本文中にほんのすこしですが、人間A(仮)が登場します。
脇役中の脇役ですが、そういったものが好きではない方、お気を付け下さい。
頂上まで登りきった太陽がゆるゆると下山し始めた時間帯の事。
山から飛んできた一匹の天狗が人里に積った雪を踏みしめました。
今日が「その日」であることがあまり知られていないのか、人々の関心が薄いのか定かではありませんが、大通りは人で溢れ返っています。
その天狗の少女は服や耳、雪と同色の髪についた雪を払い落していきます。尻尾はバサバサするだけです。
若干、体を軽くした後、飛行中に乱れたマフラーを正しました。
そして、頼まれた品はどこにあるのかと、お使いをさせた張本人が書いた詳細な地図を取り出し、確認しました。
その店は少女から見て東側にあるようです。
歩き出しました。歩き出したかのように周りの人は感じたでしょう。
しかし、その足は一歩目を踏み出そうとはしませんでした。
彼女の足は、目は、神経は、脳は、眼前に広がる露店の列を、普段仕事をしない千里眼が捉えたとき、凍りついてしまったのです。
そのあまりか手にしていた地図を落としてしまいました。
その紙切れは風に捕まり何処かへ連れ去られていきます。
露店は大通りの端から端まで続いていますが、その内、飲食店が一番多いようです。
それらの種類が三十以上に昇ることを、これまた仕事をしない強力な鼻が導き出しました。
そんなに食べられるでしょうか。
小柄な彼女には厳しいかもしれません。
その前にお金は足りるのでしょうか。
沸き上がる疑問を気にせず、目蓋を下した彼女は間髪いれず見開き、
「食う」
厳格な武士の様な口ぶりで、そう重々しく呟きました。
少女が十二軒目の特大焼きおにぎりをその胃袋に収めたのは、それから七分後のことです。
右手の指や頬に付いた醤油、米粒を精密機械のように口へ運んでいきます。
先程食われたとうもろこしと胃酸のプールでこんにちは。
一口一口が大きいです。
彼女の顔ほどはあるのですが、それを二桁もかぶりつかない内に食い切ります。
ごちそうさま、と手を合わせて天狗少女はまた歩き出します。
塩辛いものを食べ続けてきたからか、次に買いましたのは綿あめ。
駄菓子屋を営む恰幅のいいおばちゃんから受け取ります。
これは普通サイズです。
天辺に齧りつき、糸束を解くようにして体内に運んでいきます。
最早、噛んでいるのか飲んでいるのか分かりません。
ちなみに、それが最後の一つだったので少女の後ろに並んでいた少年は泣き出してしまいました。
が、そんなことは意にも介しません。食う事にしか興味はない。
十秒程でたいらげました。
また動きだします。
次に目をつけられてしまったのは、焼き鳥屋でした。
鳥だけでなく、旬の葱ですとか人参、玉ねぎなんかの匂いを漂わせていたのが、センサーに引っかかった模様。
当然のように全種類注文し、ちゃんと代金を支払います。
日頃、慎ましく生活しているので懐はかなり暖かいようです。
財布と胃袋の大きさが反比例していくのは言うまでもありません。
ピーマンも残さず食べる、好き嫌いのない一面は素晴らしいですが、これを子供に見せるのは……うーん。どうなのでしょう。
それよりも、食の暴走列車に終着駅はないのでしょうか。
今度はたこ焼き六個入りを購入。
猫舌なぞ私の辞書にはない、といわんばかりに、出来たてのそれをひょいひょい放り込みます。
希少性からか、中々値が張る一品ですが、そんなことは関係ありません。
むしろ、障害が強ければ強いほど心は熱く掻き立てられる。そんな戦士魂があるようです。
手を合わせる音が、食べきったことを知らせてくれます。
残金を確認して、再行進。
まだ食うのか。それは愚問です。
着陸した場所とは正反対の所でリスのように頬を膨らませた大食い天狗はようやくその活動を停止しました。
とはいっても、その食欲が完全に満たされた訳ではないようです。
舌舐めずりと、どこのどの商品を幾つ買えば最小の資金で最大の量が食せるか思索する頭が止まりません。
そして、脳を酷使すればするほど、エネルギーを消費しますので、その内、お腹が空きます。
ぐうう。あ、鳴った。
しかし、来た道を戻って同じものを食べるのでは楽しみがありません。全種類制覇済みです。
美味いパンが山ほどあれば、たまにはスープが欲しくなる。
