一作目は作品集144
二作目は作品集148
三作目は作品集154 にあります。
【登場人物】
犬走椛:白狼天狗。哨戒を仕事としている。大天狗と仲が良い。文やはたてとは以前よりも打ち解けている。
好きなプロレス技は『チョークスリーパー(絞め技)』
射命丸文:鴉天狗。新聞記者。椛のことを好いており、以前よりは邪険にされなくなったことを喜んでいる。
好きなプロレス技は『シャイニングウィザード(打撃技)』
姫海棠はたて:鴉天狗。新聞記者。脱引篭もりしてそれなりに時間が経ち、大体の場所なら一人で行けるようになった。
好きなプロレス技は『メキシカンストレッチ(関節技)』
河城にとり:河童。椛とは大局将棋をよく打つ仲。色々と発明する。
好きなプロレス技は『エルボードロップ(浴びせ技)』
大天狗:白狼天狗の上官。椛と仲が良い。結構フランク。相変わらず独身。
好きなプロレス技は『垂直落下式DDT(投げ技)』
天魔:天狗社会のボス。見た目は幼女。天狗の中で最強。
好きなプロレス技は『ムーンサルトプレス(空中技)』
【 episode.1 御柱祭 】
哨戒の途中、大天狗から召集のかかった椛。
妙齢の女性、大天狗が座布団に座り気だるそうに肘掛にもたれながら話す。
「もうすぐ守矢神社で『御柱祭』があるじゃない」
「そういえば、来週でしたっけ」
神社が山へ越して来てそれなりの時間が経ち、山側と神社側の関係が随分と落ち着いたこともあり、
両者の仲を深める目的で今年その祭を催すことになっていた。
「ここだけの話なんだけど」
小さく手招きして、椛に耳を近づけるように促す。
「御柱祭は、あまり顔立ちがよろしくない男信者を大木に乗せて崖からすべり落とす事で、まとめて殺そうとする行事らしいわ」
「絶対に違うと思います」
「でも、八坂の神は宴会の席でそう言ってたわ」
「確実に酔ってるじゃないですか」
その一言で信憑性が一気に失われた。
「あとそれとね」
大天狗がまだひそひそ声で話すため。椛もそれに付き合い耳を傾け続ける。
「その御柱祭の関係で、モミちゃんに一個頼まれて欲しいことがあるのよ」
「なんです?」
「実はまだ、当日警備に就く白狼天狗の配置が決まってないのよ」
「えっ!? まずくないですかソレ!」
思わず身を引いてしまった。
「祭まであと一週間ですよ?」
祭では酒が振舞われるため酔っ払いが多数出る事が予想され、山の外の者達も大勢見物に来る。厳戒な体制を布く必要があった。
「色々と忙しかったのよ。二柱と打ち合わせしたり、天魔ちゃんと段取りしたり、合コンしたり、逆ナンしたりで・・・」
「ゆとりありましたよね? 計画的に動けましたよね?」
「とにっかく! 今から祭会場を下見に行って配置場所と必要人数を調べてきて。はいダッシュ!」
渡された会場周辺の地図を見ながら山道を歩く椛。
(まったくあの人は)
心中で上司のズボラさを憂いながら守矢神社を目指す。
道中、切り倒された巨木を運ぶ河童達の姿があった。
その中に知り合いの姿があり、椛が見ている前で丁度彼女らが休憩に入ったので声を掛けることにした。
「にとり、お疲れ様です」
「ああ椛」
河城にとりは首に巻いた手ぬぐいで額の汗を拭っていた。
「ずいぶんと大きな木ですね。これが祭で使われる木ですか?」
「うん、樹齢千年近くあるんだって」
「へー」
木には縄が巻かれており、その縄を引いて運んでいるようだった。
「ワイヤーや台車、滑車なんかを使えばもっと楽で早く運べるんだけど、神様がそれは駄目だって」
木の運搬方法には古より決められた作法があり、それに従うようとニ柱から固く言いつけられていた。
「大変ですね」
「本当ならこの木にジェットエンジンをつけて空をビューンって」
にとりは青空を指差して、半円を描く。
「あははは…」
彼女なら本当にやりかねない気がして、若干頬を引き攣らせながら笑った。
「椛は何しているの?」
「これから警備の下見に」
「そうなんだ。お祭には盟友たちも沢山来てくれるみたいだから念入りに頼むよ」
にとりは人間のことを盟友と呼んで好いている。祭当日は、山に沢山の人間がやってくるため、にとりは嬉しくて仕方が無いようだった。
「ええ、危険がないようにしっかりと警備を固めます」
「私の方も、ついにあの発明が完成したからね。あとは試運転だけだよ。ああ、早く祭の日が来ないかなぁ」
「 ? 」
祭絡みでにとりが何か作ったようで、その件を詳しく聞こうと思ったが、時間があまりなりことを思い出す。
「先に行きますね。休憩中のところすみませんでした」
「いいよいいよ。椛も頑張って」
にとりと分かれて神社へと向かった。
到着した神社は、祭の準備をする者たちで賑わっていた。
(正面に三人、他の面は二人ずつ置けば外側は大丈夫か。境内には四人くらい必要か)
鳥居をくぐり、壁に沿って一周し終えてそう判断した。
(神社はこれくらいでいいか)
まだ下見しなければならない場所は会場となる坂、見物客が通る通路、本部と主賓が使う櫓(やぐら)など多数ある。
次の場所に急いだ。
祭のメイン会場となる丸太を滑り落とす坂にやってきた。
先ほどにとり達が運んでいた丸太が既に到着しており、坂の上に寝かせられている。
しかしその場に河童の姿は無く、どうやら運び終えてすぐに解散してしまったらしい。
「御柱祭というのは、寅と申の年に執り行われるお祭で、五穀豊穣などを祈願する目的があります」
「なるほどなるほど」
無人かと思っていたその場所に二人の少女の姿があった。
丸太の前で何やら話をしている。一人は知人である射命丸文、彼女の腕には『御柱祭報道部』と書かれた腕章があった。
(あの方は・・・東風谷早苗?)
文と話をしているのは守矢神社の巫女だった。
山に神社がやってきた当初、椛は能力の千里眼を買われ、神社の監視を大天狗より仰せつかっていた。
そんなことがあり、椛は一方的に彼女のことを知っていた。
文は早苗に取材を行っているようだった。彼女の言葉に相槌を打ちながら、手帳にメモを取っている。
以前からこの二人の間には交流があるようで、取材というよりもただ談笑しているような雰囲気があった。
「・・・」
命令とはいえ、彼女に対して覗きに使い行為をしていたことに椛は若干の後ろめたさを感じていた。
居心地の悪さに苛まれた椛は、その場で回れ右をする。
(他の場所を先に見ておこう)
まだ下見になければならない場所はいくつもある。二人が去った後にまた戻ってくれば良いと考えた。
しかし、
「椛さーん!」
背中から声がかかる。振り向くと文がこちらに手を振っていた。
そのまま無視して立ち去るワケにもいかず、二人のもとへ向かう。
二人の前までやってくると、文が椛を早苗に紹介し始めた。
「この方は犬走椛さん。霊夢さんが守矢神社に初めて殴りこみに来た折り、一番槍を務めた天狗です」
「犬走椛です。哨戒の任に就いております。以後、お見知りおきを」
上半身が地面と平行になるまで頭を下げる。
「東風谷早苗です。守矢神社で風祝をやっています。よろしくお願いします」
言って早苗も深く頭を下げた。
「椛さん、もしかして白狼天狗さんですか?」
挨拶を終えると、突然早苗がズイっと詰め寄ってきた。
「え、ええ。そうですけど」
一瞬、今まで監視していたのがバレているのかと内心焦った。
「可愛い」
しかし、出てきた言葉は予想だにしなかったものであった。
「へ?」
早苗の瞳が尋常でない輝きを放っているのに気づく。
「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」
「ちょ、ちょっと!?」
「ああ、ごめんなさい私ったら」
顔を引っ込めて咳払いを一つ。
「今まで会った白狼天狗さんは皆、体格の良い強面のお兄さん、オジ様だったもので。こんな小柄で可愛らしい方もいるんだな~って」
「確かにチンピラばっかりですからね。男の白狼天狗は」
「なので『ぎゅっ』てしていいですか?」
「『ぎゅっ』ですか? それは一体・・・」
返事を待たず、早苗は椛を抱擁した。
「あの、えっと」
突然の密着に椛は少々面食らう
「へー、華奢っぽい見た目でも結構筋肉ついているんですね」
「わぎゃっ!」
早苗は椛の背中、肩、腕を撫で回す。
―― な、なんですかこの人!?
