猫とネズミの因縁は深い。
それはもう、遠い遠い、気の遠くなる程昔の話。
神様が動物たちの前に姿を現して、唐突にこんなことを言い始めた時から続いているものだ。
「元日の朝、私の元へ挨拶に来なさい。一番から十二番に来た者まで、順にそれぞれ一年の間、動物の大将にして差し上げましょう」
この時、ネズミやその他の動物は話を聞いていたけれど、猫だけは運悪く、たまたまその場に居合わせなかった。
それで、猫はネズミの所へ話を聞きに行ったんだ。
「やあネズミさん。何だか、神様がやってきて、早く挨拶しに来た者を動物の大将にしてくれるっていう話があったんだって?」
「ああ、その話かい、猫さん。確かにその通りだよ」
「そうなのか。知らなかったよ、ありがとう。それで、神様へは、いつ挨拶に行けば良いんだい?」
「一月二日の朝さ」
……それで、ネズミは一番に挨拶を済ませることができ、猫は干支に入ることすら叶わなかった。
以来、ネズミと猫は長い間ずっと犬猿の仲。
何やら海の向こう側でも、トムさんだかジェリーさんだかが、もう長い間延々ケンカを繰り返していると聞くし。
お互い、仲良くするなんて、到底考えられない日々が続いてる。
「猫とネズミなのに『犬猿の仲』というのは、ちょっと変じゃないですか?」
「ご主人は少し黙っててくれないか?」
「そう考えると桃太郎さんは偉大ですね。そんな仲の悪い二匹を鬼が島に連れて行って尚、悪い鬼を懲らしめたんですから」
「ご主人は少し黙っててくれないか?」
「シクシク……」
わざとらしく、さめざめと泣いてみせるご主人。
つっこむのも面倒なので、とりあえず放置。
空を見上げる。
ゆったりと流れる、一筋の雲。
あの子だったら「ねえナズ、見て!あの雲、魚みたい!」とか言いながらキャッキャするんだろうなあ、と思いながら、私はため息。
そう。―――私は、叶わぬ恋をしている。
猫とネズミの、最初から、叶う訳なんてないという恋を。
――――――――――――――――――――
橙に出会った時のことは、今でも忘れることができない。
最初は、聖復活に関わる一連の出来事の後、八雲紫が式とその式を連れて、命蓮寺へと挨拶がてら遊びに来たのが始まりだ。
普段ならご主人の失くしもの探しに勤しんでいる私だが、その日はたまたま何の用事もなかったため、寺の皆で揃って八雲家の面々を迎え入れることになった。
初めて会うにも関わらず、何処か胡散臭さを感じずにはいられない八雲紫と、一目見て苦労人だと分かる佇まいの八雲藍。
そして、全く知らない場所に緊張したのか、自分の主人の尻尾へ隠れるようにして、おどおどとしていたのが橙だった。
しばらくの間、ずっと、ビクビクとしていた橙。初めは、ネズミながら(この子には、全く迫力がないなあ)と感じたものさ。
何せ、湯飲みを持つ手もちょっと震え気味なくらいだったからね。
そんな彼女の様子を見かねた聖が「緊張しなくても大丈夫よ。ここにいる子たちは皆優しいから」と言うと、ようやく安心したように橙は「はい!」と笑ってみせたんだ。
その瞬間だ。自分でも驚く程にドキリ、としたのは。こんな感覚は、生まれて初めてだった。
あまりに心臓が高鳴りすぎて、初めは本当に、どこか体でも悪くしたんじゃないかと疑った程だ。でも、そうじゃなかった。
あの子と何か話す度に。楽しそうな笑みを浮かべる度に。花や、小さな生き物を見つけて、優しそうな顔を見せる度に。遊びすぎて疲れてしまい、こっくりこっくりと船を漕いだりする度に。
私の心は、彼女へとどんどん引き寄せられていったんだ。
「典型的な一目惚れじゃないですか」
「……悪いかい」
「ヒューヒュー」
「本当に少し黙っていてくれたまえよご主人!」
いつの間に、私のご主人はこんなに話の腰を折るのが上手くなったんだろう。
そんなことを思いつつ、ガルルルと、私はご主人に向かって威嚇。
が、当のご主人は気にする風もなく
「まあまあ、これでも飲んで落ち着いてください」
そう言って私に向かい、温かい緑茶を差し出してくる。