そうどっかのだれかが言っていたのを思い出し、彼女はすぐこその喫茶店の扉を開けました。
彼女が入ってから気付いたのは、そのいき過ぎた暑さでした。食欲が少し、引っ込みました。
炭水化物を摂取しすぎたもの要因の一つですが、それを考慮しても大分室温が高いです。
煉瓦造りの暖炉がよく燃えています。
舌をベロンと垂らして荒く息をしながら、二人掛けのテーブルを占拠しました。
すぐさま店員さんがお冷を持ってきてくれます。
それを喉の奥に流し込んで、飲み干して、やっと過ごしやすい体感温度になったような気がしました。
さて、一息ついた彼女の胃袋は、何か食わせろとまた内側から訴えかけます。
ですが、御品書きの中は紅茶類がほとんどでした。
ましなものはないかと店内を見回しますと……ありました。
それはカウンターの向こうの店員さんが今作っているものです。
それが何かの判別はつきませんが、美味しいことは確かです。そうゴーストが囁くのです。
夢遊病患者のようにフラフラとその謎の食べ物に引かれていく天狗一匹。
周りの目線は気にしない。
それはなんですか、と訊いたところ、
「これかい。アイスクリームっていうのさ」
まぁ、食べてみた方が早いかな、とその人が試食に一欠けらくれました。
白くひんやりとしています。
彼女はみたことがない代物でした。はてなマークが頭の上から消えません。
が、せっかくですので、頂きます。
パクリ。
こ、これは、口の中で咲き誇る牡丹雪の花。滑るような食感が喉を潤し、甘さが駆け巡って口内を一つのコスモに以下略。
少女は生きてきた中で五本の指に入るほどの強い感動を覚えました。
口をポカンと開けて、向こうの空(といっても、店内なので見えるのは天井ですが)を見たまま動きません。
凍りついています。
「どうだい。うち自慢のバニラアイスは」
「え、ええ、こんな美味は食べたことがありません」
そのとき、食物の情報しか読みとらない不思議な彼女の脳が、その言葉を掴みました。
――バニラアイス、バニラバニラバニラ
そして思い出すのです。
自分が何をしにここへ来たのか。ついでに、少なくとも冬の味覚を堪能しに来たわけではないことを。
「すみません。これってテイクオフできますか?」
「ジェットエンジンは付いてないなぁ」
「お持ち帰りの事です」
慣れない片仮名を使うものではありませんね。
そして、天狗の少女は紅茶を注文することなく、二人分のバニラアイスを買って、人里からテイクオフしました。
「ただいま」
日が落ちかける頃、少女が帰宅しました。
台所からの溌剌なおかえりの声が迎えてくれます。
料理している彼女の元に駆け寄り、買ってきた品を置きました。
「溶けやすいから早めに食べてくれ、だってさ」
「大丈夫。今すぐ使うから…………って、は?」
「どしたの、文」
黒い髪の天狗は、珍獣を見る目つきでその少女を見ました。
あの射命丸文がこんな顔をするなんて余程のことなのでしょう。
少女の背中に嫌な汗が流れ始めました。
もちろん両方の、です
「椛さんや、私は、足りないから何を買ってきてくれ、って言ったんだっけ」
「バニラなんたら」
即答です。
文は、台所に鎮座する包みの中身を確かめて一回、椛の顔を見て一回、溜息をはきました。
「幸せが逃げるよ」
「今まさにね」
原因は自分にありますが、だからこそなんとか元気づけようと椛は会話のキャッチボールを再開します。
「今更だけど、そのバニラなんちゃらって必要?」
「料理の良し悪しを、まず匂いで嗅ぎ分けるアンタの口から出たとは思えない発言ね。あと、名前くらい覚えて。バニラビーンズ、よ」
文はスポンジケーキの材料や器具の近くにある木切れみたいなそれを摘んで一言、そう言いました。。
「豆じゃないじゃん!」
「お黙り」
反論らしい反論も出来ず、すっかり椛はしょぼくれてしまいました。部屋の隅にのの字生産機。
対する文はクリスマスケーキが今夜中に出来あがるかを計算中。
もう窓の向こうは鴉色です。
しょうがない、と立ち上がり、
「今から私が買いに行ってくるから、椛はとり肉焼いててちょうだい」
それまで食べたらアンタを丸焼きにするからね、と忠告を残して彼女は猛スピードで出掛けて行きました。
そして、居残りの白犬は言いつけ通り、生前はコケコケ言っていた肉を竹串に刺して、火にかけました。
