レミサナの日常　合体攻撃の約束を守ってみたかった

ずいぶん前に約束した合体攻撃のことだが、やはり私と早苗が同時に放つにはいろいろと無理がある。
だがあれこれ考えている中で１つ気になることがあったのでそれを考察してみようと思う。
東風谷早苗の能力は【奇跡を起こす程度の能力】であるが、その奇跡の内容は八坂神奈子の力を利用したものである。
他には洩矢諏訪子の力も使った技が多数ある。
このことから、早苗の能力の本当の力は【何者かの力を宿す程度の能力】ではないかと考えられる。
外の世界で空を飛んだり風を拭かせればそれこそ奇跡と言われるが、幻想郷においては天狗が風を起こすし空は結構の人数が飛べたりする。もはや奇跡でもなんでもない。
けれど別の誰かの力を宿すのは、霊夢が神おろしをするぐらいで他にはいない。
ましてや神以外の誰かの力を借りれるとすれば、それは早苗だけの特別な能力と言えるわ。
まるでストライクやインパルスガンダムのように力を換装することで、霊夢を超える巫女になるのも夢じゃなくなる。
「と、ここまで考えたんだけれど私の力を使ってみる？」
本来の約束とは少し違う形ではあるが、私なりに頭使ってみた結果である。
契約なしに力を貸すとかやったことないけど、相性でその力を発揮できる早苗なら私の力も扱えるでしょう。
「面白そうですけれど、神奈子様や諏訪子様以外の力を使ったことありませんよ？　とくに神以外の力とか勉強もしたことないけれど大丈夫でしょうか」
「大丈夫よ。私も初めてだけど運命的（ノリ）的に考えて何とかなるわ」
「さとりさんじゃないけれど副音声が聞こえた気がしますが、奇跡（結果オーライ）を起こせばいいわけですね」
早苗の副音声も十分聞こえたけれどお互いなんとかなると思っているみたいね。
「うちには専門家もいるので早速来てもらいましょう。では、専門家のパチェ先生こちらへどうぞ」
「なんでテレビ番組展開なのよ。で、悪魔の力を借りるノウハウが知りたいのよね。……外から来たとはいえ巫女がそういう練習していいの？」
「大丈夫大丈夫。別に契約するわけじゃないわ。そんなわけで私には契約した悪魔代表の小悪魔先生にもお越しいただきましたーと。はいどうぞ」
「あ、はい。あの、お嬢様。契約はしてますけど、その……私一度もパチュリー様に力を貸したことないんですよぉ」
「え、まじで？」
まぁ確かにパチェのほうが圧倒的に強そうなイメージあるし、わざわざ借りなくてもいいわよね。
「呼び出してみたら、おどおどしたか弱い悪魔が出てきたときは驚いたわ。性格は悪魔のくせにお節介で優しいとか生まれる種族間違えたよねと何度思ったことか」
確かに小悪魔のおかげでパチェが体調不良の時もだいぶ楽させてもらってるわね。
部屋の換気に温度調整。さらに永遠亭への薬の買い付けなどパチェに関すること全てを進んでやってくれてる。
「あとあんた私と悪魔の契約してないじゃない？　ただの住込みバイトの契約よ。しかもまともに給料を受け取りやしない」
それ私初耳なんですけど。
「あはは。契約したらいろいろと面倒じゃないですかー。私はパチュリー様のお世話するのが、契約だけでやっているとは思いたくないので」
確かにこりゃ悪魔らしくないわ。
「そういうわけで契約無しで悪魔と仲良くすることだけなら、幻想郷で1番の魔女だけれど何か質問あるかしら？」
そのスレタイみたいな言い回しは、最近インターネットとかいうのをふれて毒されたかしらね。
「はい！　パチュリーさんはレミリアさんの力を借りて何か魔法を使ったことはないんですか？」
「無いわね。そもそもレミィの力は運動神経を上げるほうに向いていて、私にそんなの宿したら小悪魔が過労で死んじゃう。私と相性がいいならフランのほうじゃないかしらね。あの子は魔女の才能もありそうよ」
「種族吸血鬼。職業魔法使いって感じですか」
「正解。パチェポイントを上げるわ。１００貯まったら私のことをパチェと呼ぶ権利をあげよう。今で早苗は１２ポイントよ」
そんなポイント貰ったことないわよ。
いきなり１００貰えたのかしらね私は。
「ありがとうございます！」
「うむ。で、本題に戻すけれど私の知識によると、力を貸す方法は借りる方法と似ていて、互いにその力をイメージして共有しあうといいらしいわよ」