むう……一々私の話に口を挟んでくるのはうっとうしいが、私のご主人は本当にこういう場面で気が利く。
この寒空の下、ずっと縁側に居れば冷えるものだ。そこへ持ってきて、この温もりはありがたい。
「ありがとう。頂くよ」と言って、私は湯飲みへと口を付ける。
「子供の名前は決まってるんですか?」
ピュー。
口に入れたばかりの緑茶が、縁側へ向かって綺麗な虹をかけた。
「……わざとやってるだろう、ご主人」
「さあて、どうでしょう」
「クールなナズ―リンも、案外可愛い所がありますねえ」と言いながら、明後日の方向を見つつ、何食わぬ顔で口笛を吹くご主人。
いじられている。その自覚がありつつも、あの子の話題が出た時だけは、この人には勝てない。
後で仕返ししよう。とりあえず、「おやつの枝豆餅だ」とでも言って、たっぷりわさびを乗せた餅でも出してやろう。そう心に誓いつつ、私はあらためてお茶を飲む。
「やっぱり、野球チームができるぐらいつくりたいものですか?」
ピュー。
口に入れたばかりの緑茶が、また縁側へ虹をかけた。
しかし子供の名前か……。これから先、もし二人が付き合うようなことになれば、そういうことも起こりうるだろう。
勿論早すぎる話ではあるけれど、思い立ったが吉日とも言う。
今のうちに考えておいてもいいかもしれない。
「二人の名前を合わせたのが良いんじゃないですか?」
「ふむ、それは案としては悪くないかもしれない。例えば?」
「『チェンリー』とか」
「格闘ゲームに出てきそう。却下」
「『チェーン』とか」
「鎖か!却下!」
「『ナン』とか」
「インドか!!却下!!」
もし実際に子供ができたとして、その子に向かって「ナンは本当に可愛いなあ」とか言えるものか!
「大体、『ナン』じゃ、単に私の名前を縮めただけじゃないか!」
「それもそうですねえ。じゃあ『ンェ』とか」
「発音し辛い!」
つっこみ疲れでゼエゼエ息を切らせながら、私はキッとご主人を睨みつける。
「さっきからおふざけが過ぎるんじゃないか、ご主人」
「私はふざけていたつもりなんてないですが」
「何か怒っているのかい?ああ分かった、この前"宝塔"を探しに行ったつもりが、間違えて"ドードー"を連れて帰って来るというボケをやったからだろう」
「いえいえ。あの時は、既に絶滅したはずの生物をよく見つけてきたものだと感心したくらいです。だから私は、別に怒っているわけでもありませんって」
そう言うご主人だが、その言葉にはどうにも棘があるように感じられる。
本当に、私は気づかぬ所で、何かご主人の気に障るようなことをしてしまったのじゃないだろうか。
もしかして、この前ご主人の下着を、『寅だけに!』とかいうノリで全てトラ柄の物に入れ替えたからだろうか。いやいや、まさかそんなことはあるまい。
「本当に、何も怒っていないのかい?ご主人」
「ええ、本当ですとも」
「改めて聞くが、本当にだね?」
「この目が嘘をついているように見えますか?」
ああ。
こんなに泳ぎまくっている目、私は生まれて初めて見るくらいだ。
ご主人が、私に対して何か腹を立てていることは明白である。
だがしかし、それは一体何なのか。
しばらく考えた後、私は一つの可能性に思い至る。
「……そうか。ご主人は、私が叶わぬ恋にうつつを抜かしていると思っているんだろう」
「……」
「どうせ私は一介のネズミに過ぎない。彼女は猫さ。どうやったって、振り向いてもらうことのできるはずがない。なのに私は未練たらしく、いつまでも彼女のことを想いつづけている」
「ナズ―リン」
「ご主人は、私の目を覚まそうとしてくれていたんだな。うん、そうだ。そうでなければ、今日のご主人の態度はちょっとおかしいよ」
「ナズ―リン」
「子供の名前の件だってそうだよ。あんな変な名前『どうせ叶わない恋に悩んでいるこいつを、少しからかってやろう』くらいの気持ちじゃなければ、挙げれないだろう?」
「ナズ―リン!!」
"バシッ"と音をたてながら、私の脛を思い切り蹴り上げるご主人。突然の事態にもんどり打つ私。
……おかしいだろ。やるにしても壁を叩くとか、頬を張るとかなら分かるが、脛って。脛って。