―― 東風谷早苗さんです。たった今、自己紹介したばかりじゃないですか?
―― そうじゃなくて
声は発せず口だけを動かして、お互いに読唇術だけで意思疎通する。
その間も、早苗の手は止らない。
「わーふさふさ。イヌさんと同じ手触りですね」
とうとうその手が、尾と臀部を執拗に撫で回しはじめた。
―― 早苗さんは重度のガチレズ百合肉食系女子ですよ、ご存知ない?
幻想郷に来る前は、同級生、後輩、先輩、女子大生、OL、熟女と懇(ねんご)ろになった全階級制覇の猛者だという。
―― なんですかソレ! 初耳ですよ!
監視している時は、そんな仕草などおくびも出していなかった。
―― 妖怪の山の住人との関係が落ち着き始めた最近になり、徐々に本性を現してきたみたいですよ。
―― ・・・
言いたい言葉すら浮かばなくなり、椛は口をただ開閉させる。
「あー良い匂い、全然犬臭くない」
仕舞いには匂いまで嗅ぎ始めている。
―― しかし、いたく気に入られたご様子。椛さん、ひょっとして女性に好かれるフェロモンでも出してるんじゃないですか?
―― 出てませんよそんなの
「すみません、そろそろ」
早苗の両肩を掴んで、前に押して自分から遠ざける。
「えー、もうちょっとだけ良いじゃないですかぁ」
「生憎とこれから仕事なもので」
彼女に関わっていると日が暮れると思い、早々にこの場から切り上げようとする。
「じゃあ最後に、コレを着けてもらっても良いですか?」
どこから取り出したのか、その手には首輪があった。
「あのですね・・・」
怒りを露に断ろうとした時、文が必死に何かを訴えかけてきた。
――― 椛さん、ここは言う通りに。彼女の機嫌を損ねて二柱と変に拗れると厄介です。山の為に耐えてください
――― ぐっ
山と守矢の関係の為、ここは大人しくされるがままになった方が賢明だった。
何の抵抗もできず早苗に首輪を巻かれる。
「わぁ、やっぱり似合いますね」
「これで満足ですか?」
「あとこれもお願いしますね」
皮製の手錠。
「へ?」
有無を言わさず、慣れた手つきで椛の手首を拘束する。抵抗する間もなくあっさりと両手の自由を奪われた。
「それとこれも追加で」
手が不自由になったのを良い事に、アイマスクで両目を隠される。
「いい加げ・・・」
「これで最後」
「もがっ!?」
抗議の声を上げようとした瞬間、空洞の玉に穴がいくつも空いているタイプの猿轡を装着させられる。
「う゛う゛っ! んく゛ぅ!」
「・・・」
その姿の椛を文は一枚だけ、極力シャッター音がしないよう細心の注意を払い撮影した。
(これだけで十年は戦えます)
ほぅっと、大事そうにカメラを抱える。
「なんと美しい」
あられもない椛の姿を見て悦に浸る早苗。
「たっぷり可愛がってあげますね」
首輪から伸びる鎖を握り、引っ張る。
「ちょっと待ってください!」
「何か?」
文に呼び止められ、遊びを中断させられた子供のような表情をする。
「私にも椛さんを愛でさせていただけたらと」
「駄目に決まってるでしょう? こんな逸材を他人と共有するなんて考えられません」
「椛さんがそんなマニアックな姿なのは、私の力添えがあったからですよ」
こうなった椛の姿が見たくて、わざとあのような言い方をして、早苗のすることに従わせた。
「文さんがどんな協力をしてくれたかは存じ上げませんが、あなたが居なくても私自身と二柱の威光がありますので結果は変わりません」
「そうですか」
文は扇で顔を半分を隠す。
「ならば天狗の一人として、それ以上の職権乱用による同胞の辱めは見過ごせませんね。その椛さんは私が引き取ります」
それが敵対の意思表示だと理解した早苗は臨戦態勢に入る。
「いいでしょう、相手になります」
首輪の鎖を丸太から生える野太い枝に絡ませてから文の方を向く。
「ギッタギタにしてさしあげましょう。あの日のヒグマのように」
「いい加減にしろっ!!」
「「っ!?」」
椛が大声を発した。その事実に二人の動きが止る。
「ぺっ」
プラスティック製の猿轡を噛み砕き、手枷を力ずくで引き千切り、自由を得た手でアイマスクを外していた。
「野性味あふれて素敵です。ますます気に入りました。次はもっとハードな道具用意しておきますね」
「結構です」
首輪に手を掛けて、他の道具同様に破壊しようと試みる。
だがその時、手にヌルリとした感触が伝わった。
「ん?」
自分の手に白い蛇が巻きつこうとしていた。
「ひっ」
慌てて手を振った。
「あれ?」
落ち着いてよく見ると、白い蛇に見えたのは首輪の鎖だった。
「その首輪だけは神奈子様の御力の一部を授かった特殊なもの。だから簡単に外せるとは思わないでください」
どうやら妖怪調伏用に用いられるものらしい。
「この鍵がない限り、その首輪は外せません?」
「それは良い事を聞きました」
一足飛びで早苗の前まで詰め寄った文が鍵を奪うために手を伸ばす。
「「あっ」」
早苗と文、二人の手が衝突し、握られていた鍵が茂みの中に飛んでいった。
鍵を見つけ出すのが相当困難なのは、誰の目にも明らかだった。
「グルルルル」
犬歯を剥き出しにして椛は喉と口内を鳴らす。本気で怒っていた。
獣のものと遜色のないその鳴声に二人の顔が青ざめる。
「ご、ごめんなさい。わざとじゃないんですよ椛さん!」
「ああ、そうだ! 合鍵が私の家の引き出しの中に」
「それは朗報。さっそく取りに行きましょう!」
早苗と文は一目散に神社がある方向に飛んでいった。
「なんでこんなことに」
首輪の鎖と丸太。どちらも八坂神奈子の加護を受けているせいか、鎖は枝にガッチリと嵌り、外れなくなっていた。
二人が戻ってくるまですることがなく、途方に暮れていると、
「あ、椛だ」
姫海棠はたてが通りかかった。
「こんにちははたてさん。ネタ探しですか?」
「うん。来週のお祭の記事を書くから、その資料を集めてるの」
はたての腕にも『御柱祭報道部』の腕章が掛かっていた。
「文さんもしてましたがソレって何ですか?」
腕章の意味を尋ねた。
「今回のお祭は、ほとんどの鴉天狗が取材するでしょ?」
「でしょうね。かつてない一大イベントですから」
鴉天狗の記者が殺到して祭の進行の妨げになることを懸念した天魔が『御柱祭報道委員会』なるものを立ち上げた。
それは抽選で選ばれた委員会メンバーのみに祭の報道権が与えられるという制度である。
「こうやって団結させた方が、ネタを独占しようと他人を蹴落とす鴉天狗も出ないんだって」
「なるほど」
さすが天魔だと感服する。
「ところで、どうしたのその首輪?」
「道中色々ありまして」
早苗と文のひと悶着・鍵について話す。
「ちょっと動かないでね椛」
はたてはヘアピンを二本取り出すと両手に一本ずつ持った。
首輪の鍵穴部分にヘアピンの先を挿し込み、押し込んでカチャカチャと捻り始めた。