静かな室内に焼ける音が響きます。
そのうち、文の予想通りといいますか、椛の腹が騒ぎ始めました。まだ食うのか。
しかし、これは食えません。
その重罪を犯せば今度こそ文は噴火してしまうでしょう。
買ってきたアイスもありますが、今度は二人で味わいたいもの。
ちり紙って食えるのかな、椛の脳内回路がスパークしかけたときです。
ふわっ、と甘い香りがしました。
その源は、文がさっきまで持っていた、木切れの様な、名前とは外見の違うそれです。
見た限り、食欲をそそるものではありませんが、いい匂いなことは確かです。
知らずの内に垂れていたよだれを手の甲で拭い、それを鼻先まで持ってきて、逡巡。
一思いに食べました。
その後、無言の悲鳴をあげたのは、書く必要もないことです。
脇役中の脇役ですが、そういったものが好きではない方、お気を付け下さい。
頂上まで登りきった太陽がゆるゆると下山し始めた時間帯の事。
山から飛んできた一匹の天狗が人里に積った雪を踏みしめました。
今日が「その日」であることがあまり知られていないのか、人々の関心が薄いのか定かではありませんが、大通りは人で溢れ返っています。
その天狗の少女は服や耳、雪と同色の髪についた雪を払い落していきます。尻尾はバサバサするだけです。
若干、体を軽くした後、飛行中に乱れたマフラーを正しました。
そして、頼まれた品はどこにあるのかと、お使いをさせた張本人が書いた詳細な地図を取り出し、確認しました。
その店は少女から見て東側にあるようです。
歩き出しました。歩き出したかのように周りの人は感じたでしょう。
しかし、その足は一歩目を踏み出そうとはしませんでした。
彼女の足は、目は、神経は、脳は、眼前に広がる露店の列を、普段仕事をしない千里眼が捉えたとき、凍りついてしまったのです。
そのあまりか手にしていた地図を落としてしまいました。
その紙切れは風に捕まり何処かへ連れ去られていきます。
露店は大通りの端から端まで続いていますが、その内、飲食店が一番多いようです。
それらの種類が三十以上に昇ることを、これまた仕事をしない強力な鼻が導き出しました。
そんなに食べられるでしょうか。
小柄な彼女には厳しいかもしれません。
その前にお金は足りるのでしょうか。
沸き上がる疑問を気にせず、目蓋を下した彼女は間髪いれず見開き、
「食う」
厳格な武士の様な口ぶりで、そう重々しく呟きました。
少女が十二軒目の特大焼きおにぎりをその胃袋に収めたのは、それから七分後のことです。
右手の指や頬に付いた醤油、米粒を精密機械のように口へ運んでいきます。
先程食われたとうもろこしと胃酸のプールでこんにちは。
一口一口が大きいです。
彼女の顔ほどはあるのですが、それを二桁もかぶりつかない内に食い切ります。
ごちそうさま、と手を合わせて天狗少女はまた歩き出します。
塩辛いものを食べ続けてきたからか、次に買いましたのは綿あめ。
駄菓子屋を営む恰幅のいいおばちゃんから受け取ります。
これは普通サイズです。
天辺に齧りつき、糸束を解くようにして体内に運んでいきます。
最早、噛んでいるのか飲んでいるのか分かりません。
ちなみに、それが最後の一つだったので少女の後ろに並んでいた少年は泣き出してしまいました。
が、そんなことは意にも介しません。食う事にしか興味はない。
十秒程でたいらげました。
また動きだします。
次に目をつけられてしまったのは、焼き鳥屋でした。
鳥だけでなく、旬の葱ですとか人参、玉ねぎなんかの匂いを漂わせていたのが、センサーに引っかかった模様。
当然のように全種類注文し、ちゃんと代金を支払います。
日頃、慎ましく生活しているので懐はかなり暖かいようです。
財布と胃袋の大きさが反比例していくのは言うまでもありません。
ピーマンも残さず食べる、好き嫌いのない一面は素晴らしいですが、これを子供に見せるのは……うーん。どうなのでしょう。
それよりも、食の暴走列車に終着駅はないのでしょうか。
今度はたこ焼き六個入りを購入。
猫舌なぞ私の辞書にはない、といわんばかりに、出来たてのそれをひょいひょい放り込みます。
希少性からか、中々値が張る一品ですが、そんなことは関係ありません。
むしろ、障害が強ければ強いほど心は熱く掻き立てられる。そんな戦士魂があるようです。