「たしかに貴女の思っている相手は猫の子です。猫とネズミの恋は難しい。でも、だからと言って、絶対に猫とネズミの恋が成就しないという訳でもないでしょう」
「……(ジタバタ)」
「なのに貴女は、最初から種族の違いで諦めてしまっている。私が怒っているとするなら、宝塔の代わりにドードーを連れてきたことなんかよりも、むしろそこです」
「……(ジタバタ)」
「実際に告白してみなければ、結果がどうなるかなんて分からないはずですよ。そういう意味で貴女は……ナズ―リン?聞いてますか?ナズ―リン!」
「……(ジタバタ)」
目を瞑り、一人力説するご主人には悪いが、私は一人脛をさすりながら廊下で悶絶していた。若干涙目で。
本当は泣き出したい程痛かったが、情けないのでそれは我慢。
脛を蹴られれば、大抵どんな妖怪だって普通に痛い。まして私は、肉体的にそこまで強い妖怪じゃない。尚のこと、痛いに決まっている。
「私は、そんな弱気なナズ―リンの姿、見たくないんですよ」
苦痛に耐える私を余所に、ご主人は尚も語る。
「私の知っている貴女は、もっと飄々としていて自由で、それでいて芯にはしっかりとした強さを持っている、そんな素敵な女性です。それが今はどうですか。たかだか一人の女の子を相手に、うじうじと全く貴女らしくもない。乙女ですか!」
……私だって、一応は乙女だよ、ご主人。
たしかに、こんなことで悩むの、自分のキャラじゃないことは自覚しているが。
「この所ずっと悩みっぱなし。隠しているつもりかもしれませんけど、バレバレですよ。寺の皆も、いい加減に心配しています。そろそろ、覚悟の決め時なんじゃないですか?」
「……そんなこと、言われたって」
随分と、簡単に言ってくれるものだなあと思う。ご主人にとっては他人事なのだから、当然と言えば当然だが。
もし告白して、嫌われてしまったら。
そう思うと、ぞっとしてしまう。ネズミだから、猫だからなんて、本当はただの言い訳に過ぎないのも自分で分かっている。
でも、あと一歩、踏み出す勇気を出すことが、どうしてもできない。
「私だって、怖いんだ……もう一緒に遊べなくなったらって思うと、目の前が真っ暗になってしまうんだよ」
床に伏せたまま、私はボソリと呟く。
「何ですかナズ―リンのへたれネズミ!へっぽこ!弱虫!根性なし!」
ブチッ。
あ、何か切れてはいけない大事なものが切れた。
と、同時に、ちょっと勇気が出せそうな気がしてきた。
「ウオリャー!」と勢いをつけて、私は立ち上がり様ご主人へ向かってドロップキック。
「へぶっ!!」と間抜けな声を上げながら倒れるご主人。
その姿をキッと睨みつつ、私はご主人へ向かって叫ぶ。
「何だい、さっきから聞いてれば好き勝手なことばかり言ってくれて!大体、私はへたれじゃない!その証拠に、これから橙へ告白してきてやろうじゃないか!OK貰えるまで何時間でも居座ってやる!橙とこ、恋人になったら、もう宝塔探しだってデートにしてやるんだから!ラブラブ過ぎて、宝塔探しがちっとも進まなくなったりして、ご主人を困らせるかもしれないんだからな!そうなっても知らないぞ!ばーかばーか!」
最後の方は、自分でも何を言っているんだかよく分からない捨て台詞を残しつつ、私は外へと駆け出す。
今を逃せば、もう告白できるような勇気は湧かないだろう。どうせ後悔するなら、やるべきことをきちんとやってからだ。
え?橙が今どこにいるのか分かるのかって?そんなもの、私のダウジング能力と橙へのラブパワーにかかれば、何も問題はない。
(ありがとう、ご主人)
踏み出すのに、途方もない勇気が必要な、最後の一歩。
それを乗り越える力を与えてくれたご主人に、心の中で礼をすると、私は走る足をさらに速めるのだった。
――――――――――――――――――――
(それでいいんですよ、ナズ―リン)
「ばーかばーか!」という怒声を遠くに聞きつつ、私は一人頷いてみせる。
床にしたたか頭を打ち付けてしまったため、頭全体がジンジンと痺れている。彼女渾身のドロップキックが思いきり直撃した顎も、ひどく痛んだ。どうやら、それだけ本気で怒らせてしまったらしい。