「引き篭もってた頃。通信講座で覚えたのピッキング。妖力を流しながらなら、これも外せると思うの」
(そんなのあるんだ…)
鍵穴との格闘が始まって五分が経過した頃。
「はたてさん」
「もうちょっとだから待ってて」
「はたてさん」
「すぐだから、もうすぐ」
「はたてさん」
「ごめん椛。ちょっと気が散る」
「逃げてください」
「ほえ?」
首輪の鍵穴から、椛の顔に視線を移す。
椛の目が自身の背後を凝視しているのがわかった。
振り向き、椛が見ているものを確認する。
彼女たちの10メートル先、草むらから野生動物がひょっこり顔を出していた。
「クマ?」
「ヒグマですね」
二人が見ている前で、ヒグマは二足で立ち上がる。
「グオオオオオオオオオ!!!!」
両手を挙げて雷鳴のような咆哮を飛ばした。先ほどの椛が鳴らした喉なんかとは比べ物にならない迫力があった。
「ひいいい! 『ヒグマ遭遇。助けてなう』」
錯乱したはたては親指を高速で動かして携帯にそう入力した。
「死んだフリ、死んだフリ!」
「それ迷信ですよ!!逃げましょう!」
「それじゃ椛が!」
首輪の鎖が丸太に接合されている今、椛がこの場を離れることは叶わない。
「先に行っててください。腐っても白狼天狗。ヒグマ一匹、なんとでもなります」
「で、でも」
その時、はたての携帯に着信が入った。
「これは・・・」
――――――――――――――――――――【天狗知恵袋】――――――――――――――――――――
質問内容:ヒグマ遭遇。助けてなう
hatahime さん
☆ベストアンサー(+30pt)
落ち着いて対処すれば勝てます。
四速歩行から立ち上がったら警戒してください、あなたを射程圏内に入れたという証拠です。
その時は姿勢をできるだけ低くしてください、熊のリーチは膝より下は無いのでそこが安地になります。
パンチを避けたら素早く片足にタックル。
そのまま足を持ち上げるように抱えて、重心をひたすら前に傾けるとヒグマは転倒します。
そしたら足首を関節とは逆の方向に思いっきり極めましょう。
へし折るつもりで捻ってあげればヒグマは痛みで悶絶します。
endless-autumn さん
――――――――――――――――――――【天狗知恵袋】――――――――――――――――――――
「これならいける!」
「いけませんって! てか何ですかその機能!?」
そんな簡単に野生動物に勝てるわけがないと知っている椛は、逃げることこそ最善だと判断する。
(とにかく、鎖さえ抜ければ)
そう思い、鎖を思い切り引っ張ったのがいけなかった。
「え?」
不安定な場所に置かれたいた丸太が徐々に動き始める。
目の前に急な坂があるせいで気づかなかったが、この丸太が置かれている場所も十分傾斜になっていた。
「これは、まずい」
足元にあった自分の剣を蹴り上げて宙に浮かせる。
右手で鎖を掴んでいた椛は左手だけで柄を逆手で掴んだ、そして左腕を勢い良く水平に振ることで鞘から剣を引き抜いた。
慣性の法則を利用した、片手での空中抜刀法だった。
「でりゃっ!」
剣の切っ先を鎖が引っ掛かっている枝に突き立てる。
しかし、
「何っ!?」
急に鎖が揺れ動き、椛の斬撃を妨害した。まるで意思を持ち、椛を逃がさないようにしているかのようだった。
(このまま丸太と心中するくらいならいっそ顎と鼻を削いで)
丸太に引きずられて挽き肉になるくらいならと、身体の一部を犠牲にしての脱出を試みようとした瞬間、丸太がガクンと止まった。
「何が・・・」
滑り落ちようとした丸太をヒグマがガッチリと押さえていた。
「なぜヒグマが私を?」
「ヒグマじゃないよ」
「「しゃぁべったあああああああああああああああああ!!」」
人語を介したことに驚愕する二人。
ヒグマの背中が開き、そこから何者かが出てきた。
「やっほー」
「に、にとり!?」
中から現れたのは河城にとりだった。
「驚かさせないでくださいよ」
「ごめんごめん」
「それでこの着グルミは何?」
はたてのその質問に、にとりは「待ってました」という表情になる。
「もうすぐ盟友・・・人間がお祭を見に沢山くるでしょ? でも、山道は野生動物や知性の無い低級妖怪で危険が一杯」
人間を愛するにとりは、彼らが安全に山まで来られる方法を半年以上も前から考えていた。
「ある日、何か良いアイデアはないかと無縁塚に行ったら『ぐりずりーすーつ』という物が流れ着いていたんだ」
色々と解析した結果。それは人間が身に纏い、外敵から身を守るための鎧だと知った。
「これに似たモノが量産できれば、人間は安心して山に来ることができると思ったんだ」
「もしかして、この前、地下の工房に篭ってた理由ってソレ?」
はたての脳裏に、文と椛で挑んだ地下迷宮の思い出が甦る。
「パワースーツの製作に成功したんだけど、どうしてもヒグマの攻撃に耐えうる強度には届かなかった」
悩みに悩んだ結果、にとりの思考はある一点に到達した。
「そして閃いたのさ『いっそ自分自身がヒグマになっちまえば良い』って」
「三段飛ばしの発想ですね」
「そして完成したのがコレ。鬼のように力強く、百合のように凛とあって欲しいと願いを込め、名付けて『鬼百合(KI‐YU‐RI)君1号』!」
「すんごい名称ですね」
「これスゴイよ椛。パワーはあるし、暖かいし」
スーツを装着したはたてが身体を動かしている。
「なんだろうこのボタン・・・・」『グオオオオオオオオオ!!!』
ヒグマが両手を挙げた吼えた。耳を劈(つんざ)く音に思わず身を竦ませる。
「ポタンを押すとそのモーションを取る仕様なんだ。まずは気分からヒグマにならないと」
「絶対に外したほうがいいですよそのオプション」
その後、スペアの鍵を持った早苗と文が戻ってきてようやく椛は戒めから解放された。
「へぇ、ヒグマが見た目のパワースーツですか」
「それは是非見てみたい」
「今ははたてさんが装着して、その辺で試運転しているので、もうじき戻ってくるんじゃないですか?」
「お、噂をしたら」
草むらからヒグマが顔をひょっこりと出して椛達に手を振った。
「うわぁリアルですね」
「確かにこれなら誰だって本物だと思っちゃいますよ」
文と早苗はその草むらの前までやってくる。
「写真一枚撮りたいので、立ち上がっていただけますか?」
その言葉に従うようにヒグマはすくりと立ち上がった。
身長はゆうに3メートルを超えていた。
「にとり。あの強化外骨格ってあんなに大きかったですか?」
「おかしいなぁ、2mくらいの身長しかないハズなんだけど」
「ずっと着てると熱いねコレ」
ヒグマがいる逆の方向から、スーツを抱えた普段着姿のはたてが現れた。
「「え?」」
椛とにとりが正面に顔を戻すと、文と早苗に目掛けてヒグマの巨大な前足が振るわれていた。