手を合わせる音が、食べきったことを知らせてくれます。
残金を確認して、再行進。
まだ食うのか。それは愚問です。
着陸した場所とは正反対の所でリスのように頬を膨らませた大食い天狗はようやくその活動を停止しました。
とはいっても、その食欲が完全に満たされた訳ではないようです。
舌舐めずりと、どこのどの商品を幾つ買えば最小の資金で最大の量が食せるか思索する頭が止まりません。
そして、脳を酷使すればするほど、エネルギーを消費しますので、その内、お腹が空きます。
ぐうう。あ、鳴った。
しかし、来た道を戻って同じものを食べるのでは楽しみがありません。全種類制覇済みです。
美味いパンが山ほどあれば、たまにはスープが欲しくなる。
そうどっかのだれかが言っていたのを思い出し、彼女はすぐこその喫茶店の扉を開けました。
彼女が入ってから気付いたのは、そのいき過ぎた暑さでした。食欲が少し、引っ込みました。
炭水化物を摂取しすぎたもの要因の一つですが、それを考慮しても大分室温が高いです。
煉瓦造りの暖炉がよく燃えています。
舌をベロンと垂らして荒く息をしながら、二人掛けのテーブルを占拠しました。
すぐさま店員さんがお冷を持ってきてくれます。
それを喉の奥に流し込んで、飲み干して、やっと過ごしやすい体感温度になったような気がしました。
さて、一息ついた彼女の胃袋は、何か食わせろとまた内側から訴えかけます。
ですが、御品書きの中は紅茶類がほとんどでした。
ましなものはないかと店内を見回しますと……ありました。
それはカウンターの向こうの店員さんが今作っているものです。
それが何かの判別はつきませんが、美味しいことは確かです。そうゴーストが囁くのです。
夢遊病患者のようにフラフラとその謎の食べ物に引かれていく天狗一匹。
周りの目線は気にしない。
それはなんですか、と訊いたところ、
「これかい。アイスクリームっていうのさ」
まぁ、食べてみた方が早いかな、とその人が試食に一欠けらくれました。
白くひんやりとしています。
彼女はみたことがない代物でした。はてなマークが頭の上から消えません。
が、せっかくですので、頂きます。
パクリ。
こ、これは、口の中で咲き誇る牡丹雪の花。滑るような食感が喉を潤し、甘さが駆け巡って口内を一つのコスモに以下略。
少女は生きてきた中で五本の指に入るほどの強い感動を覚えました。
口をポカンと開けて、向こうの空(といっても、店内なので見えるのは天井ですが)を見たまま動きません。
凍りついています。
「どうだい。うち自慢のバニラアイスは」
「え、ええ、こんな美味は食べたことがありません」
そのとき、食物の情報しか読みとらない不思議な彼女の脳が、その言葉を掴みました。
――バニラアイス、バニラバニラバニラ
そして思い出すのです。
自分が何をしにここへ来たのか。ついでに、少なくとも冬の味覚を堪能しに来たわけではないことを。
「すみません。これってテイクオフできますか?」
「ジェットエンジンは付いてないなぁ」
「お持ち帰りの事です」
慣れない片仮名を使うものではありませんね。
そして、天狗の少女は紅茶を注文することなく、二人分のバニラアイスを買って、人里からテイクオフしました。
「ただいま」
日が落ちかける頃、少女が帰宅しました。
台所からの溌剌なおかえりの声が迎えてくれます。
料理している彼女の元に駆け寄り、買ってきた品を置きました。
「溶けやすいから早めに食べてくれ、だってさ」
「大丈夫。今すぐ使うから…………って、は?」
「どしたの、文」
黒い髪の天狗は、珍獣を見る目つきでその少女を見ました。
あの射命丸文がこんな顔をするなんて余程のことなのでしょう。
少女の背中に嫌な汗が流れ始めました。
もちろん両方の、です
「椛さんや、私は、足りないから何を買ってきてくれ、って言ったんだっけ」
「バニラなんたら」
即答です。
文は、台所に鎮座する包みの中身を確かめて一回、椛の顔を見て一回、溜息をはきました。
「幸せが逃げるよ」
「今まさにね」
原因は自分にありますが、だからこそなんとか元気づけようと椛は会話のキャッチボールを再開します。
「今更だけど、そのバニラなんちゃらって必要?」
「料理の良し悪しを、まず匂いで嗅ぎ分けるアンタの口から出たとは思えない発言ね。あと、名前くらい覚えて。バニラビーンズ、よ」
