお祈りして、永遠亭のバニーちゃんがついたお餅を食べて、最後に紫や神奈子に皆でお年玉を貰いに行くの! どう、楽しそうでしょ?」
最後のは丁重にお断りしたい。まだ死にたくない。
「勿論、阿求も来るよね?」
「うーん、本の編纂がありますしねえ。行けたら行きますよ」
「行けたら、じゃなくて必ず来なさい。命令よ」
相も変わらず強引な性格。この調子じゃ、私が行かなければ無理矢理にでも引き摺り出して参加させるだろう。
「いい? 幽々子も輝夜も萃香も、それどころか、パーティの参加者全員が、貴女が来てくれるのを期待してるんだからね」
……そこまで言われては仕方ない。当日は二日酔い覚悟で、友人達のバカ騒ぎに付き合うとしようか。
縁側に立ったレミリアは、蝙蝠の羽を大きく広げて空を見上げる。
そして、飛び立つ前に私に向けて、妖怪とは思えぬほど無邪気な顔で笑いかけた。
「たった一人で幾多の妖怪を打ち破り、数々の異変を解決してきた英雄。稗田阿求をね」
※アリスを除く
く、くやしいっ
ほんのりSF?風味で楽しませていただきましたー。秋姉妹は通りの真ん中で辻タッグデュエルでも挑んでるんでしょうかね……
作品の中のテンポといい中のネタも結構ツボに入りました?
次回作も期待させていただきますのでこれからも頑張って下さいね?
阿レミとかすごい和みました。
こんな平行世界があってもいいよね!
来年じゃないですよね?
前半が笑いすぎて中々読み進まなかったですw
ところで居酒屋とかカラオケのあたりで正月だというのにどういうわけか辛い気持ちになったんですが誰か理由を教えてください。
あ、後書きの理由は察したので「ら」さんはめげずに強く生きてくださいね。
あと店員の挨拶自重w
とりあえずその幻想郷で妖精デッキ買ってきます
そしてアリスはいつも通りである意味安心しましたw
面白かったので100点いれておきます。
そしてこのカードファイトやりてぇ……
後半もモヤモヤしたよ。
……本当によく分かります。ハハッ
あと、永夜組もそろそろ古参に分類されるんじゃないかなあ
これもひとつの幻想郷。
霊夢さんなら持ち前の勘と運の良さでかなり強いと思うんだけど、もったいないというか
遊戯王はパロとかありますけど、ヴァンガードとかもあったら面白い。
>>ひと段落
一段落(いちだんらく)
>>何度時計も見ても
時計を
なるほど、こんな阿求とレミリアもいいですねw
最後もいい話だったのが良かったです。
らさんのアリスはブレないなーw
そんなアリスが大好きです。
TCGは金の無駄じゃね?と思ったら一気に止めれました
こんな世界もいいじゃない
らさんのアリスはぶれないなw
あったかも知れないこの幻想郷も好きだなあ。
デブチュリーが良すぎてヤバい。
阿求が英雄になれる、そんな幻想郷も素敵ですね
ひさしぶりに時間を忘れて読みふけった気がします。
や、やめろ!一部の人の古傷をえぐるでねえ!
あっきゅん無双の世界か。それもいい。
だが個人的には霊夢が参加できていれば持ち前の引きの強さで熱い激戦が見られたと思う。
古典的貧乏ネタでその可能性を潰してしまったのはいささか勿体なかったので-10点
TCGをやってた頃の楽しかった思い出が蘇ってきましたよ。
最近はネット対戦可能なTCGが増えてきたので近場に相手が居なくても出来ますね。
カードゲーム楽しいですよね
闇阿求になると髪が重力に逆らったりするんでしょうか
アリスは相変わらずのカワイソス……だが、それが(リターンイナニメトネス
次も期待してます!
本気出したレミィが当然正位置ィ!だったり、輝夜が宝石デッキだったり、
魔理沙が凡骨呼ばわりされてたり、スターサファイアが気配どころか自分の出番まで消してたり、
幽香のバーサーカーソウルでリグルがオーバーキルされてるところまで幻視した。
中盤までは楽しかったけど……霊夢が蚊帳の外なのはダメだ。あんまりだ。寂しすぎる。
誰か彼女にカードを恵んでやってくだせえ! 絶対強いから!
あっ、カードが買えないからじゃないよ!
最後しんみりしました
結局、命名決闘でも卓上決闘でも、その華やかさに触れられる人間は限られてるのかなぁ。
まだ弾幕の方が、何も出来ない人間も見て楽しめるから、好きかも。
もう先を読むのが勿体なくなるほど面白かった。
読みたい…、でも読んだら終わっちゃう!そんなクリムゾン気分にさせてくれるらさんに感謝。
くそww久しぶりすぎて忘れてたww
貴方の名前を見て脊髄反射で読んでみたら期待通りが半分、良い意味での裏切りが半分。
こういう運命もあるんですね。面白かったです。
幻想郷縁起はどんなデッキを使ってくるかが書かれているんですねわかります。
デッキ新調されるたびに取材、書き直しは辛いw
らさんはエビアンがお好きか。
私も大好きですw
出たら買います。
ところどころ入るやや陳腐化されつつある類のメタネタも、文章のテンポの良さで昇華させているのは流石だと思います。
しょうもない疑問ですが、スポーツを決闘法にしたら利権が絡むと言われてましたけど、TCGにしても発売してる業者はウハウハになってるんじゃないでしょうかね?
コ●ミの社員さんが某TCGについて「まるで金を刷っているようだ……」と、言っていたのを思い出しました。
この世界で左団扇なのは誰なのか。
霧雨さんちのご実家あたりですかね?
どうせ今回もこんな扱いだろうと思ったよwww
とりあえず後書きにあるネタを知ってるやつは新参者って言わないと思いまっす!
こういう世界もいいねぇというか、スペカルールで対等になれるわきゃないですもんねぇ。
いいもんでしたが、しかし私は断固ヒョロチュリー派。
神作乙! 文句なしの100点!
ってならないんですか。やだー!
でも冒頭のイラスト云々の話とかぼっちの宴会とか精神攻撃やめろ
ただしぼっち宴会攻撃が結構心にきたのが……
そういえば対人でTCGやったことないなあ……
>一人100ゲイツ辺りでバラ売りにでもすればいいやと軽く考えていた。外の世界で流行ってるんでしょ? この手の売り方。
予言するが、多分それでも売れるぞあっきゅん…
ピコン♪実績『永遠亭の常連』が解除されました
静かで平穏な暮らしをそれなりに楽しんでると考えるとそれはそれで。
阿求とレミリアの友情もいいなあ
なんとなく、宗教対談は仏教勢力のネジの飛び具合が足りない気がする。見てはみたいけど。
絆は性格ではなく能力で築かれるか…そう思うと寂しいね
あと求聞口授の内容が微妙に当たってるとこにも笑いました
安定のボッチでワロタ