その日の夕方。
下見の報告を大天狗にする椛。
「以上が警備の陣形とその必要人数です。あと当日は二人一組で巡回する役も選んでおいてください」
「いいねいいね、完璧。やっぱりモミちゃんに任せて正解だったわ。人選と休憩のシフトは私のほうで組んどくから」
「それともう一ついいですか?」
「ん?」
「会場の近くに『ヒグマに注意』の看板を立てる許可と看板を作る予算ください」
「なんで?」
文と早苗は奇跡的に軽症で済んだ。
【 episode.2 小旅行 】
いつもの業務報告を終えて、大天狗と雑談をする椛。
「もうあれよ。若返りの術を会得して女学生に扮して人生をやり直したい」
「無理じゃないですかね」
「なんでよ?」
「だって大天狗様強すぎますもん。天狗礫の威力からして圧倒的じゃないですか」
天狗礫(つぶて)とは、天狗が使用する基本妖術の一つで、軽い呪術を込めた石を打ち出す技である。
「私どもが放つ天狗礫などせいぜい投石程度の威力ですけど、大天狗様のは大筒並みの破壊力ありますよね?」
「言っとくけど、私の天狗礫が大砲だっていうなら天魔ちゃんのなんてプチメテオだからね。一発で地面にクレーターできるから」
「その代わり大天狗様は連射できるじゃないですか。どっちも相当ですよ」
一通り話し、話題が尽きかけた時、大天狗は袖の下に手を入れた。
「そうそう、モミちゃん、一個耳寄りなお話が」
大天狗は封筒を一つ取り出す。
「温泉旅館に無料で宿泊できるチケットあるんだけどいる?」
「頂けるのなら欲しいですよ」
「じゃああげる」
封筒を椛に差し出す、しかし受け取ろうとした椛の手が止った。
「どうしたの?」
「大天狗様が気前良く物をくれるなんて、何か裏があるとしか思えません。料理は別途とか? 入湯料は追加料金とか? 布団は有料で貸し出しとか?」
「ちゃんとご飯もついてるし、温泉も入れるし、お布団もあります。全部込みです」
「では貰います」
「どんだけ信用されてないの私」
ヨヨヨと目の下を袖で拭う仕草をする。
受け取った封筒を開けると、椛は怪訝な顔をした。
「んん?」
入っていた一枚の紙切れだった。
文面には『御柱祭報道部打ち上げ会。会場スタッフ募集』と書かれていた。
「この前やった御柱祭報道部のメンバーが打ち上げで旅館を貸しきるのよ。でも、旅館の従業員だけじゃ人手が足りないって天魔ちゃんが困ってて」
そのため、急遽人数をかき集めていた。
「やっぱり騙しましたね」
「なんで? 賄いは出るし、営業時間外なら温泉に入れるし、泊り込みだからお布団付くし」
嘘は言ってないと主張する大天狗。
「言い方が汚すぎるでしょ」
「というわけでよろしく。当日のスケジュールが書いてあるからその紙は捨てちゃだめよ」
数日後。
山の秘境にひっそりと佇む河童が経営する旅館。
その保養施設の従業員控え室で椛は胡坐をかき腕組をしていた。その顔には不機嫌さが露骨に滲み出ている。
部屋には、椛のようにスタッフとして派遣された数名の白狼天狗がおり、全員似たような心境なのか、その表情は穏やかでない。
白狼天狗が近寄りがたい雰囲気を醸し出しているせいで、従業員の河童達は部屋に入れないでいた。
そんな気まずい空気が支配していた空間に、ノックの音が響く。
「こんにちはー、機械の定期点検に来ましたー」
工具を手にした河城にとりが入ってきた。
(うあっ、なんだココ。ヤクザの集会所? あれ?)
意外な人物を見つけて眉根を寄せた。
「椛じゃん。どうしたのこんなところで?」
「にとりこそ」
「この旅館のボイラーやストーブは河城製だからね。だからこうやって定期的に保守メンテナンスに来てるんだよ。椛は?」
「これです」
あの忌々しい紙を渡す。
「うわぁ」
気の毒そうな視線を椛に送った。
その時、廊下から「団体様がご到着しました」という掛け声が聞こえてきて、椛と他の白狼天狗は顔を上げた。
「そろそろ出迎えの時間なので失礼します」
打ち上げ会は旅館で宴会をしてそのまま泊まり、次の日の朝に解散というスケジュールになっており、椛の役割は彼らの出迎えと宴会の裏方になっている。
「あ、椛。この紙・・・行っちゃった」
旅館のロビーには鴉天狗の大所帯が犇(ひしめ)いていた。
その大人数の前に一人の童女が立ち指示を出していた。その傍らには大天狗の姿がある。
「まずは各々、案内に従い自分の部屋に行き荷物を預けよ」
どう見ても団体客の連れ子にしか見えない彼女こそが、天狗社会を統括する天魔である。
「後は宴会の時刻になるまでは自由に行動してくれて構わん」
天魔のその言葉で解散となり、鴉天狗達はやって来た従業員に荷物を持たせて自分に割り振られた部屋まで案内させた。
その団体の中に、文とはたての姿があった。しかし二人はその場を動かない。
二人の目の前にいる従業員が、言葉を発するのをずっと待っていた。
「お、お荷物お持ちしましょうか?」
従業員の着物を着た椛は、引き攣った笑みを浮かべて手を差し出す。
「アルバイト掛け持ちでやらないと生活が苦しいほど、哨戒のお仕事って薄給なの?」
心配そうなはたて。
「これはこれは、なんとも可愛いコンパニオンさん。追加料金でピンク色になったりします?」
妙に嬉しそうな文。
それぞれの言葉と表情で椛を迎えた。
二人に一部屋割り当てられており、文とはたては相部屋となっていた。
「宴会の時間は戌の刻ですので遅れないように。それまでは好きにしててください」
二人のお茶の準備をしつつ、これからの予定を説明する椛に文はカメラを向けた。
「なんですか?」
「たった今椛さんが『お好きに』と仰ったじゃないですか? なので椛さんの滅多に見られない着物姿を写真に」
ここで椛と会えたのがよっぽど嬉しかったのか、文のテンションは高い。
「お断りします」
カメラのレンズを椛の手が覆った。
「あー! レンズに指紋が、あー!」
普段から写真を撮られるのが嫌いな椛は、どうしてもという時以外は撮影を許していない。
「わかりました。写真が駄目なら椛さんの独占取材に切り替えます」
「なんでそうなるんですか?」
レンズを専用の布で拭き終わると、メモ帳とペンを取り出して椛の前に座った。
「えー椛さんは現在付き合っている射命丸はいますか?」
「なんで射命丸限定?」
「いいから答えてください」
「……いません」
無意味に真剣な表情で詰め寄られたため、思わず真面目に答えてしまう。
「そうなんですか、丁度良かった。今フリーの射命丸がいるんですけどね。文っていいまして紹介しましょうか?」
「結構です」
「あややや。それは残念」
「文ー、宴会まで暇だし温泉行こう。温泉」
二人が話している間に浴衣に着替え、タオルを抱えるはたて。
「似合ってますよ。はたてさん」
「え? そう?」
照れつつ、袖を伸ばしながら体を一周させてみる。