「イメージの共有ですか？」
「えぇ。レミィならその高い身体性能とスペルカードでも一番華のあるグングニルが互いにイメージしやすいと思うわ。あとは貸すイメージと借りるイメージが一致するほどその力に無駄が減る……はず」
最後の間が不安だけれどイメージしてみよう。
早苗に翼を生やして素早く動くイメージね。
……なんか感じるわね。
暖かいお風呂に入ったような感覚が体を包むわ。
これは早苗の中の感覚でいいのかしら。
「なんとなくレミリアさんの感覚が来ましたよ！　神奈子様たちの力を借りた時と似た感覚です！」
「いきなりそこまでたどり着くなんて相性いいじゃない。それならあそこでお茶飲んでくつろいでる魔理沙に一発ぶちかませるなじゃい？」
気が付いたらいきなり侵入して咲夜にお茶入れて貰っている恥知らずな泥棒がいた。
「面白そうな空気を読んだから邪魔してるぜ」
「竜宮の使いみたいなことを。まぁいいわ。どこまで聞いてたの？」
「最初からだぜ。合体攻撃なら私と幽香なら最高火力だぜ」
「凄いですよね！　サテライトキャノンを生で見た気持ちになりましたよ！」
おかげで近所の山が大参事に見舞われていたわよ。
紫が必死に修復してた姿は今思っても可愛そうだったわ。
「もっと威力が上がりそうだけど、これ以上やると霊夢にも怒られそうなので研究は中止した。で、その合体攻撃の相手に私がいるだろう？　今のところ私と早苗の対戦成績は早苗の８割負けだぜ。新しい技で挑んでみるか？」
「今日はその２割から３割に向上してみせますよ」
え、まだ私の力貸せるか試しただけで他の実験何もしてないんだけれど。
「よしいい返事だ。表に出な！」
私が止めようとするが、時すでに遅し。
仕方ない。
「力貸してほしい時は言いなさい。さすがに神奈子たちみたいにいきなり能力使われても貸せやしないわよ」
「わかりました！」
……と、１つ言い忘れていたわね。
「こんなこともあろうかと、私の能力を渡せるようにしていたがまだ実験段階で成功率は１％も無い。それでもやってくれるのかしら」
「大丈夫です博士！　奇跡ってやつを起こしてみせます」
一度これやってみたかったのよね。
今頃この展開を見ていたらにとりが凄く悔しそうな顔して私を見そうよね。
発明家の夢だもの。こんなこともあろうかとってフレーズ。
「レミィ。すっかり毒されたわね」
「いいじゃない。面白いものは取り入れるべきよ。それに外見だけなら見ていても違和感ない姿してるからお得よ？」
「都合のいい時だけ子供のふりする」
「特権よ特権」
外でどんぱち始めた二人を見ながら私とパチェはお茶を飲む。
いつ出番があるかと思うと、いつもみたいに幽雅には飲めないでついソワソワしちゃうわね。
これが出待ちってやつかしら。
「ふりって言ったけど間違いだったわ。その姿は子供そのものよ」
セリフまで考えていただけに言い返したいけど言い返せないわ。
「大人も楽しめる作品よ」
苦し紛れにとりあえず反論はしておく。
「はいはい。私も楽しんでるわ」
なんだろうこのあしらわれた感。
「レミリアさん！　出番です！」
軽くへこみかけていたところにナイスタイミングで早苗！
私は翼を広げ特に意味はないけど腕を組んでポーズを決める。
別にお茶を飲んだままでもいいのだけれど、こういうのって形も大事だと思うのよね。
「おお！　早苗からレミリアと同じ翼が生えた！」
「感覚的に近接格闘が強くなった気がしますね。ためしに挑んでみます！」
早苗の姿が消え、一瞬で魔理沙の前に飛び込んでいる。確かにあの動きは私の空中ダッシュそのものね。
「まさにレミリアの能力だ！　だが、マネしてるだけじゃ劣化だぜ」
私を含めて幻想郷の強者と戦い続けている魔理沙から見れば、劣化しただけの私は敵じゃなさそうね。
さてさて早苗が私の力を含めてどう戦うか、奇跡って奴を見せてもらいましょうか。
「自分が戦っているわけじゃないのに楽しそうね」
「少し間違えてるわよ。あの太陽の下で戦っているのは私でもあるのよ」
まだ私の力事態に慣れていないみたいで振り回されているわね。
でも確実にその動きを理解してきているわ。
「魔女ってのは力を借りてばかりだけど、あの姿を見ていると私も少しマネしてみたくなるわね」