文はスポンジケーキの材料や器具の近くにある木切れみたいなそれを摘んで一言、そう言いました。。
「豆じゃないじゃん!」
「お黙り」
反論らしい反論も出来ず、すっかり椛はしょぼくれてしまいました。部屋の隅にのの字生産機。
対する文はクリスマスケーキが今夜中に出来あがるかを計算中。
もう窓の向こうは鴉色です。
しょうがない、と立ち上がり、
「今から私が買いに行ってくるから、椛はとり肉焼いててちょうだい」
それまで食べたらアンタを丸焼きにするからね、と忠告を残して彼女は猛スピードで出掛けて行きました。
そして、居残りの白犬は言いつけ通り、生前はコケコケ言っていた肉を竹串に刺して、火にかけました。
静かな室内に焼ける音が響きます。
そのうち、文の予想通りといいますか、椛の腹が騒ぎ始めました。まだ食うのか。
しかし、これは食えません。
その重罪を犯せば今度こそ文は噴火してしまうでしょう。
買ってきたアイスもありますが、今度は二人で味わいたいもの。
ちり紙って食えるのかな、椛の脳内回路がスパークしかけたときです。
ふわっ、と甘い香りがしました。
その源は、文がさっきまで持っていた、木切れの様な、名前とは外見の違うそれです。
見た限り、食欲をそそるものではありませんが、いい匂いなことは確かです。
知らずの内に垂れていたよだれを手の甲で拭い、それを鼻先まで持ってきて、逡巡。
一思いに食べました。
その後、無言の悲鳴をあげたのは、書く必要もないことです。
世界ふしぎ発見とかディスカバリーチャンネルとかAnimal Planetsとかで見ることがありそうな地の文でした。観察日記みたいな?
淡々としている。
しかし、この文体にこのssのストーリーをくっつけたのは、あまり合っていないのかも。このssの最後のオチも弱い。「えっ?これで終わり?
百合は?あややは?バニラアイスは?」と思ってしまうぐらい弱い。
「あやもみ」とあるので、うぐいす餅さんには文と椛がとっても仲良くしてるイメージがあるのでしょう。しかし、私には文が椛に対して、
どういう感情を抱いているのか、まったく読み取れませんでした。バニラとバニラビーンズを間違えて買ってきても、許してあげるところから、
仲は悪くないし、面倒見が良いという印象はうけました。けれども、それだけです。うぐいす餅さんの「あやもみ」のイメージをもっともっと
描写してほしかった。
地の文は良いと思います。楽しく書けているなら、なおさら良いと思います。でも、中身がもっと充実してほしい。正直、ドラクエの戦闘の
ナレーションと同じくらい中身が少ない。
「もみじは やたいに ついた。 とうもろこし が あらわれた。 とうもろこしを たおした! バニラ が
でてきた。 バニラ を たおした! しゃめいまる が あらわれた! もみじ は たべてしまった! ゲームオーバー」
このssがこんな2行程度の文でも、私が受ける印象はこのssと変わらないと思います。すみません。言いたい放題言ってしまって。
大食いの椛はGOODだと思うし、もみじもぐもぐもGOODだと思う。だから、そっからもっと話を膨らませてほしかった。
近くの神社のお祭りで兄弟と屋台制覇をした自分としては、「もっと屋台のすべての品を制覇していくことに達成感は感じないの!?」
「いくら大食いでも、食べることに飽きないように、できるだけその食べ物をおいしく感じれるように、食べる順番を考えないの!?」
「なによりお腹がふくれている幸福感をもっと描写してくれ!!」
と思ってしまいました。食べることは し あ わ せ だろ!?
このssには、ガッツが足りないぜ!ガッツが!
まあ、なにが一番言いたいかというと、もみじもぐもぐ!!
オチが弱く、特に心情描写が足りなかったのですね……。
至らぬ点は他にもありましょうが、次はこの二つに気を付けて書いてみます。
追伸:良くなかった点を教えて頂くということは少しつらいですが、感想を頂くこととは別のうれしさがありますね。
7、10様>お腹が空いたときには椛印のもみじまんじゅう(略すと、もみま……ゲホンゲホン)を食べましょう!
13様>大食いでサラシを巻いていて千里先まで見通せる白狼天狗の女の子は可愛いですよね!
もみじもぐもぐ!
皆様、コメント、評価、感謝感激雨霰です!