「普段の洋服が見慣れているせいか浴衣だと新鮮ですね。はたてさんの髪色が浴衣の色に合っててとても艶やかです」
「も、もぅ。褒め過ぎだよぉ」
耳まで顔を真っ赤にさせて俯き、指を弄りだした。
「私も浴衣に着替えます! なので椛さん廊下に出てください!」
「なんでです? 恥ずかしいなら向こう向いてますけど?」
「あやややや、そう言って覗く気でしょう!? まあそれも望むところですがねッ!」
文に気圧されて廊下まで出た椛とはたて。
「しかし、はたてさん。よく浴衣の場所がわかりましたね?」
部屋の使い方の説明をする前に、はたてが浴衣になっていたことを疑問に思っていた。
「昔ね、父さんと母さんと一緒に泊まりに来たことがあるの」
「そうだったんですか」
「椛は来たことないの? お父さんやお母さんと?」
はたてが、その質問は訊いてはいけない事項であることに気づいたのは、椛の表情が若干曇ったのを見てからである。
「死にました両方とも。私が幼い頃に」
「ごめん、嫌なこと聞いて」
「いえ、構いません」
その時、勢いよく扉が開いた。
「オラァ! お待たせしましたぁ! さあ椛さん、私の浴衣姿の感想を!!」
「外は寒いですから、厚着したらどうです?」
「アヤァアアアアァ!!」
その後、椛からちゃんと『似合ってます』と、何がどう可愛いかの具体的な言葉を貰い文は精神を持ち直した。
椛に見送られて浴場にやってきた文とはたて。
女湯の暖簾を潜ろうとした時、はたての動きが急に止まった。
「どうしました?」
「あれ」
はたてが指で示した先は、風呂上りの客のために設けられた休憩所。そこに設置された卓球台で汗を流す者達がいた。
「よっ」
「ほっ」
髪を後ろに結わえた浴衣姿の妙齢の女性と、同じく浴衣姿の童女である。
「はいっ」
飛んできたピンポン玉を下から掬いあげるような動作で打つ大天狗。
「えいやっ」
緩やかな速度で自分の方に跳ねてきた玉を、小さな体で懸命に追いかけ、慎重な動作で返す天魔。
傍から見れば、子供の卓球に付き合う大人の女性という構図に見えなくもないが、お世辞にも両者共に上手いと言える動きではなかった。
「あの二人が下手っぴな温泉卓球やってる」
両名に深い尊敬を抱いていたはたてにとって、些かショックな光景だった。
「違います。良く見てください」
「え?」
「目を凝らして見るのです。本当にあれがただの温泉卓球だとお思いですか?」
言われた通りに二人の動きを凝視してみる。
「あれ?」
視界が一瞬だけ歪んだ。慌てて目を擦る。
「どうなってるの?」
「あのお二人は目にも留まらぬ速さでラリーを続けているのです」
「え、でも。すごくゆっくりに見えるけど?」
「車輪が超高速で回転していると、逆にゆっくり回転しているように目が錯覚するのと同じです。
二人の動きが早すぎて、ド素人な温泉卓球をしているのように見えてしまうのです。嘘だと思うならカメラで二人を撮影してみてください」
「う、うん」
携帯型カメラの標準を二人に合わせて押した。
「なんかでっかいスカイフィッシュみたいなのが写ってる」
「でしょう? 二人が速すぎてカメラでも捕らえられないんですよ」
非常にハイレイベルな戦いであることがわかったが、見ていても大して面白くないので、二人は今度こそ暖簾を潜った。
文とはたてが温泉に浸かっている頃、椛は窓辺に腰掛けて頬杖をつき、外をぼんやりと眺めていた。
紅葉の時期は終わり、山は眠っているかのような儚い色をしている。
今椛がいるのは、文とはたての客室である。
宴会の時間まで特にやることが無いため、従業員の控え室に戻ろうとしたところ、この部屋で寛いでいてくれて構わないと勧められた。
あの居づらい控え室に戻るのが嫌だった椛は、その申し出を快く受けた。
(よもや私がこんな場所に来るなんて)
白狼天狗とは無縁の場所だと思っていた。
視線を下にやり中庭を見ると、どこかの天狗の親子が散歩しているのが目に付く。
先ほど、はたてに尋ねられたせいか、ふいに両親のことを思い出した。
椛の父と母は、どれだけ他の天狗から蔑まれようと、常に山の為に滅私奉公する誇り高き白狼天狗である。
貧しくはあったが親子三人仲良く暮らしており、そんな平々凡々な日々が椛は大好きだった。
しかし、それは唐突に終わりを告げることになる。
ある晩、怒声が聞こえて椛は目を覚ました。
寝ぼけ眼をこすると、いつも自分を挟んで眠っている両親の姿が見えない。
窓から外を覗くと、この辺りに住む白狼天狗の大人達が集まっており、その中に両親の姿があった。
両親たちは余所からやって来た天狗達と何やら揉めていた。余所から来た天狗は皆、白狼天狗以外の身分が上の天狗達であった。
なんでも、この周辺に住む白狼天狗が謀反を企てているという密告があったらしく、彼らはそれを調べに来たようだった。
この周辺に住む白狼天狗は皆、山のために日々身を粉にして働いている。それで疑われることなど甚だ心外であった。
そのことに憤りを感じ耐え切れなくなった一匹の白狼天狗が、余所の天狗に掴みかかるを姿を見た瞬間。椛は言い知れぬ焦燥感と恐怖に駆られた。
ここに居てはいけない気がして下駄も履かず、寝巻きのまま窓から寒空の下に飛び出した。
両親すら椛が家から逃げたのに気づかなかった。
走った、ひたすら走った。休めと命令する心臓の鼓動を無視して、破裂すると悲鳴を上げる肺をさらに膨張させて、
転んで膝を擦り剥こうが、木の枝に頭をぶつけようが、それでも走り続けた。
翌日、日が昇り明るくなってから家に戻ってくると、家のすぐ近くに立て札が掲げられ、そこに人だかりが出来ていた。
ろくな教育を受けていない彼女に立て札の字は読めなかったが、野次馬達の会話から立て札の文章を知った。
『この者達。山転覆を目論む重罪人にて断罪』
立て札の隣には棚があり、その上に“丸いモノ”がいくつも並べられていた。
“父”“母”“友達のお父さん”“友達のお母さん”“友達”“近所のおじさん”“近所のおばさん”“知らない人”“知らない人”“友達”・・・
“丸いモノ”の数は軽く二十を超えていた。
棚に飾られた両親を見て、椛は一目散にその場から逃げ出した。
自分があの二人の子だと知れたら同じ目に遭わされる。それが堪らなく怖かった。
家を調べれば、父と母以外に自分もいたことが気づかれる。
きっと今頃、生き残りの自分を探して、天狗の上官は血眼になっているに違いないと思った。
しかし、そうはなっていなかった。
この頃、まだはっきとした戸籍制度はない。
椛と同じ歳の子供が何人も処分されたことが幸いし、椛の存在もその中に含まれているものだと余所の天狗達は思い込んでいた。
だが、その事実を知らない椛は出来るだけ遠くに逃げた。
辿り着いたのは、見知らぬ地の橋の下だった。