でも、こんな痛みは、これまで彼女を苦しめていた心の痛みに比べたら、何て事はないものなのだろう。
(本当に、ずっと悩んでいましたものね)
彼女は苦しんだ。種族の違う者と恋に落ち、苦しみに苦しみ抜いた。
それは、見ているこちらの方が辛くなるような光景だった。
もう、そんなに苦しむ必要はないのだ。
(私も今、正直なところ、顎や頭より、心が痛いですけど。……叶わぬ恋に悩んでいたのは、貴女だけじゃないんですよ)
グス、と涙がこぼれそうになるのを、グッと堪える。フラれて泣いているのなんて、寅丸星のガラじゃない。それに、今回の一件で私がナズ―リンに嫌われてしまったって、そんなことは構わない。
彼女の幸せは、同時に私の幸せだ。ナズ―リンが橙ちゃんと一緒にいられて幸せなのなら、それは私にとっても幸せなことなのだ。
(いいんです、私のことは。ただ、貴女が幸せになってくれるのなら。笑ってくれるのなら)
当の本人は気付いていなかったようだが、橙ちゃんから漏れるナズーリン大好きオーラも相当なものだった。
告白してもフラれる、なんてことは、まず有り得ないだろう。あとは、貴女が一歩踏み出すだけだったのだ。
二人一緒に、幸せへの道を歩んでほしい。今思うのは、ただそのことだけ。
(そういえば、さっきナズ―リンと子供の話をしましたね……ふふっ、二人の子供なら、きっと可愛い子になるでしょう。野球チームの人数までつくれとは言いませんが、楽しみにしていますよ)
相変わらず縁側へと倒れたまま、私は一人空に浮かぶ雲を見つめる。
(『子子子子子子子子子子子子』……あれは嵯峨天皇と小野篁のやりとりでしたか。元は『ねこのここねこ、ししのここじし』と読む文章ですが、さしずめこの場合は『ねこのここねこ、ネズミのここネズミ』とでもなるんでしょうか)
「……『ね』だけに」
「何が『ね』だけになんです?星」
小さな呟きに、返ってくる声。
ふと見れば、そこには不思議そうな表情を浮かべる聖の姿があった。
「何でもないですよ」と私は床へ伏せたまま答える。
こんな姿を見せるのはみっともないとも思うが、まだ起き上がるだけの気力は湧いてこない。
「それならいいのだけど。貴女がこんな姿を見せてくれるなんて、珍しいわね」と聖が笑ってくれたのが、不幸中の幸いだった。
「今日は一段と冷えるわねえ。ほら見て星、寒いと思ったら、雪まで降り始めているわ。そろそろ中へ入った方がいいんじゃないかしら」
「いいんです。もうしばらく、このままで」
「そう?じゃあ私も、少しここへ居ようかしら」
「はい」
そんな会話を最後に、お互い何も話すことなく、沈黙。
シンシンと庭へ降る雪を、ただ二人で眺めるだけの時間が過ぎていく。
だというのに、気まずい訳でもなく、むしろその静けさが心地よく感じられるのは、聖の持つ優しい雰囲気のおかげだろうか。
(こんな時間も良いものだなあ)と私が感じる中、先に沈黙を破ったのは、聖の方だった。
「星」
「何ですか?」
「ナズ―リンと、ケンカでもしたのね?」
「……!」
悟られまい、と聖から顔を逸らす私。
しかし、当の聖はそんな私のことなどお見通しの様で「貴女が何か悩んでいるときって、大抵ナズ―リンのことについてだもの」と、半ば呆れたような表情で言う。
「今度はどうしたの?この前ナズ―リンが拾ってきたドードーをドーやって飼育するかで揉めた、とか?」
「単なるダジャレじゃないですか……」
「冗談よ。でも本当に、何かあったんでしょう?」
「ええ、まあ。ケンカという訳でもないんですが……」
私の呟きに、聖は「やれやれ」といった表情になると
「もし、ナズ―リンに嫌われてしまったら、どうしよう」
「!」
「もし、ナズ―リンが橙ちゃんにかかりっきりになって、自分に構ってくれなくなったらどうしよう」
「!!」
「おおよそ、さっきからそんなことを考えていたんじゃないですか?」
「……はい」
(やっぱり、この方には隠し事ができないな)
そんなことを思いつつ、私は聖の問いに頷いた。