「貸す方を？　借りるほうを？」
「贅沢に両方かしら。ある意味魔理沙は私の魔法を見事に盗んでるし貸しているようなものだけど」
見事なまでにパチェのスペカそっくりだものね。
しかも使い方がその機動性を生かしてパチェにできないこととして使っている。
「とはいえ、フランの力は彼女自身が上手に扱えていないから借りるなんてまだまだ無理そうよね。数百年後ぐらいに期待かしら」
「できれば魔理沙と早苗が現役で戦えるうちにしてほしいわね」
「私のプランじゃ、健康キャラに生まれ変わるのが数百年後よ」
「先の長いプランだこと。しかもパチェが健康キャラとか世間の需要を無視しているわね」
「需要ってなによ需要って」
「病弱萌えもあるってことよ」
「迷惑な話ね」
「本当にね」
しかもこの私はロリ枠だと言う。５００年も生きたお嬢様に失礼な話だわ。
「御柱とレミィの能力を同時に使いだしたわね。相性いいと慣れるのも早いわね」
「魔理沙もそろそろマスタースパークを撃つことだし勝負が動きそうね」
互いに距離を取り先にスペルカード宣言をするのは魔理沙。
彼女のもっとも得意とするマスタースパークの宣言。
続いて早苗もスペルカード宣言を行う。
今日初めて扱う私の力を借りたスペルカード。
ネタで１％とか言ってみたけれど、実際に一発本番なわけでそれに近い成功確率なのは違いない。
「必殺必中　オンバシラ・ザ・グングニル！」
なんていうか見た目と名前が凄く悪い。
御柱に括り付けられたグングニルを早苗が力いっぱい投げる……しかも結構ノーコン。
その間にマスタースパークが飛んできて早苗は光に飲み込まれる。
やっぱりアニメみたいに１％で成功させるとかは無理ね。メルヘンじゃあるまいし現実は厳しいわー。
「レミィ。諦めるのは早いわよ。あの子のあのスペルカードはF90ガンダムLタイプのロングレンジライフル実弾装備の再現だわ」
マスタースパークを放つ魔理沙の真上で、御柱に括り付けられていたグングニルが魔理沙目掛けて発射される。
普通の誘導弾でいいという突っ込みはあるかもしれないけれど、東風谷早苗は根っからのガンダムファンである。
それをマネることが一番美しく素晴らしい弾幕だと彼女はそう考えた。ならば誘導弾というものは無粋な意見でしかないわ。
真上にまで意識が言っていない魔理沙を見事に捉えその場にダウンさせる。
早苗のほうは発動してからすぐに防御態勢を取っていたのでほぼダメージはない。
「やりましたよー！　やっぱり換装装備と言えばF90ガンダムですよね！」
あ～そういえば早苗はF90が大好きだったわねぇ。
パチェもよくあれだけ見てすぐにガンダムの装備まで分かったわね。
……F90はそういえば書籍だったわね。そりゃ本の虫なら見ていても当然だったわ。
「おめでとう。できれば今度使うときは名前と外見をもっとかっこよくしてほしいわ。ロングレンジグングニルとかそういうのに」
「とっさに考えたスペルカードだったので。今度はその名前に変更しますね」
この短い間でF90がでるなんて、早苗のガンダム好きは次元が違うわね。
おかげで最近できたシアターでは、ほぼ大半がガンダムの上映よ。
日によれば早苗の特別解説付きというファンにはたまらないサービスつきね。
「いたた。やっぱり時代はガンダムとスペルカードの融合かぁ。帰ったらさっそく準備しなくちゃな！」
魔理沙が始めるとだいたい変な風に広がって流行するのよね。
しばらくフィンファンネルとか飛び交りそうな気がするわ。
まぁ外の世界じゃここまでガンダムごっこ？　は、できないだろうし早苗たちが満足してるならまぁいいか。

以前書いた作品でレミリアが早苗に合体攻撃を考えておくと約束したのと
合体攻撃は？というコメントがあったので書いてみました。
F90がガンダムで一番好きなので　こういう細かい装備のネタが使えると嬉しかったりします。
実際には火薬で角度調整する攻撃ですが、早苗さんの使える範囲で不格好でありながら妙なかっこよさもつけれそうな方法に少しアレンジしてみました。
書いてて思いましたけど、マスタースパークみたいに足を止めている状態以外この攻撃方法は当たりそうにない現実。
ガンダムの世界でもこれ考えた奴　何を考えていたのかさっぱりな武装ですよね。
好きだけれどそう思う。