そこに身を隠し、飢えと寒さと恐怖で身を震わせる。
数日後、ある人物が偶然そこを通りかかるまで、彼女はずっとそうしていた。
「いや~暖まりましたね」
「お肌もツルツル」
温泉を出た文とはたて。
濡れ髪に、薄っすらと紅潮した肌が艶っぽく。この場に男性の天狗がいたなら間違いなく見惚れている。
卓球台のある休憩室の前を通った時、勝負を終えた重鎮二人が牛乳を飲んでいるのが見えた。
「どちらが勝ったんです?」
勝敗が気になり尋ねてきた文に大天狗が答える。
「タイブレークまでもつれ込んで、1876-1877になった所で天魔ちゃんのマイラケットが壊れちゃってね」
「それで無効試合じゃ」
壊れたラケットは現在、偶々来ていたにとりが預かり修繕している。
「ラケットが壊れねばスマッシュが決まり儂の勝ちじゃった。実に口惜しい」
「あら? ラケットが壊れて続行不能になったなら、私の不戦勝でしょ?」
「なにおう・・・・・・おっと、もうこんな時間か」
壁に掛かる時計を見て、天魔は足をばたつかせていた椅子からピョンと飛び降りた。
「宴会の段取りを女将と打ち合わせねば、大天狗殿、この決着は次回に預けたぞ!」
「ええそうね」
子供用スリッパでもまだ隙間のある小さな足をパタパタと動かし、厨房がある方向に向かっていった。
「すごい白熱した勝負だったんですね」
「そうねぇ、久しぶりに本気だしたわ」
肩をゴキゴキと鳴らしながら答える。
「そういえばモミちゃんも手伝いで来てるけど知ってた?」
「ええ」
「部屋を案内してくれたのが椛でした」
「あら、そうなの?」
その偶然に大天狗は些か驚いた様子だった。
「お仕事じゃなかったら、温泉も一緒に入りましょうって。誘ったんですけど」
「モミちゃんと混浴かぁ。難易度が高いわね」
「椛、ガード固いですもんね」
「それ以前の問題ね」
「「え?」」
呆気に取られる二人の前で大天狗は自分の肩や腕、胸元を指でなぞった。
「あの子の身体、古傷だらけだから。他人との入浴を嫌がるのよ」
「大天狗様は椛さんと親しげにしているのを何度か見たことがあるのですが。お二人のお付き合いは長いのですか?」
椛の過去に興味のある文は、かねてより彼女と親しい間柄にある大天狗に色々と尋ねたいことがあった。
今がそのチャンスだと思い、いくつか質問をぶつけてみることにした。
「お二人が出会った切っ掛けってなんですか?」
大天狗と白狼天狗が面識を持つことなど、よっぽどの事がないと実現しない。
「モミちゃん・・・いえ、犬走椛と知り合ったのは、寒い晩だったわ。あの子、みすぼらしい格好して橋の下で震えてたのよ。
ダイエットしてる奴が見たら一発でやる気を失うくらいガリッガリに痩せてたわ」
「浮浪児ってやつですか?」
当時の情勢を考えると、白狼天狗の浮浪児というのはさして珍しくはなかった。
軽いジャブ程度に放った質問から、とんでもない事実が出てきて、文は驚きを隠せない。
大天狗は話を続ける。
「普段なら無視して通り過ぎるんだけど、つい先日、白狼天狗絡みで嫌なことがあってね」
謀反の疑いが掛かった白狼天狗達を尋問の最中、一匹の白狼天狗が暴言を吐いて、それに怒りを感じた上官の天狗がその白狼天狗を無礼討ちした。
そこから乱闘に発展して、結果、その場にいた白狼天狗は全員死んだ。
しかしそのすぐ後、謀反の容疑が誤解だという知らせが入る。
誤解でこのような事態に発展したなどと上司に報告など出来るわけなどなく、
発覚を恐れた彼らは、ここの白狼天狗たちは本当に謀反を企てていたと濡れ衣を着せることにした。
各家庭の子供たちも生きていられると都合が悪いと判断し、寝ている最中に殺害。
そして、一族郎党を断罪に処したと口裏を合わせ上司に報告書を提出した。
当時の大天狗は、この件に直接ではないが、間接的に関与しており、ことの真相を知っていた。
「その罪悪感から、哨戒の仕事を斡旋しちゃったのよ」
哨戒の任をこなす大人の白狼天狗の雑用係として住み込みで働かせてもらえるように手配をかけた。
それだけをして彼女は椛の前から去っていった。
「その後、再開したのは十年後くらいかな。剣の腕が立つ白狼天狗を探してた時にあの子の名前が挙がってね」
実際に会ってみて、初めてあの時の子供だとわかった。
「なんで剣が強い人を探してたんですか?」
「表沙汰に出来ないコト。人目をはばかるコト、そんなんを色々とやってもらうためよ」
「色々?」
「はたて!」
言葉の意図を察することが出来たのは文だけで、汲み取れなかったはたてが聞き返した。
そんなはたてに嫌な顔一つせず、大天狗は口を開いた。
「うーんとね『山の治安を維持するという大義名分のもと・・・』って言えば伝わるかな?」
「あ・・・」
大天狗が言わんとしていた事をはたては理解し、俯いた。
「どーせ二、三回目の仕事で死ぬだろうなって思って頼んだわけコッチは。ただの消耗品扱い」
しかし、その予想を裏切り。椛は何度も依頼を完遂し、戻ってきた。
次々と命を落としていく白狼天狗の中で、彼女だけは何故か消えなかった。
「あの子は『生き残る』ということに関して、他より抜きん出た感性を持っていた」
いち早くそのことを見抜いた大天狗は、椛に次々仕事を任せるようになる。
仕事をこなす度、依頼の重要度は徐々に上がっていき、秘密を共有する関係上、両者の親密さも深まっていった。
そんな背景の中、二人の仲が形作られていった。
「犬走椛には随分と働いてもらったわ」
時代は移ろい山から鬼が去り、鬼に代わり天狗が山の統治が始まり、今のように完璧な秩序が出来上がるまでの間に、
数々の英雄、悪人といった『時代の主役』が誕生しては消えていった。
その激動の中、椛は常に日陰を歩いてきた。
「あの子が、あなた達二人と交流を持ち始めたと天魔ちゃんから聞いた時、とても驚いたわ」
身分違いの白狼天狗と鴉天狗が行動を共にすることくらいならまだ許容される。
しかし、その白狼天狗が山の負の部分を余すところなく見てきた者となると、話は違ってくる。
何かの拍子に、鴉天狗を手に掛けてしまうかもしれない。そんな不安があった。
大天狗は、自身を椛の良き友人であり理解者だと自負している。自負しているからこそ、彼女ならやりかねないという疑念を抱いていた。
「モミちゃんは優しくてすごく良い子よ。それは間違いない。でも、この世に絶対なんてことはありえない」
真摯な瞳が、その心配が杞憂に終わることを心から望んでいるのを語っていた。
「・・・」
「・・・」
大天狗の告白に二人はしばらく言葉を失った。
「ごめんね、明るい場にこんな暗い話を持ってきちゃって」
「いえ、そんな。最初に質問したのは私の方ですし」
「卓球で汗かいちゃったから、もう一回お風呂行って来るわ」