すると、聖は私の不安そうな表情を見抜いたのか、諭す様な声で、私へと語りかけてくる。
「心配ないわ、星。たしかにナズ―リンは、傍から見ていても分かりすぎるくらい分かるほど、橙ちゃんのことが好きだものね。でも、貴女の考えは、単なる杞憂にすぎない。それは、私が保証するわ」
「ですが……」
「あの子は優しい子です。例え誰と結ばれたとしても、それで貴女のことを蔑ろにするなんてこと、ある訳がないもの」
「本当に、そうでしょうか」
「ええ、間違いないわ。だって、あの子にとって貴女は、大好きなご主人様なんだから」
そう言って聖は、全てを包み込むような、温かな笑顔を浮かべてみせる。
「だから、大丈夫よ。ね?」
「うぅ……うわぁぁぁぁぁん!!」
差しのべられた手をぎゅっと握りながら、私は緊張の糸が解けたかのように泣きじゃくる。
フラれてしまった悲しみも。
あの子が、きっと素敵な彼女を手に入れるであろう喜びも。
嫌われたかもしれないという恐怖も。
きっとこの先も大丈夫なんだという安心感も。
全てを、涙へと変えて。私はしばらくの間泣き続けた。
聖は、そんな私の頭を、ずっと優しく撫で続けてくれていた。
・
・
・
・
・
「グスっ、うぅっ、ヒック……」
「……そろそろ平気かしら?」
「は、はぃ……ありがとぅございます……」
ポンポンと、私の頭を優しく叩く聖。
そんな聖に対し、まだ嗚咽交じりながらも、私は答える。
「それで、ナズ―リンはどうしたの?」
「さっき、橙ちゃんの所へ告白しに行きました……」
「そうなの。それじゃあ、今夜はご馳走にしないといけないわね」
「……?」
「だって、そうでしょ?あの子がフラれて帰ってくるなんてこと、考えられないんだから。豪華なご飯で迎えてあげましょう?」
「そう、ですね……ええ、ナズ―リンが、私があれだけ想っていた子が、そう簡単にフラれてたまるものですか!」
拳を振り上げながら私が言うと
「ふふっ、その意気よ。星はやっぱりそのくらい元気じゃなくちゃ」
そう言って、聖はニコリと笑ってみせる。
「それじゃあ、もう中へ入りましょうか。食事の支度もしなければなりませんし。星、手伝ってくれる?」
「はい!」
(ああ、またこの方に救われたな)と思いながら、私は立ち上がる。
降りしきる雪は、まだ当分止みそうにない。今夜も寒くなりそうだ。ナズ―リンの温もりが恋しいが、もう一緒の布団で寝るなんてことは、叶わないだろう。そこに居るべき人は、私ではない。
(ナズ―リンは、きちんと橙ちゃんへ告白できたでしょうか。……きっと、大丈夫ですよね。もう、最後の一歩が踏み出せたんですから)
そんなことを考えつつ、私は、聖と共に居間へと入っていく。
顔を真っ赤にしたナズ―リンと橙ちゃんが寺へやってきたのは、数時間後のことだった。
そしてタイトルの意味も凄いなぁww
ナズ×橙最高だ!
ところで、子子子子子子子子子子子子を創想話で見たのは、これで2回目です。いや、ほんと「うらにわにわにわとりがいる」よりも奥が深いですね。
「もしや!?」と思って、アンサイクロペディアで子子子子子子子子子子子子を検索してみると、意表をつく読み方がたくさんあって笑ってしまいました。流石、やってくれるな。
いや、本当にしっかり寅さんも、ナズ×橙も最高ですね。
中尉さんはホント物知りだよねー!そーなのかー!てかんじだった! お嬢様
星ちゃんがちょっと救われないですよーw かわいそうー。 なんだか軽く胸が痛くなりました。
し、失恋かぁぁ… 超門番
なのにどこにもイチャイチャが出てこないのはどういうことだ!
途中の小ネタが楽しかったです。「バシッ」の擬音で脛を抱えて転がるのには笑ったww
橙のしっぽとナズーリンのしっぽが絡み合う様子とか想像しただけでエロすぎです……
ところでどっちが生んだんだろう……
寺に橙を連れ帰ってきたということは、このまま即挙式もありうる……やるなあ、ナズ。
しかし、藍様が一番反対しそうな気がするんだけど、大丈夫なんだろうかw
『子子子子子子子子子子子子』のタイトルとか面白かったです。