大天狗は椅子から立ち上がると、逃げるような足取りで浴場に向かう。
「すみません、大天狗様」
はたてが、暖簾を潜ろうとした大天狗を呼び止めた。
「うん?」
「良かったんですか?」
「何が?」
「ネタを常に探す私達新聞記者に、こんなことを話しても」
「ちょっとはたて!?」
文は長い新聞記者の経験から、関わるべき事件と関わるべきでない事件の判断が出来る。今回は明らかに関わってはいけない部類の内容である。
椛の過去は大いに気になるが、これ以上踏み込むと確実に身を滅ぼす。
(はたては大天狗様を呼び止めるべきではなかった)
大天狗は引き返せるところでわざわざ話を止めてくれたのだ、その善意をはたては無碍にしてしまったと文は思う。
「本当に良かったんですか? 私たちにこんなことを話しても?」
「もう時効なのよ。証拠も目撃者も消えて。それに・・・」
大天狗は、文たちが聞いてはいけない部分をこれから話そうとしている。
文は耳を塞ぎ、ここから逃げ出したかった。
「犯人には『情報漏洩の可能性がある場合、機密保持のため自害せよ。ないしは対象を殺害せよ』って命令してあるから」
冷たい声でそう言い放った。
(終わった)
聞いてしまった。もう後には戻れない。
今、この場で消されても文句は言えない。ご丁寧に殺害すると宣告までしてくれた。
文の背中に、じんわりと脂汗が伝う。
「あ、もう時効なんですか?」
「そう時効なの」
それだけ言うと暖簾を潜り、大天狗は行ってしまった。
「へ?」
拍子抜けするほどあっさりとしたやりとり。
「あ、あの大天狗様!!」
今度は文が呼び止めた。
「今度は何? 汗が冷えて寒いんだけど」
面倒臭そうに暖簾から顔だけを出して二人を見た。
「何もしないんですか? 私達にここまで秘密を知られたのですよ?」
「文ちゃんもモミちゃんも、もうちょっと平和ボケした方がいいわ。はたてちゃんみたいに」
「え? 私ボケてます?」
「もう昔とは違うのよ。山はどんどん平和になっていって、血生臭い時代はもうおしまいなの。モミちゃんにも、その辺、教えてあげて頂戴」
大天狗は顔を引っ込めた。
「平和な時代に、一人だけ戦国時代気分なんて気の毒でしょうがないわ」
最後に暖簾の向こうから、そんな声がした。
まるで二人に何かを託すかのように聞こえた。
椛はゆっくりと目を開けた、空はすっかり暗くなっている。
「…あ、いけない」
いつの間にか窓辺に背中を預けた姿勢で眠っていたようだった。
「・・・」
夢の内容は記憶にないが、碌でもない内容だったのは覚えている。
「ん・・・」
気づいたら自分の体に布団が掛けられていた。
「長居しすぎたな」
体を起こそうとしたその時だった。
「 ? 」
自分の両肩に荷重が掛かっていた。
「あ」
思わず間抜けな声を出す。
布団で隠れていて気づかなかったが、右に文、左にはたて。それぞれが彼女の肩にもたれて寝息を立てていた。
「まったく、この人達は・・・」
今ここで立ち上がってしまうと、二人を起こしてしまう。そう考えた椛は再び目を閉じた。
文とはたては、椛の手を握っていた。
「お邪魔しまーす。あ、やっぱりココだった」
天魔のマイラケットの修繕と機械室のボイラーの点検を終えたにとりが文とはたての部屋にやってくる。
「寝ちゃってる。まぁ机の上に置いておけばいいか」
控え室で預かったままだった紙を返すために椛を探していた。
「しかしこの状況」
鴉天狗でも綺麗どころで有名な射命丸文と姫海棠はたて。そんな二人にもたれ掛かられるなんて、同性でも少し羨ましいと思ってしまう。
「まさに両手に花だね」
その時、机の上に文が愛用しているカメラが目に付いた。
何の気なしにそれを手に取る。
「はい、チーズ」
カメラを元の位置に戻して、にとりは部屋を出て行った。
「文さん。今度ウチに現像に来るとき、今の写真焼き回しして貰うからね」
三人を起こさぬように静かに部屋を出た。
宴会のはじまる時間まで、三人はそのまま眠り続けた。
数日後。
「先日はご苦労様」
「もう二度と大天狗様からは何も貰いません」
それが何よりの教訓となった。
「あら良いの? 鴉天狗の方から『心ばかりのお礼』って言われて預かってるものがあるんだけど」
「いただきます」
綺麗に両手を揃えて前に出した。
「貰わないんじゃないの?」
「だって鴉天狗からでしょ?」
ずいっと大天狗に寄った時、椛は足元の畳の感触に違和感を覚えた。
「 ? 」
「どったのモミちゃん?」
「床下に何かが・・・」
大天狗が見ている前で、椛は真下にある畳を持ち上げた。
「お二人共、そこで何をしてらっしゃるんですか?」
「私は床下に住む小人、借り暮らしのアヤエッティと申します」
「ハタエッティです」
「・・・」
見知った二人がそこにいた。
「大天狗様、こういうのって盗聴か何かで罰せられないんですか?」
「でも小人だしねぇ、天狗社会の法が適用できるかなぁ?」
「小人にしては大きくないですか?」
「原作だとこれくらいなんじゃない?」
「…」
大天狗の回答に椛は目頭を押さえた。
「住人に見つかったら、私たち小人は引っ越さなければなりませんティ」
「それは重畳、てかなんですかその『ティ』って?」
椛は文とはたての首根っこを掴み、足で襖を開けて外に放り出し、勢い良く襖を閉めた。
襖の向こうから二人のわざとらしい会話が聞こえてくる。
「新しい借り場を見つけなければなりませんねハタエッティ」
「そうだねアヤエッティ。次はどこに行く?」
「山の東側に風の谷と呼ばれる秘境があります。あそこで越冬しましょう」
「うん。善は急げだね。40秒で仕度しよう」
「でもその前に」
文が襖を小さく開けて顔だけ出した。
「まだ何か?」
「また会いに行くよ・・・文ックルに乗って!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あああぁぁぁ!!」
椛が愛用の盾を掴み振りかぶった、しかし寸でのところで大天狗に止められる。
「ストップ! モミちゃんストップ! 確かにイラッとしたのには概ね同意するけど!」
盾を投擲しようとする椛を羽交い絞めにする。
「文ちゃん! 逃げて! 今のモミちゃんすんごい馬力!」
「そうだよ文! 椛、血管が切れそうなくらいイラついてる!!」
「・・・」
二人の忠告を無視して、突然、文は無表情になる。
「カタカタカタカタカタ」
「ひっ」
感情の無い顔の文はいきなり首を振動させ始めた。そしてピタリと止ってから一言。
「木霊でしょうか・・・・・・いいえ、アヤエッティです!!」
「失せろ、このもののけがッ!!」
大天狗の拘束を振り切って、ついに椛は文の顔面に目掛けて盾を投げつけた。
粉砕される襖。文は直前で顔を引っ込めたため無傷。襖の破片が顔に少し触れる程度だった。
「ご、ごめん椛! 今の文ちょっとテンション上がってて・・・」
「目が~~目が~~♪」
文を抱えて、はたてはその場から一目散に飛び去った。
「まったく・・・」
どっと疲れが出て、膝から崩れ落ちるように座った。
「それで何の話でしたっけ?」
「えーと、先日の裏方仕事で報酬が出たって話」
「ああそうでした」
大天狗から封筒を受け取る。
「ん?」
中身は金銭ではなく、一枚の紙切れだった。
デジャヴを感じたが、その予想は嬉しい形で外れる。
「招待状?」
件の旅館の本物の宿泊券だった。
「さっきの二人がね。今度はモミちゃんと三人で泊まりに行きたいんだって」
【 epilogue 】
結局、椛は二人からの招待状を辞退した。
自身は二人と肩を並べられる身分ではないし、何より古傷だらけの体を二人に見せたくはなかった。
(お二人なら恐らく、そんなもの気にしないと言ってくれるかもしれないけれど・・・)
きっと二人の絹のような美しい肌を見せ付けられては、嫌でも自分の体を醜いと自覚させられる。そうなるのが堪らなく嫌だった。
(相変わらず卑しいな)
心中で自身を罵る。
今、椛は人間の里の大通りを歩いている。
普段は千里眼で眺めるだけで、滅多に足を踏み入れないこの場所を文とはたてが案内してくれていた。
泊まりに行けないのなら遊びに行こうと、二人が提案してくれたのだ。
「でも申し訳ないですね。お昼代、お二人に出して頂いて」
「良いですよ。もともとは宿泊代として使うものでしたから、安いものです」
「早めにキャンセルしたから全額戻ってきたし」
ここでの支払いは全て文とはたての二人で折半することになっていた。
「椛さん」
「椛」
通りを並んで歩いている最中、ふいに二人から同時に呼びかけられた。
「そこ、寒くないですか?」
「寒くない?」
三人が並んで歩いている道。椛の進路だけが太陽の位置の関係で日陰になっていた。
「私は平気ですからお気遣いなく」
「私たちが気になるんです」
「うん」
文に袖を掴まれて無理やり日の当たる場所に移された。
「ああ、確かにこっちの方が暖かいですね」
「でしょう?」
「ですが、これだとお二人が窮屈じゃありません?」
椛が寄ったことで、はたてが壁スレスレの位置を歩く。
「やっぱり日の当たる場所は二人が限界ですよ」
「いけません」
戻ろうとした椛の袖を文はさっきよりも強い力で握った。
「そこまでしてくださらなくても、少し歩けば影も終わりますし」
「それでも駄目です」
文の力は強く。どうしても椛が日陰に戻るのを拒んでいた。
「椛さんには絶対にこの道を歩いてもらいます」
「なんでそんなにも意固地になるんですか?」
妙に真剣になっている二人に首を傾げつつ。椛は日向を歩き出した。
この椛さんかっこいい
あやはたかわいい
大天狗様はたから見てる分には面白い
あとヘアピンとヘヤピンの表記揺れ発見
そんなトコも含めてこの作品が好きですがww
しかし、ツッコミどころが前よりもある気がしますww
次回も楽しみに待ってます!
どうしようもなく腐りきっていて だからこそ美しいのだなと
不意打ちのアヤエッティには吹いたwww
前半後半と、とても楽しませてもらいました。
次も楽しみにしてますw
今回もすごく面白かったです
次回も期待~
はたたんも続々と謎スキルを修得していて大満足です
年が明ける前にいいものが見れました!
文は意外と椛の過去知らなかったんですね……。
もうこの椛は愛さざるを得ない。
>>「「しゃぁべったあああああああああああああああああ!!」
閉じ括弧が一つ抜けてます。
シリアスな場面も良かったです。
今回のヒグマ先生は溜めパンチじゃなかったwwwwwww
今回はまた一段とギャグとシリアスの差が広がってますね。良いぞもっとやってくだs(ピチューン
椛の過去が壮絶すぎる…こういう辛い事があったんだから椛には幸せになって欲しいな。
しかし大天狗。まだ合コンやってるのかwwwwwwwもういっそのこと早苗さんに愛されちゃえwwwwwww
文、はたて、椛の三人組がメインの話は大好物なので次回作も尻尾振って期待してます。
ところで…三人の可愛い寝顔と椛たんの目隠し手錠&猿轡さらに首輪付きの写真はどこに行けば手に入れられるんだ?
そうだ!にとりたんを襲って手に入れれb(ピチューン
オチの怒涛のジブリネタには笑わせて貰いましたわ。文ックルうぜぇ……
前回にとりが風雲河童城に籠っていたのにはそんな理由が…
これからの椛には陽のあたる場所を歩んで欲しいものです。
絶対に文、にとりから現像された写真が返ってきた時に狂喜乱舞してますね。
河童のネーミングセンスは素晴らしい
椛がますます好きになれるお話でした。
大天狗様も可愛いです。
欲を言えば鬼百合君1号が活躍する御柱祭も見てみたかったかも
レギュラー陣はもちろんヒグマも趣味が良い早苗さんも、みんな大好きだ!
椛には日向を歩いて欲しいですね本当に
地味に続投中のヒグマ先生がツボでした。グリズリースーツって
バージョンによってはライフル弾止めるらしいですね
こりゃもう百点をいれるしかないっティ
相変わらずのハイクオリティ
冒頭の大天狗様が語る御柱祭の全貌が面白すぎる
そして天狗知恵袋w
「でっかいスカイフィッシュ」にも笑いました
もういっそのことキャラ紹介に乗せてもいいんじゃないかしら。レギュラーとして。
そして、やっぱりいい組み合わせだなあ、この三人。互いに足りないところを補い合えている感じがすごい好きだ。
これからは三人で日向を歩いて行ってほしいものです。
>「椛、ガード固いですもんね」
>「それ依然の問題ね」
>「「え?」」
「それ以前の問題ね」
でしょうか
なんにせよ、この椛は救われてほしいと凄く思えました。
大天狗様と天魔様の暗夜のデイメアは一体どうなるんだw
本来、混同させるのが難しい要素なのに、この絶妙なブレンド加減
回が進み、読めば読むほどこの妖怪の山の世界観にどんどん引き込まれます
エピローグの文とはたてに、心が温かくなりました
昔所属してた部隊はレッドショルダーなのだろう。
そんな異能生存体な椛が大好きです。
最後のジブリパロがエライうざおもしろかったww
シリアスとギャグの温度差が最高っす!
この椛に是非幸せが訪れますように…
誤字報告っす
(お二人なら恐らくそんなものを二人は気にしないと言ってくれるかもしれないけれど・・・)
二人が二回入っちゃってるかな?
名はともかく姓は子供のまんまだと色々問題ありそうな…。
それともごく有り触れた苗字だったりするのかにゃ
もう既に得点入れてしまったのでフリレスで
辞するとはおそれいった。
さくしゃさまのもみちゃんというキャラがハマりきっていてとても面白いです
そして後半のどシリアス
良質のエンターテイメント作品だなあ